全国書店新聞
             

平成24年1月1日号

書店再生へ一歩踏み出す/送品・返品同日精算今年こそ実現/今年の課題大橋信夫日書連会長に聞く

昨年3月11日の東日本大震災は甚大な被害をもたらした。東北地方を中心に多くの書店が被災し、出版業界は計画停電などの影響で生産・物流が大混乱に陥った。一方、被災地では「本の力」が見直され、震災後の書籍売上が対前年比で約5%伸びているという。全国的に見ても書籍は比較的底堅く推移しているが、雑誌の不振は深刻化するばかり。長引く出版不況にデジタル化の影響も加わり、書店を取り巻く環境は厳しさを増している。年頭にあたって今年の見通しと日書連の課題を大橋信夫会長に聞いた。(聞き手=本紙編集長・白石隆史)
〔被災書店の支援、息長く〕
――東日本大震災では、東北地方を中心に多くの書店が店舗倒壊や流失、商品破損などの被害を受けました。まず地震当日のことから伺います。
大橋地震が起きたとき、活字文化推進会議に出席するため、銀座の読売新聞グループ本社の最上階会議室にいました。激しい揺れで会議は途中で中止になりました。一緒に出席していた大川哲夫専務理事と、出来るだけ早く執行部による対策会議を開くことを確認してから、帰路につきました。
そして私を本部長とする地震対策本部を速やかに立ち上げ、事務局は組合加入書店の安否確認と被災状況の調査を行いました。しかし、被災地域が広域にわたることや、電話がつながりにくいため、情報収集は困難を極めました。
――地震対策本部が取り組んだことは。
大橋被災した傘下組合加入書店への義援金口座を昨年3月16日に開設しました。集まった義援金は、日書連、被災地組合、取次による被災状況調査に基づき、被害が大きいと思われる書店から順次、見舞金を送金しました。当初は傘下組合加入書店だけを対象にしていましたが、義援金をお寄せいただいた出版社から非加入書店も含めてほしいと申し入れがあり、昨年7月理事会に諮って、被災した書店には等しく見舞金を送ることにしました。また、激甚被災地の岩手、宮城、福島3組合には、活動を支援するため、別途、災害見舞金を送りました。
――義援金はいくら集まりましたか。
大橋昨年8月12日の締切までに314件、8947万9575円です。これを1店5万円ずつ、324店に送りました。残った義援金は、原発事故が収束していないことを重視し、まず福島組合に1000万円を取り分けて、残額を被災者生活再建支援法適用地区の青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉の7組合に配分しました。また、100万円以上の義援金をお寄せいただいた18の企業、団体、個人には、私および藤原直書店東北ブロック会長名で礼状を送りました。
――今後の被災書店に対する支援についてお話し下さい。
大橋被災地の組合の皆さんから意見を聞きながら、今後発生する問題に合わせて対策を考えていきたいと思います。そして出版業界挙げての息の長い支援が必要です。
出版業界には〈大震災〉出版対策本部があります。その復興基金に200万円寄付することを昨年11月理事会で決めました。また、書店店頭に募金箱を設置する運動に全面的に協力し、読者の皆さんに支援を呼びかけていきたいと考えています。
〔再販の弾力運用進めては〕
――長年にわたり要望してきた送品・返品同日精算の実現ですが、昨年は具体的な動きがありましたね。
大橋昨年4月にトーハン、日販の両社が入帳締切日を1日短縮しました。しかし、日書連がお願いしているのは「返品入帳改善」ではなく、あくまで「送品・返品同日精算」です。
昨年11月にトーハンの近藤敏貴社長、日販の古屋文明社長を訪問し、問題解決に向けた検討を早急に行うよう要望しました。今年2月末まで回答するようお願いしていますので、今度こそ「送品・返品同日精算」の改善案が提示されるものと大いに期待しています。
返品入帳処理の改善要望を出してから6年、「同日精算」という名称を使い始めてからでも3年半が経過しました。長い年月の中でいつの間にか書店のキャッシュフローを大きく圧迫しているので、これを改善してほしいというお願いなのです。そこを理解していただきたいと思っています。
――昨年6月の総会で「再販は制度疲労を起こしている。再販は大事なものという前提に立って、今のままでいいのかということを問いたい。会長に再選されたらこの部分に踏み込む」とあいさつしました。会長に再選されてから半年たちましたが、あらためて真意をお聞かせ下さい。
