全国書店新聞
             

平成21年2月21日号

携帯電話でコミック試読/「ためほん」システムを店頭実験/日書連

日書連は、書店店頭で読者が携帯電話を使ってコミックの一部を試し読みできる「ためほん」システムの実験を、昨年12月から東京と鳥取・島根の計11店舗で実施している。IT化の流れを利用し、読者の利便性向上やマーケティングデータの収集・活用を図ることで、コミック販売を活性化させる狙いだ。
コミックはビニール包装して並べられることが多く、読者が内容を確認しづらかった。「ためほん」は、書店店頭にQRコードを掲示し、携帯電話でコードを読み取ると試し読みサイトに飛び、コミック第1巻の冒頭16ページが読める仕組み。
実証実験は、システムを開発した今井書店グループの鳥取・島根6店舗と東京組合加盟店5店舗で12月24日からスタート。実施期間は3カ月で、コンテンツは小学館、講談社、集英社の協力を得て、1カ月間で1ジャンル15作品の計45作品(別掲)を対象とした。第1期少女コミックを1月下旬まで実施し、現在第2期少年コミックを2月下旬まで実施中。2月23日からは第3期として青年コミックを展開する。
実験を行っている三省堂書店神保町本店では、コミック売場の新刊・話題の本コーナーと、お問合せカウンター横にポスターを掲示。担当者は「第1巻の最初が読めるのはよい試みだと思う。ただ、当店は男性がメインで大人のお客様が多いせいか、QRコードの認知があまり浸透していないという印象だ。青年コミックは単価が高いので、試し読みしたい方は多いと思う。PRがもっと進めば」と期待を寄せる。
立川市のオリオン書房ノルテ店では、コミック新刊コーナーで対象作品を大きくアピール。「知らないシリーズを買うのは結構難しい。店頭で新刊を見て、お客様が『このマンガ、人気があるみたいだけど』と思って最初の部分を読めるのは大事だと思う。携帯電話での読み取りは、デジタル万引きの撮影行為とかぶる面があるので少々気になった。携帯電話で見る画面はきれいで読みやすい」と指摘があった。
「ためほん」は、個々の書店からどの作品に何回アクセスがあったかを把握できるため、販売との連動データの取得も可能。日書連では実験を通じてノウハウを蓄積し、販売促進につなげたい考えだ。
◎「ためほん」店頭実験対象コミック
〔第1期(少女コミック)〕
小学館=『ヨルカフェ。』円城寺マキ『放課後オレンジ』くまがい杏子『僕達は知ってしまった』宮坂香帆『僕はキスで嘘をつく』藤間麗『暁のARIA』赤石路代
講談社=『ヤマトナデシコ七変化』はやかわともこ『ライフ』すえのぶけいこ『キス&ネバークライ』小川彌生『本屋の森のあかり』磯谷友紀『ちはやふる』末次由紀
集英社=『コイバナ!恋せよ花火』ななじ眺『ストロボ・エッジ』咲坂伊緒『お嬢様はお嫁様。』葉月めぐみ『プライド』一条ゆかり『デカワンコ』森本梢子
〔第2期(少年コミック)〕
小学館=『ハヤテのごとく!』畑健二郎『ギャンブルッ!』鹿賀ミツル『最上の命医』入江謙三、橋口たかし、岩中督『神のみぞ知るセカイ』若木民喜『トラウマイスタ』中山敦支
講談社=『C.M.B.森羅博物館の事件目録』加藤元浩『エリアの騎士』伊賀大晃、月山可也『新約「巨人の星」花形』梶原一騎、川崎のぼる、村上よしゆき『君のいる町』瀬尾公治『ゼロセン』加瀬あつし
集英社=『トリコ』島袋光年『PSYREN―サイレン―』岩代俊明『ロザリオとバンパイアseason2』池田晃久『ぬらりひょんの孫』椎橋寛『エンバーミング』和月伸宏
〔第3期(青年コミック)〕
小学館=『ココナッツピリオド』山田玲司『覇―LORD―』武論尊、池上遼一『医龍』乃木坂太郎、永井明『華中華(ハナチャイナ)』西ゆうじ、ひきの真二『岳』石塚真一
講談社=『へうげもの』山田芳裕『ラッキーマイン』鈴木マサカズ『ヴィンランド・サガ』幸村誠『吉田家のちすじ』中島守男『タイタニア』田中芳樹、ガンテツ
集英社=『PEACEMAKER』皆川亮二『キングダム』原泰久『ローゼンメイデン』PEACH―PIT『ビン~孫子異伝~』星野浩字『霊媒師いずな』岡野剛、真倉翔

