全国書店新聞
             

平成19年2月11日号

ICタグをテーマに公開ヒアリング

経済産業省の支援で平成18年度電子タグ実証実験を行っている日本出版インフラセンターは、3月8日午後2時から書協会議室で書店経営者を対象にICタグ公開ヒアリングを行う。内容は①電子タグ実証実験中間報告、②書店のICタグ活用ニーズの意見交換(万引き・防犯、販売管理、在庫管理、機器・システム、コード体系等)。申し込みはJPO事務局(FAX03・3539・3717)

弾力的運用を検証/出版再販研究委

出版再販研究委員会(小峰紀雄委員長)は1月31日午後5時半から東京・大手町のKKRホテル東京で新年懇親会を開催、41名が出席した。
小峰委員長は懇親会に先立って行われた委員会について「再販制度の弾力的運用も10年たつといろいろな解釈があり、対応に苦労されていると思う。この10年の取組みを検証しようと小委員会を作ることになった。もう一度元に戻り、知恵を集めていきたい」と報告。1月16日に行われた公取委委員長の講演に関しては「出版再販には触れなかった。当面は整理がついているのかなとも思う。幸い文字・活字文化振興法が成立して議連の26項目に再販制の維持も入っている。しっかりやっていきたい」と述べた。
雑協村松理事長は「先般、公取委が当面再販には手をつけないとしたのでほっとしている。雑協として大切な問題は再販と販売、広告、編集の4つ。消費税の問題も出てくるだろうが、これは新聞協会とも手を携えて取組んでいく」と説明。
取協山﨑会長は「再販は出版の多様性を守る大事なインフラ。読者、消費者にいかにメリットを出すか、流通できちんとお応えすることが今まで以上に必要になってくる。取次各社は物流センターを拡充して在庫を増やし、迅速にお届けする流れがある。お客様の役に立つことが再販制維持につながる」と指摘した。
日書連丸岡会長は「昨年行った書店経営実態調査でマージン拡大、客注迅速化に次いで再販制擁護が重要な施策として上げられている。書店の生命線として再販制度を守っていきたい」とあいさつした。

第8回謝恩価格本ネット販売フェア

書協は「こどもの読書週間」を中心に4月20日から6月20日まで「期間限定謝恩価格本ネット販売フェア」を開催する。再販制度弾力運用として出版社が共同して行うもので、今回で8回目。
対象は発行後1年以上経過した児童書、実用書、ムック、一般文芸書、人文書、辞事典、美術書、自然科学書で、販売価格は表示価格の50%オフ。配送・決済経費として、ブックサービスの手数料が25%、昭和図書の入出庫・保管手数料が10%かかる。申込み締め切りは2月19日。

2.0%減の2兆1525億円/2006年の出版物販売金額

出版科学研究所は『出版月報』1月号で2006年出版物発行・販売概況を特集した。これによると、2006年の出版販売額は前年比2・0%減の2兆1525億円で、2年連続して前年を下回った。書籍は1・4%増の9326億円、雑誌は4・4%減の1兆2200億円で、雑誌の落ち込みは過去最大。
書籍の販売金額は2年ぶりに前年を上回った。205万部出た『ハリー・ポッター』第6巻のほかに『国家の品格』『下流社会』などの教養新書や、文庫版『ダ・ヴィンチ・コード』、中高年向けの塗り絵、書写ものの売行きが書籍を引っ張った。
一方、雑誌は月刊誌が3・9%減の9523億円、週刊誌は6・5%減の2677億円と大きな落ち込みで、月刊誌は99年に並ぶ過去最大のマイナス。週刊誌は前年の7・1%減に続く大幅減だった。廃業店の増加、コンビニエンスストアの低迷も雑誌伸び悩みの要因と出版科研では分析している。
販売部数面では、書籍は教養新書、文庫、ケータイ小説など低定価本の売行きがよかったため、販売金額の伸びを上回る2・1%増。雑誌は月刊誌が5・2%減、週刊誌が7・8%減と販売金額の落ち込みをさらに上回る落ち込み。
出版科研では書籍堅調、雑誌不振という構図について「定期性の高い雑誌は読者離れが目立ち、その時の関心に応じて買う書籍にシフトしている。多点化少量
時代には長期展示で部数を積み上げていける書籍のほうが手堅い」と指摘している。
金額返品率は書籍が対前年比0・5ポイント減の38・2%、雑誌は1・6ポイント増の34・5%。雑誌発行状況は月刊誌が1・7%減、週刊誌が3・6%減と抑制されたものの、返品率は月刊誌が1・4ポイント増の35・8%、週刊誌も2・1ポイント増の29・4%と前年より悪化した。コンビニの返品増加が大きな要因と見られる。
過去10年間の出版販売金額と伸び率、書籍・雑誌の伸びを対比したのが別表(出版科学研究所作成)。昨年の出版販売額2兆1525億円は、10年前、1996年の2兆6563億円に対して約2割減の数字となっている。

