全国書店新聞
             

令和4年5月1日号

全国の組合加盟書店数2803店に/1年間で84店(2・9%)減少

4月1日現在で日書連会員の45都道府県書店商業組合に加盟する組合員(日書連所属員)は、1年前と比べて84店減(2・9%減)の2803店になったことが組織委員会(安永寛委員長)の調査で分かった。この1年間の新規加入は26店だったのに対し、脱退は110店だった。
組合員数が増加した組合は、宮城(2店増)と岐阜(1店増)の2組合だった。前年と同数は、青森、秋田、福島、茨城、群馬、山梨、愛知、三重、福井、島根、広島、徳島の12組合。残る31組合は組合員数が減少している。
各組合ごとに加入の内訳をみると、新規加入があった組合は①宮城、広島(9店)、③愛知(4店)、④鳥取(2店)、⑤岐阜、兵庫(1店)の6組合。一方、脱退が多かった組合は、①東京(14店)、②大阪(11店)、③広島(9店)、④宮城(7店)、⑤京都(6店)、⑥山形、静岡(5店)、⑧愛知、兵庫(4店)、⑩埼玉、神奈川、新潟、石川、滋賀、奈良、鳥取、鹿児島(3店)の順。
脱退数から加入数を差し引いた純粋な減少数をみると、①東京(14店減)、②大阪(11店減)、③京都(6店減)、④山形、静岡(5店減)、⑥埼玉、神奈川、新潟、石川、滋賀、奈良、兵庫、鹿児島(3店減)。減少率でみると、①山形(13・2%減)、②高知(10・0%減)、③奈良(8・3%減)、④石川(6・8%減)、⑤大阪(5・7%減)、⑥新潟(5・5%減)、⑦滋賀、長崎(5・4%減)、⑨京都(5・1%減)の順。
組合員数が多い上位10組合は、①東京(277店)、②大阪(183店)、③福岡(176店)、④愛知(133店)、⑤兵庫(121店)、⑥京都(112店)、⑦埼玉、静岡(111店)、⑨宮城(103店)、⑩千葉(86店)。一方、組合員数が少ない組合は、①高知(18店)、②徳島(22店)、③青森(23店)、④秋田、島根、愛媛(24店)、⑦宮崎(25店)、⑧鳥取、沖縄(26店)の順だった。
各都道府県書店商業組合に加盟する組合員数は1986年(昭和61年)の1万2935店をピークに前年割れが続いており、今年で35年連続のマイナス。組織規模はピーク時の約21・7%まで縮小した。

「春の読者還元祭」で店頭活性化/都中央会の委託事業が完了/東京組合

東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は4月5日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。
〔事業・増売委員会〕
日書連が実施する「春の読者還元祭2022」の販促物1セット(キャンペーンしおり、雑誌カード、告知ポスター)を組合員に配布することを報告。読者サービスと店頭活性化に活用してほしいと呼びかけた。
KADOKAWA、角川春樹事務所の担当者が企画説明を行った。KADOKAWAは、4月26日~5月8日に実施する「カドカワ祭ゴールデン2022」の内容を説明。KADOKAWAの全商品を対象に、読者が購入したレシートを使ってアプリで応募するキャンペーンで、店頭での展開強化を求めた。角川春樹事務所は、創立30周年記念企画の『にほんの詩集』(全12冊、4月15日刊行開始)などについて説明。書店マージン35%、返品許容15%の「書店マージン拡大企画」として実施するもので、増売企画として取り組むことを承認した。
〔新しい日常対応型業界活性化プロジェクト特別委員会〕
東京都中小企業団体中央会の委託事業を活用して取り組んでいた「新しい日常対応型業界活性化プロジェクト」が3月で完了したことを報告した。デジタルを活用して街の書店の魅力を発信し、書店の活性化と来店客の増加、地域交流の促進を図ることを目的に実施したもの。開設したYouTubeチャンネルによる継続的な発信や、各店でのデジタル活用などについて今後も検討していくこととした。
〔総務・財務委員会〕
4月1日現在の組合員数は、前年同期と比べ脱退14店、加入0店で277店になったと報告した。また、6月以降の理事会の日程を、次の通り決定した。6月3日(金)、7月5日(火)、8月休会、9月5日(月)、10月4日(火)、11月2日(水)、12月6日(火)

