全国書店新聞
             

平成31年1月1日号

粗利益30%以上実現目指して/業界3者「実務者会議」で意見交換/「2019年の課題」舩坂良雄日書連会長に聞く

消費増税による消費の冷え込みも予想され、出版業界は厳しい状況が続く。日書連は書店が経営を続けられるよう、業界3者による書店環境改善実務者会議を設置し、粗利益30%以上の実現を目指す取り組みを進めている。舩坂良雄会長に日書連の今年の課題について話を聞いた。(聞き手=本紙編集長・白石隆史)
〔書店数減少が出版不況の要因/販売拠点維持する施策が必要〕
――会長に就任してから5年たちました。出版市場は2018年も不振が続き、書店経営は厳しさを増しています。現状について考えをお聞かせください。
舩坂書籍、雑誌ともに売上の減少が止まらず、昨年も非常に厳しい1年でした。特に雑誌の落ち込みは深刻で、全国で相次ぐ書店の閉店や廃業の原因の1つになっています。
全国1896自治体の22%にあたる420市町村に書店が存在しないというデータがあります。日書連所属の書店数も1986年の1万2953店から2018年は3249店まで減少し、組織規模はピーク時の4分の1まで縮小するという危機的な状況を迎えています。出版業界の売上げも1996年から約20年で半減しました。書店ルートの売上げが7割を超える日本では、書店数の減少が業界全体の売上げを下げる要因となります。
――雑誌不振の原因はどこにあると考えますか。
舩坂一番大きいのは、社会環境と読者ニーズが変化し、人々が情報を得る媒体が雑誌や新聞からインターネットにシフトしたことです。出版業界はお金と時間をスマートフォンに奪われてしまった。
雑誌の持つ力が、今の若者に受け入れられなくなっているように感じます。雑誌黄金期を知っている出版人と今の若者の間には感覚にズレがある。手元に置いて読みたい、取っておきたいと思わせるようなコンテンツが不足している。読者からすると毎月発売が楽しみになるような雑誌がない。特集によって買ってくれる読者はいても、各雑誌ごとの固定読者が大きく減ってしまった。各出版社、各雑誌はもっと特色を出してほしい。
編集者の皆さんは大変な努力をされていると思いますが、スマートフォンに対抗するためには、読者ニーズを的確に読み取る嗅覚がより求められます。そこに書店現場の声を反映させる努力を我々もしなければならないと思っています。
――個店にはどのような対応が求められますか。
舩坂雑誌が売れず、利益を出せなくなった今、雑誌に頼るのではなく、書籍の充実による個性的な店作り、棚作りに取り組むことも考えなければならない時代に入っています。もちろん経営者の皆さんは今も様々な工夫をされている。ただ、今よりもっと自店の特徴と客層を突き詰めて考えるようにしなければ生き残ることはできません。
「本が売れない」とよく言われますが、それ以前にお客さんが店に入って来なくなりました。売るための工夫とともに、来店動機を作る方策も考えなければならないでしょう。
日書連としても、また出版業界としても、書籍・雑誌の販売拠点である街の書店が経営を維持できるような施策を打ち出せなければ、出版業界全体の復権もないということを強く言いたいです。
〔買切・高マージンの提案も/組織力活かした増売で活路開く〕
――書店、出版社、取次の実務者による書店環境改善実務者会議で、日書連は「書店が経営を続けるためには粗利益30%以上が必要」と訴えています。これまでの経過と手応えをお聞かせください。
舩坂売上げが下がり続ける一方、家賃や人件費は上昇し、現状の約20%の粗利益では書店経営は成り立たなくなっています。薄利多売で成り立っていた時代には問題は顕在化しませんでしたが、右肩下がりが始まって20年以上が経過した今も構造改革は行われないままです。
そこで、日書連は2015年、全国小売書店経営実態調査を実施し、その翌年に報告書をまとめました。8割近くの書店が「書店経営に適切な粗利益は30%以上」と回答しました。
この声を受けて、一昨年、書協、雑協やトーハン、日販、大阪屋栗田の取次3社、主要出版社数社を訪問し、書店経営が待ったなしの厳しい状況にあることや、粗利益30%以上の実現を目指すにはどのような方法があるかについて意見交換しました。書店経営が良くなることが出版業界全体の利益につながるという観点からお話させていただきました。
そして、業界3者が話し合う場として書店環境改善実務者会議を立ち上げました。書店、出版社、取次から実務に明るい人間を選んで、課題の整理と問題解決のアイデアを出し合う仕組みで、これまでに4回会合を開いています。会合に強制力や決定権があるわけではありませんが、それぞれの立場から忌憚のない意見を出し合っています。
出版社からの提案もいくつか出ています。できるだけ早い時期に形にしたい。今は土台作りのための議論を行っているところです。提案を実行に移す段階で、もう一度、出版社や取次を訪問し、各社のトップと個別に話をする必要があると考えています。
――どのような意見や提案が出ていますか。
舩坂昨年11月26日に第4回目の実務者会議を開きました。出版社側からは、
品切れの既刊書籍を最低800冊の小ロット生産し、買切、高マージンで対応するという提案がありました。文庫を中心に約320銘柄が示されました。また、新刊書を買切販売で返品は歩安入帳という提案もありました。
日書連からも出版社、書店への提案をお示ししました。「書店の現況」「出版業界における出版社の特別な地位」「業界の原資を生み出す買切制と委託制」「実証実験(案)」「日書連の現状と今後の役割について」「出版流通体制への要望」の6章で構成された「試案」です。
出版社の経営も厳しく、ただ粗利益30%以上ほしいと言っても話に乗っていただけないことは理解しています。売ってなんぼの世界ですから、私たちは組織力を活かして増売する。その代わりに正味を下げていただきたい。もちろん返品はしないという条件は必要でしょう。
〔万引防止で顔認証システム活用〕
――書店収益改善のため、万引防止対策の取り組みも加速させていますね。
舩坂万引被害は低収益の書店にとって死活問題です。万引きは書店の責任とされてきましたが、現在は出版業界全体の課題と考えられるようになりました。これは大きな前進です。
多くの書店は、人手不足で売場全体に目が行き届かず、高価な万引防止システムを導入することもできません。そうした現状への理解が深まり、一昨年、業界の主要団体や企業で構成する万引防止出版対策本部が設立されました。新古書店やフリマアプリ企業と連携した盗品を換金できない仕組みなど、万引防止の環境を作ることが目的です。
また、私の店がある東京・渋谷駅周辺の書店3店で、一定のルールに基づき情報共有することで万引しにくい環境を作るため、「渋谷プロジェクト」を開始する予定です。書店間で情報を共有しますから、セキュリティ対策や個人情報保護など注意しなければならないことが多い。弁護士にも協力を仰ぎ、1つひとつ問題をクリアします。渋谷で効果が認められれば、他地区にも広げたいです。
渋谷プロジェクトでは情報を共有するため顔認証システムを活用します。ただし機器を導入するには高額な費用がかかります。今後、万引問題でデータ収集する実証実験を行うために経済産業省から補助金を得られないかなど考えたい。
〔消費増税による落ち込み防ぐ〕
――12月14日に発表された与党税制改正大綱で、書籍・雑誌への消費税軽減税率適用は見送られました。
舩坂日書連は他の出版団体と協力して署名活動を行い、20万人分の署名をもとに議員訪問を行いました。また、政府与党や税調関係者に繰り返し陳情活動を行ってきました。今回の結果は残念でなりません。
今年10月から出版物の消費税率は10%になることが決まりました。過去の消費税率引き上げ時、出版物の売上げは大きく落ち込みました。書店の売上げがこれ以上落ちないよう、また店頭で混乱が起きないよう、業界あげて対策を立てなければいけない。
今後も13%、15%、20%へと上がっていくことが予想されます。他の出版団体と連携を密にして、引き続き「心の糧」である書籍・雑誌への軽減税率適用を求める運動を行います。
――今年の抱負をお聞かせください。
舩坂消費増税の影響で消費が冷え込み、出版物に影響が及ぶことを危惧しています。書店収益改善を最重要課題に、どうすれば書店が経営を続けることができるか、日書連が先頭に立って施策を提案したいです。

