全国書店新聞
             

令和4年10月1日号

「本との新しい出会い、はじまる。~BOOKMEETSNEXT~」/「秋の読書推進月間」キャンペーン名決まる

10月27日(木)~11月23日(水)の28日間、出版業界が団体の枠を超えて一丸となって取り組む「秋の読書推進月間(仮称)」のキャンペーン名が「本との新しい出会い、はじまる。~BOOKMEETSNEXT~」に決まった。
このキャンペーンは、読書推進運動協議会、日本図書普及、出版文化産業振興財団(JPIC)、「本の日」実行委員会で構成する運営委員会(高井昌史委員長=紀伊國屋書店会長兼社長)が主催。例年、各団体・企業がそれぞれ行っている読書推進運動をこの期間に一斉に行うことで、書店店頭活性化でより大きな効果を狙おうというもの。「読書週間」(読書推進運動協議会主催)、「本の日」(「本の日」実行委員会主催)や全国各地の読書推進事業とも連携し、地域・帳合の区別なく全国の書店が横断的に参加する。
キャンペーン期間中は全国一斉に読書推進運動を展開。年齢を問わず地元の読者を書店に呼び込むための活動を行い、これからの読者層である若者への読書推進策にも力を入れる。実行委員会では、デジタルスタンプラリー、「かがみの孤城」映画化店頭企画、ニコニコカドカワ祭り第2弾などの実施を予定している。
事務局を務めるJPICの松木修一専務理事は、9月15日の日書連定例理事会に来会し、期間中の積極的なイベント(独自企画含む)の開催と、各書店が取り組むイベント内容についての情報提供を要請した。
各取次が書店の取り組みについてヒアリング調査を実施し、情報収集する。取次集約期間は1次締切が10月5日、2次締切が10月14日。提供された情報は、キャンペーン専用ホームページへの掲載、各都道府県庁の広報課への情報提供など、キャンペーンを盛り上げるために使用する。
松木氏は「ホームページにイベント情報を掲載することで、業界一丸となって取り組んでいることをアピールしたい」と語った。

第5回「ロス対策士検定試験」11月に実施/万防機構

全国万引犯罪防止機構(万防機構)は11月9日正午から同10日正午、オンラインで第5回「ロス対策士検定試験」を実施する。試験開始から60分経過すると自動的に試験が終了するため、10日の午前11時までに受験する必要がある。
受験対策セミナーも10月12日午後1時~3時に実施する。受講費無料。アーカイブ配信も行う。
ロス対策士検定試験制度は昨年7月にスタートし、これまで424名のロス対策士が誕生している。資格取得者はそれぞれ業務の中でロス削減に取り組んでいる。書店関係者も奮って受験していただきたい。
検定試験とセミナーの申し込みは万防機構ホームページから。https://www.manboukikou.jp/exam-about/#exam

10月16日は「孫の日」祖父母から絵本プレゼント/おすすめ本17点を展示販売/愛知組合

愛知県書店商業組合(春井宏之理事長)は、9月19日の「敬老の日」から10月16日の「孫の日」をはさんで11月9日の「読書週間」の最終日まで、「孫の日キャンペーン」を展開している。
祖父母が孫に本を贈り、本が好きな豊かな心を持つ子どもに育ってもらおうと2004年から実施。今年は20書店が参加し、「孫の日おすすめ本」として絵本・児童書17点を展示販売する。購入者には書店組合特製のキャンペーン用雑誌袋や各種拡材を用意している。
また、10月9日に名古屋市昭和区の名古屋市公会堂で開催される「なごやっ子読書イベント」の書店組合ブースで、「孫の日おすすめ本」の展示即売や絵本作家いしかわこうじ氏の読み聞かせ会・サイン会を実施する。
[おすすめ本]
▽『おでかけおでかけ』文=フィリス・ゲイシャトー/絵=デイヴィッド・ウォーカー、岩崎書店▽『ものづくりっておもしろい!おもちゃから乗り物まで』文=小林竜太/絵=米村知倫、偕成社▽『ねこのようしょくやさん』KORIRI、金の星社▽『大ピンチずかん』鈴木のりたけ、小学館▽『おふくさんのおふくわけ』服部美法、大日本図書▽『うまれてきてくれてありがとう』文=にしもとよう/絵=黒井健、童心社▽『10かいだてのまほうつかいのおしろ』のはなはるか、PHP研究所▽『旅の絵本』安野光雅、福音館書店▽『しっぽしっぽしっぽっぽ』木曽秀夫、フレーベル館▽『バムとケロのにちようび』島田ゆか、文溪堂▽『リモコン』新井洋行、くもん出版▽『いぬいろいろかくれんぼ』いしかわこうじ、ポプラ社▽『どうぶついろいろかくれんぼ』いしかわこうじ、ポプラ社▽『ハロウィンのかくれんぼ』いしかわこうじ、ポプラ社▽『くだものいろいろかくれんぼ』いしかわこうじ、ポプラ社▽『パンダくんのおにぎり』いしかわこうじ、ポプラ社▽『ふねくんのたび』いしかわこうじ、ポプラ社

