全国書店新聞
             

平成20年1月21日号

中学生への読書ガイド/熊本NPOが第2弾刊行

昨年4月、熊本県書店商業組合は中学生向き推薦図書『お~い中学生!本はよかバイ。』を刊行したが、この刊行をきっかけに作家、出版・教育関係者らで「NPO法人本はよかバイ」(廣瀬賜代理事長)が結成され、中学生向け読書ガイド第2弾『本はよかバイお~い読まんね!』が刊行された。A5判96頁、定価630円。
「自分の世界を広げる」「熊本の?がわかる」「人間の強さを知る」など多様な角度から132点の推薦図書を紹介。作家・山本一力氏が水俣市で行った講演も収録するほか、熊本出身の大学教授、映画監督、地元放送局のアナウンサーらによる読書エッセーを多数収録。「氾濫する情報や錯綜する価値観の中で、普遍的な何かを静かに伝えられたら」と熊本組合長崎晴作理事長。同ガイドは熊本県下全小中高校のクラスに寄贈される。

売上げ913万円/書協ネットフェア

書協が昨年10月12日から12月12日まで実施した第9回期間限定・謝恩価格本ネット販売フェアの結果が発表された。
今回は107社が参加。出品点数は1483点と過去最多。売上冊数は6734冊、売上金額は676万611円だった。販売サイトへのアクセス数は3万3906件。
期間中、10月27日・28日の両日行われた「子どもの本フェスタinおおさか」で120冊、10万6千円を販売。ブックハウス神保町はネットフェア期間中、出品図書の常設販売を行い、2248冊、226万5600円を販売。これらを合計すると9102冊、913万2178円を販売したことになる。

読書推進追い風に活動/東京新年会で大橋会長

東京都書店商業組合は1月17日午後5時半から文京区・東京ドームホテルで平成20年度新年懇親会を開催、出版社、取次、業界関係者と組合員合わせて310名が出席した。懇親会では大橋理事長が読書推進をフォローの風に不況を乗り切ろうとあいさつしたほか、小学館相賀社長、書協小峰理事長らが祝辞を述べた。
懇親会は東京組合福田亜夫厚生委員長(野方書店)の司会で進行。柴﨑繁実行委員長は開会の辞で「地球温暖化でマナスルの氷河がどんどん融けている一方、アフリカでは一滴の水もなく困っている。出版業界にあてはめると、売場面積は拡大しているが、読者が増えているわけではない。読者は最寄の書店に足を運ぶわけで、なんとか1対1の商売ができる流通をつくってもらいたい。出版社、取次とともに知恵を出し合っていこう」と呼びかけた。
大橋信夫理事長は新年のあいさつで「出版業界が厳しいことは百も承知だが、厳しい、厳しいと言っていても何も始まらない」と前置きし、朝の10分間読書、ブックスタートはじめ、読書推進運動の広がりは出版業界にフォローの風と指摘。東北大学川島隆太教授がアルツハイマー病の治療に本の音読が効果があると述べたことを紹介して「声を出して本を読むことは前頭前野の動きを活発にする。特老に入っていた年寄りが音読で症状が改善して退院できた。そういうことを大いに言っていき、売上げを増やす材料にしていきたい」と、読書推進運動の必要性を訴えた。
出版社を代表して小学館相賀昌宏社長は江戸時代の出版業界の黎明期に触れ、「1600年頃、京都で始まった出版活動が大阪、江戸へ拡がっていったが、江戸では出版物が不足して貸本屋が七、八百あった。それらの貸本屋が読者の要望を版元に伝え、出版が拡大していった。当時の本屋は新本のほか貸本も扱っていた。翻って現在のシステム自体は60年ほどの歴史で、これが終着点ではない。このシステムがずっと続くと思い込みすぎていては、新しい動きに対応できない。現在、新古書店は2千店、コミックレンタル店は7百店あり、新しい読者も育っている。郊外型チェーン、ショッピングセンター・モール店の売上げは3600億円、ネット書店も1千億円を販売して伸びている。異業種からも売れている要因を学び、市場の変化に対応していかなければならない。変化は秩序を乱すとか、冷ややかな目があるが、現在の状態がこのまま続くとは思えない。厳しい時代だからこそ、変えられる。一歩踏み込んで、新しい世界を切り開く勇気をもつ年にしたい」と今年の課題を述べた。
続いて書協小峰紀雄理事長は「内外ともに時代の空気は重いが、歴史を振り返ると出版業界は苦しい時代の方が長かった。文字・活字文化振興法が成立し、推進機構も出来た。時代の波に負けず読書を推進していくことが希望につながる。協力して頑張りましょう」とあいさつ。文藝春秋名女川勝彦取締役は雑協が作成した『これで雑誌が売れる』をPRした。
乾杯は栗田出版販売郷田照雄社長が「出版業界の課題を一つずつ立て直し、書店が生き残り、立ち直っていく年にしていこう」と述べ、乾杯の音頭をとった。