日テレニュース動画に東京組合矢幡理事長のインタビュー

東京都書店商業組合の矢幡秀治理事長(日書連会長)が日本テレビのニュース・情報番組「newsevery.」のインタビューに答えた動画(4月14日放送)が、同局のYouTubeチャンネルで公開された(URL=https://www.youtube.com/watch?v=xEDbYIK79wk)。動画では、東京組合がYouTubeチャンネル「東京の本屋さん」で街の書店の魅力をPRしていることなどを紹介している。

「春夏秋冬本屋です」/「本の匂い」/兵庫・オクショウ代表・田村恵子

曽祖父の代から書店を営んでおり、昔ながらのよくある店構えの店舗兼自宅、自宅の出入りは店の中を通るという環境で育った。日常に本があるのは当たり前。日々の暮らしで本を目にしない日は無く、文字通り「生活の一部」として有ったせいか、巷でよく聞く「本の匂い」が私には一切わからない。所謂「青木まりこ現象」(書店に行くと便意を催す現象)というのもわからないし、4月に貰う教科書の匂いも気付かない。これはどうやら生まれながらに本屋の子として育った人は大体気づかないらしく、私の周りの継承書店さん数人に聞いたところ同じようだと聞く。
それならば、長年書店や取次さん版元さんでお勤めをされている方は本の匂いを感じるのか、と最近考えている。高卒で出版業界に入り40年以上お勤めの方は、私の人生よりも長い期間本と触れ合っている環境のはずだ。それでも「本の匂い」は感じるのだろうか。それとも幼い時期に刷り込まれた環境だからこそ言語と同じく、ネイティブ書店というか、呼吸に本の匂いが含まれるのが当然で育った場合のみ感じなくなるのか。
という事を考えながら、本の虫である夫に疑問を投げると「買った瞬間は感じるけど、一晩経つと何も感じなくなる」と言い出したのでよくわからなくなってきた。ネイティブ書店員さん、いかがでしょうか。

