全国書店新聞
             

平成19年6月1日号

新会長に大橋信夫氏/柴崎繁、谷口正明氏は副会長

日書連は5月24日午前11時から飯田橋のホテルメトロポリタン・エドモントで第19回通常総会を開催。任期満了に伴う役員改選で丸岡義博会長が退任し、新会長には東京組合理事長に就任した大橋信夫氏(千代田区・東京堂書店)を選出した。大橋氏は初代大曽根銈治会長から数えて第8代目の会長になった。
24日の通常総会は杉山和雄理事(栃木)の司会、井門副会長の開会あいさつで始まり、丸岡理事長が開会あいさつ。丸岡理事長は昨年度の日書連の取組みについて振り返り、①「書店経営実態調査」で示されたマージンアップの要望を受けて新販売システムを実施した、②資金繰りの面から返品入帳処理の改善を取次に求めた、③書店従業員教育のためeラーニングをスタートした――などと要約。
反面、大型店出店などで中小書店の減少に歯止めがかからないことを指摘して「中小書店の急激な減少は全国に張り巡らされた緻密な書店網を崩壊させる。町に本屋があることが文化。活字文化の再生、書物の復権を目指して頑張っていきたい」と日書連の課題を明らかにした(要旨2面)。
議案審議は西村俊男理事(新潟)を議長に選び、第1号議案「平成18年度事業報告」、第3号議案「19年度事業計画案」を各委員会委員長が一括して報告・提案を行った。
質疑応答のあと、事業報告と事業計画案を拍手で承認。
平成18年度決算報告と平成19年度予算案は井門副会長が提案・説明し、久住邦晴、村田耕平両監事の監査報告を受けて原案通り承認された。
役員任期満了に伴う改選では、赤澤桂一郎(岩手)、長谷川義剛(神奈川)
、平柿宗敏(滋賀)、岩永藤房(佐賀)、大川哲夫(事務局)の5氏を選考委員に指名推薦制で理事55名、監事3名を選出。これを承認したあと、初理事会で会長に大橋信夫氏(東京堂書店)を選出した。副会長は井門照雄(愛媛)、鈴木喜重(千葉)、藤原直(宮城)、中山寿賀雄(長崎)、面屋龍延(大阪)の5氏が留任。新しく柴崎繁(東京)、谷口正明(愛知)両氏が副会長に選ばれた。大川哲夫専務理事は再任された。常任委員は12名の候補者全員を了承した。
大橋新会長は次のようにあいさつした。
「ただ今の理事会で丸岡会長の提案を受けて拍手で選任いただいた。日書連の会長は激務だが、大役を命ぜられた以上、全力投球する。日書連は大変な状況にあり本の売行きは落ちている。大書店が出店し、効率は落ちている。小書店は非常な圧迫を受けている。出版業界は書店と出版社の数は多いが取次は少なく、ガリバー型でいびつな形になっている。戦前、戦後の歴史がある。歴史を背負って東京堂書店の社長をしている。そういう経緯があり、逃げ隠れできない。お受けする以上は全うしなければいけないと肝に銘じている。皆さんのご信認をいただき、身の引き締まる思いで受け止めている。」
【略歴】
大橋信夫氏
昭和18年5月8日生れ、64歳。昭和41年学習院大学理学部物理学科卒業。43年同大学院修士課程終了。同年東京堂出版入社。45年東京堂書店入社。54年取締役、59年常務取締役、62年社長就任。平成9年東京都書店商業組合理事、千代田支部長。17年東京組合副理事長、19年5月同理事長。
柴崎繁氏
昭和22年11月30日生れ。59歳。昭和41年東京農大第1高校卒業。42年目黒区・王様書房入社、43年王様書房代表。平成2年2月東京都書店商業組合青年部会長。9年5月東京都書店商業組合常務理事、17年5月同副理事長。
谷口正明氏
昭和29年11月18日名古屋市生れ。52歳。昭和53年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。同年須原屋入社。55年名古屋市・正文館書店入社。平成2年代表取締役社長。16年9月代表取締役会長。16年5月から愛知県書店商業組合理事、17年副理事長、19年理事長。

返品入帳改善で前進/支払いサイトも課題に/環境改善ワーキング機関

組織強化委員長も兼ねる鈴木機関長は、平成18年度の各県組合員の推移について新規加入50店に対し403店が脱退、4月1日現在で前年より353店減の6330店になったと報告。減少する組合員に危機感を覚え、環境改善政策審議会とワーキング機関を立ち上げた経緯を説明した。
ワーキング機関の取組みとしては手始めに返品入帳の改善に取り組み、各取次と折衝した結果、3月末の入帳についてトーハンは5日短縮、日販も26日まで入帳と成果があったことを報告。現在、各取次別の3月末入帳を調べており、一覧にして発表したいとした。
また、鈴木機関長は新たな課題として支払いサイトの問題に言及。「実態調査では60日サイト、90日サイトにしてほしいという希望が多く、検討していきたい。返品率を下げた場合のインセンティブも研究したい」と述べた。
〔実態調査〕
日書連の書店経営実態調査で集まった声をまとめた「書店経営者―生の声」について高須委員長は「これまで冊子をもとに出版社の会合など6カ所で調査の概要、問題点を話してきたが、出版社は取次―書店の取引を知らない。どうしたら書店が営業を継続できるか、冊子で浮かび上がってきた問題点を日書連の政策に活かしてもらいたい」とまとめた。

