全国書店新聞
             

平成14年5月10日号(後)

日書連第14回通常総会議案

[第1号議案平成13年度事業報告]一.組織強化対策(組織強化委員会)平成12年度まで同委員会は、組織強化・指導教育から出版販売倫理、書店活性化推進の諸問題と守備範囲の広いエリアであった。
平成13年度の事業活動にあたっては、これを分離して単独の常設委員会として活動することにした。
同委員会は、組合員の加入促進、組合加入によるメリットの追求、アウトサイダーとの差別化、各組合の実態調査等を当面の課題として取組むことを決めた。
1加入促進と組合員数の動向組合員数の動向は昭和61年をピークに減少をたどり、平成13年は8、853名で組合員が増加した組合は皆無であった。
平成13年度の取り組みとしては、「アルメディア」刊行の「ブックストア全ガイド」には、21、066店の書店が収録されており、これを活用して各都道府県組合及び各支部でアウトサイダーへの働きかけ、加入促進の呼びかけの要請を行うことにした。
また、組合加入メリットの事例として、岡山県組合では、組合加盟店に「本との出会い、豊かな人生/岡山県書店商業組合加盟店」と印字したプレートを配布したこと、取次発行の情報誌を11、000部購入して賦課金に応じて按分配布し、読者に紹介したことなどの報告があった。
更に、加入促進にあたっては、取次への協力要請も行っていくとした。
尚、平成14年4月1日現在で調査した傘下組合員数の動向は別掲の通りである。
調査の結果、前年より565店の減少で、対前年比6・4%のマイナスとなった。
前年に比べて組合員が増加した組合は、山口県のみが二店の増加、福井、鳥取、沖縄の3県が前年同数の組合員数となったが、その他43都道府県組合は減少した。
減少数が2桁台になった組合は、北海道、岩手、宮城、栃木、埼玉、千葉、神奈川、東京、静岡、愛知、三重、新潟、富山、石川、長野、大阪、京都、和歌山、兵庫、広島、福岡、宮崎の22組合に及んでいる。
2組織問題についての実態調査同委員会は、9月に47都道府県組合を対象に「組織問題実態調査」を実施することを決めた。
調査項目としては、過去1年間に脱退した会員の脱退した数及びその理由、可能性のあるアウトサイダー書店の加入促進、加入促進のための具体策、今後の対応等についてアンケートを行った。
その集計結果は、平成13年12月の理事会で報告された。
具体的には別掲の通りであるが、脱退した組合員で書店経営を継続している店は全国で112店、廃業による脱退店が498店と報告した。
また、書店経営継続店で脱退した理由の第1位は「経費の削減」で46店、「組合加入のメリットがない」44店、「賦課金が高い」12店の順であった。
「廃業」による脱退の理由では「売上減少・経営不振」が220店、続いて「老齢・後継者なし」112店、「競争店の出店」38店の順であった。
組合加入促進のための特別な方策については、職員互助会発行の図書券引換事業を組合員のみの取扱い、返品運賃の格差、取次支店との連携による加入促進などが主な方策として実施され成果をあげている。
「具体的な方策なし」との回答が15組合から出されている。
今後の対応については、各組合から貴重な意見も出されており、この結果を更に分析し、今後の活動に役立てていくことを確認、更には組合加入のメリットとは何か、テーマを絞ったアンケートを実施することを決めた。
3加入促進用のパンフ作成先の調査の中で各組合から組合の活動や組合加入のメリットの具体例等をあげた加入促進用のパンフを作成してほしいとの声があり、現在そのための資料をまとめており、作製にとりかかることにした。
現在では加入促進のパンフレットの「ある」組合が7組合、「作成中」が2組合との結果報告があった。
二.指導教育1青少年健全育成条例の強化改訂東京都は、「青少年の健全な育成に関する条例」の改訂を平成13年3月都議会で可決、4月公布、7月施行、10月1日から、図書類の区分陳列は5つの方法――間仕切り、ついたて等で陳列場所を隔離し、入口に青少年制限の表示をする、陳列棚を60センチ以上に離し、見やすい箇所に青少年制限の表示をする、陳列棚の左右に、20センチ以上はりだす仕切り板をつけ、その表面に青少年制限の掲示をする、150センチ以上の高さにまとめて背立てで配架し、見やすい箇所に青少年制限の掲示をする、からができないときは、ビニール包装、ひも掛け等をする―があるが、書店現場サイドからすると、現実的な選択肢としては、のビニール包装かひも掛けに限定されてしまうことが判明した。
東京組合では、条例改訂に伴う書店負担増のこの問題を取り上げ、当該主要出版社約20社に配慮を求める行動をおこした。
日書連としては、東京都が青少年条例で区分陳列を義務化したことにより、全国的に広がる可能性が強いとの判断から、都が製作した「区分陳列・販売マニュアル」と題するビデオをダビングし、各県組合に配布した。
その後、石川県青少年健全育成条例が改訂され(平成13年7月1日施行)、また、鳥取県も青少年条例を改訂(平成14年4月1日施行)、東京都同様、区分陳列を義務化した。
こうした動きに対し、石川組合は独自に「成人向けコーナー/このコーナーに陳列されている(図書・ビデオテープ・CD-ROM)等は、石川県青少年健全育成条例に基づき、18歳未満の方は、購入・閲覧することは出来ません。
/石川県書店商業組合」と明記した掲示POPを作成し、全組合員に配布、趣旨の徹底を図った。
2出版倫理協議会の対応日書連は、出版業界の自主規制機関である出版倫理協議会に参加し、小売書店の意見が反映されるよう努力している。
とりわけ平成13年度における出倫協は、都条例の改訂に伴う区分陳列対応の問題や、自主規制の新しい手法として採用した出版ゾーニング委員会の設置など際立った動きを見せた。
こうした動きの原点には、「青少年社会環境対策基本法案」、「個人情報保護基本法案」、「人権擁護法案」、「条例の強化改訂」といった一連の規制強化は、メディア規制につながる危険が指摘されている。
区分陳列対応としては、「青少年向け雑誌」マークに替わるものとして、「18才未満禁止」のロゴマークを決定した。
