全国書店新聞
             

平成22年11月15日号

中小書店はどのようにして電子書籍と関われるか/講談社代表取締役副社長・野間省伸氏に聞く

日書連の面屋龍延広報委員長(副会長)は10月26日、東京・文京区の講談社を訪問し、「電子書籍」をテーマに野間省伸代表取締役副社長と懇談した。同社は他社に先駆けてiPad向けに人気作家・京極夏彦氏の新刊を投入するなど積極的な取り組みを行っている。また、野間副社長は出版社41社で作る日本電子書籍出版社協会(電書協)の代表理事をつとめている。今回の懇談では、電子書籍端末の普及が出版業界に及ぼす影響と対応、紙と電子の共存、中小書店が電子書籍の販売に参入する方法などについて考えを聞いた。
〔紙と電子の相乗効果探る〕
――電子書籍が本格的に普及し始めれば、紙媒体のみを手掛ける町の本屋の収益機会は減り、存亡の危機に直面しかねない。
野間電子書籍の販売はネットだけでなくリアルの世界でもできる。紀伊國屋書店や丸善はハイブリッド書店の形で、リアル店舗で電子書籍も販売すると言っている。どのように購入するかは最終的には読者が決めること。読者のニーズに応えるため紙も電子も出すというのが講談社のスタンスだ。
――かつてコンビニが出て来た時、出版社はコンビニに雑誌を出した。雑誌を配達している町の本屋は大きな打撃を受け、現在の雑誌市場全体の縮小にもつながった。電子書籍においては選択を間違えないようにしていただきたい。大出版社の本ほど小さな本屋が支えている。町の本屋が潰れないよう配慮してほしい。
野間もちろん。そうしないと紙の売上が下がってしまう。出版社にとっても死活問題だ。
――電子書籍は再販制度の対象外。ネットで買うよりも書店で買うほうが安いという価格設定も可能ではないか。
野間電子書籍は紙よりも早く読者に届けることができる。その分、価格を高くしてもいいという考えもある。消費者はどの程度の価格なら受け入れ可能か、これから検証していかねばならない。
――紙と電子の共存は可能か。
野間紙か電子かというゼロサムの話ではない。まだ正しいやり方はわからないが、電子を手掛けることで紙の需要を高めるような、両者の連動と相乗効果を探っていきたい。そのためにも今は実験によってノウハウを蓄積していくことが重要だ。
〔中小が力合わせるやり方も〕
――講談社は年内に計2万点の電子書籍を刊行するそうだが。
野間すでに6000~7000点を電子化している。その多くがコミックだ。コミック市場は約4000億円。このうち電子コミックは約570億円と1割強を占め、8割は携帯コミック。我々の分析では携帯コミックと紙のコミックは食い合っていない。
――電子コミック市場は今後も伸長するか。2~3割を占める見通しは。
野間そこまではいかないと思う。現在の小さい携帯端末でコミックを読む人の数はそろそろ頭打ちではないか。新しい端末が投入されることで流れが変わる可能性はある。
――町の本屋は売場面積が狭く、多くの書籍を在庫できない。だから電子書籍をきちんと売ることができればいいのだが。
野間やる気次第だが、売れると思う。今後、電子書籍に取り組む書店と取り組まない書店の2つのグループに分かれていくだろう。しかし、紙のみの販売で頑張る書店を全力で支援する我々の姿勢は今後も変わることはない。
――3省デジ懇は町の本屋の役割を高く評価している。JPICも本屋参加の委員会を立ち上げている。書店が電子書籍を扱う動きも始まっている。
野間紀伊國屋書店や丸善のように自ら電子書籍の配信を行うところがある。でも、それができるのはごく限られた書店で、一般的なやり方ではない。
一方、東京都書店商業組合の携帯電話向け電子書籍サイト「Bookers」のように、中小書店が力を合わせるやり方もある。東京組合の皆さんは電子書籍に関する正確な知識を持ち、黒船として恐れるものではないことを認識している。電子を使って紙を売り伸ばす方法を真剣に考えている。講談社として全面的に協力する方向で話をしている。
日書連の店頭試し読みシステム「ためほんくん」も現実的なアプローチだ。いま見ることができるのはコミックだけだが、端末を改良すれば書籍も見れるようにできるし、ダウンロードできるシステムにすることも簡単だと思う。
日書連と東京組合の試みを見てもわかるように、中小書店が電子書籍を取り扱うことは十分可能。電子書籍を扱うことで売場のスペース的な制約も取り除かれる。電子をやらない選択肢もあるが、きちんと向き合って取り組めばメリットも大きい。
〔書店の顧客基盤は魅力的〕
――出版社から見てリアル書店の強みは何だと思うか。
野間本好きのお客さんを持っていることが最大の強みだ。シャープやソニーが電子書籍販売への参入を発表している。しかし電機メーカーの顧客が必ずしも本好きとは限らない。一方、書店は本好きのお客さんを抱えている。そうした顧客基盤を活かせば電子書籍の販売という意味でも非常に強みになる。
東京組合の例からもわかるように、1社でやる必要はない。中小書店がそれぞれ100人のディープな読者を集める。それが500人、5千人、5万人になったら、物凄い力になる。電子書籍のプレーヤーからすれば喉から手が出るほど欲しい顧客基盤だ。
――日書連は10月理事会で電子出版制作・流通協議会(電流協)に賛助会員として加入することを決めた。
野間日書連が流通のほうに関心を持つのはいいことだと思う。電流協には取次、印刷会社というこれまで紙の流通を担ってきた会社が多く参加している。出版社よりももっと近いパートナーがいるかもしれない。
みんなバラバラというのが一番よくない。それでは市場が広がらない。フォーマットや書誌情報の統一など、最低限のことはやっていかねば。前に進むためには、電書協は出版社の立場から、電流協は流通の立場から検討し、話し合って決めていくことが必要だ。

