全国書店新聞
             

平成18年10月11日号

10月移動理事会、福岡県筑紫野市で

日書連は移動理事会を10月19日(木)午後1時より福岡県筑紫野市「大丸別荘」で開催する(受付は正午より。昼食用意)。午後6時より懇親会。
翌20日(金)は観光。大宰府天満宮、九州国立博物館など大宰府周辺を散策する。昼食は湯豆腐中心の会席料理店「梅の花自然庵」で。参加費6千円(昼食・バス代)。

マージン拡大の契機に/新販売システム成功に全力/東京組合

東京都書店商業組合は10月4日に定例理事会を開き、日書連・講談社のタイアップ企画「新販売システム」の成功に向け、組合・各支部が一丸となって部数の上積みを図ることを申し合わせた。丸岡理事長は「この企画を成功させ、書店マージン拡大の突破口にしたい」と述べ、各書店に積極的な注文を呼びかけた。
「新販売システム」は、昨年実施した「全国小売書店経営実態調査」で「書店マージンの拡大」「適正配本」を望む声が多く寄せられたことを受け、これを実現するために企画したもの。完全買い切り、受注生産で注文部数満数配本、普通正味に特別報奨を合わせて書店マージン40%を実現した。対象商品は『新装版窓ぎわのトットちゃん』『大型版だいじょうぶだいじょうぶ』で、10月27日発売。
丸岡理事長は「本を拡売することで取引システムを少しずつ変えていこうと採用したのが、今回の新販売システム。書店マージン拡大へのスタートラインと考えている。高マージンの取引を増やしたい。成功すれば他にもやりたい出版社が出てきて、次の展望が開ける。日書連に部数報告する10月10日まで、部数上積みに向けて努力してほしい」と述べた。
柴崎副理事長は「セットで売るのが難しければ、片方だけでもいいと思う。子供たちがたくさん来る店は『だいじょうぶ』だけ、絵本がまったく売れない店は『トットちゃん』だけでもかまわない。地元での積極的なお声がけをお願いしたい。まだ上積みの余地はある」と述べ、支部単位での販売努力を求めた。
保険業法の改正で存続が困難になった日書連共済会については、大橋副理事長が解散に関する手続き、残余財産の所有権、今後の日程について説明。「10月6日の地区委員長会議で賛成票のとりまとめに協力を求め、年内に総会を開き、4分の3以上の賛成で解散する見通し」と述べた。
万引き問題については、9月期は2件の発生報告があった。このうち1件の万引き者は小4女児。9月24日午後、小金井市の書店でコミック3冊を万引き。女児は入店時、布バッグのチャックを全開。コミック3冊を持ちながら清算せず、店内でバッグに押し込みチャックを閉めたところをミラーで確認。現行犯として捕らえた。店主はチャックを開けて中身を確認し、警察に連絡。処置は警察に一任。学校・親への指導徹底を依頼した。同日のうちに母親とともに謝罪来店したという。万引き・出店問題委員会では組合員に「万引き発生・情報報告書」の提出を呼びかけており、今後も資料の集積につとめたいとしている。
読書推進問題では、第16回神保町ブックフェスティバルが10月28日、29日の2日間、神保町すずらん通り、さくら通りなどで開催されると報告があった。汚損本、自由価格本などを揃えたワゴンセール「本の得々市」に、千代田支部がワゴン2台、青年部がワゴン1台を出す。
昨年11月に東京組合が出版社17社の協賛を得て発行した「読者謝恩図書カード」について、オブザーバーとして出席した青年部の小宮会長が「客注迅速化、自店の顧客に合った品揃えなどとともに、読者謝恩図書カードは読者利益の1つの具現化」と青年部の見解を説明し、今年も発行してほしいと要望した。丸岡理事長は「流通改善委員会で検討したい」とした。
TS流通協同組合の9月期(9月1日~30日)の売上げは、793万7291円(対前年比9・5%減)と落ち込んだ。78書店(同1・2%増)から8111件(同11・2%増)の注文があった。

絵本ワールドinみえ/児童書即売、講演会など大盛況

「絵本ワールドinみえ」(同実行委員会主催)が9月23日・24日、三重県総合文化センターで開かれ、多数の親子連れで賑わった。入場者数は2日間で約9千2百人、展示販売会場には約半数の人が訪れ、スタッフも休憩が取れないほどの大盛況であった。
23日は男女共同参画センター多目的ホールで、柳田邦男氏が「絵本の森は深い~大人こそ絵本を~」と題して講演。橋村孝子氏、林千智氏、田部真樹子氏によるシンポジウム「つなげよう・ひろげよう絵本・子供・大人」が開かれた。24日はさいとうしのぶ氏のワークショップ、まついのりこ氏による講演と原画展、紙芝居が行なわれた。また両日にわたって親子で読み語り、絵本をもっと楽しもう、民話、わらべ歌、親子で手作り絵本等々のイベントが賑わいを見せた。
販売会場では、地元の作家及び地元出身作家の村上しい子、つつみあれい、森川りぼん、川俣規世佳、ながたみかこ各氏によるサイン会が行なわれ、時間をオーバーする行列となった。懐かしい絵本から最新の人気絵本、児童書1万冊の展示即売会は、NPOボランティアグループの皆さんの応援を得た。活字離れが問われる中、予想を上回る売上で、来場者から「次回はいつ頃開催されるのか」と惜しむ声が聞かれるうちに閉館となった。
(藤田忠男広報委員)