うみふみ書店/海文堂書店・平野義昌

神戸の本屋の歴史をあれこれと「みずのわ出版」HPに連載して1年経ちました。1月末に愛媛県西条市の本屋さんからメールを頂戴しています。おじいさまが元町1丁目にあったAB堂(仮称)で修業し、1921年(大正10)に帰郷、創業されたそうです。連載ではAB堂について、まだわずかしか触れていませんでしたが、検索して見つけてくださったそうです。
改めて調べました。1896年(明治29)元町1丁目で創業、出版・販売・原書の輸入で繁盛しました。大正年間、第1次世界大戦による好景気で元町通は賑わい、本屋ではAB堂と5丁目の2店舗が混雑して活気に満ちていたということです(海文堂は3丁目海事図書専門店)。1923年には他書店と工学書出版社(東京)を設立しています。
昭和の初め、教科書を担当していた私学校の移転に伴い、その近隣に支店を出しています。戦災のため戦後そこに移ったのでした。ベテランの出版営業氏は、専門書をきちんと揃えていたと教えてくれます。
代表者は書店組合で長く中心的存在でした。大型出店がうまくいかず、2001年頃廃業しています。この「頃」が悲しいことばです。組合事務局も廃業の理由やその他の事情を確かに覚えています。でも、正確な時期がわからないのです。組合名簿をひっくり返して、「この年は載っている」「2002年にない」。それで「頃」としか書けないのです。店がなくなる、商売をやめるというのは、人の記憶からだんだん消えて、そのうち忘れられてしまうということです。私たちは、細々でも、見苦しくても、ジタバタ往生際悪く生き延びねばなりません。
というようなことを最新版に書きましたら、イギリス留学中の英文学教授からメールが届きました。AB堂は、英文学先達の本も出版しており、英文学者にとっては恩人にあたると。また、神戸訪問のイギリス人がAB堂の様子を紀行文に残しているとのこと。教授曰く「本と人の結びつきは素晴らしい」。さらに、郷土史家がAB堂の店頭写真を提供してくださいます。パズルの欠片が少しずつ集まっています。今まで問い合わせに満足に答えられなかったのですが、少しはお役に立てそうです。
さて、バイト君入れ替りの季節、私の初面接女子が巣立ちます。彼女が来た時、男子が4人いました。私、父親の如く目を光らせ、リーダー役のイケメン・お坊ちゃま院生をマーク。というのも、2人はおとなしい本オタク、もう1人はドジで論外でした。が、そのドジが厚かましくも、デートを申し込みよりました。世の中、こんなもんですなあ。我が眼は節穴か?親御さんにお詫びします。彼女の未来に幸多かれと祈ります。

