全国書店新聞
             

平成16年3月21日号

東京・三省堂でICタグの実証実験

UHF帯電子タグを使ったわが国初の実証実験が3月9日から家電、アパレル、書籍、食品流通の4分野で始まった。この実証実験は経済産業省の委託事業で、すでに昨年12月から実験室でのテストを経て、第2フェーズとして実際の工場、物流倉庫、店舗で商品に電子タグをつけ、導入効果を顕彰する。
出版業界では中間法人日本出版インフラセンターが実施主体となり、神田・三省堂書店と昭和図書越谷物流センターの2カ所で実際の商品やケースにICタグを取り付け、読取り精度や活用方法について検証することにしている。

36社から420点出品/書協がネットで謝恩本フェア

書協は再販制度弾力運用の一環として、4月20日から6月20日までの2カ月間、第2回出版社共同「謝恩価格本ネット販売フェア」を開催する。昨年秋の実施に続く企画で、第1回は24社から343点が出品され、3244部、金額にして347万円を販売した。実売率は平均49・6%と、店頭で行っていたバーゲン本販売より好成績を残した。
注文ベスト3は①「くまのプーさんABCの絵本」(ポプラ社)、②「アンパンマンのあいうえおあそび」(小学館)、③「アンパンマンのはたらくくるま」(同)と、児童書と高額本の注文が目についた。
今回のフェアは基本的に定価の半額で販売。一部商品は30%引き。インターネットの謝恩価格本サイト「バーゲンブックjp」で受注し、ブックサービスが配送する。ブックサービスのマージンは販売価格の25%で、送料は無料。代引き決済の場合のみ読者は手数料210円を負担する。2月末現在の出品状況は、社数、出品数とも昨年を上回る36社、420点。
参加出版社はあかね書房、明日香出版社、WAVE出版、潮出版社、学習研究社、角川書店、河出書房新社、紀伊国屋書店、京都新聞出版センター、近代映画社、研究社、講談社、光文社、国土社、小峰書店、嵯峨野書院、三省堂、思文閣出版、集英社、出版ニュース社、主婦の友社、小学館、女子パウロ会、税務経理協会、清流出版、創元社、淡交社、筑摩書房、東京大学出版会、二玄社、日本実業出版社、文研出版、平凡社、ペレ出版、マガジンハウス、吉川弘文館。

ハリポタ第5巻9月1日発売に/静山社

静山社は3月15日、ハリー・ポッター・シリーズ第5巻『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の発売について、以下の予定を明らかにした。発売方法などは未定。
▽発売日=9月1日(水)、▽価格=定価4200円、(本体価格4000円)、▽形態=上下巻セット(シュリンクパック、分売不可)、▽告知=4月上旬、ポスター、読者用購入申込みチラシ配布。

漕ぎだせ!本の海へ!

「子どもの日」を中心に4月23日から5月12日まで読書推進運動協議会の主催で「子どもの読書週間」が実施されるが、今年の標語は「漕ぎだせ!本の海へ!」に決まった。
4月23日は「子ども読書の日」であるとともに「世界本の日=サン・ジョルディの日」。

