全国書店新聞
             

平成20年9月11日号

書店くじ立替金振り込みました

今年春実施した「2008春の書店くじ」で各書店にお立て替えいただきました1等1万円、2等千円、3等5百円、4等百円の清算業務は終了いたしました。入金をご確認いただくようお願いします。
書店くじ係

送品・返品の同日精算/大橋会長ら、大阪屋と意見交換

日書連の大橋信夫会長、面屋龍延、柴﨑繁両副会長、大川哲夫専務理事は9月5日午後3時、東大阪市の大阪屋・関西ブックシティ(KBC)を訪問。送品・返品同日精算について日書連の考え方を説明し、理解と協力を求めた。大阪屋は同日精算の趣旨に理解を示したものの、「1日前着荷分まで入帳している。これ以上の対応は個別では無理。出版社の理解も必要」と回答した。
応対した大阪屋の三好勇治社長、中田知己取締役に対し、日書連の大橋会長は「日書連の情報化推進で書籍データベース(OPLマーク)を格安でご提供いただいていること、また返品入帳問題にはいち早く対応していただき、請求日1日前着荷分まで入帳していただいている努力に感謝している」とした上で、送品・返品同日精算についての日書連の考え方を説明。「書店側のキャッシュフローが改善されるばかりでなく、金融返品が緩和されることにより店頭での陳列日数が増え、返品減少も期待できる」と述べた。
これに対し、大阪屋の三好社長は「書店の立場を考慮して対応してきた。返品入帳改善では、以前は10日前までしか入らなかったのを25日まで入帳するようにし、現在は請求日の前日まで入帳している。この姿勢は決算月にも守っている。また、注文品に対しては『スリーデイ対応』を掲げて3日以内での書店納品を10年前から実施している。物流に関して書店のほうを向いているのが当社の伝統。これまで平成7年に関西ブックシティ(KBC)、平成9年に東京書籍流通センター(TBC)、平成12年に完全単品管理の受注センターであるiブックシティ(iBC)を稼働させ、出庫のスピードアップ化を図っている」として、理解を求めた。
柴﨑副会長が「同日精算をお願いしているのは、九州の書店で10日ぐらいまでしか入帳していないという声が出たから。輸送上の問題でタイムラグがどうしても生じるから、入帳できるところで切って請求してもらいたいということ」と求めると、三好社長は「返品の場合、どうしても輸送業者が調整してしまう。デポに2、3日置いて効率よく運ぼうということになる。ここが問題。出版社も含めて業界全体で変えていかねば」と述べた。
大橋会長が文書による回答を求めると、三好社長は「当社は過剰送品は一切していないし、客注品に対する取り組み、返品における1日前着荷分までの入帳、こうした努力を認めてほしい。同日精算の趣旨は十分に理解しているが、これ以上の対応は個別では無理。出版社の理解も必要であり、取協として検討すべきことではないか。これを回答とさせていただきたい」として、文書による回答には難色を示した。

携帯電話向け配信事業/東京組合とACCESS、正式契約を締結へ

東京都書店商業組合は9月2日午後2時から書店会館で定例理事会を開催し、同組合とACCESSとの間で「電子出版コンテンツ配信事業提携」の契約を締結することを承認した。10月中に予定している携帯電話用電子書店サイトの開設に向けたもの。基本合意契約、機密保持契約はすでに締結していたが、配信事業スタートに向けて業務提携の正式契約を結ぶ。
同組合は6月理事会で携帯情報端末および情報家電向けソフトウェアの開発会社ACCESSの子会社であるアクセス・パブリッシングと協業で、携帯電話を使ったコンテンツ事業に参入し、携帯電話用電子書店サイトの運営を行うことを決定。組合はサイト運営および店頭プロモーション、アクセスグループはシステム開発およびサイト運営支援を担当することで準備を進めている。
出版業界の売上減少、書店の廃業に歯止めがかからない状況のなか、電子書籍業界は順調に売上を伸ばしているが、電子書籍の販売には一部の書店を除いて関わることができていないのが現状。そこで本のプロである書店人が運営する本好きのためのサイトを立ち上げ、書店店頭の活性化と電子書店サイトとの連動を図りながら運営を推進。出版業界全体の活性化を狙う。
組織委員会からは、組織改革に向けてエリア活動推進担当者5氏と担当副理事長らが集まり、近日中に打ち合わせ会を開くとの報告があった。
事業・増売委員会からは読者謝恩図書カード発行・販売について報告があり、前回と同様の方法で実施することを確認。広告協賛を依頼する出版社等向けの文書を承認し、9月中に送付することになった。読者謝恩図書カードは一昨年11月に第1回目の発行・販売を行い、読者から大きな反響があったことから、その後多くの組合員から再度同カードを発行してほしいとの要望が寄せられていた。こうした経緯を踏まえ、今年5月の総代会で読者謝恩と組合員書店の売上拡大の一助とするため実施することを決議したもの。
読書推進委員会からは11月1日から3日間にわたり神保町すずらん通り、さくら通りなどの会場で開催される第18回神保町ブックフェスティバルについて報告があり、東京組合による後援を承認した。
TS流通協同組合の8月期(8月1日~31日)売上は695万310円(前年比78・4%)、発注件数は7317件(80・8%)、書店数は64店(86・5%)と報告された。