日書連のうごき

11月6日野間読書推進賞贈呈式に事務局が出席。
11月7日BOOKEXPO2018に舩坂会長が出席。
11月8日「出版再販・流通白書」打合せに事務局が出席。JPO運営委員会に柴﨑副会長が出席。雑誌発売日本部委員会に西村副会長、春井、塩川、長﨑各理事が出席。
11月9日出版学会50周年祝賀会に事務局が出席。
11月12日全国中小小売商団体連絡会に事務局が出席。
11月14日JPIC評議員会・理事会に舩坂会長、藤原、西村両副会長、春井理事が出席。
11月15日軽減税率で菅官房長官訪問に舩坂会長が出席。九州雑誌センター取締役会に舩坂会長が出席。読書週間書店くじ抽選会に舩坂会長、柴﨑、西村両副会長が出席。図書コード管理委員会に藤原副会長、志賀理事が出席。出版倫理協議会に事務局が出席。
11月16日返品現地処理で沖縄組合視察に柴﨑副会長、志賀理事。
11月19日中小小売商サミットに舩坂会長が出席。
11月20日軽減税率で自民党・宮沢税調会長訪問に舩坂会長が出席。
11月26日書店環境改善実務者会議に鈴木、面屋両副会長、春井、中島両理事、東京組合矢幡常務理事が出席。
11月28日創価学会池田名誉会長へ感謝状贈呈式に舩坂会長、鈴木、藤原、面屋、西村各副会長が出席。日本図書普及取締役会に舩坂会長、鈴木、藤原、面屋、西村各副会長が出席。雑誌コード管理委員会に柴﨑副会長が出席。

