全国書店新聞
             

令和3年1月15日号

副会長に安永寛氏(福岡)/中山寿賀雄氏から交代、組織委員長を担当/日書連12月定例理事会

日書連は12月17日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催。安永寛理事(福岡県書店商業組合理事長、金修堂書店)が副会長に就任した。なお、前回10月定例理事会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため同意事項に絞った「みなし理事会」としたが、全理事の同意書が揃わなかったため不成立となった。このため、12月は10月分の議題も含めて通常の理事会として開催した。ただし、コロナの感染者数が高止まりしている状況を考慮し、書面議決書の提出による出席を呼びかけ、実出席者は少人数に絞った。
[政策委員会]
◇副会長および組織委員長を中山寿賀雄氏(長崎県書店商業組合理事長、好文堂書店)から安永氏に交代する人事を承認した。安永氏は、2020年2月13日開催の九州ブロック会で中山ブロック会長が退任し、後任のブロック会長に就任。従来、日書連は全国10ブロックのブロック会長を中心に副会長を選任してきたことから、中山氏が務める副会長および組織委員長を安永氏に交代する人事を諮り、承認した。任期は中山氏の残任期間の令和3年通常総会まで。
◇2021年度の理事会日程を承認した。なお、理事会は原則として木曜日に開催しているが、5月と10月は他の業界行事と重なるため、1日前倒しして水曜日開催とした。
◇NHK出版から、2月9日、10日の両日、オンラインで開催する「2021年NHK出版春の企画説明会」について、組合加盟書店への参加呼びかけや告知などの協力要請があり、承認した。
◇浜松市「第7回森林(もり)のまち童話大賞」(令和3年5月10日~令和4年10月)の日書連後援名義使用申請を承認した。
[組織委員会]
全国の組合の加入・脱退状況は、10月期が加入なし・脱退5店で5店純減、11月期が加入2店・脱退1店で1店純増と報告した。
[流通改善委員会]
2021年度「年間発売日カレンダー」の内容を説明した。
[読書推進委員会]
2020年度読書週間書店くじの結果を報告した。
【新副会長の略歴】
安永寛氏(やすなが・ひろし)
福岡県福岡市中央区・㈲金修堂書店代表取締役社長。1949年(昭和24年)7月17日生まれ、71歳。73年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。同年㈲金修堂書店入社、93年代表取締役社長。93年福岡県書店商業組合理事、2010年常務理事、14年副理事長、16年理事長。16年日本書店商業組合連合会理事。

2021年度日書連理事会日程

〈2021年〉
▽4月=休会▽5月=委員会25日(火)・理事会26日(水)・公取協総会26日(水)▽6月=委員会23日(水)・理事会24日(木)・通常総会24日(木)▽7月=休会▽8月=休会▽9月=委員会15日(水)・理事会16日(木)▽10月=委員会19日(火)・理事会20日(水)▽11月=休会▽12月=委員会15日(水)・理事会16日(木)・出版販売年末懇親会15日(水)
〈2022年〉
▽1月=休会▽2月=委員会16日(水)・理事会17日(木)▽3月=休会

デジタル教科書「25年度100%」経済財政諮問会議が普及へ目標/日書連「慎重に検討を」、意見書作成へ

政府は12月18日、経済財政諮問会議を開催し、新経済・財政再生計画改革工程表を示した。文教・科学技術分野では、義務教育学校でのデジタル教科書の普及率を2025年度までに100%にすることを目指すといった目標を定めた。少子化の進展や厳しい財政状況等の中でも学習環境の格差が生じることを防ぎ、次代を担う人材育成の取り組みの質を向上させるため、教育の情報化を加速する。
義務教育の学校のデジタル教科書の普及率は、20年3月時点で8・2%だが、25年度までに100%にすることを目指す。24年度からの教科書改訂に合わせた本格的な導入に向けて、有識者会議で制度の見直しも含めた今後の在り方等を検討し、21年夏頃に報告書をとりまとめる。また、学校現場におけるデジタル教科書の普及促進を図るための実証事業等を実施する。
GIGAスクール構想により1人1台端末環境が急速に進むなど、デジタル教科書をめぐる環境整備が進展している。文部科学省は12月22日、学習者用デジタル教科書の使用を授業時間の2分の1未満に制限する現行基準を撤廃する案を有識者会議に示し、了承された。21年度から制限なしにデジタル教科書を使用できるよう、省令を改正する。
日書連はこうした動きに以前より懸念を抱き、意見書を作成しているところだ。矢幡秀治会長は本誌1月1日号掲載の年頭インタビューで、「教科書のデジタル化にあたっては、紙の本の優れた点も考慮した上で慎重に検討してほしい」との考えを示している。