大橋再販制度の弾力運用をもっと進めてはどうかという問題提起です。再販をなくしていいということではありません。具体的には売れ残った本の最終処分権を書店が主張してもいいし、時限再販を活用する方法もあります。書店を取り巻く経営環境は極めて厳しい。これだけ市場が疲弊しているのだから工夫が必要だということです。
ただし再販堅持という日書連の方針に揺らぎはありません。そこは誤解してほしくありません。現在の再販制度下で書店を元気づけるために何ができるかを追求しているのです。
――それを具体化する場が書店再生委員会というわけですね。
大橋そうです。この委員会では、書店再生をテーマにアンケートを実施し、16組合から様々な意見が寄せられました。ここから6つのテーマに絞り込んだところです。さらに検討を加え、今年2月の理事会で書店再生のための諸施策を提案する予定です。
〔紙も電子も「本」は書店で〕
――デジタル時代において書店を活性化させる試みとして、タッチパネル式のパソコンにより店頭でコミックを試し読みできるシステム「ためほんくん」を昨年1月に本稼働してから1年がたちました。
大橋導入店では試し読み回数が増えると売上げも伸びるなど顕著な効果が現われています。現在、協賛出版社14社、扱いコンテンツ数2900点、導入店数240店、導入台数320台で推移しています。電子と紙のシナジー効果を発揮することで、店頭活性化の強力なツールに育てていきたいと考えています。
――日書連は昨年12月、電子出版サービスを手掛けるウェイズジャパンと、書店における電子書籍サービスの展開で協定を結びました。いよいよサービス開始が間近に迫りましたね。
大橋ウェイズ社から書店店頭で電子書籍サービスを展開したいという提案があり、政策委員会で検討し、指導教育委員会の下に電子書籍対応部会を設置しました。その部会で検討を重ねてきましたが、今年1月31日にサービスをスタートする方向で最終準備に入っています。
このサービスの基本的スタンスは「コンテンツの販売を中心に据えて取り組む」ということです。そのためのツールとして、ウェイズ社の電子書籍専用端末「イストリア」と電子書籍購入用プリペイドカードを店頭で販売していただきます。端末またはプリペイドカードを購入したお客様がウェイズ社のプラットフォーム「雑誌オンライン+BOOKS」で電子書籍を購入するたびに、販売した書店にロイヤリティが支払われるというのが基本的なビジネスモデル。紙も電子も「本」は書店が売るという考えが原点にあります。
〔出版社に在庫情報開示要望〕
――日書連傘下組合員数は25年連続減少し、昨年4月1日現在4964店と遂に5000店の大台を割り込みました。
大橋「ためほんくん」の月間利用料は組合加入書店3000円に対し非加入書店は6000円と、差をつけて設定しています。このような組合加入メリットを創出していくことで組合員数減少に歯止めをかけたいと考えています。
――読書推進への取り組みについてお聞かせください。
大橋サン・ジョルディの日は昨年で27回目を迎えましたが、独自展開の企画を提出した組合に「サン・ジョルディの日PR企画推進費」として補助金を拠出しました。最終的に17組合に300万円を支給しました。今年も上限20万円で補助金を出すことを決めました。各地区で地元に密着した多種多様なイベントが催されることを期待しています。
――野田首相は2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる方針を打ち出しています。今年3月中頃までには関連法案が提出されそうです。
大橋野田首相は仏カンヌで開かれたG20サミットで消費増税を国際公約しましたが、これは順番が逆。まず納税者である国民に説明するべきでしょう。出版業界は新聞業界と連携して心の糧である活字への軽減税率、税率据え置きを求める運動を展開します。
――問題山積ですが、今年の抱負をお聞かせ下さい。
大橋まず送品・返品同日精算の実現、次に書店再生のための具体的な提案のとりまとめを早急に進めたいと考えています。
また、出版社に在庫情報の開示をお願いしたい。昨年は出版倉庫流通協議会加盟の倉庫会社に業務委託している出版社で、在庫情報を流していないと思われる476社に協力要請を行いました。幸い同協議会は平成18年5月に出版社共同ネットを開設していることから、同ネットへの加入を呼びかけたわけです。
私たち書店業を営む者は、読者が店頭で求める1冊の本の大切さを痛感しています。しかし正確な在庫情報が入らないため、本があるのか、ないのか、いつ入るのか、読者に適切に伝えることができず、困惑することもしばしばです。原因を探ってみると、ネット環境に対応していないことに起因しています。この点をご理解いただき、在庫情報開示に前向きに取り組んでほしいと思っています。

