全国書店新聞
             

令和3年11月1日号

全国の組合加盟書店数2859店に/半年間で加入11店、脱退39店

10月1日現在で日書連会員の45都道府県書店商業組合に加盟する組合員(日書連所属員)は、4月1日対比で28店減(1・0%減)の2859店になったことが組織委員会(安永寛委員長)の調査で分かった。この半年間の新規加入は11店だったのに対し、脱退は39店だった。
組合員が増加した組合は、愛知(2店増)のみ。前年と同数は、青森、秋田、宮城、福島、茨城、群馬、埼玉、神奈川、山梨、岐阜、三重、富山、長野、福井、和歌山、島根、広島、香川、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、沖縄の27組合。残る17組合は組合員が減少している。
各組合ごとに加入の内訳をみると、この半年間に新規加入があった組合は①愛知(4店)、②宮城、鳥取、広島(2店)、⑤兵庫(1店)。残りの40組合は新規加入ゼロとなっている。一方、脱退があった組合は、①山形、静岡、石川、兵庫、鳥取(3店)、⑥宮城、東京、愛知、滋賀、大阪、京都、奈良、広島、鹿児島(2店)、⑮北海道、岩手、千葉、新潟、岡山、福岡(1店)だった。
脱退数から加入数を差し引いた純粋な減少数は、①山形、静岡、石川(3店減)、④東京、滋賀、大阪、京都、奈良、兵庫、鹿児島(2店減)、⑪北海道、岩手、千葉、新潟、鳥取、岡山、福岡(1店減)。また減少率でマイナス幅の大きい順にみると、①山形(7・9%減)、②石川(6・8%減)、③奈良(5・6%減)、④鳥取(3・7%減)、⑤滋賀(3・6%減)となっている。
組合員数が多い上位10組合は、①東京(289店)、②大阪(192店)、③福岡(177店)、④愛知(135店)、⑤兵庫(122店)、⑥京都(116店)、⑦埼玉(114店)、⑧静岡(113店)、⑨宮城(101店)、⑩千葉(87店)。一方、組合員数が少ない組合は、①高知(20店)、②徳島(22店)、③青森(23店)、④秋田、島根(24店)の順となった。

出版クラブ「忘れたくない本」の原稿募集

日本出版クラブでは、コロナ禍において「未来に残したい忘れたくない本」のエピソードや思いをまとめた原稿を募集している。字数は600字以内、締切は11月末。応募の詳細については同クラブのホームページへ。原稿はデジタルアーカイブとして収蔵するとともに、ブックガイド「忘れたくない本のほん」にまとめ全国100以上の図書館に寄贈する予定。

「本の日」ブックカバー大賞/大賞作品『本のまち』に決まる/全国171店舗で文庫購入客に配布

「本の日」実行委員会(矢幡秀治実行委員長=日書連会長)は10月5日、東京・千代田区の書店会館で「『本の日』ブックカバー大賞」の審査会を開催。前回(2019年度)の倍以上となる応募作品516点の中から、大賞にセキサトコさんの作品『本のまち』を選出した。
ブックカバー大賞参加書店で応募作品の選考を行い、その結果を踏まえて、矢幡秀治実行委員長を審査委員長に、玄光社「イラストレーション」編集長・竹内康彦氏、新潮社「芸術新潮」事業部部長・吉田晃子氏、誠文堂新光社「アイデア」編集長・西まどか氏、美術出版社「美術手帖」編集長・岩渕貞哉氏を審査委員とする審査委員会で審議し、入賞作品を決定した。
大賞には図書カード5万円分を授与。ブックカバーを印刷し、全国の参加書店171店舗で11月1日から文庫の購入客に配布する(参加書店一覧を「本の日」ホームページに掲載)。また4誌の各編集長賞にそれぞれ図書カード1万円分を授与する。
「本の日」ブックカバー大賞入賞作品
〔大賞〕
セキサトコ『本のまち』(山口県)
〔各編集長賞〕
▽「イラストレーション」編集長賞=なりたきよし『ふしぎなせかい』(神奈川県)▽「芸術新潮」編集長賞=小林大悟『目も皿にして読み耽る』(東京都)▽「アイデア」編集長賞=徳永実華『はじまりとおわり』(兵庫県)▽「美術手帖」編集長賞=大久保澪『プロローグ』(神奈川県)

