全国書店新聞
             

平成21年11月21日号

5万冊目標に試験実施/家庭の蔵書活用ブックリボン

出版文化産業振興財団は来年の国民読書年に向けた社会貢献事業として、各家庭に眠る蔵書のリサイクル運動「ブックリボン~本はこころを結ぶ」を実施する。集めた図書は国内の矯正施設、更生施設、児童福祉施設や国外の日本人学校・文庫などに贈るが、来年の全国的な呼びかけに先駆けて、出版関連業界に呼びかけ、5万冊収集を目標にテスト実施することになった。
今回の募集対象は出版・印刷・製紙・製本業界各社、各団体に所属する者で、提供希望図書は本棚に眠っている図書全般。百科事典、マンガ、雑誌、洋書など種類を問わない。募集期間は11月16日から12月1日まで。
送付先は〒143―0001大田区東海2―1―2プロロジスパーク東京5階、ヤマトロジスティクス㈱東京ビズロジセンター内「ブックリボン」係。

書店低収益体質の打破/東京研修会で丸善小城社長

丸善㈱小城武彦社長は11月9日、東京都書店商業組合の書店経営研修会で「書店業界はどう変わって行くのか」のテーマで講演を行った。この中で小城社長は丸善が加わった大日本印刷(DNP)グループの狙いについて「ライバルのIT業界に伍していくにはある程度の資本力と技術力が必要。(低収益体質の)書店業界の現状を打破するために力を結集していく」「書店を買い占め、独り占めしようとは全く思っていない」などと説明した。
丸善小城社長は東大法学部を卒業後、旧通産省を経てカルチャー・コンビニエンス・クラブで代表取締役常務、産業再生機構でカネボウの再建を手掛け、丸善には2007年、村田誠四郎社長の後任として迎えられた。
この日の研修会で小城社長は丸善に入って、最初に驚いたのは書店の利益率が低いことであり、構造的問題があることを指摘。①高齢化を迎える我が国にとり徒歩圏内にある街の書店は重要な知のインフラ、②しかし、100冊の本を送品して40%返品があることは、60冊販売するのに往復140冊の運賃をかける無駄がある、③地球温暖化ガス削減など環境問題への取り組みが大きくなる中で、出版業界が40%という高返品率を放置していると(世論から)やり玉に挙げられかねない、④市場が成熟した今、委託販売は制度疲労が来ている、⑤返品できる甘えが書店にマーケティングの考え方を生まなかった、⑥従来のローリスク・ローリターンでは低収益の構造は改善しないなどと指摘。従来の規模の競争から、書籍の提案力と売り切る力をつけて取引条件を改善し、小規模店でもビジネスできる環境への転換が重要であることを強調した。
また、出版業界にもアマゾンやグーグル、アップルなどIT化の波が押し寄せていることに触れ、「IT業界は本を商材に一人勝ちを狙う体質がある。紙や書店が主役の今のうちに、書店もネット事業についての取り組みを強化すべきではないか。東京組合のブッカーズなどの試みは評価できる」と指摘した。
このほか、丸善がDNPグループ入りした経緯については「丸善の株式を持っていたファンドが株を譲渡する時、大日本印刷も候補にあがった。同社は出版物を印刷して育ってきて、出版・書店業界の苦境を看過できなかった。出版で飯を食ってきた者で知恵を結集し、新しい時代を切り開いていくという思いに共鳴した。ライバルのIT業界に伍していくにはある程度の資本力と技術力がいる」と説明。来春にも丸善と図書館流通センター(TRC)を統括する中間持ち株会社「CHIグループ㈱」を設立する予定だとした。
一方、TRCとの業務提携については「当社の外売部隊、とくに大学図書館の部隊が非効率で、TRCのノウハウを借りたいというのが一番大きな狙いだ。図書館運営代行でも高いレベルの人材教育ができるのではないか」と述べ、あくまで丸善の販売効率化の面でTRCのノウハウを借りることが狙いであることを強調した。