書店での電子書籍販売、1月31日にスタート/日書連12月理事会

日書連は12月15日、書店会館で定例理事会を開いた。各委員会の主な審議事項は以下の通り。
〔指導教育〕
ウェイズジャパンが提案し、日書連が協力して取り組みを進めている「書店での電子書籍サービス」について、各県組合とウェイズ社が締結する「電子書籍販売事業基本契約書」の雛型を作成。鶴谷電子書籍対応部会長が内容を説明した。
また、コンテンツ販売を中心に据えた取り組みを一層明確に打ち出すため、サービスをモデルチェンジしたことをウェイズ社のサルキシャン社長が明らかにし、概要を説明した。
これによると、従来のモデルでは、サービス開始の段階で同社の電子書籍端末「イストリア」の購入者のみが販売書店のロイヤリティの対象となる方式をとっていたが、これに加えて同社のプラットフォーム「雑誌オンライン+BOOKS」で電子書籍を購入するために使用するプリペイドカードを新たに開発し、書店店頭で販売することにしたという。同プラットフォームでプリペイドカードを使って電子書籍を購入することにより、端末を販売した場合と同様に、読者がその書店の客(書店所属ユーザ)であると認識される。カードは使い切りタイプで、1500円、3000円、5000円の3種類を用意する予定。
鶴谷部会長は1月31日にサービスを開始する方向で最終調整に入っているとし、積極的に参加するよう各組合に呼び掛けた。〔書店再生〕
8月に「書店再生」をテーマに実施したアンケートでは、16組合から意見が寄せられたが、この中から6項目にテーマを絞り込んで内容を検討中。書店再生のための具体的な提案を早急にとりまとめ、2月理事会で発表する予定であると舩坂委員長が説明した。
また、4月20日から30日まで実施する「春の書店くじ」のポスター、抽選券のデザインが決まった。
日書連の児童書増売運動「心にのこる子どもの本新学期・夏休みセール」は4月~10月に実施する。1月中旬に注文書発送、2月29日に注文締切、4月初旬~中旬に商品出荷。出品条件は7ヵ月長期委託。販売目標1億2300万円(前年比16%増)。目標達成組合に本体価格の1%を報奨金として支払う。
〔読書推進〕
独自企画を提出した組合に補助金を拠出する「2012サン・ジョルディの日PR企画推進費」に11月30日の締切までに14組合から応募があり、12月6日に選考会を行った結果、14組合に総額260万円を支給することになったと西村委員長が報告した。組合名・支給金額は以下の通り。▽20万円=青森、秋田、千葉、神奈川、愛知、新潟、富山、石川、奈良、福岡、熊本、鹿児島▽10万円=山形、長野
成人の日に自治体から新成人に本を贈る「20歳の20冊」(JPIC主催、日書連協力)は、平成24年1月の成人式で継続17自治体、新規5自治体で実施される。西村委員長は「贈呈図書は地元書店組合・書店を通じて定価で自治体に納入される」と協力を求めた。
〔流通改善〕
2012年度の年間発売日カレンダー案が取協物流発売日研究委員会から示された。これによると、繁忙期の祝日発売日設定は9月22日(秋分の日)、12月24日(天皇誕生日振替休日)の年2回。土曜休配日は6月9日、7月7日、9月1日、11月10日、2月2日の年5回と1回増えた。
藤原委員長は、祝日発売日設定について「9月22日については、平成23年9月23日の総括を見てから検討したい。12月24日は賛成する」との考えを示した。土曜休配日については「9月1日を第2土曜日に変更するよう求める。2月2日についても第2土曜日としたいが、そうすると3連休になってしまう。引き続き検討したい」と述べた。
〔取引改善〕
学習参考書出版の朋友出版が10月5日付で事業を停止、自己破産の準備に入り倒産する見通しとなった。柴﨑委員長は「出版社有事はこれからも発生する。出版社から取次に請求が来ていない商品まで返品不能品となり、書店が負担している。以前作成した出版社有事の際の取り決めに関する覚書案をあらためて研究したい」と述べた。
〔組織〕
週貸し・1日貸し・時間帯貸しスペースを検索・予約するサイト「軒先.com」を運営する軒先株式会社(本社・東京都目黒区、西浦明子社長)から、同サイトを通して書店の空きスペースを有効活用してほしいと提案があった。同社は書店に利用料金の65%、日書連に4%、各県組合に6%の手数料を支払うとしている。
中山委員長は「導入コスト不要で未使用スペースをすぐ収益化できる。うまくマッチングすればビジネスチャンスが生まれ、書店、各県組合、日書連の3者が収益を得ることができる」と述べ、同社の西浦社長を2月理事会に呼んで説明を聞きたいと提案。了承された。
11月期の各都道府県組合の加入・脱退状況は加入なし、脱退15店、前月比15店減で、全国の傘下組合員数は4826店になった。
〔広報〕
10月12日に全国広報委員会議を開き、日書連広報活動と全国書店新聞の紙面作りについて審議したと面屋委員長が報告した。
〔地震対策本部〕
〈大震災〉出版対策本部は、募金箱を活用して書店店頭で「大震災出版復興基金」募金活動を行う。これに協力するため、被災地を除く各県組合に計800個の募金箱を割り当てることを決めた。大橋本部長は「1月31日までに設置協力店リストを提出してほしい」として協力を求めた。

『こども大百科』を拡販/ためほん・電子書籍で勉強会/三重総会

三重県書店商業組合(岡森泰造理事長)は11月26日、津市「ホテルプラザ洞津」で第26回通常総会を開催し、組合員50名(委任状含む)が出席した。
総会は磯田理事の司会で始まり岡森理事長があいさつ。「前回の『ポプラディア』に続き、今回は小学館の『こども大百科』を増売商品として選定、すでに組合員協力のもと拡販に取り組んでいる。大変な時代、不況に慣れることなく、自らアクションを起こし、他業界からも良い点を吸収することが大切」と述べた。
来賓の中央会・別所浩巳事務局次長より祝辞をいただいた後、議長に三宅理事を選出し、第1号議案から順に承認した。役員人事では、木村理事が退任、理事に重盛氏、監事に古川氏が就任した。続いて日書連ためほんくん部会・田江部会長より店頭試し読みシステム「ためほんくん」と、ウェイズジャパンの小橋氏、殿内氏による、書店での電子書籍サービスの勉強会が各1時間行われた。全員が熱心に耳を傾け、質疑応答では時間をオーバーして活発な質問が飛び交っていた。中小書店が電子化に取り残されることなく、いかにうまく将来につなげていくか、非常に興味深い勉強会だった。
その後会場を移し、出版社・取次を交え懇親会を行った。(磯田智広報委員)

電子書籍を新たな商機に/鹿児島組合総会で楠田理事長

鹿児島県書店商業組合は12月6日午後4時から鹿児島市のサンロイヤルホテルで第26回通常総会を開き、組合員64名(委任状含む)が出席した。
総会は石井俊司専務理事(石井書店)の司会、瀬川浩三副理事長の開会の辞で始まり、楠田哲久理事長(楠田書店)があいさつ。東日本大震災の義援金は63万907円を送ったこと、読書週間に合わせて「本ののぼり」を作成し、組合員に配布したことを報告して「今後『電子書籍』が新しいビジネスチャンスになるので、積極的に販売していこう」と述べた。
議長に神野直也理事(オプシアミスミ)を選任し、平成23年度事業報告、委員会報告、収支決算書、平成24年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。事業計画案では、新規にガソリンカードの取り扱いを始めることになった。
総会終了後、鹿児島志学館大学の原口泉教授が「明治維新と薩摩―薩摩の人材・郷中教育」と題して熱のこもった講演を行い、組合員は熱心に聞き入った。その後出版社、取次を交えて懇親会を行った。
(和田豊広報委員)