「春夏秋冬本屋です」/「QRコード決済を導入して」/大阪・ブックスふかだ代表取締役・深田健治

最近キャッシュレスが話題になっている。来年消費税が上がるときにポイント還元をしてくれる話が出ているが、それがクレジットなど現金以外の支払いに限るということも影響しているのだろう。
クレジット以外によく話題になっているのがスマホを使ってのQRコード決済だ。テレビCMでもよく目にするようになって私も使いだすようになったが、これがけっこう便利なのだ。スマホに入れたアプリのQRコードを読み取ってもらうだけで支払いが済む。また、あれこれポイントが貯まるので、それもまた次の支払いに使える。12月に20%ポイント還元というとんでもないキャンペーンがあったので、この際、前から検討していた冷蔵庫を買ったら数万円分のポイントが貯まって喜んでいる。
実際にお店にこの決済方法を導入しようと思うと案外簡単にできる。クレジットカードのような専用端末は必要なく、スマホかタブレットが1台あればいい。そのため初期費用やランニングコストがほとんどかからない。また、サービスによっては、期間限定とはいえ決済手数料が0%のところもある。しかも、お客様がもらえるポイントはお店の負担ではないのだ。
当店でも現在、楽天とLINEの2つのQRコード決済を導入して1ヵ月ほどになるが、まだ利用は少ない。でも、お客様に便利だと思ってもらい、少しでも購入につながればと期待している。

税制大綱で書籍・雑誌の軽減税率見送り/「引き続き適用求める」出版4団体が声明発表

自民、公明両党は12月14日、2019年度与党税制改正大綱を決定。書籍・雑誌の消費税軽減税率について「引き続け検討する」とし、10月1日の消費税率引き上げ時の適用を見送った。書籍・雑誌への軽減税率は、2016年度の税制改正大綱で引き続きの検討項目とされていたが、今回も適用には至らなかった。
日本書籍出版協会(相賀昌宏理事長)、日本雑誌協会(鹿谷史明理事長)、日本出版取次協会(近藤敏貴会長)、日本書店商業組合連合会(舩坂良雄会長)の出版4団体は同日、「出版界は引き続き書籍・雑誌への軽減税率適用を求める」とする声明を発表した。
声明は、「食が『身体の糧』であるように出版物は『心の糧』であり、生きていく上で欠かせないものです。新聞と同様、全ての国民が書籍・雑誌等の出版物に広く平等に触れる機会を持つことは、民主主義の健全な発展と国民の知的生活の向上にとって不可欠です」と訴えている。

楠田哲久理事長を再選/鹿児島組合総会

鹿児島県書店商業組合は12月6日、鹿児島市のサンロイヤルホテルで第33回通常総会を開催し、組合員53名(委任状含む)が出席。役員改選で楠田哲久理事長(楠田書店)を再選した。
総会は石井俊司専務理事(石井書店)の司会で進行し、楠田理事長があいさつ。「かごんま西郷検定」、県とタイアップした「認知症フェア」など組合の1年間の取り組みを振り返り、「消費税増税の影響で業界を取り巻く環境は厳しさを増すと予想されるが、元気な本屋さんになるよう頑張ろう」と訴えた。
続いて瀬川浩三副理事長(文泉堂)を議長に議案審議を行い、第33期事業報告、決算報告、監査報告、第34期事業計画、予算などすべての議案を原案通り承認可決した。
定款変更では、反社会的勢力の排除の項目を追加し、理事の定数を「7人以上10人以内」とした。
役員改選では、日髙和人氏(ブックスミスミ)を新理事に選任し、理事10名と監事2名を承認。楠田理事長を再選した。楠田理事長は5期目となる。その他の役員は次回の理事会で決定する。
この後、テジマの手嶋宏彰社長が、厳しい出版輸送の現状と、平成3年以降据え置きになっている返品運賃の平均8%値上げについて説明。総会はこれを了承し、実施の時期については今後協議することとした。
村永直美理事(共研書房)の閉会の辞で総会を終えた。
総会終了後、日本ほめる達人協会・福元直子氏が「豊かな人生を応援する書店人のためのほめる達人講座」と題して講演。続いて出版社、取次、テジマを交えて懇親会を行った。(和田豊広報委員)

前年同期比で91・42%/2018年上期ABCレポート

日本ABC協会は2018年上半期(1月~6月)雑誌発行社レポートを発表した。今回掲載したのは39社149誌。各雑誌部数の前年同期比の平均(既存誌ベース)は、週刊誌90・72%、月刊誌91・64%、合計91・42%となった。
総合週刊誌は、『週刊文春』が33万5千部で、前期から2万7千部減と部数を落としたものの販売部数首位を維持した。『週刊新潮』は9千部増の25万1千部とやや盛り返した。『週刊ポスト』は1万3千部減の21万1千部。『週刊現代』は3万7千部減の20万9千部と大きく落ち込んだ。新聞社系では『週刊朝日』が横ばいの7万7千部。『サンデー毎日』は4千部増の4万3千部と上向いた。
ビジネス誌は、『週刊ダイヤモンド』が6千部減の7万6千部、『週刊東洋経済』が2千部減の5万5千部、『プレジデント』が1万2千部減の14万3千部といずれも前期比マイナスになった。
女性週刊誌は、『女性セブン』が19万1千部、『週刊女性』が9万9千部でともに前期と同水準。『女性自身』は4千部減の18万4千部となった。女性月刊誌は、『VERY』が1万4千部増の14万部と持ち直し、『ハルメク』は1万5千部増の17万5千部と好調を持続している。