出版ゾーニング委員会は、出版の自由を守り、青少年の健全な育成を図るため、出版物の区分陳列による販売を一層促進することを目的に設置したもので、出倫協構成団体各1名、出版倫理懇話会1名、学識経験者3名、出倫協議長などで構成している。
今までの「成年向け雑誌」マークは、完全に出版社の自主判断だけに任されていたが、これを一歩すすめて、青少年には不適当と思われる雑誌類に対し委員会が表示要請できるようにした。
早速11月26日の出版ゾ-ニング委員会の第1回判定委員会で3社3誌、1月28日の第2回判定委員会で2社2誌に対しマーク表示を要請した。
一方、従来の「成人向け雑誌」マークの表示状況は、本年3月号が114誌、4月号が106誌であった。
出倫協は、識別マークの表示促進の一環として、3月22日に日本フランチャイズチェーン協会と懇談をもった。
これは、区分陳列の目安となる識別マークを付けるとCVSで取り扱ってもらえないという懸念から、出版社が躊躇している現実がある。
CVSにおける区分陳列の徹底が成されれば、「成年向け雑誌」「18才未満禁止」の表示誌数が増え、出版業界の自主規制が促進されることになる。
同協会と出版業界とでは、若干見解の相違が見られたが、今後とも相互理解を深めるため継続的に懇談を持つことを確認した。
3青少年と社会環境に関する中央大会への参加毎年恒例となっている青少年育成国民会議主催による「青少年と社会環境に関する中央大会」は、青少年育成関係者とマスコミ関係業界の関係者が一堂に会し社会環境改善に向けて意見交換をしているが、今回は平成14年1月30日に開催した。
日書連は出倫協メンバーとともに第2分科会の「青少年と出版物」に参加し、「区分陳列の励行」「定期改正の徹底」「対面販売」等々を通して青少年に対しての販売上の配慮を呼びかけていると報告した。
また、青少年の健全育成という観点からは、様々な角度から読書推進を実施していること、一方、増加している万引問題に苦慮していることなど、理解と協力を求めた。
4「日書連加盟店―新刊本扱い店」プレートの検討平成13年3月に「出版物再販制度」が存置されたことを受け、再販定価販売店(新刊書店)と新古書店との区別をしないと読者を混乱させるのではないかという考えから、「日書連加盟店―新刊本扱い店」並びに「出版物公取協加盟店」のプレートを作る方向で検討を加えた。
しかし、費用対効果の問題、弾力運用実施店の問題など問題点が多く、委員会にて再検討することになった。
三.広報活動1広報委員長に今西英雄氏平成12年9月に前委員長の岩本収氏が任期半ばで退任して以来、広報委員会は辰巳寿一副委員長が委員長代行をつとめてきたが、日書連は平成13年6月理事会で各種委員会の再編成を行い、不在だった広報委員長に今西英雄副会長(大阪組合)を選出した。
2全国書店新聞の旬刊化全国書店新聞は昭和60年(1985年)以来、週刊発行を続けてきたが、日書連全体の経費削減の一環として平成14年4月から月3回発行の旬刊とする方針を9月理事会で承認した。
印刷費・発送費・郵便代などで約900万円の経費削減が図られる。
また、全国広報委員会の隔年開催、原稿料削減なども検討した。
萬田会長は「旬刊発行で速報性は落ちるが、ホームページなど他のメディアを活用して補っていきたい」と9月理事会で説明した。
3全国広報委員会議10月3日、書店会館で34都道府県組合の広報委員と日書連本部合わせて44名が出席して行われた。
今回は日書連の経費削減策として全国書店新聞の旬刊発行、全国広報委員会議の隔年開催、原稿料見直しなどが提案され、これについて議論。
今西委員長が「リストラは活性化への一歩。
広報委員会議の議論を反映する形で21世紀型の広報活動を行っていく」とまとめた。
4全国書店名簿の発行2001年版「全国書店名簿」を10月に発行した。
ブロック版名簿は北海道、関東、東京、東海、近畿、四国の6ブロック版を製作して各組合に実費で頒布した。
5日書連ホームページの運営日書連ホームページは平成13年4月と14年1月に内容、レイアウト面の大幅なリニューアルを行った。
広報委員会は「全国書店新聞」の記事、コラムなどのコンテンツを配信するとともに、情報化推進委員会とともに「掲示板」への書き込みを管理している。
読書週間書店くじの当選番号をホームページに発表したところ、引換期限が過ぎた1月にも読者から多数の番号問い合わせがあった。
番号問い合わせを除くと、「掲示板」への書店の書き込みは月間20回以下で、書店への告知と活用をさらに働きかけていく必要がある。
四.出版物再販問題日書連は、平成13年度も出版業界4団体で構成する出版再販研究委員会の協議事項に沿って、法定再販制度の擁護の立場から、その運用、調査研究、広報等々に取組むことによって、正しい理解を深めるための努力を行ってきた。
1著作物再販制度の見直し問題平成3年7月、公取委の規制研(鶴田研究会)は、「独禁法適用除外制度の見直し」を公表、平成7年7月には、「再販適用除外が認められている著作物の取扱いについて」を公表した。
平成10年1月、同年3月と2回にわたって「著作物再販制度の取扱いについて」と題し、6項目にわたる改善のための問題点の指摘があった。
平成10年12月には、「著作物再販制度下における関係業界の流通・取引慣行改善等の取組状況等について」を公表、その中で公取委は初めて制度の存廃について、平成13年春を目途に結論を得るとした。
平成11年12月には、公取委は上記と同様の標題で再度公表文を発表。
関係業界での取組みの評価と課題について、出版業界はインターネット等を利用した新しい販売形態の拡大、発行者等の価格設定の多様化を通じ、一般消費者に還元されていくことは望ましいと評価した。
課題としては注文品への取組み、非再販品の流通、書店のポイントカード利用を阻害するようなことは問題との指摘があった。
その後、日書連としての運動は、公取委との「再販対話」への積極参加、再販本部委員会の名称変更、同委員会の目的から「再販契約の違反に対する措置」の規定を削除するなどの対応を行った。
また、「出版物の価格表示に関する自主基準」等の見直し、東京都書店商業組合・同青年部共催による「出版再販を守る集い」の開催、再販維持に理解と協力を求める「読者の皆さんへ」パンフの作成、組合書店で配布した。