長﨑晴作理事長を再選/図書館システムで講演会/熊本総会

熊本県書店商業組合(長﨑晴作理事長)は8月25日午後3時より熊本全日空ホテルニュースカイで第21回通常総会を開催した。
冒頭、長﨑理事長より日頃の組合員活動に対して感謝の意を含めてあいさつがあった。その後長﨑理事長が議長を務め議案審議に入り、平成19年度事業報告、決算報告及び平成20年度事業計画案、収支予算案が原案通り承認された。また本年は役員改選の年であったが、理事長はじめ全員留任で承認された。来賓として出席いただいた熊本県中小企業団体中央会の高濱様より総会の運営等についてアドバイスをいただいた。
総会終了後、鹿児島県書店商業組合の井之上博忠理事長より図書館システムについて講演いただき、鹿児島県の現況等を含めて詳細なお話をいただいた。懇親会もお互い和気あいあいの中で行われた。
(宮崎容一広報委員)

読書週間書店くじ実施要領

▽実施期間平成20年10月27日(月)より11月9日(日)まで。書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数500万枚。書店には1束(500枚)3751円(税込)で頒布
▽申込方法返信用申込書に必要事項を記入し、束単位で所属都道府県組合宛に申し込む。
▽配布と請求方法くじは取次経由で10月25日前後までに配布。代金は取引取次より請求。
▽当選発表12月5日(金)。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品総額7500万円(当選確率は9・7本に1本の割合)
特等賞=図書カード10万円50本
1等賞=図書カード1万円1000本
2等賞=図書カード又は図書購入時充当1千円1500本
3等賞=同5百円1万5000本
4等賞=図書購入時に充当百円50万本
ダブルチャンス賞=図書カード1万円100本
▽賞品引換え特等賞は当選券を読者より直接日書連に送付。1、2、3、4等賞は取扱書店で立替え。図書カード不扱い店または品切れの場合は、お買い上げ品代に充当。ダブルチャンス賞は平成21年1月15日(当日消印有効)までに読者が直接日書連にハズレ券10枚を送付
▽引換え期間読者は12月5日より平成21年1月10日(消印有効)まで。書店で立替えたくじは平成21年1月31日までに「引換当選券・清算用紙(発表ポスターと同送)」と一緒に日書連事務局に送付
▽無料配布店頭活性化の一環で組合加盟店全店に「書店くじセット」(書店くじ50枚、ポスター1枚)1組を無料配布
▽PR活動「読書週間書店くじ」宣伝用ポスター。全国書店新聞に実施要綱を掲載。日書連ホームページで宣伝

生活実用書/注目的新刊

JRの殊に新幹線の車内アナウンスで、駅名を変なイントネーションで発音されることに違和感がある。シンジュクゥ、シナガワァなどと後にアクセントを置く。秋葉原などにいたってはアキファウァバラアと聞こえる。ネイティブイングリッシュは日本語の発音をそんなに変えてしまうのが正しいのだろうか。と、オジサンが怒っていたりする
と「使われる側なら、相手は少なくとも失礼なことをしているつもりではないのだ、ということを理解してあげて、優しく寛容に聞き流してあげましょう。」という文章が眼についた。
金田一秀穂著『適当な日本語』(アスキー新書076752円)である。これは、ファミレスなどで「こちらコーヒーになります」という言い回しが気になる人の問いに言葉は変化するもの、ファミレスができて30年も経つのだから、物心ついた時からそういう敬語を聞いて育った世代があふれているということ。使う側なら相手を見て使いま
しょう、につなげて答えたくだりである。しかし車内アナウンスは納得がいかない。
三章ではパソコン&ケイタイ時代の漢字選び。こちらもQ&Aスタイル。たとえばカタイ話しは抜きにして…のカタイは固い、堅い、難い、硬いのどれが正解なのか。高尚で柔らかくない話題であれば硬いを使っても構わないが、普通は堅いが正解である。
タイトルの適当には二つ意味があって、適切といい加減なのだが、本書はその両方の意味を持つと著者はいう。常に移り変わる日本語を捉える一方、今こそ使いたい懐かしい言葉も紹介している。
YOMIURIPC編集部著『パソコンは日本語をどう変えたか日本語処理の技術史』(講談社ブルーバックスB―1610900円)は、今日の水準にまで到達した日本語処理システムにたずさわった技術者と開発の歴史である。既に1960年代から取り組まれていたというがワープロ専用機を経て、現在のように普及するまでに、わずか数十年足らずなのに驚く。その発展の中、最終章でパソコンは日本語力を低下させたか?という問いは重い。ブログなどには難しい漢字が多くなって、それは簡単に変換できるからだという。日本語を考えさせられる本である。
(遊友出版・斎藤一郎)