我が社のイチ押し企画/小学館・小学館PS営業企画部・羽野敏隆

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。本年も宜しくお願い申し上げます。
今年の『小学一年生』は、これからのAI時代を生きる子どもたちに必要な「自分で考える」力を育むための内容がいっぱいです。
3月1日ごろ発売の4月号メイン付録は、生活習慣を整える『ぴっかぴか★めざましどけい』です。ドラえもんの声で元気よく起こしてくれて、声と光で教えてくれる学習タイマーも付いています。また、「年間定期購読」のお申込み特典として『ドラえもん星空えんぴつ削り』をプレゼント致します。
書店様へは、今年も「店頭装飾コンクール」「定期購読獲得コンクール」を実施致しますのでお取組のほどよろしくお願い致します。
今年より「店頭装飾コンクール」のエントリー方法が変わります。①応募用特設メールアドレスに店頭写真を送付してもらう(ps-zasshi@sho-ps.co.jp)②s‐bookの特設ページに店頭写真をアップしてもらう。③書店様のtwitterアカウントにハッシュタグ「#2019入学おめでとう」をつけて店頭写真をアップしてもらう。以上、いずれかの方法でのエントリーとなります。(詳しくはエリア担当までお問い合わせ下さい)
書籍では、昨年11月29日に発売しました「小学館版学習まんが世界の歴史全17巻」(各巻本体980円)の拡販で大変お世話になりました!早々に重版をさせていただき、シリーズ全17巻で45万部を超える発行数となりました。これからの新学期シーズンに向けて、同じ11月に発売しました「キッズペディアもっと大図解全1巻」(本体3600円)と合わせてさらなる拡販のお力添えをいただければ幸いです。
今年も書店様の利益に貢献できる商品をたくさん出して参りたいと存じます。ご支援賜りますよう宜しくお願い申し上げます。4444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444我が社のイチ押し企画/講談社・販売局局次長・吉田俊輔
新年明けましておめでとうございます。昨年は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございました。新春の情報をご案内させていただきますので、今年も宜しくお願い申しあげます。
【講談社 春のマンガまつり】
今年は早々に読者向けの大きなキャンペーン「講談社春のマンガまつり」がスタートします。コミックスの裏面に貼付されているバーコードシールを2枚1口で官製はがきに貼ってご応募いただきますと、ディズニーシーの貸し切りナイト(6月28日実施)へ抽選で5千組1万名の読者をご招待します。講談社のフィルムパックされた全コミックスが対象商品です。
皆様の売上げ増に繋がるキャンペーンですので、是非ともご理解ご協力をお願いします。応募期間は1月25日から4月19日です。読者へのお知らせとして小社ホームページの他、コミック定期雑誌本誌での告知や、期間中に発売されるコミックスにキャンペーンの告知チラシを投げ込みます。またコミック通信をお届けさせていただいている書店様には1月22日頃ポスター等の宣伝物をお届けいたしますので、ぜひご掲出をお願いいたします。
店頭のオペレーションとしまして、カバー掛けをご希望されるお客様には商品と一緒にバーコードシールもお渡しいただきますよう、大変お手数をお掛けしますが宜しくお願いします。
【映像化情報】
コミック原作の映像化情報をご紹介します。1月スタートのアニメ化作品は『ドメスティックな彼女』『五等分の花嫁』『臨死!!江古田ちゃん』『まんなかのりっくん』『ピアノの森』、ドラマ化では『節約ロック』、劇場映画としては2月に『銃夢』『BackStreetGirls』が公開されます。また文芸作品では講談社文庫から『盤上のアルファ』が2月に連続ドラマ化、『パラレルワールド・ラブストーリー』が5月劇場映画公開の予定です。
是非ご拡販をお願いします。

我が社のイチ押し企画/金の星社・編集部・野村茂樹

2020年に東京五輪が開催されます。開催都市の東京都ではいま、「バリアフリー」「ユニバーサルデザイン」という考えかたのもと、新しい競技場の建設や、既存施設の整備・改修が進んでいます。身長や性別の差、国籍や文化のちがい、障害の有無などにかかわらず、だれもが使いやすく、すごしやすいまちをつくるために、国をあげて取り組んでいます。
このような時機をとらえ、小社では2018年9月に『車いすの図鑑』を刊行しました。時代の変化とともに、多くの施設でバリアフリー化が進み、車いす使用者が外出しやすい環境が整ってきています。しかし一方で、車いす使用者の気持ちを考える機会は、それほど多くはありません。その役割の一端を担うべく本書は企画されました。
この図鑑では、3章に分けて車いすの情報を紹介しています。第1章では、「車いすとは何か」「どんな人が使うのか」「車いすのしくみ」などをまとめました。車いすで小学校生活を送る子どもたちを取材して、登校や授業の様子もリポートしています。
第2章は、車いすとバリアフリーがテーマです。道路やトイレ、公共の乗り物など、まちのいたるところに、車いす使用者にとってのバリア(障壁)があります。何がバリアになるのか、また、そのバリアを取りのぞくために、どのような取り組みがなされているのかを、この章で知ることができます。
第3章は「車いす図鑑」です。自走用や介助用、電動車いす、スポーツ用車いすなど、30種類もの車いすの機能を、写真とともに紹介しています。
これからは、交通機関や施設の運営者などが工夫するとともに、わたしたちがみんなで支え合い、だれもが負担を感じることなくすごせるようにしなければならない時代です。本書が、その大切さを考えるきっかけになることを願っています。A4変型判、80ページ、定価4212円。