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

S社の新刊キャンペーンで著者が講演をしてくださるというので、大阪梅田まで出かけました。パブ用ゲラ見本まで送ってくれ、事前に読んでおかねばと力んだものの、毎夜の深酒で涎たらして洟ちょうちんで進むわけはなく、当日になっても20ページほど残ってしまいました。これなら行きの電車内で楽勝と、勇んでJRに飛び乗ったところ……。天使の誘惑・悪魔の罠、絶世の美女ふたりが私の名を呼びます。「ここすわりー」。合計130歳はゆうに越えようかという年増の魅力にクラッと(いろんな意味で)しまして、畏まったわけです。ここで私の意志が強ければ「女の色気は読書の邪魔」とハードボイルドに決めるところです。いかんせん生来の軽薄・お調子者、「まあまあしばらく、お元気でしたか?」と猫撫で声でご挨拶いたします。お姉様方のおしゃべりは急流すべりに手打ちうどんの如く、次次に話題が出て止まることを知らず。大阪までノンストップ、私は「ハイ」と「頷き」だけでございました。
私、重大なミスをしています。第一に当日まで読了できなかったこと。第二に元町駅から快速電車に乗り、三ノ宮駅で新快速に乗り換えようとしたところ、待ち時間を見て再び同じ電車の別の車両に乗ったこと。運の尽き、否、粋な道行と相成ったのです。教訓、やるべきことをやっておくこと、むやみにウロウロせぬこと。でも、これで原稿ひとつ書けたと思えば「良し」としましょうか。
その講演会には各書店の若手の方々がお見えで、年寄りは壁の花状態です。神戸の大書店の人と名刺交換すると、母方のご実家が近所とわかりました。
「U商店街のY商店です」
(知ってる、知ってる、きれいなお嬢さんがいはった)
「きれい?いくつくらいです?」
(かれこれン十年やから、今40後半か50くらいちゃう)
「それ、うちのおかんです」
私が本屋でのたくっている間に、顔見知りのお嬢さんが結婚して、出産して、そのお子さんが成長し本屋業界にいらっしゃる、そのプロセスには何の関わりもなく、長い時を越えて今この場所で話をしていることの偶然に、ちょっと感動しました。次回の海文堂呑み会に誘うことを約束しましたが、おっさんの会に来てくれるでしょうか。
困ったことが起きました。親しくしている古本屋さんのご主人の名前も屋号も思い出せないのです。面と向かっているのに出てきません。子ども同士は同級生で、夫人も存知あげています。お隣にいる古本屋さんはわかるのです。当店のPR誌を販売してもらっていて、伝票を書かないといけません。あせっても慌ててもどうしようもありません。同僚に「あの人誰やった?」と訊くこともできません。だって私が一番親しいのですから。思いついて、古いブックマップをめくってようやく……。
一歩手前です。失礼がありましたら、何卒ご容赦ください。