5氏に黄綬褒章

秋の褒章で教科書供給協会から以下の5名の方々が黄綬褒章を受章した。伝達式は11月12日、東京・千代田区の如水会館で行われた。
▽秋葉省一(東京・江戸川書房)▽岩原正志(北海道・岩原書店)▽芹澤令二(静岡・芹澤百貨堂)▽村上紀弌(愛知・村上書店)▽北村巌(大阪・北村正直堂)

総務省、電子出版の環境整備へ10事業選定

総務省は10月27日、電子出版の環境整備のため公募していた平成22年度「新ICT利活用サービス創出支援事業」の委託先候補10件を発表した。
同省では文部科学省、経済産業省の3省合同で設けた「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」の報告が示した課題に基づき7分野について提案を公募。29件の応募から10件の委託先候補を決定した。今年度予算で合計8億3千万円を拠出する。
電子出版の中間フォーマットの共通化に向けた環境整備事業では、日本電子書籍出版社協会(電書協)を代表機関とする「電子書籍交換フォーマット標準化プロジェクト」を選定した。
このほか出版業界関係では、日本書籍出版協会(書協)の提案による「次世代書誌情報の共通化に向けた環境整備」、日本雑誌協会(雑協)の「次世代電子出版コンテンツID推進プロジェクト」、電子出版制作・流通協議会(電流協)の「アクセシビリティを考慮した電子出版サービスの実現」が選ばれた。
また、日書連が共同提案組織として名前を連ねるプロジェクトでは、インフォシティの「書店店頭とネットワークでの電子出版の販売を実現するハイブリッド型電子出版流通の基盤技術の標準化および実証」、出版文化産業振興財団(JPIC)の「電子出版の流通促進のための情報共有クラウドの構築と書店店頭での同システムの活用施策プロジェクト」が委託先候補として選定された。