20年出版物販売額は約2%減/16年連続で減少も、減少幅は大幅縮小

出版科学研究所は12月25日発売の「出版月報」で、2020年の書籍・雑誌を合わせた紙の出版物の販売金額は約2%減の1兆2100億円台となり、16年連続で前年を下回る見込みと発表した。新型コロナウイルスの影響による読書需要の喚起、「鬼滅の刃」の大ヒットで、書籍は約1%減、雑誌は約2%減と例年より縮小幅が小さく、健闘した1年となった。

NHK出版春の企画説明会、オンラインで開催へ/経営者、現場担当者など広く参加を

NHK出版(森永公紀社長)は「2021年NHK出版春の企画説明会」をオンラインで開催することを決め、全国の書店に参加を呼びかけている。
例年、2月に営業担当者が全国各地を訪問し、新年度のNHKテキストや書籍等の説明を行っているが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑み、オンラインで開催することとした。
開催日時は2月9日(火)午後2時半~、同10日(水)午後2時~。両日とも同一の内容(約45分)となる。森永社長あいさつの後、語学テキスト、家庭テキスト、書籍の各担当者が企画内容と販売施策を説明する。企画説明会終了後、内容への質問等を含めた交流の場をオンラインで設ける。また、開催後もアーカイブで一定期間視聴できるようにする。
参加方法は、パソコン、タブレット、スマートフォンで初期登録フォーム(https://shoten.nhk-book.co.jp/entry/)にアクセスし、必要事項を入力。その後、登録したメールアドレスに視聴するための案内が送られる。日書連ホームページにも初期登録フォームにアクセスするためのURLとQRコードを掲載している。登録締切は2月8日(月)。
同社では「経営者だけでなく現場の担当者の方々も視聴し、販売の参考にしていただきたい」と、広く参加を呼びかけている。
問い合わせは同社セールス・プロモーション部(担当=俵氏・浅井氏)まで。℡03(3780)3543

別所信啓理事長を再選/理事14名・監事1名全員が重任/三重総会

三重県書店商業組合は11月28日、津市の三重県教科書特約供給所で第35回通常総会を開催し、組合員31名(委任状含む)が出席した。今回は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から委任状での参加を呼びかけ、本人出席は最少人数とした。役員改選では別所信啓理事長(別所書店)を再選した。
総会は別所理事長を議長に議案審議を行い、第35期事業報告、収支決算書、監査報告、第い36期事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
任期満了に伴う役員改選では、理事14名、監事1名が全員重任。正副理事長、専務理事を全員再選した。
[三重組合役員体制]
▽理事長=別所信啓(別所書店)
▽副理事長=川口力(川口書店)、石垣直人(北洞書店)
▽専務理事=磯田智(井筒屋書店)
(冨森康宏広報委員)