平成13年春の結論を出される直前の2月には第一議員会館で「出版物再販制度の存続を求める全国代表者集会」の開催、活字文化議員懇談会の「著作物の再販制度維持を求める3・21緊急集会」への参加、声明の発表を行った。
この間、公取委は、「書籍・雑誌再販の販売状況」アンケート調査の実施、「著作物再販制度の見直しに関する検討状況及び意見照会について」を公表し、関係事業者、国民各層の意見を募ることとなった。
その結果は、制度維持の意見が98・9%(28、048件)、廃止の意見1・2%(338件)であった。
2再販制度「存置」の結論平成13年3月23日、公取委は「著作物再販制度の取扱いについて」と題し、公表文を発表、その中で「現段階において独禁法の改正に向けた措置を講じて著作物再販制度の廃止は行わず、当面同制度を存置することが相当」との結論を示した。
今後については、再販制度下においても消費者利益が図られるよう関係業界に方策の提案、実施を要請、その実効の検証のため公取委、関係事業者、消費者、学識経験者等で協議会を設置すること。
今後も廃止について国民的合意を得られるよう努力する。
著作物の範囲については、6品目(書籍、雑誌、新聞、レコード、音楽用テープ、音楽用CD)に限定運用することになった。
これを受けて、出版業界4団体は、同日付で「著作物再販制度の維持は国民的合意」とする共同談話を発表。
萬田会長は、4月5日付の全国書店新聞に会長談話を発表、10年の長きにわたって日書連の運動を支えられ、国会陳情、地元活動等に奔走された組合役員をはじめ組合員各位に対し感謝の意を表した。
3「再販契約書」の改訂と「弾力運用の手引」の作成再販制度の「存置」決定後、直ちに出版再販研究委員会小委員会を中心に「出版物の価格表示に関する自主基準」及び「同実施要領」の見直し、平行した形で再販売価格維持契約書のヒナ型(出版―取次間)の改訂作業に着手した。
小委員会は、公取委の指導を受けながら契約書等をまとめ、3月29日の同委員会で承認を得て4月1日から実施された。
この間には、書協・雑協合同による「再販制度―弾力運用の手引―」を作成し、出版社に配布された。
その後、業界4団体構成による出版再販特別委員会(委員長渡邊隆男)は解散することとなった。
4日書連としての対応日書連4月理事会では、会長より「3月23日の公取委の公表文を読んでみると疑問点がある」としながらも、「国会議員への働きかけ、署名活動、読者へのチラシ配布、自治体での意見書採択など、10年にわたる運動の成果が再販存置の結論を導いたと自負している」と総括し、パブリックコメントでも圧倒的多数が再販維持の意見であった点を評価するとともに、関係各位の努力に感謝の意を表明した。
今後は、再販運用の問題、公取協の公正競争規約の改正問題、民事救済制度の施行など専門的見解などが求められることから、伊従寛弁護士を日書連の顧問弁護士にお願いしたいとの提案があり、これを承認した。
5月理事会では、出版社―取次間の新再販契約書が実施されることから、取次―小売間の契約書の詰めに入ることを確認した。
また、再販問題はこの時点で一段落したことから日書連再販擁護特別委員会を発展的に解消することを決めた。
5再販契約書(取次―小売)の見直し問題改訂再販契約書(取次―小売)は、5月28日取次協会から提示された。
問題となった点は、第6条この契約の規定は、次に掲げる場合は適用しない―として(3)甲が自ら再販契約維持出版物に付されている「定価」の表示の変更措置をした場合、(4)甲が認めた場合における定期刊行物・継続出版物等の長期購読前払い及び大量一括購入、その他謝恩価格本等の割引。
―の2項にしぼられた。
7月には、取協との二者会談を開き、意見交換を行ったが、日書連は同2項目の削除を求め合意にいたらなかった。
契約書(4)の「その他の謝恩価格本等の割引」の「等」が拡大解釈され、割引に類する行為につながることが危惧されたからである。
こうした状況の中で、角川書店は、紀伊国屋書店で「お客様感謝市」を催し、書店で販売中の新刊本の割引を行っているとの指摘があり問題化した。
こうした経緯から、日書連はあいまいな文言のある条文の削除を求めていたが、取協は出版社とのヒナ型をタテに譲らなかった。
10月に入り、日書連は公取委を訪問、その対応について相談の結果、契約履行上の疑義を解消し、再販制度の本旨に沿った運用が行われるための「覚書」を作成することの示唆があった。
11月理事会には、取次―小売間の再販契約書のヒナ型と、覚書が提示され、今後の謝恩価格本等の開催にあたっては、広報活動の義務化、該当商品の返品の容認、参加希望店の機会公平性の確保の3点を確認したと報告。
理事会はこれを承認した。
平成14年1月30日に開かれた出版物再販研究委員会は契約書ヒナ型及び覚書を満場一致で承認。
昨年3月23日の再販存置の結論以降10ヶ月目で全面解決にいたった。
6ポイントカード問題公正取引委員会は、平成13年3月23日に「著作物再販制度の取扱いについて」の公表文で、ポイントカードについては、公表された「資料2」関係業界における取組状況の中の「サービス券の提供等消費者に対する販売促進手段の確保」で、書店が懸賞によらないで提供することができる景品類の最高額が取引価格の3%から5%に引き上げられたほか、書店においてポイントカード制を実施する動きがみられるとの報告にとどまった。
同年3月26日公正取引協会主催の講演会で公取委の糸田委員の講演があり、講演会後の質問でポイントカードの解釈については、「値引き行為」と解釈され、再販契約上は違反になるとの発言があった。
7月には公取委の大幅な人事異動等があり、この問題への対応がひととき中断となっていた。
日書連は、この問題を現状のまま放置することは業界に混乱を招きかねないとし、7月16日に萬田会長ほかで、講談社、小学館、日販を訪問し、この問題に対する日書連の考え方を伝えた。
7月理事会は、書協、雑協の役員を中心に訪問する、訪問は副会長を中心に編成する、ポイントカード実施店の状況調査を各組合毎に実施し、実態を把握したいとの提案を承認した。
出版社訪問は、7月16日から8月1日にかけて主要出版社23社に「再販制度下での値引問題」として理解と協力を求めた。
