全国書店新聞
             

令和4年2月15日号

2021年紙の出版物販売額/1・3%減の1兆2080億円/出版科研調べ

出版科学研究所は2021年の出版物発行・販売概況を発表した。紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比1・3%(157億円)減の1兆2080億円となった。販売金額の内訳は、書籍が同2・1%増の6804億円、雑誌が同5・4%減の5276億円で、書籍は15年ぶりに増加。電子出版は同18・6%増の4662億円と大幅な伸長が続き、紙と電子を合算した出版市場は同3・6%増の1兆6742億円と3年連続プラスになった。
上半期は、前年に新型コロナウイルス感染症拡大による書店休業などの影響で落ち込んだ反動と、巣ごもり需要の継続でプラスに推移。しかし感染状況が落ち着いた秋以降は書籍・雑誌ともマイナスに転じた。
書籍の推定販売金額は前年比2・1%(143億円)増の6804億円で、プラスとなったのは06年以来。ベストセラーが多かった文芸書(約3%増)や児童書(約4%増)、教科書改訂で新刊が多かった中学学参(約7%増)などが好調だった。児童書では『総合百科事典ポプラディア第三版』(ポプラ社、全18巻セット)が本体価格12万円で発売され、金額ベースの上昇に影響した。
新刊点数は6万9052点で、同0・6%(444点)増となった。内訳は、取次仕入窓口経由が同0・4%減の4万7394点、注文扱いが同3・0%増の2万1658点。前年はコロナ禍で制作中止・延期が多く、点数が大幅に減少。21年は微減にとどまったが減少傾向が続く。新刊推定発行部数は同0・1%減の2億7836万冊。
販売・発行形態別に新刊点数と部数を見ると、児童書は点数が同3・5%増、部数が同5・4%増といずれも伸長。シリーズ物の学習漫画の創刊が相次いだことや、「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」シリーズ(偕成社)の新刊が15万部で刊行されるなど大部数の作品が増えたことが影響した。文庫本は、点数が同4・4%減、部数が同4・5%減と低迷が続いている。
出回り平均価格は、同3・3%(40円)増の1238円、新刊平均価格は同2・8%(34円)増の1241円だった。金額返品率は32・5%で同0・5ポイント改善した。32%台の数字は、90年代前半の水準。
雑誌の推定販売金額は同5・4%(300億円)減の5276億円。内訳は、月刊誌が同4・5%減の4451億円、週刊誌が同9・7%減の825億円。月刊誌の内訳をみると、定期誌は約7%減、ムックは約6%減、コミックス(単行本)は約1%減だった。定期誌は、前年にコロナ禍で続出した刊行延期や中止もなく、ほぼ通常通りに刊行されたが、休刊が相次ぎ、部数減少も歯止めがかからなかった。コミックスは、前年は『鬼滅の刃』(集英社)ブームで大幅な伸びを記録。21年前半も引き続き「鬼滅」や『呪術廻戦』(集英社)が好調、中盤はアニメや実写映画化された『東京卍リベンジャーズ』(講談社)がブレイクして高い売行きを示し、前年には及ばなかったものの微減にとどまった。
推定販売部数は同7・7%減の8億8069万冊。内訳は、月刊誌が同6・1%減の6億6794万冊、週刊誌は同12・3%減の2億1275万冊。平均価格は同2・4%(14円)増の605円。内訳は月刊誌が同1・8%(12円)増の674円、週刊誌が同3・1%(12円)増の400円。金額返品率は同1・2ポイント増の41・2%。内訳は月刊誌が同1・0ポイント増の40・5%、週刊誌が同2・3ポイント増の44・6%。月刊誌は3年連続で改善していたが、コミックスの減少により上昇に転じた。
創復刊点数は同10点減の33点と過去最少を更新した。休刊点数は同5点減の90点。『JJ』(光文社)、『Seventeen』(集英社)などの若年層向けから、『ミセス』(文化出版局)、『日本カメラ』(日本カメラ社)など中高年向けまで、メジャー誌の休刊が相次いだ。不定期誌の新刊点数は、増刊・別冊が同22点減の2953点、ムックは同413点減の6048点。1号を1点とした付録添付誌数は同469点減の9833点だった。
電子出版の市場規模は同18・6%増の4662億円。内訳は、電子コミック(コミック誌含む)が同20・3%増の4114億円、電子書籍が同12・0%増の449億円、電子雑誌が同10・1%減の99億円。コミックは、前年に巣ごもり需要で拡大したユーザーが離れず電子でマンガを読む習慣が定着、さらに新規ユーザーも増えた。書籍は、セールやキャンペーンでの販売が好調で、電子化を解禁する作家が増えて市場を牽引した。雑誌は、NTTドコモの定額制読み放題サービス「dマガジン」の会員数が減少を続け、4年連続の大幅減。
紙と電子の出版市場を合わせると1兆6742億円、同3・6%増。市場全体における電子出版の占有率は27・8%で同3・5ポイント増加した。

