全国書店新聞
             

平成20年3月11日号

「本のある風景」優秀作20作品を選出/SJの日実行委

サン・ジョルディの日実行委員会が2月28日、書店会館で開かれ、第23回「世界本の日サン・ジョルディの日」キャンペーンの企画等について討議した。
冒頭、大橋信夫実行委員長は「皆様から協力をいただきながら、サン・ジョルディ成功に向けて準備を進めたい」とあいさつした。
続いてキャンペーン企画の進行状況について報告。「本のある風景」では本をテーマにした写真や絵などの作品を募集、243点の応募があり、このなかから優秀作品20点を選出した。さらに2作品をキャンペーンポスターおよびオリジナル図書カードのヴィジュアル素材などに使用する。作品は3月15日から日書連ホームページで公開する予定。雑誌出版社共同企画「心が揺れた1冊の本」「本の川柳」の応募も順調に推移していると報告があった。なお、「心が揺れた1冊の本」の協賛出版社は2月28日現在、47社・98誌。
「本の川柳」について、舩坂良雄事務局長は「グランプリおよび入選作品を使わせてほしいという申し込みが図書館からある。様々な場所で川柳を使ってもらえばサン・ジョルディの認知度向上にもつながる。川柳を今までと違った形でPRに使えないか。新しい方向性をもつ企画を考えたい」と提案した。
地区イベントについては全国で多彩な催しが行われる。愛知では「サン・ジョルディフェスティバル名古屋2008」が4月19日、20日の両日、名古屋市東区のOASIS21銀河の広場で開催。また、神奈川では県内在住、在園の保育園・幼稚園児を対象に好きな本をテーマに絵を描いて送ってもらう「大好きな本絵画コンテスト」を実施し、入賞者を4月下旬に神奈川新聞紙上で発表する。
また、日書連は地方独自のイベントを盛り上げるため、今年も「サン・ジョルディの日PR企画推進費」を企画提案のあった北海道、青森、秋田、山形、千葉、神奈川、新潟、富山、山口、福岡、熊本の11組合に20万円ずつ、総額220万円拠出する。

春の書店くじ実施要領

▽実施期間平成20年4月20日(日)より30日(水)まで。書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数600万枚。書店には1束(500枚)3750円(税込)で頒布
▽申込方法返信用申込書に必要事項を記入し、束単位で所属都道府県組合宛に申し込む。
▽配布と請求方法くじは取次経由で4月18日前後までに配布。代金は取引取次より請求。
▽当選発表5月23日。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品総額8920万円、9・8本に1本
特等賞=タイ5日間の旅ペアご招待60本
1等賞=図書カード1万円600本
2等賞=図書カード又は図書購入時充当1千円1800本
3等賞=同5百円1万2000本
4等賞=図書購入時に充当百円60万本
ダブルチャンス賞=図書カード1万円100本
▽賞品引換え特等賞は当選券を読者より直接日書連に送付。1、2、3、4等賞は取扱書店で立替え。図書カード不扱い店または品切れの場合は、お買い上げ品代に充当。ダブルチャンス賞は7月5日(当日消印有効)までに読者が直接日書連にハズレ券10枚を送付
▽引換え期間読者は5月23日より6月30日(消印有効)まで。書店で立替えたくじは7月31日までに「引換当選券・清算用紙(発表ポスターと同送)」と一緒に日書連事務局に送付
▽申込み書店特典 組合経由の申込店から抽選で3店3名にタイ5日間の旅無料随行員。
▽無料配布店頭活性化の一環で組合加盟店全店に書店くじ50枚、ポスター1枚を無料配布
▽PR活動「春のくじ」宣伝用ポスター。全国書店新聞に実施要綱を掲載。日書連ホームページで宣伝

春の書店くじ申込みは大至急

4月23日の「世界本の日サン・ジョルディの日」「子ども読書の日」をはさんで4月20日から30日まで実施する「春の書店くじ」の申し込みがお済みでない書店は、大至急、所属都道府県組合までお申し込み下さい。頒価は1束5百枚単位で3750円(税込)。読者謝恩、販売促進にお役立て下さい。

