全国書店新聞
             

平成15年11月1日号

ポイントカードで徳島宣言/年内決着図ると決議/版元・取次に決断を促す/日書連

日書連は10月23日午後1時から徳島市のホテルクレメント徳島で移動理事会を開催。進展の兆しが見えないヤマダ電機のポイントカード対応をめぐって、主要出版社、取次の断固たる決断を促し、年内決着を図れとする徳島宣言を決議した。移動理事会は徳島組合(平野惣吉理事長)の設営だった。
10月理事会でポイントカードの対応をめぐって経過報告を行った岡嶋再販研究委員長は、9月26日の出版再販研究委員会ワーキンググループの議論を経て、出版社から取次への是正指導要望書、取次からポイントカード実施店への「再販契約遵守のお願い」が準備されている状況を説明。10月28日の出版再販研究委員会にもヒナ型が示される見通しを述べ、「これを待って9月理事会で決めた有力出版社33社へ各県組合から働きかけを行ってほしい」と要望した。
各理事からは「最終段階で出版社が足踏みしているのでは」「ヤマダ電機が巨大なため腰が引けている」など、出版社の対応を懸念する声が上がった。
これに対して萬田会長は「一昨年夏からポイントカード実施店に対する出版社の指導を繰り返し求めてきた。中止の要望から始まり、再販契約書に基づく措置へと段取りが進み、最終段階。裁判も想定した対応だ。時間はかかったが、11月に文書が出て、措置が取れるよう、年内解決を目指したい」と、ポイント問題解決に強い意欲を示した。

ポスター一斉に掲示/万引き防止キャンペーン/10月理事会

〔指導教育〕
10月9日に行われたホームエンターテイメント・ショーで万引き防止シンポジウムが行われ、5団体で声明を発表したと丸岡委員長が報告した。この声明文にはブックオフも加わり、今後、新古書店にも盗品を換金させない責務があることを確認したと述べた。
群馬県では12月県議会で青少年条例を改正。書籍についても18歳未満の青少年からは古物買受を禁止する条例改正を行う見込み。一方、東京組合では東京都竹花副知事の指導をえて万引きに対しては損害賠償を請求する方針を確認し、万引き防止ポスターを作成することにしている。
萬田会長は「ポスターは書店に一斉に掲示し、教育委員会を通じて各学校にも通知。キャンペーンを展開していきたい」と、万引き防止のキャンペーン展開に強い意欲を述べた。
〔情報化〕
日書連マークを用いた学校図書館納入の研修会は10月も神奈川、香川の両組合で実施し、11月は8日に和歌山、13日に高知で開催を予定していることが報告になった。
志賀委員長は大阪屋の協力を得て、今後、日書連マークの仕様作成書を図書館に提供していくことになったと報告。これにより、公共図書館への図書納入にも日書連マークが威力を発揮することになる。
新たに発足した電子書籍ビジネスコンソーシアムについては、志賀委員長が副会長に、萬田会長は相談役に就任した。設立総会にゲストで出席したコミック作家の里中満知子氏はeブックの将来性について「手の平に図書館を」と表現したという。今後、書店ルートでeブックのコンテンツ販売を目指していく。
〔スタートアップ21〕
地方出版のデータベース化は、間もなく沖縄で運用を開始するほか、鳥取、島根では説明会を開催、佐賀、愛媛、京都と続く見通し。各県組合の負担として立ち上げに5万円、毎月の運用は5千円程度にとどめる方針を説明した。
貸与権問題では、8月末に文化庁のヒヤリングがあり、来春には著作権法の改正が確実な見通し。この改正により書籍の貸与権も音楽CD、ビデオ同様、認められることになる。施行は再来年4月。
〔増売運動〕
サン・ジョルディの日文化講演会は、今年は全国7会場で実施したが、新たな開催地区に向けて委員会で運用マニュアルを作成したことが高須委員長から報告された。
11月3日の「マンガの日」のキャンペーンでは、A2判のポスター、カレンダー4種×50枚をセットにして書店に1万5千組準備している。
〔流通問題〕
年末年始の発売日体制について報告。年末の週刊誌は12月27日、一般誌は12月29日が最終、年始は週刊誌、一般誌とも1月5日から発売になる。
「週刊朝日」の発売差問題については、日書連の顧問弁護士に対応策を相談していることが藤原委員長から報告された。
〔新常任委員〕
神奈川組合から1名欠員だった常任委員に山本裕一氏(横須賀市・信濃屋)の推薦があり承認された。