菊池、柴﨑両氏迎えて開催/近畿ブロック会経営講演会

日書連近畿ブロック会と大阪府書店商業組合は2月13日午後2時半から、大阪市北区曽根崎新地のホテルモントレ・グラスミアハウスで経営研究講演会を開催した。近畿ブロック各府県から57名が出席した。
第1部講演会は近畿ブロック会中村晃造副会長(京都組合理事長)の司会で始まり、近畿ブロック会面屋龍延会長(大阪組合理事長)が「日書連・書店経営実態調査の結果を踏まえて、今回の講演会を企画した」と、開会の挨拶をした。
講演会は筑摩書房菊池明郎社長が「理想の流通システムについて」、日書連柴﨑繁副会長が「支払いサイト・配本パターンの書店間格差について」を講演した後、公正取引委員会の「流通・取引慣行」のレポートについてのシンポジュウムを行った。
菊池氏は「理想の流通システムについて」でドイツ出版業界の状況を説明され、ドイツ出版連盟が運営している書店人養成のための学校には、政府から補助金が支給されている。日本と違って、ドイツでの書籍売上げは微増ではあるが、年々伸張している等々の報告を行った。
柴﨑氏は「書店間格差について」で、取次の不公正取引の実態について報告し、日書連は公取委の協力を得て、その改善に向けて努力していると説明があった。
シンポジュウムは大阪組合秋末勝理事(カペラ書店)が「公取委レポートは、業界の不透明部分を明らかにし、取次寡占の弊害を世に知らしめた。この6年間で、全国の書店売場面積は、13万6千坪の純増があったが、反面40万5千坪の廃業店があった」と、中小書店の窮状について基調講演し、大阪組合二村知子理事(隆祥館書店)の進行で、討論した。
討論では一部取次の約定書には、看過できない文言が使用されていると、約定書の不当性を追及する声が出た。また、書籍の円滑な流通のためには、業界統一データベースの構築が急がれるという意見も出た。
閉会挨拶は近畿ブロック会三上一充副会長(兵庫組合理事長)が行い、「ストレスの溜まる講演会であったが、第2部懇親会でストレスを発散してください」と、締めた。
(中島俊彦広報委員)

出版再販研究委員会

(1月22日付)
▽委員長=小峰紀雄(小峰書店)
▽副委員長=菊池明郎(筑摩書房・議長代行)、大竹靖夫(小学館・スポークスマン)、正能康成(中央社)、岡嶋成夫(ブックロード)
▽委員=鈴木一行(大修館書店)、山口雅己(東京大学出版会)、岩崎光夫(講談社)、関谷幸一(角川グループパブリッシング)、塚本俊雄(主婦の友社)、吉村治(中央公論新社)、高橋茂(大阪屋)、風間賢一郎(トーハン)、橋昌利(日販)、小暮豊博(中央社)、山去賢二(日教販)、村木透(太洋社)、佐久間信(協和)、鍬谷睦男(鍬谷書店)、大橋信夫(東京堂書店)、藤原直(金港堂)、面屋龍延(清風堂書店)、谷口正明(正文館書店)、中村晃造(桂書房)、山口尚之(三山書店)、樋口嘉重(学識経験者)
▽監事=名女川勝彦(文藝春秋)
▽会計=米川清一(栗田出版販売)、山本裕一(信濃屋書店)
▽相談役=長坂一雄(雄山閣)、渡邉隆男(二玄社)、朝倉邦造(朝倉書店)

帯コンの周知図る/大阪組合理事会

大阪組合は2月14日午後2時から組合会議室で2月理事会を開催した。主な審議事項並びに報告事項は以下の通り。
【総務・財務】
支部総会を開催して改選支部役員、総代、支部推薦理事候補の報告があったのは7支部、支部総会開催予定の報告は5支部、報告の無い支部は4支部だった。各委員長に、総代会議案書に記載する事業報告、事業計画の提出を依頼した。
【読書推進】
①本の帯創作コンクール
協賛出版社の参加申し込みが遅れている。課題図書選定を急ぎ、3月末までに受注体制を整える。配本は5月初め予定。支部単位で増売体制を整えるため、地区委員を選出することにした。「帯コン」の周知徹底のため、より一層のPRをしたい。「売れる本を課題図書に選定して欲しい」という要望には「これだけの部数を売ると約束して、出版社に提案することも大事である」と回答があった。
②読書ノートは組合員に「読書ノート」制作費の協賛金を募集したい。出版社には既に協賛依頼の手配をしている。
【出版販売倫理】
2月4日、「万引き防止実践講座」に出席した。講師は警備会社の社員だったので、万引きされた後の対応の仕方の話が多かった。
【レディースランチの会】
1月28日開催の会は好評であった。会場で聞いた組合活動に対する意見を吸い上げて、今後の活動に活かしていくことにしたい。
【出店問題・組織強化】
2件の出店連絡があったほか、高槻市「TSUTAYA」の出店説明会を2月26日に組合会議室で開催。
【学校図書館・IT化】
大阪市教育委員会から通達のあった公募型見積り合せ実施について、組合は「見積り合せの対象商品から学校図書館向け書籍を外して欲しい」などの要望書を提出していたが、公明性、公正性の確保を理由に却下された。
【その他】
①総代会準備委員長に坂口常務理事、委員に深田常務理事、中島常務理事、坂井理事、森理事、高松理事、萩原理事を選出。選挙管理委員長に坂井理事、委員に深田常務理事、萩原理事、森理事、高松理事を選出した。
②日書連共済会の残余財産有効利用について、大阪組合独自の案(中小書店のための新流通システム構築)を日書連に提案することにした。
③6月実施の第1回大阪検定の公式テキスト「大阪の教科書」の企画説明会が2月19日に開催される。
(中島俊彦広報委員)