九州国立博物館へ研修旅行/大分

大分県書店商業組合(大隈劭理事長)は9月3日に九州国立博物館へ日帰り研修旅行を行い、28名が参加した。
福利厚生委員会・斉藤勝義実行委員長のアイデアで、旅行参加費は1書店2名まで無料となった。好天に恵まれ、大宰府天満宮近くに本年オープンした九州初の国立の施設と、展示品の多さに皆目を奪われた。
親睦のため梨狩りも用意され、参加者全員が秋の味覚に満足。大隈理事長は、あいさつの中で「書店を取り巻く環境は、ますます厳しくなりつつある。既存の書店が生き残るには、外売を武器としてフルに活用し、顧客に愛され指名される書店としてこれからも生き抜こう」と抱負を述べた。(金光直明広報委員)

生活実用書/注目的新刊

戦後に生まれた第一次ベビーブーム世代の定年が始まる2007年から、約半世紀の間、日本は超高齢化社会を迎えることになる。本欄もその世代の一人で、いつの間にか人ごとではなくなっていた。
しかし、老い・高齢・長寿というものに厳密な線を引くのは難しい。人生50年が常識だったのは江戸時代で、現代ではそのような概念もない。
長沼行太郎著『嫌老社会老いを拒絶する時代』(ソフトバンク新書020700円)は、ベビーブーマー世代が検証する高齢社会論。「老い」のモデルがない時代への突入である。高齢者の医療費と介護保険の利用は、すでに予想を超えて増大している。一方ではアンチエイジングという老いない社会を演出しつつ「その裏側で、「老い」を隠蔽し抹殺していく方向に至
らないか」と著者は危惧する。そして賃金の推移や格差などのデータを出しながら、直面する老後を検証してみせる。
老後の不安が若年層にまで広がっているのは、経済的な問題と、「老後のイメージの不在という精神的な」問題と二つの理由があるという。
中世の老僧の介護システムや『徒然草』など、歴史に現れた老いも照射するのだが、現代はともかくも人類が初めて遭遇する未知の時代であることは間違いない。そして、華やかな老後を過ごす人と介護に頼る人々を、一口に同じ高齢社会とくくることはできないと著者は語る。実に憂鬱な時代になったものである。
香山リカ著『老後がこわい』(講談社現代新書1852700円)は、若年でないもののまだ40代の精神科医が語る老後の考察である。
ひとり暮らしのシングル女性の葬儀に出席するあたりから、我が身を振り返るのだ。
シングルの場合、いつまでも親子の子であり続けるので自分が親でもあるという二重の役割を担うことはない。親の死を人はどうやって乗り越えてきたのだろう、と著者は考える。また、いつまで働けるか、入院すると誰を保証人にするのか、孤独死だなんて言われたくない、と次々にテーマが出現してくる。しかし「そうだ、明日のことも老後のことも、結局はなるようにしかならない。」と、そう思い至るのである。シングル女性の励ましになる一冊である。
一人でも三人でも高齢でも孤独に変わりはないのである。(遊友出版斎藤一郎)