書店リスク回避求める声/出版社有事対応問題を討議/東京組合

東京都書店商業組合(大橋信夫理事長)は3月4日午後2時から書店会館で定例理事会を開催。草思社、エクスメディアなど出版社の倒産が相次いでいることから出版社有事問題を討議。出版社有事に際して書店がリスクを負うことは回避しなければならないとの意見が多く出ていると報告があった。
〔経営・取引委員会〕
草思社、山海堂、エクスメディアに続き、アスコムが2月21日から事業を停止している。最近の相次ぐ出版社倒産で組合員書店は危機感を強めている。出版社有事に際して書店がリスクを負うことは回避すべきとの意見が多くあると報告があった。
〔万引・出店問題委員会〕
最近の出店情報について以下の通り報告があった。ハンズブックス(中央区、15坪、3月1日、日販)、文教堂カレッタ汐留店(港区、140坪、3月10日、トーハン)、ドラマ箱根ヶ崎店(西多摩郡、250坪、3月15日予定、トーハン)、文教堂あきる野とうきゅう店(あきる野市、500坪、3月29日、トーハン)、東急ストア久が原店(大田区、47坪、4月中旬予定、トーハン)。また、外商のみで無店舗の中央区・朝日新聞銀座シティが組合加入の意向を示している。
〔厚生委員会〕
本年も昨年同様、5年および10年永年勤続従業員表彰の表彰状及び記念品は事業主宛に直接送付。組合に代わり事業主が直接表彰する形をとる。20年度の該当者は10年12名、5年6名。
〔流通改善委員会〕
TS流通協同組合の2月期の売上げは947万169円(前年比93・6%)、発注件数は8795件(94・5%)、書店数は76書店(95・0%)と報告があった。
〔その他〕
青少年の健全な育成を図るための図書類の販売等の規制に関する法律案を今通常国会に提出し成立を目指す動きがあるとの情報が報告された。

こんにちは、新しい本。/こどもの読書週間

第50回を迎える「こどもの読書週間」(読書推進運動協議会主催)が4月23日から5月12日まで、「子ども読書の日」から「子どもの日」を中にはさんだ3週間の日程で開催される。
今年の標語は「こんにちは、新しい本。」。読進協は「こどもの読書週間」の開催に当たり、公共図書館、全国小・中・高等学校図書館、書店、関係出版社、報道機関等にポスターや広報文書を配布してPR。読書週間の趣旨を表すマーク(写真)を作成し、期間中やその前後を通じ各社から発行される雑誌・新聞・広告等に使用を呼びかける。
また、全国の読進協、関係各団体の協力を得て、以下の各種行事の実施を推進する。
▽公共図書館、公民館、小・中・高等学校の学校図書館等において「こどもの読書研究会」「こども読書のつどい」「親と子の読書会」「大人によるこどもの本研究会」「こどもの読書相談」「児童図書展示会」「児童文学作家による講演会」「児童図書出版社との懇談会」等の開催。「読書感想文・感想画コンクール」の実施。
▽都道府県の読進協による都道府県単位の「こども読書大会」等の開催。
▽出版社、新聞社、放送局、文化団体等による、被災害地域、児童養護施設、矯正施設等への「図書・雑誌寄贈運動」の実施

いじめ防止の具体策求める/子ども環境協議会で冨永理事長/山口県

山口県書店商業組合の冨永信理事長は、2月17日に山口県庁で開催された「第2回山口県こども環境クリーンアップ推進協議会」に、有識者で組織される協議委員(山口大教授他8名)として参加した。
冨永理事長は、有害図書の区分陳列等の県下一斉調査結果を受け、「違反書店の大半が組合非加盟書店とコンビニであり、県組合加盟書店の皆さんは書店業のみならず、営々と県下各市町村でそれぞれの地域文化向上のため、大いに貢献をしておられる。ゆえに有害図書云々で書店を軽々しく悪者扱いされるのではなく、むしろ青少年健全育成の面でも敬意を表して対応していただきたい。また非加盟店が県組合に加盟しないのはルール、モラルを守れないからという遠因もある」と述べた。
あわせて、協議委員としては「昨年、全国の学生・生徒で、いじめを起因とした自殺者が886名にも及ぶという県警発表があった。1名たりともそのような悲しい事例が起きないよう、県を挙げて具体的防止策を具現すべきだ」と力説。冨永理事長の発言はテレビ放映され、反響を呼んだ。
(山本信一広報委員)