「春夏秋冬本屋です」/「愛をこめて書いたので…」/鹿児島・楠田書店店長・楠田太平

『馬鹿ブス貧乏でいきるしかないあなたのために愛をこめて書いたので読んでください。』の続編『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つ ろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください』(藤森かよこ・ベストセラーズ)が年末に発刊されました。なんとも強烈でど真ん中に全力豪速球のタイトルです。アイン・ランド『水源』の翻訳者と知りその落差に諧謔さえ感じます。私は男性ですが人生を左右する致命的な欠陥を持つ者としては手にとらずにはいられません。過酷な世界を生き抜くための指南書であり、その中で費用対効果の高さを謳い読書をサバイバル術として著者推薦のブックガイドの役割も備えて書店員の皆様にもお勧めできます。
読書は費用対効果が高い…同じ趣旨は本書に限らずよく見かけ、確かに頷けますが、高い効果と反比例するような負担を探すとき、それは間違いなく供給側にあると思います…生みの苦しみにある作家・画家、真実を求めるジャーナリスト、リーディングやレジュメに懊悩する翻訳家、苦心する編集者、そして出版社、取次、書店員。さらには図書館や製本、流通など読者に届くまでを担うすべての方々により、書物の恩恵は創られています。
業界の抱える問題は複雑で特効薬は見つからない現在状況ではありますが、本に関わる一人として私が望むことは、感謝とか報いとか矜持とか存在意義とかあるけれども、やはり本を読む喜びは失わずにいたいということです。

コロナ対策で非接触温度計配布へ/安永寛理事長を再選/福岡組合総会

福岡県書店商業組合は11月25日、福岡市中央区の福岡県教科図書会議室で第42回通常総会を開催し、組合員148名(委任状、書面議決書を含む)が出席した。今回は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から定款に基づき書面での議決権行使を促し、本人出席は最少人数での開催とした。任期満了に伴う役員改選では安永寛理事長(金修堂書店)を再選した。
総会の冒頭、安永理事長は「新型コロナウイルスの第3波が関東、関西を中心に押し寄せているが、店をやっている以上、お客様に迷惑がかからないよう、従業員1人ひとりがアルコール消毒、3密の回避、検温等のコロナ対策を再度徹底しよう」とあいさつした。
続いて大塚勇常務理事(たけふじ文泉堂)を議長に議案審議。第42期事業報告、収支決算報告、監査報告、第43期事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。さらに、コロナ対策として、非接触式電子温度計を1店あたり1台配布することを承認した。
各委員会報告では、総務・広報委員会が広報誌「ふくおか」の発行、福岡支部が参加した福岡市子ども読書フォーラムの取材、情報化推進委員会が電話による図書館nano等に関する情報交換、倫理委員会が福岡県警察本部主催「万引き防止啓発キャンペーン」への参加、福岡家庭裁判所久留米支部「万引き被害を考える会」での講和などを報告した。
事業計画案を説明した安永理事長は、「今期はコロナ不況に対してしっかり準備しながら書店経営を行い、組合活動もマスク着用、3密の回避に十分留意する。書店は不況に強いと言われてきたが、新しいメディアの発達で少し変わってくるかもしれない」として、①福岡組合の組織・運営の強化②再販制度下における書店の役割の明確化③取引慣行の弊害是正④ネットワーク化による情報・物流の改善⑤読書推進と文字・活字文化の振興⑥万引き防止・青少年健全育成の周辺整備――の6項目に努力すると表明した。
任期満了に伴う役員改選では、正副理事長が全員重任となった。
[福岡組合役員体制]
▽理事長=安永寛(金修堂書店)
▽副理事長=森松正一(森松尚文堂)、白石隆之(白石書店)
▽常務理事=平山淳(小倉ブックセンター)、長谷川功(ブックイン金進堂)、大塚勇(たけふじ文泉堂)、佐野晴美(本の店佐野書店)
(加来晋也広報委員)

「マガジンデータ2021」刊行

日本雑誌協会会員社が発行する雑誌の発行部数、紹介文、表紙写真等を掲載した雑誌プロフィールデータ集。今回は73社511誌を掲載。部数算定期間は19年10月1日~20年9月30日。頒価2000円(税込)。
問い合わせは日本雑誌協会まで。℡03(3291)0775

