全国書店新聞
             

平成31年4月1日号

「ドは読書のド♪」/4月23日~5月12日は第61回こどもの読書週間

読書推進運動協議会(読進協、野間省伸会長=講談社)は2019・第61回「こどもの読書週間」を4月23日から5月12日まで、「子ども読書の日」(4月23日)から「こどもの日」(5月5日)をはさんで20日間実施する。
今年の標語は「ドは読書のド♪」。読進協は実施にあたり、全国の公共図書館、小中高等学校図書館、書店、出版社、報道機関などにポスター(写真上)や広報文書を配布してPR。読書週間の趣旨を示すマーク(写真下)を作成し、期間中またはその前後を通じて各社が発行する雑誌・新聞・広報紙誌などに使用するよう呼び掛ける。また、都道府県の読進協、関係各団体の協力を得て、以下の各種行事実施を推進する。
▽公共図書館、公民館、小中高等学校の学校図書館で「子どもの読書研究会」「子ども読書のつどい」「親と子の読書会」「大人による子どもの本研究会」「子どもの読書相談」「児童図書展示会」「児童文学作家による講演会」「児童図書出版社との懇談会」などの開催。「読書感想文・感想画コンクール」の実施
▽都道府県の読進協による都道府県単位の「子ども読書大会」などの開催
▽出版社、新聞社、放送局、文化団体などによる被災害地域、児童養護施設、矯正施設などへの「図書・雑誌の寄贈運動」の実施

万引犯への損害賠償請求を推進/全国万引犯罪防止機構セミナー

全国万引犯罪防止機構(万防機構)は3月8日、東京・江東区の東京ビッグサイトで「ここまで来た!ロス対策・万引対策」と題したセミナーを開催し、小売業、警備業、防犯機器メーカー、警察など関係者約130名が参加。万防機構の竹花豊理事長は顔認証システムを活用して被害情報や犯人情報を複数店舗間で共有する「渋谷プロジェクト」の取り組みを報告した。また、日書連など出版業界6団体・1企業で構成する万防機構・万引防止出版対策本部の阿部信行事務局長は「万引犯への損害賠償請求ネットワーク」への参加を呼びかけた。
はじめに万防機構の竹花理事長が基調講演を行い、一昨年の「万引対策強化国際会議2017」で採択した「万引対策強化宣言」に基づいて万防機構が推進している各プロジェクトの進捗状況を報告した。
東京・渋谷駅周辺の書店が防犯カメラの顔認証システムを活用して被害情報や犯人情報の共有・活用に取り組む「渋谷プロジェクト」については、「仕組みとガイドラインはほぼ出来上がっているが、セキュリティ対策や個人情報保護法に詳しい弁護士や学者など専門家の意見を集約して慎重に対応しているため、準備に時間がかかっている。参加する店舗の合意が得られれば実施したい」と報告した。
また、文字情報による情報共有については、「個人情報に関わらない情報をメールなどを利用して共有するシステムの準備を進めている。顔認証システムの導入は経済的に困難という企業・店舗にも参加してもらえるのではないか」と期待を示した。
転売防止対策については、「換金目的の万引を抑止することが重要な課題となっている。新古書店やインターネットオークション、フリマアプリが盗品処分ルートとなっており、関係事業者と協力して対策を進めている」と説明した。
また、多岐にわたる事業を展開していくためには事務局体制の強化が不可欠として、「元警視庁捜査一課長、さらに警視庁の現職警察官が出向で加わり、事務局は4月から2名から4名体制になる」と報告した。
万引防止出版対策本部の阿部事務局長は、万引犯への損害賠償請求の取り組みについて説明。「万引きは割に合わない、万引きをすると損害賠償請求されるのが当たり前という新しい社会通念、新しい社会常識を作りたい。社会規範を作ることで万引抑止につなげる」と目的を説明した。
万防機構が実施した万引被害調査によると、回答した書店152社のうち、損害賠償を実施しているのは13社、検討中は13社で、他の小売業と比べて高い比率と報告。書店を中心に損害賠償請求の取り組みを進める根拠になったと述べた。
2005年から13年間で不明ロス率を1・5%から0・08%に改善した三洋堂書店の万引損害賠償請求の取り組み事例を紹介したパンフレット「始めよう!万引犯への損害賠償請求」(頒価100円、販売単位50部、送料別)をもとに、損害賠償請求の手順を説明。「盗難・器物損壊事案報告書」「損害賠償請求書」「内容証明郵便」の各種書類のファイルを同本部で用意しており、希望者に提供するので活用してほしいと呼びかけた。
三洋堂書店が最近5年間で行った損害賠償請求で、請求額の平均は5802円、入金額の平均は5113円、最高額は25万4907円、最少額は267円、金額別では①1000円~1999円=177件②2000円~2999円=161件③3000円~3999円=126件④1000円未満=97件、入金率の平均は86%と報告した。
万防機構が立ち上げた「万引犯への損害賠償請求ネットワーク」には、現在、全国11法人が参加表明していると報告。参加法人をさらに増やしたいと意欲を示し、「盗んでもほとんど損害賠償されない日本から、どの店で盗んでも損害賠償される日本に変えていきたい」と訴えた。