生活実用書/注目的新刊

武術家、甲野善紀氏の講演を聞く機会があった。古武術を基本にしたいわば身体技法の実践である。たとえば、横たわった人間の背に手を差し入れて起こす時、普通手の平を上に向けて腕を入れてしまうが、これではとても起こすことができない。それが、手の甲を上向きに入れて起こしてやると、不思議なことにいともたやすく起こせるのだ。目の前で非力なおばあちゃんが甲野氏の指導で実践したのを見たのだから間違いない。武術といえばまず戦うことと思っていたが、どうもそんな単純なことではないらしい。
多田容子著『自分を生かす古武術の心得』(集英社新書0429H700円)は時代小説作家であり、居合道、柳生新陰流をもものする女性が捉えた古武術概論、及び実践のための案内である。著者が師と仰ぐ体術研究家の辻本光男氏と出会ったのは、甲野善紀氏の稽古会の折だった。
手裏剣を打つことから始まるのだが、古武術の世界では「小よく大を制す」ことを知る。小柄な著者は、体の大小による有利不利ということが固定観念でしかないのに気づく。筋肉も体を動かすためのものと思いがちだが、アクセルを踏む努力よりも、力まず不要なブレーキを解除することの方が重要であるという。
体内の重力の流れを中心軸に持っていくと、両足にスムーズに通る。そうやって体の動きを見直すと、まるで健康法のように体は喜ぶのである。肩こり、腰痛から外反母趾の思い違いに至るまで、人体の未知のメカニズムを知ることになる。自分の体になお眠る潜在能力を引き出せそうに思わせてくれる本である。
保江邦夫著『武道vs.物理学』(講談社+α新書378―1C800円)は一方、武道や格闘技に興味を持ってきたという物理学教授が格闘技を力学として分析する。癌にかかって余生をあきらめたと著者は言うが、不思議な出会いがあって、新しい実践研究が始まる。究極奥義を筋電図と脳波で解析するのだが、これがまた不思議で面白い。
科学的研究をはさんで武術家とぶつかりそうだが、人間の素晴らしさを伝える点では間違いなく一致する。
甲野善紀・田中聡著『身体から革命を起こす』(新潮文庫こ43―1476円)も合わせて紹介しておきたい。
(遊友出版・斎藤一郎)

日書連のうごき

2月4日埼玉県組合研修会に井門副会長が講師として出席。
2月6日雑誌発売日本部・実行合同委員会新潟地区委員会に西村理事が出席。
2月7日平成19年度全国団体事務局代表者会議に大川専務理事が出席。
2月8日第53回「青少年読書感想文全国コンクール」表彰式と全国万引犯罪防止機構役員新年顔合わせ会に大橋会長が出席。平成19年度組合決算実務講習会に石井総務部長が出席。
2月12日「NPO本はよかバイ」設立式典に谷口副会長が出席。全国団体月例交流会に石井総務部長が出席。文化産業信用組合特別委員会に大橋会長が出席。
2月13日第9回JPO運営委員会に柴﨑副会長が出席。
2月14日読進協事業委員会に石井総務部長が出席。
2月15日「組合活性化資金」審査会。図書館サポート委員会。
2月19日公取協2月度月例懇談会に柴﨑副会長ほか役員が出席。第12回全国中小小売商サミットに井門副会長ほか役員が出席。
2月20日長野組合創立百周年記念式典に大橋会長ほか役員が出席。青森・秋田共催図書装備研修会に長尾委員が講師として出席。全国中小業者団体連絡会に石井総務部長が出席。
2月21日ICタグ研究委員会書店部会に井門副会長が出席。ブックスタートとの意見交換会。「心にのこるこどもの本」三者会談。各種委員会(増売、読書推進、書店経営健全化、指導教育、定款変更検討特別、取引改善、流通改善、広報、消費税問題特別、再販研究、情報化推進、書店業界環境改善政策)、日書連共済会運営委員会。出版物小売業専門委員会。日書連共済会監査会。
2月22日日書連2月定例理事会。日書連共済会理事会。出版物小売公取協理事会。ISBN第1回マネジメント委員会に柴﨑副会長が出席。芥川賞・直木賞表彰式に大橋会長が出席。
2月27日読進協全体事業委員会に大川専務理事が出席。「本の学校」東京運営委員会に石井総務部長が出席。日本出版クラブ運営委員会に大橋会長が出席。
2月28日SJの日キャンペーン「本のある風景」審査会。サン・ジョルディの日実行委員会。