書店現場の担当者81名が集い新年会/宮城県

宮城県の書店現場責任者が集う新年会が、1月25日午後7時から宮城県仙台市居酒屋御朱印船で行なわれた。
参加したのは書店26名、取次7名、出版社48名の合計81名。この会は、取次や組合などが主導で行う会ではなく、書店の現場第一線で働く書店員や出版社・取次各社の営業担当者が、日ごろの労をねぎらい懇親を深め、今年1年のさらなる販売協力を約束する会として、ここ数年恒例になっている。
新年会は小林浩之氏(八文字屋書店)、玉田隆氏(文芸社)両幹事のあいさつのあと、司会に指名された小林久実子氏(八文字屋書店)の進行で、初代幹事の柴修氏(ブックスミヤギ)が乾杯の発声を行ってスタートした。席の順に一人一人が新年のあいさつを述べたのち、場内入り乱れ大いに懇親を深めた。会の終盤に次回幹事の指名があり、永田一成氏(ジュンク堂書店)と早坂浩美氏(北燈社)へ幹事資料の引継ぎが行われた。
中締めのあいさつを2代目幹事佐々木が行い、新年会の幕を閉じた。終了後も、カラオケ・ボーリング・卓球・腕相撲・大食い・早食い大会等が行われ、書店の販売以外の部分でも業界3者が懇親を深めた。(佐々木栄之広報委員)

副読本の発注で県高校教育課に陳情/山形組合

山形県書店商業組合(五十嵐太右衛門理事長)は1月29日に山形県教育庁高校教育課を訪問し、「2007年新学期、副読本・教材・辞典ご注文のお願い」の陳情を行った。
当日訪問したのは高橋副理事長(高陽堂書店)、五十嵐専務理事、高橋事務主任(山形県教科書供給所)の3名で、書店組合の現状や永年の学校との関わり、県内の文化の向上などの話も入れて、新学期の発注を県内組合書店へしていただけるようお願いをした。これは例年行っており、各学校長にも同様の「お願い文」を郵送していく。
山形県は他県に比べ「高校で使用する副読本」の書店経由率が高く、また採用点数も多いと各出版社から報告されている。
(五十嵐靖彦広報委員)

生活実用書/注目的新刊

マナーも低く、品格もない世の中になってきたせいか、そのマナーや品格を問う本が書店店頭をにぎわせている。
越川禮子・林田明大著『「江戸しぐさ」完全理解』(三五館1300円)もサブタイトルに、「思いやり」にこんにちは、と書かれている。江戸の商家ではこんなに余所の人に気配りしていたのかと、誰もが驚くはずである。
江戸は徳川幕府が開かれた後、全国から人が集まって形成された町である。そして百年と経たぬうちに百万都市となった。余所から来た人々を受け入れて、共に生きていこうとする知恵が、口承される「江戸しぐさ」なのである。
地下鉄のポスターにもなった代表的なしぐさの一つに、「傘かしげ」がある。江戸の細い路地をすれ違う時に、互いの傘をかしげて、相手に雨の雫がかからないようにするというもの。傘の先を相手と反対側に持っていくのだが、今どきゃ、あーた、傘の先っちょを相手に向けてすれ違うってんだから話にならねえ。
そういうしぐさが、意識しなくとも自然に身につくのには、親子三代はかかるというので、三代続かなきゃ江戸っ子じゃねえ、などという。
第四章では「ビジネスに生かせる江戸しぐさ」など82のしぐさ実践編が解説される。
江戸しぐさでは「言葉は空疎であってはならず」と教える。レジでありがとうございますの後に、下を向いたまままたお越し下さいませなどと空疎なことを言ってはいけないのである。『マンガ版「江戸しぐさ」入門』(三五館1050円)も出ている。
大野敏明著『知って合点
江戸ことば』(文春新書145690円)も、現代では名残りのようにしか使われなくなった江戸、東京言葉を掘り起こしている。特徴的な「aiのe変化」では大根がでーこん、違いないは、ちげーねーとなる。義理人情に厚く、心優しい江戸っ子が浮かび上がる。
中江克己著『ちょっと使ってみたくなる「江戸ことば」100選』(青春新書P1―139730円)も参考に。
(遊友出版・斎藤一郎)