「子どもの読書活動推進フォーラム」4月23日に

「子どもの読書活動推進フォーラム」(文部科学省、国立青少年教育振興機構主催)が、子ども読書の日の4月23日(火)午後1時、東京・渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催される。
文部科学大臣表彰(優秀実践校、優秀実践図書館、優秀実践団体・個人)、絵本作家・長谷川義史氏の特別講演「絵本でこどもたちを元気に」、事例発表と対談、表彰式が行われる。

「北海道書店大商談会」9月3日に開催/「北海道ゆかりの本大賞」リニューアル

「北海道書店大商談会」実行委員会(中尾邦幸委員長)は3月20日、第6回「北海道書店大商談会」を9月3日(火)午前10時~午後4時、札幌市中央区の札幌パークホテルで開催すると発表した。
今回は、主要企画の「北海道ゆかりの本大賞」をリニューアルする。同賞は物語の舞台が北海道、または著者が道内出身・在住など、北海道ゆかりの本を道内の書店員が選び、北海道らしいベストセラー作品を発掘することを目指して開設したもの。第4回となる今回は、絵本を除くすべての商品を対象に実施することとした。絵本部門は数年毎の開催を目指すためという。候補作品は道内書店の推薦、出展社からの自薦により募る。前回までは開催日当日の投票で大賞を決定していたが、今回は事前に投票して大賞決定を早め、書店店頭での増売を図る。セレモニーは例年通り開催当日に会場で行う。

「本の帯創作コンクール」協賛出版社15社に増える/大阪理事会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は3月9日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。
各委員会報告では、読書推進委員会から「本の帯創作コンクール」の協賛出版社が14社から15社に純増したと報告があった。新たに加入したのはひかりのくに、学研プラスの2社。童心社は不参加となった。
出版販売倫理・共同受注委員会からは、3月6日に開かれた平成30年度大阪府万引き総合対策協議会で、万防機構関西支部の山内支部長が「隠したら店を出ずとも窃盗犯!」のポスターについて「店舗外に出るまでは窃盗未遂(既遂ではない)で、警察の対応は不起訴の可能性が高い」と説明したとの報告があった。
(石尾義彦事務局長)

「春夏秋冬本屋です」/「東海林さだおを丸かじり」/神奈川・金文堂信濃屋書店取締役・山本雅之

私が敬愛する漫画家に東海林さだお氏がいる。現在81歳、50年以上も一線の漫画家として活躍している。文藝春秋漫画賞、日本漫画家協会賞大賞など数々の漫画賞はもとより、旭日小綬章まで受勲されている。早大在学の頃から園山俊二、福治泡介(いずれも故人)と早稲田三羽烏として、早くから目を付けられていた。
作品には『漫画文学全集』、新聞連載の『アサッテ君』、週刊誌掲載の『タンマ君』、『サラリーマン専科』等、40年以上続く大作に溢れている。文章も実に巧妙で、エッセーの「あれも食いたいこれも食いたい」は、30年以上連載されている。これが文庫になるとすぐに読み始める。気取りや衒いがなく、軽妙洒脱、痛快無比肩肘張らぬ文で、頷き笑い感心する。読み易いのだが時にすごい言葉と出会い、辞典の世話になる。先日も「阿諛」という語を学んだ。対談集も多く、違う側面も見てとれる。
2年程前、肝臓ガンを患い一時休養した。だがその病床記さえも、微笑ましく読ませてもらった。現在は回復し、以前通りサラリーマンと同様、午前に仕事場に出勤して、夕方まで漫画やエッセー等の執筆活動をしているそうだ。
漫画家は比較的短命な方が多いが、1日でも長く、多くの人に食欲と笑いと元気を与える活躍を続けてくださるよう祈りたい。