大賞に小学5年生の三船君/小学館主催「12歳の文学賞」

小学館の学年別学習雑誌『小学3年生』『小学4年生』『小学5年生』『小6』が主催する小学生限定の新人文学賞「第2回12歳の文学賞」大賞に岩手県の小学5年生、三船恭太郎君の『ヘチマと僕と、そしてハヤ』が選ばれ、3月4日、一ツ橋の如水会館で贈賞式が行われた。
贈賞式で小学館児童・学習編集局黒川和彦執行役員は「12歳以下にしか書けない小説がある。企画を通して読書への親近感が深まればと思う。今回も2000通を超える応募があった」と報告。審査員の作家・あさのあつこ氏は「こどもたちの物語をつむぐ力に驚いた。大人にはできない。大賞は文句なし」と選評。特別審査員のタレント・掘北真希さんも「高い完成度の中に小学生らしさを感じました」と語った。
図書カード10万円分と旅行券20万円の賞品を手にした三船君は「初めて書いた小説がたくさんの人に読まれてうれしいです」と感想を述べた。
上位受賞9作品を収録した『12歳の文学第2集』は3月5日発売。定価本体千円。

メディアワークスとアスキー/4月1日合併して新会社に

㈱メディアワークス(久木敏行代表取締役社長、資本金4億9300万円)と㈱アスキー(高野潔代表取締役、資本金3億3300万円)は2月25日開催の両社取締役会で今年4月1日をもって合併することを決議し、同日、合併契約を締結した。
合併後はメディアワークスを存続会社とし、アスキーを消滅会社とする吸収合併方式で、アスキーは解散する。新しい会社は㈱アスキー・メディアワークスに変更し、高野潔氏が代表取締役社長に就任する予定。
両社はともに角川ホールディングス傘下の角川グループにあり、事業内容に競合がなく、相互補完できる関係にあることから、昨年9月以降、合併に向けて協議を進めていた。メディアワークスのエンターテイメント領域のノウハウとアスキーの培ってきたIT/PC領域のノウハウを融合することで、より強力な事業領域を創造するとともに、経営の合理化・効率化で収益基盤の強化を図る狙い。
新会社の資本金は4億9300万円、会社はメディアワークスの所在地となる。取締役は以下の各氏を予定している。
取締役会長佐藤辰男
代表取締役社長高野潔
専務取締役塚田正晃
取締役久木敏行
同山口貴
同後藤靖彦
同渡部正人
同鈴木則道
同有吉宏之
同(新任)阿久津正治
同(新任) 貴志学
監査役小林富夫

催し

◆NHK春のテキスト祭り
NHK出版は3月20日から25日まで渋谷・東急本店7階特設会場で「NHK春のテキスト祭り」を開催する。
4月からスタートするNHKの新番組をPRするためフレッシャーズを対象にしたイベント。語学、趣味など出版ジャンルごとの展示に加えて、ステージでは連日、趣味の園芸、趣味悠々、今日の料理ビギナーズなどの多彩な出演者が登場してトークや実演を行う。着席希望者には当日会場入口で整理券を配布。各日とも開場11時~19時。最終日は17時まで。
◆横山大観と再興院展の仲間たち
改修工事のため休館していた講談社野間記念館が3月15日から5月18日まで「横山大観と再興院展の仲間たち」でリニューアルオープンする。
大観の大正期の作品を中心に、大観と同時代に活躍した院展画家たちの佳作を紹介する。主な展示は横山大観「月明」、小林古径「売茶翁」、前田青邨「鞍作」、川端龍子「早春雉子」など。
入場料は一般5百円、学生3百円、小学生以下無料。開館時間は午前10時から午後5時。休館日は月・火曜日。祝休日の場合はその翌日。
次回の企画展は5月24日から7月21日まで「竹内栖鳳と京都画壇」のコレクションを展示。