組合財政強化の方針示す/第25回秋田県組合通常総会

秋田県書店商業組合は11月6日午後3時より、秋田県仙北郡美郷町千畑温泉サンアールで第25回通常総会を開催した。
総会は、高堂晃治専務理事(高堂書店)の司会、開会宣言で始まり、加賀谷龍二理事長(加賀谷書店)があいさつ。日書連報告を行い、返品入帳問題、図書館納入問題、書店新聞に掲載された神田村の紹介、組合財政強化の今後の方針などを説明した。
議長に加賀谷理事長を選出し、平成22年度事業報告、収支決算書、平成23年度事業計画案、収支予算書案などすべての議案を原案通り承認可決した。
総会終了後、トーハン・日販・武蔵貨物よりあいさつをいただいた。取次には、雑誌の大きさが違う物が梱包されている時、折れたり曲がったり、梱包ベルトの跡が付いたりする件について改善を求めた。
またセブンイレブンが秋田県にも出店することが決まり、運送会社の倉庫出発の時間に変更があるのか、そのような話があった時には、連絡をしてほしいと要請した。
ゆっくり温泉を堪能した後、平野史郎副理事長(ひらのや書店)の司会で懇親会を開催。地元の食材を使用した料理・地酒等々を肴に夜遅くまで話の花が咲き、秋田県ガンバロウで締めくくった。
(石川信広報委員)

日書連とウェイズ社が基本協定書に調印/電子書籍販売事業

日書連とウェイズジャパンが締結する電子書籍販売事業基本協定書の調印式が、12月15日開催の日書連定例理事会で行われた。
協定書は、事業の目的や相互協力、電子書籍プラットフォームの意義、契約期間など、同事業の推進にあたっての基本事項を条文化したもので、11月の理事会で承認した。調印式は電子書籍対応部会の鶴谷祿郎部会長の進行で行われ、日書連の大橋信夫会長、ウェイズジャパンのアラム・サルキシャン代表取締役が協定書に署名・捺印し、握手を交わした。
大橋会長は「(電子書籍端末の)イストリアを一台でも多く、そしてコンテンツを大いに書店の店頭で売上げていこうということで調印式を行った。ぜひこの事業を成功させていただきたい。各組合の皆様には、少しでも多くの書店で扱えるようにしていただければと思う」とあいさつ。
サルキシャン代表取締役は、「2012年のこの時期には、巷で『電子書籍を買うなら書店』と老若男女の皆さんに言われるよう頑張りたい。ぜひご協力をお願いする」と述べた。

11月期は5・5%減/雑誌コミックが大幅減/日販調べ

日販営業推進室調べの11月期分類別売上調査が発表され、売上高対前年比は5・5%減で先月を0・7ポイント下回った。
雑誌はコミックの売上減少が大きく影響し、全体で8・0%減と先月より1・8ポイント下落した。コミックはスクウェア・エニックスと集英社の売上が大きくマイナスとなったことが響き、12・9%の大幅減。スクウェア・エニックスは前年に「鋼の錬金術師」の完結となる27巻が発売されており、その反動が出た。
書籍は文芸書が好調で、全体で2・7%減と先月より0・5ポイント改善。文庫は前年に実業之日本社、小学館、新潮社で好調な銘柄が多かったため、6・9%減と落ち込んだ。文芸書は「謎解きはディナーのあとで2」(小学館)が発売され、第1巻と併せて売上が好調。「スティーブ・ジョブズⅠ・Ⅱ」(講談社)も好調だったため、4・5%増とプラスに転じた。

わが社のイチ押し企画/講談社・販売促進局長・佐藤雅伸

新年明けましておめでとうございます。
旧年中は弊社出版物に格別のご高配を賜り、誠にありがとうございました。
さて、2012年の大注目企画をジャンルごとに紹介させていただきます。
【書籍】まず1月14日には五木寛之氏『親鸞激動篇(上・下)』が全国一斉発売、そして2月下旬には池井戸潤氏の直木賞受賞後初作品となる『ルーズヴェルト・ゲーム』が搬入発売されます。また、映像化作品としては宮部みゆき氏の『ステップファザー・ステップ』(1/9より全国TBS系で放映開始)や東野圭吾氏『麒麟の翼』(1/28全国東宝系でロードショー)など話題作が目白押しです。
【コミック】『エリアの騎士』1/7(テレビ朝日、毎土6時~)、『きみはペット』1/21(TOHOシネマズ他ロードショー)、『ヒミズ』1/14(全国ロードショー)など続々と放映・上映がスタートします。そして、本年最大の話題作『宇宙兄弟』が4月にアニメ化、5月には映画化されます。関連書も多数刊行予定ですので、大々的な店頭展開をお願いします。
【雑誌】『週刊SL鉄道模型(全70巻)』が1月26日創刊(首都圏基準)となります。大好評シリーズの第3弾は最も人気の高いSLですので、多くの定期購読が期待できます。また、『ウルトラ怪獣DVDコレクション』(全10巻)は好調につき第二期が12月に刊行開始となりました。この他、浜崎あゆみ氏が初めて明かした彼女のライフスタイル満載のフォトエッセイやAKB48指原莉乃氏のファーストフォトブック『さしこ』(1/19)、昨年のベストセラーの続編、伊集院静氏『続・大人の流儀』など強力なラインアップを揃えています。
以上、本年もたくさんの話題作を刊行して参りますので、皆様のご支援ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