2022年度「年間発売日カレンダー」/土曜休配日は年間37日/集荷作業のない「完全土曜休配」は19日に

日本出版取次協会(取協)と日本雑誌協会(雑協)は10月1日、2022年度「年間発売日カレンダー」を発表した。
22年度の土曜休配日は年間37日。取協と雑協では「週5日以内稼働」の実現を目指し、合同プロジェクトチームを通年で実施して意見交換を重ねてきたが、土曜休配日を21年度より5日増やすことで目標を実現した。年間稼働日は254日間。また、21年度より導入している、輸送会社の集荷作業がない「完全土曜休配」についても21年度から5日増の年19日となった。平日休配日は設定していない。
取協と雑協は、「出版物流を支えてくださる方々の有給休暇取得促進に寄与出来ることと確信している。今後も両団体で商品の鮮度と売上を最大限に考え、そのうえで流通にも配慮した、発売日にまつわる根本的な考え方を各方面と議論し、効果的な輸送計画、業量平準化などを引き続き検討していく」とコメントしている。

雑誌詳細情報の表示開始/書誌情報サイト「BooksPRO」/JPO

日本出版インフラセンター(JPO)は9月28日、東京・千代田区の出版クラブビルで定例理事会を開催。出版情報登録センター(JPRO)が始める新サービス等の報告を行った。
JPROでは、書店向け書誌情報サイト「BooksPRO」と読者向け書誌情報サイト「Books」で、11月1日から雑誌の詳細情報の登録・表示を開始した。これまで日本雑誌協会の雑誌POSセンターから取得している雑誌の基本情報(出版社名、雑誌名、発売日、定価など)を表示していたが、今回全ての定期誌・増刊について出版社が目次、特集内容、付録、次号予告等の情報や画像を直接追加登録し、表示できるようになった。
9月29日に行われた記者会見で、JPRO雑誌登録部会の井上直部会長(ダイヤモンド社)は、「BooksPROを積極的に活用する書店が増え、『欠かせないツールだ』という声をたくさんいただいている中で、一番大きな不満として寄せられていたのが雑誌の情報がないことだった」と述べ、今回の詳細情報登録開始について「事前の情報をしっかり書店に伝えることで、実売率、実売数ともに向上が期待できる。お客様からの問い合わせに対応でき、売り逃しの防止やお店の作業効率の改善につながると期待している」と話した。
出版社に雑誌情報の登録を促進するため、2つのキャンペーンを実施する。詳細情報登録の利用料金は1誌につき年間5000円としているが、来年6月末まで無料にする。また、基本情報を登録する雑誌POSセンターへの加盟には初期費用が30万円かかるところ、今年12月末までは無料とする。
理事会ではこのほか、第1回「アクセシブルブックスサポートセンター(ABSC)準備会」を9月22日に開催したことを報告した。ABSCは、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)に対応し、書籍製作に必要なテキストデータの提供など障害者団体から寄せられる要望を出版社に取り次いだり、各出版社の窓口担当者の情報整備などを行う組織で、来年の設立を予定する。準備会の座長はJPOの相賀昌宏代表理事(小学館)が務める。

「春夏秋冬本屋です」/「米はうまい」/奈良・倭の国書房代表・靏井忠義

店は、田んぼに囲まれた街にある。取り入れのシーズン、稲刈りのバインダーの音が聞こえた。
生まれた実家では、わずかながら米作りをしていて、子供のころ、よく稲刈りを手伝った。当時は、脱穀ができるような大型バインダーなどない。カマで刈り取り、ワラで束ねて天日干しする。刈り取った稲束を運ぶぐらいの手伝いだったが、いがらっぽかったことを憶い出す。米つくりはその字の通り、八十八回の手間が必要(手がかかる)なことを実感する体験にもなったものだ。
弥生時代以来、米は日本社会の基盤となってきた。神マツリで米の豊作を願い、米作りのできる土地の奪い合いで戦争をしてきた。
そんな米づくりだったのに、開発の波にのまれて田んぼは減り、米作りを放棄した田んぼもめっきり増えた。採算が合わないのか、後継者がいないためか、よく分からないが、草ボウボウの田園風景は景観にも影響している。
米はうまい。この季節、新米のまっ白な炊きたてのご飯は格別だ。
それなのに、米の価格が大幅に下がっているという。コロナ禍の影響もあって、余っているのだという。世界全体で日本食ブームだというのに、である。日本の将来はどうなるのだ。
昼下がり、そんなことを考えながら、バインダーの音と選挙カーの音声をいっしょに聞いていた。