高効率輸送の実現と経費削減が課題/出版物輸送懇談会

東京都トラック協会の出版・印刷・製本・取次専門部会は11月11日、四谷の主婦会館プラザエフで第31回出版物関係輸送懇談会を開催。トラック、出版、印刷、製本、書店各業界の代表者ら総勢59名が出版物輸送の現状と課題について話し合った。日書連からは梅木秀孝流通改善委員が出席した。
懇談会の冒頭、瀧澤賢司部会長があいさつ。「出荷量が多いので業量を平準化してほしいと訴え続けてきた。その後、休配日の実現など成果があり、輸送面は大きく改善した。昨今は状況が大きく変わり、出版物に限らずモノが売れない。出荷量が少なく、車輛数が多寡になっている業者も多い。出版不況で沈みきった中、出版物輸送はどうあるべきか。このまま手をこまねいてはいられない。従来なかった配送方法など考えていきたい」と述べた。
荷主側を代表して雑協物流委員会の藤原卓委員長は「出版業界は右肩下がりが続く厳しい状況。今年も9月の段階で前年比3・8%減で、販売額は2兆円を割れると言われている。厳しい環境下、9月の大型連休のうち23日(秋分の日)に雑誌を発売することができた。21日から23日まで休みだったのが21日、22日の2日間で済んだため、業量の集中を防ぐことができた。業界全体で意見交換することで雑誌を盛り上げていきたい」とあいさつした。
懇談では、まず瀧澤部会長が出版物輸送を取り巻く現状と課題について報告。「出版不況の影響で輸送量が減少し、事業収支の悪化が顕著となっている。軽油価格の高止まりと車両価格の高騰も大きな負担」と現状を説明。輸送量と配車車種、車輛数の不適合が原因となり利益を出せない車輛が増加傾向にあると課題を示し、対策として①運送料金の値上げ、②業量平準化など高効率輸送の実現と経費削減――を挙げた。現状での問題点としてDVD配送上の取り扱いに触れ、「痛みやすい商品のため雑誌・書籍との混載が出来ず、別途ケースを用いて配送している。それでも破損する場合もあり、今後さらなる対策が必要」とした。また、雑誌の9月23日(祝日)発売について、業量が分散され輸送の混乱は生じなかったと謝意を述べた。
このあと出版社、取次、書店、製本、印刷各業界の代表者がそれぞれの業界動向を説明した。

「ストップ・ザ・廃業」/施策構築へ委員会で情報収集/大阪理事会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)の理事会が11月7日午後2時から大阪組合会議室で行われた。
庶務報告では、大阪出版業界新年互礼会を平成22年1月8日に開催予定であると報告があった。
【出店問題・組織強化委員会】
文教堂がコジマ茨木店にコジマブックス文教堂としてFC展開する。開店予定は11月28日。11月5日午後3時半から組合会議室で出店説明会を開催した。説明会では、地元書店から、ポイント制導入についての懸念が述べられたが、文教堂は、景表法の範囲内で業界ルールを逸脱しないように努力すると説明した。
FC店であるため店員募集はコジマが行い、開店後3カ月間は、文教堂傘下の『談』新大阪店から責任者を派遣し、店員の指導教育をするということである。また、大阪府内の他支店へのFC展開の可能性についての見解は留保した。
大阪市中央区千日前の博文堂ミナミ店撤退後に、リブロなんばウォーク店が12月12日出店の予定と連絡があった。支部から取次の日販に説明会開催を要請した。
【STH委員会】
10月30日に「ストップ・ザ・廃業」委員会の第1回委員会を開催した。「月刊リベラルタイム」12月号で「書店の危機」が取り上げられている。中小書店の廃業と雑誌の不振がリンクしている等の書店の現状報告があった。
委員会としては、「書店を廃業する」ということを思い止まってもらう施策を構築するため、種々の情報を収集したい。喫緊の課題であるので、可及的速やかに行動できるように対策を急ぎたい。
【学校図書館・IT化関連委員会】
富田林市が、市立図書館の指定管理者制度の2011年度導入に向けて、2010年度からその細部検討に取り掛かるようだ。羽曳野市でも同じように進行する模様で、近隣の大阪狭山市は、既に同制度を導入済み。各自治体は他市の動向を注視している。理事各位は、地元図書館についての情報収集に努められたい。
【再販・公取協委員会】
最近、新聞などのマスコミ報道では、出版不況の元凶は「再販制度」であるかのような論調が目立つ。弱者である書店の立場のPR不足ではないか。読者向けに、正しい情報発信の努力が必要だろう。
(中島俊彦広報委員)