総代会は5月17日開催/東京理事会

東京都書店商業組合(丸岡義博理事長)は2月2日に書店会館で定例理事会を開催した。主な報告・審議事項は以下の通り。
〔総務・財務委員会〕
総代会は5月17日午後1時半より出版クラブで開催する。今回は理事改選期にあたるが、組合員数の減少に伴い、理事の定数を現行より5人少ない「45人以上50人以内」とする定款一部変更案を総代会で提案することを承認した。
〔経営・取引委員会〕
国際地学協会が民事再生法の適用を申請し、書店の返品が入帳しない件について各取次の対応状況が報告された。下向副理事長は「一部の取次には書店に迷惑をかけないようにしようという動きがある。2月中に再生計画案が出るのでこれを確認して取次各社に対応を求めていきたい」と述べた。
〔流通改善委員会〕
TS流通協同組合の1月期売上は1101万9486円(前年比97・8%)で、発注件数は8879件(90・2%)、書店数は76書店(89・4%)と報告があった。
〔万引・出店問題委員会〕
東京都が不健全図書に指定した書籍『復讐の本』(三才ブックス)について、販売に際しての注意と区分陳列の徹底を呼びかける緊急連絡を各理事に対して行ったことが報告された。
〔読書推進委員会〕
日書連は、サン・ジョルディの日キャンペーンで独自のPR活動を実施する組合に補助金を支出することを決めている。東京組合では、組合員から推薦された福祉施設等の中から読書推進委員会が選定し、本を贈呈してサン・ジョルディの日をPRする企画で補助金を申請したことが報告された。

人材確保推進事業で見学会開催へ/兵庫理事会

兵庫県書店商業組合(三上一充理事長)は、1月16日にエスカル神戸で1月定例理事会を開催した。日書連の12月理事会については三上理事長に代わって出席した山根副理事長より報告があった。
平成17年度より雇用・能力開発機構兵庫センターの指導のもと行われている「人材確保推進事業」の一環として、2月14日にモデル企業見学会及び「採用活動等マニュアル作成セミナー」を開催することが決まった。当日は、全三木市金物卸商協同組合より、金物組合の活動と新製品開発についての説明と、アリエシステムによる「採用活動等マニュアル作成セミナー」が行われる。移動にはバスをチャーターし、神戸より出発する。
また支部報告では、第1支部より「景気は幾分回復してきているようだが、アルバイトの時給が上がり、集まりが悪くなっている」と報告があった。第3支部では1月18日に互例会を予定、第5支部では1月12日に出版社を交え33名が集まり互例会を行ったとそれぞれ報告があった。
(中島良太広報委員)