わが社のイチ押し企画/小学館PS・営業企画室・北尾健

明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い申し上げます。
小学館は今年8月8日に創業90周年を迎えるにあたり、さまざまな記念企画商品を刊行して参ります。創業90周年記念企画第1弾として昨年「こども大百科」は、計画・委託販売併用制で10万部を超える上々のスタートを切りました。第2弾として小学館ウイークリーブック「池上彰と学ぶ日本の総理全30巻」が1月10日に創刊いたします。今シリーズでは、初代伊藤博文から野田佳彦まですべての総理を取り上げ、時代の顔、「総理」というリーダーを通して近現代史を振り返ります。なかでも歴代総理の決断が私たちのくらしや今起きている問題にいかに影響しているか注目に値します。
書籍ではソフトバンクの創業者孫正義氏の評伝「あんぽん」が1月10日に刊行いたします。週刊ポストに連載して好評を博している待望の1冊で、著者:佐野眞一の渾身の傑作です。そして1月15日には「日本の歳時記」を刊行いたします。俳句入門者から四季の移ろいを愛する人まで、豊富な写真と新企画満載の新編集でございます。さらに「故事俗信ことわざ大辞典第2版」が2月20日に刊行いたします。4万3000の圧倒的項目数と古今の用例をさらに充実させ、全文データを収録したCD―ROMも添付いたします。ことばに関心のある方から国語・国文学関係者、研究者の方々へお薦めください。
児童書では2月24日にプレNEO人気シリーズ第6弾「げんきの図鑑」が計画・委託販売併用制で刊行いたします。今のこどもに不足がちな『健康の知識と身体能力、運動能力』を強化・底上げする図鑑です。今年前半の創業90周年記念企画商品をご紹介いたしましたが、いずれも魅力的で、自信を持ってお薦めできる商品でございます。弊社は今年も書店様といっしょになって店頭促進、外商促進に邁進いたします。なにとぞ書店様のご支援を賜りますよう宜しくお願いいたします。

わが社のイチ押し企画/双葉社・取締役営業局長・川庄篤史

平素は小社出版物への格別なるご高配を賜り、誠にありがとうございます。昨年は未曾有の大震災、原発事故と大変な年でしたが、その中、出版物の持つ力を再認識出来た年でもありました。弊社ではコミック「星守る犬」「王様ゲーム」の映画化に伴い、皆様の店頭展開のご尽力で大ヒットとさせていただきました。
双葉文庫、単行本も大変好調に推移させていただき、昨年末には「おすすめ文庫王国」(本の雑誌社刊)の国内ミステリー部門で「傍聞き(かたえぎき)」長岡弘樹著が第1位を、「ユリゴコロ」沼田まほかる著が、複数のミステリー賞にランクインするなど、年始にかけて大きく部数を伸ばしてきております。
また、今月には刊行10周年を迎えた「居眠り磐音江戸双紙シリーズ」の新刊「東雲ノ空」が発売になります。本巻では主人公、坂崎磐音がいよいよ江戸に帰着し、新たな展開を見せる読者待望の一冊です。合わせて小説の舞台となり、登場人物ゆかりの地が一目でわかる特大「江戸地図」を文庫サイズの箱に折りたたみ同時刊行いたします。
2月には、一昨年240万部を文庫で売り上げた「告白」の湊かなえさんの待望の文庫第2弾「少女」が満を持して発売になります。
以降文庫、単行本は話題作、期待作が続き、本年も必ずや書店様の売上に貢献できると確信しております。
コミックでは、7月に新シリーズとして「新・クレヨンしんちゃん」の第1巻を刊行し20周年を迎えた映画と共に盛り上げてまいります。
雑誌につきましても、昨年、週刊大衆増刊として刊行しました「ヴィーナス」を4月より隔月刊として定期刊行します。
また、昨年10周年を迎えた女性誌「JILLE」のお姉さん誌として増刊刊行をしております「Figue」(フィグ)の定期刊行化を目指します。御期待下さい。
今年も双葉社は書店、読者の信頼、期待に応えるべく、一丸となり元気一杯頑張ってまいります。
何卒、倍旧のご支援お力添えをよろしくお願い致します。

わが社のイチ押し企画/学研マーケティング・書籍販売部・小林伸一

平素は格別のご愛顧、ご高配を賜り、厚く御礼を申し上げます。2012年が皆様にとって幸運な一年になりますよう、心より祈念いたします。
さて、今年の4月から中学校では英語の授業数が週3時間から4時間に増え、新指導要領に基づいた新しい教科書が使われます。新教科書で使用される語彙数は従来の900語程度から1200語程度へと拡充され、ほとんどの教科書で辞書引き学習のページが設置されます。これにより小学生向け国語辞典の辞書引きブームに続いて、中学校でも辞書引きの必要性が増していくことが期待されます。
この教科書改訂を受けて、弊社の中学生向け英語辞典の『ジュニア・アンカー』シリーズも、新しい教科書に合った辞典へとリニューアルし、内容を大幅に改訂いたしました。
新指導要領では「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を身につけることが重要とされています。英和辞典はおもに英語を読んだり聞いたりする、いわば《受信型》の英語を勉強する際に使用されますが、新『ジュニア・アンカー英和』では「表現力UP」「ことばMAP」コーナーを新設し、中学生が「話したい」「書きたい」と思うことをまとめて掲載することにより、《発信型》英語にも役立てるよう工夫しました。
また、新『ジュニア・アンカー和英』でも、「通じる!しっくり表現」「日本語NAVI」といった新コーナーを設置し、和英辞典を引くにあたってさらに一歩進んだ学習に役立つようにしています。
なお、これまでご好評をいただいておりました「引きやすさ」「イラスト・写真の多さ」「どの教科書にも使える」「CDが大充実」といった特長はそのまま引き継いでおります。
旧版の『ジュニア・アンカー 第4版』は、おかげさまで累計部数が200万部を超えました。これもひとえに書店様のご支援の賜物と、この場をお借りして感謝申し上げます。今後とも『ジュニア・アンカー』シリーズをよろしくお願い申し上げます。