丸岡会長あいさつ要旨

日書連は平成18年度も経済産業省、公正取引委員会、全国中小企業団体中央会の指導の下、雑誌小売業の改善・発展を図るため、組合員の公正な経済活動の機会を確保し、経営環境の整備を図ることを目標に活動してきた。
18年度に取り組んだ事業の第1に6年振りに行った全国小売書店経営実態調査が上げられる。目的は組合加入書店の経営実態を明らかにし、日書連の課題を明確にすることにあった。様々な角度から集計を行い、昨年の総会で報告書を発表し、12月には『書店経営者生の声』をまとめた。
この実態調査で示された書店の一番の要望はマージン拡大だった。これを受け受注生産、満数配本、買切り返品ゼロ、実質マージン40%の新販売システムを実施した。今後、システムに改善を加えながら書店マージンの拡大をフォローしていきたい。
一方、規模の大小にかかわりなく資金繰りに苦労し、返品入帳処理の改善を求める声が出てきた。日書連では10月23日付で取次8社に締め切り請求日ぎりぎりまで入帳していただきたいと、返品入帳改善のお願いを送付した。
再販問題では第6回ネット販売フェアの品目を調査したところ、発行1年以内の新刊が50点入っていた。書店店頭で定価で並んでいる可能性が多く、ネットで割引されれば価格に対する信頼性を失う。該当の15社には配慮をお願いした。
新人の書店従業員がインターネット上で業務研修できるeラーニング・システムも開講した。開講に当っては小学館にお世話になった。改めて御礼する。
組合員の減少は止まっていない。18年度は期首6863店だったが、加入50店、脱退403店で、差引き353店減少、今年4月1日で6330店になった。なんとか減少に歯止めをかけたい。
最近の懸念はネット書店が伸びていることだ。調達日数が速く、ポイントサービスもやっている。町の書店も客注迅速・確実化を図ることが必要だ。同時にネット書店にないリアル書店の良さを出していきたい。フリーマガジンも町の書店の雑誌販売を侵食している。出版社にはコンテンツの充実をお願いしたい。
出店の増加もある。これだけ出版物の売上げが下がっている中、果たしてそれだけ出店の余地があるのか。大型店出店が町の本屋の廃業につながらないよう、市場を奪うのでなく、開拓を主眼にしていただきたい。町の本屋がなくなれば、読者が立ち寄る機会が奪われ、お年寄りが本を買うにも県庁所在地まで行かなければいけなくなる。大型書店は出店しても組合に加入しない例が多い。書店組合は再販なり発売日なりの土俵作りをしている。大型書店は費用を負担せず、いいところ取り。社会的責任を果たしてもらいたい。
消費税の問題も参議院選挙後、間違いなく浮上してくる。業界としての対応を考え、一致団結していかないと押し流される。
時代は潮目。ライフスタイル、本をめぐる環境は変わり、中小書店には厳しい局面だが、中小書店の急激な減少は全国に張り巡らされた緻密な書店網を崩壊させる。町に本屋があることが文化であり、読者の期待に応えていきたい。新しい流通システムの構築に挑戦しながら、活字文化の再生、書物の復権をめざして頑張っていきたい。

国際地学協会の返品入帳で議論/取引問題

地図の国際地学協会が昨年秋、民事再生法を申請し、書店からの返品入帳が取次から逆送された問題で、下向委員長は、当初、取次によって書店に情報が正しく伝えられなかったのではないか。返品許容との関係で混乱が発生したと指摘した。
また、民事再生手続きにあたって国際地学側が取次保留分の資産は書店の返品に当てるためゼロとして計上したことを指摘。今後の対応について確認した日書連の質問に対し、取次3社が4月25日付で「検討の時間をほしい」と回答してきたことを明らかにした。
一方、柴崎委員は不公正取引との関係で同問題について「通常は商慣習として返品を取っているのに、有事になると約定書通りに適用される。そのあたりの問題を検討していきたい」と述べた。

第2弾の出品交渉中/新販売システム呼びかけ

書店マージンの拡大を掲げて昨年10月の文字活字文化の日に発売した「新販売システム」の販売について藤原委員長は「皆さんに大変な力添えをいただいたことに感謝する」としたあと、今年3月末現在で各県組合を通じて在庫調査を行ったところ、約半数の書店からの回答で『窓ぎわのトットちゃん』は半分、『だいじょうぶだいじょうぶ』は7割強の売行きだったと報告。講談社調べでは『だいじょうぶ』は2万部製作し当初1万2千部の注文、その後追加注文があり売り切れ、いま重版にかかっている。『トットちゃん』はまだ在庫が残っていると説明した。
今年の第2回実施については、すでに4月に出版社向け説明会を実施して25社が出席したこと、現在出品を交渉中であり、できるだけ多くの出版社の参加を得て定着させたいと意欲を述べた。
雑誌発売日の問題では「何としても全国同日発売を目指したい。北九州でサンデー、マガジンが首都圏と同日発売になったなど、少しずつでも前進している」と説明した。

図書館納入サポート/専門チーム立ち上げ書店支援

学校図書館、公共図書館納入問題について井門委員長は日書連マークの普及では青森、山形、福島、京都、福岡と各地で成果が上がってきたが、最近、図書館運営一切を委託する「指定管理者制度」導入の流れがあり、情報化委員会に専門部会として業者も含めた「図書館サポート委員会」を立ち上げたことを報告。組合員からの問合せやサポート要請に応えていきたいとした。
また、全国情報化委員長会議は今年も7月5日に東京国際ブックフェアの会場で開催。内田洋行の図書館システムの見学も計画している。
情報化に関しては昨年まで小学館、集英社から各600万円の補助を得ていたが、今年からは昭和図書が1200万円を補助していただけることになったと報告した。
書店データベースは現在36組合がチェックを終了し、残りは11組合。生きた書店の実数をつかむため書店データベースを活用していく。今後、5年に1回程度更新していく。
ICタグは出版社における4年間の実験が完了したが、もともとICタグは万引き防止でスタートしたものの、いつの間にか物流の方にシフトしてきた。ICタグ自体は1枚5円でも実際に運用するとなると30円程度の費用がかかり、経済的効果の問題がある。万引きの問題と商品のトレーサビリティ、ユビキタスからはぜひつけていただきたい。インフラセンターの中で書店部会をつくり、ICタグの成果、コスト吸収、センサー開発、費用負担などを検証していきたいと報告した。

再販弾力運用を検証/出版再販の存続に危機感

岡嶋委員長は再販問題をめぐる情勢について、「一昨年、書協、雑協、取協、日書連4団体の再販研究委員会規約が改訂され、事務局が書協に移って以降、委員会も開かれず、違反を報告しても検討されない状況が続いている」と報告。
一方、出版流通改善協議会が毎年まとめている「弾力運用レポート」について、「弾力運用が拡大を続けており、これまでの取組みを検証する必要がある」と再販研究委員会に問題提起した結果、ようやく委員会が発足した経緯を説明し、近く検討を始めたいとした。
さらに岡嶋委員長は「再販制度は出版社が価格を拘束できる制度で、出版社は重い責任を負っているが、崩壊の一歩手前に来ているといわざるを得ない。出版社側の責任を強く求めたい。末端の読者まで均一な文化を届けるには再販が必要であり、再販擁護の運動を続けたい」と今後の方針を述べた。