日書連のうごき

8月1日ICタグ近畿ブロック研修会に井門副会長が出席。「読書週間」ポスター用イラスト選定事業委員会に石井総務部長が出席。
8月5日全国中小小売商団体連絡会に大川専務理事が出席。
8月7日ICタグ福岡組合研修会。大橋会長、面屋、柴﨑両副会長が、「送品・返品同日精算」の説明と実施のお願いに、日販、トーハン、栗田の3社を訪問。
8月12日出版倉庫流通協議会総会に石井総務部長が出席。
8月19日山形組合図書館システム研修会(山形)に長尾専門委員が講師として出席。
8月20日山形組合図書館システム研修会(庄内)に長尾専門委員が講師として出席。指導教育キャッシュフロー研修会・第1日目。出版流通改善協議会に藤原副会長ほか役員が出席。
8月21日指導教育キャッシュフロー研修会・第2日目。山形組合図書館システム研修会(置賜)に長尾専門委員が出席。
8月22日山形組合図書館システム研修会(村山)に長尾専門委員が出席。
8月25日熊本組合情報化研修会に井之上専門委員が講師として出席。
8月26日文化産業信用組合理事会に大橋会長が出席。
8月27日全国中小小売商連絡会に大川専務理事が出席。
8月28日富山組合情報化研修会に長尾専門委員が講師として出席。
8月29日出版平和堂維持会役員会に大川専務理事が出席。出版平和堂「第40回合祀者顕彰会」に大橋会長が出席。「野間読書推進賞」1次選考委員会に石井総務部長が出席。

オリジナル図書カード製作/富山組合

富山県書店商業組合(吉岡隆一郎理事長)は、8月28日午後1時より富山市電気ビル4階特別室で平成20年度通常総会を開催。組合員34名(委任状含む)が出席した。
総会では第1号議案から第4号議案までを審議。第21期事業報告では、組合員の販売促進を図るためオリジナル図書カードを製作販売したことなどが報告された。第22期事業計画については、①オリジナル図書カードの作成・販売。②読書推進運動の協力事業。③中学生向け図書紹介冊子の作成。④図書館販促として日書連マーク講習会を実施――などを決定。その他の議案も全て可決承認した。
また、日書連情報化推進委員会・長尾幸彦専門委員を講師に日書連マーク研修会を開催した。
(渋谷恵一広報委員)