送品・返品同日精算/問題の経緯、周辺の動向

「送品・返品同日精算」の問題については、平成18年10月に、日書連として取次8社に「返品入帳」の改善をお願いして以来、既に4年の歳月が経過した。本年9月の理事会で、トーハンと日販から改善に向けた取り組みを実施するという期限付きの文書回答があったことが紹介された。
「日書連40年史」を見ると、昭和53年当時、入金報奨における返品入帳は、①「雑誌=着荷後実働10日以内に入帳」、②「書籍=着荷後実働12日以内に入帳」とあった。当時の返品入帳はすべて手作業である。報奨対象の入金率は、委託商品という性格上、返品率が考慮されていて、70%以上、80%以上、100%以上という3段階が設けられていた。近年になって、平成14年に蓮田センターが出来、平成19年には桶川SCMセンターが本稼働する。このことにより返品処理のスピードアップ化が一気に進んだ。
一方、現状、取次への支払いは、返品率が考慮されず100%以上が強いられている現実がある。加えて、送品請求と返品入帳のタイムラグが、書店のキャッシュフローを大変厳しいものにしている。
「送品・返品同日精算」の完全実施は、全国の書店が一日千秋の思いで待っている最大関心事である。今回、トーハン、日販、大阪屋、栗田の4社を中心に、「返品入帳」の経緯と周辺の動向を時系列で追ってみた。(構成=本紙編集部)
【平成13年】
3月大阪屋=「書籍」「雑誌」ともに27日まで返品入帳を可能にする。それ以前は20日前後だったのを24日前後まで改善。
【15年】
6月栗田=「雑誌」と「コミック」の返品入帳の改善に着手。8月には月末前日着荷分まで入帳可能に。
12月日販=「雑誌(コミック)」を24日まで返品入帳を可能にする(ただし、9月、12月、2月、3月は20日までの入帳)。
【16年】
1月大阪屋=「書籍」「雑誌」ともに、29日前後まで入帳。日販=「文庫」を22日返品入帳を可能に。
6月栗田=「文庫」の返品入帳を改善。月末前日着荷分まで入帳。
【17年】
5月日販=「書籍」についても、「文庫」同様22日まで返品入帳可とする。
【18年】
3月栗田=「書籍」の返品入帳を改善。月末前日着荷分まで入帳。日販=「雑誌」「書籍」を、24日まで返品入帳を改善(但し書きルールを見直す。同年9月は22日までの入帳)。
5月「全国小売書店経営実態調査報告書」を発表。
10月取次8社に対し、「返品入帳」の改善を求める。
12月「全国小売書店経営実態調査報告書」の別冊として、「書店経営者生の声」を発表。
【19年】
1月トーハン=「書籍」「雑誌」「コミック」「マルチメディア商品」の返品入帳を改善。入帳締切日を10営業日前から期末5営業日前に変更。
3月&9月日書連理事会並びに常任委員対象に、返品入帳にかかわる請求形態について実態調査を実施。
5月日販=「雑誌」「書籍」の返品入帳を25日まで改善。最終営業日を含め6日前とする(ただし、同年9月は22日までの入帳)。
【20年】
3月日販=決算月ながら、3月25日まで「雑誌」「書籍」の返品を入帳。
5月大阪府書店商業組合総代会において、取次会社との関係改善を求める文書を決議。同月に開催した日書連第20回総会でも、出席者から入帳改善を求める声が続出した。
6月これを受け日書連は、6月20日付で「送品・返品同日精算」のお願い文書を取次8社に送付。「取次の送品締日と書店からの返品入帳締日を同日にして、請求書を起票する」という考え方で見解を求めた。これに対し取次8社は、一定の理解を示したものの要望に応えるのは難しいとの回答。
8月日書連としては、当方の意向が十分に伝わっていないと判断し、8月より各社を訪問。改めて理解と協力を求めた。
【21年】
9月トーハン、日販に絞った行動を展開。それぞれ取引のある書店(正副会長を中心として役員数名)が両社を訪問し、早期実現を求めるとともに、9月末までに文書回答を要請した。両社から回答はあったものの、いずれも「努力はしているが、簡単に解決出来る問題ではない」という内容の回答。
10月日書連移動理事会にて、「同日精算問題」を一歩でも進めるためには、取次側の事情も考慮し、「送品締日と返品入帳日の開きを段階的に縮めていく形での決着もやむなし」とすることを確認した。
【22年】
2月トーハン、日販と取引のある正副会長並びに役員数名で両社を訪問。昨年9月以降の取り組みについて、文書回答を求めたが、進展ある回答は得られず。
3月取次における返品処理と入帳処理までの所要日数の実態を把握するため、理事並びに常任委員対象に調査に入る。
7月定例理事会の席上、柴﨑委員長は「同日精算」を提唱してから丸2年待った。8月中に2社を訪問して、何らかの回答を得られぬ場合には、次の手を打ちたいとの決意のほどを示した。
9月トーハン、日販社長宛の「早急なる実現に向けて最後のお願い」文書を3日に持参。このままでは「重大なる決意」をせざるを得ないことを申し伝えた。14日までに実現に向けたスケジュールを書面にて回答願いたいと要望した。14日に、トーハン、日販、いずれも書面による回答あり。トーハンは「一定の進展を目指し、平成23年3月末日までに弊社として方針を決定」するとし、「ゼロ回答はない」と確約する。また、日販は「1日の短縮を…1年以内の実現」とし、「実施時期は改めて回答する」という。16日、日書連9月理事会で、この回答文書を巡って賛否両論議論百出。取引関係理事の多くは「満足する回答ではない」としながらも、山は大きく動き出したと判断、返品入帳の調査を続けながら、しばらく静観することを確認した。