わが社のイチ押し企画/三省堂・宣伝広報部長・福井昇

今年のわが社のイチ押し企画は、七年ぶりの改訂新刊『新明解国語辞典第七版』です。
「日本でいちばん売れている国語辞典」というキャッチフレーズ通り、一九七二(昭和47)年の初版刊行以来、もっとも信頼できる国語辞典として、圧倒的な評価を得てきました。特に、長年にわたる用例収集とそれをもとにした精密な意味分析から生まれたシャープな語釈や生活実感あふれる用例は、他の国語辞書の追随を許さないものです。また、より踏み込んだ語釈や人間味ある用例から、あたかも一人の人格がそこにあるかのように、「新解さん」という愛称でも呼ばれ、まさに国民的辞書としての地位を獲得しているといっても過言ではありません。
さて、今回の第七版では、これらの特徴を受け継ぎながら、さらに以下の改訂を行いました。
①判型を若干大きくして紙面を刷新したことで、見やすさが格段にアップしました。
②より深い日本語理解のため、語と語の正しいつながり方や語順を説明する「文法」欄を新設しました。
③「就活」「食育」「スマートフォン」「ツイッター」などの新語約1千項目を追加し、総項目数七七五〇〇語としました。
④新「常用漢字表」や新「人名用漢字」に対応しました。
その他、定評ある語釈やアクセント欄をさらにブラッシュアップした改訂内容となっています。
学生の国語の学習にはもちろん、日常生活やビジネス現場でも必携の辞書として活用いただけます。年明けから新学期にかけての拡売商品として、ぜひよろしくお願い申し上げます。
なお、12月1日刊行の並装(赤)、特装版(白)を皮切りに、1月以降「革装版」「小型版」「机上版」「大活字版」と順次刊行していきます。お客様のニーズに合わせ、お薦め下さい。

わが社のイチ押し企画/新潮社・出版部編集委員・堤伸輔

「いまこそ私は日本人になりたい」
かつて歩いた「おくのほそ道」が地震と津波に襲われる映像をニューヨークで見て、ドナルド・キーンさんは、強く思いました。そのメッセージに勇気づけられた日本人は被災地の方々ばかりではなかったはずです。昨年九月一日、永住を決意して東京に戻ったキーンさんは、八十九歳の年齢もものかは、文字通り東奔西走して各地で講演し、再び日本人に励ましのメッセージを送りました。平泉を始め東北に何度も足を運んだことは言うまでもありません。
なぜ、それほどまでに日本を想うのか。答えは、キーンさんの著作の中にあります。キーンさんは、日本文学が営々と生み出してきたあらゆるもの、小説も、謡曲も、戯曲も、俳句も、すべてが好きなのです。紫式部も、世阿弥も、近松も、芭蕉も、すべての文学者が、あたかも自分の友人か同僚であるかのように、好きなのです。そういった文学と作者を育んできた日本の風土と人々を、こよなく愛しているのです。
新潮社が二〇一二年の「イチ押し企画」として進めているのが、そのキーンさんの主要著作を網羅した「ドナルド・キーン著作集」(全十五巻)です。昨年暮に一足早く第一巻『日本の文学』を発売しました。今年は、第二巻から七巻までを隔月で刊行していきます。日記文学論の白眉といえる『百代の過客』、多くの作家との緊密な交流を描いた『思い出の作家たち』、古典芸能に深く踏み込んだ『能・文楽・歌舞伎』など、幅広いテーマで、文学史に輝く作品から無名の作品までを、キーンさんが分かりやすく解説しています。
既刊本をそのまま集めるのではなく、引用古典原文との徹底した照合や、ルビの大幅な追加など、決定版と胸を張れる編集を行いました。日本文学は、こんなにも面白かったのか──読んだ方は、きっとそう思うに違いありません。