「町の本屋頑張ります」/日書連・高須博久副会長が講演/埼玉組合研修会

埼玉県書店商業組合は1月25日、さいたま市浦和区の埼玉書籍で研修会を開き、日書連の高須博久副会長(読書推進委員会委員長、書店経営実態調査特別委員会委員長)が「町の本屋頑張ります」をテーマに講演。「全国小売書店経営実態調査報告書」をもとに、書店業界、出版業界が活性化する方策を提言した。講演の内容を要約して紹介する。
〔85%の書店が「経営悪化」〕
一昨年末に全国小売書店経営実態調査を実施し、「全国小売書店経営実態調査報告書別冊―書店経営者生の声―」を作成。昨年末に組合員皆さんに配布した。
一番の問題は、85・6%の書店が「経営が悪くなった」と回答していること。日書連に望む対応として最も多かったのは「書店マージンの拡大」だが、単純にマージンを上げたらコンビニなどのマージンも同じように上がってしまう。これ以上、他産業からの参入を招けば、既存書店は大変なことになる。むやみやたらにマージンを上げることは難しい。
次に多かったのが「客注品の確実迅速化」。お客様から注文をいただいて、2週間後に届きますと約束したのに、2週間たっても入荷しない。電話で問い合わせると「品切れです」と言われる。こうしたことでお客様からの信頼を失うことはあってはならない。改善を求めたい。
次に「出版物再販制の擁護」。今は再販制度が維持され、定価販売が守られている。そうしたなか、公取委は再販制の弾力運用によって読者サービスに努めるよう言っている。ポイントカードや景品についても様々な見解、解釈が示されている。1~2%の純利益をあげている書店がほとんどない現状で、年2回90日、7%のサービスをしてもいいですよと言われても、実際にやれる書店がどれぐらいあるだろうか。現実的に可能な読者サービスのあり方を公取委に示さなければならない。
商品入荷状況については「希望部数が入ってこない」という回答が多い。ましてベストセラーについては「まったく手に入らない」という町の本屋が非常に多い。
そこで読書推進について考えてみたい。花を咲かせるためには種を蒔く。種を蒔いたらせっせと水をやって待つという段階を踏む。社会が少子化の方向に進む中で、将来、子供たちに本物の読者になってもらうにはどうしたらいいのか。そこで焦点となるのが、私が日書連で担当している読書推進である。
〔読書推進をどうすすめるか〕
書店組合としてできる読書推進として、3年前から「孫の日」の読書推進に取り組んでいる。孫の日は日本百貨店協会が提唱したもので、敬老の日に孫から絵や手紙をもらったおじいちゃんとおばあちゃんが、孫の日にお返しのプレゼントをする。この日に絵本を持ってお孫さんに会いに行ってほしいと訴えている。今は核家族化が進み、おじいちゃん、おばあちゃんと孫が同居している世帯は少ない。おじいちゃん、おばあちゃんが孫と会う機会を孫の日に作ってあげたい。孫に絵本を読んであげてください、生きがいとして孫の心を育ててあげてくださいというのが主旨だ。
おじいちゃん、おばあちゃんによる孫の心育をお手伝いするのは書店の使命だと思う。書店の社会貢献活動としてアピールしていきたい。孫の日の読書推進は中日新聞や全国紙でも取り上げられた。話題を提供するため、初年度は出版社の協力を得てお薦め本の読者プレゼントを行なった。お薦め本は、おじいちゃんとおばあちゃんに馴染みのある、超ロングセラーばかりを選んだ。ベストセラーではなく、どの本屋さんでも必ず手に入る本を選定した。店頭にポスターを掲げチラシを置いて、「孫の日はご存じですか」と積極的に声かけを行なった。初年度は、孫の日を知っている人はほとんどいなかった。だから、孫の日だからといって本が売れたというわけではない。認知度の向上を図ることが第一だった。
2年目は「孫の日ふれあい川柳」を募集し、おじいちゃん、おばあちゃんに孫をテーマに川柳を書いてもらったところ、8百通の応募があった。3年目は、小学館の協力で「9月18日は敬老の日です。おじいちゃん、おばあちゃんの絵を描いて本屋さんに持って行きましょう」というチラシをお客様に配った。締切は8月30日で、夏休み中におじいちゃん、おばあちゃんとお孫さんが絵を届けに書店に来てくださる。書店活性化は、まずお客様に店頭に来てもらわねば始まらない。そして、来店されたら「9月18日は敬老の日。10月15日は孫の日です。絵本をお買い上げください」というチラシを渡す。また、ポプラ社には「読み聞かせ絵本ガイド」を5千部作っていただいた。個店が出版社にお願いするのは難しいが、組合として読書推進のために取り組みたいとお願いすれば引き受けてくれることが多いものだ。このようにして町の本屋として一歩踏み出すことが大切だ。