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

年明けの出版業界は衝撃の連続と言ってよいでしょう。新風舎、草思社と有名出版社が連続して民事再生法適用申請。前者は自費出版商法が裁判沙汰になり自業自得の面もありますが、絵本や文庫などちゃんとした本も出しています。後者にはびっくりとしか言えない。私の年代では『マザー・グース』が思い浮かぶのですが、堅実にヒット作、話題作がありました。ここ数年は〝右寄り本〟が気になっていましたが、そんなのが好きな編集者がいるんだろうとしか思っていませんでした。取次会社からのファックスを見てあわてて電話したら、新米時代からのなじみE氏が出てくれ、その日出社して知ったとか。2月中に再建計画をまとめ、3月末か4月には再スタートしたいとの事。私には何もできない。本を売るだけです。励ましのことばも出ない、言えない。再開の連絡を待つと言うのがやっと。取次のファックスはいつものように、「これこれは返品可」。「ハイ、つぶれた、おしまい」か?後日、「委託期限まで販売を」というお願いが来た。もう一歩踏み込んで「永年の取引を考慮し再建の支援をするので安心して販売してくれ」と言っておくれ。再建できたら正常な取引が可能になるのですから。
お次はめでたい話。昨秋からこっち(関西)担当になったH凡社のS氏、春にご結婚。お相手をきいて、私、持った注文書バッタと落とし、というより床に放り投げ「もう全部返品したるー」と叫んでしまいました。こっちの大学出版会の美女を攫っていくのです。彼女の前任者もあっち(東京)の荒くれに連れて行かれたそうで、「あんたら、何しに来てんねん?」。こっちの出版界をどうするつもり?死んだオババが箱根の向こうには野人が住んどると言うとったが、ホンマやった。そのうえ、I波書店の美女Kさんが異動になります。『広辞苑』の机上版が満数入荷せぬことより、この話の方が書店には大打撃です。こっちの書店員はしばらく立ち直れない。そういえば、呑み仲間P出版のK氏も異動とか。この人はすぐにこっちに帰って来るでしょうからいいでしょう。
レジでお客さまに「しょうもないこと言うていいですか?」と声を。怪訝そうな彼女に「お買いの本に海文堂がのっています。アホ面が並んでます」と言ったら、ニッコリしてくださいました。隣にいたバイト君たち、あとから「仏の平野さんがイチャモン言うんかと思いました」。人を引退間近の職人刑事がグレたみたいに言うな。普段無口な私ですが、レジでは愛想いいつもりです。

「愛知モデル」の構築スタート/愛知新春賀詞交歓会

愛知県書店商業組合(谷口正明理事長)は1月11日、名古屋市千種区の愛知厚生年金会館で新春賀詞交歓会を開催。組合員69名(昨年より15名増加)をはじめ出版社、取次など総勢143名が出席した。
冒頭、谷口理事長は「書店をやっていてよかった」「愛知にいてよかった」と思える環境を作り、「愛知モデル」の構築をスタートさせたいと熱く語った。また、支部運営委員会で支部の活性化を進めると説明した。
このあと、トーハン名古屋支店の鵜澤営業部長が「元気を出して頑張りましょう」と乾杯の音頭をとって宴に入った。
今年の懇親会の目玉企画として、ジャズ・シンガーによる歌と生演奏のミニ・ライヴが会場を大いに盛り上げ、参加者全員の笑顔あふれる組合行事になった。(榊原壮一広報委員)