参考図書

◆『マガジンハウスを創った男岩堀喜之助』
平凡出版の創業者、岩掘喜之助の生涯を長女の新井恵美子氏が綴った『マガジンハウスを創った男岩堀喜之助』が出版ニュース社から出版された。四六判224頁、定価本体1500円。
明治43年、小田原で生まれた岩掘は中学卒業後、郷里を出奔して働きながら大学を卒業。新聞記者、北支派遣軍宣撫班、大政翼賛会文化部宣伝班、出征を経て、終戦後3カ月足らずの昭和20年11月に清水達夫ら同人5人で『平凡』を創刊する。創刊号は48頁、定価1円、発行部数3万部だった。その後、歌と映画の娯楽雑誌『平凡』を百万部雑誌に育てあげた岩掘の人となりを、あますところなく伝える。
◆『石塚さん、書店営業にきました。』
03年から07年に配信されたメールマガジン「ちょっくら書店営業」を再構成した『石塚さん、書店営業にきました。』がポット出版から刊行された。石塚昭生著、四六判240頁、定価本体2千円。
元書店員の立場から出版社営業マンにアポの取り方、セールストーク、平台の考え方、読まれるFAXといった問題解決のヒントを伝授。店の特性を見るにはどこを見るか、書店員はFAXを受け取ってどう行動するかなど、提案は具体的かつ実践的。
「個性的な営業マンより仕入の立場に立った誠実な提案を」「他社の人気本によりかからない」「大書店の資料で営業しない」など、書店の視線から出版社の営業を見直す手法は、反面、書店にとっては出版社への接し方と読者サービスを見直すことにつながる。
◆『フレーベル館100年史』
知育用具、絵本、保育関連用品を発売するフレーベル館の社史『フレーベル館100年史』が上梓された(B5判840頁上製箱入り、非売品)。
同社は愛媛県の小学校校長職を辞して上京した高市次郎が明治40年、東京・飯田町に興した白丸屋が前身。翌年、九段に移転して店名をフレーベル館に改めると、保育用品、遊具、玩具から出版に手を広げた。昭和2年には幼児教育絵本『キンダーブック』を創刊。戦後の経営危機を凸版印刷の援助で乗り切り、保育絵本から市販部門に乗り出すと『ウォーリーをさがせ』シリーズのヒット、アンパンマンシリーズの成功で社業を拡大した。社名はドイツ幼児教育の父、フリードリヒ・フレーベルの名前を冠したもの。創刊から平成19年までの「キンダーブック」全出版目録、主要保育図書、主要市販図書一覧を付す。

第53回小学館漫画賞

毎年最も優れた作品を発表した漫画作家に贈呈する第53回小学館漫画賞が決まり、3月3日、帝国ホテルで贈呈式と祝賀パーティーが行われた。
▽児童向け部門=村瀬海範行『ケシカスくん』
▽少年向け部門=寺嶋裕二『ダイヤのA』
▽少女向け部門=青木琴美『僕の初恋をキミに捧ぐ』
▽一般向け部門=黒丸/夏原武『クロサギ』、せきやてつじ『バンビ~ノ!』

人事

◇主婦と生活社(3月21日付)
2月22日開催の取締役会で柏原達也管理本部長兼経理部長(役員待遇)の取締役新任を内定した。3月21日開催の定時株主総会で正式決定する。

台北国際図書展に日本から19ブース58社出展

第16回台北国際図書展示会が2月13日から18日まで6日間、台北市の台北世界貿易センターで開催された。参加国・地域数は38の国と地域、台湾327社・海外360社の計687社が1838のブースを出展した。入場者数は昨年を1万人上回る41万人。
トーハンが主宰する日本事務局経由で18ブース、57社、独自に1ブース・1社が出展、合計19ブース、58社は海外出展としては最大規模。日本ブースでは、著作権取引の商談が活発に行なわれた。著作権取引エージェント業務を行ったトーハン海外事業開発グループは、「台湾出版業界は依然不況下にあるが、会期中の商談は昨年より増えた。手堅い販売が見込める翻訳出版のニーズが高まる反面、特定タイトルへの問合せが集中する傾向がある」としている。また、和書販売コーナーは連日大勢の購入客で賑わいを見せた。