4月には出版業界では春の読書週間、そしてサン・ジョルディの日がある。愛知県ではサン・ジョルディ・フェスティバルを毎年盛大に行なっている。お客様が要らなくなった本を集めてイベント会場で販売、収益金をチャリティで寄付している。お話し会なども実施している。
昨年は10月に実施したが、本年は7月、8月に「本屋のオヤジのおせっかい中学生はこれを読め!」キャンペーンを行なう。発案者は北海道札幌市・久住書房の久住邦晴さん。「中学生に本を読ませるんだ」という本屋のオヤジの強固な意思が反映した、すぐれた企画だと思う。愛知組合は岐阜組合、三重組合と3県合同でキャンペーンを行なった。ブックリストは久住さんが作ったものを基本に、地方色を出すために手を加えている。中学生は全然本屋に立ち寄らないという声を聞く。しかし「中学生はこれを読め!」は、必ずしも中学生だけに訴えるコーナーではない。子供に読ませるために買った夏目漱石、芥川龍之介を父親、母親が読んでいるというケースも多いようだ。このような行動を本屋が起こすのは画期的なことだと思う。
「孫の日」「中学生はこれを読め!」に取り組むときは、社会的な意義をまず訴えてほしい。本屋じゃなければできない、これは本屋の使命であるということを強く訴えてほしい。
11月には文化の日と秋の読書週間がある。また、私の店では独自に「サンタ作戦」というのをやっている。11月に児童図書2千円以上お買い上げの豊橋市内のお客様に限り、サンタの衣装を着た従業員が12月23日から25日の指定の時間にその本をお届けします、というものだ。スタートして4年になるが、最初の年は12、13人。昨年は90人の方に本をお届けした。
〔地域密着で生き残り図る〕
書店経営実態調査の結果、「書店の生き残り策」として44・6%の方が「地域密着化」をあげている。地域密着化とは、まずお客様に信頼していただくことだと思う。本屋さんをはじめ魚屋さん、八百屋さんなど、昔から町の「~屋さん」と言われている店のシャッターが、次々と閉まっている。「~屋さん」はなぜなくなっていくのか。お客様が皆、郊外のスーパーへ買い物に行くことが日常的になるなど、生活パターンが変化している。
では、「本屋さん」を取り巻く環境はどうか。いつ隣に千坪の店ができても不思議ではないというのが今の状況だ。隣に千坪の店ができたら、町の本屋は生き残ることができるだろうか。後継者に本屋を継いでくれと言うことができるだろうか。切実な問題だ。町の本屋がナショナルチェーンと同じ土俵で勝負することはできない。そうした発想から生まれたのが「孫の日」であり「中学生はこれを読め!」であり「お客様への声かけ」であり、また郷土本を大切にすることだ。
「中学生はこれを読め!」のブックリストを作りながら、名作と言われながら実際には読まれていない作品が非常に多いと感じた。お客様から「どういう本ですか」と訊かれても即答することはできないし、ましてや新刊の多い時代にすべての本に精通することはできない。だから、これだという自分なりの軸を一つ持つことで、店のこれからの行き方を決めることができると思う。町の本屋は、かつての外で売った時代から、今は店でお客様を待つ時代になったが、再び外に踏み出すことができないかと考えている。人件費が高騰する中、人材の確保もこれからの課題だ。
本は心の糧であり、お客様の人生を豊かにすると訴えるのが、本屋の使命だ。ネット書店にできないことをやらなければいけない。巨大書店に対抗するのに、いまの100坪の店を150坪に拡張しても話にならない。そういうことにお金をかけるよりも、お客様に声をかけたほうがいい。
著者、出版社、取次、書店、読者と、すべてがハッピーにならなければ出版業界に未来はない。日書連が書店経営実態調査を実施した目的は、業界全体がハッピーになること。「経営が苦しい」という書店が85%もあるということは、従来のやり方が間違っていたと言わざるを得ない。努力する店が報われるための方策、読者に喜んでもらうための方策を、積極的に提言していただきたい。「出版界が元気になるよう、町の本屋は頑張ります」と、声を出してほしい。読者、地域、取次、出版社……皆さんに喜んでいただける本屋になりたい。私は愛知組合の理事長、日書連の副会長、読書推進委員長など様々な立場にあるが、自分のことをあくまでも愛知県豊橋市の「町の本屋のオヤジ」だと思っている。皆さんと協力して、よりよい出版業界を作っていきたい。

