全国書店新聞
             

平成26年6月15日号

「子ども読書の日記念事業」に協力/京都組合

京都市図書館は4月12日から23日まで京都市中京区の京都市中央図書館などで、「子ども読書の日記念事業」を開催した。
主催の京都市図書館が「子どもの読書活動推進のための懇談会」と協力し、子どもたちが本と出会い、触れ合えることを目的に毎年実施している。
期間中は市立図書館各館で、地元ボランティアやPTA等の団体による紙芝居・絵本の読み聞かせやパネルシアターが実施されたほか、12日には京都市中央図書館で中学生による熱き知的書評合戦「ビブリオバトル」、13日には布人形を用い触って感じながらおはなしを楽しめる「バリアフリーおはなし会」も開催された。
14日には、中京区の京都市生涯学習総合センター(京都アスニー)で翻訳家・児童文学作家の金原瑞人氏の講演会・サイン会が開催された。金原氏は翻訳作品や書評を通じて、英語圏で定着していたヤングアダルトというカテゴリーを、日本でも1つのジャンルとして認識されるまで広めたことでも知られている。今回は、海外文学に携わってきた経験や、世界各地を歴訪した体験を交えながら、自身が教授として教鞭をとる法政大学社会学部の学生らとともに考え感じたことを論旨に、異文化と交流することの意義や海外文学の魅力について講演した。
京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は、金原氏の翻訳書の販売を担当。当日はサイン会も行われたことから、当初予定した100名を超える参加者が来場し、好評を博した。京都組合は京都市図書館が主体となっている「子どもの読書活動推進のための懇談会」を構成するメンバーで、「子ども読書の日記念事業」には毎年協力参加している。(澤田直哉広報委員)

地元・佐那神社の紹介本を出版/三重組合・小野理事

三重県書店商業組合理事で多気町・多気ブックセンター社長の小野孝男氏が、古事記にも登場し神話の神様が祀られる地元多気町の佐那神社を紹介する本『古事記天手力男』を出版した。
佐那神社は神話物語にある「天岩戸ものがたり」に出てくる天手力男命と天宇受売命、さらに古事記の人代篇に出てくる曙立王が祀られている。古事記には「天手力男命は佐那縣に座せり」と書かれており、曙立王は「伊勢品遅部君・佐那造始祖」と書かれている。小野氏は「古来これらの神々は佐那縣(三重県多気町、旧佐那村地区)に鎮座されていたことはあまり知られていない。だから多くの人たちに知ってほしいと思い紹介本を出した。書店自ら出版することで、地域の活性化に結び付けたい」と語る。
また、「古事記関係の本で佐那神社が掲載されているものは非常に少ない。唯一書かれているのはサンマーク出版の『マンガ古事記』。古事記の本を出すときは是非、佐那神社を入れてほしいと出版社に呼び掛けたい」という。
同書は多気ブックセンターや佐那神社で本体800円で販売している。宣伝はしていないが全国からの注文も多いという。また、佐那神社や多気町の小中学校、図書館に千冊を寄贈した。問い合わせは多気ブックセンターまで。℡0598―38―4361

子どもの読書活動推進フォーラム開催/優秀実践校など表彰

「子どもの読書活動推進フォーラム」(文部科学省、国立青少年教育振興機構)が4月23日、東京・渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催され、文部科学大臣表彰として、読書活動の優秀実践校、優秀実践図書館、優秀実践団体・個人を表彰した。このあと作家の林真理子氏が「小説を書く時間」と題して講演。優秀実践校の事例発表と対談が行われた。

長崎県絵本大賞に2作品/贈りたい絵本、県民が選ぶ/長野組合

長野県書店商業組合(塩川明人理事長)はサン・ジョルディの日を記念して、贈り物にしたい絵本を県民が選ぶ「長野県絵本大賞」を創設。4月23日に第1回受賞作品を発表した。
すべての絵本を対象とした「CLASSIC部門」は『しんせつなともだち』(福音館書店)、過去2年間に発売された新作絵本から選定委員が厳選した20冊を対象とした「CONTEMPORARY部門」は『わたしのくつ』(ポプラ社)が大賞に選ばれた。
3月から4月中旬まで組合加入書店などで投票してもらい、約1千通の応募があった。応募用紙に好きな絵本の感想を書いてもらう「COMMENT部門」の最優秀賞は後日発表する。
長野組合は「組合加入書店で受賞作品の増売活動を推進する」としている。