ブックス・クルーを始動/共通顧客管理システム/NET21新春の会

22法人59店舗で構成する書店協業組織「NET21」は2月13日午後5時半から東京・六本木のANAインターコンチネンタルホテル東京で新春の会を開き、出版社など約2百名が出席した。
第1部では田中淳一郎副社長らが顧客管理システム「BooksCREW(ブックス・クルー)」、ブックマイレージ、雑誌プロジェクト、文庫・実用書・児童書の各チーム、初速のよい本など、NET21の諸活動について説明した。
このうち顧客管理システムのブックス・クルーについては、「小資本の地域密着型書店が消費者の多様なニーズに応えるためのもの」と説明。ポイントカード方式によって顧客データをとり、読者傾向を把握、「個客マーケティング」の確立を目指す。2月下旬から店頭テストを兼ねて5法人でスタートする。①NET21全店で共通に使える、②顧客データで読者にプロモーションが行える、③商品分析を現場で簡単に行える、④出版社にも商品分析を公開する、⑤真の意味での地域密着を目指すシステム、⑥エコポイントを設けるなど店頭現場の声を取り入れた仕組み、⑦地域分析など店頭売上に直結するデータを取り出せる――などが特色。
続く第2部懇親会では、渡辺順一社長があいさつ。「NET21はこの5月で9年目を迎える。平成13年の法人化に当たっては講談社、集英社などが法人として認めてくださり、多くの版元も法人対応で便宜を図ってくれた。栗田出版販売、光和コンピューターにも後ろ盾になっていただいた」と関係者に感謝の意を表明。「今年は100年に一度の経済危機と言われている。元気のいい話ができるわけもなく、正直なところ本屋を続けていけるのか、本屋を続けてもいいのかと自問している。消費者は必要なものはなるべく安く買う、必要のないものは買わない。ただ、こういう時代だからこそ、文学や音楽など心を豊かにするものが求められてもいる。NET21ではジャンル別部会などで社内の一体化を図りたい。また、顧客管理システム『ブックス・クルー』を始めることで読者傾向を把握し、囲い込みを図りたいと考えている。出版社、取次、書店が一つの会社であるかのように一体化して、一冊でも多くお客様に本を売っていきたい」と所信表明した。
このあと、小学館・増田玲子氏が「NET21がよく使う『町の本屋』という言葉が好きだ。子供の頃に感じた、本を走って買いに行く喜び、地域との触れ合い。こうしたワクワク感を未来永劫残していきたい。出版業界を発展させてくれるのは町の本屋だと思う」とあいさつし、乾杯した。