「全国広報委員会議」10月19日に開催

日書連広報委員会(光永和史委員長)は10月19日(水)13時30分~16時30分、東京・千代田区の出版クラブホールで「全国広報委員会議」を開催する。前回2020年はコロナの影響で中止したため、4年ぶりの開催となる。
当日は日書連本部広報委員、各都道府県組合広報委員、本紙編集部員が集まり、広報活動の課題について意見交換を行う。矢幡会長との懇談、読売新聞記者の講演会も予定している。

10月27日からスタート/第76回読書週間

10月27日から始まる「第76回読書週間」(読書推進運動協議会主催)のポスターが出来上がった。今回の標語は応募総数742点から選ばれた天野耕平さんの「この一冊に、ありがとう」。イラストは応募総数319点から選ばれたたしまさとみさん(福岡県)の作品。

「組合員数減少で厳しい状況」/宮脇代表理事が危機感示す/香川総会

香川県書店商業組合は8月19日、高松市のホテルパールガーデンで令和4年度通常総会を開催し、組合員23名(委任状含む)が出席した。
総会は髙木敏彦事務局長の司会で始まり、宮脇範次代表理事があいさつ。今年も組合員数の減少や売上の減少で厳しい状況にあると危機感を表明し、「全国の書店経営者を支える議員連盟」(書店議連)の活動について説明した。
続いて宮脇代表理事を議長に議案審議。令和3年度事業報告、決算報告、監査報告、令和4年度事業計画案、予算案、経費の賦課額及び徴収方法を原案通り可決承認した。
総会終了後、宮脇代表理事から、今年もコロナ対策で来賓招待や懇親会のない形式にしたことを説明し、雑談後に散会した。
(髙木敏彦事務局長)

組合員への情報提供強化/インボイス制度のセミナー開催へ/滋賀総会

滋賀県書店商業組合は8月23日、大津市のコラボしが21で第39回通常総会を開催した。新型コロナウイルスの第7波の影響で昨年に続き執行部のみ出席し、書面議決をもって審議した。
桑野専務理事の開会宣言の後、平井浩理事長があいさつ。「コロナ禍に加え、ロシアのウクライナ侵攻、円安、物価上昇など業界を取り巻く状況は予断を許さない。書店の減少も続いている。組合員への情報提供や、この状況下でも開催可能なイベントを企画したい」と決意を語った。また、来年10月1日から始まるインボイス制度への準備に不安を感じている組合員への情報提供とセミナー開催について説明した。
平井理事長を議長に議案審議を行い、令和3年度事業報告、収支決算報告、監査報告、令和4年度事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り可決承認した。
来賓の滋賀県中小企業団体中央会の早瀬和志指導課長が祝辞を述べ、桑野専務理事の閉会宣言で終了した。(川瀬浩太郎広報委員)