万引き防止でシンポジウム、社会全体の取り組み急務/「書店の訴え受け止める」竹花東京副知事、条例改正にも意欲

東京都で万引きで検挙された者のうち3分の1が青少年。万引きを繰り返すうちに、より重大な犯罪を犯すようになる恐れがある――として、東京都は3月6日午後、都庁大会議場で万引き防止シンポジウムを開催。教育関係者、警視庁、有識者に中学・高校生もまじえて議論し、万引き問題の重大性を内外に訴えた。
このシンポジウムは東京都と万引き防止協議会の主催。主催者を代表して竹花豊東京都副知事は「青少年犯罪、特に万引きに関してはほとんど対策が採られてこなかった。東京都書店組合から万引き被害が甚大で、緊急な対策をとってほしいと要望があり、昨年12月25日にPTA、学校、業界関係者などで万引防止協議会が発足した」と、これまでの経緯を説明。
また、東京組合が店内にポスターを掲示して万引き防止キャンペーンを展開していることも紹介。東京都として中高生へのアンケートを実施、意識調査を行なうとともに青少年健全育成条例の改正に取り組んでいるなどと報告した。
シンポジウムは第1部が都立三田高校、稲城第5中学校など中高生8名によるパネル討論。司会の日本女子大清永賢二教授が「友達で万引きをした人は」と問いかけると8人中7人が挙手。子どもたちの側から「厳罰主義でいかないと抑止力にはならない」「家庭のしつけの問題」などの声があがった。
第2部は東京都池田克史治安対策担当課長の司会で
清永教授はじめ弁護士、中学教諭、青少年センター所長、保護者など大人の代表6氏が万引きの実態、万引きした少年たちへの対応、防止に向けた取り組みなどを議論。会場からの意見として東京組合下向副理事長が書店組合の万引き防止キャンペーンの考え方、問題点を指摘した。

井狩春男の必殺まるす固め

☆「スーパースペシャル04名作知っとかないと!これが1億人のツボだ▽今さら人に聞けない母と子の名作が2時間でまるわかり・吾輩は猫である・走れメロス・銀河鉄道の夜・雪国・ガリバー旅行記・芥川賞話題作も・ココリコ草野大感動」。2004年3月13日(ボクの誕生日。カンケイないけど)のテレビ番組表にこれを見つけた時、ああ……企画に窮した制作会社の誰か(ひょっとして、出版社に勤めていた人)が、「あらすじで読む日本の名著」がベストセラーになっていることにヒントを得て、本についての番組をつくることを思いついたのではないかと思った。本に関してだと、スポンサーが付きやすい。本は企業イメージをアップする。だから、提供する社を探すのが楽であることを、「ほんパラ!関口堂書店」に出ていた時に聞いたことがある。
番組はクイズ形式で、名作を画像を使い、見事な朗読が入ったりして、えっ!こういう内容だっけ…などと思えて、なかなか楽しかった。袋とじなるものがあって、その名作にまつわるウラ話を加えるなど、番組もなかなかやると感心したものだった。
やっぱり、本に関する番組は、全体に知的なイメージがあって、ひきしまった感があり、こういうのなら週に1回は放送されたっていいのになーと、どうしても視聴率が低くならざるを得ないのを知りながらも、熱望してしまったのである。
番組で、学校の国語の先生方に、子どもに読ませたい名作というアンケートを取っている。10冊推薦するというものなのだが、結果に頭の上に大きな疑問のマークが立ってしまった。上位に「坊ちゃん」「走れメロス」「高瀬舟」「星の王子さま」などがあったからだ。もちろん、悪くはない。だがしかし、いかにも先生による模範回答といった按配で、オモシロクもなんともないではないか。ひょっとしたら、文部科学省(?)の指導要領にでもそう載っているのではと疑ってしまう。そうではなくてさー、新しいところから、つまり、サスガ!と言わせるような回答をしてもらえないだろうかネー。
ボクなら、「夜回り先生」とか、「千の風になって」「茨木のり子詩集鎮魂歌」「葉っぱのフレディ」「何もなくて豊かな島」…なんてーのを10冊ならべてしまうが…。
もっとも、本はすすめてはいけない、大きなお世話であると思っているけれどネ。

参考図書

◇『2003年度全国読書グループ総覧』
読書推進運動協議会が実施した「全国読書グループ調査」をまとめたもの。B5判223頁、非売品。
読進協は読書グループの実勢について約5年に1回の割合で調査を実施しており、今回は文部科学省の委嘱事業として行われた。都道府県別に読書グループの名称や代表者、活動者数、活動内容などの項目を記載している。