「ポイントカードの実態調査」では9月理事会の時点で139のサンプル例があがってきているとの報告があった。
この結果、講談社、小学館は10月中にも「ポイントカードに対する見解」を出す方向で検討中であるとの報告が伝えられた。
しかし、その後においては取次―小売間の契約書、覚書等諸問題が合意に達しないまま推移したこともあって延期となっていたが、平成14年2月1日、講談社、小学館は、一部書店で発行されているポイントカード制に対する考え方をまとめ、それぞれ文書で公表した。
講談社は「明らかな値引き販売が行われている例も見られ、再販契約上は違反」「ポイントカードを利用して値引き販売されることは誠に遺憾」と指摘した。
また、小学館は「現行のポイントカードによる販売方法は、対価の減額=値引行為と解釈され、再販契約上の問題となる」として、再販契約の遵守を求め、出版物の販売に携わる方は「再販契約書」及び「覚書」を十分に理解されたうえでの営業活動を要請した。
7「著作物再販協議会」の開催公取委は、3月に再販制の存置の結論を出した際、著作物の流通について意見交換をする場として協議会の設置を決めた。
その第1回会合が12月4日に開催、出版業界からは相賀小学館社長が出席、業界の取組みを報告した。
有識者から出版、レコードの弾力運用は概ね評価できるとの発言があったこと、今後は業界の発展と著作権を守る会議として位置付けるとのまとめを行ったと伝えられた。
年2回程度の開催を目標とし、次回は本年5月か6月に開催予定である。
8「再販契約書」「覚書」の運用について日書連2月理事会は、「新契約書」並びに「覚書」がまとまったことから、「改訂再販契約書並びに覚書の運用についてのお願い」の文書を作成し、各都道府県理事長宛に関係資料を添付し、趣旨の徹底を図るよう通知した。
その内容は、運用にともなう留意事項として、1地域内での割引行為、または割引に類する行為が発生した場合、情報の提供者はその市場の中で資料等の収集にあたる、2提供者は、事態の発生した記録が必要であり、でき得る限り客観的資料等で提示する、3提供者は、日書連再販研究委員会に助言を求めることができる、4提供者は、客観的資料に基づき対象者の取引取次店に事実のみを連絡し、対応をお願いする、5問題の内容によっては、当該出版社に同様の情報を提供し、対応をお願いする、6情報の提供にあたっては、書面での回答を求めることとしたい。
日書連再販研究委の役割(平成一四年度運動方針参照)―以上の諸点についての協力方を要請した。
五.情報化推進対策書店の情報化推進に向けて日書連が独自開発したバードネットシステムは、平成2年4月に正式にスタート、以来12年の歳月が経過した。
その間幾多の問題点をクリアーしながら、現在の新バードネットシステムに至っているが、書店の情報化推進対策という広義の観点から見ると、平成13年度は、VANセンターの切り替え(CSK→メトロ・コンピュータ・システム)、日書連ホームページの充実、CD-ROMディスク製造元の変更(大日本印刷→MCS)、書籍データベースへの日本図書十進分類法(NDC)の取り込み、地方出版物データベース化へのアプローチ、小学館無償貸与パソコンの具体化、共通雑誌コードの変更等々、大幅な改善が図られた年度でもあった。
1日書連ホームページの充実日書連ホームページ「本屋さんへ行こう」(http://www.shoten.co.jp)は、3年目を迎えた本年1月を機に内容を充実させ親しみが持てるようレイアウト画面を一新した。
従来あいまいであった「書店」と「読者」のページを区別し、ユーザー対象を明確にして使い易くした。
日書連ホームページへのアクセス件数は、月間8万件前後で推移しているが、昨年12月の「読書週間書店くじ」当せん番号発表時期には、単月ながら28万件からのアクセス件数を記録した。
直近の平成14年3月1日から31日までの1ヶ月におけるアクセス件数を項目別に見ると、「検索・注文」が一番人気で78、740件、次いで「トップ画面」63、639件、「キャンペーン」36、362件、「新刊情報」13、003件、「新刊プレゼント」9、323件と続いている。
日書連ホームページでは、このほか、バナー広告スペースのリニューアル、「世界本の日」「サン・ジョルディの日」キャンペーンの連動、関連団体リンクページの作成、「本のある風景」「心が揺れた1冊の本」などの読者参加ページの充実等々、全面的な見直しを行った。
2小学館無償貸与パソコンの具体化平成13年度を導入実験期間として位置付けた京都組合における小学館からの無償貸与パソコンは、府下の組合員100名に配られた。
京都組合では、パソコンに明るい会員を中心にサポート体制を確立し、導入店の指導、相談に応じた。
また、同組合では導入後、9月と11月の2回にわたってアンケート調査を実施、その結果、導入店では書誌情報検索や注文品確保に活用し、着実に成果を上げていることが明らかになった。
小学館の書店支援パソコンについては、福島、茨城、新潟、岐阜、三重などからも希望が出ていて、平成14年度の候補地がどこになるか大きな関心が寄せられていた。
一方、小学館としては、福岡地区の金文会におけるWeb-POSシステムの支援、東京地区のTS協同組合における客注対応システムの支援など、京都組合のパソコン導入実験と併行してソフト支援を実施していることを明確にした。
こうした状況を踏まえ、日書連は小学館からの要請もあったことから、本年1月の理事会においてハード支援路線からソフト支援路線に変更することを確認した。
その結果、小学館からは情報化事業推進として3年間にわたって年600万円の調査研究費を仰ぐことになった。
3VANセンターの切り替え平成13年3月31日をもって、バードネットシステムのVANセンターであったCSKからメトロコンピュータシステムにセンターを切り替えた。
これは、従来の大型コンピュータを使ったデータ配信をインターネット上での配信に変更したもので、このことによりランニングコストの軽減が図れたばかりか、インターネット環境への対応として多面的な展開を可能にした。
新バードネットシステムとして衣替えしたこのシステムは、従来の書店店舗システム(検索、注文、返品、定期改正等)のほかに、簡易版として、インターネットオンライン注文サービス、新刊情報サービス、CD-ROMディスクによる書誌情報検索等々、機能を限定したサービスメニューも取り揃えている。