日書連のうごき

1月6日悠々会新年会並びに全国医書同業会新年互礼会に丸岡会長が出席。
1月9日新年名刺交換会に丸岡会長ほか役員が出席。
1月10日新春おでんの会に面屋副会長が出席。日教販市会に丸岡会長と大川専務理事が出席。書店新風会新年懇親会に丸岡会長が出席。
1月11日栗田新春あいさつの会に丸岡会長が出席。
1月15日全国中小小売商団体連絡会に下向理事が出席。
1月16日公正取引委員会竹島委員長講演会、賀詞交歓会に丸岡会長ほか役員が出席。
1月17日東京組合新年懇親会に大川専務理事が出席。第8回JPO運営委員会に志賀副会長が出席。
1月18日情報化推進専門委員会。
1月19日第22回梓会出版文化賞贈呈式に丸岡会長が出席。
1月23日雑誌付録問題三者会談に下向理事ほか役員が出席。
1月24日読売新聞社新春懇親会に丸岡会長が出席。
1月25日埼玉組合研修会に高須副会長が講師として出席。日本図書普及㈱役員会に丸岡会長ほか役員が出席。書店データベース委員会に井門副会長ほか役員が出席。
1月26日第53回出版販売新年懇親会。日書連理事会。出版物公取協理事会。日書連共済会理事会。砺波市情報化研修会に長尾専門委員が講師として出席。
1月29日第33回出版ゾーニング委員会に大橋副会長が出席。全国中小小売商団体連絡会に大川専務理事が出席。読進協常務理事会に丸岡会長が出席。
1月30日出版倫理協議会に大橋副会長ほか役員が出席。第17回出版関連業界電子タグ標準化委員会に大川専務理事が出席。
1月31日平成18年度下期公正取引協議会連絡会議に影山専務理事が出席。出版再販研究委員会に丸岡会長ほか役員が出席。

セミナー

◆ベスト&ロングセラーのつくり方
出版科学研究所は2月27日午後2時から飯田橋の家の光会館で出版セミナーを開催する。『脳内革命』『病気にならない生き方』とベストセラーを刊行するサンマーク出版植木宣隆社長にベストセラー作りの秘訣を聞く。
受講料5千円。申し込みは2月16日までに出版科研出版セミナー事務局へ。電話03・3269・1379番。

参考図書

◇『棚は生きている』
明屋書店、八重洲ブックセンター、ブックストア談勤務経験を生かし『よみがえれ書店』『書店ルネッサンス』『たたかう書店』を執筆、経営・店舗診断に活躍する青田恵一氏が業界誌紙に発表したコラム、エッセーを集めた書。青田コーポレーション出版部発行、八潮出版社発売、四六判上製320頁、定価本体1900円。
第1章「棚に愛と冒険を」は明日香出版社の営業通信「明日香かわら版」の連載、第2章「ノウハウは思いから―棚は生きている」は書店員経験を振り返った書き下ろし。3、4章は書店・出版論。7章「書店コンパリゾンの旅」は個性的で刺激的な棚を作る各地の本屋51店を紹介する。

受賞

◇第52回小学館漫画賞
贈賞式は3月2日午後6時から帝国ホテルで開催。▽児童向け部門=中原杏『きらりん☆レボリューション』(ちゃお)
▽少年向け部門=田辺イエロウ『結界師』(週刊少年サンデー)
▽少女向け部門=田村由美『7SEEDS』(flowers)
▽一般向け部門=井浦秀夫『弁護士のくず』(ビッグコミックオリジナル)
▽審査委員特別賞=ホイチョイ・プロダクションズ『気まぐれコンセプト』(ビッグコミックスピリッツ)

人事

○新任、◎昇任
◇角川グループパブリッシング
(1月1日付)
代表取締役専務、営業本部本部長○関谷幸一
取締役、経営管理本部本部長○冨田和夫
取締役○今井克幸
販売部部長◎横沢隆
経営管理部事業開発グループグループ長◎安藤晃義
販売部文庫グループグループ長◎栗原真史
販売部コミック・ニューメディアグループグループ長
◎池田善裕
*取締役営業局長、田中樹生氏は退任。
(3月1日付)
代表取締役社長(代表取締役専務)◎関谷幸一
取締役会長(代表取締役社長)井上泰一
代表取締役専務○貴志学
◇角川ヘラルド映画
代表取締役社長○井上泰一
◇暮らしの手帖社
取締役編集部長
○松浦弥太郎