読書人口増加へ取り組み推進/京都新年互礼会

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は1月8日午後4時半から京都市中京区の京都ホテルオークラで「平成20年京都出版業界新年互礼会」を開催した。出版社、取次、書店が一堂に集うこの会は、京都業界の新春の恒例行事となっているもので、新年早々の慌しい時期にもかかわらず、京都はもとより近県からも広く関係者が集まり、総勢約180名が出席した。
司会はトーハンの岡本典男京都支店取引総務グループマネージャーがつとめ、はじめに中村理事長があいさつ。新春の詞に続いて、今回の参加者が昨年に比べ増加したことを報告、関係者各位へ感謝の意を述べた。また、「京都組合でも組合員数の減少は続いているが、当組合では学校図書館のIT化をはじめ、組合が出来ることを考えて実施してきた。学校で朝の読書が定着しつつある今こそ、学校と書店がさらに連携することが必要で、組合としては読書人口を増加させる活動に積極的に取り組みたい。これからも組合加盟書店の発展繁栄を目的に活動していくので、理解と協力を賜りたい」と述べた。
トーハンの近藤敏貴常務が乾杯の発声。「若者言葉『KY(空気が読めない)』がマスコミで取り上げられ流行語大賞の候補にもなったが、出版不況の現状では空気を読んでいる場合ではない。周りを気にせず、不恰好でもチャレンジ精神で望むことが必要。『KY』という言葉も『京都を良くする』意として、京都から出版業界が繁栄することを望む」と話した。
続いて来賓の京都市前教育長・門川大作氏があいさつ。京都市内の市立小中学校全校で図書館IT化が今年度までに完了したことについて、尽力した京都組合に感謝の念を示すとともに、読書の大切さに触れて「これからは行政と書店が一体となって読書推進に向けた取り組みを行うことが重要」と述べた。
最後に日本書籍出版協会京都支部の京極迪宏支部長(学芸出版社)が「文字・活字文化の振興を」と訴え、一本締めで盛況のうちに終宴した。
(澤田直哉広報委員)

本音でしなやかに不況乗り切る/大阪新年互礼会

大阪出版業界新年互礼会は1月9日午後3時から大阪市北区のホテルグランヴィア大阪で開かれ、出版社、取次、書店など業界関係者約150名が出席した。
会は大阪府書店商業組合・石尾義彦副理事長の司会進行で始まり、面屋龍延理事長が新年あいさつ。発行されたばかりの大阪組合『組合だより』1月1日号を掲げながら、「巻頭記事にもあるように、大阪組合では全国でも珍しく4人の女性理事が活躍している」と強調。その上で、「女性は不況を日常生活の中で捉えており、特別視していない。どんな状況であろうとも、これと思う新刊や企画ものは一定部数売る。世間話の中で読者に届ける繋がりがある。これに学んで、今年は建て前にこだわらず、本音でしなやかに不況を乗り切ろうではありませんか」と呼びかけた。さらに、「業界の課題である『本の帯創作コンクール』などの読書推進運動を引き続き強力に推進していく」と決意を表明して、業界関係者に協力を要請した。
乾杯の発声はトーハン・近藤敏貴常務が行った。近藤常務は年末年始の業績に言及し、相変わらず返品率に改善が見られないとし、出版社をピッチャー、取次をキャッチャー、書店をバッターに譬えて、「業界発展のためには業界三者の緊密なる連携が必要」と訴えた。
1時間半ほどの歓談のあと、日販・鎌谷照夫常務の発声で賑やかに「大阪締め」での閉会となった。
(中島俊彦広報委員)

北から南から

◇長野県書店商業組合「組合創立百周年記念式典・祝賀会」
2月20日(水)、上山田温泉・ホテル清風園で開催。日書連・大橋会長、大川専務理事をはじめ北海道、愛知、新潟、石川、福井、福岡、沖縄などの各組合、また出版社30数社、取次などが出席予定。翌21日(木)は記念観光として北向き観音、前山寺、川中島古戦場、国宝善光寺、東山魁夷美術館などを見学する。(高嶋雄一広報委員)

わが社のイチオシ企画/マガジンハウス・宣伝事業部・原田ひとみ

昨年9月に3点を先行発売し、ご好評をいただきました「クロワッサンちゃんと役立つ実用の本シリーズ」ですが、いよいよ1月31日、強力新刊6点を同時発売し、本格スタートの運びとなりました。
カジュアルなA5判並製の本シリーズは、弊社の代表的女性誌「クロワッサン」の人気企画、売れ筋の「クロワッサン・ムック」のエッセンスがぎゅっと詰まった実用書です。ちゃんと使える、ちゃんと役立つ、ちゃんとわかる。「クロワッサン」の歴史が培った実用性と、美しいビジュアルを両立させた、まったく新しい実用書です。
既刊3点は40~50代のクロワッサン読者はもちろんのこと、基本的な実用情報を求める若い女性、さらには男性にも強くアピール、今までの実用書にはみられない読者の動きが話題となりました。今回の6点は、旅、料理、家事、東洋医学など売れ筋のテーマがズラリ。今後も衣食住にまつわる人気企画を発刊する予定ですので、ぜひ実用書や女性書コーナーでの長期販売をお願いいたします。
今回の本格スタートにあたって、弊社では書店様向けの販売報奨もご準備しました。自社女性誌や全国紙、ブロック紙への広告掲載、読者向けプレゼント企画などで、認知度アップを強力サポートいたします。実用書コーナーでの平積み、ワゴン展開、雑誌「クロワッサン」との並列販売など、皆様のお力添えをいただきますよう、よろしくお願いいたします。