絵本専門士養成講座第9期受講生を募集

国立青少年教育振興機構は、絵本に関する高度な知識、技能や感性を備えた専門家を養成する第9期「絵本専門士養成講座」の受講生を募集している。
同講座は6月~23年1月まで実施。受講料6万5千円。定員70名(35名×2クラス)。募集締切3月4日、受講者決定5月中旬。申し込みは同機構ホームページの申込フォームから。
問い合わせは絵本専門士委員会事務局(同機構内)まで。℡03(6407)7714

中高生の読書推進に取り組む/兵庫組合新年互例会で森理事長

兵庫県書店商業組合は1月18日、新年互例会をZoomで開催し、書店、取次、出版社など約30名が参加した。新型コロナウイルスの状況に鑑み、昨年に続きオンライン形式での開催となった。
新年互例会は中島良太副理事長(三和書房)の司会で進行。安井唯善副理事長(安井書店)の開会の辞に続き、森忠延理事長(井戸書店)があいさつした。
森理事長は、年が明けてからの新型コロナウイルスの感染拡大に懸念を示したのち、書店の状況に言及。「昨年の前半はまずまずだったが、東京五輪が終了した辺りから売上が良くない。特にコミックは読者がかなりスマホで読む方に移行している印象で、なかなか売れない。書店の粗利が増えたらと期待しているが、日書連の粗利獲得運動もコロナ禍で動けない状況だ」と憂慮した。
続いて兵庫組合が進める事業について説明。「中高生の読書推進に取り組む。本にどっぷりつかってもらおうという事業で、中高生にも推薦本を挙げてもらっており、詳細は後日発表する。版元となかなか話ができない状況が続いており、教科書販売が落ち着いた5月以降にZoomを使って書店と話し合う場を設けたい。また、昨年コロナでできなかった絵本ワールドを開催したい」と述べた。
来賓としてあいさつした滋賀県書店商業組合・平井浩理事長(文平堂)は、滋賀組合の活動について、県中央会の補助で書店組合の名前が入ったトートバッグを製作し、組合員に配布して店頭活性化の一助としたと報告。また、東京組合がYouTubeチャンネルで書店の紹介動画を配信していることを参考に、傘下書店でも実施できないか検討していると語った。
大阪府書店商業組合・深田健治理事長(ブックスふかだ)は、大阪で実施している「本の帯創作コンクール」について触れ、「コロナで2年続けて会場で表彰式を開くことができず、非常に残念。今年は表彰式が実施できて子どもたちの笑顔が見られたらと願っている」と述べた。また、小学館の協力で実施する週刊誌2誌の定期分に対する販売協力金事業について説明し、「書店の30%マージン獲得へ進んでいく一段階になれば」と話した。
続いて、書店、取次、出版社が順番に新年あいさつを述べた。

日書連のうごき

1月4日事務局通常業務を開始。
1月12日書店新風会新年懇親会に矢幡会長が出席。
1月13日本の日実行員会に矢幡会長が出席。
1月14日悠々会新年会に矢幡会長が出席。
1月20日聖教新聞社訪問に矢幡会長が出席。JPO運営委員会(Zoom)に春井副会長が出席。読書推進補助費審査会に矢幡会長、春井副会長が出席。
1月24日組織委員会(Zoom)。
1月25日読書推進運動協議会常務理事会(Zoom)に矢幡会長が出席。
1月26日JPO運営幹事会(Zoom)に事務局が出席。文化産業信用組合理事会(Zoom)に矢幡会長が出席。
1月27日読書推進委員会(Zoom)。
1月28日JPIC特別委員会に春井、深田両副会長が出席。
1月31日日本図書普及取締役会(書面決議)に矢幡会長、藤原、春井両副会長が出席。