元講談社会長・服部敏幸氏「お別れの会」

9月26日(金)12時~14時、千代田区内幸町の帝国ホテル本館2階孔雀の間で。喪主は長男、清臣(きよみ)氏。

魔法の集客、魅せる売場作り/栗田書店経営研究会出版販売実務セミナー

書店経営研究会と栗田出版販売、栗田出版共済会が共催する出版販売実務セミナーが8月27日午後、文京シビックセンターで開かれ、書店、出版社など50名が出席した。第1講は中小企業診断士として小売業コンサルティングも行う書肆おおさきや・大咲元延社長が中小書店でもできる集客力アップの方法を紹介。第2講では本の店栄進堂・諸橋武司専務が魅力的な売場作り、棚作りを講演した。
〔魔法の集客、人が集まる書店はこうつくる/阿倍野・書肆おおさきや・大咲元延氏〕
大咲氏は冒頭、最近の事例として「ハリー・ポッター」木製BOXを取り上げ「すごく売れた店と、全く売れない店の差が顕著だった。私はBOXの発表があった時、これは売れると思った。1年ほど前、木製アクセサリー・ボックスを2か月で60個売ったからだ。文庫を入れて並べるとお客さんが喜んで買っていった。これからはもう放っておいて売れる商品、本はない」と、売るための工夫が必要なことを強調した。
大咲氏はあるドラッグストアが行った市場調査で、消費者が来店する理由は近隣力が40%、価格力16%、販促力16%、店舗力15%、商品力13%だったと紹介。
姫路郊外、サティに隣接する20坪の薬局は1日20~30人と少ない来店客を逆手にとり、じっくり話を聞いて健康相談に応じていること、約5百名にニューズレターを発行しているほか、岡山にある製薬所見学と後楽園をめぐるバスツアーを企画したところ30人が参加したと、説明した。
書店に当てはめると、価格力はないから、ますます近隣力、店舗力が重要になってくる。「人は楽しいところに集まる」というのが集客のルール。
おおさきやではクリスマスが近づくと「白いサンタを探せ」というイベントを行う。40坪の店内にサンタの人形を配置して、店内の地図を渡し、サンタのあった場所にマルをつけてもらう。正解した子どもには景品をプレゼントする。受験シーズンが近づくと店内に合格神社を用意する。
「ハリー・ポッター」5巻の発売日には、「誰よりも早く読みたいあなたへ」のキャッチ・コピーをつけて、早朝6時から販売を開始した。店員に赤いハッピを着せて店頭販売すると、「何、やってんねん」と客が寄ってきた。
年間1千万円売上を増やすには、目標数字を小さくすることが必要だと大咲氏は言う。1千万円を365日で割れば1日2万7397円。来店客が3百人とすれば1人あたり91円。あと百円多く買ってもらえれば達成できる。そのために書籍・雑誌以外の商品を扱ってみてはどうかと、大咲氏は提案する。
「こんなものもあるのか」とお客様が面白がって買っていくのは、大半が衝動買い。ポケットに入る小型の折り畳み傘は5百円と値段も手ごろで、雨の日以外でも売れた。仕入れて2か月で3百本、2年で3千本売った。今年の夏はクールバンダナを売った。小売りの平均粗利は30%だが、3割、4割の粗利がある商品はいくらでもある。仕入れはインターネット・サイトから簡単にできる。
通常は10冊ぐらいしか売れない「大阪人」という雑誌を、ある時、190冊売った。昭和レトロの特集で阿倍野の飲食店を取り上げたので、ポスターに「阪南町1丁目、あべの長屋掲載」と書いた。お客は身近な情報を知りたがる。そこに関心を引く言葉で伝えることが重要だ。地元の情報が載った雑誌は徹底的に販売したい。
近著に『小さなお店でガッチリ稼ぐ法』(日本実業出版社)があり、メールマガジン「単なる客を信者客にする魔法の集客方法を公開」(まぐまぐ)を運営している。
〔魅力的な売場作り、書店店頭活性術/新潟市・本の店英進堂/諸橋武司氏〕
英進堂は新潟市郊外のショッピングセンターにある240坪の独立店舗で、道路をはさみTSUTAYA(4百坪)と、ブックオフ(2百坪)がある激戦区。この2年で売上2割減と厳しい経営環境にある。
従来、出版社ごとに並べていた「夏の文庫フェア」。今年は思い切って新潮社、角川、集英社の文庫フェアを一緒にして「勝手に3社合同フェア」を展開した。フェアではこれまでも海外、日本、名作古典、恋愛と大雑把なジャンル分けはしていたが、今年は3社のフェア目録を自宅に持ち帰り、休日に作業した。
『こころ』は「友情」に、『蟹工船』や桑田のエッセーは「仕事」にと分類。「数学」「言葉」「教育」「冒険」「ファンタジー」とジャンル分けしていった。これまで培ってきた本の知識が確かめられ、楽しい時間だった。
文庫棚は小説以外のジャンルが増えてきたため、2年前からビジネス、歴史・社会、実用書ははずし、棚にあるのは小説、エッセイだけ。しばらくは新刊文庫として並べるが、翌月には歴史、ビジネスなどジャンル別の棚に文庫コーナーを作って並べる。雑誌棚に書籍を並べると汚いという意見もあるが、技術的なことだと思う。きれいに見えるように並べればいいというのが諸橋専務の意見。
文庫は「新潮・文春」「角川・講談社」「光文社・集英社」、「時代小説」を著者50音別に並べている。文庫棚は最終的にはミステリー、歴史小説、普通小説、エッセー、名作の5ジャンルに分け、50音別に並べてみたい。いろいろ試しているところだ。
読書の面白さは、ある本を読んで、次に何を読もうかと考えることにあると思う。英進堂は1冊の本から枝葉のように伸びていく読書の楽しさを演出したいと考えている。アマゾンや大型書店は点の寄せ集めで売る。関連付けで売れるのは経験を積んだリアル書店だけだ。
諸橋専務のこだわりは、雑誌の陳列にも表れている。雑誌は10冊ずつ立てて揃えてから積み上げる。だから乱れない。雑誌はきれいな本をきれいなまま売りたい。「本をすごく大事にしている」というメッセージを伝え、他店との差別化を図っている。
北京オリンピックのコーナーは、テレビガイドだけでは面白くないので、ちょっと批判的な『週刊金曜日』や『芸術新潮』『一個人』の北京特集も置いた。そういう組み合わせは、書店の考え方やものの見方だ。オリンピックというキーワードから引き出せるものはたくさんある。それを一緒に見せる。英進堂でしか目にすることができない本の並べ方、出会いを演出したい。
毎朝の品出しの時に雑誌に独自の手書きタテ帯POPをつけている。注目してほしいページを紹介するPOPだ。棚のアクセントとして前号を最新号と一緒に並べている。POPを通してお客さんとつながっていくと考えている。
本屋は売れ残っている雑誌よりも、今日入った新しい雑誌の方が売れる確率が高いと考えがちだ。しかし、それはその本を見ていないからではないか。毎日大量に入ってくる雑誌を全部は見ていられないが、お店のキーになっている雑誌については、何部入って、何部売れたのか、売れ行きが悪ければ売れなかった原因は何なのかなど、考えなければいけないと思う。
雑誌を売り伸ばすには面積を広くとってアピールすることだが、2面置くのではあまりに芸がないので、前号と併売している。一緒に並べた途端、新しい号が並んでいるのに前号を買っていく客もいる。ビジネス雑誌については、必ず前号と併売している。欲を言えば60日で返品不能になるのを何とかしてほしい。あと10日伸ばせないか取次に言っている。自分が伸ばしたい雑誌はなるべく長く売りたいというのは当然ではないだろうか。