逢坂冬馬氏『同志少女よ、敵を撃て』/デビュー作での受賞は2人目/2022年第19回本屋大賞

全国の書店員が一番売りたい本を選ぶ第19回「2022年本屋大賞」の発表会が4月6日に東京・港区の明治記念館で行われ、逢坂冬馬氏の『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房)が本屋大賞に輝いた。デビュー作での受賞は、2009年の湊かなえ氏『告白』に続いて2人目。
受賞作は、第2次世界大戦の独ソ戦を舞台に、ドイツ軍の襲撃により母親を殺されたソ連の少女セラフィマが、復讐のため狙撃兵となり戦闘に身を投じていく物語。逢坂氏は、受賞について「この作品は、出版前のゲラ読みや感想の段階から各店舗の独自展開に至るまで、本当に多くの書店員の皆様に愛されていると実感した。その上このような素晴らしい賞を授けていただき、感謝の気持ちで胸がいっぱいです」とあいさつ。
一方、ロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにして「悲嘆にくれ、小説の中で情熱を傾けたロシアという国名に対して何を思うべきなのか考え続けた」と心情を吐露。様々な立場から戦争反対を訴えて拘束された多くのロシアの人々に言及し、「危険を顧みず立ち上がった人たちのことを私はロシアだと捉えたいし、その小さな声に耳を傾け、忘れないようにしながら、できるだけ拡げていきたい」と支持を表明して、「セラフィマがこのロシアを見たら、悲しみはしても絶望はせず、町に出て自分が必要とされていると思ったことをするだろう。私も絶望するのはやめ、戦争に反対し、平和構築のための努力をする」と語った。
今回の本屋大賞は、20年12月1日から21年11月30日に刊行された日本の小説が対象。1次投票には483書店から627人が参加、1人3作品を選んで投票し、上位10作品をノミネート。2次投票では322書店392人が10作品を読んだ上で全てに感想コメントを書き、ベスト3に順位をつけて投票した。
本屋大賞の2位以下は次の通り。
②『赤と青とエスキース』(青山美智子、PHP研究所)③『スモールワールズ』(一穂ミチ、講談社)④『正欲』(朝井リョウ、新潮社)⑤『六人の嘘つきな大学生』(浅倉秋成、KADOKAWA)⑥『夜が明ける』(西加奈子、新潮社)⑦『残月記』(小田雅久仁、双葉社)⑧『硝子の塔の殺人』(知念実希人、実業之日本社)⑨『黒牢城』(米澤穂信、KADOKAWA)⑩『星を掬う』(町田そのこ、中央公論新社)
〔ソン・ウォンピョン氏『三十の反撃』に/翻訳小説部門〕
翻訳小説部門は、『三十の反撃』(ソン・ウォンピョン著、矢島暁子訳、祥伝社)が選ばれた。ソン・ウォンピョン氏は20年に『アーモンド』で受賞しており同じ著者が2度受賞するのは初めて。翻訳者の矢島氏が紹介した受賞の言葉でソン・ウォンピョン氏は、「『三十の反撃』は、どんな大人になるかという問いから始まった作品だ。書いていた当時は、夢に向かって努力し懸命に走ってきたつもりなのに、一筋の光もさしてこない状況だった。それでも私は映画を作り文章を書くことを続けるしかなかった。湧き上がってくる絶望感を追い出す方法は、『続けること』だけだったからだ。当時の私と同じ気持ちで奮闘する若者たちが世界中にいると思う。私の本がそんな人たちを少しでも勇気づけられればと思っている」と述べた。
続いて矢島氏は「本屋大賞に2度も選んでいただき、ソン・ウォンピョンさんの紡ぎだす物語の魅力を改めて感じている。この作品は初稿の時は『普通の人』というタイトルで、まさに普通の人である主人公が、くじけそうになりながらも自分の進むべき道を模索し続ける物語。自分らしく生きていく勇気をくれる作品だ」と語った。
また、既刊本の掘り起こしを目的に、20年11月30日までに刊行された作品を対象に投票する「発掘部門」の中から、本屋大賞実行委員会が選出した「超発掘本!」として『破船』(吉村昭著、新潮文庫)が発表された。新潮社文庫出版部新潮文庫編集部の高梨通夫氏は「生前の吉村さんは、作家が亡くなると読まれなくなる場合が多いと話していた。ありがたいことに吉村さんの作品は今も読み継がれており、今また『超発掘本』に選ばれ、より多くの読者に届けられる機会をいただいたことを吉村さんもお喜びだと思う。吉村さんには記録文学の傑作が数多くあり、コロナの問題もそうだが、現代を生きる我々がそのような災害に出会ったときにどのように対応していけばいいかを教えてくれる作品だ」と話した。

3月期は前年比10・8%減/週刊誌は3ヵ月連続プラスと好調も/日販調査店頭売上

日本出版販売調べの3月期店頭売上は前年比10・8%減となった。雑誌は週刊誌が3ヵ月連続で前年を上回ったが、その他の雑誌・書籍ジャンルはすべて前年を下回った。コミックは前年の「呪術廻戦」関連商品が好調だった影響が続き、前年を大きく下回った。
雑誌は同3・9%減。週刊誌は「隔週刊ビッグスケールF1コレクション」(デアゴスティーニ・ジャパン)など分冊百科が好調で同9・2%増となった。書籍は同7・8%減。『ドラゴン最強王図鑑』(学研プラス)などが好調の児童書(同5・0%減)と凪良ゆう『流浪の月』(東京創元社)などが好調の文庫(同4・9%減)は相対的に減少幅が小さかった。コミックは20・3%減。