「本のある風景」に5百点の応募/世界本の日=サン・ジョルディ

サン・ジョルディの日実行委員会が3月17日午後3時から書店会館で開かれ、キャンペーン企画の進行状況などについて報告があった。
はじめにあいさつした萬田実行委員長は、19回を迎えるサン・ジョルディキャンペーンについて関係各位の協力に感謝を述べ、東京国際ブックフェアについて「書店向け市会の充実など、今回もいろいろな形で盛り上がりが期待できる」と展望を語った。
キャンペーンの進行状況については、①「本のある風景」作品募集に5百点を超える応募があり、入賞20点を選考し、ポスターと図書カードに使用する2点を決定した。②日書連ホームページでPR漫画「ブックス」をスタート、キャンペーンのさまざまな場面でキャラクターを展開していく――と報告があった。
日本縦断文化講演会は全国8ブロックで開催予定と説明があったほか、独自で活発なキャンペーンを展開している愛知組合や北海道組合十勝支部の取組みが紹介された。舩坂事務局長は雑誌共同企画で60社134誌の協賛を得たと報告、「今年も国際ブックフェアでの書店くじ配布に協力をお願いする。『本のある風景』はすばらしい作品が集まり、応募者から高い評価を得てきているようだ」と述べた。

雑誌予約獲得運動の上位支部を表彰/大阪理事会

大阪府書店商業組合(今西英雄理事長)の定例理事会が3月6日午後2時から組合会議室で行われた。主な審議事項は次の通り。
〔雑誌発売日励行委員会〕
地区委員会報告で4件について違反業者の報告があった。新進系列の違反が相変わらず頻発しているため改めて強い措置が必要と考えられる。全国委員会報告では、「週刊朝日」早売り問題は解決に向かって少しずつ進展していると説明があった。
〔経営活性化委員会〕
雑誌予約獲得運動が好評のうちに終了した。出版社が予期した以上に成果が上がり販促品の手当てが遅れているが、近日配布の予定。「支部長の仕事の負担が大きかった。次回はもう少し楽に対応できるようにしてほしい」と要望があった。予約獲得上位支部を表彰し、1位中央支部、2位北河内支部、3位西部支部に賞金が送られた。
〔共同受注委員会〕
大阪市中央図書館と交渉の結果、装備費を値引することで決着。市役所の経費節減の流れから、平成17年度には図書納入に一部入札制度が導入される可能性もあり、対処方法が研究課題となる。
〔読書推進会〕
3月4日に大阪市教育研究会・図書館部会代表の津村先生と会談。①感想文コンクールは少し形を変えたものの検討を。②読書ノートはサンプルを作成し、モニター校・地区を募集し検証する。③現場の先生の意見をもう少し聞きたい。④強力な指導力のある人の助けが必要――との話をうかがった。
〔出版販売倫理委員会〕
八尾市高安中学校で2月23日に開かれた「こども110番」の旗の贈呈式に第13支部・辻支部長他が出席。万引き防止へ警察との連携を深める試みで、日書連近畿ブロック会で報告して高い評価を得た。府下全域で組合各店がこの旗を掲示する方向で検討することにした。
〔総務委員会〕
総代定数改定案について議論したが結論が出ず、4月理事会に持ち越すことになった。
(中島俊彦広報委員)