「読書の秘訣カード」ワークショップ開催/神奈川組合

神奈川県書店商業組合(松信裕理事長)は1月30日、横浜市中区の華正樓で定例理事会を開催。11月に「おうち絵本コンテスト」、12月に「神奈川県推薦図書」の表彰式が行われたことが報告され、「春の大好きな絵本」と三本立てで読書推進運動を盛り上げることを申し合わせた。また、粗利30%以上獲得を目指す運動の方向性、消費税増税に伴うキャッシュレス化推進の動き、ポイント還元、スリップ廃止問題などについて意見交換した。
理事会終了後、慶應義塾大学と有隣堂が共同で制作した、読書のコツや楽しみ方、創造的読書の考え方を27個の言葉にまとめた読書の秘訣カード「LifewithReading」のワークショップを、出版社と取次を交えて行った。神奈川組合では、このツールを活用し、読書推進活動の発展に結びつけることを考えている。
(山本雅之広報委員)

出版ビジネススクールで能勢仁氏が講演

出版ビジネススクールは2月14日、東京・千代田区の文化産業信用組合会議室で、書店クリニック出版コンサルタントの能勢仁氏(ノセ事務所代表)の講演会「平成30年間から見た出版界―本の売り方・作り方を考える―」を開催。能勢氏は出版社、取次、書店の主要各社の業績推移や財務諸表などの数字を分析しながら、出版界にとっての平成という時代を考察した。
能勢氏は平成30年間を10年ずつ前期、中期、後期の3期に分け、各期の動向を天気に例えた。前期(平成元年~10年)は「晴」で「何もしなくても売れる」時代、中期(平成11年~20年)は「曇」で「何かしないと売れない」時代、後期(平成21年~30年)は「雨時々薄日」で「何をやっても売れない」時代と表現。「後期の『雨』は、正確に言うと『土砂降り』」と付け加えた。
前期は本が一番売れた時代で、平成8年に販売金額2兆6980億円、販売冊数48億冊とピークを記録。「本を買える人を8000万人と仮定すると、日本人は年60冊の書籍・雑誌を買ったことになる」と、その勢いの凄さを語った。
中期は鈴木書店倒産など取次受難の時代を迎え、駸々堂など出版社が連鎖倒産、全国で書店の経営が悪化し、さらにアマゾンが上陸するなど、変わりつつある業界環境を解説した。
後期はアマゾンが市場を拡大する一方、栗田が倒産し、楽天が大阪屋栗田を子会社化、さらに大日本印刷を中心に業界再編が起こったことを説明。信山社や海文堂書店など特色ある書店の破綻にも言及した。また、NET21やトランスビュー、各地の書店商談会などの新しい動きを紹介。「雑誌は『土砂降り』の落ち込みだが、コミックが回復基調に向かうなど明るい兆候も見える」と話した。
書店の現状については、「粗利益が少ない。このまま何もしなければ際限なく潰れる」と危機感を示し、日書連が取り組んでいる粗利益30%以上獲得を目指す運動を紹介。「粗利益を上げるためには、出版社との直取引、本以外の商材を扱うことも1つの手段。元気がいいのはNET21。書店が自主仕入して積極的に販売する企画に取り組んでいる。他の商材に向かわず、本に回帰して利益を増やそうとしている」と述べた。

読書感想画中央コンクール表彰式/4名に文部科学大臣賞

本の世界で得た感動を絵で表現する「第30回読書感想画コンクール」(全国学校図書館協議会、毎日新聞社、実施都道府県学校図書館協議会主催)の表彰式が2月22日、東京・千代田区の如水会館で開催。文部科学大臣賞に選ばれた名古屋市立比良小学校2年・長倉昊大君(『フランクリンの空とぶ本やさん』BL出版)、徳島県吉野川市立知恵島小学校5年・大島みゆさん(『救助犬エリーの物語』小峰書店)=写真、愛知県日進市立日進中学校2年・廣重美音さん(『100年の木の下で』ポプラ社)、宮城県宮城野高等学校3年・岩渕怜奈さん(『極北へ』毎日新聞出版)の4名をはじめ、優秀賞、優良賞、凸版印刷株式会社賞、大和証券賞、奨励賞、第30回記念特別審査員賞の各賞を受賞した小・中・高校生に賞状を贈った。
今回は38都道府県の6089校が参加し、応募作品数は65万204点。
あいさつに立った大島さんは、犬が大好きなので迷わず『救助犬エリーの物語』を選んだと話し、「夢中で描き続け、完成したときは達成感でいっぱいになった」と受賞を喜んだ。