『この人を見よ!』3月刊行/新しい歴史人物シリーズ/ポプラ社

ポプラ社は2月10日午後3時半から東京・四谷の同社に報道関係者を招き、2009年上期重点企画説明会を開催。児童書企画『この人を見よ!歴史をつくった人びと』などを説明した。
説明会の冒頭、坂井宏先社長は「昨年からの金融危機で大変な時期を迎えている。業界紙によると、2008年に倒産した出版社は52社、書店は48社だったという。こうした出版不況の中、当社は昨年1月~12月に前年比105・03%の業績を残すことができた。世界に目を転じると、アメリカでオバマ大統領が誕生した。オバマ大統領が言う『チェンジ』はモノの豊かさから心の豊かさへのチェンジと考えている。日本は70年代に飢餓から解放された国となり、日本人は飽食の時代とバブルの中で浮かれて、どこか人間性を失っていた。そして現在、不況の中で、心の豊かさが求められている。文学、哲学、宗教など心の糧となるものが要求される今こそ、出版業界にとって千載一遇のチャンス。出版社トップは縮小均衡ではなく、積極的に事に当たるべきではないか。そのあとに、出版業界が繁栄し、多くの人たちが読書に親しむ素晴らしい文化国家が生まれる」とあいさつ。引き続き各担当者が重点企画を説明した。
新しい歴史人物シリーズ『この人を見よ!歴史をつくった人びと』は、野口英世、ナイチンゲール、徳川家康、アンリ・ファーブルなどのなじみ深い偉人たちに、晩年ボランティアで活躍した女優オードリー・ヘップバーンや生命力に満ちた芸術家岡本太郎などの新しい偉人をラインナップに加えているのが大きな特色。また、従来の偉人伝は物語的な読み物が中心だったが、この企画では偉人の人生全体を大きく俯瞰し、クイズ、コミック、人物像、発言・証言、現代とのつながりなどで多角的にとらえたマルチアングル構成となっている。さらに、偉人の生きた年代の時代背景や世界情勢などの関連説明、現代に伝わっている偉人の業績・思想の解説、偉人をよく知るための本・施設などのガイドなど役立つ情報が満載で、幅広い学習に役立てることができる。
シリーズは①本田宗一郎、②黒澤明、③植村直己、④手塚治虫、⑤岡本太郎、⑥ヘレン・ケラー、⑦アンネ・フランク、⑧アインシュタイン、⑨マザー・テレサ、⑩オードリー・ヘップバーン、⑪織田信長、⑫豊臣秀吉、⑬徳川家康、⑭坂本龍馬、⑮野口英世、⑯宮沢賢治、⑰ベートーベン、⑱ナイチンゲール、⑲アンリ・ファーブル、⑳エジソンの20巻から成る。A5判・上製・カバー付き、各巻143頁、定価1260円、揃2万5200円(税込)。3月5日刊行。
また、発売に合わせて「ポプラ社〈未来の世界を考えよう〉コンクール」を実施。小・中学生を対象に、20巻のうち1冊を読み「ぼくは・わたしは○○○○のように、○○○○をしたい!」のタイトルで未来の世界を書く「作文部門」、偉人になったつもりで未来の世界を作るための名言を書く「名言部門」の2部門で募集。応募期間は3月12日から11月30日まで。発表は12月中旬に同社ホームページで。「作文部門」大賞は2泊3日北京歴史探検紀行、「名言部門」特別賞は総合百科事典『ポプラディア13巻セット』を贈る。
このほか、森鴎外から太宰治まで日本の作家51名の短篇を1冊に収載した『百年小説』が昨年12月の発売で2万5千部に達したことを報告。創刊1周年を迎えるポプラ文庫の前半ラインナップ、『江戸川乱歩少年探偵シリーズ』、小川糸著『喋喋喃喃』、小南奈美子著『みんな好きで一緒になった』、森見登美彦著『恋文の技術』を説明した。

春の書店くじ実施要領

▽実施期間平成21年4月20日(月)より30日(木)まで。書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数500万枚。書店には1束(500枚)3750円(税込)で頒布
▽申込方法返信用申込書に必要事項を記入し、束単位で所属都道府県組合宛に申し込む。締切は2月20日
▽配布と請求方法くじは取次経由で4月18日前後までに配布。代金は取引取次より請求。
▽当選発表5月23日。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品総額7450万円、9・8本に1本
特等賞=北京4日間の旅ペアご招待50本
1等賞=図書カード1万円500本
2等賞=図書カード又は図書購入時充当1千円1500本
3等賞=同5百円1万本
4等賞=図書購入時に充当百円50万本
ダブルチャンス賞=図書カード1万円100本
▽賞品引換え特等賞は当選券を読者より直接日書連に送付。1、2、3、4等賞は取扱書店で立替え。図書カード不扱い店または品切れの場合は、お買い上げ品代に充当。ダブルチャンス賞は7月5日(当日消印有効)までに読者が直接日書連にハズレ券10枚を送付
▽引換え期間読者は5月23日より6月30日(消印有効)まで。書店で立替えたくじは7月31日までに「引換当選券・清算用紙(発表ポスターと同送)」と一緒に日書連事務局に送付
▽申込み書店特典組合経由の申込店から抽選で3店3名に北京4日間の旅無料随行員。
▽無料配布店頭活性化の一環で組合加盟店全店に書店くじ50枚、ポスター1枚を無料配布