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

2ヵ月ぶりです。先月お休みだったことを皆さんお気付きでしょうか。知らない?やっぱり。どうでもいいコーナーなので、これからも飛ぶと思いますが、いつの間にか消滅している、というのがいいのかもしれません。読む人に余分な心配を残さず私は去って行きましょう。
昔、兄弟デュオが歌っていた歌を女性演歌歌手がカバーして再ヒットさせました。その歌によく似た書名、『また君に恋をした』(アンドレ・ゴルツ、水声社)を手に取ってしまいました。フランスの哲学者が、不治の病に倒れた愛妻に送ったラブレターです。出会った頃の彼女のことを、ある作品で侮辱してしまったと、50年以上後悔していました。謝罪し、改めて愛を告白しています。2006年に出版されベストセラーになったそうですが、1年後夫妻は心中してしまいます。2人にしかわからない愛の絆です。
続いて、著者と書名に魅かれて開いた本は、『文豪の食卓』(宮本徳蔵、白水社)です。先輩文士たちの「食」にまつわるエピソードの数々を紹介しています。その中の1篇に、神戸にも縁の深い作家の哀しい話が挿入されています。著者が学生時代、同級生の義兄が有名な作家で、本を貸してくれます。流行作家と言っていいでしょう。作家は妻を病気で亡くすと、途端に寡作になってしまいました。
別の小説では、妻に先立たれた老人が、女性の体毛を詰めた寝具にくるまれて死のうと、途轍もないお金をつぎ込みます。断食による自殺を決意した矢先、隣人に発見されて、病院のベッドで性的な夢を見ています。
切ない話を続けて読んでしまったのは、私が悲しみを呼び込んでいるのでしょうか。不安を抱えているからでしょうか。思い悩んでおりました。
その時です。店内から楽しそうな笑い声が聴こえてきました。「アハハ」とか、「キャキャキャ」ではなく、「ケタケタケタ」に近い声です。
児童書の棚の前で、ベビーカーに乗った男の子が、おかあさんと絵本を見ながら喜んでいるのです。身体中から笑い声が出ています。もちろん私のアホなフサギ虫はどこかに飛んでいきました。またひとつ、本屋にいることの幸せを増やして、得した気持ちになりました。
さて当店、電子書籍には目もくれず……、と言うより、「訳がわからないので、どう対応していいのか判断できない」と言うのが本当のところです。よって、「わかっていること」を基準に「判断」してたどり着いた結論が、「古書コーナー増床」です。イベントの古本市でお付き合いのある古書店4店が出店してくださいます。
「良書の集まる港元町・古書波止場」と銘打って、12月1日(水)、2階にオープンいたします。販売は当然ですが、蔵書整理の相談や買い受けの対応も、プロがしてくれます。常設している1階の「古書」コーナーとお客さまの「蔵書放出」コーナーも続けていきます。
大型出店(不可能)ではなく、電子書籍(理解不能・学習意欲なし)でもない、現実的な身の丈に合ったこと、これが当店の生きる道です。