楠田哲久理事長を再選/ムック返品の現地古紙化に期待/鹿児島総会

鹿児島県書店商業組合は12月3日、鹿児島市の鹿児島書籍会議室で第35回定時総会を開催し、組合員51名(委任状を含む)が出席した。今年は新型コロナウイルス感染防止の観点から最小限の人数で開催し、来賓は県中小企業団体中央会のみ招待。講演会、懇親会は中止した。役員改選では楠田哲久理事長(楠田書店)を再選した。
総会は石井俊司専務理事の司会で進行し、楠田理事長があいさつ。「2020年は新型コロナウイルスの影響でほとんどの組合活動が中止になり、店頭でも接客の対応をはじめ大きな影響が出る中、全国書店再生支援財団から5万円のコロナ対策支援金が支給されたこと、出版社有志から取次を通じてマスクが配布されたことは、ありがたかった」と出版業界が一体となった書店支援に謝意を示し、「粗利益拡大による書店経営健全化を目指す」と決意を語った。
また、書店の返品運賃コスト負担の軽減につながる明るいニュースとして、九州地区のムック返品の現地古紙化が2021年夏頃、九州雑誌センターで本稼働する見通しであることをあげた。さらに、2019年に黄綬褒章を受章した鹿屋市・文精堂書店の小栁一郎社長から特別寄付があったことを紹介し、「理事会で協議した結果、レジ袋有料化の折、本に巻く帯に組合名とイラストを印刷することになり、本日入荷した。全組合加盟書店に配布する」と報告した。
続いて瀬川浩三副理事長を議長に議案審議を行い、第35期事業報告、決算報告、監査報告、第36期事業計画案、予算案、組合員減少に伴う役員数減少の定款変更、今期に限っての賦課金の一律5000円減額案など、すべての議案を原案通り可決承認した。
役員改選では9名の理事と2名の監事を選任した。
[鹿児島組合役員体制]
▽理事長=楠田哲久(楠田書店)
▽副理事長=瀬川浩三(文泉堂)
▽専務理事=石井俊司(石井書店)
(和田豊広報委員)

わが社のイチ押し企画/新潮社・文芸第一編集部・北村暁子

大学二年生で小説すばる新人賞を受賞したデビュー作『桐島、部活やめるってよ』がいきなりのベストセラーとなった朝井リョウさん。大学在学中に5冊の本を刊行、『桐島、部活やめるってよ』『チア男子!!』など、その作品は映画化、舞台化もされて、さらに話題となりました。
就職1年めに執筆した『何者』で、戦後男性最年少での直木賞を受賞。その後作家専業となって執筆を続け、近著に『死にがいを求めて生きているの』『どうしても生きてる』『発注いただきました!』などがあります。
2020年に、作家生活10周年。新聞連載した長篇『スター』に続いて、記念作品、書下ろし長篇小説『正欲』が今年刊行されます。
この小説、紹介のあらすじをかんたんに書けない衝撃作です。作者が作った爆弾をそのまま受け止めてほしい――そんな気持ちで、送り出します。
呑気に多様性を語る私たちに、〈普通でない〉痛みを負いながら生きること、他者と繋がりつづけることの意味を問い、読者の世界観を一新、さらに自分は、どう考えるのか、〈刃を突きつけられる〉小説です。
そして、その背後には、「どんなふうにでも、生きていていいんだ!」という力強い声が感じられます。他者と繋がり続ける意味を問い、「生きていようよ!」と叫ぶ声が響いています。
自分を持ち堪えて、どう生きて行くか。読後には、ショックとともに、他人目(ひとめ)や世間の尺度ではなく、たしかな自分を感じながら生きていくための爽やかな希望が香ります。
「『正欲』は、自分の名刺がわりになる作品」と朝井さんは語っています。作家生活10年、〈いまの朝井リョウ〉を堪能できる新作、3月刊行です。