NHK出版・中村哲氏の証言録など特別増売/小学館の児童書新企画2点を増売/東京組合

東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は10月5日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。
事業・増売委員会では、NHK出版から、アフガニスタンで銃撃され亡くなった医師・中村哲氏の証言の記録『わたしは「セロ弾きのゴーシュ」中村哲が本当に伝えたかったこと』(10月25日発売)と、既刊で中村氏初の自伝『天、共に在り』の特別増売企画について説明があり、実施を承認した。『わたしは「セロ弾きのゴーシュ」』は、中村氏が出演したNHK「ラジオ深夜便」のインタビューを忠実に再現したもの。各3冊を全組合員に配本して増売に取り組む。
また小学館から『学習まんが世界の歴史別巻「イスラム編」全4巻』、『小学館の図鑑NEO鉄道』(ともに11月25日発売予定)の増売企画について説明があり、実施を承認した。『世界の歴史別巻「イスラム編」』は、本編同様に山川出版社が編集協力し、大ボリュームでイスラム世界の歴史を本格的に紹介。早期予約獲得に特典を用意する。『図鑑NEO鉄道』は、深夜の保線作業密着取材など貴重な映像を収録するDVDが付いている。
共同受注・デジタル委員会では、日本教育公務員弘済会東京支部より「学校図書助成事業」について21年度も納入業務の依頼があったと説明。業務を受託することを承認した。

訂正

10月15日号2面「大阪組合、楽天ブックスネットワーク川村社長と懇談」の記事で、楽天ブックスネットワークの川村社長の名前が「興一」とあるのは「興市」の誤りでした。お詫びして訂正します。

ロス対策士セミナー

万引など小売店舗におけるロス防止に取り組む全国万引犯罪防止機構(万防機構)が設立した「ロス対策士検定試験」――日販出版流通学院は、この資格を取得し、店頭で効果的にロス対策の実務を進めてもらうため、同試験制度の立ち上げを主導した万防機構理事の近江元氏を講師に招き、「目指せロス対策士セミナー」を開催する。
来年1月13日実施予定の検定試験に向けた絶好のタイミングのセミナー。出版業界人なら誰でも受講できる。奮って参加を!
【開催概要】
▽日時=11月24日午後1時半~3時半
▽開催方法=Zoom
▽費用=無料(事前登録制)
▽申込締切=11月22日
出版流通学院HP(https://www.nippan.co.jp/ryutsu-gakuin/list-semina)から申し込む。

視聴回数1万4千回に/「上野の森親子BF」配信

子どもの読書推進会議、日本児童図書出版協会、出版文化産業振興財団の主催3団体で組織する「上野の森親子ブックフェスタ」運営委員会は、5月3日~5日に開催した「上野の森親子ブックフェスタ2021」の事業報告を発表した。
同フェスタは例年、東京・台東区の上野恩賜公園中央噴水池周辺並びに周辺施設で開催しているが、21年はコロナ禍の中、感染予防を考慮して会場販売が中心となる「子どもブックフェスティバル」は取りやめ、東京都美術館講堂で講演会を観客来場とオンライン配信で行うことを予定していた。しかし、直近で緊急事態宣言が発出されたため、オンライン配信のみを東京・千代田区の出版クラブビルで実施した。
今回行われたのは、「マジックと音楽と絵本の世界」「対談児童文学よもやま話」「お笑い芸人たかまつななと笑って学ぶSDGs」「発表!【第2回親子で読んでほしい絵本大賞】~『聞かせ屋。けいたろう』と素敵な仲間たち~」「『辞書引き学習』体験授業!~ことばのちから、ぐんぐんのびる!~」「あんびるやすこ講演会とっておきのおはなし」の6講演で、視聴回数は合計1万4053人にのぼった。
同委員会では、22年はリアルでの開催を目標に、子どもの時期から読書に親しむ環境づくりの一環として、本や読書の魅力を伝えていきたいとしている。