平台銘柄の実用書送品/オートマセール新スキーム

季節に応じて実用書セットを自動送本する第43回日販オートマチックセール記念研修会が3月6日、7日の両日、福島県母畑温泉・八幡屋で開かれ、全国からの参加書店、協賛出版社28社と日販役員合わせて220名が出席した。
同セールは昭和39年スタートという長い歴史を持ち、現在232店が参加しているが、今年度の実施にあたっては発足当初のスキームを見直し、新しい送品体制をスタートさせた。変更点は①毎月セット送品していた棚セットを縮小、年6回とし、セット規模も8割程度とした、②平台展開銘柄の送品をスタート。毎月12~14点を2回に分けて送品、③平台送品に合わせてオリジナルPOP入り拡材パックを送るなど。
6日午後6時から行われた懇親会であいさつした日販古屋社長は、「昨年の出版界の売上げは前年比96%で、実用書も93・8%と低かった。しかし、ゲーム攻略本の2ケタ落ちを引くとパラレル。売上げシェアは9・3%だが、150坪以上では10・3%。売上げ規模に従って増えている。特に婦人実用書は前年より153点増え、好調だ。HonyaClubの会員クラスターでも30代、40代女性が一番多い。従来とれなかったデータを活用して実用書販売に生かしていきたい。オートマは特定ジャンルの出版社と書店が会うユニークな会として今後も続けていく。送品については皆さんの声を聞いてレベルアップを図る」と述べた。
出席書店を代表して紀伊國屋書店松原治会長兼CEOは「出版界はこの12年間で売上げが20%縮んだが、実用書は不況に対する抵抗力が強い。読んで楽しく、役に立ち読者が求める商品だ。努力のしがいもある。今後も参加版元の英知を結集した商品を。われわれも販売に努力する」とあいさつ。版元を代表して主婦の友社神田高志社長が「平積み商品を積極的に取上げるということで、出版社も売れる強い企画を出していく」と述べ、乾杯した。
翌7日は衆議院議員小池百合子氏の記念講演会が行われた。

書店営業の基本セミナーを追加開催

トーハン・コンサルティングは「書店営業の基本セミナー」を4月17日、トーハン本社で追加開催する。
出版社の書店営業担当者が書店スタッフに、短時間で効果的に自社商品をアピールし、受注につなげるかを具体的に学ぶ。自社商品を用いての営業トークや提案など実習を重点的に行う。書店営業担当1年未満の経験の浅い営業担当者対象。
▽日時=4月17日(木)午後1時~5時
▽プログラム
①書店と力を合わせて読者にアピール、②書店営業担当者の役割、③営業担当者に求められる能力、④営業のステップ営業に出る前に/訪店時/訪店後、⑤参加者交流タイム、⑥実習
(短く効果的な営業トーク、提案、チーム営業)、⑦補足と質疑応答
▽講師=出版コンサルタント・石塚昭生氏
▽受講料=8千円
▽問合せ、申込先=トーハン・コンサルティング教育事業部、℡03・3267・8686