連結で減収増益の決算/売上高は6819億円/日販

日販は5月30日、第66期(13年4月1日~14年3月31日)の決算概況を発表。子会社20社との連結売上高は前年比3・2%減、当期純利益は同28・1%増で、減収増益の決算となった。単体では、売上高が同2・5%減、当期純利益が同35・9%減で、減収減益だった。
連結の売上高は同3・2%減の6819億1700万円。ネットルートは伸長したものの、雑誌の売上減少が大きく、出版物全体のダウントレンドに歯止めがかからなかった。また、セル・レンタルとも市況が悪く、MPDの売上も前年を下回るなどグループ全体の開発商品も減収となった。
雑誌やセル・レンタルの売上減少による粗利益率の低下の影響で、売上総利益は同3・7%減の743億3000万円となった。
出版共同流通の生産性向上や雑誌送品業務請負により販売費の効率が改善。また、大型FA機器のリースアップや確定給付企業年金制度の終了などで一般管理費を圧縮した。この結果、販売費及び一般管理費は同3・5%減の695億7900万円となった。しかし、売上総利益の減少をカバーしきれず、営業利益は同7・1%減の47億5100万円、経常利益は同8・9%減の52億6600万円。退職給付制度終了に伴う精算益7億3700万円を特別利益に計上し、当期純利益は同28・1%増の22億7800万円と増益になった。
単体は、売上高が同2・5%減の5667億3100万円となった。内訳は、書籍が同0・9%減の2586億7100万円、雑誌が同3・5%減の2889億2900万円、開発商品が同1・5%減の320億5800万円。返品率は、書籍が同0・2ポイント減の31・4%、雑誌が同1・7ポイント増の39・0%、開発商品が同0・5%ポイント減の25・7%で、合計は同0・8ポイント増の35・2%。書籍返品率は6期連続で改善している。
営業利益は同2・2%減の28億8800万円、経常利益は同0・7%増の33億8600万円、当期純利益は35・9%減の20億2900万円となった。
記者会見で加藤哲朗専務は「お客様に店頭に来ていただく集客の施策が大切」として、出版流通改革を目指す日販グループの14年度の戦略として、①返品率25%を目指す書籍ゴールステートメントの達成②リアル書店ならではの魅力を創るBase+1(ベースプラスワン)などを説明した。

書店東北ブロック大会/7月、山形で開催

第66回書店東北ブロック大会が7月10日~11日、山形県上山市の月岡ホテルで開催される。大会事務局は山形県書店商業組合が務める。10日は、午後1時半から大会、午後3時から工業デザイナーの奥山清行氏が「これからの100年をデザインする」をテーマに講演、午後6時から懇親会を行う。11日はゴルフと観光。