新社長に松原眞樹氏/カドカワ

カドカワは2月13日、同社とグループ会社のKADOKAWA、ドワンゴの役員体制を発表した。カドカワは松原眞樹専務が社長に昇格。川上量生社長は辞任し取締役に就任した。ドワンゴは、荒木社長が辞任し、夏野剛取締役が社長に就任した。
カドカワ、KADOKAWA、ドワンゴの新役員体制は以下の通り。
〔カドカワ〕
取締役会長角川歴彦
代表取締役社長
松原眞樹
取締役川上量生
同芳原世幸
同船津康次
同星野康二
監査役髙山康明
同渡邊顯
同新田正実
〔KADOKAWA〕
取締役会長角川歴彦
代表取締役社長
松原眞樹
代表取締役井上伸一郎
取締役関谷幸一
同芳原世幸
同夏野剛
同森泉知行
同髙須武男
監査役髙山康明
同山口貴
〔ドワンゴ〕
代表取締役社長夏野剛
専務取締役横澤大輔
同栗田穣崇
取締役太田豊紀
同小松百合弥
同志倉千代丸
同櫻井光俊
同松原眞樹
同山中伸一
同堀健一郎
同麻生巌
同沖野総司
同後藤久志
監査役鈴木祐一

上野の森親子ブックフェスタ/5月3日~5日、上野恩賜公園で

5月3日~5日に東京・台東区の上野恩賜公園噴水広場周辺と周辺施設で開催される「上野の森親子ブックフェスタ2019」の出展者説明会が3月7日、東京・千代田区の出版クラブビルで行われた。
同フェスタは、子どもの読書推進会議、日本児童図書出版協会(児童出協)、出版文化産業振興財団(JPIC)の主催3団体のもと、運営委員会を組織して開催する。主催者を代表してあいさつした児童出協の竹下晴信会長は「このブックフェスタは、画家・作家や印刷製本など子どもの本に関わる全ての人たちだけでなく、台東区なども巻き込み地域を盛んにするイベントになった。出版社中心の本を販売するフェアではなく、地域と連動した読書推進活動になったことを心強く思う。フェスタに参加する子どもや保護者の安全確保を図り、楽しんで帰っていただくようにしたい」と述べた。
子どもブックフェスティバルでは、児童書出版社など75社が出展し、絵本や児童書を謝恩価格販売。出展社による作家のサイン会、読者交流イベント、協賛社によるデモンストレーションや、講談社協力による「全国訪問おはなし隊in上野公園」、日本児童出版美術家連盟・日本児童文学者協会・日本児童文芸家協会・日本国際児童図書評議会による読者参加型交流イベントが行われる。また、国立国会図書館国際子ども図書館等と協力し、絵本・読み聞かせ関連の講演会も予定する。3日間の開催で、屋外来場者3万人を見込んでいる。
開催にあたっては、運営委員会や出版社各社がSNSを活用し、新規読者層の開拓に努める。また、台東区や上野観光連盟と連携し、近隣の学校へのチラシ配布や、町内会のポスター掲示を行い、地元開催のイベントとしてアピールして来場を働きかける。書籍の販売については、混雑緩和のため3日間12台のレジを設置して対応する。

2月期は前年比0・5%増/書籍は4ジャンルでプラス/日販調査店頭売上

日販営業推進室調べの2月期店頭売上は、雑誌、書籍、コミック、開発品合計で前年比0・5%増となった。
雑誌は同2・9%減で、前月より1・2ポイント増加した。内訳は、月刊誌が同4・9%減、週刊誌が同1・2%減、ムックが同0・5%減。「はじめてのレザークラフト」(アシェット・コレクションズ・ジャパン)が売上を牽引した。
書籍は同0・9%減で、大きく前年割れした1月期から回復した。前年比プラスになったのはビジネス書、専門書、学参書、新書の4ジャンルで、特に新書は『一切なりゆき』(文藝春秋)、『妻のトリセツ』(講談社)が牽引し2ヵ月連続の前年超えとなった。
コミックは同7・2%増だった。『僕のヒーローアカデミア22』や『ハイキュー!!36』(ともに集英社)が牽引したほか、1月からテレビアニメがスタートした『五等分の花嫁8』(講談社)が大きく売上を伸ばした。