横浜協議会が発足/万引き防止へスクラム

作家、出版業界、行政のスクラムで青少年の万引きを防止しようと「万引き防止横浜モデル協議会」が10月21日、横浜市庁舎特別会議室で第1回会合を開いて発足した。
会合では主催者を代表して出版文化産業振興財団浜田博信理事(講談社)が「近年の万引きの急増と悪質化は、書店店頭の対策だけでは対処できないところまで来ている。万引きは初発型非行の典型。青少年の健全育成、健全な地域社会づくりの視点から問題に取り組みたい」と、協議会設置の趣旨説明があった。
続いて、横浜市本多常高副市長が「本協議会の決定は、横浜市も全力で実行に移す。青少年の明るい未来のために絶大な協力をお願いする」と述べた。
出席者自己紹介のあと、協議会規約が承認され、役員互選の結果、会長に講談社浜田副社長、副会長に松信裕(有隣堂社長)、松本保夫(横浜市青少年指導員連絡協議会会長)、柿崎昭義(横浜市PTA連絡協議会副会長)の各氏が選ばれた。中田宏横浜市長には名誉会長の就任を依頼する。
協議会の委員は28名で神奈川県書店商業組合からは池本理事長、大滝副理事長、岩下副理事長、村上倫理委員長が加わった。幹事は神奈川県警から2名、横浜市から1名とコミック作家の著作権を考える会から柴田弁護士の計4名。事務局はJPICが引き受け、青少年の万引き防止に向けた環境整備を行っていく。

中身、タイトルまで酷似/三笠書房がKKベストを非難

三笠書房の3月新刊、『体を温めると病気は必ず治る』(定価本体1300円、写真上)は29刷30万部と好調な売れ行きを示しているが、同じ著者、石原結實氏による『どんな病気も温めれば治る!』(定価本体543円、写真下)が10月24日にKKベストセラーズから文庫で配本された。同書に対し、三笠書房押鐘社長は「書名はおろか本文、構成、見出しまで当社の本に酷似しており、出版社の見識を疑う」とカンカンで、損害賠償請求も辞さぬ構え。
KKベスト側は「一方的な文書を配られ、書店からの問い合わせに困っている」と困惑の様子。著者の石原氏は「出版社同士で解決を図ってほしい」と、事態の推移を見守ることにしているが…。

創立50周年で祝賀会/今後も優良児童書を普及

昭和28年に出版社14社で発足、一貫して優良児童図書の普及宣伝に努めてきた日本児童図書出版協会の創立50周年を祝う記念式典が10月24日正午から出版クラブ会館で行われ、会員社はじめ文部科学省、図書館関係者、取次、書店など2百名余が出席した。
式典では初めに同協会小峰紀雄会長が「児童図書出版協会はおかげさまで創立50周年を迎えた。近年、子どもの読書推進運動が国民的課題、大きなうねりとなり、上野こども図書館、学校図書館法の改正など重要な国の施策が制定されてきた。政治・行政・民間の協力が大きな特色だ。子どもの読書推進法の基本理念はすべての子どもがあらゆる機会、場所で自主的に読書ができる環境整備。まだまだ不十分だが、法の精神を反映して実体化していくことが課題だ。読書が子どもの未来を開き、希望をもって生きられる世界の実現を願っている」と述べ、御礼の言葉とした。
来賓として河村建夫文部科学大臣代理の清水明文部科学省青少年課長、書協朝倉邦造理事長、文部科学省関靖直児童生徒課長、全国学校図書館協議会石井宗雄理事長、日書連萬田貴久会長、出版文化産業振興財団菅徹夫理事長が次々に祝辞。
このうち日書連萬田会長は「児童書は約1千億円の市場で、昨年はハリー・ポッター効果もあって前年比20%増加した。過去5年間を見ても売上げは確実に伸びている。日書連は読書推進と増売の2常設委員会で児童図書出版協会と取り組みを展開している。読書は子どもたちの人間力を育むもの。今後も一緒に読書普及を行って生きたい」とあいさつした。
このあと、取協小林辰三郎会長が「今後もよい本をどんどん出版していただきたい」と述べ、乾杯の音頭をとった。
なお、同協会は同日付けで「創立50周年/日本児童図書出版協会のあゆみ/40年史補遺」を発行。関係者に配布した。A5判288頁箱入り、定価本体4千円。

子どもの読書支える会発足/鶴岡市

子どもの読書活動を地域で広く支えていこうと、10月17日、鶴岡市青年センターで「子どもの読書を支える会」が会員160余名で発足した。
鶴岡市では今春、大規模小中学校の司書をパートの臨時職員化する提案があったのを受けて「学校図書館を考える会」が発足。その後、鶴岡市立朝陽第一小学校が全国学校図書館大賞を受賞したことなどから、学校図書館に限定せず広い視野で子どもの読書を支えようと発展的に「支える会」に改組されたもの。発足総会には65名の出席があった。
当日は同会顧問になった東京学芸大学高鷲教授も駆けつけ参加者を激励。日本こどもの本研究所の広瀬恒子事務局長が「本・子ども・人をむすぶ」として記念講演を行った。広瀬氏は「鶴岡が全国に先駆けて学校司書を配置した成果は高く評価されている」とし、「小規模校にも専任司書の配置が求められている今、臨時職員に切替えるのは教育上の大きな後退」と述べた。
講演のあと、発足総会に切り替え、規約、役員を選出。鶴岡市長への要望として①正規の職員として学校司書を全校に配置すること、②専任司書教諭を全校に配置し業務を保証すること、③学校図書館整備5ヵ年計画の趣旨に沿って図書費の増額をすること、④市町村子ども読書推進計画を策定すること――の4項目の要望書を採択した。
(佐藤一雄広報委員)