読者が選ぶ「書店金賞」/書店再生で増売企画/日書連理事会

日書連は5月28日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催。書店再生増売企画の第3弾として「読者が選んだ2014年『食と健康の本』書店金賞」を9月から12月末まで実施することを承認した。取次各社のPOSデータで売行き上位3点を「書店金賞」に選出。金賞の冠を付けることで話題性を持たせ、増売と店頭活性化に結び付ける。
〔書店再生委員会〕
東京都書店商業組合の書店再生委員会から提案された増売企画「読者が選んだ2014年『食と健康の本』書店金賞」の実施を決めた。
この企画は実用書増売企画「食と健康」の第3弾。第2回「食と健康」に出品した出版社との意見交換会を3月28日に行い、ここでの検討結果を踏まえ、5月7日の東京組合再生委員会で「増売企画をインパクトのある形に変え、今後も継続できるものに育てたい」との考えから立案した。
今回も「食と健康」をテーマに、9月から12月末まで実施する。
出版社はイチオシ商品を1社1点エントリー。今回は第2回「食と健康」参加の12社を軸に10~15社に参加を要請する。
各3冊をセット組みして参加書店を募集する(1店2セットまで注文可)。日書連傘下組合加入書店に趣意書と日書連企画注文書を送付。これをもって参加店登録とし、報奨金の対象とする。注文書は「セット注文書」(4ヵ月長期委託)と「出版社別FAX注文書」(セット注文せず単品注文の書店でも参加登録が可能)の2種類。
また、出版社ごとの追加注文書をセット組みに出版社×2枚ずつ同梱する。書店は追加注文書を各出版社へFAX発注。出版社はセット組み店着以降の受注を注文扱い、版元指定とし、優先出荷する。これにより、組合未加入書店、非参加店との差別化を図る。
セット組み店着から3ヵ月間の取次各社のPOSデータを集計して売行き上位3点を「書店金賞」とし、東京・千代田区の書店会館で金賞発表会を開催、日書連ホームページや記者会見などで公表する。
金賞決定後は、出版社の判断でPOPや帯に「食と健康の本・書店金賞」などのコピーを入れて、増売・店頭活性化を図る。
販売数管理・報奨金については、POS導入店はPOSデータを対象とする。スリップ対応店は、前回と同様、日書連にスリップを送付する。組合未加入店も注文・販売は可能だが、報奨金の対象は日書連企画注文書の使用分に限る。報奨金集計は、金賞決定後、約1ヵ月間を締切日として参加店別に集計し、精算作業を行う。
今後のスケジュールは以下の通り。
▽6月中旬=各出版社エントリー本の決定。その後、参加書店募集(7月15日まで)▽7月中旬~8月下旬=エントリー本の納品、セット組み作業、送品準備等▽9月上旬=セット商品の書店着荷。販売開始(POS集計のカウント開始)。POSレジの販売データ収集(11月下旬まで約3ヵ月間)▽11月下旬=金賞発表会▽金賞発表後=更なる売り伸ばしを図る(12月31日までの約1ヵ月間)▽1月中旬頃=スリップ送付締切(日書連宛)。以降、報奨金精算作業。
小泉忠男委員長は①「書店金賞」という冠を付けることで話題性を広げ「売れる本」に仕立てる②金賞商品の選定は取次のPOSデータを活用③組合未加入書店と明確な差別化を図る――を3本柱に据えて成功させたいと意気込みを示した。
〔取引改善委員会〕
5月27日、日販、大阪屋、栗田、日教販、太洋社の取次5社が返品物流業務提携で設立した出版共同流通㈱の蓮田センター(埼玉県蓮田市)を見学した。同センターは雑誌とコミックを扱っている。参加した日書連役員は柴﨑繁委員長をはじめ藤原直副会長、佐藤光弘理事、大石宏典理事、堤洋理事、福田健太郎理事、田中隆次理事、楠田哲久理事、足立岳彦監事。柴﨑委員長は同センターの返品処理工程など見学の模様を報告した。
〔流通改善委員会〕
日書連MARCに国立国会図書館のNDLサーチの書誌データを取り入れて運用を始めた件で、契約がすべて完了したことを藤原直委員長が報告した。
日書連から日本出版インフラセンター(JPO)に
事業移管した店頭試し読みシステム「ためほんくん」については、コミック版と絵本版を1台の画面で切り替えることができないかとの提案が運営委員会であり、今後の検討課題にすることとなった。
〔消費税問題〕
自民、公明両党は軽減税率対象品目の選定基準を確定し、5月15日の与党税制協議会で食料品の軽減税率8案を提示した。
面屋龍延委員長は「食料品が優先され、(10%引き上げ時の出版物への軽減税率適用は)厳しい状況」との認識を示し、「日書連は署名運動を精一杯やってきた。自民党税調の議員を中心に請願活動を行っているところだ」と述べ、食料品と並ぶ文化的生活必需品である出版物への軽減税率を求める運動を引き続き行っていく方針を確認した。
出版物への軽減税率適用を求める「50万人署名」は5月28日現在、19万2728名分が集まっている。
〔組織委員会〕
各都道府県組合の4月期加入・脱退状況は、新規加入1店、脱退50店、差し引き49店減となり、全国の日書連傘下組合加入書店数は4175店になったと中山寿賀雄委員長が報告した。
〔指導教育委員会〕
「全国小売書店経営実態調査」の準備作業の進捗状況を鈴木喜重委員長が報告。調査項目について、送品・返品同日精算の実現に関する質問を入れること、自由記入欄では取次や出版社に対する意見をテーマを設け回答してもらうことを検討しているとした。
出版倫理問題では、東京都が5月16日付でKADOKAWA発行の漫画『妹ぱらだいす!2』を青少年健全育成条例に基づき不健全図書に指定。同社から各書店に店頭から撤去、返品するよう求める文書が送られ自主回収されたと井上俊夫理事が報告した。
〔読書推進委員会〕
10月27日から11月9日までの2週間にわたり実施する第41回「読書週間書店くじ」の実施要綱を承認した。特等賞は「図書カード5万円分」30本。
〔広報委員会〕
今年の全国広報委員会議は、全国中小企業団体中央会の中小企業活路開拓調査・実現化事業として実施する場合は10月21日~22日の2日間、従来通り日書連広報委員会主催の場合は10月22日に開催すると面屋龍延委員長が報告した。
〔政策委員会〕
第14回「家の光読書エッセイ」(家の光協会主催)の後援を承認した。