「春夏秋冬本屋です」/「作品に息づく希望の光絶やさず」/千葉・ときわ書房本店文芸書・文庫担当・宇田川拓也

今年1月、新刊『山狩』(光文社)発売のタイミングで、著者・笹本稜平氏が昨年11月に急逝されていたことが公にされた。
『天空への回廊』、『太平洋の薔薇』といったスケールの大きな国際謀略冒険小説で注目を集め、その後、山岳小説と警察小説の第一人者として不動の地位を確立。常に複数の連載を抱え、『春を背負って』、『越境捜査』、『駐在刑事』など映像化作品も多い人気作家であり、船橋の本屋に勤める筆者にとっては「地元の作家」として、とくに思い入れの強い存在だった。コロナが落ち着けば、またお目に掛かれるものと当たり前のように思っていたので、いまだその事実を受け入れられずにいる。
だが、途方に暮れてばかりもいられない。売り場を見渡せば、日本人に限らず、すでに存命ではない著者の作品も少なくないではないか。
「読んだひとのなかに希望が残るもの、こんな世のなかも捨てたもんじゃないと思える作品を書いていきたい」
そう口にされていた笹本氏は旅立たれてしまったが、これからもページをめくれば、作品を通じてその魂に触れることはできる。そのためには、売り場に商品を用意し、その機会を絶やさぬよう努めなければならない。
いま当店の笹本作品コーナーに、「追悼」の二文字はない。作品に込められた希望は色褪せることなく、今後も読者の心を照らし続けるのだから。

河出書房新社「伊能忠敬69プロジェクト」/書店マージン31%の拡販施策

河出書房新社は、立川志の輔の傑作落語「大河への道‐伊能忠敬物語」の文庫・小説版『大河への道』を3月7日に発売。また同書を原作とした映画が5月20日に全国公開されるのに合わせ、伊能忠敬の偉業や200年前に作成された地図の魅力をまとめた関連書を対象に、報奨で書店マージン31%を提供する販売施策『〝伊能忠敬69〈ロクキュー!〉プロジェクト〟』を実施する。
立川志の輔の新作落語「大河への道‐伊能忠敬物語」は、2011年の初演以来、「落語を超えた究極の話芸」と絶賛され再演を繰り返す人気演目で、河出文庫『大河への道』は、この新作落語から書き下ろされた小説版。落語の世界観や物語はそのままに、登場人物の心の機微を丁寧に活写する。5月20日には中井貴一主演の映画「大河への道」(中西健二監督)が全国公開される。
今回実施する拡販施策の「69」という言葉は、日本地図の測量時に伊能忠敬の1歩が約69㎝だったことにちなみ名付けており、正味69%とかけて、書店マージン31%を達成する施策とした。拡材には「忠敬さんの足形シール」もセットする。拡販対象銘柄は以下の通りで、報奨対象となる販売期間は3月4日~8月31日、申込み期間は2月22日まで。
〔拡販対象銘柄〕
◆新刊
①河出文庫『大河への道』(立川志の輔著・3月7日発売・本体680円・全面帯)
②単行本『伊能忠敬の古地図を歩く(仮)』(河出書房新社編集部編・4月中旬発売・本体1800円)
新刊販売報奨=実売本体価格の9%(下記A・Bいずれかのセットを申込みの書店限定)
◆Aセット/店頭用(既刊・4月22日搬入予定・4点16冊・セット本体1万9350円・4ヵ月延勘)
①文庫『伊能忠敬の日本地図』(本体990円)②文庫『伊能忠敬』(本体840円)各5冊
③『伊能図探検』(本体1600円)④『図説伊能忠敬の地図をよむ』(本体1800円)各3冊
拡材=A4パネル・足形シール・DVD・フリーペーパーなど
Aセット販売報奨=実売本体価格の9%
◆Bセット/店頭・外商用(既刊・4月22日搬入予定・3点9冊・セット本体13万1400円~14万4400円・4ヵ月延勘)
①『伊能図大全(全7巻)』(セット販売版または巻別版本体12万円~13万3000円)各1冊
②『日本200年地図』(本体9200円)③『伊能図探検(図書館版)』(本体2200円)各1冊
拡材=ポスター・パンフ・チラシほか
Bセット販売報奨=実売本体価格の11%