SCM1800店目指す/日販WWWカンファレンス

日販は2月29日午後4時から東京・グランドプリンスホテル赤坂でトリプルウイン・カンファレンス2008を開催。出版社、アワード表彰店、日販関係者など319名が出席した。今回は、WWWプロジェクトを支えるオープンネットワークWIN、王子NEXTの報告に加え、CRMプログラム「HONYACLUB」の現状について理解を求め、アワード表彰式を行った。
冒頭のあいさつで日販古屋社長は「WWWプロジェクトは欲しい本を、欲しい時に、欲しいだけ届ける仕組み。このバックヤードとして王子があり、SCM銘柄、注文品の処理が早くなった。版元への直受注もオールデータ化で追跡可能になった。HONYACLUBの購買履歴データの活用で客層に合った販売促進ができる。低迷している出版業界で無駄を排除し、責任販売制につなげていきたい」と述べた。
続いて鈴木敏夫WWW推進部長が「WWWプロジェクトの現状と今後」を発表。鈴木部長は「流通各段階で責任を明確にしながら業界三者の利益を創出し続けることがプロジェクトの目的」とし、「SCM実施店は一般店を上回る実績を示している。開示店は1701店で、日販の売上げの50%、約2400店のPOS店の78%にあたる。今後開示店はPOS店全店、SCM店は1800店を2年以内に達成したい。参加出版社は240社。今日のキーワードはプログレス&ニュータッチ。オープンネットワークWINをバージョンアップさせ、購買履歴データ等の活用を進め、新たなステージを築いてゆく。責任販売は悲願であり、これまでの実績や反省を踏まえ契約関係も進化させたい」とした。
安西浩和王子流通センター所長からは「王子NEXTの進捗について」報告があり、スピードと品質、在庫強化、店頭発注支援の3つのコンセプトを紹介した上で、各施策の稼働状況について報告した。スピードと品質に関しては、本年2月全面稼動したBCS(ブックス)により注文品の12時間以内出荷と百万分の1冊品質の体制が整ったことを報告。また在庫強化施策のひとつ、新刊センターの機能・役割を説明したうえで、書店での実売や返品率削減につながった実例を紹介した。書店には、日販への注文の一元化をお願いし、出版社には直受注データの提供と新刊センターへの商品供給を求めた。
続いて富樫建WWW推進部係長がHONYACLUBについて報告。「実施店は3月で79法人240店舗、会員数140万人、購買履歴データは1年前の5百万件から2千万件に増えた。加盟店はレジ客数で1・8ポイント、売上げで4ポイント、非加盟店を上回り、CRMの有効性が証明された。蓄積された購買履歴データを活用して配本施策にも役立てる。今後モバイル環境に対応すると同時に、出版社はHONYACLUBを使った拡販企画、購買履歴データ活用に協力いただきたい」と呼びかけた。
その後、小学館マーケティング局田中雅広副課長より、映画『ドラえもんのび太と緑の巨人伝』とHONYACLUBのコラボ企画について報告があったあと、WWWプロジェクトで優秀な実績をあげた書店11店(別掲)に対して『WWWアワード』の表彰を行った。
【WWWアワード表彰店】
〔メニュー徹底部門〕
出水市・ブックセンターリリーズ、鎌ヶ谷市・すばる書店、川崎市・住吉書房、豊橋市・精文館書店、潟上市・高桑書店、郡山市・みどり書房、加西市・西村書店、さくら市・ビッグワン、水戸市・ブックエース
〔SCM貢献部門〕
松山市・明屋書店
〔HonyaClub会員獲得部門〕
尾道市・啓文社

本屋のうちそと

最初は亡くなったレジ猫のキャットフード(通称カリカリ)を店先に飛来するスズメにでもと思ったのが発端である。一握り分を小さな花壇の脇に置いたところ、飛んできたのがカラスだった。以前から買い物や立ち読みに入店しているお客さんの自転車のかごに入ったパンやお菓子、弁当などの窃盗事件が発生していた。かごを目ざしてつんつんとスズメ歩きで近寄り、次によっちよっちと鳩歩き(両方できるのはカラスだけという話である)阻止する人影が見当たらないと一気に自転車に飛び乗りスーパーの袋やパンの袋をくわえて飛んでいく。
ひどいときには隣家ガレージに運び込まれたばかりの生協共同購入の卵を1個ずつくわえて店の花壇まで往復して運んでいたくらいである。ランチの冷えて残ったフライドポテトをヒョイと置く。彼らは単に視力だけではなく袋で識別しているのは間違いない。マックと弁当屋の袋には反応が早い。本屋の袋など見向きもしない。
若き一羽はその場でポテトを1本呑み込むが、年長の1羽は次から次へと都合5本咥えて飛び去り別の場所に保管し再度取りにくる。雪が積もった日など、隣家の庭先にくちばしで穴を掘り獲物を入れ、その上に回りの雪をかけて冷凍保存。さすがやるね。雪の上に残った足跡があまりにも寒そうだったという理由から餌付けを試みている奥さんが表に出ると必ず店の看板の上に2羽とまっている。近所で評判になるからやめろというのに、困ったものだ。
こうなったらレジ猫の跡を継いでレジガラスとして活躍させるか。それともいっそライバル店(当店以外全部)を襲わせるか…書店に次から次へとカラスが飛来、電線や建物に止る、不気味。ヒチコックの「鳥」かい!しかし、あの店は閑古鳥だけじゃなくカラスまで鳴くようになったと言われそう。(理)