質疑応答採録

万納昭一郎氏(神奈川)一昨年、書店と取次は法の下で対等であるという決議をした。返品入帳で締め日までの送品を入帳するのは社会的通念。請求書が遅くなっても締め日まで入帳させるべきだ。国際地学協会の返品未入帳問題は時効にならないよう交渉を。
鈴木喜重副会長取次は放っておけば何もしない。できるだけ月末に向けて入帳する方向に向けた。あと5日が詰まっていない。3月末の返品入帳について取次各社の回答を求めており、揃ったところで一覧表にして発表したい。
下向磐取引問題委員長東京、千葉、埼玉、神奈川の書店在庫を調べたところ3587万円分あった。地図共販の分は140万円入帳している。他取次は国際地学協会の請求を払うため書店の返品を受けないとしていた。民事再生計画で国際地学側が請求権を放棄したので根拠がなくなった。取次から文書回答を得てすすめたい。
植田栄一氏(千葉)著作物の再販制度は法律で認められているのに、公取委がポイントカードを認めるのはおかしいのではないか。
岡嶋成夫再販委員長小売公取協が認めているトレーディング・スタンプは景品であり、値引きのポイントカードを認めたわけではない。公取委が「微々たるもの」「消費者利益に資するもの」と言いながら、具体的な数字を示していない。そのまま範囲が拡がっているのが現状だ。
武藤武久氏(千葉)サン・ジョルディの日のポスターを書店で活用していない。ワッペン、バッジなどを店員、こどもにつけさせてはどうか。
高須博久副会長愛知組合は独自のポスターを作り、イベントも定着している。全国的にはキャンペーンの見直しが必要だろう。
長谷部泰三氏(千葉)千葉組合では養護学校7校に本と花を寄贈し、学校から感謝状が届いた。
平井弘一氏(神奈川)人口30万人の富山市に970坪の紀伊國屋書店が出店すると聞いた。正常な競争とはいえないのでないか。
下向委員長立地法や中心市街地活性化との関連で、町全体で考えるべきではないか。大企業と中小業者の争いなら商調法で解決できるが、紀伊國屋書店は大企業にあてはまらない。
吉岡隆一郎富山組合理事長再開発の百貨店には国県市の税金が投入されている。地元に税金を払っていない紀伊國屋を連れてきて、われわれに話がないのはおかしいと、県市に働きかけている。
中島俊彦氏(大阪)活字文化推進会議がやっている子どもの本フェスティバルで読売新聞社、大阪屋、大阪組合それぞれに不満がある。
大川哲夫専務理事JPICと読売新聞社が主体でやっているはずだ。事実関係を調べてみたい。

新組合法で研修会/各県組合事務局対象に

中小書店の苦しい経営を打開するため、広く書店現場から「私の書店論」を募集、27編の応募の中から、特選に久住邦晴氏(北海道・久住書房)の「町の本屋の再生をめざして」を選んだほか、入選3点を選び書店新聞で順次紹介したことを大橋委員長が報告。「お店、現場で活用して欲しい」とした。
また、書店新入社員、パート社員の教育のため、小学館の協力を得て「e―ラーニング」システムを開発。インターネットを利用して組合員なら無料で学べる仕組みで、今年3月までに220人が講習を受け、60人が終了したと報告された。
新年度は8月21日、22日に各県組合事務局を対象に新組合法を中心とした研修会を実施する。
〔消費税〕
面屋委員長は「10年に及ぶ出版不況の中で、消費税率が上がれば、輪をかけて売上げが下がるのは明らか。参議院選挙後に税率上げが議論されるのは必至」と現状を分析して、出版業界の対応について3月6日に4年ぶりの出版4団体税制協議会が開かれ、5月11日に第2回会合があったこと、日書連では湖東京至教授を招いて勉強会を開いたこと、新聞業界ではすでに軽減税率を求めて活動していることを紹介して、出版業界も早急な取組みが必要なことを強調した。
〔広報〕
47都道府県組合に置いている各県広報委員を通じてニュースを集めており、今年1年も親しまれる「書店新聞」の編集に努力すると山口委員長が説明した。
〔共同購買〕
中山委員長から特製手帳『ポケッター』は今年度も10万5千部程度の製作斡旋を予定していること、雑誌袋は新たな製袋業者を探していると説明があった。
〔福利厚生〕
中小企業の災害補償を行う「あんしん財団」の代理店業務を昨年より展開しており、今後もPRしていく。現在の加盟者は73名。

法律追い風に読書推進/個店、県組合の取組みも

児童図書出版協会と実施している「心にのこる子どもの本」は31回を数え、夏休みセールだけで1億1500万円販売して成果を上げていることを舩坂委員長が説明した。
サン・ジョルディの日のキャンペーンについては、文化講演会、地区イベント、雑誌出版社共同懸賞、春の書店くじと多面的に展開している。
昨秋の読書週間書店くじについては、特賞「英国7日間の旅」を5月8日から14日まで実施。団長として引率した安部悟理事(福井)が報告を行った。春の書店くじの特賞旅行はギリシャ旅行。
書店くじの見直しに関しては、一時期1千枚あった注文数が減っており、くじ参加店も減少していることから、組合員全体が使い、なおかつ負担が少なく読者が喜ぶ書店くじを考えていく方針。
読書推進運動については高須委員長が個人レベル、書店単位、県組合、日書連とそれぞれの段階での取組みが必要だとして、絵本ワールド、読書週間、サン・ジョルディの日などの取組みを行ってきたものの、PRがまだ不十分であることを指摘。「文字活字文化振興法などの法律を追い風に、活字に親しむ運動を訴えていこう。日書連も材料を提供し、支援していく」と呼びかけた。