藤沢で研修会開催/組合員70名が参加/日書連マーク

神奈川県書店商業組合は10月15日、藤沢市の藤沢産業センターで日書連マーク研修会を開催。70名あまりが参加して満員の盛況だった。
講師は教育システム長尾幸彦氏をはじめ、日外アソシエイツ、フィルムルックスが出席。平成17年度に小中学校の電算化が完成し、学校図書館の電算化も急速に進む。その対策が説明された。
現在、公共図書館はTRCマークが大部分なので、コンピュータ業者がTRCを進めるケースが多く、書店が閉めだされている。書店も電算化に対応できることを教育委員会や学校にPRしておくことが必要である。市川市、船橋市はこの方式で成功していることが紹介された。
TRCは学校担当の営業マンを大増員してシェア拡大を図っている。「公共図書館がTRCマークなので学校図書館も同じにしなければいけない」という議論には、「学校図書館と公共図書館は目的が異なるので、同じマークにする必要はない」と指摘があった。
日外アソシエーツからは日書連マークのすぐれている点、フィルムルックスからは取次からの納品について説明があった。
(平井弘一広報委員)

9月は2.3%減少/新書が4ヵ月連続2桁伸長/日販調べ

日販経営相談センター調べの9月期書店売上げは前年同月比2・3%減で、8月より0・5ポイント上向いたものの、11ヵ月連続の前年割れとなった。
規模別では81~120坪店が0・6%増とわずかにプラス。40坪以下店が2・2%減、41~80坪店が3・3%減、121坪以上店が2・5%減だった。前月に2割以上減と大きく落ち込んだ商店街は6・1%減とやや盛り返したものの、他の立地に比べ依然厳しい。
ジャンル別では、コミック、文芸書、文庫、新書、その他の分野で前年を上回った。文芸書は『ダイエットSHINGO』『トリビアの泉③』が好調で、前年の不振もあって商店街を除く各店でプラス。新書は『バカの壁』の勢いが続き、4ヵ月連続の2桁伸長となった。
客単価は前年比0・8%増の1055・3円。

共済会給付

(15・9・18~10・21)
▼病気傷害藤沢市湘南台2―11―8湘南台書店松本協三殿
塩尻市大門1―12―12
丸文塩尻書店備前昌信殿
5口
京都市山科区御陵中内町38―16山科書店薬大前店片山修己殿6口
京都市山科区椥ノ辻草海道町23―6三福堂書店森下良吉殿
尼崎市崇徳院2―147
英泉堂書店本井伝秀夫殿
▼死亡弔慰東茨城郡常北町石塚1416久野書店久野義房殿
尾張旭市西大道町六兵衛前3917活人堂若杉幸恵殿2口
田辺市本町36多屋長書店多屋正治殿2口
▼前名義人死亡(藤崎秀雄)西宮市甲子園口2―24―24大盛堂書店窪谷裕殿3口
▼配偶者死亡(天野初恵)横浜市南区通町4―114弘明堂天野武正殿3口
同(長島あい子)横須賀市浦賀町4―6風船屋書店長島衛殿2口
同(小林一三)韮崎市本町1―3―7文化堂書店
小林安治殿

群馬県議会が青少年条例改正の請願採択

群馬県書店商業組合(高橋元理理事長)が群馬県議会に提出していた「青少年保護育成条例の一部改正等に関する請願」が、9月の定例議会で採択された。12月議会において改正される見通し。
この条例は1961年制定で、質屋・古物商が18歳未満から古物を質受け・買受けすることを原則禁止しているが、書籍は生活費を目的に売る生徒がいたことから除外されていた。換金が容易な状況が未成年者の万引きを誘発しているとして、群馬県組合は今年度総会で、書籍を対象外とする規定の改正を県議会に請願することを決議していた。条例改正後は、書籍についても売る際には保護者の同意書や年齢確認が必要になる。(中村光雄広報委員)

ノンフィクション賞に溝口、渡辺両氏/講談社

第25回講談社ノンフィクション賞が溝口敦氏『食肉の帝王』(講談社)と渡辺一史氏『こんな夜更けにバナナかよ』(北海道新聞社)に、第19回講談社エッセイ賞が到津伸子氏『不眠の都市』(講談社)と関川夏央氏『昭和が明るかった頃』(文藝春秋)に決まり、10月23日午後6時から丸の内の東京会館で贈呈式が行われた。
式典では野間佐和子社長が受賞者に賞状と記念品、副賞を手渡した。ノンフィクション賞選考委員の立花隆氏は「ノンフィクションを文章や構成で評価することが多くなってきているが、溝口さんの作品はジャーナリスティックで今日的な要素をもち、この賞のアイデンティティに関わると思い強く推した。渡辺さんは読まないと説明できない作品。筋ジストロフィーの患者と介護のボランティアを丹念に取材するとともに、自身の深い省察がある。まったく新しいノンフィクションの世界を切り開いた」と選評。
エッセイ賞選考委員の林真理子氏は「関川さんは吉永小百合という優等生の女優をねちっこく書き、資料の使い方、テーマへの向かい方が名人芸と思うほどすばらしい。到津さんは不思議な文体で、まるでもやの中を歩いているような感じがした。私はちょっとついていけなかったが、井上ひさしさんと東海林さだおさんが強く支持した」と述べた。引き続き受賞者あいさつが行われ、溝口、渡辺、到津、関川各氏が受賞の喜びを語った。