「マガジンハウス新書」創刊/雑誌的なアイデア活かす/第1弾は五木寛之氏、松浦弥太郎氏

マガジンハウスは1月27日、「マガジンハウス新書」を創刊した。第1弾は五木寛之『捨てない生きかた』と松浦弥太郎『新100のきほん松浦弥太郎のベーシックノート』(いずれも定価本体909円)。
「雑誌のような発想で『新書』をつくりました!」とうたい、情報の鮮度やデザインにもこだわり、雑誌的なアイデアで今を切り取る。エッセイからビジネス、健康、料理、スポーツ、カルチャーまで、日々の暮らしや仕事に役立つ、人生が豊かになる、知的好奇心を刺激する、マガジンハウスらしいポップでカジュアルな新書を目指すとしている。刊行サイクルは奇数月下旬。
『捨てない生きかた』は、五木寛之氏がマガジンハウス新書創刊のために書き下ろしたエッセイ。五木氏は「捨てない生活」を提案し、仏教の「捨てる思想/捨てない思想」や「この国が捨ててきたもの」まで語ることで、モノを捨てることがブームになっている現代社会に一石を投じる。何年も着ていない服、古い靴や鞄、本、小物……これらの愛着ある「ガラクタ」は人生の宝物であり、捨てなくていいとして、後半生の生活を豊かに生きるヒントを示す。
『新100のきほん』は、ベストセラー「きほんシリーズ」を初めて新書化したもの。「幸せを比べない。真似ることをしない」「こつこつと、貯めるのは信用」「自分のものにしない、預かる心で」「ひとつでも多く、人と人を結ぶものを」など、松浦氏が普段から意識している100項目と、仕事に関するきほん100項目に加え、新書化にあたり10のきほんを書き下ろした。

『下川明子創作人形写真集』

テレビ朝日系「徹子の部屋」のスタジオに飾られる人形の作者・与勇輝氏の弟子にあたる創作人形作家下川明子氏の作品をまとめた写真集が発売された。自然環境復元機構研究所発行。定価本体2300円。

12月期販売額は10・2%減/前年「鬼滅」人気の反動で大幅減/出版科研調べ

出版科学研究所調べの12月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比10・2%減となった。内訳をみると、書籍は同2・0%減、雑誌は同17・8%減。雑誌は9月期より4ヵ月連続で2桁マイナスとなった。雑誌の内訳は、月刊誌が同18・4%減、週刊誌が同14・0%減。月刊誌は、前年同月に『鬼滅の刃』の最終巻23巻が初版395万部で発行され、『呪術廻戦』(いずれも集英社)とともに全巻が爆発的に売れていたため、2割近いマイナスとなった。週刊誌は各誌部数減と返品増が続き、非常に厳しい状況。
返品率は、書籍が同0・1ポイント増の30・0%、雑誌が同2・8ポイント増の38・5%。内訳は月刊誌が同3・0ポイント増の37・2%、週刊誌が同1・4ポイント増の46・2%。
書店店頭の売上げは、書籍が約3%減。児童書は約5%増と好調で、「かいけつゾロリ」(ポプラ社)、「パンどろぼう」(KADOKAWA)などの人気シリーズが寄与した。
雑誌の売上げは、定期誌が約9%減、ムックが約2%減、コミックスが約30%減。コミックスは前年同月に「鬼滅」「呪術」が大ブレイクしていた反動で大幅な減少となった。

図書標準達成、計画的な図書更新等/第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」

文部科学省は1月24日、第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」を策定した。対象期間は2022年度から2026年度。同計画は、公立小中学校等学校図書館における学校図書館図書標準の達成、計画的な図書の更新、新聞の複数紙配備、学校司書の配置拡充が図られることを目的としており、地方財政措置として5か年で単年度480億円/総額2400億円が措置される。内訳は次の通り。
▽学校図書館図書の整備=単年度199億円/総額995億円(不足冊数分は単年度39億円/総額195億円、更新冊数分は単年度160億円/総額800億円)
▽学校図書館への新聞配備=単年度38億円/総額190億円
▽学校司書の配置=単年度243億円/総額1215億円
なお、5次(2017年~2021年)は総額2350億円で、内訳は図書整備費が総額1100億円、新聞配備費が総額150億円、司書配置費が1100億円だった。
学校図書館の現状として、学校図書館図書標準達成校の割合は、2015年から2019年まで小学校で66・4%→71・2%、中学校で55・3%→61・1%と増加しているが、刊行後時間の経過とともに最新の情報を記載していない古い図書が保有されている状況。また、選定基準・廃棄規準の策定率は半数程度に留まっており、計画的な整備が進展していない要因となっている。
第6次計画では、2022年度からの5年間で、すべての小中学校等で学校図書館図書標準の達成を目指す。そのため、新たな図書の整備に加え、児童生徒が正しい情報に触れる環境整備等の観点から、図書の廃棄・更新を進めるための選定基準・廃棄規準を策定し、古くなった本を新しく買い替えることを促進する。