わが社のイチ押し企画/文藝春秋・第一文藝部統括次長・宮﨑はるか

近現代の女性作家の手になる随筆を、川上弘美さんと小池真理子さんが徹底的に読み込み、選りすぐりの逸品ばかりを全十二巻に編み上げる叢書が始まります。2月上旬同日発売の川上選『精選女性随筆集第一巻幸田文』、小池選『第二巻森茉莉吉屋信子』を皮切りに、『第三巻倉橋由美子』『第四巻有吉佐和子岡本かの子』『第五巻武田百合子』『第六巻宇野千代大庭みな子』『第七巻白洲正子』『第八巻石井桃子高峰秀子』『第九巻須賀敦子』『第十巻中里恒子野上彌生子』『第十一巻向田邦子』『第十二巻石井好子沢村貞子』と続きます。偶数月に二巻ずつの刊行です。
全巻に選者による巻頭エッセイと、作品解説、略年譜がつきます。解説をお願いした文芸評論家が巻立を見ておっしゃるには「これは選者の意向が強く反映されているとすぐに分かった。商売が度外視されている。でも案外、その方が売れるんだよね」。
別の解説をお願いした国文学研究者の先生は「万葉集しかり、古今和歌集しかり、アンソロジーは時代の必然から生まれる。この女性随筆集は明治以降の豊かな蓄積が満を持して表出してきたもの」と嬉しい感想をくださいました。
初回配本分の内容を少し紹介します。父・露伴から「古事記」を渡され性教育を受ける幸田文、同時に家事の修業も始まります。幸田文と一つ違いの森茉莉はその頃、起床してから女中が髪を結ってくれ、車夫に学校まで送ってもらう日々でした。幸田文も森茉莉も娘時代の記憶が文章家としての背骨となった様が、今回選ばれた作品からよく分かります。「少女小説の神様」吉屋信子は評伝の名手でもあり、このシリーズに登場する「岡本かの子」「宇野千代」との交流について貴重な記録を残しています。
明治、大正、昭和初期の斬新な図案を切り取った美しい装丁もお楽しみください。

カードカレンダー配布しキャンペーン/京都組合

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は、11月下旬より「本屋さんへ行こう」キャンペーンを開催している。組合加盟書店の増売と読者サービスを目的に毎年行っているもので、今回は昨年に引き続き、名刺サイズのカードカレンダーを来店客に配布している。
カードは表がQRコードを記載したキャンペーンの広告(写真)、裏がカレンダーになっており、読者はPCや携帯電話で応募できる。このほかFAXでの応募にも対応する。応募者には抽選でダイソン「サイクロンクリーナー」「ファンヒーター」を各1名、図書カード3千円分を30名にプレゼントする。
カードカレンダーでの実施は、カード自体が有効な広告媒体となるのが最大のメリット。しおりとして利用できることから、来店客に人気が高く、チラシと比べて持ち帰り率も高い。PCや携帯電話から手軽に応募できるのも特徴だ。また書店側としても、カードをレジ横においてキャンペーンが実施できる簡易さが好評を得ている。京都組合では、カードカレンダーでのキャンペーンを昨年に続き実施することで認識度の向上と集客効果を期待するとともに、なじみの来店客に喜んでもらうのはもちろん、組合加盟書店にキャンペーンを盛り上げてもらうことで、店頭活性化と売上増加を望みたいとしている。(澤田直哉広報委員)

本屋さんが選んだこどもの本フェア/兵庫組合

兵庫県書店商業組合(山根金造理事長)は、組合書店向けに年末に増売のイベントとして「本屋さんが選んだこどもの本」フェアを実施することを決めた。
これは増売委員会(大橋洋子委員長)が中心となって企画したもの。まず組合書店に、これはという絵本を推薦してもらい、委員会で厳選して31冊を1セットにし、12月5日より20日まで店頭でフェア展開できる組合書店を募集した。特典として、絵本館出版社からいただいた「いいからエコぶくろ」グッズと人気の「付録バンド」を付けるほか、絵本には委員会で考えた「統一帯」を作成して付けることにした。募集の結果、21書店から25セットの注文があった。
この企画はサン・ジョルディの日書連助成金を活用したもので、3月の大震災の影響により延期になっていた。このたび、12月3、4日に「絵本ワールドinひょうご2011」が神戸で開催されるのに併せてフェアの時期が再決定された。絵本ワールドと共に兵庫県下の書店店頭で賑わいの一助となればと期待している。
(安井唯善広報委員)

MPD中間決算増収増益に

日販の関連会社、MPDは12月1日、2011年度上半期(11・4・1~11・9・30)の決算概要を発表。売上高は前年比1・7%増の1018億1300万円、経常利益は同25・0%増の10億9200万円の増収増益となった。
アイテム別売上高では、BOOK事業が同34億6400万円増、TSUTAYA向けのSELL事業が同3億7800万円増と売上高を牽引した。
通期の見通しについては、期初計画通り売上高2115億円、経常利益13億5000万円の増収増益を目指すとしている。

講談社が秋冬新刊書籍説明会/綾辻行人『奇面館の殺人』など

講談社は11月29日、東京都文京区の本社で「2011年・秋冬新刊書籍説明会」を開催。会場には『金哲彦のスマートランニング』の著者・金哲彦氏、『奇面館の殺人』の著者・綾辻行人氏、『好き好き大好き!』の著者・松田美由紀氏が登場し、各編集担当者と一緒にプレゼンテーションを行った。
冒頭あいさつした野間省伸社長は東日本大震災の被災者に対して出版業界が行った支援活動を紹介し、「講談社ができることは面白くてためになる出版物を恒常的に出し、人々の心の豊かさに資すること」と述べた。また、紙と電子を同時発売した『スティーブ・ジョブズ』について両形態でベストセラーになっていると述べ、中国や台湾など海外展開でも成果をあげることができたとした。

2011年の1位は『謎解きはディナーのあとで』/大阪屋

大阪屋は12月6日、2011年の年間ベストセラーを発表。1位は東川篤哉氏のミステリー『謎解きはディナーのあとで』だった。
①『謎解きはディナーのあとで(1・2)』(東川篤哉、小学館)②『心を整える。』(長谷部誠、幻冬舎)③『体脂肪計タニタの社員食堂(正・続)』(タニタ、大和書房)④『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(岩崎夏海、ダイヤモンド社)⑤『老いの才覚』(曽野綾子、ベストセラーズ)