雑誌直接予約者にサービスの版元を非難/兵庫理事会

兵庫県書店商業組合の3月定例理事会が9日に開催された。三上理事長は日書連報告で、消費税に関する総額表示問題と雑誌コード変更によるPOSレジ対応について説明。また、ポイントセールの件やハリー・ポッター第5巻の買切正味の件、情報化補助金、日書連マーク年間使用料、貸与権などの諸問題について報告した。また、「心にのこる子どもの本夏休みセール」について組合員に申込みの徹底を図るよう、大杉増売委員長ともども要請があった。
支部報告では、新規出店の組合加入問題や、注文品の入荷遅れが改善されていないこと、図書館担当書店代表者の突然の逝去と今後の対応、近隣への超大型SCの建設と地域環境を無視した大型書店の出店予想、雑誌早売り問題などがあった。特に雑誌の定期購読者獲得について、書店の立場を無視した出版社の直接予約者に対するサービス品提供に強い反論意見が数多くあり、日書連理事会に提議することにした。
このほか、①組合員にFネットで販売促進した小学館の『名城をゆく』は好調な売行きで同社から販売協力金を頂戴した、②神戸新聞総合出版センター発行の『恵子は必ず生きています』(有本嘉代子著)は400冊の注文があった、③同社の『今年もいけるで阪神V2』の拡販サービス品として、昨年の阪神優勝時の「デイリースポーツ」本紙を希望組合員に一束75部進呈するとの案内には、55店より64束4800部の申込みがあった――などの報告があり、店頭販売へ積極的な取組みが要望された。
また春の書店くじは現在申込みが270束13万5千枚で、目標に達していないため再度組合員に連絡するよう要請があった。
(中島良太広報委員)

訃報

上野久徳氏(弁護士・三省堂名誉会長)
3月10日、肺炎のため新宿・慶応病院で死去した。85歳。通夜、告別式は12日に近親者のみの密葬で営まれた。喪主は長男の芳久氏。4月13日午前11時より千代田区・パレスホテルで偲ぶ会を予定。
破産・更正管財人、更正会社法律顧問を歴任。昭和50年に三省堂更正管財人、59年に代表取締役会長、平成8年名誉会長。

日書連推奨のPOSレジシステム/消費税総額表示・新雑誌コード対応・価格表

消費税の総額表示が4月から、アドオンコードを付加した新雑誌コードが6月から実施される。日本NCRと東芝テックが新たに開発したPOSレジは、総額表示とアドオンコードへの対応を検証済みで、日書連が推奨するPOSシステムだ。両社の新POSと、BIRDネット「新店長さん」の後継システムである、メトロコンピュータサービスの「StoreFront」を搭載したパソコンシステムの構成内容・販売価格は、表①の通りとなっている。また両社のPOSとスキャナについて、現在書店で使用している機器の対応状況と変更費用等を表②~④に図示した。
日本NCRの現行POSは、プログラムの変更により、総額表示に表②の内容で対応、アドオンコードにも対応する。現行スキャナ・マルチリーダーのアドオンコード対応は、プログラム書き換えで対応できる機種と、対応不可の機種がある(表③)。
東芝テックは、現行機M―80の販売を終了しており、専門店向け店舗管理システム「ShopWorksSR」を搭載した後継機ST―98への買い替えを推奨している。現行機でのバージョンアップを希望するユーザーにはバージョンアップキットを用意。プログラム変更によるアドオンコード、総額表示対応は表②、スキャナのアドオン対応は表④の通りとなっている。
表⑤はメトロコンピュータサービスの書店システム「StoreFront」の月額料金表。同システムは情報検索、レジスタ管理・売上管理・返品管理・注文管理・バックアップ・マスタ管理などの機能を持つ。データは同社のデータセンターで一括管理するWeb―システムを取っており、ADSLなど常時接続のインターネット環境が必要。
POS機器に関する問い合わせは、日本NCRサービス=NBB事業本部/有村(℡044―829―0561)、東芝テック=総合営業部/青木(℡03―5623―8390)まで。

催し

◇横山大観と同時代の巨匠たち
講談社野間間記念館の春季展として3月27日から5月23日まで開催。横山大観を中心に、大正から昭和にかけて日本画壇を主導した竹内栖鳳、川合玉堂、下村寒山、山本春挙の5人の巨匠の作品を展示。同時開催「日本のうたふるさとのうた」。休館日は月・火曜。入館料一般5百円、中・高・大学生3百円。