公取協・元永顧問に瑞宝中綬章

11月3日に発表された秋の叙勲で、出版物公取協の元永剛顧問(元公取委事務局官房審議官)が瑞宝中綬章を受章した。

ためほんくん、選書ツールの利用促進/大分総会

大分県書店商業組合は10月25日正午から大分図書会議室で第26期通常総会を開催。委任状を含め組合員38名が出席した。
総会は樋口文雄副理事長(ブックスプラザひぐち)の進行により、大隈劭理事長(おおくま書店)を議長に選出して事業報告、収支決算報告などを審議。河野博司監事(はりまや書店)より監査報告がなされた。続いて後藤知己副理事長(晃星堂書店)より第27期予算案の報告があり、すべて原案通り承認した。
大隈理事長は「本年度、県立図書館の入札は5業者となり、TRCが落札した。装備は福祉団体を指定したが、作業が良くできないので前年組合雇用の人たちがやっている。教科書のデジタル化は、実験段階に入っている。出版社の電子書籍化については、日書連を通じて書店の売上げに結びつくようにもっていきたい。業界は大変な時期で書店経営に困難なことがいろいろと起こるが、新しいことに挑戦していけば、なんとか道は開けていく。大分県組合ホームページに、埋もれ本、郷土本を各組合員が掲載し活用してほしい」と語った。
最後にコミックの店頭試し読みシステム「ためほんくん」のデモと、県組合ホームページで使える「図書選書ツール」の説明会が行われた。現在県下2店が「ためほんくん」を導入している。
(金光直明広報委員)

大河ドラマの連動企画を産学協同で実施/東京組合ブッカーズ

東京都書店商業組合は11月5日、書店会館で定例理事会を開催。電子サイト運営推進委員会から「ブッカーズ」の取り組みについて、来年のNHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国」の店頭連動企画は、NHK出版から提案のあった産学協同構想により、青山学院大学(総合文化政策学部)、東京組合の三者合同でプロモーションを行うと説明があった。
NHK出版は書店に商品と拡材を提供するとともに、青山学院大に制作現場やイベントの情報を提供。学生側は現場取材や学生リサーチ等を行い、ホームページやツイッター、ブログを活用して情報発信し、学生層に「江」のプロモーションを行う。この中で書店に誘導する仕掛けも作っていく。東京組合では、これに連動して店頭と電子書籍サイトの両面で販売展開する。詳細については11月中旬に決定する予定。

オリジナル図書カードを作成・販売/富山総会

富山県書店商業組合の第23期通常総会が8月26日に富山市電気ビルで開催された。議案審議では、平成21年度事業報告、収支決算、役員改選、平成22年度事業計画・収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
第24期(平成22年度)事業計画案は次の通り。①今年度で中止となった、北日本新聞主催「富山県小学生読書感想文コンクール」を再開できるよう北日本新聞社・児童図書出版社6社に再度交渉する。②組合員の販売促進のためのオリジナル図書カードの作成・販売を実施する。③出版文化産業振興財団の読書推進事業「20歳の20冊」に協力し、県内自治体に積極的に提案していく。④日書連や出版物公取協の会議に出席し、意見具申を行う。⑤日書連北信越ブロック会を、富山県にて企画・実施する。(渋谷英史広報委員)

加入メリットの追求続ける/兵庫県組合第22回通常総会

兵庫県書店商業組合は10月19日に神戸市の神仙閣会議室で第22回通常総会を開催、組合員90名(委任状含む)が出席した。組合員減少のため、今回より総代会から総会開催に変更となった。
総会は中島良太専務理事(三和書房)が司会進行、井上喜之理事長(井上書林)はあいさつで「理事長就任2年目に入り、引き続き組合員の加入メリットを追及していく。返品運賃の軽減化の働きかけ、県下学校への日書連マーク導入推進の補助・支援等を行う。また電子書籍に関し、書店の中抜きがなされぬよう、動向に注視していく。組合財政の健全化を図るためにも組合員の増強が必要で、取次各社の支援をお願いしたい」と述べた。
三上一充氏(三上尚文堂)を議長に議案審議を行い、第1号議案から第4号議案までを順次上程し、質疑応答を経てすべての議案を可決した。第5号議案のその他では、組合費の減額の件、県理事会の開会回数減数の件、絵本ワールド会場の見直しの件などの意見・質問が出され、執行部より、適正に対応していくとの回答で了承となった。
午後5時から同会場にて版元8社10名、取次6社6名、報道2社2名を交えて懇親会を開催。新しく関西の責任者となった小学館PS西川雅司氏より来賓代表あいさつ、トーハン神戸支店山下幸治支店長の発声で乾杯した。出席出版社のPRタイムが持たれ、和やかに懇親を深めた。
(安井唯善広報委員)