第53回新風賞に『漫画君たちはどう生きるか』

書店新風会(大垣守弘会長)は12月6日、第53回新風賞は『漫画君たちはどう生きるか』(吉野源三郎原作、羽賀翔一漫画、マガジンハウス)に決定したと発表した。
対象銘柄の選定では、ロングセラーが増えた昨今の出版事情を鑑み、「前年11月から当年10月」刊行の出版物という枠を今年から外した。1次投票では会員書店の書店員463名が1人3点ずつ推薦本を投票。その後、上位10点を対象に2次投票で366名の書店員が1人2点ずつ投票し、その結果を踏まえて役員会で最終選考を行い、賞を決定した。授賞理由は、「子どもだけでなく、学生、ビジネスマン、年配の方など全ての世代に指針として、そしてもう一度日々の自分と向き合い成長していく糧としての1冊になった」とした。

我が社のイチ押し企画/三省堂・販売部販売宣伝課・佐藤洋一

2019年新学期のわが社のイチ押し企画として、『三省堂現代新国語辞典第六版』『ウィズダム英和辞典 第4版』の最新改訂版2点をご紹介いたします。
全国の高等学校で採用されている〝唯一の高校教科書密着型辞典〟として定評のある『三省堂現代新国語辞典第六版』は、最新の高校教科書を綿密に調査して、一般の国語辞典ではカバーしきれないような使用語句・語義の採録を行っている点が最大の特長です。
今改訂では特に、高校生の方々に国語辞典というものをより親しみの持てる学習ツールとしていっそうご活用いただけるようにとの願いから、「インフルエンサー」「エゴサーチ」「スクショ」など、いわゆるネットスラングなどの俗語や、「推し」「沼」「ギガ」など若者言葉の新用法も、ある程度広めにカバーをしました。
また、ポリティカルコレクトネスという世の中の大きな価値観に配慮すべく、「恋」「恋愛」など約100項目の語義説明から〝男女〟という限定を外しました。
発売直後から〝こんなネットスラングが初めて国語辞典に掲載された〟というかたちで、ネットを発信源に、数多くのオンライン記事やテレビ番組でお取り上げいただきました。これほどの反響は思いがけなく、驚きをもってありがたく受けとめております。
新時代の英語学習・大学入試改革・各種検定試験にいち早く対応すべく改訂した『ウィズダム英和辞典第4版』は、コーパスを徹底的に解析し、最新の「生きた英語」を反映している点が最大の特徴です。
今改訂では特に、学習や実務に、受験やビジネスでいっそう重視される、論理的な英語文書を処理する力をつけるための情報を増強しました。他方、日常生活で多用される「生活語」もいっそう重視。日常的な英語表現をマスターするのにも最適な英和辞典です。
同時改訂した『ウィズダム和英辞典第3版』とともに、多くのお客様の手にとっていただけますよう、ご支援のほど宜しくお願い申し上げます。

我が社のイチ押し企画/双葉社・営業局次長・奥山秀

明けましておめでとうございます。旧年中は格別なるご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
昨年は、コミックスでは、ライトノベルをコミカライズした『モンスターコミックス』がお陰様で大変好調でした。1月に刊行を開始し、年間で27点刊行の内23点を重版することが出来ました。アクションコミックスでは、夫婦間の微妙な関係を描いた『あなたがしてくれなくても』①②巻(ハルノ晴)が好調に版を重ねています。その他、アニメ化した『うちのメイドがウザすぎる!』(中村カンコ)や、『orange』の高野苺さん待望の新刊『君になれ』、アニメ放映中の『少年アシベ』(森下裕美)の〝その後〟を描いた『青少年アシベ』(作画:笑平)など注目作・話題作を出すことが出来ました。
書籍分野では、なんといっても湊かなえさんのデビュー10周年記念作品『未来』を、デビュー作『告白』の版元である弊社から刊行することができたのは僥倖でした。同作は第159回直木賞の候補作となり、10万部を超すヒット作となりました。文庫では一昨年大ヒットした『君の膵臓をたべたい』(住野よる)がアニメ映画になり、その効果で単行本と合わせて累計243万部を突破、同著者文庫化第2弾『また、同じ夢を見ていた』も30万部を超え、ロングで売れ続けております。『京都寺町三条のホームズ』(望月麻衣)はTVアニメ化になり累計100万部を突破する超大人気シリーズに成長、1月に刊行した原田マハ著『奇跡の人』はロングセラーとなり10万部を突破、キャラクター文庫の『時給三〇〇円の死神』(藤まる)も12万部を超えるセールスとなりました。年末は佐伯泰英著『空也十番勝負 青春篇 未だ行ならず』(上)(下)を2冊同時発売し、大変好調に推移しております。
双葉文庫創刊35周年も迎える本年は、様々な企画・作品を準備しております。3月には『九月の恋と出会うまで』(松尾由美)がワーナー系にて待望の映画全国公開です。こちらもご期待ください。本年も何卒、倍旧のご支援お力添えをよろしくお願いいたします。