移転

☆暮しの手帖社
4月1日から左記の新住所に移転した。
〒101―0047東京都千代田区内神田1―13―1豊島屋ビル3階
新電話番号・FAX番号▽管理部=℡03―5259―6001㈹、FAX03―5259―6002▽営業部=℡03―5259―6003、FAX03―5259―6004▽編集部=℡03―5259―6005、FAX03―5259―6006

国問研、日本財団の海外出版事業に協力/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)は3月12日に東京・千代田区の出版クラブビルで評議員会と理事会を開催。平成30年度事業報告と決算見通し、平成31年度事業計画と収支予算案などを承認した。
首相官邸国際広報室と進めている翻訳出版事業「JAPANLIBRARY」は、平成26年度から30年度までに50タイトル超を英訳出版。31年度も前年度と同様に15タイトルの発行を予定する。この出版事業が認められ、31年度は日本国際問題研究所(国問研)、日本財団と海外出版事業で協力。国問研との事業では書籍3点を英訳出版する予定。日本財団は、日本に関する英文書籍100冊を選定し海外の図書館等に寄贈する事業を10年前から行っており、JPICが取りまとめに協力する。
光文文化財団と共催で行っている地域書店活性化事業「Live@Bookstore京都」は、書店員と出版社の有志で構成する「京都文芸同盟」の協力のもと、30年度は読書会・トークセッションを計11回開催。31年度は事業の安定継続、拡充に向けて協力社獲得の取り組みを強化するとともに、他地域での実施も検討していく。
和歌山県有田川町での「絵本のまち有田川」協力事業は、町の絵本事業を担う人材育成事業「絵本よみきかせ隊養成講座」「有田川町絵本コンシェルジュ養成講座」の運営を受託。31年度は絵本コンシェルジュのスキルアップや、「子ども司書」育成事業などを行っていく予定。
役員の一部交代では、髙田聡理事(協和出版販売)、奥村傳(ポプラ社)、江﨑直利(日書連)両評議員が退任し、貝沼保則氏(協和出版販売)が理事に、長谷川均氏(ポプラ社)が評議員に就任した。

出版物の総合カタログ「出版書誌データベース」をオープン/JPO

日本出版インフラセンター(JPO)は3月25日、日本の出版物の総合カタログサイト「出版書誌データベース」(略称=PubDB)をオープンした。
「PubDB」は、日本書籍出版協会の検索サイト「Books」を引き継ぎリニューアルしたもので、各出版社から提供される国内で発行された紙の書籍・電子書籍の情報を検索できる。(URL=https://www.books.or.jp/)
「PubDB」には、新たにアーカイブとしての機能を追加。出版情報登録センター(JPRO)に蓄積した全ての書籍230万点の収録データが検索でき、一部書籍については表紙画像や内容紹介・著者略歴等を表示する。紙と電子の書籍情報をリンクし、電子書籍があるものについては「電子版あり」のフラグを表示する。また、各詳細ページにSNSボタンを設置し、出版社や著者が宣伝する際、特定の書店に偏らず公正性を保ったまま活用できるようにしている。