「春夏秋冬本屋です」/「1枚のチラシから」/埼玉・水野書店代表取締役・水野兼太郎

毎月、当店ではイベントが行われている。主催は各グループが行い、準備や集客の案内を出すことが多い。特に10月はイベントが目白押しで準備が忙しい。
店に「お話し会」のチラシが届いた。親子やお孫さんのいる人へチラシを配り、参加を呼び掛ける。当日はキッズサークルを片付け、椅子を並べて準備する。絵本専門士や朗読指導者の会の皆さんの打ち合せが終わり、親子や大人の参加者が集まる。嬉しそうに聞き入る子どもたちやパパ、ママたちの姿はいつも微笑ましい。定期的に活動しているグループにPOPを描いてもらい、最新の絵本の紹介もしてもらえるのでありがたい。
歴史オタクの私が好きなイベントに地元さいたま市岩槻区の「岩付城」に関する講演会がある。カフェスペースのテーブルを運び出して椅子を並べる。参加者は45名。マイクやプロジェクター、パソコンとつないで準備万端となる。会場準備はボランティアや参加者が進んでやってくれる。
他にも当店で開催するイベントに三色パステルアートや型染めなどのワークショップがある。ギャラリー会場としては水彩画展や陶芸展など地元の作家さんたちの発表の場にもなっている。
書籍売場は減ったが、地域の情報発信基地として書店が利用されることを願っている。小書店が生き残る道を探っているこのごろだ。

受賞作21点を表彰/造本装幀コンクール

第55回造本装幀コンクール(主催=日本書籍出版協会、日本印刷産業連合会)の表彰式が9月5日、東京・千代田区の日比谷図書文化館で開かれ、文部科学大臣賞の『てんじつきさわるえほんさわってたのしいリーフブックさかな』(小学館刊)、経済産業大臣賞の『広告Vol.415特集:流通』(博報堂刊)、東京都知事賞の『TAPESTRY』(五味岳久刊)など受賞作21点を表彰した。
日本書籍出版協会の小野寺優理事長(河出書房新社)は「造本や装幀は作品の魅力や世界観を表現するとともに、人々の目を引き付け、手に取りたいと思わせる役割を担っている」と述べ、受賞者の仕事と作品に敬意を表した。
受賞作品の公開展示が10月24日~11月30日、東京・千代田区の出版クラブビル内クラブライブラリーで開催される。入場無料。

「木曜日は本曜日」習慣化プロジェクト/著名人20名が選書した本増売/東京組合

東京都書店商業組合は9月5日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催し、東京都中小企業団体中央会の支援事業「デジタル技術活用による業界活性化プロジェクト」を活用して実施する「『木曜日は本曜日』習慣化プロジェクト」について、同特別委員会から進捗報告や企画説明があった。
同プロジェクトは、「毎週木曜日を、本曜日に」と銘打ち、生活者が継続的・習慣的に本屋に訪れる仕組みを、リアル(店舗販売、販促グッズ)とデジタル(特設Webサイト、動画コンテンツ、SNSでの発信)で構築する取り組みで、今年10月~来年2月の20週間実施する。
店舗での販売については、本好きの著名人20名が各自選書した本(1人10点×各2冊、計20冊予定)を期間中、毎週組合から特別増売商品として全店に送付することを諮り、承認した。店頭陳列開始日は10月6日。キャンペーン用POPと特製しおりも用意し、別途送付する。各店では対象書籍の陳列・販売、POPの店頭掲示、対象書籍購入者へのしおりの配布を実施し、書籍・POP・しおりは毎週木曜に入れ替える。読者に継続的に店へ足を運んでもらうため、「本曜日」(木曜日)に合わせて各店独自に来店客数増加と売上増加に取り組んでもらうこととする。
また、10月6日の陳列開始日に合わせ、組合員店舗で著名人1名による一日店長・トークセッションなどを開催する予定。著名人20名には組合員店舗での撮影にも協力してもらい、本屋での本との出会いなどについて語った動画を組合YouTubeチャンネルで10月6日から公開を始める。
厚生・倫理委員会では、「令和5年新年懇親会」の開催について諮り、新型コロナウイルスの影響を鑑みて中止を決定した。
指導・調査委員会では、「令和4年度書店経営研修会」を10月26日(水)14時より書店会館で開催することを承認した。テーマは「ロス対策について」。講師は全国万引犯罪防止機構理事の近江元氏。
事業・増売委員会では、NHK出版が企画説明を行った『名刀甲冑武具大鑑』(11月発売予定)を増売企画商品とすることを承認した。また、『健やかな毎日のための栄養大全』(11月発売予定)を特別増売企画商品とすることを承認。『栄養大全』3冊と、既刊の『からだのための食材大全』『不調を食生活で見直すためのからだ大全』各2冊の合計7冊を全店に配布する。集英社の「アジア人物史」(全12巻+索引巻、12月刊行開始)は、全巻予約購入者特典が付くと説明、予約販売に積極的に協力をと要請があった。