4月23日から2カ月間開催/謝恩価格本ネット販売フェア/書協

日本書籍出版協会(小峰紀雄理事長)は再販制度の弾力運用の一環として、「こどもの読書週間」(4月23日~5月12日)を中心に4月23日から6月23日まで、第12回「期間限定謝恩価格本ネット販売フェア」(http://www.bargainbook.jp)を開催。児童書、実用書(ムック含む)、一般文芸書、人文書、辞典・事典、美術書、自然科学書、豪華本で、発行後1年以上経過した書籍を出品。表示価格の50%引きで販売する。
また、同フェアへの出品書籍の多くを、再販問題等に取り組むための実験的な小売店舗「ブックハウス神保町」、5月3日から5日まで上野恩賜公園で開催する「上野の森親子フェスタ」でも販売する。
なお、今回のフェア実施に際しても、出品書籍すべてにRFタグを装着して、取引、物流等の実験を行う。この実験は3回目となる。

人事

◇工学書協会
(2月10日付)
▽幹事長=南條光章(共立出版)
▽副幹事長=飯塚尚彦(産業図書)
▽幹事=櫛田義則(第1販売委員長、オーム社)、岩下孝男(第2販売委員長、共立出版)、高城献(研修委員長、工業調査会)、吉田健司(目録・広報委員長、東京大学出版会)、二村忠彰(総務委員長、丸善)
▽会計幹事=後藤武(彰国社)、吉田明彦(丸善)

「声」/匿名希望

某月某日、保育所からの絵本単品33点のオンライン発注、何と中1日で完全揃い……。取次にびっくりした旨電話してやろかなとも思ったけど、たまたまのこっちゃな、また今度。と思っていたら、けっこうこんなことが(数回)あった昨年でありました。
去年、仲間の雑談会での話。「そない急がへんよって、取り寄せといて」との注文、3日後、「もう3日も経つのに、まだ来えへんのかいな」という。そんな無茶なというわけだが、客はネットで注文したら翌日来るのにということらしい。まさに時代でんな。取り寄せに1ヵ月かかるなんて考えられんことが、我が業界にあるのが摩訶不思議。
近頃の本屋事情、突き詰めて言うと、「ア」のつくネット書店、「キ」とか「ジ」なんかがつく巨大書店、ほんでもって、「ブ」の古本屋、あとはコンビニ、こんだけあったらその他の本屋さんには用おまへん。本屋業界でなくとも、肉屋さん、八百屋さん、「~屋さん」がいつの間にか周囲から消えている。何でこんな世の中になったんや、責任者出て来い、と叫んでもどうにも止まらへん。
当店、住宅街のまるでヒマな本屋。だもんで図書館や学校、幼稚園、保育所なんかで何とか稼がせてもらってる。ファックスで注文もらう、ネットで在庫状況確かめつつ発注、発注データをエクセルで貼付加工して、即刻受注先へ見積書返す。中2日で入荷、1日でフィルム加工などの装備をして受注5日後に納品、ただし2、3冊は後日納品ってことでかっこ書きが付くが、何とかこんなことが出来るようになったこと、とりあえずこれすべて日書連と取次さんのおかげ、いや、チャカしてるんでも提灯記事でもおまへん、まじめな話。
学校図書館への商売でも日書連MARCを使わせてもらって以来、例えば500冊50万円規模の納品であっても図書原簿作成にたったの2時間。手書きやら表計算ソフトでやっていた頃にはまる1日かかったこともあったのに。
そんなやこんなで年の初めにまずは日書連様、大阪屋様(実名入れてしもうた)にありがとうを。
日書連MARCはますます精度の充実を、絵本がすべて913に変換はちょっとお粗末です。ついでに使用料金の値下げもお願い。
大阪屋さん、すべてのとは申しません、児童書くらいは常時全点在庫を目指してもらえませんか。
取次オンラインと繋がってない出版社さんもあるようですけど、そんな版元さん、時代に取り残されんように……。
ちっこい本屋でもこの業界でメシ食えることに感謝できるように、版元さん、取次さん、日書連さん、どうかよろしく、よろしく。