日経BPとIDG、中国で提携

日経BP社とインターナショナル・データ・グループ(IDG)アジア・チャイナ社は、中国における技術雑誌出版事業を強化するため、中国向けに発行している『日経BP電子科技』ト『電子設計応用』を統合し、編集と広告営業で提携すると発表した。
IDGは『PCワールド』『コンピューターワールド』など世界85か国で技術系メディア300誌を発行するほか、調査、イベントも展開する国際的企業。中国には1980年に進出し、30誌を出版している。
両社の契約では①日経BPは『日経エレクトロニクス』の中国語翻訳版権をIDGと中国の合弁会社、東暁が発行する『電子設計応用』に供与する、②5月から発行する統合誌は日経BPアジア社が香港で創刊した『日経BP電子科技』の読者を吸収する、③東暁は統合誌の経営と中国国内の広告営業、日経BPは中国以外の広告営業を担当する。
11日に行われた記者発表で日経BP社河村社長は「海外で事業展開するにはよいパートナー探しが不可欠。IDGアジア・チャイナは得がたいパートナー。国際マーケットとして中国に基盤を置き、グローバルな展開を目指したい」と、提携の狙いを説明した。

市販に進出して10年/既存PC誌をリニューアル/日経BP

日経BPは3月9日午後5時より東京・恵比寿のウェスティンホテル東京で新企画発表と雑誌グランプリの贈賞式を行った。
日経BP出版センター渡辺社長は「書店で販売を始めて満10年。昨年末で13誌、合計863万部を販売している。雑誌グランプリへの参加店2200店のうち349店が前年実績を上回った。雑誌の情報は読者の一番近くにいる書店からニーズの変化を吸い上げ、編集にフィードバックし、次の10年の足場を作りたい」とあいさつ。
続いて日経BP河村社長が今年の重点施策を説明。①「マグネット戦略」として技術専門情報を活字媒体だけでなく、ネットやセミナーともからませる、②次世代に向けて技術と経営の分野で旗艦媒体を立ち上げる、③既存パソコン誌はエッジの利いたラインナップに一新、デジタル家電の分野を整備する、④ビジネス向け雑誌のインフラを利用してコンシューマー向け雑誌を手がける――と、4つの方針を示した。
2004年の新媒体は『日経キャラクターズ』『日経モノクル』の2誌。既存誌では『日経ベストPC』を改題。団塊の世代に向けて『賢者のリフォーム』を発信していく。創刊誌の概要は以下の通り。
『日経キャラクターズ』=大人のためのアニメ・ゲーム・特撮マガジン。3月25日創刊、A4変型判、奇数月25日発売の隔月刊、創刊号特別定価680円。
『日経モノクル』=ちょっと違ったモノ選びマガジン。4月16日創刊予定、A4変型判、予価580円。
『日経ベストPC+デジタル』=4月号より誌名を変更。初・中級のパソコンユーザーに向けたパソコン、デジタル家電の購入情報誌にリニューアルする。
雑誌グランプリ贈賞式では増加数部門、伸長率部門上位各10店を表彰。書店を代表して丸善村田社長は「年末年始から対前年を上回る書店が増えてきた。各書店が自店に合った提案をしていくことで上向きの力になる。企業は弱肉強食の時代。社員にも同じものを求めてくる。即戦力が求められ、自らのスキームを上げなければ淘汰され、人的不良資産になりかねない。日経BPの商品はスキルアップに不可欠な書籍・雑誌」と祝辞。
日販鶴田社長は「今年に入り書籍は2桁の伸びだが、バカの壁や芥川賞など、ほんの20タイトルほどが底上げしている。実稼動5千社弱の出版社で日経BPは雑誌が40~50位、書籍が50~60位。さらに上にチャレンジし、書店の勢いがつけば、良い方向に歯車が回りだすのではないか」とあいさつした。