日書連のうごき

8月1日出版ゾーニング委員会に渡部副会長が出席。
8月3日小学館訪問に矢幡会長が出席。
8月4日本の日実行委員会に矢幡会長が出席。
8月25日聖教新聞社書店説明会に矢幡会長が出席。出版流通白書事務局打合せに事務局が出席。
8月29日読進協野間賞一次選考に事務局が出席。
8月30日中小小売商連絡会に事務局が出席。
8月31日書店大商談会実行委員会に矢幡会長が出席。

『おらおらでひとりいぐも』(河出書房)若竹千佐子氏にドイツ文学賞

アジアやアフリカなどの女性作家の作品を対象とするドイツの文学賞「リベラトゥール賞」に、若竹千佐子氏の『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社)が選ばれ、9月7日にオンライン記者会見が行われた。
日本作家の受賞は、同賞が1987年に創設されて以来初めて。『おらおらでひとりいぐも』は文藝賞、芥川賞を受賞した若竹氏のデビュー作で、夫に先立たれた74歳の女性が老いや孤独と向き合っていく姿を東北弁を交えてつづる。
若竹氏は「作家としては63歳と遅い出発で、私の思いが詰まった1冊があればというのが願いだった。それが、こうだったらいいのにと思うことの百倍くらいどんどん実現されて、本当にうれしい。海外の本屋で私の本を手に取り読んでくださる人がいて、そしてドイツで名誉ある文学賞をいただいたということに感激している」と話した。
翻訳者のユルゲン・シュタルフ氏は同作の東北弁について、悩んだ末にドイツ東部の方言をみつけ、生かして翻訳することを決意したと振り返り、「方言の部分は文献学者に頼んで直してもらった。戻ってきた原稿を読むとまるでスープに塩を入れるように味が出た。うまくいってうれしい」と語った。
ドイツ語版の出版社、カス・フェアラーク社のカティア・カッシング社長は受賞について「人間であるとはどういうことか、自分のアイデンティティを作るための言葉はどういう役割を果たしているかという点はドイツ人にも共通していて、その意味で読みやすく、賞にもつながったと思う」と述べた。

7月期販売額は9・1%減/週刊誌は返品率大幅改善で堅調/出版科研調べ

出版科研調べの7月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比9・1%減となった。内訳は、書籍が同6・9%減、雑誌が同11・5%減。書籍は店頭販売が苦戦し、返品も増加が続いた。雑誌は2ヵ月連続の2桁減。内訳は月刊誌が同13・4%減、週刊誌が同2・4%減だった。
週刊誌は売行きの良い雑誌が多く、返品も大幅に改善したことで小幅減にとどまった。7月2週目発売の総合週刊誌は、安倍晋三元首相が銃撃され死去した事件を考察・特集し、売行きが非常に良かった。また『週刊少年ジャンプ』(集英社)、『週刊少年サンデー』(小学館)が出版社の枠を超えたコラボ対談企画を実施し急伸した。
書店店頭の売上は、書籍が約7%減。各ジャンルとも低調だったが、7月20日発表の芥川賞・直木賞受賞作の売上が好調だったこともあり文芸書は約3%減にとどまった。
雑誌の売上は、定期誌が約8%減、ムックが約1%減、コミックスは約13%減。ムックは旅行ガイドやNHK出版、宝島社などのシニア向け企画が好調だった。