「BooksPRO」の勉強会を開催/効果的な活用法学ぶ/愛知組合

愛知県書店商業組合は1月12日、名古屋市中村区のウィンクあいちで、書店向け出版情報ポータルサイト「BooksPRO」の勉強会を開催。書店18名、取次6名、出版社1名、計25名が出席し、「BooksPRO」の概要と活用法を学んだ。講師は日本出版インフラセンター(JPO)・渡辺政信専務理事、同・落合早苗特別委員、日本雑誌協会販売委員会・井上直副委員長が務めた。
「使いやすく進化してきたBooksPRO」と題して話した渡辺氏は、現在、出版社2304社、書籍232万4335件、電子書籍36万6128件、雑誌8302件の登録があり、新刊の95%以上が登録されていると説明。大手のネット書店やリアル書店もここから情報を得ているので情報の早さの条件は同じであることや、日本一早い書籍の情報サイトと評価されていることを紹介した。
落合氏は「BooksPRO効果的な活用法」について、ログインから始まる実際の利用の仕方を説明した。
井上氏は「BooksPRO雑誌詳細情報の新規表示について」と題して、約2年間にわたり書店から意見を聞き、雑誌やムックについての情報がなくて困っているとの声から作り上げていったと説明。店頭で客から問い合わせがあった時に調べられるよう、付録についての問い合わせにも対応できるよう登録を進めていったという。表紙違い、付録違いもすべて登録してもらっていると説明した。
質疑応答では、書店3名が質問と要望を述べた。
なお、勉強会終了後に予定していた新春賀詞交歓会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止した。(近藤五三六広報委員)

『認知症にならない29の習慣』著者鎌田實氏「徹子の部屋」出演で8刷決定/朝日出版社

朝日出版社は2月8日、2020年5月に発売されてから多くの媒体で紹介されて売行き好調の鎌田實『図解鎌田實医師が実践している認知症にならない29の習慣』(定価税込1408円)の8刷重版を決定した。
鎌田氏は同日放送された黒柳徹子さんのトーク番組「徹子の部屋」(テレビ朝日系)に出演し、コロナ禍を元気に過ごす秘訣や認知機能を鍛える運動法を紹介。著書が取り上げられた。
同書は、医師である鎌田氏が、認知機能を健全に保つにはどうしたらいいのか、自身の生活習慣を見直した経験から実践していることをまとめた1冊。

「竿燈まつり」ブックカバー・しおり/秋田市支部が作成/市内7店舗で配布

秋田県書店商業組合の秋田市支部(仮称)はこのほど、秋田市の「地域中小企業団体等支援事業」を活用し、東北三大まつりのひとつにも数えられている夏の風物詩「秋田竿燈まつり」をデザインしたブックカバーとしおりを作成した。秋田市支部所属の石川書店、加賀谷書店東通店・茨島店、ひらのや書店、TSUTAYA広面店・仁井田店・中野店の7店舗で書籍購入者に配布している。
「地域中小企業団体等支援事業」は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた秋田市内の各業界・業種を代表する団体に対し、今後の業界・業種全体の業績改善などに向けた支援を行うイベント開催事業等の費用を補助するもの。
「本を読んで秋田を盛り上げよう!」という思いで作ったブックカバーとしおりは、秋田色あふれるデザインが好評だ。(石川信広報委員)

講談社「with」雑誌は適時刊行へ/ウェブ事業を中核に

講談社は1月18日、女性月刊誌「with」を3月28日発売の5月号で、定期刊行から適時刊行に変更すると発表した。
今後はウェブサイト「withonline」を軸に、紙版に加え、ユーザーのライフスタイルに寄り添った次世代の事業モデルの構築を目指す。
同社は、創刊から40年間培ってきた「高い企画力」「キャスティング力・著者発掘力」「読者に寄り添えるコミュニティ醸成力」を基盤に、「今後も紙とデジタルでクォリティの高いコンテンツを届ける」としている。