子どもの本祭りに協力/雑誌キャンペーンに150店参加/大阪組合

大阪府書店商業組合(今西英雄理事長)は10月11日、組合会議室で定例理事会を開催した。
冒頭で、今西理事長は「子どもの本フェスティバルinおおさか」への応援とアルバイト採用の承認を求めた。「子どもの本フェスティバルinおおさか」は読売新聞が創刊130年記念事業である「活字文化推進プロジェクト」の一環として行うもので、大阪では6月にあった「活字文化フォーラム」に続くもの。11月22日・23日、大阪城公園に隣接する大阪ビジネスパークでシンポジウム・講演・コンサート・読み聞かせ等を展開する。そのうち大阪組合は児童書販売を担当。かなりの入場者数が見込まれている。このほかの審議事項は次の通り。
〔再販委員会〕
蔦屋書店ベルバレル国道1号線店でコミックレンタルが開始されたと報告があった。新刊書を扱う棟のある同一敷地内に別棟を建てて営業している模様で、今後の拡がりが懸念される。堺市・ブックランドはなだのポイントカード実施に対しては取次を通じて善処を求めた。羽曳野市のミナ書房が暦を値引販売している件は、暦が再販商品であることを確認した。また近畿大学の委託を受けて紀伊國屋書店が運営する書店「梅ノ木」が、学生や大学教職員に10%引きで販売している件では、関係各方面に問いただすことにした。
〔経営活性化委員会〕
雑誌6ヵ月定期キャンペーンに150店の参加があった。11月スタートに向けて更なる参加を呼びかける。
〔組織強化委員会〕
来年1月5日に出版互礼会が開かれる。活性化のために参加費用は組合負担とするが、互礼会は根本的に考え直す時期が来ているのではないかとの声が上がった。3回目のレディスランチは1月28日にホテルモントレで開催される予定。
〔共同受注委員会〕
近日、市図書館幹部との懇談会を持つが、これに関連して府知事と組合幹部との会談の申し入れをとの声があった。
このほかでは、鳥取・島根県での図書券発券停止について、「先に全国の書店にカード読み取り機が行き渡るようにすべきではないか。日書連を通じて日本図書普及に抗議してほしい」との要望があった。
(田中順二広報委員)

投稿/返品入帳最終日の実態/東京都・匿名希望

「9月は取次決算だから、入金がいつになく厳しい」「3月、9月の返品入帳締切日が早いのは作為的ではないか。許しがたい」との声が当たっているのかを、1年間の入帳締切日と金額で調べた。
当店は本店と支店ともに60坪で、「返品発送はほとんど毎日」「返品日付は運送会社に渡す日(伝票作成の翌日)」「公立、学校図書館分は別口座であり、ここでの返品数値は店売商品に限られている」を基本に検証した(取引日販)。
書籍の請求は12ヵ月(請求書回数24回)の請求発生金額の平均値に対し、3月末は本店107・6%、支店103・9%。9月末は本店98・3%、支店104・1%であり、決算期の過剰送品は以前ほど作為的ではないとも言えるが、売上が前年比を割っている点からすると、やはり決算期対策送品はかなりの金額ではないか。また雑誌請求が決算期に多いことが不可解だが、コミック、ムックの長期・延勘精算と入帳加減で書籍以上に決算対策が強いのではと考えられる。
書籍返品入帳については、3月末は本店115・7%、支店140・2%と平均値より多く入帳されているが、後述する最終入帳日を考慮し長年の苦渋を解決するために平均ペース以上の作業をした結果であり、9月期の入帳金額は平均を下回っている。しかし雑誌は極端にひどく、取次決算日に合わせて店頭から消去することはできず、通常返品となるために、3月、9月は本店・支店ともに対平均の40~50%台の入帳である。翌4月、10月中締めには入帳されるのだが(平成15年4月入帳金額は本店で3月末の370・2%、支店311・1%)、ここに作為を感じてしまうことは否めない。
返品入帳最終日が請求締め日(15日付、末日付)の何日前か調べると、本店の書籍での最短は7日前まで(14年10月)、最長は20日前まで(15年1月)だったが、概ね11日~14日に対して、支店では1~2日繰り上げられている。これは本支店間の距離2km、同一取次、同一運送会社である点からすると疑問である。
そして明確なことは3月の本店の書籍が16日前、支店が17日前であり、9月ではともに14日前までで締め切られ、他の月より早い。1月中締めは正月休みの事情から仕方がないものの、12月末締めが本店書籍17日前、雑誌13日前、支店書籍18日前、雑誌10日前締切はうなずけない。
雑誌については、おおよそ6~9日前まで入帳されているが、やはり3月、9月はワースト1~3位である。6日で入帳できる体制でありながら、3月は本店14日前、支店16日前と約2倍の日数で締め切られている。しかし雑誌については15年4月から無伝返品化されたことで明らかに改善されているが、効果は中締めであって、月末締めはそううまくいっていない。
また3月までは発送日を記入できたが、4月からはセンター到着日が記されているので、実際はこれより通常1日多く要している(4月以降の6日前は、3月までの7日前と同じ日数)。6日前(実7日)はすべて15年4月以降であり無伝化の成果であるが、9月は本店11日前、支店12日前と、「請求金額に決算期対策?」が見える。