実施2万4千校超える/朝の読書、9百万人が取り組む

朝の読書推進協議会の調査で、『朝の読書』を実施している小・中・高校は2月5日現在2万4020校、実施率は62%、取り組んでいる児童・生徒は約900万人となった。
実施校の内訳は小学校が1万5228校、中学校7094校、高校1698校で、実施率は小学校68%、中学校65%、高校33%。近年、中学校の実施率が小学校に急追し、足並みが揃ってきた。都道府県別に見た総合実施率上位は鳥取県(91%)、佐賀県(90%)福井県(87%)、島根県(86%)、秋田県(84%)の順。
『朝の読書』が拡がりを見せる反面、実施校では、「学校図書館の蔵書が少ない」という声が増え、現在の時点で、「蔵書が充分である」と答えた学校は20・0%にとどまる。「どちらともいえない」は28・9%、「不足している」47・6%、「無回答」が3・6%となっている。アンケート結果と学校図書館図書標準の達成割合からみて、7割程度の学校は本不足状態にあると推測される。
平成19年度から実施される「新学校図書館図書整備5カ年計画」では、約1千億円(単年度約2百億円)の予算措置が予定されているが、この予算が100%実行されなければ、学校図書館改善の見込みはなく、学校の読書活動に影響することにもなるため、各自治体の予算完全措置が課題。
また、朝の読書推進協議会では「読書運動は学校だけでなく、家庭や地域を巻き込まないと成果は薄い。『うちどく』を通じて『朝の読書』を実施している学校と家庭を連携させ、社会全体に広げていきたい」としている。

養護施設に図書寄贈/日販労組

日本出版販売労働組合は、昨年12月9日と今年1月20日、27日と3回に分けて都内の児童養護施設等を訪問し、図書寄贈と読み聞かせを行った。
日販労組は2006年度活動方針の1つに「社会貢献活動の推進」を掲げており、今回の取り組みは、昨秋の読書週間に呼応した読書推進キャンペーン(読書週間を告知するクリアファイルとしおりを全国主要駅頭にて配布)に続く活動となる。
この活動は「より多くの子ども達に、本を読む楽しみを体験してもらいたい」という主旨で1982年からスタート。以後25年にわ
たり組合員の募金をもとに継続した活動を行い、これまでに延べ360カ所の施設を訪問している。
今回も約30名の組合員が参加し、児童養護施設等6施設に計229冊の本のプレゼントと共に、子どもたちと歌や踊りなども交えた絵本の読み聞かせを行い、楽しい時間を過ごした。
日販労組では今後も「社会貢献活動」の一環として、「図書寄贈」「読み聞かせ」「読書推進キャンペーン」を継続して実施していく考えである。

本屋のうちそと

ワンポイントリリーフで登板しました「注文の多い本屋」と申します。
日々刻々と変化していく都会のビル群のなかにあって、いつまでも変われない書店。最近は、そんな自分の姿にいらだちすら覚える。業界の事情は良くなるどころか、ますます厳しくなって、店の休・廃業は後を絶たない。一昨年は下げ止まりか、とかすかに期待したのも束の間、ついこの間まで人と話をするたびに「きびしいなー」と口をついて出てきた言葉は、いつしかため息とともに発せられるあきらめの「やれやれ」に置き変わっていることに気が付いて、「こりゃあまずい」と思った。
出版科学研究所の調べによる「2006年書籍・雑誌推定販売額」が発表になった。販売部数では月刊誌が3・9%減、週刊誌は6・5%減、書籍はかろうじて2・1%の微増とのこと。いまさら驚かなくなっており、理由ももう言い尽くされた。
アル・ゴア前米国副大統領が来日、映画の公開とともに発売された『不都合な真実』は、久しぶりに「これぞロングセラーになりうる本」と、直感したが、これが返品され断裁されたのでは、それこそ資源の無駄遣いになってしまう。
書店は頑張って売り切る覚悟で臨むべきだと思う。中身のある、一生持っていたい本一点一点を、キチンと確実に、遅滞なく読者に手渡ししていかれれば、読者は決して携帯やテレビ・ゲームに浮気せず、一日三食の食事から自然と栄養を摂るように、読書習慣を通じて目に見えない「栄養」を吸い取ってくれるだろうと思うのだけれど…。(注文の多い本屋)