我が社のイチ押し企画/新潮社・出版部文芸第三編集部・高澤恒夫

わずか7日間しかなかった昭和64年、すなわち平成元年に起こった誘拐事件から始まる『64』は、各種ベストテンを賑わせ、映像化も相次ぎました。その刊行から6年余、奇しくも平成最後の年に、横山秀夫氏の待望の新作長編ミステリー『ノースライト』が登場します。
望まれて建てた新築の家。しかし、そこに越してきたはずの家族の姿はなく、ただ「タウトの椅子」だけが残されていた――。
数ある横山ミステリー史上でも、最も美しい謎と呼べるのではないでしょうか。
この小説の主人公は、一級建築士の青瀬稔です。ストーリーをご紹介しましょう。
青瀬稔は信濃追分へ車を走らせていた。すべてお任せします――施主の吉野にそこまで惚れ込まれて設計したY邸。建築雑誌にも取り上げられ、同じ家を希望する客まで現れた会心作だった。なのに――。
誰も住んでいない?その情報に耳を疑った。4ヵ月前、吉野夫妻と子供たちは、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたではないか。吉野の携帯、Y邸、旧住所。どれも電話に応じる者はなく、コールバックもない。やむにやまれず駆けつけたY邸は無人だった。
玄関の扉には、こじ開けようとした跡が残り、ドアは解錠されていた。家に吉野一家の姿はなく、電話機以外に家具もない。ただ一つ、窓の向こうの浅間山を望むように置かれた、古ぼけた一脚の椅子を除けば……。
吉野一家はどこへ消えたのか?空虚な家に、なぜ椅子だけが残されていたのか?伝説の建築家タウトとの関係は?建築事務所の命運が懸かったコンペの成り行きは?
熱く心揺さぶる結末が待っています。2019年2月末刊行予定です。

我が社のイチ押し企画/福音館書店・「かがくのとも」編集長・川鍋雅則

〝かがくって、おもしろい!〟を子どもたちに伝えるために、1969年、日本で初めての月刊科学絵本として創刊した「かがくのとも」が2019年に50周年を迎えました。
それにあわせて、今年はかがくイベントや書店セミナーなど様々な企画を考えています。その中でも、イチ押し企画はかがくのとも記念誌『かがくのとものもと』の出版です。
好奇心のかたまりである子どもたちに、知識や情報をただ与えるだけではなく、科学の種を植え、その芽を広げて大きく花開かせるにはどうしたらいいのだろう?毎号、考え続けてきた601冊分の思考の足跡を、遊び心溢れるデザインで振り返る記念誌です。
この記念誌はこれまで「かがくのとも」に親しんできた人に「かがくのとも」が辿ってきた道のりを見せる総集編といっただけでなく、かがく絵本って何?どう読めばいいの?といった、もともとかがく絵本に対して苦手意識や、そもそも存在こそ知らないというかがく絵本ビギナーが読んでも、「かがくのとも」がどんなものかが理解できるようなガイドブック的な側面も持っています。
「かがくのとも」は、決して図鑑や、知識を押しつけるような教科書ではなく、物語を楽しめる絵本であるという特徴や、これまでにとりあげた様々なテーマを「体験できない世界、ドキドキワクワク、きもちだってかがく、あたりまえをかがくする」といったキーワードを柱にして、絵本の見開き場面を盛りだくさんに紹介していきます。そのビジュアルの華やかさ豊かさは、「かがくのとも」を一度でも読んだことある人ならば、感動の場面を思い出し、そして初めてこの記念誌で知る人には、「かがくのとも」を手に取ってみたくなるような、いわば「かがくのとも」指南書といったものになっています。
ビジュアル主体のガイドブック的な要素を前面に出し、かがく絵本の新たな読者をも開拓する起爆剤となるこの記念誌がわが社のイチ押し企画です。