読み聞かせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・田中良子

◇2歳から
『おやすみのキッス』/カレン・カッツ=作/石津ちひろ=訳/講談社1600円2003・10
眠くなった赤ちゃんは、おねむになるまでに何回キッスをされるのでしょうか。おばあちゃん、パパ、ママ、ねこ、いぬにあったかいキッスをされて眠った赤ちゃんは、いったいどんな夢を見ているのでしょうか。読む人を幸せな気分にしてくれる、愛情あふれる美しい絵本です。
◇4歳から
『きみの町に星をみているねこはいないかい?』/えびなみつる=作/
架空社1500円2003・7
このはなしはひみつだよ。天文台で博士とぼくが星の観察をしていると、大きな音がして、うら山に空飛ぶ円盤が落ちてきたんだ。その中にいた5人の宇宙人とは…。円盤は湖に沈んで、もう星には帰れない。この地球で生きていくしかない宇宙人たちは、一体どうなったかな。
◇小学校低学年向け
『ヒュンヒュンビュンビュンビュワンビュワン』/ジョン・ハセット、
アン・ハセット=作/今江祥智、遠藤育枝=訳/BL出版1300円
2003・7
誰もがこわがるこわもてボビーが、橋の下にかくれています。橋をわたる三人姉妹のお弁当をねらっているのです。はじめのチビちゃんは「あとからくるお姉ちゃんはもっと持っているよ」といいます。あれ、これって?そう「三びきのやぎのがらがらどん」をもじった愉快な話です。

鳥取・島根両県で完全カード化スタート/日本図書普及

日本図書普及は、鳥取県・島根県での図書券出荷を10月31日で終了。加盟店では11月1日から図書カードのみの販売となり、完全カード化がスタートした。
両県では昨年夏から先行カード化キャンペーンを開始。今年6月には同地区の加盟店に対して「先行カード化への緊急アンケート」が実施され、賛成56%、条件付賛成36%、反対8%という結果になった。カード化賛成の条件として最も多かったのが「500円カードが必要」で54%、このほか「全国カード化の約束」15%、「利用者への告知徹底」8%となっており、図書普及ではこれを踏まえて、山陰地区限定として500円カードのテスト発行に踏み切り、10月1日から販売を開始している。
完全カード化に合わせ、山陰地区では読者向けに店頭冬のキャンペーンを実施。今後は、完全カード化と500円カードテスト販売について半年間の結果を検証し、全国完全カード化の検討に入る予定になっている。
次の先行カード化については、カードの普及率が比較的高い岡山・広島・山口の山陽3県と東北6県をモデル地区とし、2004年度中の実施を目指す。図書普及では今年からこの2地区について、読取り機未設置書店への全店訪問をはじめ、カード優先販売のお願い、各県書店組合への説明など県単位での準備を開始。来年年明けからカード化に向けて本格的に活動するとしている。