創業125周年で謝恩価格セール/河出書房新社

河出書房新社は「2010国民読書年、良書を読もう!」をテーマに、創業125周年謝恩価格セールを実施する。このセールで仕入れた対象書籍に限り、期間を限定して再販価格拘束をはずし、書店が価格を決めて販売できるというもので、河出書房では「バーゲンブックではない通常流通している書籍を、書店で一定期間値引き販売できるというのは初の試みではないか。店頭フェアや外商活動でぜひ取り組んでいただきたい」と話している。
セールの対象書籍は157点で、出荷数を限定し合計約1万冊。リストを記載した注文書が河出書房の書店専用サイト「WINB」(http://www.kawade.co.jp/np/winb/index.html)で参加申込書とともにダウンロードできる。注文締切は12月16日まで。今回の謝恩価格セールで申し込んだ対象書籍のみ期間限定で時限再販とし、書店入荷日から平成23年3月31日まで価格拘束をはずす。4月1日以降も販売する場合は定価販売に戻る。同社では「通常返品入帳するが継続販売をお願いしたい」としている。通常書籍と区別するため、対象商品の表4の2段バーコードの下に専用シールを添付し、白色の通常スリップに加えて赤色の「謝恩価格セール」スリップを挟む。
販売促進費は、謝恩価格セール対象商品のうち、販売本体価格合計の20%。対象書籍に挿入した売上スリップ白赤1組を河出書房に送付し、月末締めで翌々月上旬に指定口座に振り込まれる。売上スリップ送付は平成23年4月末日到着分まで有効。
出荷条件は通常正味で、書店請求日平成23年3月末日(延勘請求)。出荷体制は、第1回初回出荷分が11月25日(注文締切11月19日)、第2回初回出荷分が12月24日(注文締切12月16日)としており、締切後の注文や限定数を超えた場合は出荷を終了する。

参考図書

◆『高校生はこれを読め!』
北海道新聞社刊、A5判216頁、税込定価1260円。書店員や北海道の図書館司書、高校教諭、現役大学生による高校生のためのブックガイド。「本を愛する大人たちが高校生にすすめる3冊」を中心に、3段階の難易度付きで541冊を紹介する。

一日で売上2500万/神保町BF

第20回神保町ブックフェスティバルが10月31日、神田神保町のすずらん通り、さくら通りを中心に行われた。30日が初日の予定だったが、台風14号の影響で中止となり、31日のみの一日開催となった。
出展は出版社が125社165ブース、書店・商店街が31ブース、大活字本が6ブースの計202ブースで、売上は約2500万円だった。

袋井北小など3校に朝読大賞/須崎市の団体へ活字文化推進大賞

読書推進と文字・活字文化振興に貢献し、業績をあげた学校、地方自治体、団体、個人を顕彰する、髙橋松之助記念・第4回「朝の読書大賞」「文字・活字文化推進大賞」(全国出版協会主催)の贈呈式が10月29日午前11時から、千代田区大手町のクラブ関東で行なわれた。
贈呈式は、朝の読書推進協議会・加藤真由美事務局長の司会で進行、全国出版協会・田中健五会長のあいさつに続き、選考顧問の植田康夫氏が選考経過を報告。朝の読書大賞は選考顧問の井出孫六氏から、文字・活字文化推進大賞は文字・活字文化推進機構の肥田美代子理事長から受賞者に賞状と副賞が贈られた。
日本ペンクラブ会長で選考顧問の阿刀田高氏の祝辞に続き、各受賞者があいさつ。朝の読書大賞を受賞した、静岡県の袋井市立袋井北小学校の大橋弘明校長は「賞をいただいたことを契機に、地域と学校と家庭とが一体になって、子どもたちだけでなく大人も含めた読書活動がより充実していくようにしたい」と喜びを語った。
また、文字・活字文化推進大賞を受賞した、高知県須崎市の「日本で一番子どもたちが本を読むまちをつくる会」の古谷正宏理事は「この会は、地域社会を良くする一つの方策として、より良い人格の形成が必要と考え、子どもたちが本を読む環境を作ろうとの主旨から平成17年に発足した。翌18年に7500冊の本を購入し、市内の幼稚園、保育園、小中学校の学級文庫に寄贈、以来5年間で約1万8千冊を贈る活動をしてきた。今後も朝の読書の推進だけにとどまらず、家読の推進も活動の一環に加え、末永く活動を続けていきたい」と述べた。
〔朝の読書大賞〕
▽袋井市立袋井北小学校(静岡県)▽大桑村立大桑中学校(長野県)▽広島市立広島工業高校(広島市)
〔文字・活字文化推進大賞〕
日本で一番子どもたちが本を読むまちをつくる会(高知県須崎市)