配本機能、営業に移管/東京支店含む首都圏支社発足/日販

日販は4月1日付で第57期組織機構改訂を発表。支社体制では、首都圏支社に属していた首都圏特販部を特販支社に移管して特販第3部に改称。あわせて東京支店を関東支社に移管し、横浜、千葉、埼玉、北関東の4支店とあわせて首都圏支社に改称した。これに伴い東京支社は廃止した。
この再編を機に営業部門へ配本機能を移管、取引先の声をダイレクトに反映させるとともに、トータルな営業戦略で配本をコントロールする目的で、特販支社と首都圏支社をモデルケースに書籍・雑誌の配本機能を移管する。
取締役の業務分担変更は以下の通り。役員待遇、部長級異動は次号掲載。
〔取締役業務分担変更〕
委嘱=首都圏支社、取協担当解=仕入部門、取協担当
常務取締役橋昌利
委嘱=経営戦略室、経理部、不動産事業部担当解=経営戦略室長、経理部、不動産事業部担当
常務取締役古屋文明
委嘱=関西支社長解=商品開発部長
取締役鎌谷照夫
委嘱=㈱積文館書店顧問解=関西支社長
取締役遠藤光一
委嘱=書籍部長、雑誌部長、CVS部長解=雑誌部長、CVS部長
取締役高橋滋世
委嘱=首都圏支社長解=関東支社長
取締役小林利夫

日本ヘラルド、角川グループに

角川ホールディングスは3月10日、映画配給の日本ヘラルド映画株式会社(資本金13億9250万円、古川博三社長)の第三者割当増資1万6500株を角川大映映画で引き受け、同社と映像事業で多角的に連携することで合意した。引受価額は30億5250万円。増資後、角川大映映画は発行済み株式の43%を取得し、筆頭株主となる。
この提携により、角川グループが既に出資しているユナイテッド・シネマと日本ヘラルドグループで劇場運営の戦略的提携を進め、シネマコンプレックス運営の効率化、収益拡大を見込むほか、洋画配給事業の強化、映像パッケージの販売、テレビ放映権の販売、ブロードバンド時代に向けたコンテンツ整備を図る。
10日の記者発表で角川社長は「一昨年、大映の営業権を引き取り、角川グループの映画事業が見えてきた。4月には角川映画として新しいステージに入る中で提携を同意した。日本ヘラルドはロード・オブ・リングなど優れた洋画買い付け能力を持っており、古川社長の強力なリーダーシップを尊重する」と述べた。古川社長は「シネコンブームで映画のスクリーンは最低時の1700から2700に増えたが、まだアメリカの10分の1。興行事業は拡大できる」と説明した。

本屋のうちそと

小店の商圏人口は約1万人。戦前からの果樹地帯が自衛隊の駐屯地と高度成長期に造られた工業団地に狭まれた立地にあり、商店街も農家と工業団地の社員、自衛隊員とその家族によって成り立っている。
敗戦後の一時期米軍が駐留していた基地に自衛隊が移駐し50年余。PTAや子供会、隣人としてすっかり溶け込んでいる。特に家族はサクランボの収穫期には働き手として、なくてはならない存在となっている。若者も安定した職場として、工業団地の会社を選ぶ感覚で自衛隊を受験し、隊員を子弟にもつ家族も多い。
ある日行きつけのラーメン屋でラーメンを待っていると、ばあちゃんがうれしそうに「うちの孫が自衛隊に合格した」と報告に出てきた。店を継がせるには先行き不安、かといって就職難の時代、まずはおめでとうと言うべきところを、思わず「大丈夫かね」と口走ってしまった。
この時期「大丈夫?」とは「命」を意味する。めでたい気分に冷水をかけてしまったことを後悔しながらも、数日前一緒に飲んだベテラン隊員のことを思い出していた。日頃いっしょに飲んでも仕事の話題は出さないことが不文律になっているのに、その日は酔うほどに自らイラク派兵の不安を口にし、「わけのわからない戦争で死にたくない」と絶叫した。
ウソで固めたブッシュの戦争に追随する日本政府、大義を見いだせないまま苦しむ隊員。イラク戦争はすぐ近所まで来ている。(どんこ水)