ふるさとネットワーク/北海道・東北ブロック

〔北海道〕
「ご注文の品は品切れ絶版です」というのは、専門書の場合は特につらい。
いま、1つの試みが大きく花開こうとしている。『依田勉三の生涯』(松山善三著。1979年、潮出版社刊。現在絶版)の復刻と映画化がそれ。復刻の企画はザ・本屋さんの高橋千尋社長。本社近くの公園にある十勝国開拓の祖、依田勉三の像をみて育ったという。帯広開拓120年を機に地域の歴史をここで生活する人に伝えていきたいという思いで地元の印刷会社に協力を依頼。潮出版社の承諾を得て、昨年コアラブックスから2千冊発行した。これが縁で映画化の話が持ち上がり、大樹町などで撮影が続けられている。
高橋社長は「絶版になった本の中には価値の高いものがずいぶん眠っている。これは日本精神文化の遺産だ。書店はこうしたものを掘り起こし、読者に提供する努力を続けなければ」と。(松山雄洋広報委員)
〔青森〕
深まる秋――青森県では、今年の紅葉は例年より1週間ほど早く始まり、県内外からの行楽客の目を楽しませています。一方、本来実りを迎える農家では、夏の天候不順や収穫期直前に襲った台風などの影響で、コメやりんご等に大きな被害が及びました。さらに、今年は全国で収穫直前の農作物が大量に盗難されるという被害が連日のように報道され、いたたまれない気分になってしまいます。
本屋でも、せっかく苦労して仕入れた売れ筋の図書が、大量の盗難に遭うという被害が跡を絶ちません。私は「万引き」という言葉が犯罪意識を薄めているように思えてなりません。「万引き罪」という罪名はないのですから、もう「万引き」と呼ぶのはやめませんか?「窃盗」「泥棒」でよいでしょう。青森県組合ではこの春から盗難状況報告書を作成し、加盟店からの情報を集約しているところです。(岡田浩樹広報委員)
〔秋田〕
秋田県書店商業組合は秋の県議会への上程項目として採択してもらうべく、「万引き防止」を関係教育庁へ陳情。「青少年の健全育成条例の一部改正に関する請願書」の主な内容は以下の通りである。(写真は県議会)
▽請願項目=古書店、新古書店が18歳未満の者から書籍等を買い取る際、親の同意確認をとるなど万引き防止のための自主的取り組みをいかに行っているか実態把握を。また、青少年健全育成条例を改正し、18歳未満の青少年からの買い取りの際には年齢や親の同意の確認を義務つける条項を新設してほしい。
▽請願理由=換金目的の万引きが急増、書店経営の悪化のみならず、青少年非行化の面からも早急な対策が望まれる。万引きが青少年非行の第1ステップであることを考えると、安易な換金手段に歯止めをかけて万引きを未然に防止することが、青少年健全育成の観点から重要な課題。(木村和一広報委員)
〔岩手〕
岩手県には東北新幹線の止まる駅が5つあります。南から一ノ関駅、水沢江刺駅、北上駅、新花巻駅、盛岡駅。そして、東北本線とも同じ駅にあるのは盛岡駅、北上駅と一ノ関駅だけです。その中で東口がないのは一ノ関駅のみで、全国でも西口一ヵ所の駅は例がないようです。
この一ノ関駅は岩手県南の玄関口として観光で知られております。それは平泉町の中尊寺、毛越寺、そして厳美渓と舟下りのできる猊鼻渓であり、他にも温泉が何ヵ所もあるからです。
さて、平成16年春に一ノ関駅東口が開設します。現在1日の利用者約1万人で、県内では盛岡に次ぐ規模。この開設で気仙沼方面の東磐井郡大東町、千厩町、川崎村、花泉町等の利用者は大変便利になり、大型バスも可能な接続道路、連絡跨線橋、駐輪場、駐車場等ができ、大いに助かるものと思います。これでやっと普通の駅になるのでしょう。(栗原秀郎広報委員)
〔山形〕
雪国山形の郷土料理といえば納豆汁だ。トロリとしてアツアツの納豆汁をフウフウ言いながら食べると、体の芯から温まる。
だし汁にいもがら、こんにゃく、油揚げを入れて煮る。いもがらが柔らかくなったら、豆腐、すり鉢でたたいた納豆を入れ、味噌で味付け。ねぎ、せりを添えて出来上がりである。素朴な料理。だが、何度食べても食べ飽きず、具沢山で栄養満点。まさにおふくろの味だ。
春の七草を揃えることができない雪国山形で、七草粥の代わりに食べられるようになったのが始まり。冬のたんぱく摂取と日照不足を補うために利用されてきた。高たんぱく、低脂肪で、胃腸にやさしい納豆を使っているから、整腸や肝臓障害防止に効き目がある。
たらふく食って、たらふく飲んだら、最後の仕上げは納豆汁で。
〔宮城〕
皆様の街に村はありますか?仙台市の中心部・定禅寺通りに今年「ハロー定禅寺村」が誕生した。村長はこの地で書店を営む米竹隆さん。唯一緑豊かな欅並木が残っているこの環境を残し育てていきたいとの地域の情熱が市を動かし、シンボルロード整備事業が施された公園通りである。四季折々に街を彩るケヤキ並木の景観は行き交う人々の憩いの場となった。
村人たちは近隣の支援団体や市民とともに活動を開始。「定禅寺通りでみんなと一緒に何かしてみませんか!」と呼びかけて、4月29日には記念イベントとしてパフォーマンスコンテストなど各種催し、土日はオープンカフェなどの企画、また9月にはジャズフェスティバルを開くなど、シンボルの欅を活かした街作りの推進を進めている。我々もこの欅並木の街作りを新たな「杜の都創生」の第一歩と考え、大きな期待を寄せている。(梅津理昭広報委員)
〔福島〕
平成16年1月より放映されるNHK大河ドラマ『新撰組!』にあわせ、会津若松市では新撰組ゆかりの地であることを全国にアピールしようと、行政や地域住民、商工会議所らが一体となって「新撰組特別事業実行委員会」を設立した。
新撰組が活躍したのは主に京都であるが、会津藩主松平容保が京都守護職となり、治安が悪化していた京のまちを守るにあたり、幕府が募集した浪士隊のうち京都に残ったのが後の新撰組に。この新撰組は会津藩預かりとなったが、新撰組の容保に対する信頼は大きく、「会津藩あっての新撰組」との意識が強くあった。隊長近藤勇は天寧寺、三番隊長斎藤一は阿弥陀寺と、それぞれ市内に墓がある。
実行委員会では会津若松市を訪れる観光客に、新撰組ゆかりスポットを観光ルートとして紹介し、会津藩と新撰組との関係を説明したパンフレットを作成。京都や 日野市等新撰組ゆかりの地と連携しながら、全国に会津若松市と新撰組の関係をアピールし、新たな魅力を広めていきたいと考えている。(佐藤良平広報委員)