書店経営健全化重点課題に/官公庁共同販売事業を強化/千葉総会

千葉県書店商業組合は9月30日、千葉市中央区の千葉県書店会館で第38期通常総会を開催した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言延長のため、今年も書面議決による参加を呼びかけ、本人出席は最少人数で行った。
鈴木喜重理事長(ときわ書房)を議長に議案審議を行い、第38期事業報告、収支決算書、監査報告、第39期事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
事業報告では、千葉県立西部図書館・千葉県立東部図書館・千葉県立中央図書館への図書納入や組合への図書・暦・県民手帳の販売から成る共同販売事業収入は、中央図書館を落札できなかったため4月~7月の受注が減少し、前期と比べて2%減少したと報告した。
事業計画では、①官公庁、業務用資材の共同販売事業、②会館の貸付利用事業、③組合支部組織の活性化、並びに新規組合員の加入促進及び組織化への対応、④日書連における書店経営健全化の推進――などの取り組みを進めるとした。

二階堂衞司理事長を再選/読者還元祭への積極的参加呼びかけ/大分総会

大分県書店商業組合は9月27日、大分市の大分図書会議室で第37回通常総会を開催し、組合員28名(委任状含む)が出席。役員改選で二階堂衞司理事長(二海堂書店)を再選した。
総会は樋口純一副理事長(ブックスプラザひぐち)の開会宣言で始まり、二階堂理事長があいさつ。「新型コロナウイルスは変異株が猛威を振るい、雑誌の休刊と増刊号の増加で機会損失が生じている。また、感染防止対策を理由に定期購読を停止し、購入を手控える得意先も増えている」と述べ、コロナ禍の書店経営への影響に懸念を示した。
「春の読者還元祭」では、しおり1束500枚を組合加盟各書店に無料で配布したと報告。「多くの当選者が出た書店もある。来店客数の減少に歯止めをかける一定の効果があった」と手応えを語り、「秋の読者還元祭」にも積極的に参加するよう呼びかけた。
九州雑誌センターの九州地区ムック返品現地古紙化については、「大半の出版社から好意的な返事をいただいた。実現すれば返品運賃が大幅に減少し、作業の手間が軽減される」と期待を示した。
このほか、日書連が推進する粗利30%以上獲得運動、キャッシュレス決済対策などについて説明した。
二階堂理事長を議長に議案審議を行い、事業報告、決算報告、監査報告、事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
任期満了に伴う役員改選では、理事12名、監事2名、相談役2名を選任。第1回理事会を開き、正副理事長3名を再任した。
[大分組合役員体制]
▽理事長=二階堂衞司(二海堂書店)▽副理事長=渕英樹(渕書店)、樋口純一(ブックスプラザひぐち)
(大隈智昭広報委員)

九州雑誌センター・沖縄県書店商業組合/ムック返品現地古紙化/10月21日到着分よりスタート

九州雑誌センター(近藤敏貴社長=トーハン社長)と沖縄県書店商業組合(小橋川篤夫理事長)は、10月21日到着分より、ムックの返品受け入れ・古紙化をスタートした。ムックを定期誌と同様に福岡県飯塚市の九州雑誌センターに返品することで、書店の返品運賃負担の軽減を図る。輸送に伴うCO2削減にもつながる。出版社164社が現地古紙化を承諾し、21社が協議中(10月21日現在)。
九州各県の書店商業組合で設立した「九州地区ムック返品現地古紙化推進協議会」(安永寛代表=日書連九州ブロック会会長・福岡県書店商業組合理事長)は、昨年11月、出版社向け説明会を開催し、ムック発行出版社185社に対し、九州・沖縄での返品古紙化への協力を依頼。説明会以降、各出版社との個別協議を行ってきた。今年10月、九州雑誌センター、沖縄県書店商業組合および取次各社でシステム改修を完了し、このほどムック返品現地古紙化がスタートした。
返品運賃は書店が負担しているが、ここ5年ほど運賃コストが急激に上昇し、九州地区から首都圏への返品運賃の負担が書店経営に深刻な影響を与えている。このため九州各県の書店商業組合はムック返品の現地古紙化の実現に理解と協力を求めてきた。