紙と電子のコミック市場、1・9%増の4414億円/出版科研調べ

出版科学研究所が発行する『出版月報』2月号は、「紙&電子コミック市場2018」を特集。これによると、昨年の紙と電子を合わせたコミック市場規模は、前年比1・9%増の4414億円。紙は同6・6%減の2412億円、電子は同14・6%増の2002億円となった。
2018年のコミック市場全体(紙+電子)の販売金額は4414億円で、前年比1・9%増とプラス転換した。内訳は、紙のコミックス(単行本)が同4・7%減の1588億円、紙のコミック誌が同10・1%減の824億円。電子コミックスが同14・8%増の1965億円、電子コミック誌が同2・8%増の37億円。コミックスは前年に電子の売上が紙を初めて上回ったが、18年は売上の差がさらに拡大した。コミックスとコミック誌を合わせた販売金額では、紙が同6・6%減の2412億円、電子が同14・6%増の2002億円となった。紙の市場は2桁減となった前年より減少幅が縮小。電子は前年より伸び率は鈍化したが、依然2桁伸長を続けており、2000億円の大台に乗せた。
18年のトピックスとしては、前年から社会問題として大きく取り上げられた違法海賊版サイトは、政府によるブロッキング要請などもあり、代表的なサイト「漫画村」が4月に閉鎖。その後は書店や電子書籍ストアの売行きが回復傾向を見せた。また、講談社、集英社、小学館など大手出版社が主軸レーベルの新刊コミックスの価格を5~10%ほど値上げしたが、出版物の中では依然手頃な値段ということもあってか、売行きに対する悪影響はほとんどみられなかった。映像化作品についても、近年は既刊の伸びが思わしくなかったが、18年は久々にヒットが相次いだ。
〔新刊値上げなどが貢献し減少幅縮小/紙のコミックス〕
紙のコミック市場概況を見ると、コミックスの販売金額は同4・7%減の1588億円で、大部数の長期連載作品の完結や映像化作品のヒット不足で2桁減を記録した前年に比べ、大手出版社の値上げと新たな映像作品のヒットが貢献し減少幅は縮小したが、改善には至らなかった。内訳は雑誌扱いコミックスが同6・7%減の1387億円、書籍扱いコミックスが同12・8%増の202億円。書籍扱いは新刊点数が前年より500点以上増加し、ヒットも多く2桁増になった。
販売部数は同8・5%減の2億8923万冊。2桁減を記録した前年より減少幅は縮まったが、15年以降は毎年1割近い減少が続く。平均価格は同17円増の545円。ほぼ毎年1%前後の小幅な上昇率で推移していたが、大手コミックレーベルの値上げが影響し、大幅に上昇した。新刊点数は同516点増の1万2977点。内訳は、雑誌扱いコミックスが同12点減の9596点、書籍扱いコミックスが同528点増の3381点。
売行きの傾向を見ると、『ONEPIECE』(集英社)、『進撃の巨人』(講談社)などメガヒット作は依然として部数が大きいものの、新刊初版部数はゆるやかに減少している。『名探偵コナン』(小学館)は、劇場版アニメでキーキャラクターとなった安室透が新たなファンを獲得し、95巻もの長期連載作品ながら新刊は重版がかかるほどの人気に。『キングダム』(集英社)も52巻ながら初版部数を伸ばすほどの好調を示している。女性向け作品は電子コミックへのシフトが進み、やや苦戦した。
コミック文庫は、販売金額が同3・7%減の23億円、販売部数は同5・3%減の332万冊、新刊点数は同27点減の120点。コンビニエンスストアの占有が高い廉価軽装版の販売金額は同6・8%減の123億円、販売部数は同6・7%減の2527万冊、新刊点数は同67点減の1089点だった。
〔23年連続マイナスと厳しい状況続く/紙のコミック誌〕
紙のコミック誌の販売金額は同10・1%減の824億円、販売部数は同11・6%減の2億3511万冊で、ともに23年連続のマイナス。とくに14年以降は1割近い減少が続く厳しい状況になっている。
販売金額の内訳をみると、月刊誌が同13・0%減の407億円、週刊誌が同7・1%減の417億円。販売部数は、月刊誌が同14・4%減の8355万冊、週刊誌が同10・0%減の1億5155万冊。
コミック誌全体の推定発行金額は同7・7%減の1453億円。返品率は同1・6ポイント増の43・3%になった。発行部数は同9・0%減の3億8873万冊で、月刊誌は同11・6%減の1億6557万冊、週刊誌が同7・0%減の2億2315万冊だった。
コミック誌全体の平均価格は同6円増の374円。内訳は月刊誌が同7円増の496円、週刊誌が同9円増の283円。『週刊少年マガジン』『週刊少年サンデー』の定価水準が270円から300円に上がったため、週刊誌が大きく上昇した。
コミック誌の動向をみると、人気作品関連の付録をつける銘柄や話題性のある企画で単発的に売れる雑誌はあるものの、コミック誌のほぼ全てが減少傾向にある。月刊誌では、様々な付録をつける『Gファンタジー』(スクウェア・エニックス)などの実売率が高水準。『ちゃお』(小学館)は40万部を割ったものの売行きは堅調だった。週刊誌は、『週刊少年ジャンプ』は部数を絞り170万部後半を維持した。
〔販売金額は14・6%増の2002億円/電子コミック〕
電子コミック市場は、電子コミックスの販売金額が同14・8%増の1965億円、電子コミック誌が同2・8%増の37億円で、トータルでは同14・6%増の2002億円。
紙と電子を合わせたコミックスの販売金額は同5・2%増の3553億円と、前年のマイナスから大きく上向いた。紙と電子を合わせたコミック誌は同9・7%減の861億円。紙の売行きがますます厳しさを増す中で、電子の伸びも低く、規模も紙の4・5%程度と小さいため、市場は縮小を続けている。
これまで紙の単行本の電子版を1巻単位で販売する「巻売り」が主流だったが、1話単位の「話売り」が伸びており、各社が積極的に展開している。電子コミックのトレンドを見ると、男性向け作品の売行き上位は紙のコミックで売れた作品が多く、女性向けはBLやTLが人気になっている。前年では男性向けではエロ・グロ系がトレンドの1つになっていたが、18年は異世界ものがブームとなった。女性向けは、大人の恋愛ものが依然人気を集めている。