スタンプ景品、2%に/値引きと景品提供の線引きを/出版物小売公取協総会

出版物小売業公正取引協議会は5月23日午後4時から書店会館で2007年度総会を開催した。
総会は山根金造氏の司会で進行。鈴木喜重副会長の開会の辞で始まり、井門照雄会長があいさつ。この5月25日からトレーディングスタンプ等のサービスが取引価格の1%から2%に緩和されることについて「昨年、トレーディングスタンプ等のサービスを取引価格の1%とするなどの公正競争規約変更案が公取委により認可され、施行された。読者サービスが質を変えて新しい領域に入りつつあることを認識していただきたい。今後、新しいルールの定着を図るとともに、1%から2%に変わることでどのような変化が起こるか実態を把握、分析し、読者サービスの観点からもいい形を考えていきたい」と述べた。
さらに、「値引きと景品提供の間の線引きができていない出版社が多いのは残念。昨年、トレーディングスタンプ1%を容認したのは値引き1%を容認したのではない。また、出版社、取次と特定の書店が組んで景品提供を行なう場合、年2回というルールのうちの1回であるという認識もしっかりと持っていただきたい」と注意を促した。
続いて来賓の公正取引委員会消費者取引課の粕渕功課長があいさつ。「平成18年度、公取委が最重要課題としたのは独禁法の改正。景品表示法にも力を入れて取り組み、消費者に不適正な商品選択を行なわせる行為、不当表示の排除命令を行なってきた。出版物小売業については近年活字離れが言われており、非常に残念。初めて本を読んだときの感動、喜びは今でも新鮮に覚えている。父から本を与えられてから読書好きになった。大人が子供に本を読む喜びをいかに伝えていくかが重要と感じている。この5月25日からトレーディングスタンプ等のサービスが1%から2%に引き上げられると聞いている。引き続き皆様のご理解とご協力によりスムーズに運用されることを期待している」と話した。
井門会長を議長に議案審議を行い、平成18年度事業報告、平成19年度事業計画案を影山稔専務理事、平成18年度収支決算報告、、平成19年度収支予算案を大川哲夫事務局長が上程し、すべての議案を原案通り承認可決した。
事業報告の中で影山専務理事は、「出版物小売業公正競争規約」「同施行規則」一部変更の経緯を説明。また、「景品提供のルール―公正な競争のために―」と題するリーフレットを平成18年度公取委の委託事業により1万2千部作成し、会員はじめ賛助団体、関係団体に配布し主旨の徹底を図ったこと、「景品としてのスタンプサービスについて」および「図解値引きは規制の対象外」を作り理解を求めたことを報告した。一般ルールでの総付景品の提供を取引価格の10分の1から10分の2に引き上げる緩和に向けての見直しについては、「書店業の利益率は一般小売業と比べて非常に低率で、景品提供の原資がなく、景品競争に耐えられる体力はない」という理由を付して反対の意思表示を行なったとした。ネット書店が送料を無料にしている件については、以前は送料を取引に付随した役務の提供として景品類に当たると考えていたが、最近の公取委の見解では景品規制の対象から外していて、正常な商慣習の範囲内の送料は読者へのアフターサービスの1つと指導しているようだと説明した。
平成19年度事業計画案については①出版物小売公取協の「公正競争規約」に対する理解と正しい運用、普及のための活動研修会等の開催、②景品表示法をはじめ、関係法令の研究並びに規約違反の防止、③一般消費者、消費者団体及び出版業界団体との連絡、④関係官庁との連絡、⑤広報活動――を承認した。
役員選任では和泉徹郎(秋田)、久住邦晴(北海道)の2氏を新理事に承認した。

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・芦澤厚子

◇2歳から/『ちびすけどっこい』/こばやしえみこ=案/ましませつこ=絵/こぐま社945円/2006・7
”ちびすけどっこいはだかでこい”とおすもうごっこが始まります。「はっけよーいのこった」と、うさぎ、たぬき、くま、そして元気な男の子のちびすけやまの登場…。子供たちも体を使って遊べる、お父さんの出番もありそうな、わらべうたの心地よい響きの楽しい絵本です。
◇4歳から/『ハンダのびっくりプレゼント』/アイリーン・ブラウン=作/福本友美子=訳/光村教育図書1400円/2006・4
ハンダは友達のアケヨにプレゼントしようとかごに果物を7つ入れ、頭に乗せて歩いていきます。アケヨはどの果物が好きかな?といそいそ行く途中、なんとびっくりする事が起こります。果物はいったい!?モデルはケニアのルオ族の子供、明るい野性的な色彩に元気をもらえそうです。
◇小学校低学年向き/『ピリカ、おかあさんへの旅』/越智典子=文/沢田としき=絵/福音館書店1700円/2006・7
北の海で泳ぐ鮭のピリカは4才になります。ピリカが育つ海のようす、大人になってピリカが生まれ故郷に川に戻り、自分もいつかおかあさんになっていくピリカの一生が温かく描かれています。厳しくとも、美しい海、そして自然界、スケールのある絵に思わず引き込まれ、圧倒されます。

日書連新役員一覧

会長=大橋信夫(東京・東京堂書店)
副会長=井門照雄(愛媛・丸三書店)、鈴木喜重(千葉・ときわ書房)、藤原直(宮城・金港堂)、中山寿賀雄(長崎・好文堂書店)、面屋龍延(大阪・清風堂書店)、柴崎繁(東京・王様書房)、谷口正明(愛知・正文館書店)
専務理事=大川哲夫(事務局)
理事=久住邦晴(北海道・久住書房)、伊澤崇(同・伊澤書店)、鶴谷禄郎(青森・鶴常書店)、和泉徹郎(秋田・金喜書店)、赤澤桂一郎(岩手・さわや書店)、五十嵐太右衛門(山形・八文字屋)、西猛(福島・西沢書店)、大野豊治(茨城・大野書店)、杉山和雄(栃木・杉山書店)、大澤孝輝(群馬・天華堂書店)、水野兼太郎(埼玉・水野書店)、長谷川義剛(神奈川・長谷川書店)、山本裕一(同・信濃屋)、丸岡義博(東京・廣文館書店)、青柳和人(山梨・こうべ書房)、古澤隆(静岡・マルサン書店)、佐藤光弘(愛知・光書店)、木野村祐助(岐阜・東文堂本店)、作田幸久(三重・作田書店)、西村俊男(新潟・文信堂書店)、吉岡隆一郎(富山・文苑堂書店)、森井清城(石川・紀陽館森井書店)、赤羽好三(長野・凌雲堂書店)、安部悟(福井・安部書店)、平柿宗敏(滋賀・平柿文仙堂)、戸和繁晴(大阪・トーワブックス)、中村晃造(京都・桂書房)、西本功(奈良・ジャパンブックス)、宮井治夫(和歌山・宮井平安堂)、三上一充(兵庫・三上尚文堂)、田江泰彦(鳥取・今井書店)、今井直樹(島根・今井書店)、吉田達史(岡山・研文館吉田書店)、水川雅生(広島・広書房)、冨永信(山口・冨永書店)、西尾文士(香川・西尾誠文堂)、平野惣吉(徳島・平惣)、本久善一(高知・片桐開成社)、山口尚之(福岡・三山書店)、長谷川澄男(同・ブックイン金進堂)、岩永藤房(佐賀・鹿島書房)、長﨑晴作(熊本・熊文社)、大隈劭(大分・おおくま書店)、田中隆次(宮崎・田中書店)、坂口洋右(鹿児島・金海堂)、山田親夫(沖縄・球陽堂書房)
監事=中田成一(埼玉・日野屋書店)、江﨑直利(静岡・藤枝江﨑書店)、村田耕平(兵庫・三宮ブックス)
常任委員=長谷川正夫(埼玉・文泉堂)、村田正喜(千葉・学友堂)、井上俊夫(神奈川・井上書房)、岡嶋成夫(東京・ブックロード)、舩坂良雄(同・大盛堂書店)、梅木秀孝(同・梅木書店)、越石武史(同・甲文堂書店)、斉藤行雄(静岡・谷島屋)、藤田彰(大阪・ブックプラザ)、石尾義彦(同・萬石書房パルネット住之江店)、辻本和樹(京都・向島書店)、山根金造(兵庫・巌松堂書店)