「単一の業態から変身を」/神奈川県組合通常総会で松信理事長

神奈川県書店商業組合は8月23日、横浜市戸塚区の有隣堂営業本部ビルで第45回通常総会を開催し、組合員74名(委任状含む)が出席した。新型コロナウイルス感染防止のため、本人出席を最小限にとどめた。
総会のあいさつで松信裕理事長(有隣堂)は、書店の現状について言及し、「猛暑による来客数減、コロナの第7波到来、何よりロシアとウクライナの戦争に端を発した物価高騰で、家計が圧迫された人々の財布の紐は締まったままで、本離れに拍車がかかった。粗利益率の改善やキャッシュレス手数料の低減、返品運賃の改善など、答えを出さなくてはならない問題は山積しているが、どれも未解決のままだ」と懸念を強めた。
一方、大手出版社はコンテンツの海外販売や電子化で好決算を出しており、書店の厳しい状況と格差が広がっていると指摘して、「このままでは版元は書店という伝統があり基本的な売場を失うことになろうかと思う。我々が生き残っていくためには経営に工夫を凝らし、自助努力を重ね、書籍の販売という単一の業態から積極的に複眼的な変身を遂げていかなくてはならない。そこまで追い詰められていることを再度自覚し、対抗策としての変身を遂げたい」と意識改革を訴えた。
総会では、令和3年度事業報告、決算並びに監査報告、令和4年度事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認可決。任期満了に伴う役員改選で、松信理事長を再選した。

国会議員へ書店議連加入の要請進める/「帯コン」今年も紙上表彰式に/大阪組合

大阪府書店商業組合(深田健治理事長)は9月10日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。
重要議題の審議・報告で深田理事長は、自民党大阪府連の国会議員に「全国の書店経営者を支える議員連盟」(書店議連)へ加入を要請する活動について報告した。7月16日に柳本顕衆議院議員(比例近畿ブロック)を訪問し、後日加入手続きを完了したとの連絡があったと説明。8月も国会議員への要請活動を行い、松川るい参議院議員(大阪選挙区)の事務所から、加入手続き完了の連絡があったと報告した。
また、新年互例会の開催について諮ったところ賛否同数だったため、10月理事会で決定することにした。
庶務報告では、大阪府子ども家庭局子ども青少年課「大阪府青少年健全育成優良店」表彰に、隆祥館書店の二村知子氏を推薦すると説明があった。
読書推進委員会では、大阪こども「本の帯創作コンクール」(帯コン)について報告。新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、会場での表彰式は今年も中止し、「朝日新聞紙上表彰式」で受賞作品を発表する。帯コンの審査会や、受賞作品帯を付けた本の取次への注文締切などのスケジュールを説明した。
「BOOKEXPO2022秋の陣」は、11月2日(水)に大阪市北区のグランフロント大阪で開催すると説明があった。
(石尾義彦事務局長)

読書アドバイザー養成講座が開講/全国から125名が受講/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)は8月27日、第29期JPIC読書アドバイザー養成講座の開講式をオンラインで開催した。
今期は、全国各地から125名が受講。来年3月までの全4回8日間のスクーリングのうち、第1回から第3回をオンライン、第4回を東京・千代田区の出版クラブで開催する。修了式は3月26日。
開講式では、JPICの近藤敏貴理事長(トーハン)のあいさつを松木修一専務理事が代読した。近藤理事長は出版業界の状況について触れ、「デジタルシフトの進行と紙媒体の地位低下、輸送コストの高騰、非効率な仕組みの残る流通など、様々な課題が山積している」として、課題改善に向け出版業界で動いており、JPICはその中心となって様々な取り組みを進めていくと説明。特にこの秋から始める読書推進運動は盛沢山の企画を用意しており、楽しみにしてほしいと述べた。
そして、「JPICが様々な取り組みができるのは読書アドバイザーの皆様の力があるからだ。講座修了後は一緒に新たな読者を育ててほしい」と結んだ。
祝辞を述べた日本雑誌協会・堀内丸惠理事長(集英社)は、「JPICでは、業界一丸となって書店を盛り上げることで日本の出版文化を守ろうと精力的に活動している。特に今年秋の読書キャンペーンでは、全国の書店をつないだ大規模な展開を目指して準備を進めており、出版社も全面的に協力していく。講座修了後も、修了生の自主運営組織であるJPIC読書アドバイザークラブでの活動を通じ、多くの方に読書の楽しみを伝えていただきたい」と話した。