『現代』など休刊

講談社は月刊誌『現代』を12月1日発売号をもって休刊する。同誌は昭和41年に月刊総合誌として創刊され、ノンフィクションジャンルで数々の話題作を掲載してきたが、近年、月刊総合誌の市場は極めて厳しく、継続を断念したもの。
また、月刊誌『マガジンZ』は1月26日発売号で、『クロスワードin』は11月14日発売号で休刊する。

NF賞などを贈呈/講談社

平成20年度講談社ノンフィクション賞に城戸久枝氏『あの戦争から遠く離れて』、西岡研介氏『マングローブ』、原武史氏『滝山コミューン1974』の3作、エッセイ賞に立川談春氏『赤めだか』、科学出版賞に佐藤克文氏『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ』が決まり、5日夕、東京會館で贈呈式と祝賀会が行われた。
贈呈式の冒頭、講談社野間佐和子社長は「すでにお知らせした通り月刊誌『現代』を休刊するが、今後もノンフィクション部門の出版活動は旺盛に取り組む。新しい媒体の発刊準備も進めている。講談社ノンフィクション賞は継続して続けていく。各位のご支援をお願いする」と述べた。
ノンフィクション賞選考経過を報告した重松清氏も「フリーライター時代『月刊現代』に書くのが憧れだった」と休刊を惜しむあいさつを行った。