家の光協会「第76回全国農村読書調査」/総合読書率は2ポイント減の61%

家の光協会の第76回全国農村読書調査結果報告書「農村と読書2021」によると、月刊誌・週刊誌・書籍のいずれかを読んでいる総合読書率は前年から2ポイント減少して61%となった。雑誌読書率は前年から2ポイント増加して50%、書籍読書率は前年から1ポイント増加して37%だった。
総合読書率は、性別では男性が56%(前年比1ポイント減)、女性が65%(同2ポイント減)となり、女性が34年連続で男性を上回った。年齢別では10代が最も高く68%、60代が最も低く57%。職業別では学生が最も高く76%、農業と無職が最も低く59%だった。
月刊誌か週刊誌を読んでいる雑誌読書率は、性別では男性が47%(同4ポイント増)、女性が52%(前年同率)となり、総合読書率と同じく女性が34年連続で男性を上回った。年齢別では70代が最も高く58%、20代が最も低く35%。職業別では農業が最も高く54%、学生が最も低く41%。
月刊誌読書率は同2ポイント増の39%となった。性別では男性が36%(同8ポイント増)、女性が42%(同2ポイント減)と、女性が男性を6ポイント上回った。年齢別では70代が最も高く44%、20代が最も低く24%。職業別では自営業が最も高く47%、学生が最も低く34%だった。「毎号読む」は15%、「毎号ではないがときどき読む」は25%。同じ月刊誌を毎号読んでいる定期読書率は14%(前年同率)。
週刊誌読書率は前年同率の27%となった。性別では男性が26%(同1ポイント減)、女性が28%(同1ポイント増)。年齢別では70代が最も高く40%、40代が最も低く19%。職業別では自営業が最も高く32%、学生が最も低く17%だった。「毎週読む」は5%、「毎週ではないがときどき読む」は23%。同じ週刊誌を毎号読んでいる定期読書率は4%(同1ポイント増)。
調査まで半年間に書籍を読んだ人の割合を示す書籍読書率は同1ポイント増の37%となった。性別では男性が男性が31%(前年同率)、女性が43%(同3ポイント増)。年齢別では10代が最も高く63%、70代が最も低く29%。職業別では学生が最も高く72%、農業が最も低く22%。この半年間に書籍を読まなかった人も含めた過去1ヵ月の平均読書冊数は同0・2冊増の1・4冊。この半年間に書籍を読んだ人の過去1ヵ月の平均読書冊数は「0冊」19%、「1~4冊」54%、「5~9冊」9%、「10~14冊」4%、「15冊以上」7%。過去1ヵ月に書籍を読んだ人の平均読書冊数は同0・3冊増の5・0冊。
読んでいる月刊誌(毎号読む+ときどき読む)は、前年と同じく1位は「家の光」(家の光協会)、2位は「現代農業」(農山漁村文化協会)。3位は「オレンジページ」(オレンジページ)と「文藝春秋」(文藝春秋)で、「文藝春秋」は前年の14位から大きく順位を上げた。毎号読んでいる月刊誌に限っても例年通り「家の光」が1位だった。
読んでいる週刊誌(毎号読む+ときどき読む)の1位は「週刊文春」(文藝春秋)、2位は「少年ジャンプ」(集英社)、3位は「女性セブン」(小学館)。毎号読んでいる週刊誌に限っても1位は「週刊文春」。
調査まで半年間で読まれた書籍の1位は吾峠呼世晴『鬼滅の刃』(集英社)と芥見下々『呪術廻戦』(集英社)、3位は尾田栄一郎『ONEPIECE』(集英社)と和久井健『東京卍リベンジャーズ』(講談社)とコミックが占めた。
本の購入先または借覧先・入手方法は、月刊誌が1位「書店」(53%)、2位「スーパー・コンビニ」(25%)、3位「予約購読」(19%)。週刊誌が1位「スーパー・コンビニ」(46%)、2位「書店」(38%)、3位「美容院・食堂・病院」(32%)。書籍が1位「書店」(78%)、2位「インターネット」(25%)、3位「図書館・公民館」(22%)。
本を買わない人も含めた1ヵ月の本への支出金額は同97円増の922円だった。ただし「本を買わなかった」人が52%と過半数を占めており、本を買う人の1ヵ月の本への支出金額は同270円増の2211円となった。
好きな作家・著者の1位は、13年連続で東野圭吾。2位は赤川次郎、3位は西村京太郎となった。
コロナ禍以前の生活と現在の生活における読書時間の変化は、「変わらない」74%、「増えた」10%、「減った」7%となった。性別でみると、「増えた」が男性9%、女性11%、「減った」が男性5%、女性8%と、いずれも男性より女性が上回っている。
この調査は全国60ヵ所の農林業地区に住む16歳~79歳の2000名を対象に2021年7月31日~9月5日に実施。有効回収数816人(回収率40・8%)。