「図書館貸出調査」まとまる/所蔵・貸出数など明らかに/大規模自治体ほど多い複本

日本図書館協会と日本書籍出版協会は10月22日に記者会見を開き、作家や出版社から批判があがっている公立図書館の貸出や複本購入問題について、今年7月に実施した「公立図書館貸出実態調査」の結果を発表した。
調査票を送付した全国500自治体のうち85%にあたる427自治体(図書館数679館)から有効回答。第一線公立図書館の4分の1のスケールモデルを得ることができたので、全国の実態について推定することが可能になった。
この調査は、貸出に伴う補償金や公貸権の制度化、複本の購入冊数や新刊書の貸出制限を求める意見もあるなか、裏付けとなる実証的データを把握するために実施したもの。今後、今回の調査結果を議論のための共通基盤として利用していくとしている。
個別タイトルごとに所蔵冊数などをまとめたのが表1。99年取次ベストセラー1位の『五体不満足』は所蔵冊数3811冊(1館平均5・6冊)、貸出数17万5715冊(同258・8冊)。02年1位の『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』は所蔵冊数3079冊(同4・5冊)、貸出数3万4972冊(同51・5冊)だった。
自治体種別に所蔵冊数を見ると(表2)、文芸ベストセラーの1館あたり平均所蔵冊数は、政令指定都市が4・2冊、村が1・0冊で、複本は大規模な自治体で数が多くなっているが、人口1万人あたりの数字になると政令指定都市0・31冊、村1・52冊と逆に町村の図書館の方が多い。文芸ベストセラー以外のタイトル種別も同じ結果となっている。また、貸出冊数(表3)も所蔵冊数と同様の傾向を示しており、文芸ベストセラーの1館あたり平均貸出冊数は、政令指定都市133・2冊に対して村19・9冊となっている。
全国図書館での推定所蔵数を発行部数で割った「図書館購入率」は、『五体不満足』0・3%をはじめ取次ベストセラーのほとんどが1%を割り込んでいるが、芸術選奨の『黄色軍艦』25・6%など文芸・教養分野で定評ある賞を受けた書籍は高い数字。
ある本を読者が書店で買わず図書館で借りた割合を示す「図書館提供率」は貸出数を「発行部数+貸出数―所蔵数」で割って算出。99年直木賞受賞『柔らかな頬』47・3%、99年芥川賞受賞『夏の約束』44・3%、99年ベストセラー『沈まぬ太陽』38・8%等、話題作を買わず借りる読者の存在が浮き彫りになった。

あげます

束見本コレクション約2百冊。戦後、出版活動が華やかなりし頃の事典、全集等、大物企画のダミー束見本です。取りに来られる方に差し上げます。
世田谷区奥沢2―1―11川島書店電話03―3718―3986、FAX03―3718―4326

催し

◇トーハンカルチャーフォーラム「読書離れは国を滅ぼす」
「読書こそが情緒力を育てる最良の方法」と国語教育の重要性を訴える数学者でエッセイストの藤原正彦氏の講演を聞く。藤原氏は作家・新田次郎と藤原ていの次男で文化審議会委員、御茶の水女子大学教授。開催は11月28日午後2時から、飯田橋レインボービル。受講料1名5千円。申し込みはトーハン総研セミナー事務局。FAX03―3268―0756番。
◇俳画3人展本をめぐる四季
平成12年から14年まで3年にわたってトーハン情報誌「書店経営」の表紙を飾った嵐山光三郎、安西水丸、南伸坊3氏による「俳画」原画展が11月15日から24日まで嵐山氏の地元、国立市のギャラリー「エソラ」で開かれる。会場では原画とともに俳画カレンダー「本をめぐる四季」(税込み千円)も販売する。17日は休み。午前11時から午後7時まで。入場無料。

大賞にサントーク廣文館/祥伝社オン・ステージ2003

祥伝社の秋の書籍フェア「祥伝社オン・ステージ2003」飾り付けコンペ審査会が10月27日午前11時から千代田区神保町の同社で行われ、飾り付け大賞に福山市・サントーク廣文館、さいたま市・一清堂栄和店、原町市・おおうち書店、堺市・東文堂書店深井店の4店が、手書きPOP大賞に萩市・ブックセンタージャスト萩店、福岡県・ABOOK飯塚本店が、優秀店に福島市・西沢書店北店など30店が選ばれた。
今年の「オン・ステージ」は祥伝社文庫1276セット、黄金文庫1032セット、新書521セット、合計2829セットを出荷。
飾り付けコンペへの応募は254店。このうち一次審査を通過した77書店の写真、手書きPOP、応募用紙を藤岡会長、竹内社長、村木取締役ら社内審査員11名と、報道関係者5名で審査した。
審査にあたって、竹内社長は「厳しい環境下だが、今年に入り数次の異動を行い、新しい芽も出てきている。ここ1、2カ月、書籍部門では『十津川警部家族』『預金封鎖』『ヘルター・スケルター』などがベストセラー・リストに顔を出しており好調。飾り付けコンペは今回で18回目になる。3千店近くの書店が参加され、やりがいがあり、
面白いと評価を受けている。書店が力を入れた飾り付けを審査して投票していただきたい」とあいさつした。
大賞の6店には賞品としてカシオの電子辞書、優秀賞の30店にはお米券(10㌔相当)が贈られる。
〔写真は大賞のサントーク廣文館〕