「くまモン」文庫・新書ブックカバー/熊本組合が制作/全国の書店で配布

熊本県書店商業組合(長崎晴作理事長)は、熊本県のPRキャラクター「くまモン」をデザインした文庫・新書用のオリジナルブックカバーを制作し、熊本組合加盟書店をはじめ全国の書店で配布している。
ブックカバーはピンクとイエローの2種類を用意。サイズは33・5㌢×24・0㌢。価格は1枚1・67円(税込み)。注文は1束1万2000枚(ピンク、イエロー各6000枚)=価格2万円(税込み)から受ける。書店および都道府県組合への送料は全国どこでも無料。代金は熊本県書店商業組合より請求。
注文・問い合わせは熊本県書店商業組合まで。℡096(344)3831

ふたば書房がグランプリ/全国書店フェアアイデアコンテスト/「明日、返品される予定の本たち」

書店大商談会が主催、書店向けWeb商談会が運営する「全国書店フェアアイデアコンテスト」の入賞作品発表会が10月4日、オンラインで開催された。書店員が日々工夫しているフェアのアイデアをアーカイブし、シェアすることで、書店にとって役に立つ「書店知恵袋」を実現しようというもの。初開催となる今回は、52書店63名が107のアイデアを応募。書店員64名と一般読者101名の計165名による投票の結果、ふたば書房の洞本昌哉社長が企画した「明日、返品される予定の本たち」がグランプリに輝いた。
「明日、返品される予定の本たち」は、店内奥バックヤード入口のブックトラックの上に、明日返品する1冊を乗せておくというアイデア。今日買わないと明日にはなくなってしまうため、来店客の購入の決断が早くなるという。店内奥に設置することで回遊性を高め、ブックトラックの更なる活用にもつながる。書店員投票、一般読者投票とも1位の人気だった。
洞本社長は「今回応募したのは自分が店長時代に実践していたアイデア。店内の回遊性を高める導線を考え、どうしたらお客様がいの一番に店の奥まで行くかを考えた。最近は動画配信サービスでも『もうすぐ配信終了』というコーナーがあり、いまだにこうした手法は刺さるのだと思った。店で棚から本を抜くと、お客様から『このあいだここにあった本はどこにいった?』という質問をよく受ける。お客様は実際よく見ている。この『明日、返品される予定』の棚を見ておかないと、これまで自分が立ち読みしていた本が返されるかもしれないと認知し、『この本を救えるのは自分だけだ』とお客様の背中を押してくれるのだと思う」と説明した。
2位は大垣書店神戸ハーバーランドumie店が応募した「目が合ったから、運命だ」。歌野晶午『ずっとあなたが好きでした』(文春文庫)、大前粟生『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(河出書房新社)など、表紙がこちらを見ている「目が合う本」ばかりを集めたフェア。書店員投票2位、一般読者投票4位。
3位は匿名希望の書店員が応募した「出版社社長が選ぶ自社のおススメこの1冊」。書店員投票13位、一般読者投票2位。
特別賞はうさぎやの高田直樹氏が応募した「もうすぐ絶版フェア」。書店員投票5位、一般読者投票5位。
なお、今回集まったフェア企画が実際に店頭で展開されることを目指し、2位と3位について内容に沿った書籍タイトルを各出版社から募り、出版社横断の合同注文書を作成した。注文書は同コンテスト特設ホームページから入手できる。
書店大商談会実行委員会の井之上健浩副委員長(久美堂)は「想像を超える応募数に驚きと喜びを感じる。一般読者からの関心も高く、良いコンテストになった」と手応えを語った。