各書店が多彩な読者プレゼント/福岡・北九州支部

福岡県書店商業組合北九州支部(白石穣一支部長)は4月20日から30日まで、同支部加盟37書店で「サン・ジョルディの日in北九州2007」を開催した。
日書連は地方独自のサン・ジョルディ・イベントの活性化を図るためPR企画推進費を1組合当たり20万円を上限に拠出したが、同支部はこれを利用して今回のイベントを実施したもの。後藤惇実行委員長を中心に、各書店の自由な発想を生かして、多彩な催しを実施した。
各書店は独自に読者プレゼントを実施。内訳は花2店、ミニポット8店、ハーブ缶6店、スイーツ1店、おしばなのしおり4店、花のしおり15店と多彩。このほかお薦め本コーナー、手書きポスター・POP、花などを利用した店頭飾り付けを行なった。
なお、同支部では店頭飾り付け写真コンクールを実施し、優秀店を表彰する予定。福岡県書店商業組合ホームページ(http://www.fjnano.com/)で、各店飾り付け写真の一部を見ることができる。

大原まゆ氏が闘病テーマに講演会/北海道・十勝支部

北海道書店組合商業組合十勝支部(高橋千尋支部長)は4月20日、帯広市の道新ホールで第18回サン・ジョルディの日記念講演会を開催した。
今回は、乳がん闘病手記『おっぱいの詩』の著者で札幌市在住の大原まゆさんが「だいじょうぶ、きっとわたしはがんばれる!」と題して講演した。会場には150名の聴衆が集まる盛況だった。
大原さんは21歳の若さで乳がんの告知を受け、入院、手術の後、現在も治療中。講演では、闘病を支えてくれる家族を含め周囲の人たちの事や、闘病中に出会った人たちとの関わり合いを中心に、その時々の心情が語られた。厳しい状況を受け入れ、前向きに生きる大原さんの言葉に、来場者は大いに感銘を受けた様子だった。
講演終了後、サイン本・花束・図書カードのプレゼント抽選会を実施し、盛会の内に講演会を終了した。
(有田書房・有田光秀)

新理事長に谷口正明氏/組合員の力を結集し課題に取組む/愛知組合通常総会

愛知県書店商業組合は5月17日午後3時から名古屋市千種区の愛知厚生年金会館で第24回通常総会を開催、組合員191名(委任状含む)が出席した。
総会は大原鉦冶副理事長(押切堂書店)の司会で進行。既に退任を表明している高須博久理事長(豊川堂)が「皆様の物心共なるご支援でこの8年間を無事に終えることができた。おかげさまで、愛知県組合は読書推進を熱心にやる県だという定評をいただいた。次の理事長予定者、谷口さんにも絶大なる支援をお願いしたい。今日は積極的な発言で、今まで以上に活性化した組合にしていただきたい」とあいさつした。
続いて加藤登志雄副理事長(安城日新堂)を議長に各議案を審議し、平成18年度事業報告、平成19年度事業計画案、収支決算・予算案などを可決承認した。
このうち平成18年度事業報告は各委員長から説明があり、①サン・ジョルディフェスティバルは4月21日・22日の日程で開催、71万円を売上げる盛況だった。②「中学生はこれを読め!」フェアを愛知・岐阜・三重3県で開催、アンケート調査で次回も継続して実施したいとの声が多かった。③発売日違反は今期の上申はゼロだったが、悪質な業者はまだいるので違反を発見したら一報してほしい――などの報告があった。また、一部定款変更の件では、理事数を30人以上37人以内とする変更案を承認した。
続いて役員改選を行い、選考委員が理事35名、監事2名を選出したのち第1回理事会を開き、谷口正明氏(正文館書店)を新理事長に選出した。所信表明で谷口理事長は「伝統ある愛知県組合の理事長をおおせつかり、身の引き締まる思いだ。分からないことばかりだが、皆さんの力をお貸し下さるようお願いする。いま書店の環境は大変厳しいものがある。一人ひとりの力は小さいが、書店組合の役割として、それを合わせてやっていくことが大事だと思う。また、私たちも権利主張だけでなく、自分たちがいま何ができるかということをそれぞれが考えることも必要だ。理事長としてのもう一つの使命は、次の書店業界を背負ってくれる人たちに組合に参加してもらうこと。若い人たちが跡を継ぎたいと思ってくれる書店、組合でありたい。筋の通らないことは力を合わせて是正し、公平で平等な、皆が納得できる業界にしたい」とあいさつした。
午後5時からは出版社、取次、業界関係者を交えて懇親会を開催。長年の功績を称えて高須前理事長に感謝状が贈られた。
〔愛知組合執行部〕
▽理事長=谷口正明(正文館書店)
▽副理事長=大原鉦冶(押切堂書店)林茂夫(松清本店)加藤登志雄(安城日新堂)佐藤光弘(光書店)