二玄社に梓会出版文化賞/特別賞は教文館と地人書館

第23回梓会出版文化賞は二玄社、特別賞は教文館と地人書館、第4回出版梓会新聞社学芸文化賞はリトルモアに決まり、1月17日午後5時半から東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で贈呈式が開かれた。
この賞は年間5点以上の出版活動を10年以上にわたって継続している出版社を対象に、年間を通してすぐれた書籍を発行している出版社を顕彰するもの。各出版社からの自薦図書と『出版ダイジェスト』読者から寄せられた推薦図書をもとに選考している。
贈呈式では出版梓会の大坪嘉春理事長があいさつ。「梓会出版文化賞のユニークなところは、出版社の出版活動に対して賞を与えているところ。受賞各社はいずれも質の高い出版活動を行っている。今後も出版文化の向上に寄与していただきたい」と話した。
続いて選考委員を代表して植田康夫氏が選考経過を報告。本賞を受賞した二玄社について「1953年に現会長の渡邉隆男氏が出版業を営むために独立し、創業時から書に関する本を柱に出版活動を行ってきた。昨年3月、創業50周年を記念して出版活動の総決算として『大書源』を刊行した。書体事典の決定版と言うべきもので、その質の高さを評価して本賞を授与することにした」と述べた。
このあと大坪理事長が受賞各社に記念品と副賞を贈呈。二玄社の渡邉隆男会長は「創業時から書道に惚れ込んで出版活動を続けてきた。気の長い地道な仕事だが、出版とは本来そういうもの。面白いからこそ続けることができた。私は白水社の寺村さんに育てていただいた。『専門出版社は高いと言われて一人前。高い本を出しなさい。その利益を次の本作りに回し、読者を開拓する。地道にコツコツやるように』と言われた。これからも肝に銘じていきたい」と喜びを語った。

わが社のイチオシ企画/河出書房新社・営業第二部・諸橋実生

2007年5月に刊行開始した「14歳の世渡り術」シリーズ。より実践的な新しいYAシリーズが誕生しました。これまで、鏡リュウジ『「占い脳」でかしこく生きる』、井筒和幸『民族の壁どついたる!』、雨宮処凛『右翼と左翼はどうちがう?』、橋下徹『どうして君は友だちがいないのか』、宮嶋茂樹『不肖・宮嶋メディアのウソ、教えたる!』と刊行し、誰もが気になるテーマを、豪華な執筆陣が優しく指南していくという書き下ろしシリーズです。
今年はさらにパワーアップ。3月には辛酸なめ子が「女子」をテーマに、4月はk.m.p.が「大人」を、5月は森達也が「神様」を、そして6月にはあさのあつこが「いじめ」をテーマに刊行予定です。いずれもベースとなる読者層は、中高生の男女と10~30代の女性ですが、テーマによってはその親の層も狙えます。
創刊1周年を記念して、5~6月には新刊と連動したフェアをご提案する予定です。店頭拡材等もご用意いたしますので、是非とも大きくご展開下さい。

参考図書/雑誌売場の成功事例を紹介/雑協が冊子を作成

雑協が創立50周年記念事業の一環として取りまとめていた冊子「これで雑誌が売れる!雑誌売り名人が明かす秘訣と工夫」が発行された。
日書連、取協が協力し、雑誌売場での実践・工夫を収集したもので、具体的な成功事例を5部構成で紹介。定期購読キャンペーン全国トップの2書店の秘訣や、本の学校出版産業シンポジウム2007で行なわれた「雑誌売り上げを伸ばす書店経営」も収録した。表紙と本文イラストは『暴れん坊本屋さん』で知られる漫画家・久世番子さんが担当している。
▽内容=①店頭作り・雑誌陳列・付録の見せ方―は基本の基本②POP作り・仕掛け販売・変わった陳列―の楽しさ③追加注文とバックヤード作業―スタッフ同士の情報共有④分冊百科・ムックフェア・コミック―ワザを駆使すると宝の山⑤外商、定期購読の拡大―筋肉質の「町の本屋さん」は情報発信基地
冊子を希望する場合は「雑誌売り伸ばしプロジェクト」のブログ(http://j-magazine.weblogs.jp/blog/)の受付フォームから申し込める(配布無料)。