日書連のうごき

9月1日情報化推進拡大専門委員会。
9月4日新販売システム企画発表会。
9月5日読進協事業委員会に石井総務部長が出席。
9月6日増売・読書推進合同委員会。書店経営実態調査特別委員会。丸岡会長ほか4名の役員がリクルート訪問。平成18年度公正取引協議会に井門公取協会長ほか6名の役員が出席。
9月7日日書連共済会第3回小委員会。丸岡会長、藤原副会長、大川専務理事が、紀伊國屋書店、丸善、三省堂書店を訪問。
9月12日千葉組合通常総代会に丸岡会長が出席。
9月13日第5回JPO運営委員会に、志賀副会長と大川専務理事が出席。相田みつを美術館10周年記念式典に丸岡会長が出席。文字・活字文化振興出版会議に大川専務理事が出席。
9月14日第14回出版関連業界電子タグ標準化委員会。出版倫理協議会に大橋副会長ほか役員が出席。出版経営研究部会第1回研究会に、高須副会長が講師として出席。取協書籍研究委員会に大川専務理事が出席。
9月15日大橋副会長、大川専務理事、石井総務部長が金融庁を訪問。
9月20日日書連各種委員会(書店業界環境改善政策、増売、読書推進、書店経営実態調査、共済会運営、組織強化、共同購買・福利厚生、消費税問題、流通改善、取引改善、再販研究、小売公取協、環境改善検討ワーキング、広報、情報化推進、指導教育)。トーハン並びに日販との返品入帳問題意見交換会。第4回ISBNマネジメント委員会に井門副会長が出席。
9月21日日書連理事会。小売公取協理事会。日書連共済会理事会。日書連共済会正副会長運営委員合同会議。新出版ネットワークISBN13桁対応説明会に鈴木専門委員が出席。
9月22日TIBF実行委員会に丸岡会長と大川専務理事が出席。
9月25日第31回出版ゾーニング委員会に大橋副会長が出席。
9月26日リサイクルブック調査研究委員会キックオフミーティングに、小林、井之上両委員と大川専務理事が出席。
9月27日「サン・ジョルディの日」実行委員会。「読書週間書店くじ」取協書籍進行委員会との打合せに舩坂委員長と長谷川理事が出席。JPIC第33回定例評議員会、第78回定例理事会に丸岡会長ほか役員が出席。全国中小小売商団体連絡会に、下向理事と石井総務部長が出席。朝日新聞社出版懇親の夕べに丸岡会長が出席。
9月28日日本図書普及㈱役員会に丸岡会長ほか役員が出席。

「景品としてのスタンプサービス」について/出版物小売業公正取引協議会

出版物小売業公正取引協議会は9月21日の理事会で景品にあたるスタンプサービスについて、以下の考え方を統一した。
スタンプによるサービスは、従来は景品類の提供と考えられていましたが、現在では概ね「値引」と判断されるようになりました。「値引」は景品類から除かれますので「規約」の対象にはなりません。「値引」が景品類から除かれるのは法律の規定(景品類の指定告示)に「顧客を誘引する手段として、方法のいかんを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に附随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であって次に掲げるものをいう。ただし、正常な商慣習に照らして値引又はアフターサービスと認められる経済上の利益及び正常な商慣習に照らして当該取引に附属すると認められる経済上の利益は含まない」とあるからです。
平成8年、景品表示法の運用基準の改正で実質的に「値引」と認められるものは明確に景品規制の対象外となりました。スタンプによるサービスを考えるとき大切なことは、その態様が「値引」か「景品」かの判断が求められることです。
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(値引)
対価の減額、金銭の割り戻し、同一商品の付加(複数回の取引を条件とする場合を含む)
―景品類指定告示運用基準第6項―
(景品規制の適用除外)―割引類似行為―
割引券その他割引を約する証票(金額証、他店と共通して用いられる割引券等を含む)
―消費者景品告示運用基準第4項―
注1
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景品表示法では、その判断基準を次の様に規定しています。
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対価の減額又は割り戻しであっても、
ア.懸賞の方法による場合。
イ.値引した金額の使途を制限する場合。
(例.旅行費用や観劇の費用等に充当)
ウ.同一企画で景品類の提供と併せて行う場合
(例.金銭か物品又は招待旅行等のいずれかを選択させる場合)
―景品類指定告示運用基準第6項―注2
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ただし、次のような場合は景品類の提供に当たり景品規制の対象になります。
「景品としてのスタンプ」によるサービスは、年間を通して実施する方法ですから、従来は実施期間の制限(年2回60日以内)に抵触し違反とされていました。
今回、新しく変更された規約の規定による実施期間の制限は、年2回90日以内となり、次に掲げるものについては、適用除外となりました。
(1)共同懸賞(懸賞告示第3号第4項)
(2)一の商店街に属する小売業者の相当多数、又は一定地域における事業者と共同して行なう景品類に該当するトレーディングスタンプその他これに類似するサービス券等の提供。
(3)購入金額、購入冊数等の購入実績を一定の換算方法に基づいて継続的に記録し、蓄積された購入実績に応じて懸賞によらないで提供する景品類であって、取引価格の100分の2の範囲のもの(施行の日から1年間に限り100分の1)
―規約施行規則第1条―※
※この規定は、書店業界の正常な商慣習として、現在書店が許容できるぎりぎりの範囲で認めた景品類に該当するトレーディングスタンプ等これに類似するサービス券の提供であって、再販問題を包含している「値引」のポイントサービスを容認したものではありません。
注1割引に類する行為について
景品規制の対象外となる「値引」については、初回の取引で対価を減額するいわゆる「値引」の他に、ポイント数が一定の基準に達した場合に、商品代金の支払いに充当できるものも「値引」に含まれることになりました。
また、「値引」と同様の経済的効果をもたらす意味合いから、景品規制の対象外となる割引に類する行為については、次の様に判断されています。
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自他共通割引券・金額証(消費者景品告示運用基準第4項)
総付景品規制の適用除外となる割引を約する証票について、次のものを含めるよう拡大することとする。
・他の事業者の商品購入にも共通して使用できるもので、同額の割引を約する割引券。
・金額を示して対価の支払いに充当される金額証及び他の事業者の商品購入にも共通して使用できる金額証。
(公正取引委員会作成資料より)
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注2景品規制の対象となる「同一企画において、金銭・値引または物品のいずれかを選択させる場合」について
ポイントが一定基準に達した時に、物品と交換できるものは「景品」として「規約」の対象となりますが、支払いに充当できるものは「値引」と思料されますので「規約」の対象外となります。
なお、上記注1、2のいずれの場合も、実質的に判断すると、値引(割引類似行為)にあたる部分があると考えられますから、別途、再販契約上の問題が生じる恐れがあります。
再販規制はいうまでもなく販売価格を拘束している出版社の裁量の問題ではありますが、これらの場合は、トラブルの発生を防止するために、十分注意する必要があります。(以上)