景品規約の主旨徹底図る/規約解説書の改訂版作成へ/出版物小売公取協総会

出版物小売業公正取引協議会(舩坂良雄会長)は5月28日、東京・千代田区の書店会館で2014年度通常総会を開催。来賓として消費者庁表示対策課規約担当課長補佐の杉浦正昭氏、同規約第一係長の安藤香織氏が出席した。
総会は戸和繁晴理事の司会で進行し、委任状を含め理事34名が出席と報告。祝辞を述べた消費者庁の杉浦課長補佐は、全国で相次いだメニューや食材の虚偽表示問題を受け、不当表示の監視指導体制を強化する景品表示法改正案が現在参議院で審議中だと説明するとともに、消費者庁としては、公正競争規約の適正な運用や変更等をしっかり支援していきたいと話した。
続いて、舩坂会長を議長に選任。舩坂会長は審議に先立ち、「景品規約については全国から質問が寄せられ、その都度適切に処理し、事例を報告している。今後とも皆様のご協力をよろしくお願いする」とあいさつした。
この後議案審議を行い、平成25年度事業報告、収支決算報告・監査報告、平成26年度事業計画案、収支予算案などをいずれも原案通り承認した。
事業報告は影山稔専務理事が説明。協議会の役員選任について、日書連の役員改選結果に準じて選考することを昨年2月の理事会で承認、同7月開催の臨時総会で新役員人事案を承認したことを報告した。また、協議会の「組織及び運営に関する規則」については、会員数の減少で現在の規則に準じての監事選出が不可能となることが予想されるため、当該規則の一部変更を昨年5月の総会で承認し、同9月に消費者庁と公正取引委員会から承認を得たことを報告。このほか、規約について公取協に寄せられた相談事例38件の中から代表的事例を解説した。
平成26年度事業計画については、①出版物小売業の「公正競争規約」に対する理解と検討。そして正しい運用、普及のための活動、研修会等の開催。②景品表示法をはじめ、関係法令の研究並びに規約違反の防止。③一般消費者、消費者団体及び出版業界団体との連絡。④関係官庁との連絡。⑤広報活動。⑥出版物小売業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約の解説、運用の手引きの改訂版の作成――の活動方針を決めた。
質疑では、紙の雑誌の購入者に、同じ雑誌の電子版を無料で提供するサービスについて、「電子版を『付ける』というような、景品と思わせる表現を使ってよいか。言葉の用い方によって混乱するのではないか」との質問があった。これに対して消費者庁の杉浦課長補佐は、紙と全く同じものを電子版で提供するのであれば、同一内容のものを2つの媒体で利用できる「単一商品」と考えるため、そのサービスをどのように表現するかに関わらず、景品表示法の対象外であると回答した。

武雄市図書館を視察/鹿児島組合移動理事会

鹿児島県書店商業組合(楠田哲久理事長)は5月23日、24日の両日、佐賀県で移動理事会を開催し、佐賀県の武雄市図書館と伊万里市民図書館の研修視察を行った。
マスコミで何度も取り上げられユニークで先進的な武雄市図書館と、市民目線と手作りをコンセプトにした伊万里図書館の対照的な運営は興味深く、両図書館とも担当者が懇切丁寧に説明、質疑応答も活発に行われた。理事の多数は「市民は武雄のほうが斬新で魅力的と思うかもしれないが、市民とともに成長していく図書館を目指す伊万里のほうが好感が持てる」との意見だった。
視察終了後、佐賀県書店商業組合の堤洋理事が講演した。(和田豊広報委員)