「猫の日」のプレゼントにも/金の星社、絵本『ねこのラーメンやさん』発売

2022年2月22日は今世紀で最も「2」が揃う「猫の日」――金の星社は、この記念すべき日に先駆けて2月1日、絵本『ねこのラーメンやさん』を発売した。KORIRI作・絵。24・6×21・5㌢、24ページ、定価1430円(税込)。
この絵本は、グッズ展開でも人気「世にも不思議な猫世界」からの、『ねこのようしょくやさん』に続く絵本化第2弾。今回の舞台は、町で人気のラーメンやさん。個性的な三毛柄とおしゃれな蝶ネクタイがトレードマークの猫・マオさんが、かつおだしを使ったこだわりのラーメンを作っている。猫好きへのプレゼントにもピッタリなユーモア絵本。

「春の読者還元祭2022」実施要項

▽名称日書連主催「春の読者還元祭2022」
▽実施期間2022年4月20日(水)より5月5日(木)まで(読者応募は5月19日(木)まで有効)
▽参加資格日書連傘下組合加盟書店及び希望する書店
▽実施方法書籍・雑誌を一定金額(目安:税込500円)購入した読者や外商先に「キャンペーンしおり」または「雑誌カード」を進呈。掲載のQRコードから読者によるキャンペーン応募が必要
▽配布物「キャンペーンしおり」(1種類150枚)と「雑誌カード」(A5サイズ150枚)、店頭ポスター(A3)を封入したセットを、希望書店に1セット3300円(税込)で頒布。同封の店頭ポスターはキャンペーン告知用。QRコード掲載の応募ポスターは作成しない
▽申込方法と締切自主的な申込制。2月中旬に送付する注文ハガキに申込セット数を記入し、所属都道府県組合宛に申し込む。実施書店を告知するため、複数店舗分申込の場合はそれぞれの書店(支店)名を記入する。申込締切は3月1日(火)
▽納品方法と請求方法取引取次経由で4月中旬までに納品。代金は取引取次より請求
▽賞品総額300万円
「図書カードネットギフト」1000円3000本
当選者には、日本図書普及より直接、図書カードネットギフト1000円分を7月初旬までにメールで送信する
▽報奨金制度「しおり」を購入して150件以上応募者を集めた組合加盟書店に報奨金3300円(税込)を支払う(購入セット数に関わらず上限3300円。同日内の重複応募は1件と数える)
▽全組合加盟書店への「しおり」配布店頭活性化の一環として、全組合加盟書店にキャンペーンしおり20枚を4月下旬までに直送する。この20枚に対する費用は別途発生しない。なお、雑誌カードの配布はない
▽広報活動全国書店新聞に実施要項を掲載。日書連ホームページ(https://www.n-shoten.jp/)、公式Twitter(@shotenmatsuri)で告知。宣伝用ポスターは日書連ホームページよりダウンロードできる

日販・全国書店員が選んだおすすめコミック/第1位は龍幸伸「ダンダダン」

日本出版販売(日販)は1月27日、「全国書店員が選んだおすすめコミック2022」「出版社コミック担当が選んだおすすめコミック2022」のランキングを発表し、1月28日より取引書店約1300店で店頭フェアを開催している。
書店員の目利きでおすすめコミックを一般読者に伝えることを目的に、2006年より実施している「全国書店員が選んだおすすめコミック」。17回目の今回は約1000名の書店員によるアンケートの結果、「ダンダダン」(龍幸伸/集英社)が1位に輝いた。
「ダンダダン」は「悔しいけどおもしろい他社作品」を出版社のコミック編集・販売担当者に募った「出版社コミック担当者が選んだおすすめコミック」でも1位を獲得した。
さらに、KDDIのauスマートパスプレミアムと連動し、多くのauスマートパスプレミアムユーザーに読まれた人気作品を、特別賞「auスマートパスプレミアム賞」として新設。第1回は「サレタガワのブルー」(セモトちか/集英社)が受賞した。
[全国書店員が選んだおすすめコミック]
①「ダンダダン」(龍幸伸/集英社)②「怪獣8号」(松本直也/集英社)③「WINDBREAKER」(にいさとる/講談社)④「アオのハコ」(三浦糀/集英社)⑤「チ。―地球の運動について―」(魚豊/小学館)⑥「SAKAMOTODAYS」(鈴木祐斗/集英社)⑦「ウマ娘シンデレラグレイ」(漫画・久住太陽原作・Cygames脚本・杉浦理史漫画企画構成・伊藤隼之介/集英社)⑧「逃げ上手の若君」(松井優征/集英社)⑨「女の園の星」(和山やま/祥伝社)⑩「九条の大罪」(真鍋昌平/小学館)⑪「僕とロボコ」(宮崎周平/集英社)⑫「メダリスト」(つるまいかだ/講談社)⑬「合コンに行ったら女がいなかった話」(蒼川なな/スクウェア・エニックス)⑭「虎鶫とらつぐみ-TSUGUMIPROJECT-」(ippatu/講談社)⑮「ブルータル殺人警察官の告白」(原作・古賀慶作画・伊澤了/竹書房)