面屋龍延理事長を再選/学校図書館電算化チーム設置へ/大阪総代会

大阪府書店商業組合は5月18日午後1時から大阪市北区のホテルモントレ・グラスミアハウスで第25回通常総代会を開き、組合員81名(委任状含む)が出席。役員改選で面屋龍延理事長(清風堂書店)を再選した。
総代会は矢嶌茂理事(向文堂書店)の司会で進行し、面屋理事長があいさつ。この10年で出版業界の販売金額が81・6%に落ち込んだこと、雑誌の低迷が深刻であること、日書連傘下組合員数62・9%、大阪組合64・7%と組織規模が縮小していること、中小書店の廃業が増加する一方で全体の売場面積は拡大していること等のデータを紹介。「町の中小書店は大変な苦境に立たされている」と指摘し、日書連の施策について「全国小売書店経営実態調査の結果に基づき新販売システム、返品入帳改善運動に取り組んでいる。学校市場へのTRCの進出に対しては、日書連MARCの普及を図っている」と話した。
議長に坂口昇(梁川書店)、副議長に猿田一男(ブックス新)、長谷川勝(長谷川書店)の各氏を選出し、平成18年度事業報告、同・収支決算書、平成19年度事業計画案、同・収支予算書案などすべての議案を原案通り承認可決した。
各委員会報告のうち、学校図書館・IT関連問題については、各小中学校図書館の電算化への移行に対応し、地元書店が円滑に対応するための組織として「学校図書館電算化PT(プロジェクト・チーム)」を立ち上げることを了承。図書装備実務、電算化ソフト取り扱い等についてアドバイスとサポートを行なう。チーフは深田健司理事(ブックスふかだ)がつとめる。
また、指定管理者制度導入の動きに対応するため、応札可能な組織体制の確立を目指す。
読書ノート、本の帯創作コンクール等の読書推進事業については、他の組合運動(再販維持、図書館問題など)で社会的な支持を得るためにも重要な意義を持つとして、いっそう推進を図りたいと報告があった。
新年度事業計画では、①再販、消費税などの問題で日書連、近畿ブロック会とともに活動する、②中小書店の営業を大書店やチェーン店から守るため、協業化や経営支援策について検討する、③当面の課題に機動的に対応するため若手、女性の理事を積極的に起用する――などの活動方針を了承した。
役員改選では理事41名、監事3名の候補者を一括承認。総代会終了後に初理事会を開き、面屋理事長を再選した。引き続き第2回理事会を開き、副理事長3名を決めた。
このあと、午後6時から永年勤続優良従業員並びに家族従業員表彰式を行い、永年勤続優良従業員(10年)の樋上みゆき(松原市・正文堂書店)、小西澄子(羽曳野市・ホビーアリモト)、同(5年)の北田都保(松原市・正文堂書店)、松岡裕子(大阪市・蒲田フミヤ書店)、家族従業員の青谷由美(大阪市・青谷書店)各氏を表彰。出版社、取次など関係者を交えて懇親会を行なった。
〔大阪組合役員〕
▽理事長=面屋龍延(清風堂書店)
▽副理事長=戸和繁晴(トーワブックス)藤田彰(ブックプラザ)石尾義彦(萬石書房)

大橋氏を新理事長に選出/組織強化などに重点/東京組合総代会

東京都書店商業組合は5月17日午後1時半から日本出版クラブ会館で第31回通常総代会を開き、役員改選で新理事長に大橋信夫氏(千代田区・東京堂書店)を選出した。
総代会は鳥井匡氏(文栄堂書店)の司会で進行、丸岡理事長は「出版業界は厳しい状況が続き、町の書店も苦しい。東京組合もこの1年間、新規出店4店に対し脱退が49店と営業不振の脱退が多かった。東京組合は日書連の中核として書店経営基盤拡充のため、新販売システム導入、返品入帳改善などの取組みを行ってきた。経営実態調査に寄せられた意見をまとめた『生の声』は自分の店を見直す参考資料にしてほしい。東京組合の財政は組合員の減少に伴い賦課金、共同購買収入が減り、家賃収入減と保証金返却で資金繰りが厳しい。新年度に解決すべき課題だ」とあいさつした。
武田初男議長(芳進堂)、鈴木康弘副議長(優文堂)で進められた議案審議では、大橋、下向、柴崎、岡嶋の4副理事長が担当委員会ごとに活動報告を行った。
このうち流通改善では柴崎副理事長が「客注迅速化は通常ラインのスピードアップを目指したが、取次の戦略は高正味、別料金の特急便。注文品はTS流通を利用してもらいたい。返品入帳はトーハンが10営業日から5営業日になった。雑誌付録は違反事例を送付して徐々に改善している」と報告した。
再販問題については岡嶋副理事長が「消費者利益の1語で再販制度崩壊の寸前にある印象を受けている。弾力運用検討委員会に東京組合の声を反映していきたい」と述べた。
決算報告では大橋副理事長が①資産の大半が土地・建物でキャッシュフローが足りない、②土地取得のローンも続いており、借入金の処理が大きなテーマになると指摘した。
事業計画案は柴崎副理事長が重点項目として①非組合員の組織化、②従業員も含めた広報、③通常注文品の迅速化、④取引制度の見直し、⑤消費税5%据え置きなどの取組みを掲げた。
質疑では「資金が逼迫しているのなら、抜本的な切開手術が必要ではないか」「組合組織の見直しでスリムに」などの声が上がった。
事業報告、事業計画、決算、予算案を承認したあと、任期満了に伴う改選で新理事50名を承認。別室で臨時理事会を開き、投票の結果、新理事長に大橋信夫氏を選出した。
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東京組合は18日正午から臨時理事会を開き、副理事長、常務理事を選任した。
副理事長=柴崎繁(王様書房)、岡嶋成夫(ブックロード)、舩坂良雄(大盛堂書店)、丸岡義博(廣文館書店)
常務理事=梅木秀幸(梅木書店)、越石武史(甲文堂書店)、小泉忠男(小泉書店)、岩瀬且敏(大谷書店)、秋葉幸伸(ブックタウン)、本間守世(本間書店)、片岡隆(ブックスページワン)、高岡和夫(高岡書店)、小林洋(烏山書房)、渋谷眞(四季書房)

値引き問題の対応報告/兵庫理事会

兵庫県書店商業組合(三上一充理事長)は5月8日、エスカル神戸で定例理事会を開催した。
三上理事長は冒頭のあいさつの中で、先般の統一選挙で山根副理事長(巌松堂書店)が明石市議会議員選挙の3期目の当選を果たしたこと、森井副理事長(森井書房)の兵庫県商工功労賞受賞が決まったことなどを報告した。
委員会報告では、第5支部より先月報告のあった、1割引で配達を始めた書店について「経費と手間の関係からか4月末を以て配達業務を中止することで決着した」と改めて報告があった。また第7支部では、学校関係へ15%引きで売り込みをした書店(新規参入)があったが、申し入れによりこれを撤回したと報告があったほか、課題図書など13%を超える値引きによる入札があったことなどが報告された。
総務及び企画委員会からは、共済会の5億数千万円の余剰金について各県一口1万円の割合で分配金として入金があったが、県組合としてその取扱については近隣組合の動きと併せて検討中である旨報告された。
また、7月は移動理事会として7月10日(火)に第5支部(播磨地区)の担当で実施されることとなった。(中島良太広報委員)