各支部賦課金の件について審議/長崎臨時理事会

長崎県書店商業組合(中山寿賀雄理事長)の臨時理事会が11月2日午後5時から長崎ワシントンホテルで開催され、理事16名が出席。平成21年度の各支部賦課金の件を審議した。
最初に中山理事長のあいさつが行われ、5年間で40件もの廃業・組合脱退があり、大変厳しい状況が説明された。その後、長崎支部の活動状況などの説明があり、審議に入った。
議題の賦課金の現状については、県北支部の山内副理事長より、市町村合併で支部組合員が4店になって今までの賦課金では対応できないので、佐世保支部への合併と賦課金の減額を希望するとの説明があった。
理事会では、合併の問題と賦課金の減額を了承、それに伴い理事の人数・副理事長の人数など定款の見直しを検討し、来年の総会の議題にするとした。その後懇親会に入り無事終了した。(古瀬寛二広報委員)

1カ月に読む本3割が「1冊」/中高生の実態JPICの読書調査

出版文化産業振興財団(JPIC)は「読書実態と意識に関する調査」を実施し、このほど調査報告書を発表した。同調査は2010年国民読書年に先立ち、読書実態ならびに購買行動について調査したもので、中学生・高校生と成人に分けて実施した。本号では中高生対象の調査報告書の内容を紹介する。これによると、1カ月に読む本の平均冊数は「1冊」が最も多く29・0%。まったく読書をしない中高生が15・5%いる一方、「5冊以上」は13・8%にとどまった。
【1カ月の書籍購入代845円】
この調査はインターネットにより実施。実施期間は7月14日~16日。有効サンプル数は1239。
中・高校生が1カ月間に本の購入に使う平均金額は845円。男女別では男性914円、女性776円と、男性が女性より138円多い。中高別では中学生748円、高校生942円と、高校生が194円多い。1カ月平均の本の購入金額は「0~1千円未満」が60・4%で最多。86・1%が2千円未満で、5千円以上はわずか1・5%。
1カ月に読む本の平均冊数は「1冊」が29・0%と最多だった。「0冊(まったく読書をしない)」は15・5%もいた。一方、5冊以上読書するのは13・8%にとどまった。男女別では、「0冊」は男性18・4%に対し女性12・6%、「8冊以上」は男性5・8%に対し女性7・7%と、女性のほうが読書冊数が多い傾向がうかがえる。中高別では、「0冊」は中学生10・8%に対して高校生20・2%、「8冊以上」は中学生8・4%に対して高校生5・2%と、中学生の読書冊数が多い。
1カ月に1冊も読書をしないという回答者に読書しない理由を尋ねたところ、「本を読まなくても不便はない」が過半数の51・6%でトップ。以下、「読みたい本がない、何を読んでいいかわからない」(46・9%)、「勉強や部活が忙しく、本を読む時間がない」(40・1%)が4割を超えた。男女別ではトップ3の内容は同じだが、「本を読まなくても不便はない」は男性は56・1%で1位、女性は44・9%で2位。一方、「勉強や部活が忙しく、本を読む時間がない」は男性は35・1%で3位、女性は47・4%で1位と、それぞれ10ポイント以上の差。これ以外で男女別で10ポイント以上の差があったものとしては「本を買う経済的な余裕がない」で、男性12・3%、女性23・1%という結果。中高別では「本を読まなくても不便はない」が高校生(48・0%)に対して中学生(58・2%)が多い。
本を読むことが多い時間は「平日、帰宅してから就寝まで」が37・6%でトップ。以下、「学校の休み時間」(27・9%)、「土曜・日曜・祝日にまとめて」(15・1%)が続いた。中高別では、高校生は「平日、帰宅してから就寝まで」が42・2%でトップ、中学生は「学校の休み時間」が39・7%でトップ。