紙の出版販売金額今年上期は7・5%減/コロナ特需の終息で苦戦/出版科研調べ

出版科学研究所は2022年上半期(1~6月)の書籍・雑誌分野別動向をまとめた。これによると紙の出版物の推定販売金額は5961億円で前年同期比7・5%減となった。内訳は書籍が同4・3%減の3526億円、雑誌が同11・8%減の2434億円。電子出版市場は同8・5%増の2373億円になった。
〔主要ジャンルがいずれも前年割れに/書籍〕
書籍の販売金額は3526億円、前年同期比4・3%減。前年は新型コロナウイルス感染症拡大による巣ごもり需要で、販売金額は同4・8%増と好調に推移していた。今年はコロナ特需が終息。また2月のロシアによるウクライナ侵攻を機に国際情勢が緊迫、エネルギーや食料品など様々な生活用品が値上がりしており、消費者に出版物の購入を見送る動きも出つつある。ベストセラーの部数水準が下がり、重版のかかりも鈍化している。ジャンル別の動向を見ると、文芸、ビジネス、文庫本、新書など主要ジャンルがいずれも前年割れに。これまで好調だった学参や児童書もマイナスで推移した。
販売部数は、同5・9%減の2億6935万冊。新刊平均価格は同1・2%増の1253円、出回り平均価格は同1・5%増の1262円だった。金額返品率は前年と同率の30・9%。推定出回り金額が同4・3%減と送品は減少傾向にあるが、店頭の販売不振から4月以降は返品が増加している。新刊点数は同5・5%減の3万2940点で、このうち取次仕入窓口経由が同1・1%減の2万3853点、注文扱いが同14・8%減の9545点。
22年上半期のジャンル別動向を見ると、文芸書は前年同期より約13%減。第166回直木賞受賞の米澤穂信『黒牢城』(KADOKAWA、24万部)は21年末の4大ミステリランキングで全て1位を獲得して話題を集めたが、1月の受賞でさらに売り伸ばした。同じく直木賞受賞の今村翔吾『塞翁の盾』(集英社)も春頃まで売れ続け17万部を突破した。22年本屋大賞受賞の逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房、46万部)は、ノミネート前から高評価を得て売れていたが、第二次大戦の独ソ戦を題材にしていることから、ロシアのウクライナ侵攻も影響して売行きを伸ばした。ビジネス書は約10%減。ロングセラーを中心に一部タイトルに売行きが集中したが、新たに牽引する作品や中規模ヒット作が少なかった。文庫本は約5%減。20年、21年は既刊が健闘したが、今年はその動きも落ち着き、全般に低調だった。児童書は約3%減。前年は巣ごもり需要が継続し、絵本、図鑑、読み物など全ジャンルがよく売れていたが、今年は売行きが鈍化した。
〔コミックスの落ち込みが響き2桁減/雑誌〕
雑誌の販売金額は2434億円で前年同期比11・8%減。内訳は、月刊誌が同12・8%減の2033億円、週刊誌が同6・3%減の401億円。月刊誌の内訳は定期誌が同約5%減、ムックが同約1%減、コミックスが同約26%減で、コミックスの落ち込みが全体を引き下げた。
コミックスは『呪術廻戦』(集英社)、『東京卍リベンジャーズ』(講談社)など大ヒットが出た前年から大幅減となったが、コロナ前の19年は上回っている。定期誌は、送品ベースでは大幅減が続くが実売率は改善傾向で、販売金額の落ち込みは緩やかになっている。ムックはコロナ禍前の水準には及ばないものの、主力の旅行ガイドが国内版を中心に回復し、小幅減となった。
推定発行部数は同13・9%減。内訳は、月刊誌が同15・4%減、週刊誌が同9・5%減。推定発行金額は同10・6%減で、月刊誌は同11・2%減、週刊誌は同7・5%減だった。平均価格は同3・8%(23円)増の621円で、業量減少や運賃の問題に加えて、用紙代の高騰など諸経費がかさみ一段高となった。
金額返品率は同0・8ポイント増の41・3%で、月刊誌が同1・1ポイント増の40・9%、週刊誌が同0・7ポイント減の43・3%。週刊誌は改善傾向が顕著で、月刊誌も、コミックスが大幅に悪化したが、定期誌のみでは改善している。
創・復刊点数は同3点増の22点。このうち半数以上の13点が分冊百科。月刊誌の創刊は1点もなかった。休刊点数は同6点減の55点。戦前からの歴史を持つ歌舞伎専門誌『演劇界』(発行/演劇出版社、発売/小学館)や、週刊誌『NHKウィークリーステラ』(NHKサービスセンター)などが休刊した。不定期誌の新刊点数は増刊・別冊が同56点減の1385点、ムックは同137点減の2882点。1号を1点とした付録添付誌数は同126点減の4716点。
〔紙+電子の出版販売額は3・5%減〕
電子出版の市場規模は2373億円で前年同期比8・5%増となった。内訳は、電子コミック(電子コミック誌含む)が同10・2%増の2097億円、電子書籍が同0・4%減の230億円、電子雑誌が同13・2%減の46億円。
コロナ禍の巣ごもり需要で増加したユーザー数の伸びが落ち着き、市場は成熟期に入ったと出版科学研究所は指摘する。コミックは、メガヒット作品は少なかったものの「ピッコマ」「少年ジャンプ+」「LINEマンガ」などマンガアプリの売行きが好調。特に縦スクロールコミックの伸びが大きく、出版社だけでなくゲーム会社など異業種からの参入も相次ぐ。書籍は前年実施のストアのセールの影響で微減となったが、ライトノベル、写真集などは好調だった。雑誌は定額制読み放題サービス「dマガジン」の会員数減少で、2桁の落ち込みが続く。
上半期の紙と電子の市場を合わせると8334億円、同3・5%減。市場全体における電子出版の占有率は28・5%になった。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