ふるさとネットワーク/東海ブロック編

〔山梨〕
NHKの大河ドラマ「風林火山」が人気ですが、勘助役を務める内野聖陽さんらを迎えて第37回信玄公祭り・甲州軍団出陣が4月7日、JR甲府駅前の平和通りや舞鶴城公園で行われ、勇壮な戦国絵巻が再現された、メインは「甲州軍団出陣」、出陣の儀式三献の儀から各軍団の出陣へと、華麗ななかにも勇ましい一大戦国絵巻がくりひろげられます。武田信玄と騎馬隊、総勢千六百人による時代行列やパフォーマンス等が展開されます。今年の信玄公役は若林豪さん、勘助役は田中健さんらが演じ、大勢の応募の中から選ばれた上田ひとみさん演じる由布姫(湖衣姫)らに沿道の観光客から大きな声援があがっていた。この時期山梨県内の各地では、信玄公の遺徳を偲ぶさまざまな催し物が執り行われ、「風林火山」の旗がはためき、気分は戦国時代です。(上田久広報委員)
〔静岡〕
静岡県の西部地区に掛川市があります。政令指定都市の静岡市と浜松市の中間に位置する城下町です。
去年はNHKの大河ドラマ「功名が辻」の影響で掛川城は大変な賑わいでした。が、今は静かな人も疎な商店街です。
この中心部より北に10㎞、原里という地区に、加茂家の加茂菖蒲園があります。この加茂家は桃山時代からの庄屋で、テレビなどでも紹介されていますので、全国でご存じの方も多いかと思います。
6月の梅雨の頃、雨の降っている日に観賞するのがまた格別とのこと。
ところが書店人は毎日忙しく、花を楽しむ余裕があるのかしらと思いますが、心に余裕がなければ読者に本を勧めることができないことも確かですね。
(菅沼壽広報委員)
〔愛知〕
愛知組合主催の「サン・ジョルディフェスティバル名古屋2007」が4月21日、22日の両日、名古屋市東区のオアシス21・銀河の広場で盛大に開催されました。チャリティコーナーは初日から人垣ができ、対応におおわらわでした。今年の目玉企画である、組合ブースの「中学生はこれをよめ」コーナーは、予想以上の反響に関係者一同びっくり。地元中学生の生の声「わたしの一冊」大型プレートがズラリ展示され、推薦の本も並べたところ、中学生はじめ学生らが多数押し寄せ、大変な混雑になりました。町の本屋が主旨を読者に真剣に訴えれば、必ず反応があることを実感したイベントになりました。売上げも130冊、12万円余で、しかも定価でお買い上げいただきました。この行事を継続してきたことは、組合員一同の喜びでもあります。(榊原壮一広報委員)
〔岐阜〕
毎年7月中旬から9月上旬にかけて開催される伝統的な盆踊り「郡上おどり」。西馬音内盆踊り(秋田県)、阿波踊り(徳島県)とともに「日本3大盆踊り」と称され、1996年には重要無形民俗文化財にも指定されている。特にお盆の時期(8月13~16日)に明け方まで夜通し踊り続ける「盂蘭盆会(徹夜踊り)」が有名。
期間中、寺社の境内、一般の道路、街角の広場など、会場を移しながら開催される。郡上節を演奏する囃子の一団が乗る屋形を中心に輪を作って踊る。完全自由参加で、見物人よりも踊り手のほうが圧倒的に多い。優秀な踊り手には免許が発行される。
今年の夏も7月14日「おどり発祥祭」から9月8日「おどり納め」までの計33夜(お盆の徹夜踊りも含む)のべ56日間、郡上八幡は踊り一色となる。
〔静岡〕
お茶といえば静岡県のものや宇治茶、狭山茶などが全国的に有名で、三重県生産のお茶=伊勢茶は知名度では見劣りがする。しかし三重県は、お茶の栽培面積・生産量・生産額で静岡県、鹿児島県に次いで全国3位と、確固たる地位を築いている。
近年需要が高まっているアイスクリームなどに使用する加工用原料茶で82%と圧倒的なシェアを持ち、アミノ酸の一種であるテアニンを多く含んだ「かぶせ茶」(玉露とほぼ同じ高級茶。玉露と煎茶の中間の香り)の生産量も全国1位。そんなことから、今後、上記の順位は入れ替わる可能性があるとも言われる。
大半の地域の年間平均気温が14~15度と気候温暖で、お茶の栽培に最適。三重県の特産品といえば伊勢エビや松阪牛を思い浮かべがちだが、全国有数のお茶処であるということもお忘れなく。

新潟の本ブックフェア開催/古町通り商店街の祭りで/新潟組合

新潟市中央区の繁華街、古町通り商店街の祭り「古町どんどん」が5月12日、13日の両日にわたり開かれ、物産販売やアトラクションなど多彩な催しが行なわれた。この祭りは春、秋の年2回催されている。
この祭りの催しとして、新潟県書店商業組合(西村俊男理事長)は「新潟の本ブックフェア」(協賛=新潟日報事業社、恒文社、昭文社、考古堂、野島出版)を実施した。通路に明治・大正・昭和の時代の街並みや風景を撮った写真をパネルにして掲示。懐かしそうに見入る人たちが大勢いた。両日とも好天に恵まれ市内外より多くの人たちが訪れ、終日賑わいを見せた。
(熊田雅明広報委員)

4月期は5.1%減/全規模・立地で前年割れ/日販調べ

日販経営相談センター調べの分類別売上調査によると、4月期は対前年比94・9%。すべての規模、立地で前年を下回り、全体的に厳しい状況にあることが浮き彫りとなった。
規模別にみると、小規模店ほど落ち込みが大きい。201坪以上が0・3%減とほぼ変わらずだったのに対して、50坪以下は6・9%減と低迷している。立地別では、商店街が9・3%減と厳しい。
ジャンル別でも全ジャンルで前年割れ。昨年4月期は4ヵ月ぶりに前年を上回り、12ジャンルのうち8ジャンルが前年を上回る実績だったため、その反動が大きく出たかたち。特に専門書、文芸書、新書は2桁減と落ち込みが目立った。コミックは7ヵ月ぶりの前年割れで1・6%減。文庫は昨年の『ダ・ヴィンチ・コード』のような大型銘柄がなく0・8%減となった。
客単価は0・7%増の1175・9円。

セミナー

◇トーハン書店大学「店長入門セミナー」
7月3日午後1時から、新宿区のトーハン本社大ホールで開催。
セミナーでは「店長に必要とされる〝商いの原理原則〟」「効率的な店舗運営に必要な数値マネジメントの基本」「店長としてチーム力をアップさせるリーダースキルの基本」について具体的に学ぶ。講師はカスタマーズアイ代表取締役の池田誠氏。
受講料(テキスト代、資料代、消費税含む)は書店共助会加入店1万円、非加入店2万円。問い合わせ、申込みはトーハン・コンサルティング教育事業部まで
(℡03―3267―8686、http://www.tohan-c.co.jp/)。