芥川賞は砂川文次氏、直木賞は今村翔吾氏と米澤穂信氏/今村氏、書店応援を計画「47都道府県まわる」

第166回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が1月19日、東京・築地「新喜楽」で開かれ、芥川賞に砂川文次氏の「ブラックボックス」(群像8月号)、直木賞に書店経営も行う異色の作家今村翔吾氏の「塞王の楯」(集英社)と米澤穂信氏の「黒牢城」(KADOKAWA)が選ばれた。同日都内で行われた記者会見で、今村氏は「受賞の報を受けた時、まさか自分が泣くとは思っていなかったが、号泣してしまった」と感無量の表情で喜びを語った。
今村氏は京都府加茂町(現・木津川市)生まれ、滋賀県大津市在住の37歳。ダンスインストラクター、作曲家、守山市埋蔵文化財調査員を経て、2017年に『火喰鳥羽州ぼろ鳶組』で作家デビュー。2018年に同作で歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞を受賞した。直木賞は3回目の候補での受賞となった。
会見場に人力車で駆け付けたという今村氏。直木賞への思いについて「野球少年がイチロー選手みたいに首位打者をとりたいとか、ゴールデングラブ賞をとりたいとか、純粋にただそれだけ。僕は池波正太郎先生から始まったので、池波先生もとっている憧れの賞だった」と語り、「30歳になって初めて小説を書き始めた時、当時勤めていたダンススクールの子どもたちに『30歳になっても夢はかなう』と直木賞受賞を公言していた。子どもたちの思いを裏切らずに済んで安堵した」と号泣の理由を説明した。
そして昨年11月、廃業の危機にあった大阪府箕面市の街の書店「きのしたブックセンター」の経営を引き継いだことに触れ、「書店のために何かできないかと考えている。コロナ禍でなければ、この会見場からそのまま47都道府県の書店を行脚しようと思っていた。そのための車ももう買ってある」と明かし、「今は難しいが、全国を3ヵ月ぐらいかけて一筆書きでまわりたい。書店を応援していくようなことを計画している。『翔吾、来てくれ』と呼ばれれば、出来る限りうかがう。もちろんボランティアで行かせていただく」と述べ、約束は必ず守ると力を込めた。なお、今村氏が経営する「きのしたブックセンター」は大阪府書店商業組合に加盟している。
米澤穂信氏は岐阜県出身で43歳。2001年『氷菓』で角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、作家デビュー。直木賞は3回目の候補での受賞となった。
米澤氏は「これからどういう小説を書くことになるか分からないが、ミステリーが自分にとっての大きな軸足であり柱であることは一生変わらない」と述べ、さらに「私は岐阜県の飛騨の生まれ。飛騨は江戸時代に幕府領だったが、どうして飛騨が幕府領なのかがとても疑問だった。学校の先生から『飛騨は材木が採れたからだよ』と教わったが、後になってますます疑問が深まっていった。自分の生まれ育った場所のことをもっと知りたいと調べた経験は、自分が小説を書く最も基礎的な姿勢になっている」と作家としての姿勢について話した。
芥川賞を受賞した砂川氏は大阪府生まれの31歳。大学卒業後に自衛官になり、現在は地方公務員。2016年に『市街戦』で作家デビューし、文學界新人賞を受賞。芥川賞は3回目の候補での受賞となった。
これまでメディアなどに登場する機会があまりなかったという砂川氏は、「正直まだよく分かっていないまま、あれよあれよという形でここに来ているので、困っている。多くの人に読まれたらいいなとは思っているが、読まれているというリアルな実感は正直感じていない。だから、こういう機会をいただけたことはありがたく思っている」と率直な気持ちを語った。
作品で掘り下げたいことについてはシンプルに「人です」と述べた。