三洋堂書店・精文館書店・いまじん白揚/3書店合同で「傑作保証本」フェア開催

三洋堂ホールディングスの子会社、三洋堂書店(本社・名古屋市瑞穂区)と精文館書店(本社・愛知県豊橋市)、いまじん白揚(本社・愛知県春日井市)は4月19日から、3社合同で「傑作保証」をテーマにしたブックフェアを開始した。
「ミステリ大好き書店員が、会社の壁を越えて激推しする『傑作保証』本」をテーマに厳選した文庫2作品を、東海3県を中心に展開する3社が力を合わせて応援し盛り上げていく。
対象作品は綾辻行人『どんどん橋、落ちた新装改訂版』(講談社)と森博嗣『すべてがFになる』(講談社)の2点。3社共通の販促物をもってコーナー展開する。開催期間は6月12日まで。展開店舗数は三洋堂書店75店、精文館書店48店、いまじん白揚20店の計143店。

トーハン『出版販売の基礎知識』発売

トーハンは4月1日、書店実務マニュアル『出版販売の基礎知識第22版』を発売した。編集はトーハン・コンサルティング。A5判、210ページ、頒価1000円(税別)。
出版業界の概要、商品ジャンルごとの販売知識、接客マニュアルなど書店業務全般を網羅し、巻末に用語集を掲載した、書店スタッフ向けの実用資料集。今回は3年ぶりの改訂で、取次物流協業やセルフレジなど記述内容をアップデートし、NFTデジタル辞典やマーケットイン型出版流通など新項目を収録。書店人必携の一冊となっている。
問い合わせはトーハン・コンサルティングまで。℡03(3266)9623

テレビで話題『冷凍コンテナ弁当』(マガジンハウス)が重版決定

マガジンハウスから2月に刊行された『調理時間0分朝チンするだけ時短料理研究家ろこさんの冷凍コンテナ弁当』が、「ヒルナンデス!」「まるっと!サタデー」「グッド!モーニング」などテレビで続々紹介され売れ行き好調につき、このほど重版が決定した。
メディアやSNSで話題の時短料理研究家ろこさんの冷凍コンテナ料理(耐冷耐熱の保存容器を使った冷凍料理)。節約・簡単を実現したオリジナル冷凍レシピは、美味しさと手軽さを両立させた、忙しい主婦を助ける「魔法のレシピ」として大人気となっている。

川端康成の幻のBL作品『少年』(新潮文庫)、発売2週間で3刷

川端康成没後50年の節目を機に4月に新潮文庫から刊行された『少年』が、発売後2週間で3刷と異例の売れ行きを示している。本作は川端の幻のBL作品として知られ、これまで全集でしか読めなかった貴重で珍しい作品。1冊の本になるのは、目黒書店より単行本が刊行された1951年以来、70年ぶりのこととなる。

「全国トーハン会代表者総会」3年ぶりに開催

トーハンは5月10日、17日の2回に分け、東京・新宿区の同社本社で「2022年度全国トーハン会代表者総会」を開催する。10日は東日本・首都圏エリアの書店、17日は東海・近畿・西日本エリアの書店が対象。リアル会場での開催は3年ぶり。
両日とも同社代表あいさつ、トーハン会代表あいさつ、トーハン会プレミアムセール表彰、同社基本方針および主要施策説明、ディスカッションが行われる。
出版社と報道関係には6月上旬にオンライン動画配信を予定している。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