人事

◇光文社(2月9日付)〔機構改革〕
販売局「販売部」と「販売促進部」を廃止し、販売局に「書籍販売部」「雑誌販売部」「販売開発部」を新たに設ける。
〔新役職〕
常務取締役(業務局、広告局担当)丹下伸彦
取締役(出版局担当兼出版局長)古谷俊勝
同(経理局担当)谷利周二
販売局長鳥山公夫
販売局雑誌販売部長兼販売開発部長加藤純士
同書籍販売部長○渡辺浩章
同雑誌販売部長代理
加藤潔
同開発部長代理服部泰基
同書籍販売部副部長
大坪敏男
同白井純孝
同藤石索道
同楠本勝司
同深掘秀治
同天城忍
同瀬尾健
同雑誌販売副部長
正林富士夫
同兼販売開発部副部長兼販売開発部副部長入江洋司
同粕谷迅
同柳徹
同販売開発部副部長
長谷川浩久
同物流管理部副部長
原浩也
◇日本出版インフラセンター・日本図書コード管理センター
日本出版インフラセンター(JPO)は、下記の通り事務局人事を発令する。カッコ内前職。
3月1日付
日本出版インフラセンター事務局次長(小学館社長室)船山博志
4月1日付
日本出版インフラセンター事務局長代理兼日本図書コード管理センター長(JPO事務局次長)船山博志
日本出版インフラセンター事務局顧問(JPO事務局長代理兼日本図書コード管理センター長)田宮修

東海ブックサミット開催/POP大賞作品を拡販へ

東海日販会は2月12日午後4時からウエスティンナゴヤキャッスルで第53回通常総会を開催。総会に先立って12時半から出版社103社が参加して商談会「東海ブックサミット2009」が行われた。
林茂夫世話人(松清本店)の司会で進行した総会は、はじめに篠田元弘世話人代表(自由書房)が「アメリカ発世界同時不況の影響でトヨタ関連各社は一気に人員削減、設備投資ストップ、経費節減の手を打った。名古屋の繁華街、錦3丁目は出入り自粛の指示が出ている。この傾向はあらゆる消費に影響する。火災保険代理店も零細が多く、単独で生きていけない時代だが、中核代理店の下に個々の代理店が合同し1つの会社を作ろうとしている。書店業界も取次が仲人役になり、そういうことも考えられないか。麻生首相のおかげで『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)が売れている。暗い世の中だが、明るい話題を提供し、世の中に役立つ業界でありたい」と述べた。
議案審議は宮川源副代表(鎌倉文庫)を議長に進められ、前年度事業報告・会計報告は吉田哲夫世話人(文正堂本店)が報告。新年度事業計画は、東海ブックサミットのPOP大賞作品を共同拡販銘柄に取りあげるとし、予算案とともに拍手で承認した。
共同拡販表彰では小学館『ホームメディカ』店頭陳列コンクール、個店別販売コンクールで小学館大住常務から13店に記念品が贈られた。販売数トップは森後泰文堂の103部。
東海ブックサミット会場の投票で選ばれたPOP大賞は片桐実行委員長が開票結果を発表。事前エントリー大賞は自由書房市橋店の『16歳の教科書』(講談社)、当日エントリー大賞は白楊笹川店『腹ぺこレシピ』(オレンジページ出版)が選ばれた。
祝辞を述べた日販古屋社長は、昨年4月から今年1月までの名古屋地区のPOSデータについて書籍1・4%減、雑誌3・2%減、合計2・4%減と紹介したあと「東海地区はトヨタの動向が大きく、今後ますます厳しくなる。名古屋支社を中心に既存店活性化の手を打っていく」と述べた。
また、WWWプロジェクト、honyaクラブ、王子NEXTなどの現状を報告して「新しい取引の仕組みを作るには、責任販売制という言葉があってもツールがなかった。日販の持つインフラで新しい試行ができる。今年は従来にない新しい仕組みを提案していきたい」と強調した。
出版社を代表してポプラ社ホールディング坂井宏先社長は「不況こそ出版界が真価を発揮するチャンス。プライドと勇気を持って臨みたい」と述べた。閉会あいさつの日販上間淳一地域CEOは城山三郎『創意に生きる~中京財界史』(文春文庫)を紹介して、先人の歴史と気概に学び、もう一度日本一元気な名古屋に」と呼びかけた。