年齢を冠す本が多い。
和田秀樹著『70歳からは大学病院に行ってはいけない』(宝島社新書900円)の第1章は「大学病院に行くと高齢者は寿命が縮まる」。今の大学病院には旧来の内科や外科はなくなっていて、消化器内科、脳神経外科というように細分化されている。診ているのは人間ではなく臓器。数値データのみを重視する診療だと医師の著者は嘆く。正常値とはあらゆる世代を含む平均値。機能が低下した高齢者には、何が正常値なのか実際に分からないという。身体全体を診る総合診療医が必要なのだが、専門分化した医師にその力はなく、大学病院ばかりか、第2章「医者の9割は信用できない」、ということになる。患者の話を聞く、手術のリスクを説明する、身体への負担を考え薬を減らすという医師を選ぶべきで、全て医師任せにしない心がけが肝心である。
肉を食べよう、酒をたしなもう、免許は返納するな、不眠は気にしないなどアドバイスもある。
森由香子著『ずっと元気でいたければ60歳から食事を変えなさい』(青春新書1000円)。60歳を過ぎたら野菜中心でなく肉、魚などタンパク質を主に食べると成人病のリスクは下がる。見た目の若さを保つにも食事が大切と解説する。

8月期は前年比6・6%減/全ジャンルで1桁台のマイナス/日販調査店頭売上

日本出版販売調べの8月期店頭売上は前年比6・6%減だった。雑誌、書籍、コミック、開発品の全ジャンルで1桁台のマイナスにとどまるまで回復。全ジャンルで1桁台となったのは2021年8月期以来、1年ぶりとなる。
雑誌は同3・6%減。ムックは「ONEPIECEmagazineVol15」(集英社)などが好調で、前年を上回った。
書籍は同7・0%減。文芸書は『その本は』(ポプラ社)などが売上を牽引し、前年超えに。新書は『22世紀の民主主義』(SBクリエイティブ)』などが売上を伸ばし、21年4月期以来の前年超えとなった。
コミックは同8・1%減。雑誌扱いコミックは「ONEPIECE103」「呪術廻戦20」(いずれも集英社)や「東京卍リベンジャーズ」(講談社)などの人気タイトルが伸長。書籍扱いコミックは『ダンジョン飯12』(KADOKAWA)などが牽引した。