小学校のときと比較しての読書量の増減は、読書量が増えた(「とても増えた」「増えた」「多少増えた」の合計)と回答したのは49・8%と半数近くに達した。「変わらない」は15・8%、「減った」(「とても減った」「減った」「多少減った」の合計)は34・4%。男女別で読書量が増えた人の比率を見ると、男性55・5%、女性43・9%と男性のほうが10ポイント以上多い。中高別で「増えた」「多少増えた」「とても増えた」の合計を見ると、高校生45・0%に対して中学生54・5%と、中学生のほうが小学校のときと比較して読書量が増えた人が多い。
【中高生の半数「読書が好き」】
読書の目的は「楽しみを得る」(38・1%)が4割近くでトップ。以下「知識や教養を深める」(21・4%)、「感性を豊かにする」(14・4%)がトップ3。男女、中高別でみてもトップは「楽しみを得る」だった。男女別では、「知識や教養を深める」は男性、「楽しみを得る」「感性を豊かにする」は女性が多い。
読書の好き嫌いについては、読書を「好き」と回答したのは49・5%とほぼ半数、「好き」「どちらかというと好き」は合計8割に達した。読書が「嫌い」「どちらかというと嫌い」は合計15%強。男女別では、男性(42・2%)、女性(56・8%)ともに読書が「好き」が多数派。特に女性は過半数が「好き」と回答。中高別にみても、読書「好き」が多く、半数近くに達している(中学生49・8%、高校生49・2%)。
読書が嫌いな理由は、「本を読むこと自体が面倒くさい」(56・8%)、「『本』で文章を読むのが面倒くさい」(14・9%)と合わせて71・7%が「面倒くさい」と回答。「面白くない(面白い本がない)」も1割を超えた。トップの「本を文章で読むのは面倒くさい」は、特に女性に多く、男性10・9%に対して女性20・2%と約10ポイントの差。相対的に男性が多いのが「本からよりもインターネットの方が情報は新しく豊富」で、女性3・6%に対して男性は11・8%。中高別では、全体的に大きな差はないが、「面白くない(面白い本がない)」が高校生(18・0%)と中学生(9・6%)で差異が出た。
読書が好きになった時期は、「小学校高学年」(31・4%)が最も多く、以下、「中学生になってから」(24・0%)、「小学校低学年」(19・7%)と続いた。小学校の頃読書好きになったのは51・1%で、2人に1人が小学校時代に読書好きになっている。「物心がついたころ」も15%を超えた。男女・中高別のいずれも、読書を好きになった時期は「小学校高学年」が多数。男女別でみると、女性の29・8%が「小学校入学以前」または「物心がついたころ」に読書好きになっているが、小学校入学までに読書好きになっている男性は12・7%にとどまっており、女性の方が早い時期に読書好きになる傾向。中高別では全体的に大きな差は見られない。
読書好きになったきっかけは、「たまたま読んだ本が面白くて」(59・8%)がトップ。続いて「友人に勧められて読んだ本が面白くて」(23・0%)、「幼い頃、親に読み聞かせをしてもらって」(18・9%)など。男女・中高別でもトップは同様。男女別で差が出たのは、「幼い頃、親に読み聞かせをしてもらって」で、男性10・2%に対して女性は27・2%と、15ポイント以上の差。
読書のスタイルは、「好きなジャンルの作品を読むことが多い」(75・3%)、「好きな著者の作品を読むことが多い」(56・8%)が他を引き離してトップ。以下「友人・知人の間で話題になっている作品(29・4%)、「人気の映像作品の原作」(27・2%)、「ベストセラー」(25・0%)、「特に決まった読み方はなく、そのときの気分で…」(24・9%)が2割を超えた。男女別・中高別では、いずれも「好きなジャンルの作品を読むことが多い」「好きな著者の作品を読むことが多い」が圧倒的トップ2。男女別でみると、「好きな著者の作品を読むことが多い」は男性47・5%に対して女性65・7パーセントと女性が15ポイント以上多く、「友人・知人の間で話題になっている作品」についても男性23・6%に対して女性34・9%と10ポイント以上の差で男性を上回っている。中高別では、全体に大きな差はないが、「友人・知人の間で話題になっている作品」は中学生に多く(35・1%)、高校生(23・6%)と10ポイント以上の差。