ブログで書店員日記/読売新聞キャンペーン

読売新聞東京本社広告局は、同新聞のホームページ「ヨミウリ・オンライン(YOL)」内の書評サイト「本よみうり堂」に『書店員のおすすめ読書日記』を開設。書店員が薦める書籍をブログで紹介する。9月13日の開設では首都圏を中心に46名の本好き書店員が参加。最近の売れ筋からマニアックなものまで様々なジャンルの本を紹介し、読書の楽しみを訴える。
ブログサイト開設を記念して9月27日の東京本社版夕刊では、ブログサイトと執筆者を紹介する大特集を組み、すべての広告スペースを出版社の広告で埋め尽くすマルチ広告を展開。書店で書籍・雑誌を購入したレシートをハガキに貼り応募すると図書カードが120名に当る読者プレゼントも実施している。
21世紀活字文化プロジェクトに取組んでいる読売新聞では、「本屋さんへ行こう」キャンペーンは「本に興味を持ち、書店に足を運んでもらうことが目的」と位置づけている。アドレスは以下。http://blogs.yomiuri.co.jp/book/

『ティアラガール』創刊/日販IPS

日販アイ・ピー・エス(柴田克己社長)は、プチセレブをキーワードにした女子大生のためのファッション誌『ティアラガール』プレ創刊号を9月20日に発売した。定価税込み5百円、10万部発行。
女子大生読者モデル2千人が所属する日本最大の女子大生ポータルサイト「キャンパスパーク」を運営する㈱ナレッジパークと組み、編集をナレッジパーク、発行ティアラガール製作委員会、発売は日販アイ・ピー・エスが分担。「キャンパスパーク」は会員13万人のうち7万人が女子大生。ファッション・コスメ・就職活動などの情報がウェブで広がっている。
編集長には現役女子大生・坊農さやかを抜擢。コンテンツは75%がファッション・コスメ。25%が就活・キャリア。カリスマ読者モデル65名のブログに連動する。11月20日創刊号発売、来春月刊化を予定。

本屋のうちそと

「ホワットイズフルサト?」「♪兎美味しー♪」「オー、ジビエ?」「まあジビエ≒スローフード≒故郷と言えなくも無い」『東京へ行くな/故郷を作れ』谷川雁先生、平成の大合併によって「まつろわぬもの」のプライドを無くした「地方」、今や故郷には「東京」が沢山出来ました。全国チェーン店の有無がその街の文化度?を計る時代。「ウチとこにはスタバもあるぞ」「おらんところにはマックしか無か」「わしとこなんかブックオフにTSUTAYAに○△に、で、地元の本屋は潰れてしもたけど」。公共事業減のゼネコン救済の為か、政府は「規制緩和」で大型商業施設を全国各地の田舎に乱立させました。おかげでその周りの街の商店街はボロボロに。地域社会の成り立ちを含めて一度壊れたものは中々元には戻りません。
地元の消費者は「ここも都会になったねー」と喜んでいますが、大型店の市場独占により、本来地元に還元されるべき小売業の売上げから出る利益がそのまま中央へと送られるシステムが完成されてしまいました。滅ぼされた地元の中小の事業者達は、若ければ仕事を求めて街を出て都会へと働きに行き(過疎は進み)、街を出れない老人達は止む無く貯蓄を取り崩して生活する。大型店だけの繁栄は実は地方の既存の資産を食い潰し、銀行預金の減少を招く。預金が減れば金利は上がり、それは国債を大量に抱える地方銀行にとって良い話ではない。
志を果したお金持ちの団塊世代よ『帰去来兮』壊れた故郷へ。(海人)