また、組合員メリットとして好評を博しているEメール・サービスは、センターにメール登録をしておけば、読者から注文があると無料で連絡がもらえる。
4CD-ROMディスク製造元の変更CD-ROMディスクは、年度版とカレント版を大日本印刷で製作していたが、インターネットの普及で書誌検索が容易になったこともあり、ディスクの販売枚数が減少した。
一方、検索速度のスピーディさから、ディスクに対しての根強い人気もある。
そこで日書連としては、一定枚数のロット製作から個別対応製作に切り替え、製作会社も平成14年2月版より大日本印刷からメトロコンピュータシステムに移行し、経費の大幅削減を図った。
5書籍データベースへのNDCの取り込み現在、日書連が購入している書誌情報は、書協のデータベース、書籍データセンターの流通マーク、大阪屋の新刊データ、出版VANの在庫情報、日本図書コード管理センターの出版者マスター等々であるが、更に図書館図書納入時に必要なNDCを取り込む方向で検討した結果、OPLマークの購入を決定、これを情報加工し、「日書連マーク」として提供する準備に入った。
6地方出版物データベース化へのアプローチ地方出版物のデータベース化については、沖縄組合より要望が出されたもので、本年度においてデータベース用の基本フォーマットを固めた。
日書連は、地方出版社の現状を把握するために実態調査を実施、とりあえず北海道地区の地方出版社の中から取次を経由していないと思われる社を洗い出し、144社にアンケート用紙を送った。
その結果、3月27日現在、17社から回答を得ている。
この調査では、データベースの構築と併せて、国立国会図書館への納本代行の件も調べていて、集計結果をもとに具体的検討に入る予定。
7共通雑誌コードの変更共通雑誌コード管理センターは、13桁のJANコードに新たに5桁のアドオンコードを付加した新雑誌コードを2004年6月より実施すると本年1月24日に発表した。
共通雑誌コードは、消費税対応としてフラグを「491」から「10」に、次いで「11」に変えて来た。
その後、「10」「11」がアメリカのリザーブコードとして正式に認定されたことから、日本としては2005年1月までに変更する必要性に迫られていた。
2004年6月からは、「491」のフラグが復活することになり、アドオンコードでは本体価格が表記されることになる。
また、名称についても「共通雑誌コード」を「定期刊行物コード」に変え、新聞対応も含め幅広く使えるものにしている。
六.経営・取引問題平成13年度の委員会編成により、取引・流通改善委員会は、取引問題を分離して経営・取引問題委員会を設置した。
主な担当事項としては、傷み本問題、不公正取引問題、中小書店経営問題等に取組み、再販、流通改善委員会とも連携をとりながら推進していきたいとした。
1公取委と「不公正取引」問題で懇談同委員会は、8月30日公取委取引企画課の山本課長を招き、不公正取引問題について勉強会を開催した。
「不公正取引」とは具体的にどのようなことを指すのか、特に、取引条件等の差別取扱い、優越的地位の濫用等について法的解釈、見解とその対応について説明を聞いた。
この時点で問題となっていた角川書店と紀伊国屋書店とが実施した謝恩価格本セールの問題、取引上の差別的な取扱い等について意見交換を行った。
2トーハン直営書店を視察同委員会は、12月19日東京組合と合同で新宿・住吉町にあるトーハン直営書店「メディアライン曙橋店」を視察した。
同店は2年前の出店にあたり、新宿支部が反対したものの、「中小書店をサポートし、実験するためのパイロット・ショップ」ということで出店した経緯があった。
視察報告によると、同店は売場面積18坪、家賃40万円、在庫は坪100万円、営業時間平日午前7時半から夜10時半、日曜・祝日午前9時から午後10時で年中無休。
売場構成は雑誌50%、コミック15%、文庫10%、書籍25%、社員、契約社員各1名、パート・アルバイト18名。
売上げは2年前を100として今年は94か95と苦しい数字であること。
しかし、ベストセラーが山積みされていること、返品率は書籍10%以下、雑誌22%、コミック1ケタと平均書店の数字を大きく下回っていることが報告された。
「取次直営でも5、6%マイナスと聞いてホッとした面もある」との感想も聞かれたが、今後は問題点の整理をしていきたいとした。
3雑誌「荷傷み」本の取扱い問題かねてより書店から雑誌の荷傷みによる配本があり、その取扱いに対する苦情が寄せられている。
「ウラ表紙の荷造りによる折れ曲がり」「ウラ表紙の折れ込み破れ」「ウラ表紙に宛名紙の貼付・破損」など多数の事例が報告されている。
東京都内の1書店の場合、昨年6月の1ヶ月間に配本された雑誌の「荷傷み」状況をみると、出版社12社、22誌のうち「折れ」14誌、「折れ、破れ」2誌、「製本不良」2誌、「破れ」1誌、「破れ、アテ紙なし」1誌、「シワ」2誌という状況が報告された。
こうした事例は全国的にみた場合には、相当な多部数の荷傷み量に達するものと予想され、結果として書店での販売損失を招くことになる。
ことに定期購読者には遅配することになるなどの支障をきたし、お客様に迷惑をかけることになる。
その発生は、印刷、製本工程、製本所からの取次搬入、取次店での梱包、発送の準備段階、書店への着荷時点などが予想される。
同委員会は、その実態を率直に出版社に示し、荷傷み防止対策、改善方について協力をいただくこと、事故後の処理について、業界としてのルールの確立を願うよう、業界3者による懇談の場を設置するよう雑誌協会に申入れることを決めた。
この結果、日書連は平成14年1月11日付文書をもって正式に雑協角川理事長に申入れを行った。
尚、雑協との第1回会談は、3月28日に開催され意見交換を行った。
4不公正取引問題この問題については、とかく日常の商取引の中で取次店からの集金攻勢が強いとか、組合員の中で「100%の支払い」の強要や「送品停止」といわれるような問題が伝えられている。
同委員会としては、不公正取引あるいは優越的地位の濫用と思われる事例があった場合、委員会宛に提出してほしいとの呼びかけを行った。