わが社のイチ押し企画/河出書房新社・営業第三部一課・鎌塚亮

謹んで新年のお慶びを申し上げます。本年もよろしくお願いいたします。
おかげさまで、昨年は全米図書賞翻訳文学部門を受賞した柳美里『JR上野駅公園口』をはじめ、第163回芥川賞受賞の遠野遥『破局』、第33回三島由紀夫賞受賞の宇佐見りん『かか』、第42回野間文芸新人賞受賞の李龍徳『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』、第47回大佛次郎賞受賞の内海健『金閣を焼かなければならぬ』、そして第74回毎日出版文化賞企画部門受賞の「池澤夏樹=個人編集日本文学全集(全30巻)」など、数々の賞に恵まれました。ひとえに全国の書店様の各作品へのあたたかい応援と、多大なるご協力の賜物と心より感謝しております。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
本年2月には、恩田陸の最新長編小説『灰の劇場』と、特集ムック『文藝別冊恩田陸』を同時刊行いたします。
『灰の劇場』は、「きっかけは、「私」が小説家としてデビューした頃に遡る。それは、ごくごく短い記事だった。一緒に暮らしていた女性2人が橋から飛び降りて、自殺をしたというものである」といういわゆる「三面記事」に端を発した「事実に基づく物語」です。作家本人を思わせる「私」のモノローグと、2人の女性が死に向かうまでの物語が交錯しながら進みます。
いったいなぜ、2人は心中したのか。26年の時を超えて編集者が探してきた新聞記事をきっかけに、「私」がたどり着いた答えとは?
読者は『灰の劇場』を通じて恩田陸の新たな「小説」の誕生を目撃すると同時に、心中した2人の女性の「物語」にしだいに身体を浸食される「小説家」の姿にも寄り添います。
書店様におかれましては、ぜひ本作ならびに『文藝別冊恩田陸』をご併売の上、大きくご展開いただければ幸いです。
本年も書店様と読者の方々にとって、力となる作品を刊行して参る所存です。何卒皆様のご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。

わが社のイチ押し企画/双葉社・営業局次長・奥山秀

謹賀新年
昨年はコロナ禍の中で感染リスクがありながらも多くの作品を読者に届けていただきありがとうございました。
昨年弊社は、文庫ではアンソロジーの「1日10分~」シリーズが多くの読者に支持をいただきました。『NHK国際放送が選んだ日本の名作1日10分のごほうび』は3月に発売して20刷15万部を超える大ヒットとなり、一昨年に発売していたシリーズ1作目も、『1日10分のしあわせ』とうたった新カバーで店頭展開していただいたところ、昨年5月から重版が掛かり始め、あっという間に16刷約12万部となりました。第3弾『1日10分のぜいたく』も10月発売で6刷約7万部まで到達、シリーズ累計34万部を突破しております。
単行本では、一昨年、本屋大賞にノミネートされた『むかしむかしあるところに、死体がありました。』(青柳碧人著)の西洋編ともいうべき『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』が前作同様好調で6刷約7万部のヒット、10月に刊行した伊吹有喜著『犬がいた季節』も順調に版を重ねております。昨年ビルボードジャパン年間首位を獲得した〝小説を歌にする〟アーティスト・YOASOBIの、楽曲の元となった小説集『夜に駆ける』(星野舞夜ほか著)も6万部を超えるセールス。ノンフィクションでは朝日新聞への投稿から話題になってついに映画にまでなった『感謝離~ずっと一緒に』(河崎啓一著)や、アフガニスタンで凶弾に倒れた中村医師の功績を後世に伝えるために現地で出された絵本を翻訳した『カカ・ムラド~ナカムラのおじさん』(訳:さだまさし他)など話題作を出すことができました。
コミックスでは引き続き【モンスターコミックス】が好調です。昨年は一昨年の1・5倍の作品を刊行し、売上は約2倍となっています。また以降いくつかアニメ化も決まっております。ご期待ください。映像化といえば本年2月5日より全国公開する映画『哀愁しんでれら』を、『暗黒女子』の秋吉理香子が小説化した文庫『哀愁しんでれらもう一人のシンデレラ』も好評発売中です。映画は土屋太鳳・田中圭ほか豪華キャストが出演。メディア露出も多くなってきますので引き続きのご展開をお願いいたします。本年も何卒、倍旧のご支援お力添えをよろしくお願いいたします。