新宿都庁と上野で子ども読書まつり

平成15年度「子ども読書フェスティバルTOKYO」が10月25日、26日の両日、新宿の都庁都民ホールと上野公園中央噴水池周辺で行われた。
第1会場の都庁都民ホールでは東京都子ども読書推進フォーラムの主催によりノンフィクション作家・柳田邦男氏の講演「人生を豊かにする読書」、パネルディスカッション「子どもの健やかな成長のために」、絵本作家・川端誠氏の講演「絵本をつくってよんでたのしんで」などの催しや、隣接する都民ギャラリーでは世界のバリアフリー絵本
展、おはなし会、科学遊びのワークショップ。
第2会場の上野公園は日本児童図書出版協会50周年記念事業「子ども読書の本チャリティセール」として出版社33社が参加。人気絵本、児童書1万5千冊が謝恩割引価格で販売され、2日間で定価換算1200万円を販売した。

第3回日経BPビズテック図書賞

技術と経営の進歩や発展に役立つ優れた図書を表彰する第3回「日経BP・BizTech図書賞」の表彰式が10月27日、東京・千代田区の赤坂プリンスホテルで開かれた。
今回受賞したのは『インターネットの思想史』(喜多千草著・青土社)、『産廃コネクション』(石渡正佳著・WAVE出版)、『特許のルールが変わるとき』(高岡亮一著・日経BP社)の3作。
表彰式では日経BP社・河村社長あいさつ、野中郁次郎審査委員長(一橋大学大学院教授)の講評に続き、受賞図書の著者に表彰状と賞金、出版社に盾が贈呈された。
懇親会では日経BP社・吉村会長が「時宜を得たテーマの本が受賞した。知的好奇心に応える本を提供するため著者の発掘が重要だ。また幅広い人に読んでもらう責任を痛感している。ぜひ皆様のお力を貸してほしい」とあいさつ。来賓の日書連萬田会長は、受賞した3作の本の分類コードを例に書店の棚づくりについて語り、「本を読者に結びつけるには、リーダビリティ、コンテンツ、入手のしやすさの3つが必要。受賞の皆様の一層のご活躍をお祈りする」と述べて乾杯の音頭を取った。

文藝賞に最年少タイ17歳の羽田氏が受賞

河出書房新社が主催する第40回文藝賞は、羽田圭介氏『黒冷水』、生田紗代氏『オアシス』、伏見憲明氏『魔女の息子』の3作が受賞、10月15日午後6時から駿河台の山の上ホテルで贈呈式が行われた。
今回の応募総数は1862篇。羽田氏は17歳で堀田あけみ氏、綿矢りさ氏に並ぶ最年少受賞。贈呈式では若森繁男社長より受賞者に賞状が授与され、選考委員の斎藤美奈子、田中康夫、藤沢周、保坂和志の各氏が選評。受賞者あいさつでは伏見氏が「書くことが人を傷つけることは多いが、それでも書かなければならないことにこそ価値がある。その気持ちを忘れずに今後も書いていきたい」、生田氏が「コミュニケーションがかみ合わない関係を小説にしたいと思った。受賞はとてもうれしい」、羽田氏が「今は書きたいものが増えて身動きできない状態が続き、方向性を模索している」とそれぞれ受賞の喜びを語った。
若森社長は「3作受賞は3度目で、過去2回は『なんとなく、クリスタル』『アイコ十六歳』といずれもベストセラーが出た。『文藝』は評判がよくなって他誌の倍くらい出ている。文芸書の河出として大いにがんばっていきたい」とあいさつし、清水勝相談役の発声で乾杯した。

本屋のうちそと

八ッつあん「オイ、熊さんよ、お前さんキンシっておにぎり知ってるかい?」
熊さん「それは何かい、そいつを食べれば目が良くなりますみていな、ホラちょっと前はやった、マグロのメン玉を丸ごとおにぎりに入れましたってやつかい?」
八ッつあん「それが違うんだな。いやね、この前コンビニのおにぎりの棚の前でヨ、女子高生がおにぎりを指差してこのキンシってナニーって騒いでるもんだから、何のことかと思って覗いたら筋子のことなんだわな」熊さん「・・・」
八ッつあん「じゃ、熊さんよ、もうひとつ、ヒコウコンブっておにぎりは分かるい?」
熊さん「八ッつあんよ、そいつはきっとあれだろ、そいつを食べると女子高生が非行やら×交に走るみていな」
八ッつあん「なにバカ言ってんだ、日高昆布のおにぎりを奴らそう読んでんだよ」
熊さん「へえー」
先日のA新聞で、関川夏央先生が「大学の講義で、石川啄木をイシカワブタボクうんぬん」と書いておられました。OECDによる読書調査で、日本の15歳は漫画や雑誌など文章が短くやさしいものを読む生徒の割合は加盟国の中で最も高く、小説やルポなど難易度が高い文章を読む生徒の割合は最低であることが判明した、そうで。
(海人)

猛虎優勝記念の図書カード発売

NTTカードソリューション(旧NTTテレカ)はプロ野球セントラル・リーグの覇者、阪神タイガースの優勝記念図書カードを発売する。
カードは特製台紙つきで額面5百円、販売価格千円、書店卸価格は9百円。20枚以上は送料無料。取次では扱わないので、お申し込みは直接同社お客様センター(電話03―5462―9531)または関西支店へ(電話06―6882―2052)。