委員会はそうした事例をもとに勉強会を開き、場合によっては、公取委とも懇談の場を設け、問題への対応に努めていくことを確認した。
七.流通改善問題この年度も、前年からの継続審議となっていた書籍・雑誌の返品入帳問題への取組み、SCM勉強会、「コミック」問題への対応、責任販売制などの諸問題について協議、検討を行った。
1書籍・雑誌の返品入帳問題平成12年10月、日書連同委員会は文書をもって取次各社に対し、返品入帳の遅れを早急に改善すること、決算期の返品入帳の遅れに対しては、品代金の支払いに特段の配慮を求めることの2点について「要望書」を提出した。
平成13年2月理事会は各組合より2店の調査協力店を推せん、全国100店の規模で実態調査を実施する、調査項目のフォーマットを作成、年間調査とする、取次別、季節別、地域別に集計分析するとし、本格的調査に入ることを決めた。
この調査、平成13年4月から45都道府県から93店が調査店となった。
同年6月29日までに到着した5月分の集計を報告した。
最短日数と最長日数の平均では書籍19・3日から34・7日、雑誌15・3日から29・7日との報告があった。
取次別に入帳日数は別掲の通りである。
単純な平均値をみると入帳されるまでに要する日数は、書籍で平均27日、雑誌22・5日かかる実態が明らかになった。
2トーハンが返品調査を発表日書連の調査を受けて、トーハンは同社の取引書店についてエリアの平均返品所要日数を調査した。
時期は五月期を対象に東部、首都圏、中部など営業エリア別に雑誌118店、書籍57店を無作為抽出し、書店が輸送会社に渡した日からトーハン到着まで、トーハン到着日から入帳処理日数、輸送会社渡しから入帳処理までの日数を算出したもの。
この結果、雑誌の入帳は全国平均で5・1日、書籍は手書き伝票11・6日、ハンディターミナル等9・4日とのデータを発表。
トーハンはこれについて「入帳業務は原則を順守して最短スピードで行っている、入帳締切りの作為的な変更は不可能」とコメントしている。
日書連10月理事会は、4月から実施している同調査は、当初1年間の予定であったが、10月をもって終了し、その結果をとりまとめ、取次との交渉に入ることにした。
3返品入帳問題で会談同委員会は、全国100店で半年間にわたって調査を行ってきたが、この結果をもとに12月19日にトーハン、日販両社と意見交換を行った。
トーハンとの話し合いでは、雑誌は10営業日前としていたが、東ロジができてからは月末に入帳できる締め日を毎月決め、このカレンダーを公開している。
10営業日前は現在も変わっていない。
決算対策的な締切日の繰上げはないとした。
また、書籍については、トーハン内部の処理は変わっていない。
書店別出庫システムを返品に応用して自動検品ができれば毎月20日ぐらいまでは処理できるとした。
日書連からは、返品入帳は月末で締めるのがスジで、社として1日でも2日でも入帳を早める方法を検討してほしいと要望した。
日販との話し合いでは、9月の決算月の処理について18日到着分まで入帳したと説明。
雑誌の場合、返品開荷から伝票抜き出し、入帳データ登録まで6、7日、手書き伝票の場合は外注で入力、ハンディターミナルと1日半の差があること、処理日数で手書きが55%、ハンディターミナル45%で機械処理が進めば処理日数の短縮は可能とした。
日書連からは、書店は10日、12日なり入帳しない分、取次に上乗せして払っていることになる。
入帳日数を短縮してほしい旨申入れ、回答を求めた。
1月に入り日販、トーハンから回答があったが、その内容は質問に対する答えになっていないことから、再度申し入れたとの報告があった。
4出版SCMで勉強会開催9月19日、同委員会は、出版サプライチェーンマネジメント(SCM)への取組みにあたり、書協の本間事務局長を招き勉強会を開催した。
この促進の前提にあたって、問題となるのは、業界のデータベースが確立していないこと、書協データベースの入稿進捗状況は57%台にとどまっていること、来年4月には中間法人としての「日本出版データセンター」を設立し、70%まで情報収集率を高めたいこと、出版社並びに書店は、パソコン導入が不可欠なこと、データの一元化で無駄を排除すべきであること、出版社の責任において正確なデータの提供を願うことが先決であるなどの説明があったと報告した。
5「コミック誌」問題への対応小学館の「ビッグコミック」関係四誌の合同キャンペーンの件で、10月5日発売の増刊号(第1話・9編を収録)をセブンイレブンのみでテスト販売することは問題との発言があった。
同社は、購買客層を調べ、その結果をもとに全国販売する意向との説明があった。
また、12月に新聞報道されたCVSでの「廉価版コミックス」販売について問題提起があり、これは表紙、紙質も雑誌並みの簡素な作りだが、名作中心のラインナップと安さを武器に読者を獲得し、12社の出版社が参入するホットな市場になっているというもの。
調査の結果は書店でも販売されているとの報告があった。
6責任販売制の研究に着手この問題は、21世紀ビジョンの課題の1つに上げられている問題であり、委員会は、日書連が昭和53年に作成した「責任販売制討議のための資料」をもとに意見交換を行った。
理事会では、「責任販売制(仮称)討議のために」として、責任販売制の過去の案の要約、責任販売制によって期待されるもの、業界に提案された責任販売制の私案の提示、書協から提案された「責任販売制」修正案(74・4)、日書連・買切制八項目の提案(88・2)、日書連21世紀ビジョン委員会提案(00・11)による責任販売制案をもとに協議を行った。
席上では「委託制では売りたい本が来ない」、「書店の主導権で責任販売制をまとめる」、「販売リスクを負えば正味を下げるべき」、「仕入能力をつけるには3ヶ月前の出版情報が必要」などの意見が出された。
今後の検討にあたっては、すべて買切制にすることではなく、申込みによってメリットがあり、返品にはペナルティという考え方で日書連としての考え方をまとめ、業界に提案していきたいとした。
八.出店問題対策平成13年度の活動方針としては、「大規模小売店舗立地法」への対応、都内大型書店の事例研究、出店状況への対応、さらに全国中小小売商団体等との連携をとりながら、商店街などの中小小売商が地域住民の立場から何ができるのか、模索していくための取組みを行っていきたいとした。