【書店に行く頻度月に1~3回】
本の情報を知る情報源は「書店の店頭」が53・9%。以下、「友人・知人」(49・4%)、「インターネット(記事やブログ)」(45・1%)が4割を超え、他を引き離して本の三大情報源となっている。「図書館」は26・7%で4位。男女ともトップ3は同じだが、男性が「インターネット」がトップなのに対して女性は3位。逆に「書店の店頭」は男性が2位なのに対し、女性は1位という結果。「雑誌の記事や広告」が男性10・6パーセント、女性26・1%と15ポイント以上の開きが出た。中高別では、「友人・知人」が中学生の情報源の1位なのに対して、高校生では3位と差があった。他にも中学生は「教師・学校」「親」「兄弟姉妹」などが高校生よりも5ポイント以上多く、近しい人から本の情報を得ている傾向が見られる。
読みたい本の入手方法は、「書店で購入する」が圧倒的に多く8割強でトップ。以下、「図書館で借りる」(43・2%)、「チェーンの古書店で購入する」(37・9%)などが続いた。男女・中高別でみても、いずれも「書店で購入」「図書館で借りる」「チェーンの古書店で購入」がトップ3。男女別で差が大きかったのは、「友人・知人に借りる」(男性20・2%、女性39・7%)と「図書館で借りる」(男性36・9%、女性49・1%)で、それぞれ女性が10ポイント以上多い。
日常生活で何によって文章と接する事が多いかについては、「マンガ」(43・3%)、「教科書や参考書」(39・1%)、「文庫本」(34・9%)がトップ3。男女別でみると、トップ3は全体と同じだが、「マンガ」(男性39・4%、女性47・1%)は5ポイント以上差がある。「ブログ」は女性が多く(26・1%)、男性(12・8%)に比べて10ポイント以上多い。男性が多いのは「インターネットのニュース」で、女性8・9%に対して男性は19・4%。同じインターネットでの接触でも「インターネットのニュース」は男性が多く、「ブログ」は女性が多い。中高別では大きな差異は見られない。
書店に行く頻度は、「1カ月に1~3回」が44・7%でトップ。以下、「1カ月に1回未満」(22・5%)、「1週間に1・2回」(20・7%)が続いた。「書店に行くことはない」は4・0%にとどまった。属性別では大きな差は見られなかった。
書店へ行ったときの行動は、「本を立ち読みする」(61・7%)がトップで、以下、「決めていた本を購入する」(57・8%)、「目に付いた本を立ち読みして購入するかどうかを決める」(53・5%)と続いた。男女・中高別のトップ3も同じ。男女別では、女性が「雑誌を立ち読みする」「雑誌を購入する」「マンガ・コミックを購入する」が多く、それぞれ男性を15ポイント以上も上回った。「雑誌を立ち読みする」は、中学生(33・3%)と高校生(45・4%)で10ポイント以上の差。
書店への不満や改善してほしいことは、「本の品揃えが悪い」(45・7%)、「本が探しにくい」(43・9%)がトップ2。男女・中高別でみてもトップ2は同じ。男女別では、不満・改善してほしい点のすべての項目で女性の方が割合が高く、「ブックカバー・袋がおしゃれでない」(男性12・2%、女性22・6%)、「書店員の態度が悪い」(男性8・1%、女性14・0%)が特に差が大きい。「特に不満はない」は全体で23・5%。