8月期販売額は3・5%減/店頭売上は五輪開催、外出自粛で苦戦/出版科研調べ

出版科研調べの8月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比3・5%減だった。内訳は書籍が同0・1%減、雑誌が同7・2%減。書籍のマイナスは2ヵ月連続で、5月期以降は動きが低調になってきている。雑誌の内訳は月刊誌が同6・1%減、週刊誌が同12・2%減。月刊誌のマイナスは返品増加によるもの。週刊誌は3ヵ月連続の2桁減になった。
返品率は、書籍が同0・2ポイント増の37・4%、雑誌が同3・5ポイント増の43・6%。雑誌の内訳は、月刊誌が同3・7ポイント増の43・6%、週刊誌が同2・9ポイント増の43・7%。月刊誌は、定期誌やコミックスの返品が目立った。
書店店頭の売上は、東京五輪の開催やコロナ禍による外出自粛、天候不順などの影響で、全体的に厳しかった。書籍は約10%減で、文庫本が約10%減、ビジネス書が約15%減、新書が約10%減と主要ジャンルが苦戦した。その中で児童書は約1%増となり、前年に激減していた課題図書の売行きが回復しプラスになった。また、「小学館の図鑑NEO」などの学習図鑑も夏休み需要で伸長した。
雑誌の売上は、定期誌が約10%減、ムックが約10%減、コミックスが約1%減。コミックスは7月から映画が公開中の『東京卍リベンジャーズ』(講談社)の既刊の売上が非常に好調で、微減にとどまった。

本の価値をあらためて考える/本の学校シンポジウム

本の学校は、「本の学校出版シンポジウム2021」を11月にオンラインで開催する。「本の価値をあらためて考える」を統一テーマに、7つのフォーラムを通して文化的・産業的・社会的側面からアプローチする。日書連など後援。
【開催概要】
▽開催日=11月19日~21日
▽会場=オンライン(Zoomを使用)
▽参加費=1100円(税込)/1講座、学生550円(税込)/1講座
事前申込・クレジットカード・コンビニ決済による前払い制
本の学校ホームページ(https://www.honnogakko.or.jp/)のPeatix内フォーラム詳細ページから申し込む。
【フォーラム】
◇11月19日
①「プリント・オン・デマンドによる出版流通改革~最新事情と今後の動向を整理する~」
◇11月20日
②「図書館、活字、海外へと広がる電子書籍の可能性~電子書店・電子取次が現状を報告~」③「非来館型図書館サービスの可能性~ポストコロナを考える~」④「ドイツ独立系書店の経営と業界団体の活動を聞く~最大手独立系書店オジアンダーの経営者が登壇~」
◇11月21日
⑤「書店SNSの可能性を探る~自店のファンをつくるための展望~」⑥「『100分de名著』が伝える本の価値秋満プロデューサーに聞く」⑦「創業者が語る『小さな本屋の作り方と続け方』~開業準備から運営まで考えなければならないこと~」

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

相原一/根岸一乃/梶田雅義/平松類著『名医が教える新知見老眼・緑内障・白内障の克服法100』(宝島新書990円)は4人の医師が100の質問に答えるQ&Aで進行する。
老眼は手元のものに焦点が合いづらくなるものだが、最近では麻痺やけいれんによって一時的な機能不全に陥る「スマホ老眼」が登場した。第1章は「目の老化サインを見逃さない」、第2章は「目の仕組みを知る」、第3章は「老眼の疑問12」、第4章は「緑内障の疑問23」、第5章は「白内障の疑問13」、第6章は「目の俗説のウソ、ホント」――の全6章。
平松類著『眼科医だけが知っている一生視力を失わない50の習慣』(SB新書990円)もデジタル化が急速に進む中、目にかかる負担が増大していることで、私達の目が危ないと言っている。
本書は科学的に実証された視力回復トレーニングを紹介する。「ガボール・アイ」は「ガボール・パッチ」と呼ばれる縞模様の図形を眺めるだけという方法である。ヨガと筋トレは目の健康上要注意であるという。逆立ちになるポーズなど、頭に血が上ることで目に通常より強い圧がかかってしまうからだ。水を一気に飲むのも気を付けたい。急激に水を飲むと血管にストレスをかけ、緑内障を進行させる。”