同年6月には委員会の再編成があり、同委員会は万引対策、新古本問題等についても取組むことになった。
1都内大型店の事例研究同委員会は、国内最大2、000坪に増床した池袋・ジュンク堂書店とワンフロアとしては関東地区最大800坪の立川市・オリオン書房ノルテ店の見学会を東京組合と合同で実施したことが報告された。
ジュンク堂の報告では売上げ平日1、000万円が目標で、見学した当日は祭日にあたり1、380万円、地下から9階までの売場であるが、レジは1階のみ。
万引対策はTVカメラ、私服の警備員で対応。
運営は社員30名、パート30名、アルバイト50名、レジカウンター要員40名で対応との報告があった。
事例研究は今後も続けたいとした。
2京都・島津の大型店計画この問題は、平成12年6月より施行された大店立地法に基づく動きとして全国的に注目された。
京都市内の島津製作所五条工場跡地にジャスコが出店する問題で、市議会の中で市長に対し自民党より出店反対の要望が出された。
平成13年6月に入り、島津製作所側は、当初の3万6千の店舗計画を市の条例に基づいて2万に縮小し、高齢者や障害者などへの配慮のため2千を上積みすることで大筋合意したことが報告された。
これは京都市の「まちづくり条例」に基づいて策定した「商業集積ガイドプラン」に新運用基準を設け、高齢者や障害者に配慮した施設を設ける場合に限って1割の面積上乗せを認めるとしたもの。
1年間にわたる京都市との協議で平成14年秋を予定していた開業時期も半年から1年遅れる見込みと報道された。
3平成一三年の出店状況について平成13年1月から同年12月までの出店状況が、大手出版社によってまとめられ、業界紙「新文化」に発表された。
それによると、平成13年の新規出店数は376店(別表)、3万6、697坪で前年比224店、2万2千坪の減少、新規出店数は95年の915店をピークに6年連続で減少していることが明らかになった。
また、増改築は168店、5、200坪、合計544店、4万1、897坪で、新規出店数、坪数ともに前年比4割強の減少で、94年から5年間続いた年間1、000店を越えるペースに比べると半分程度にとどまっている。
取次別の出店状況(別表)は、トーハンが125店、1万2、184坪、日販は102店、1万2、161坪、大阪屋59店、6、903坪、栗田43店、3、128坪、中央社15店、667坪、太洋社15店、1、259坪、協和8店、245坪となっている。
新規出店の60%、坪数の67%をトーハン、日販の両社で占めているが、トーハンは前年の12年が237店、2万6、789坪であり、13年は半分程度にとどまった。
尚、新規店の平均坪数は97・6坪で前年とほぼ同じ数字になっている。
こうした状況の中で、日書連に報告された主な出店は、東京駅構内に出店したJR東日本キヨスクの出店問題では、地元東京組合の千代田支部8書店が新会社を設立、8坪の催事売店を受け持つことになったとの報告があった。
上野駅構内への明正堂出店は10月12日に説明会があり、売場面積162坪で平成14年2月に開店した旨の報告。
大阪・難波にリブロが500坪で11月に開店する。
当地域は飽和状態にあるが、近隣の大型店も出店交渉に入るようになってきた。
福岡の天神地区にジュンク堂書店が1、700坪で11月下旬にオープンする、同地区は延べ5、500坪の出店激戦地区になること、札幌に旭屋書店800坪で出店を計画中、横浜に阪急ブックファーストの出店、東京駅前丸の内に丸善が1、700坪で出店を明らかにしたことなどが報告された。
今後の対応としては、大店立地法はかなりきびしい条件がつけられている点、京都の条例では一定の成果をあげていることから、「まちづくり条例」等の研修会を開催し、対応を検討していきたいとした。
4第六回中小小売商サミットへの参加“21世紀地域(まち)の主役は「あなたのお店」”をメインテーマに、全国中小小売商団体連絡会(全国商店街振興組合連合会他一五団体構成)は、平成13年11月29日に全国サミットを開催、日書連から萬田会長ほか13名が参加した。
代表者会議では一刻も早い景気回復の実現を、中小企業金融対策のさらなる充実、中小小売店を元気にする、きめ細かな「個店対策」を、まちに賑わいをもたらす、骨太の「まちづくり・商店街対策」を、中小小売店に過度の負担を強いる「外形標準課税」絶対反対の5項目から成る宣言文を採択。
この宣言文は各団体代表者が官邸を訪問、小泉総理に手渡した。
5万引問題への対応万引問題については、全国書店共通の悩みの種であり、多くの組合員が、その対応に苦慮しているところである。
業界としては、万引問題を中心に審議することを目的に出版文化産業振興財団(JPIC)内に流通改善委員会を設置し検討を行ってきた。
万引防止機器については、ユニパルス、凸版印刷などと継続的な情報交換をしてきたが、日書連五月総会の席上デモを実施した。
11月に入り、書店で万引防止機器のテストが実施されるなど、万引防止への機運が高まるなか、大手書店五社が呼びかけ人となって、「万引防止ソースタギング」検討の会が発足、業界のインフラ作りに取組むことになった。
書協、雑協、日書連、講談社、小学館、トーハン、日販の各代表に向けて呼びかけがあり、20日に第1回の会合が開催された。
日書連からは萬田会長が出席、懇談を行った。
日書連11月理事会は、こうした状況を受けて雑協角川理事長宛に、早急なソースタギングの検討を要望する「万引防止対策についてのお願い」文書を承認し、同文書を雑協をはじめ書協、取協、コミック5社(講談社、小学館、集英社、秋田書店、白泉社)に提出した。
12月に入り経済産業省は、万引の実態を把握し、対応策を検討するための資料として全国1、000店を対象に万引事例を収集するとの意向が伝えられた。
しかし、その後、法規制を前提とするための調査と新聞報道等があったことから、当面調査を見合わせることになった。
日書連12月理事会は、その後の対応として「万引防止ポスター」の作成を決め、各県組合にサンプルの提出を求めた。