これからの書店経営をテーマに/文化通信・星野専務が講演/埼玉組合研修会

埼玉県書店商業組合(吉田矩康理事長)は11月22日、さいたま市浦和区のワシントンホテルで研修会を開催し、25名が出席した。
研修会は、文化通信社専務取締役の星野渉氏を講師に、「出版ビジネスモデルの転換とこれからの書店経営」と題して講演を行った。
星野氏は、いよいよ大手取次が方向転換の局面を迎えたと説明。書籍の流通モデルを確立し、書籍で利益を出せる構造にして、そこに雑誌の流通を載せるとする日販・平林社長の考えを紹介。また、書籍を「委託」を前提にした商品出荷から「受注」型商品提供に変えるといった、抜本的な対策に取り組みたいとするトーハン・近藤社長の考えも合わせて紹介した。
一方、書店の現状については、コミックは値上げされても売上は落ちずプラスに転じていること、カフェや文具雑貨等を備えた新業態店舗の出店も加速していることを挙げ、書店(店頭)の役割はまだ重要と言えると指摘。新たな業態にシフトしても、あくまでも書籍を経営の軸とすべきであるとした。
喫緊の課題として、大手取次の方向転換に向けて、現在の書籍価格と流通マージンでは経営が成り立たない状況を打破すべく、書籍価格のアップ及び書店マージンのアップへつなげるために、配本の見直し策や事前発注制度への移行が必要だろうと述べた。
星野氏の出版や書店への熱意が伝わり、有意義な研修会となった。
(水野兼太郎広報委員)

池田創価学会名誉会長に顕彰牌贈る/沖縄組合

沖縄県書店商業組合(小橋川篤夫理事長)は、11月30日に那覇市の沖縄創価学会国際平和会館で、創価学会・池田大作名誉会長の文字活字文化への貢献を讃え特別顕彰牌を贈呈した。
贈呈式では、沖縄組合の大城行治副理事長より推挙の辞が述べられた後、小橋川理事長より池田名誉会長代理の安田進総県長へ特別顕彰牌が贈呈された。
お礼のあいさつでは、安田総県長が池田名誉会長の謝辞を代読。その中で池田名誉会長は、「この栄誉を、最も苦楽を分かち合ってきた、信頼してやまない沖縄の不二の同志とお受けさせていただくことが、私の何よりの喜び」と述べ、読書教育と文字活字文化振興の更なる発展を祈念した。
(大城行治広報委員)

トーハン、日販との物流協業検討でプロジェクトチームを発足

トーハンは12月21日、日販との間で物流協業の可能性を検討するにあたり、このたび田仲幹弘副社長を統括責任者として、社内およびグループ会社よりメンバーの選定作業を行い、プロジェクトチームを発足させたと発表した。田仲副社長はメンバーに含まれない。
今後はプロジェクトチームで検討を進め、マーケットイン型を目指した流通改革を実現するため、早期に一定の方向性を見出せるよう取り組む。検討にあたっては、両社で独占禁止法遵守の観点から機微情報の厳密なコントロールを行い、必要に応じて公正取引委員会への報告・相談を行うとしている。

創価学会・池田名誉会長に感謝状/中央社

中央社は、創価学会・池田大作名誉会長の長年にわたる文字・活字文化振興への多大な貢献を讃え、感謝状を贈った。贈呈式は11月16日、東京・新宿区の創価学会総本部で行われた。
贈呈式では、聖教新聞社・石橋正至出版局長が来賓紹介、同・原田光治代表理事が歓迎あいさつ。中央社・大谷敏夫専務が推挙の辞を述べ、同・加藤悟社長が感謝状を贈呈した。
創価学会・原田稔会長が池田名誉会長の謝辞を代読。中央社が神田で設立された頃、戸田城聖第2代会長が経営する出版社も西神田にあった歴史的な縁に触れ、「中央社とともに文字・活字文化振興に尽くしたい」と決意を述べた。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

角川書店編『俳句歳時記第五版冬【大活字版】』(KADOKAWA1000円)は、初版が1955(昭和30)年。今回の第五版では大幅に季語数、新規句が増えている。同時に角川ソフィア文庫(560円)にもなっているので、好きな方を選ぶことができる。
時候では二十四節気の一つで小寒。1月5日辺りで、大寒は20日頃のことを言う。天文は時雨、雪など。面白し雪にやならん冬の雨(芭蕉)。
さらに地理、生活、行事、動物、植物と続く。寒桜は傍題に緋寒桜、寒緋桜、冬桜。水音のそこだけ消えて冬桜(清水衣子)などがある。
巻末に使ってみたい季語の傍題、関連季語が紹介されていて、たとえば制服のうなじうつくし六花(むつのはな)。六角形に結晶する雪のこと。また、読めますか冬の季語として蝋梅など読みにくい漢字も50種紹介。
小沢信男著『俳句世が
たり』(岩波新書820円)は、あまたの句集から折々に心惹かれる句々を手控えておこうと始まった俳句エッセイ。
お降(さが)りや竹ふかぶかと町の空。芥川龍之介である。元旦に降る雨や雪をお降りと言い、下町の略式の門松に、竹の枝葉が濡れてたわみ、ほどなく空は晴れそうなそんな様子を描いている。まさに日本文化である。