小林弘幸著『気がついたら自律神経が整う「期待しない」健康法』(祥伝社新書840円)は順天堂大学医学部教授が語る、誰でもできる健康法である。自律神経は血流、内臓、呼吸をコントロールしている。これが乱れると不調をきたす。原因であるストレスの9割が「期待」から生まれているという。自律神経を整えるためには、まず上司、同僚、部下にかかわらず、他人への評価を口にしないこと。SNSなどで目にすることにもかかわらない。交感神経が興奮し調子を落とす。期待するから怒るのだが、怒りは血圧、心拍数を上げ、赤血球もいびつになる。こんな時は深呼吸が一番で、3秒かけてゆっくり息を吸い、6秒ほどでゆっくり吐く。自律神経を整えるのには笑うと良く、口角があがれば可なので微笑で十分。過去の後悔や他人への期待を手放せば、この先10年の質は上がると語る。
奥田昌子著『日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた』(講談社ブルーバックス1000円)は日本人固有の遺伝子から健康法を考える。我々は動脈硬化の進行を抑える善玉HDLが欧米人より10%多い。また牛乳の乳糖の分解力が弱い人は90%。体質を知ることが健康の秘訣と解説する。

日販、新会社「ひらく」設立/「文喫」事業など承継/新規出店を推進

日本出版販売(日販)は4月20日、プラットフォーム創造事業の推進のため、100%子会社「ひらく」を設立した。祖業の出版物取次事業と合わせて、「生活者起点で場を創り、豊かな時間を提供する」事業を新たなドメインとして拡大していく。代表はASHIKARI取締役で日販プラットフォーム創造事業本部プロデュース事業チームプロデューサーの染谷拓郎氏。資本金1000万円。
新会社設立に伴い、日販から「YOURSBOOKSTORE」に関するプロデュース事業を分割し、6月1日から「YOURSBOOKSTORE」の名称およびブランドに関わるすべてを「ひらく」に承継する。また、リブロプラスが運営する「文喫」事業を6月1日から吸収分割で承継する。
文喫は日本初の「入場料のある本屋」という業態が注目を集め、現在、六本木、福岡天神の2店舗を展開。今年度は六本木、福岡天神の事業安定化、文化コンテンツを発信するオンライン事業の展開、文喫ブランドを拡張する新規出店やプロデュースを進めるとしている。

有隣堂、「スマレジ」に切り替え/クラウド型レジを40店に264台導入へ/販売品目多角化と業務効率化に対応

有隣堂は現在店舗で使用しているレジシステムを、クラウド型POSレジ「スマレジ」に切り替えると発表した。5月10日に有隣堂アトレ川崎店で運用を開始し、7月末までにヒビヤセントラルマーケットを除く全40店舗に合計264台を導入する予定。
同社は「書店の再定義」の一つとして、書籍以外の商品・サービスの展開を強化しているが、「スマレジ」は飲食、アパレルなど他業種の販売品目にも対応できる柔軟なレジシステムであることの他、多様なキャッシュレス決済に対応できることや、将来的なセルフレジの展開も可能であることから、導入を決めた。
2021年4月より複数社から提案を受けたが、「スマレジ」は様々な外部システムとの連携や将来的な機能追加を柔軟かつ迅速に行えることから採用に至った。また、「スマレジ」はクラウド型サービスで、タブレット端末とインターネット環境があれば利用できるため、導入および運用コストが抑えられることも採用理由の一つとなった。
全店舗へ導入し、既存システムとの切り替えを終えた後は、同社が運営する飲食やアパレルなどの他の業種への導入を検討する。拡張性の高い「スマレジ」を活用し、セルフレジなど新たなシステムとの連携を広げていくことで、従業員の業務効率化を促進するとともに、顧客へ一層のサービスが提供できるよう努めるとしている。