書店員が選ぶコミック・アンケート

日販は11月9日より「全国書店員が選んだおすすめコミック2010」として、全国の書店員から「おすすめコミック」のアンケート募集を始めた。来年2月にはアンケート上位ランキング作品を集め、「オリジナルフェア」を千店規模で実施する。
2006年に出版社の協力を得てスタートして、今年で5年目。「働きマン」や「デトロイト・メタル・シティ」など、後にメディア化等で話題となった作品を先取りしたランキングになっており、現場の「目利き」書店員のおすすめ作品として、出版社の営業担当からも注目されている。
今年は「日販速報」11月16日号にアンケート用紙を掲載し、広く書店員の方から「おすすめ作品」を募集した。応募締切は12月25日。フェア参加店へは販促物として、オリジナルの「スウィングPOP」「フェア専用オリジナル帯」等が送品される。

参考図書

◇日本の出版社
出版ニュース社は全国出版社名簿『日本の出版社2010―2011』を刊行した。四六判818頁、定価本体4500円。
今年9月現在の日本の出版社3988社を社名50音順に所在地、電話、URL、資本金、従業員数、代表者、発行部門、郵便振替番号などを掲載。取次会社、関係団体、広告会社、主要新聞社などを付す。巻末には図書カード読取機設置店1万1345店を収録した。
出版社の都道府県別分布をみると3988社のうち3066社、77%が東京に集中している。

受賞

□電撃大賞
アスキー・メディアワークスが主催する第16回電撃大賞の贈呈式が、11月6日午後4時から明治記念館で行われた。
応募総数は小説部門4602作品、イラスト部門676作品、総計5278作品と過去最高。小説部門は大賞に田名部宗司氏『幕末魔法士~MageRevolution』ほか金賞1点、銀賞1点、選考委員奨励賞2点、電撃文庫MAGAZINE賞1点と、メディアワークス文庫賞2点の受賞。イラスト部門は金賞1点、銀賞2点、選考委員奨励賞1点が受賞した。
表彰式でアスキー・メディアワークス髙野潔社長は「電撃文庫の累計製作部数は今月1億冊を突破した。次の1億冊に向けて今回の受賞者にも期待している。新しい挑戦として面白い小説を引き続き読みたい大人の欲求に応える『メディアワークス文庫』を文庫賞の2作品を含めた8点で12月16日に創刊する。ご期待いただきたい」とあいさつした。

□集英社3賞
本年度の第22回柴田錬三郎賞、すばる文学賞、小説すばる新人賞、開高健ノンフィクション賞の受賞作が決まり、11月13日、帝国ホテルで贈賞式と祝賀会が行われた。
◇第22回柴田錬三郎賞=篠田節子氏『仮想儀礼』、村山由佳氏『ダブル・ファンタジー』
◇第33回すばる文学賞=木村友祐氏『海猫ツリーハウス』、同佳作=温又柔氏『好去好来歌』
◇第22回小説すばる新人賞=朝井リョウ氏『桐島、部活やめるってよ』、川原千恵子氏『白い花と鳥たちの祈り』
◇第7回開高健ノンフィクション賞=中村安希氏『インパラの朝』

人事

◇三笠書房(○新任)
代表取締役会長
押鐘冨士雄
代表取締役社長(販売本部長)押鐘太陽
取締役副社長(編集本部長)迫猛
常務取締役(製作部・関連会社担当)三谷喜三夫
取締役(営業部長、流通センター統括)阪口正夫
同(編集本部副本部長、王様文庫編集部長)本田裕子
同(EC事業室長、システム・関連会社担当)
○米田幸平
同(知的生き方文庫編集部長)清水篤史

札幌皮切りに全国で朝の読書交流会

社団法人全国出版協会は今年度より朝の読書全国縦断交流会を開催する。学校の教職員や学校図書館関係者を対象に、大塚笑子氏ら講師を招いての講演や、地域の学校間の意見交換などで構成される。
都道府県単位で開催され、今年度は第1回として北海道交流会が11月22日に札幌市で開催されるほか、第2回は1月23日に防府市で山口県交流会、第3回は2月5日、豊見城市で沖縄県交流会が開催される。
22日の北海道交流会は札幌市中央図書館で午前10時開会。朝の読書推進協議会理事長大塚笑子氏が基調講演を行うほか、ノンフィクション作家・川嶋康男氏の記念講演、札幌市立平岡公園小学校鈴木真氏、同宮の森中学校田中正治氏、札幌丘珠高校明石浩氏の実践報告、小・中・高校別分科会などを行う。参加費500円。定員百名。