若い人に贈る読書のすすめ/読進協

読書推進運動協議会(野間省伸会長)はこのほど「2019若い人に贈る読書のすすめ」のリーフレットを作成した。各都道府県の読進協から寄せられた「若い人に是非読んでもらいたい本」の推薦書目をもとに、読進協事業委員会で選定したもの。掲載図書は以下の24点。
▽『ブロードキャスト』湊かなえ、KADOKAWA▽『風に恋う』額賀澪、文藝春秋▽『未来職安』柞刈湯葉、双葉社▽『給食アンサンブル』如月かずさ、光村図書出版▽『思い出が消えないうちに』川口俊和、サンマーク出版▽『世界の終わりの天文台』リリー・ブルックス=ダルトン/佐田千織(訳)、東京創元社▽『七〇歳年下の君たちへ』五木寛之、新潮社▽『あなただけの人生をどう生きるか』渡辺和子、筑摩書房▽『池上彰の未来を拓く君たちへ』池上彰、日本経済新聞出版社▽『吉本ばななが友だちの悩みについてこたえる』吉本ばなな、朝日新聞出版▽『立ち直る力』辻仁成、光文社▽『学校に行きたくない君へ』全国不登校新聞社(編)、ポプラ社▽『その情報、本当ですか?』塚田祐之、岩波書店▽『死ぬこと以外かすり傷』箕輪厚介、マガジンハウス▽『大人のための言い換え力』石黒圭、NHK出版▽『AIvs.教科書が読めない子どもたち』新井紀子、東洋経済新報社▽『大人のにほんご事典』齋藤孝、海竜社▽『18歳から考えるワークルール[第2版]』道幸哲也・加藤智章・國武英生(編)、法律文化社▽『フジコ・ヘミング14歳の夏休み絵日記』フジコ・ヘミング、暮しの手帖社▽『その声を力に』早乙女勝元、新日本出版社▽『ほぼ命がけサメ図鑑』沼口麻子、講談社▽『カルピスをつくった男三島海雲』山川徹、小学館▽『わけあって絶滅しました。』今泉忠明(監修)/丸山貴史(著)/サトウマサノリ(絵)/ウエタケヨーコ(絵)、ダイヤモンド社▽『デニムさん気仙沼・オイカワデニムが作る復興のジーンズ』今関信子、佼成出版社

第7回静岡書店大賞/ヨシタケシンスケ氏らが受賞/故さくらももこ氏に感謝状

静岡県内の書店員と図書館員が最も読んでもらいたい本を投票で選ぶ「第7回静岡書店大賞」の授賞式が12月4日、静岡市葵区のグランディエールブケトーカイで開かれ、書店170名、出版社170名、図書館30名、取次・報道31名、受賞者関係8名に加え、今年から一般読者代表8名が出席した。
受賞作は、小説部門が芦沢央『火のないところに煙は』(新潮社)、児童書新作部門が大賞にヨシタケシンスケ『おしっこちょっぴりもれたろう』(PHP研究所)、2位に鈴木のりたけ『ねるじかん』(アリス館)、3位に工藤ノリコ『ノラネコぐんだんアイスのくに』(白泉社)、児童書名作部門がながえよしを(作)・上野紀子(絵)『ねずみくんのチョッキ』(ポプラ社)、映像化したい文庫部門は望月拓海『毎年、記憶を失う彼女の救いかた』(講談社)。各受賞者に、県内の弁当チェーン「お弁当どんどん」がご当地副賞を提供した。
今年も同会場で授賞式と「第3回しぞ~か本の日!書店大商談会」「懇親会」の3部構成で開催。また、18年8月に逝去した静岡市清水区出身の漫画家さくらももこさんへの感謝状贈呈を行い、ちびまる子ちゃんのぬいぐるみが登場。関連ブースも開設し、出席者全員がさくらさんの業績に思いを馳せた。静岡市内の書皮収集家中西晴代さんのコレクションの中から県内59書店120枚のブックカバーの展示も行った。
第1部の商談会は、県内の書店員だけでなく図書館員も多数参加し、図書館員のエスコート役として書店員が付いた。出版社から有益な情報を得ることができたと多くの図書館員が喜んだ。
第2部の授賞式では、各受賞者がコメント。芦沢氏は「今回はホラーというジャンルの中でのミステリーに挑戦した」、望月氏は「新人のデビュー作をこんなに応援していただけるとは思わなかった。第3作目は静岡市を舞台にする予定」、ながえ氏は「シリーズは来年で45周年。シンプルな作品を作りたかった」、工藤氏は「小さい子供が自分の分身のように感じられる登場人物を描くことで、より楽しく物語の世界に入れることを願った」、鈴木氏は「私は浜松市出身。地元の皆さんに選んでいただき、幸せ」、ヨシタケ氏は「当時4歳の息子の出来事がきっかけで、このような題名の本があったら自分も読みたいと思った。どんな人にも言えない悩みがあるというのがテーマ」と喜びを語った。
第3部の懇親会であいさつした江﨑直利実行委員長(藤枝江﨑書店)は、「今回は色々な試みが行われ、それを形にした吉見事務局長をはじめ女性陣のアイデアと頑張りに感服した。私がこの会にテーマをつけるとすれば『なんだかうれしい』。購買者の喜ぶ顔が見える商売を続けよう」と呼びかけた。
なお、12月5日~1月4日、受賞作の感想を一般読者から募集する「読者レビューコンテスト」を開催。優秀賞の受賞者には、図書カードを進呈し、県内書店の書店大賞コーナーにレビューを掲示する。
(佐塚慎己広報委員)