東京トーハン会が発足/初代会長に甲文堂・越石氏

東京トーハン会の設立総会が、1月26日、千代田区ホテルメトロポリタンエドモントに会員書店43名、出版社112名など166名が出席して開かれた。初代会長には越石武史氏(世田谷区・甲文堂書店)、副会長には岩瀬且敏氏(中野区・大谷書店)が就任した。
挨拶した越石会長は「昨夏、設立準備会を開催した。城南・大田・中杉トーハン会はいずれも会員数が減って十分な活動ができない。また、東京の半分以上の地域でトーハン会が未組織なので、できるだけ参加していただき東京トーハン会を設立することになった。137店舗で発足する」と経過報告を行った。
トーハン阿部好美常務は祝辞で「東京トーハン会は中部トーハン会、京都トーハン会に匹敵する規模となる。会員のコミュニケーションを図り、スケールメリットを生かして加盟書店の利益に直結する施策を展開していただきたい。全国トーハン会はバリューアップ販売コンクール、責任販売施策を実施している。積極的な取り組みをお願いしたい」と述べた。
このあと平成21年度事業計画の説明を承認して第一部の設立総会を終了。第二部ではプロ野球評論家の衣笠祥雄氏が記念講演を行った。続く懇親会でトーハン山﨑厚男社長は「東京各エリアの書店が集まっていただいたことは非常に意義がある。バリューアップコンクールを中心とする拡販活動で力が発揮され、相互コミュニケーション、販売研究といったメリットがある。書店・出版社・トーハン三者の協力の下、知恵を出して販売活動できる会にしていただきたい」とあいさつした。

本屋のうちそと

友人が店をたたんだ。著しい売り上げの低下は勿論だが、店舗の大家が契約更新で家賃値下げに応じなかったのが引き金になったそうだ。彼は、今後一年間くらいはのんびりしてその後はそれから考えるらしい。27年間休まずやってきたのだから罰も当たらないだろうと言う。
春になったら念願の北海道バイクツーリングを計画していて、当分はその日の天候や気分で夫婦揃って日帰りや1、2泊の小旅行をするそうだ。うらやましいなあと思うのだが、それはのんびりできるということへではなく、店をやめてしまった踏ん切りにである。もうやめようとは常に考えることだし、そういう状況が迫ってきているのも間違いない。しかし踏み切れないのが現実だ。
夢想する。店をたたんだ後、どうするか。のんびりするのも良いけれど、東京に行きたいな。そしてアルバイトでいいから書店で働きたいな。変な話、取次への支払いや経営したり従業員を使ったりはもうしたくない。それよりも純粋に本を手に取り、棚と向き合って仕事がしたい。何だか売り上げも上げられそうな気までするし、楽しそうな気がするのだがなあ。読書人口の多い東京ならそれも可能のように思えるし、還暦を過ぎていても経験者ということで働き口がみつかりそうな気がするのだがなあ。甘いかなあ?甘いよなあ。
というのを突き詰めていくと、結局その気持ちを現在の自分の店に向けろよ!ということになってしまう。さあ、がんばるか。(理)

鷲見没後25年で刊行/米子『夢はヴァイオリンの調べ』刊行会

国際コンクール入賞の佐藤陽子、千住真理子、黒沼ユリ子など名ヴァイオリニストを育て、ヴァイオリン界の父と称される鷲見(すみ)三郎没後25周年を記念し、故郷・鳥取県米子の「鷲見三郎没後25周年『夢はヴァイオリンの調べ』刊行会が『夢はヴァイオリンの調べ―鷲見三郎を探して』を出版した。松本薫著、B6判170頁、定価税込千円。鳥取県教科図書販売発行、今井書店発売。地方小出版流通センター扱い。
明治35年、米子市に生まれた鷲見は独学でヴァイオリンを学び、22歳で上京。N響の前身、新交響楽団で第一ヴァイオリン奏者を務める。戦後は国立音大、桐朋学園などで指導者として多くの才能を開花させる。
夏休みの課題で鷲見の生涯を調べる中学生が、次第に郷土の大先輩に惹かれていく筋立てで、小学校5、6年生から読める内容。