新書フェア240%に/書店読売中公会で成果報告

書店読売中公会総会が11月13日午後4時から丸の内の東京會館で開かれた。
会の冒頭、亀井忠雄会長(三省堂書店)は「読売会から数えて25回目、読売中公会になってから11年目を迎えた。出版業界が厳しい中で昨年度の会員実績は103・8%、104法人のシェアも7割台をキープしている。読売の編集・制作業務が中公に委託され、両社がさらに深い絆で結びついた。年末から年始にかけて新しい企画を大いに売って書店の使命を果たしていきたい」とあいさつ。
読売新聞東京本社老川祥一社長は「読売新聞は明治7年に200部で創刊、2日に135周年を迎えた。1994年に1千万部に到達し、世界で最も読まれている。4月から読売の編集・宣伝・販売は中公にお願いし、半年経過して順調だ。単なる委託でなく、読売のコンテンツと中公のセンスを一体にして相乗効果を期待している」と述べた。
中公新社浅海保社長は2008年決算の概況を報告したあと、「今年上期は中公新書2000点フェアが好調で、雑誌では婦人公論の誌面改革に着手し、ここにきて上向きになった。書籍は『リクルート事件・江副浩正の真実』に続き、伊坂幸太郎『SOSの猿』など自信作が登場する」と説明した。
販売会社を代表して日販古屋文明社長は「巨人が日本一になり景気浮揚、内需拡大が期待される。読売新聞は早くから21世紀活字プロジェクトを展開し、将来の読者が育ってきた。来年の国民読書年を盛り上げていきたい」と祝辞。
中央公論新社吉村治営業局長から活動報告・企画説明が行われたのに続き、田村定良販売委員長(田村書店)が中公新書2000点
フェアについて「参加店は1200店に迫り、実売240%で終了した。書店発の仕掛本で埋もれた本が再販を重ねている」と、成果を強調した。

本屋のうちそと

最近、ますます涙もろくなってきた、というか涙腺のネジが緩みっぱなしのようである。子どもの話や犬やネコの話で感動の先回りをして胸が熱くなってしまう。
先日、幼稚園で父兄に絵本の紹介など読み聞かせ&ブックトークをした。定番・山岡ひかる作「おかあさんのパンツ」(絵本館)で始まり、爆笑ものやロングセラーと進み、課題図書になったくすのきしげのり作、石井聖岳絵「おこだでませんように」(小学館)を選んだ。たまたま二日前に訪れた小学館PSの担当者が自社の絵本ではこれが一番好き、ということからラインアップに組み入れていた。
一年生のぼくは妹を泣かせた、宿題をしていないとお母さんに怒られている。学校でもふざけてるとか乱暴だと先生から怒られている。どうしていつもぼくばかり怒られるんだろう。七夕の日、短冊に願いごとを書く。みんなはサッカーやピアノがうまくなりますようにと書き終える。が一番の願いごとをと考えて考えて一番最後になってしまう。又、先生に怒られると思いながら書き終えた短冊を差し出す。ここまで読んできたところで、結末の感動がこみ上げてきて声を出せなくなってしまった。一番の山場、見開きページのまんなかに短冊。そこに一生懸命に書いた「おこだでませんように」の文字。
無言でページを開いたまま数十秒。波のように嗚咽が広がっていった。すすり泣きの声を聞きながら何とか最後まで読み終えた。ライブでこみ上げてくる感情で歌えなくなった矢沢はかっこ良いけれど涙声の読み聞かせおじさんは見たくない。でも感動を共有できたから良かったかな。
さて、書店をとりまく涙腺も枯渇しそうな状況に嬉し涙が流れることはもうないのだろうか。(理)