「本の楽市」に協賛/東京組合中杉支部

東京・杉並区で開催された「高円寺フェス2010」のオフィシャルイベントとして、10月23日・24日に「公園de本の楽市」が高円寺北公園を中心に行われた。
東京組合中野・杉並支部が協賛しており、『昭和30年代の中野・杉並』(三冬社)などを販売した。会場では「本と手作りアートのお祭り」と題して、出版社の「産直」コーナーを始め、お話し会や古本一箱市といった本に関するイベントを開催。図書カードやぬいぐるみ等が当たる六角くじも行なわれ、終始賑わいを見せた。

日書連のうごき

10月5日「ためほんくん」協力要請で、徳間書店、実業之日本社、日本文芸社、リイド社、新潮社を田江理事が訪問。
10月7日JPIC運営委員会に大橋会長ほか役員が出席。
10月8日雑誌愛読月間キャンペーン「まとめ会議」に舩坂理事が出席。
10月13日メディアコンテンツストア万引対策協議会に石井事務局次長が出席。第42回出版平和堂合祀者顕彰会に大橋会長ほか役員が出席。
10月14日全国広報委員会議。警察庁主催「官民合同会議」に山本理事が出席。
10月15日「ためほんくん」協力要請として、田江理事が小学館相賀社長を訪問。「ためほんくん」出版社との意見交換会。
10月18日小売商連絡会に大川専務理事が出席。
10月19日東京国際ブックフェア実行委員会に舩坂理事が出席。
10月20日「日書連マーク」配信関係者会議。
10月21日北海道定山渓温泉にて移動理事会。
10月23日国民読書年記念式典に大橋会長ほか役員が出席。
10月25日読進協常務理事会に大川専務理事が出席。
10月26日電子書籍関連インタビューで面屋副会長が講談社野間副社長を訪問。
10月27日「文字・活字文化の日」各界連絡会に筒井理事が出席。文化産業信用組合理事会に大橋会長が出席。「若い人に贈る読書のすすめ」書目選定委員会に石井事務局次長が出席。公正取引協会月例懇談会に影山公取協専務理事が出席。
10月29日第4回髙橋松之助記念「朝の読書大賞」「文字・活字文化推進大賞」贈呈式に大川専務理事が出席。

本屋のうちそと

隣町の方波見先生の2冊目の本が出版されました。1冊目は岩波新書『生老病死を支える』でして、今回はエッセイを連載している新聞社からそれをまとめた『いのちのメッセージ』が刊行されたのです。先代からですと90年という古くからの病院で、親子孫代々で掛かりつけという家族が沢山いるのです。
最近先生は、一般向けの講演を頼まれる事が多くなりまして、あちこちに呼ばれます。そういう時は、車に先生の著作を積んでいって、販売させてもらうのです。話の中に必ず出てくる本も一緒に持っていきます。吉田満の『戦艦大和ノ最期』とか谷川俊太郎の『二十億光年の孤独』などです。
心臓の手術を乗り越え、がんと闘って(共生して?)おられる先生は、患者の気持ちが判るお医者様です。老いるという事、命が繋がっているという事、宇宙の誕生から説き始めるその講演は、聴く者の心を捉えて飽きさせません。
難しい話を判りやすく、厳しい話を優しく語りかけてくれるのです。会場には、様々な病を抱えた人たちも詰め掛けています。一日に一度くらいは心静かな思索の時を持ちましょうと、音楽を聴き本を読むようにと語りかけます。話が進むにつれて、会場全体が暖かな日差しの中に守られてあるようなゆったりとした雰囲気に包まれていきます。本屋としても至福の時間を過ごす事が出来ました。
(広辞猿)