全国4会場でこどもの本BF開催/トーハン

トーハンが取引先書店と共催する「2007こどもの本ブックフェア」が、子どもの本5万冊を集めて熊本、福岡、京都、岡山の4会場で開催される。
会場では絵本、児童読物、保育・教育書、一般書を展示即売するほか、学校図書館向けの商品を展示する「子どもの本の展示会」も併せて開催する。今回の展示は、「朝の読書」「うちどく(家読)」や世代を超えて読み継がれている絵本をそろえた「ミリオンぶっく」、大人のための絵本の選書「第5回柳田邦男セレクション」などテーマ性のある企画を充実した。会場、日程は次の通り。
▽熊本=6月1日~3日・グランメッセ熊本▽福岡=6月6日~10日・エルガーラホール▽京都=7月22日~24日・京都市勧業館▽岡山=7月27日~29日・コンベックス岡山

横溝正史ミステリ大賞は大村・桂両氏

角川書店とテレビ東京が主催する第27回横溝正史ミステリ大賞の贈呈式が、5月25日午後6時より東京會舘で行われた。
受賞したのは、横溝正史ミステリ大賞に大村友貴美氏『首挽村の殺人』と桂美人氏『ロスト・チャイルド』、テレビ東京賞に松下麻理緒氏『誤算』。
贈呈式では、賞状の授与に続いて横溝亮一氏が「横溝賞と、2人の合作である松下さんを合わせて、女性4人が受賞という華やかな顔ぶれになった。日本のアガサ・クリスティをめざして頑張ってほしい」とあいさつ。
横溝賞の選考経過を報告した桐野夏生氏は「大村さんは、過疎や高齢化社会という日本の田舎の問題を全て入れていて読み応えがあった。物語の出てくる大きな引き出しを持っている。桂さんは乱暴な作品だが引き込まれた。文字の変換ミスが多かったのだが、面白い物語を書きたいという勢いがあったのではないか」と選評した。

網中氏にさし絵賞/講談社出版文化賞

平成19年度講談社出版文化賞の贈呈式が5月24日、ホテルニューオータニで行われた。贈呈式では講談社野間副社長から各賞受賞者に賞状と副賞が手渡され、受賞スピーチの後、南伸坊氏の発声で乾杯した。
▽さし絵賞=網中いづる
『壁』(小説現代)他
▽写真賞=小林伸一郎『亡骸劇場』(講談社)他
▽ブックデザイン賞=大久保明子(『真鶴』(文藝春秋)
▽絵本賞=いせひでこ『ルリユールおじさん』(理論社)

人事

★太洋社(7月1日付)
〈機構改革〉〔部〕
①営業本部に東日本営業部、西日本営業部を新設する
②首都圏営業部、東部営業部、西部営業部を廃止とし、併せて各課を廃止する
③雑誌仕入部を雑誌部に、書籍仕入部を書籍部と改称する
〈人事異動〉
取締役管理本部長(取締役管理本部長兼総務人事部長)大和政之
雑誌部長(東部営業部長)木村玉治
東日本営業部長(雑誌仕入部長)小林利夫
西日本営業部長(西部営業部長)坂実
経営戦略室長兼情報システム部長代理(経営戦略室長兼情報システム部次長)村上直人
書籍部長代理(書籍仕入部次長)田中保秀
東日本営業部長代理(首都圏営業部長代理)
遠藤明泰
総務人事部次長兼人事課長(総務人事部人事課長)
石川光一
東日本営業部次長兼東日本営業課長(東部営業部北海道・東北営業課長)
竹田邦彦
東日本営業部次長兼首都圏チェーン店営業課長(首都圏営業部首都圏チェーン店営業二課長)川浦正巳
西日本営業部次長兼四国支店長(西部営業部四国支店課長)本田潤一
特販営業部次長兼図書館営業課長(特販営業部図書館営業課長)岩城昌幸
戸田流通センター次長(業務部次長)八重田勉
★人文会
5月18日開催の総会で新役員並びに各担当委員長を決定した。
▽会長=菊池明郎(筑摩書房)▽代表幹事=鎌内宣行(春秋社)▽会計幹事=平石修(御茶の水書房)▽書記幹事=新保卓夫(誠信書房)▽販売委員会委員長=田﨑洋幸(みすず書房)同副委員長=華園斉(創元社)橋元博樹(東京大学出版会)▽広報委員会委員長=吉武創(勁草書房)同副委員長=浴野英生(草思社)

中期経営計画を説明/新たな成長へ構造改革推進/日販懇話会

2007日販懇話会が5月22日午後2時より東京ドームホテルで開かれ、出版社、書店約350名が出席した。
日販を代表して古屋社長は「第59期決算の概略は残念ながら減収減益。減収の最大の要因はTSUTAYAとの合弁会社、MPDに売上げを移管したことで、これを除くと実質的には増収となる。損益面では、ISBNコード13桁化に伴うコスト開発、王子の設備コストが増加して減益だが、連結ベースではグループ全体で増収になった」と報告。
日販中期経営計画NEXTの重点施策に関して、古屋社長は「基本は新たな成長を実現する構造改革推進」としたうえで、「王子流通センターを4千坪増築し、①受注12時間以内出荷、②納期確約、追跡システム、③従来の倍、80万点のweb在庫活用、④事故率百万分の1の高品質物流を実現することでネット書店を物量で凌駕できる。一方、HonyaClubの読者データ活用により顧客層に合わせた平台、棚づくり、フェイス・ツー・フェイスの接客が可能になる。もう一歩読者に近づく書店支援を続けていく」と述べた。
具体的施策については王子流通センターのリニューアルについて商品管理部・大野美都里氏、HonyaClubはwww推進部富樫建係長が説明。
7月に稼動する王子流通センターは4千坪の新棟を増設。書籍だけで2万2千坪と業界最大。新刊センターは千坪、百万冊を在庫、発売後1カ月在庫し、POS売上げランク上位の欠品はなくなる。
HonyaClubは現在45法人、115店で実施、会員数60万人を突破した。標準スキームとして1千店、会員1千万人を目指し、将来的には共通カード化も検討しているという。
ゲストとして伊藤忠商事丹羽宇一郎取締役会長が「人は読書で磨かれる―日本の前途を考える」を記念講演した。丹羽会長の実家は名古屋市中川区の正進堂書店。