「MOE絵本屋さん大賞フェア」を開催/トーハン

トーハンは、「第13回MOE絵本屋さん大賞2020」の発表に合わせ、「MOE絵本屋さん大賞フェア」を全国約1300書店で展開中。
「MOE絵本屋さん大賞」は、白泉社が発行する月刊誌『MOE』が全国の絵本専門店・書店員3千人にアンケート調査を行い、最も支持された絵本30冊と新人賞絵本5冊、幼児向け絵本を対象にしたパパママ賞5冊を決定するもので、『MOE』2月号(12月28日発売)で特集を組んでいる。今回の第1位は、ヨシタケシンスケ著『あつかったらぬげばいい』(白泉社)となった。
「MOE絵本屋さん大賞フェア」は、トーハンと白泉社、協賛出版社が共同で行う企画で、同賞の第1回発表時から実施。MOE編集部の協力を得てオリジナル拡材を作成し、受賞上位作品と『MOE』本誌を書店で展開している。

新型コロナ緊急事態宣言、取次各社の業務体制

取次各社は、新型コロナウイルス対策で1都3県に発出された緊急事態宣言を受け、業務体制について発表した。
■トーハン
①緊急事態宣言の対象となる1都3県の事業所(本社、支社、支店)は、以下の体制で業務を継続する。(1)対象エリアでは在宅勤務を拡大し、職員の出勤人数を平常の60%程度とし最小人員での運営とする。(2)1都3県の事業所は当面の間16時15分終業とする。なお、桶川コールセンターの最終受付時間は15時で変更なし(時差出勤は1都3県を含む全エリアで継続する)。(3)1都3県から他県への往来・訪店活動は原則中止とし、商談は可能な限り電話やオンライン対応とする。
②取引先に対しては、1都3県の事業所への来訪をなるべく控えてもらうよう要請する。
③書籍、雑誌、コミック、マルチメディア商品等について各物流センターは平常通りの対応を継続する。
④取引先書店への対応について、個別店舗の営業可否は取引先書店の意思によるが、配本の調整や停止等の措置は個別に相談する。
⑤事業所内に事務所を置くグループ各社についても、基本的にトーハンに準じた対応とする。
■日本出版販売
緊急事態宣言の対象エリア(1都3県)では以下の通り業務を行う。
①在宅勤務を拡大し、出勤人数を必要最小人員にとどめる。
②取引先との商談は、可能な限り電話やオンラインで対応する。
③1都3県から他県への往来は可能な限り控える。
④各物流センターは、平常通りの対応を継続する。
今後もマスク着用・検温・アルコール消毒などの予防行為を徹底するとともに、引き続き在宅勤務・時差出勤・リモート会議等を活用し、感染予防に努める。
■中央社
1都3県における緊急事態宣言を受け、以下の通り業務を継続する。
①仕入・販売・物流等各機能については継続して営業する。
②取引先と直接対面しての商談・定例会等は控え、メール・電話・FAX・オンラインでの対応を継続する。取引先には来訪をなるべく控えてもらうよう要請する。
③在宅勤務を拡大し、緊急事態措置に従うよう最少人数で運営する。
④時差出勤を導入するが、営業時間に変更なし。

学研プラス、『地球の歩き方』出版事業を譲受/ダイヤモンド・ビッグ社から

ダイヤモンド社は、子会社のダイヤモンド・ビッグ社が手掛ける『地球の歩き方』など旅行ガイドブック出版事業とインバウンド事業について学研プラスとの間で事業譲渡契約を締結。1月1日付で事業譲渡した。今後は、学研プラスが新設した子会社、㈱地球の歩き方で出版物の発行やインバウンド事業、デジタルサービス展開を行い、学研プラスが出版物の発売元となり事業を展開していく。
昨年12月31日までに発行された「ダイヤモンド・ビッグ社発行、ダイヤモンド社発売」(以下、旧タイトル)の出版物の店頭在庫は、21年以降もダイヤモンド社が返品を受け入れる。21年1月1日以降の旧タイトルの送品については、旧タイトルに新ISBNを附番し、「地球の歩き方社発行、学研プラス発売」として学研プラスより販売する。
『地球の歩き方』やその他関連商品の注文、問い合わせ先は次の通り。
◇注文=学研受注センター℡0570(550)115、FAX0570(055)233
◇乱丁、落丁など=学研業務センター℡0570(000)577
◇問い合わせ=学研プラス出版事業部実用・一般出版事業室℡03(6431)1250