「声」/五十四年の本屋生活に別れ/西東京市・小林書店・小林偉査史

私鉄沿線西武柳沢の駅前で50年、とうとう閉店することに致しました。
齢七十一歳、私は残りの人生を女房と二人で暇を作ってみたいと昨年夏頃から決め、残すところ2カ月余りになってしまいました。
かつて駅周辺に4軒もあった書店も、1軒もなくなってしまうことになります。お客様はもとより商店街の仲間からも、商店街の形態としても本屋もない街はさびしい限りでなんとか後継者を、との声を聞きましたが、小さい生業の本屋を継ぐ気もない息子、閉店後もこの地で生活する私にとって責任さえ感じるようになってしまいました。
以前でしたらこのようなちいさな店でも充分生活ができたのに、活字離れ等諸々の事情でだんだん難しくなっていく昨今です。でも、最低の生活でも本が好きでやってみたいなあと言う勇気のある人が現れたら良いなあと思ったりもしております。
五十余年に及ぶ本屋生活、楽しく本当に良かったと思っております。お世話になった書店の仲間、出版社の方々、栗田出版販売の方々、心から御礼申し上げます。
これからも活字文化を守って頑張って行かれることを願っております。有難うございました。

人気絵本25冊を集計/おはなしマラソン

日販は昨年秋の読書週間に合わせて全国213の取引書店で読み聞かせ会を一斉開催するキャンペーンを展開したが、合計で子ども3021人、大人1477人、合計4498人の参加があったことが明らかになった。おはなしマラソンの開催は昨年12月末までに参加書店648店、参加者は子ども5万6456人、大人3万806人、合計8万7262人となった。
開催後に参加書店から行ったアンケートの結果、読み聞かせ会で人気があった絵本25冊が以下の通りまとまった。「おはなしマラソン」
人気があった絵本25冊
『アンパンマンシリーズ』フレーベル館、『いいからいいから』絵本館、『いないいないばあ』童心社、『うえきばちです』ブロンズ新社、『うんちっち』PHP研究所、『おおきなかぶ』福音館書店、『おまえうまそうだな』ポプラ社、『からすのパンやさん』偕成社、『きんぎょがにげた』福音館書店、『ぐりとぐら』福音館書店、『さつまのおいも』童心社、『三びきのやぎのがらがらどん』福音館書店、『11ぴきのねこのシリーズ』こぐま社、『14ひきのシリーズ』童心社、『そらまめくんのベッド』福音館書店、『ともだちや』偕成社、『どうぞのいす』ひさかたチャイルド、『はらペこあおむし』偕成社、『パパ、お月さまとって!』偕成社、『100万回生きたねこ』講談社、『ぴょーん』ポプラ社、『へんしんシリーズ』金の星社、『もったいないばあさん』講談社、『やさいのおなか』福音館書店、『わんばくだんシリーズ』ひさかたチャイルド

本業の建て直しを強調/大正7年創業から90周年/栗田

「おかげさまで90年栗田はお客様とともに歩みます」をキャッチフレーズに栗田新春あいさつの会が11日午前11時から本社新物流センター4階大ホールで開催され、出版社、書店合わせて581社、1021名が出席した。
鏡開きで郷田照雄社長は「大正7年、栗田確也がたった1冊の新刊見本で創業してから90年。この間、関東大震災、敗戦と困難はあったが、存続できたのは取引先の支援の賜物。一昨年は若手・中堅社員を登用する、昨年は本業を全うするとお話した。今年も書店とともに本業を立て直したい。KINSパート5はお試し期間を設け、雑誌は年間フェアで売っていく。書店の規模に応じてきめ細かい提案を行っていく。信頼され、安心して取引いただけるよう創業の精神でがんばりたい」と、年頭のあいさつを述べた。
出版社を代表して小学館大住哲也常務は「新年早々厳しい環境だが、児童書は数年来、確実に売上げを伸ばしており、読者の声を聞き取っている書店、出版社は売上げを伸ばしている。90年にわたり困難を乗り越えてきた先人の知恵、行動力に学ぶとともに、変化のスピードにもついていきたい」とあいさつ。
戸田書店鍋倉修六社長のあいさつに続いて、大住常務、鍋倉社長、隆文堂高橋小織社長と栗田郷田社長、河本正美専務の5人で鏡開きを行った。乾杯の音頭は隆文堂高橋社長。「ぜひ女性の登用をお願いするとともに、昨年も書店の廃業が多く、バトンをつぐ者が少なくなっている。業界あげて一緒に頑張る仲間、書店後継者を育てて欲しい」と新年の課題を述べ、乾杯を行った。