万引と捕捉、正しい方法で/不明ロス削減は収益改善に大きな効果/ウェリカジャパン・豊川奈帆社長、書店の万引対策語る

店舗の万引き・内引きを中心としたロス対策コンサルティングやセキュリティシステムの企画・設計などを手掛けるウェリカジャパンの豊川奈帆社長が、2月19日、東京・千代田区の中央大学駿河台記念館で「書店における万引き防止対策」をテーマに講演した。中大卒業生の出版関係者で組織する出版白門会が「平成30年度出版関連セミナー」として開催したもの。豊川社長は長年にわたり書店の万引防止の指導に関わり、三洋堂書店のロス率を大幅に下げた実績を持つ。同書店の加藤和裕社長との共著『書店経営者が書いた万引き防止の完全対策』『万引きさせないお店にする方法』(ともに中経出版)もある。講演の内容を紹介する。
〔万引犯、あらゆる世代に存在/「高齢者が多い」統計の裏側にある事情〕
警察庁が発表した「万引き検挙人員―年齢階層別」によると、未成年の万引きは減少傾向にあるが、被害届が受理されなかったり、店舗での注意で終わらせているケースが多いことで、検挙人数が減少傾向になっているのが実情だ。
20代から60代前半が少ないのも、店舗での注意で終わらせていることが大きい。店側が被害届を出すために何時間も拘束されることを嫌うからだ。逃げ足が早いことも原因。この世代は会社員が多く、勤め先をクビになりたくなくて死にもの狂いで逃げる。
高齢者が多い理由は、逆に逃げ足が遅いから。体力がないのですぐ捕まってしまう。失うものが少ないこともある。1人暮らし、年金でギリギリの生活をしている。友だちもいない。だから、食事の心配がなく、冷暖房もある刑務所に入ったほうがいいと思っている人もいる。
統計の数字だけを見て、その背景にあるものを見ないと、万引犯罪の実態を見誤ることになる。高齢者が多いと言われるが、実際はあらゆる世代に万遍なく万引犯は存在している。
一般的な書店のロス率は0・6%で、年間ロス額70万円だとすると、1日1918円の被害を受けていることになる。仕入代金を支払うためには、粗利20%とすると1日7672円、1ヵ月23万160円の本を余計に売らなければならない。さらに、利益を出すためには、1日19万1800円、1ヵ月575万4000円の本を余計に売らなければならない。
これだけの売上げをあげられますかと聞くと、「毎日『ONEPIECE』や『進撃の巨人』の新刊が出てくれないと無理」とおっしゃる。この数字を知ると、なぜロス率を下げなければいけないかを実感してもらえる。万引きで書店が潰れたという話はよく聞くが、潰れる理由が分かったと危機感を持つ。万引き対策への意識付けが生まれる。売上増で利益を増やすことは難しくても、ロス率を下げることができれば利益を増やすことは可能。ぜひ取り組んでほしい。
〔「良い接客」は万引対策を兼ねる/「盗めそうだ」と思わせない店作りを〕
書店側がとる万引対策には、①声掛けと巡回による「予防」、②私服警備員、店員、警察が行う「捕捉」がある。
声掛けには客の入店時・退店時、店舗内作業中などの場面ごとにやり方がある。物陰に隠れて監視しているだけだと雰囲気の悪い店になり、客からクレームが来る恐れもある。巡回も、店内をぐるぐる回っているだけでポイントが分かっていないと予防の効果はない。「本当の死角」を巡回しなければいけない。
店の隅や奥が死角だと思われがちだが、分析してみると、「本当の死角」はレジ前や児童書売場であることが多い。レジ前は店員がいるから大丈夫という気になってしまい、注意が払われていない。そこを万引き犯は見逃さず、店員の動きを見ながらバッグの中に商品を入れる。児童書売場は子供が本を読んだ後ちらかって、商品を隠しやすい場所になる。