年末年始の店頭売上/トーハンは5・3%減、日販は2・2%減/外出自粛で来店客が減少

年末年始(20年12月29日~21年1月3日)の書店店頭売上動向をトーハン、日本出版販売(日販)が発表した。これによると、トーハン調べが前年比5・3%減、日販調べが同2・2%減で、ともに前年実績を下回った。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、外出自粛に伴う来店客の減少が店頭売上に影響したが、コミックは両社とも2桁のプラスと好調を維持している。
トーハンの発表(1470店)によると、年末の売上は書籍7・4%減、雑誌10・2%減、コミック22・3%増、MM(マルチメディア)4・4%減、総合3・2%減。年始は書籍11・5%減、雑誌19・2%減、コミック12・7%増、MM6・5%減、総合8・3%減。期間計は書籍9・2%減、雑誌13・5%減、コミック18・0%増、MM5・3%減、総合5・3%減だった。
書籍は、11月に全米図書賞を受賞した『JR上野駅公園口』(河出書房新社)、東野圭吾の新刊『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』(光文社)、『鬼滅の刃』シリーズの小説版(集英社)など話題作が上位にあがった。コミックは、『鬼滅の刃』シリーズが完結後も後半の巻を中心に売れ続けているほか、『SPY×FAMILY6』『キングダム60』(いずれも集英社)などの新刊が売上を牽引した。
日販の発表(1667店)では、年末の売上は書籍6・7%減、雑誌9・9%減、コミック24・4%増、開発品3・0%減、合計は前年比変わらず。年始は書籍9・7%減、雑誌18・4%減、コミック13・6%増、開発品3・4%減、合計5・1%減。期間計は書籍8・0%減、雑誌13・1%減、コミック19・5%増、開発品3・2%減、合計2・2%減となった。
書籍は、ジャンル別では文芸、ビジネスの2ジャンルが前年超え。文芸では12月25日映画公開の『えんとつ町のプペル』(幻冬舎)や『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』が売上を牽引。ビジネスは、『人は話し方が9割』(すばる舎)が好調を維持した。コミックは、『SPY×FAMILY6』が『鬼滅の刃』シリーズを抑えて期間中最も売れた作品に。『鬼滅の刃』も売上上位10作品のうち8作品を占め、好調な売行きを続けている。

『JR上野駅公園口』が累計30万部突破/河出書房新社

河出書房新社は、2020年全米図書賞(翻訳文学部門)を受賞した柳美里著『JR上野駅公園口』(英語版『TOKYOUENOSTATION』モーガン・ジャイルズ訳)について、受賞後に河出文庫版27万部、単行本1万7千部の重版を行い、12月24日現在で累計発行部数30万部を突破したと発表した。
11月の受賞発表直後から大きな話題を呼び、オール丸善ジュンク堂書店「文庫新書ジャンル」で3週にわたり第1位、オール紀伊國屋書店「文庫」ジャンルで12月7日から2週にわたり第1位となった。
昨年6月にアメリカで刊行された『TOKYOUENOSTATION』は、全米図書賞のロングリスト選出前から話題となり、ニューヨークタイムズやTIMEなど世界中の各紙誌、各賞で「2020年ベストブック」に選出されている。

現役国会議員が防災の絵本を出版/金の星社

海との暮らしから防災・減災について考える絵本『うみといきる』(ふくいてる・作、いとう良一・絵)が、金の星社から12月に刊行された。
著者は現在、自由民主党経理局長、国土強靭化推進本部事務総長を務める福井照氏。災害時に命を守り、経済や社会への被害をできるだけ小さくして早期の回復を目指す「国土強靭化政策」や、世界各国の高校生が津波の脅威と対策について学ぶ「世界津波の日高校生サミット」に携わる福井氏が、広く子どもたちに防災・減災を考えてもらおうと出版した。災害への万全の対策を行うと同時に、一人一人が自分の命を守る準備をすることの重要さを訴える絵本。