今年は70万部発行へ/新春すてきな奥さん/主婦と生活社

主婦と生活社は9月5日、京橋の本社に報道関係者を集め、2009年版『新春すてきな奥さん』の企画説明会を行った。
説明会で高納社長は「『主婦の友』が休刊し、4誌あった婦人誌が1誌になった中で最初の年。新年号は年末商戦の大きな塊であり、書店の期待感も大きい。『すてきな奥さん』は、リラックマ効果で読者が10歳ほど若返ってきた。従来の読者に『主婦の友』の読者も取り込み、70万部を目標に販売したい」と、新年号拡売への強い意欲を述べた。
今年の新春号は①お金が貯まる家計簿、②リラックマカレンダー、③リラックマ手帳、④リラックマの幸せの黄色い手袋の4点セットをビニール・パックにするほか、綴じ込み付録として「こうちゃんの幸せおかず超特選レシピ」が付く特別5大付録。年末の大掃除や家事、ガーデニングに役立つ黄色い手袋がサプライズ付録。
本誌はお正月大特集として、おせち料理、大掃除の実用特集のほか、江原啓之のスピリチュアル・メッセージ、主婦が受けたい授業と盛りだくさんの内容。プレゼント企画、応募者全員サービスも例年通り実施する。
今井販売本部長は「単体の家計簿が11月中旬から出回るため、11月21日(金)発売。定価は1500円で据え置きにした。通常号は25万部発行し、5月以降実売1・3倍と伸びている。新春号は商品力もパワーアップしており、発行70万部で実売90%を目指したい。書店モニター会などの感触はよい」と報告した。
また、アスコムから引き継いだ『NHKためしてガッテン』は11月15日にリニューアル新創刊する。
『新春すてきな奥さん』
販売促進費コース
2百~399部130円
4百~499部150円
5百~599部150円
6百~699部160円
7百~799部170円
8百~999部180円
千部以上は営業担当者相談
完売賞コースビール券
A賞(30~39部)4枚
B賞(40~49部)6枚
C賞(50~99部)8枚
D賞(百~149部)16枚
E賞(150~199部)
24枚
*年内完売確定は各賞ともプラス2枚。

新製品

◆スワンタッチ
板橋区の金型職人が開発して特許を取得したプラスチック製しおり「スワンタッチ」の販売を同区の知的障害者授産施設、赤塚福祉園が手がけることになり、評判をよんでいる。
「スワンタッチ」は弾力あるプラスチックでできており、本の最終頁にセットし、くちばしを読み始めの頁にはさんでおくと、めくるたびにくちばしが読んでいる頁を指す仕組み。東急ハンズ、ロフトでも販売されており、単価157円。
同園では、これまで袋詰めなどの下請けを行ってきたが、丁寧な仕事ぶりが認められ、直接販売を引き受けることになった。下請け工賃は1個7円だったが、販売すれば1個82円の利益になり、これからは自分たちで販売先を開拓しようと意欲を燃やしている。赤塚福祉園の連絡先は℡03(5383)5741番。

本屋のうちそと

次から次へと版元が消えていく。消えていくのは勝手だが残るのは返品不能の本ばかり。苦労して作り上げた棚が入れ替わらない本で少しずつ埋まっていく。地球外からやってきた未知のバクテリアに侵食されて、輝く本たちがみるみる輝きを失い灰色に変わっていくようである。この敵に立ち向かってくれるのは誰もいないんだろうなあ。バットマンもスパイダーマンもアイアンマンだってだめなんだろうなあ。まだ上地雄輔の方がなんとかしてくれそうだ。
ビーチボーイズの「ペット・サウンズ」というアルバムを買った。それも数軒探し回って。先日、読み終えた本の中でヒロインがご機嫌なときにいつも口ずさんでいる「WOULDNT IT BE NICE(素敵じゃないか)」という曲と歌詞を知りたくて。
広告代理店に勤める主人公が訪れた取引先の会社で素敵に変貌した中学時代の幼なじみと再会する。冴えないイジメられっ子だった彼女と彼との思い出を辿りながら2人の愛が築かれていく。かなり胸にくる切ない話なのだ。帯にある「未体験の読後感」というのがぴったりだからCDなぞ買ってしまった。この小説の中で彼女が「生まれ変わったら…」という場面があるのだが、もしも僕は生まれ変わったら又、本屋をやるのだろうか?と思ってしまった。
再販、取次、大型店、ネット等どの方角を見てもバクテリアが増殖してそうだしバラ色の未来なんて考えられないのだけれども「絶対に本屋なんてやらない!」と即答できないのはなぜ?
さて、読んだ本のタイトルを書かないのは単なる意地悪。ストレス解消、ストレス解消。
(理)

洋書輸入の子会社、DIPを設立

日販は8月25日、洋書輸入販売の新会社㈱DIP(ディーアイピー)を設立した。資本金1億円。本社所在地は千代田区神田駿河台4―3。代表取締役社長は平林彰氏(日販取締役・非常勤)。
同社は日本洋書販売の自己破産を受け、8月上旬より海外出版社と雑誌取り扱いの交渉を続けた結果、現在までに「NEWSWEEK」「ECONOMIST」「BUSINESS WEEK」の仕入・販売を行なってきた。
この度、洋書全般(雑誌・書籍)の輸入販売を本格化しようと、日販100%出資の子会社の設立を決定したもの。これにより書店店頭支援を充実させ、洋書を安定的に供給する。