長野トーハン会が諏訪湖マラソン

長野トーハン会は10月30日、第2回「諏訪湖襷(たすき)マラソン」を開催。業界関係者30名が参加し、2時間弱で1周16キロをリレー方式で完走した。
同マラソンは、本業とは関係ない行事を行うことで業界3者の親睦を深め、営業・販売の起爆剤とするため企画したもの。今回は「頑張ろう日本」をテーマに震災からの復興と業界発展の願いを込めた。
このあと行われた懇親会で、笠原実行委員長(笠原書店)は「作家や読者にも声をかけ、参加者の輪を広げたい」と述べた。
(渡辺学広報委員)

若い人に贈る読書のすすめ/読進協

読書推進運動協議会は「2012若い人に贈る読書のすすめ」のリーフレットを作成した。掲載図書は以下の24点。
▽『県庁おもてなし課』有川浩、角川書店▽『3・11心に残る140字の物語』内藤みか、学研パブリッシング▽『サムライブルーの料理人』西芳照、白水社▽『五感で学べ』川上康介、オレンジページ▽『働く君に贈る25の言葉』佐々木常夫、WAVE出版▽『図説本の歴史』樺山紘一(編)、河出書房新社▽『ふむふむ―おしえて、お仕事!』三浦しをん、新潮社▽『世界を変えた10冊の本』池上彰、文藝春秋▽『今日も森にいます。東京チェンソーズ』青木亮輔、徳間書店取材班、徳間書店▽『13歳からの論理トレーニング』小野田博一、PHP研究所▽『どこからも彼方にある国』アーシュラ・K・ル=グィン、中村浩美(訳)、あかね書房▽『友達がいないということ』小谷野敦、筑摩書房▽『困ってるひと』大野更紗、ポプラ社▽『アハメドくんのいのちのリレー』鎌田實、安藤俊彦(絵)、集英社▽『子どもにかかわる仕事』汐見稔幸(編)、岩波書店▽『風を見にいく』椎名誠、光文社▽『家族の歌』河野裕子、永田和宏、その家族、産経新聞出版▽『神様の女房』高橋誠之介、ダイヤモンド社▽『下町ロケット』池井戸潤、小学館▽『大人の流儀』伊集院静、講談社▽『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』喜多川泰、サンマーク出版▽『大学生のための「社会常識」講座』松野弘(編著)、ミネルヴァ書房▽『死ぬまで仕事に困らないために20代で出逢っておきたい100の言葉』千田琢哉、かんき出版▽『心を整える。』長谷部誠、幻冬舎

業界再生へ力合わせて/3団体首脳があいさつ/日書連出版販売年末懇親会

日書連主催の出版販売年末懇親会が12月14日、東京都千代田区の帝国ホテルで開かれ、日書連役員、書店、出版社、取次、業界関係者など総勢277名が出席した。
懇親会は藤原直副会長の司会で進行し、はじめに大橋信夫会長があいさつ=写真。「私は昨年この場で、再販制度を硬直的に運用することは限界に来ていると言った。これを再販をなくすと受け取った人もいたが、それは誤解。私は日書連会長として再販堅持の立場だ。ただ再販堅持ばかり言っていては書店がますます疲弊してしまうと訴えたかった。この問題を解決するため、日書連の中に書店再生委員会を設置した。日書連だけでなく各都道府県組合、個店に至るまで、様々な場所で書店を再生するために議論を行っているところだ。東京組合からは書店再生のための試案がいくつか出ている。勉強会や委員会を開いて考えをまとめていきたい。こうしている間にも、本屋はどんどん減っている。いかに速やかに書店再生のための取り組みを進められるかがポイントとなる」と述べた。
続いて出版社を代表して日本書籍出版協会の相賀昌宏理事長(小学館)が登壇。「出版社は18世紀からパブリッシャーと呼ばれるようになったが、15世紀から17世紀までは書店と同じくブックセラーと呼ばれ、出版企画、印刷、製本、流通、小売とあらゆる事業を展開していた。今、パブリッシャーからブックセラーへと発想の転換を図ることで、やるべきことが見えてくる。書店が求めている商品は何か、出版社は考えるようになるだろう。書店が読者の要望に応えることが業界全体の利益につながる。書店の力、工夫、知恵を最大限に活かし、業界の再生と活性化に向けて一緒に頑張りたい」と祝辞を述べた。
日本出版取次協会の山﨑厚男会長(トーハン)が「東日本大震災が発生したこの1年は非常時だった。営業を再開した被災地の書店に敬意を表する。非常時の書店を再生するため業界全体で協力できたのだから、平時においてもできるはずだ。来年は非常時のこともやらねばならないが、むしろ平時に書店の再生を阻むものは何かということについて問題点を洗い出し、一つ一つ解決していくことが私たちの大きな仕事になる。皆さんと力を合わせて努力したい」とあいさつし、乾杯した。

百田尚樹氏の講演会/兵庫トーハン会

兵庫トーハン会(山根金造会長)は11月9日、神戸市の新長田勤労市民センターで作家・百田尚樹氏の講演会を開き、約100名が来場した。地元在住の作家と読者を結ぶため無料で開催したもので、昨年の高田郁氏に続いて2回目。
山根会長の開会のあいさつのあと、百田氏は講談社の国兼秀二文庫出版部長との掛け合いを交えながら講演。「すべての作品に共通するのは、読後に『人生って素晴らしい。明日から頑張って生きていこう』と思ってもらえるように書いていること」などのエピソードを披露した。
講演会終了後、同氏全著作物を陳列し、販売を行った。
(安井唯善広報委員)