6新古書店問題新古書店対策並びに万引問題の一環として、日書連は、各都道府県の青少年条例で新古書店が18歳未満の青少年から「コミック」などの買入れを禁止するよう条例の改正を求めていく方針を決定した。
このことは、11月20日に神奈川県で、大手新古書店が中学生8人から文庫本やコミック、雑誌を買い取った疑いによるもので、少年らは書店で万引きした本を新古書店で換金、ゲーム代などにあてていたという。
この件で中学3年生の少年3人も窃盗容疑で書類送検された。
神奈川県の青少年条例では18歳未満の青少年からは保護者の承諾がない限り物品を買い受けることを禁止している。
条例の中で、質受け、買受けの禁止のある県は31県、そのうち書籍・雑誌を除くが5県、努力義務が2県、禁止のない県が15県となっている。
九.読書推進運動平成13年度の読書推進運動にあたっては、委員会の再編成を行い、書店店頭活性化、出版物の増売運動を切離し、同委員会は、読書環境の整備、読書推進のための運動、関係団体での活動に取組んでいくことにした。
今後の活動にあたり、委員長からは、個人、書店、組織に分けて考えていくとし、個人としては本が見える社会環境を作る、書店としてはどのようなコミュニケーションの材料をもって提案していくか、組織としては何ができるか、読書人口が増えていることを信じて運動をすすめていきたいとの表明があった。
1学校図書館図書整備問題学校図書館図書整備推進会議の働きかけにより、単年度ながらも平成13年度は108億円が地方交付税措置として計上された。
同会議は、直ちにポスター、チラシ等を作製配布して、全国各地方自治体での完全予算化のための働きかけを呼びかけた。
日書連は、委員会、理事会など各種会合の機会に市区町村への要請行動をお願いした。
7月には学校図書館の図書整備の充実を目指すアピール集会が全国六ヶ所で開催された。
今後の中・長期的展望に立った学校図書館の充実にあたっては、平成13年9月25日付、日書連会長名で第2次の「新5ヵ年計画」の策定並びに高等学校を含む新たな学校図書館の充実のための施策策定を文部科学省、総務省各大臣宛に要望書を提出した。
2「第四土曜日はこどもの本の日」キャンペーン本年度で4年目を迎えた同キャンペーンは、春は5~7月の第4土曜日、秋は9~11月の第4土曜日を中心に重点地区を指定して運動を展開してきた。
春には栃木県、岐阜県、愛媛県、沖縄県の各商業組合傘下の45書店で、また、秋には東京都(港・渋谷)、静岡県、岡山県、福岡県の各商業組合傘下の24書店で開催した。
このキャンペーンでは、読書アドバイザーの協力を得て、書店店頭での読み聞かせや各種ツールの提供などの支援を行い、実施店では確実な成果を上げ好評を得ており、更なる盛り上げに努めることとした。
新しい試みとして同キャンペーンに参加した書店、読書アドバイザーを対象にした感想文を募集した結果、12通の応募があり優秀賞1点、佳作4点を決定した。
平成14年春の同キャンペーンは、岩手県、石川県、長崎県での実施を決めているとの報告があった。
3「子どもの読書推進会議」への参加と活動「子ども読書年」に対応するために業界15団体で構成した「子ども読書年」推進会議は平成13年3月31日をもって解散することになった。
同推進会議が担ってきた機能、役割を継承する組織として平成13年4月1日に「子どもの読書推進会議」が設立され、日書連も参加することになった。
その活動としては「子どもゆめ基金」等、文科省が主催、助成する事業への協力、子どもたちの読書推進と読書環境の整備に関する活動、「ブックスタート」NPO設立、事業への協力、支援などである。
この年度の事業としては、文科省の読書推進事業として「絵本ワールド」事業に参加することを決めた。
平成13年12月22日、23日には「絵本ワールドinおきなわ」が沖縄コンベンションセンター会議棟で開催、平成14年1月13日、14日は「みんな集まれ!絵本まつり」が名古屋市国際会議場白馬ホール棟で、同年3月9日、10日に「絵本ワールドinみやぎ」が仙台国際センターで開催され、各書店組合は絵本の販売に協力、支援した。
平成13年12月10日には、同推進会議主催による緊急フォーラム「子どもの読書振興のために今なにをなすべきか」を開催、日書連からも参加した。
また、今後の活動にあたって、日書連2月理事会は、「子ども読書活動推進基本計画」の作成にあたり、6項目から成る要望事項を提出した。
4「子ども読書活動推進法」の成立「子ども読書年」の理念を受け継ぎ、平成13年12月5日に「子どもの読書活動の推進に関する法律」が成立、施行された。
その基本理念は第2条に定めているが、この法律は、国や自治体が子どもの読書環境を積極的に整備し、子どもの自主的な読書への意欲を高め、読書活動を推進し、「読書による人づくり」を総合的かつ計画的に推進することを目的に立法化されたものである。
同法の成立を受けて、文科省及び総務省は、学校図書館図書整備費について平成14年度を初年度に5年間で総額650億円を地方交付税で措置することになった。
文科省が制定した公立義務教育諸学校の「図書館図書標準」の全国標準冊数2億7千万冊に対し、平成13年度現在で4千万冊分が不足しており、5年間で整備するというもので毎年130億円が交付税で措置される。
日書連は、地域の教育委員会、地方議員、学校の先生、PTA関係者などに協力方を働きかけ、予算化を実現するよう呼びかけを行った。
5ブックスタート全国大会への参加「子ども読書年」を機に、「子ども読書年」推進会議は、ブックスタートの理念を正確に伝え、長期的に地域の運動をサポートしていく組織として平成13年4月に「ブックスタート支援センター」を発足させた。
また、この活動が独立した中立的性格を持つことが必要となり、読進協の中に「NPO設立準備委員会」を置き、NPO(特定非営利活動法人)の設立に向け準備を進めてきた。
平成13年8月20日には出版クラブで同支援センターの設立総会を開催し、正式にスタートした。
同支援センターは、平成14年2月7日に千代田公会堂で第1回「ブックスタート全国大会」を開催。
これは実施自治体が全国に広がりをみせていることから、情報・意見交換の場を設け関係者のネットワークを構築することを目的に開いたもので日書連からも会長ほかが参加した