大阪屋・大竹社長が再建策説明/大阪組合・面屋理事長と会談

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は4月10日、大阪市西区の大阪屋本社(編集部注=5月7日に東大阪市へ本社移転)を訪れ、2月28日の臨時取締役会で社長に就任した講談社非常勤取締役の大竹深夫社長と会談した。
大阪組合では大阪屋をメイン取次としている組合員が多く、業績悪化で再建策を模索する大阪屋の動向に対する関心が高いことから、大竹新社長に同社の施策と今後の展望を聞いた。
大阪組合は面屋理事長と深田健治副理事長、堀博明常務理事、東正治広報委員長が訪問。大阪屋は大竹社長と早川三雄取締役相談役、小山登取締役営業本部長が応対した。
大竹社長は「大阪屋の経営状態は非常に厳しい。大阪屋再生委員会を構成するKADOKAWA、講談社、集英社、小学館、大日本印刷、楽天の6社は、大阪屋がなくなれば、現在大阪屋と取引のある約2千口座の書店のうちかなりの書店の業務に大変な支障をきたすことになりかねないと考えたと思う」として、「街の本屋を守るためにも大阪屋を何とかしたいというのがまず念頭にある」と述べた。また、「大手取次2社だけになってしまうと、取次の効率が優先され、出版と販売の多様性が失われる危険がある」とし、第三極的な取次として大阪屋が必要と力説した。
経営再建に向けた施策については、「大阪屋再生委員会をスタート、経理や財務、販売に強い人材を各社から出してサポート委員会を作り、ワーキンググループを設けた。オムニチャネル化、商流機能と物流機能に分けて考える、アウトソーシング化などを含め、会社組織のあり方から財務の健全化、新しいビジネスモデルについて検討を進めている」と説明した。
また、売上に見合った人員規模にするため早期退職を進め、3月末現在330名の社員を9月までに200名にするとして、「まず単年度で営業利益を出せるようにすることが重要」と述べた。物流部門の人員減少は外注先の下請け会社の人員強化で対応。書店回りや版元への仕入れの人員整理は最小限にとどめ、極力影響が出ない形で体制の見直しを進めているとした。
東大阪市の関西ブックシティ(KBC)所在地への本社移転では、想定以上の金額で売却できたことで「再生に向けた財務の改善に大きく寄与する」と評価した。また、KBCに移ることで店売機能と営業マンが合流する形になり、書店と本を見ながら話が出来る昔ながらの環境になることから、「今まで以上に書店に利用してもらえるようになる」と実務面のメリットにも言及した。
新生大阪屋を創る上でのポイントは「物流機能」とし、「KBCの一層の活用を模索し、大阪に根差す大阪屋にしていく」と強調。「クォリティでナンバーワンを目指す。そして、新しく書店を始めたい人が業界に参入しやすい取次でありたい」と意気込みを語った。(東正治広報委員)

客離れ・売上減への対応急務/組合加入メリット強化/福島総会

福島県書店商業組合は5月28日、二本松市岳温泉の光雲閣で第30回通常総会を開催し、組合員41名(委任状含む)が出席した。
開会あいさつで西猛理事長は、県内書店の売上不振に触れ、「次々と変化する販売環境に対応できず、客離れが売上を下げている。生き残りを賭けて変革に取り組んだ富士フイルムのように、組合は山積する諸問題に至急取り組まねばならない」と述べた。
来賓あいさつで、県中小企業団体中央会の西坂氏は「本が売れないことや客離れをテーマとしたセミナー、勉強会の開催を支援したい」と述べた。
議案審議では事業報告、決算報告、事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決。事業報告では、福島組合が事務局を担当した昨年の第65回書店東北ブロック大会が盛会だったこと、昨年8月に開催された「絵本ワールドinふくしま2013」で郡山書店協同組合の協力により児童書販売を行い145万円を売り上げたことなどを報告。事業計画案では①電子書籍化の動きに対応するため、日書連と連携してIT研修を実施する②増売研修会や包装紙・紙袋の共同購入などで組合加入メリットを強化し、組合加入促進を図る③今夏も「絵本ワールドinふくしま」を開催する――などを決めた。(大内一俊広報委員)