人事

◇中央社
中央社は1月7日付で機構改革と人事異動を発表した。機構改革では特販部、市場開発部を廃止し、コミックメディア部、開発営業部を新設。情報システム部、コミックメディア部、開発営業部、販売部の各部各課を整備した。
人事では小暮豊博取締役が販売部長からコミックメディア部長に委嘱された。役員ならびに部長級人事は以下の通り。
〔告示〕
解・販売部長、委嘱・コミックメディア部長
取締役小暮豊博
解・特販部長兼新規事業室長兼コミックセンター課長、委嘱・開発営業部長兼新規事業室長
執行役員斎藤進
解・市場開発部長、委嘱・販売部長
執行役員佐藤誠三
〔辞令〕
関西支店営業課長兼任(関西支店長)山本章雄コミックメディア部長代理兼仕入課長(特販部コミックメディア仕入課長兼特販1課長)竹内純一

定価の値上げを要請/友の会カードは一旦白紙/大阪屋

大阪屋は10日正午から東大阪市の関西ブックシティ特設会場で「新春おでんの会」を開催。昨年を上回る1375人(書店503人、出版社678人)が出席した。
おでんの会は冒頭、三好勇治社長があいさつ。年末年始6日間の書店340店調査として、年末は雑誌95・5%、書籍100・6%、合計98・8%。年始は雑誌92・0%、書籍98・3%、合計96・2%。年末年始トータルで雑誌94・1%書籍99・6%、合計97・7%。「土砂降りの雨は回避できたが、晴れマークとはいかなかったようだ」と報告した。
また、3月末に迎える61期決算見通しについては「3期連続で1200億円台は確実で、前年の1257億円をクリアできる見通し」と述べた。昨年から取組んでいた物流、組織、経営を3本柱とする社内改革について述べたあと、大阪屋友の会カードについて「当初の検討プランではコストバランスや個々のニーズの違いから運用面で課題が大きい。カード市場を巡る環境変化や技術動向も踏まえ一旦白紙にする。新たなスキームでの検討は継続していく」と説明した。
このほか、出版社に対しては「物流コストを吸収し、安定した出版流通を実現するため、書籍・雑誌の定価アップをお願いしたい」と要望。「干支のねずみ年にあやかって子孫繁栄と躍進にふさわしい年に」と結んだ。
社長あいさつに続いて、文英堂益井欽一会長、講談社浜田博信取締役相談役、ポプラホールディングス坂井宏先代表、ひかりのくに岡本健社長、日書連面屋龍延副会長、大阪屋友の会連合会田村定良会長、大阪屋三好社長で鏡開き。大阪屋友の会連合会田村会長が乾杯発声を行って、歓談に入った。

本屋のうちそと

昨年はと言うべきか、昨年もと言うべきか、出版社の倒産が続き、年明けには新風舎、草思社の経営破綻が報じられている。
書店も昨年中に1000軒前後が市場から退場と新文化は伝えている。
日書連の12月期理事会では、加盟店数は6097店と報告された。
書店新聞によれば、トーハンは年末年始の取引書店の売上げ状況を、年末95・7%、年始89・5%、トータル92・8%と発表。日販は年末年始の売上動向を書籍91・7%、雑誌89・4%、合計90・6%と紹介。
東証の大発会から大幅な反落。外国為替市場でも円高。原油の高騰。少子高齢化による消費の逓減化。
何ともはや、悲観的な情報のオンパレードだ。取次各社は「書店活性化支援策を積極支援」とか「読者に魅力ある売場創造をめざす」とか表明しているが、大規模店の出店の促進と帳合替えによって単年度決算の収益のかさ上げをしてきた結果、廃業した書店がどれほどいたことか。現状に悲観的な組合員さんの廃業予備軍がどれほどいることか。
巷に流行るものは、責任販売システムと出版社による在庫僅少本の一時的再販はずし。一部書店のリサイクル本やレンタル本の扱い等々。
古来、堅城は外敵には強いが、内部の反乱によって崩壊に至るものだ。初夢が、悪夢でないように祈るばかりだ。
(井蛙堂)