第9回「料理レシピ本大賞」受賞作品決まる

書店員を中心に構成する「料理レシピ本大賞実行委員会」は9月6日、東京都中央区の朝日新聞東京本社「浜離宮朝日ホール」で「第9回料理レシピ本大賞inJapan」の発表会と授賞式を開催した。大賞は料理部門がリュウジ著『リュウジ式至高のレシピ』(ライツ社)、お菓子部門が桜田千尋著『満月珈琲店のレシピ帖』(主婦の友社)に決まり、そのほか準大賞、入賞、各ジャンル賞など計11作品が受賞した。同日から全国の書店で同賞のフェアを展開している。
今回は145作品がエントリー。全国の書店選考委員269名と料理専門家の特別選考委員による選考で、料理部門とお菓子部門の大賞各1点と準大賞各1点、料理部門の入賞3点、プロが選んだレシピ賞、こどもの本賞、コミック賞、エッセイ賞各1点を決定した。
授賞式では、第1回からアンバサダーを務めるお笑いコンビ・キャイ~ンの天野ひろゆきさんが受賞者に賞状と記念品を贈呈した。
料理部門大賞を受賞したリュウジ氏は、2020年の『ひと口で人間をダメにするウマさ!リュウジ式悪魔のレシピ』(ライツ社)に続き、2度目の同賞受賞となった。
リュウジ氏は「料理研究家をやる時に一番出したかった本。私が思う世界一美味しい料理を集めた。『悪魔のレシピ』は初心者向けだったが、『至高のレシピ』はおいしいものを少し手間をかけて作りたい人に向けて書いた。構想3年で全レシピを作ったので自信がある」と語った。
お菓子部門大賞を受賞したイラストレーターの桜田氏は「満月珈琲店は2018年頃からSNSで投稿しているイラストシリーズ。レシピ帖以外にも小説や絵本、イラスト集など様々な形で展開されている。たくさんの方々に読んでいただき、イラストレーターとしてこれ以上うれしいことはない。今後もたくさん新しいこと、面白いことをやっていこうと思っている」と話した。
主催者を代表して加藤勤実行委員長(ブックスタマ)は「今年の入賞作品の傾向は一言で言うと『家族』。この賞は時短や簡単なレシピが強いが、今年はじっくり作るレシピも受賞した。コロナ禍で料理にかける時間が増え、家族のために料理を作ったり家族と一緒に料理を作ることが増えたのだと思う」と総括し、「来年は10周年を迎える。さらに盛り上げられるよう、書店員が胸を張ってすすめられる本を選んでいきたい」と語った。
受賞作は次の通り。
[料理部門]
▽大賞=リュウジ『リュウジ式至高のレシピ』(ライツ社)
▽準大賞=Mizuki『今日のごはん、これに決まり!Mizukiのレシピノート決定版!500品』(学研プラス)
▽入賞=和田明日香『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)、だれウマ『宇宙一ずぼら絶品めし』(KADOKAWA)、土井善晴・土井光『お味噌知る。』(世界文化社)
▽入賞・プロの選んだレシピ賞=三國清三『三國シェフのベストレシピ136永久保存版』(KADOKAWA)
[ジャンル賞]
▽こどもの本賞=柴田書店編『お菓子はすごい!』(柴田書店)
▽エッセイ賞=平野レミ『おいしい子育て』(ポプラ社)
▽コミック賞=中山有香里『泣きたい夜の甘味処』(KADOKAWA)
[お菓子部門]
▽大賞=桜田千尋『満月珈琲店のレシピ帖』(主婦の友社)
▽準大賞=はるあん『はるあんのベストおやつ』(ライツ社)