店員同士の情報共有も重要だ。怪しい動きをしている人がいたら、他の店員にも知らせる。万引犯は店員の動きをよく見ている。自分をマークしている店員がいる時は万引きしない。いなくなった瞬間に万引きする。それを防ぐには店員同士の情報共有が不可欠だ。
万引対策は危険を冒して万引犯を捕まえたり、不審者を警戒するだけではない。店員ができる万引対策で最も重要なのは、万引きできない店を作ること。一番の万引対策は予防で、犯人の捕捉はその次の作業となる。万引犯が嫌がるのは、接客の良い店舗だ。怪しい人がいたら監視するのではなく、笑顔で相手の顔を見てはっきり聞こえるように「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」とあいさつする。良い接客を行えば店の雰囲気が明るくなり、来店客が増える。日頃から店員同士の情報共有を行っていれば、コミュニケーションのとれた働きやすい職場になるというメリットも生まれる。
〔警察と連携して犯人捕捉率アップ/防犯機器頼みは「油断」の元にも〕
捕捉がなかなか増えない理由の1つとして、防犯機器を有効活用していないことが挙げられる。万引防止ゲートが鳴っても声かけ等の対応をしていない店が多い。ゲートがあるから大丈夫と機器に頼って、万引きに対する意識が低い。ゲートが鳴っても気付かなかったり、どうせタグの抜き忘れだろうと何もやらない。
ある万引犯と話したとき、「万引防止ゲートや防犯カメラがある店ほど万引きしやすい。防犯機器があることで店員が安心して無関心なので、声を掛けられることがない。店員はカメラの映像を見ていないし、たとえ見ていても画質が悪いから何とでも言い逃れできる」と言っていた。
「この人は怪しい」という思い込みで声を掛けてはいけない。故意に誤認逮捕させる万引犯もいる。店側を名誉棄損で訴え、示談金を払わせることが目的だ。
ある書店で、レジの店員が不審な客を発見した。高額本を購入して、「カバーも袋もレシートも要らない」という。そして、そのまま店を出て行かずに売場に戻り、購入した本を読み始めた。レジの店員は売場で陳列を直している店員に連絡した。すると、不審者はその店員の横でわざと見えるように購入した本をカバンの中に入れ、店を出て行ったという。
このときは店員間の情報共有ができていたから、「ありがとうございました」と普通に送り出すことができたが、もし売場の店員が知らないで声をかけていたら、「ちゃんと買った。レジの店員に聞いてみろ。名誉棄損だ。訴えてやる」とトラブルになっていたところだ。こうしたケースで店側が損害賠償請求され、示談金10万円を払う結果になったこともある。
警察との連携も重要。万引犯を捕捉したときや悪質な常習犯を発見したとき、すぐに管轄警察署に相談や被害届を提出し、日常的に情報を警察に話しておくと、すぐに駆けつけるなど協力的に対応してくれるようになる。警察は安全に犯人を捕まえて、責任も負ってくれる。店側のリスクが少なくて済む。警察を有効活用してほしい。
〔損害賠償は妥当金額を請求/捕捉に費やした人件費も対象〕
万引きは刑事事件だ。被害にあった時、警察に通報し、被害届を受理してもらう。警察官は犯罪による被害の届出をする者があったときは受理しなければならないと法令で規定されている。被害届が受理されると捜査が開始され、被疑者を検挙逮捕し、検察官に送検する。検察官が受理すると、起訴するかしないかの判断を行い、起訴の場合は裁判が開かれる。これは司法対被疑者の戦い。
一方、民事上の損害賠償請求は被害者対被疑者の戦いで、警察は一切未介入。損害を受けた商品、防犯タグや什器などの器物破損の実費、万引犯の捕捉に費やした人件費を、店が万引犯に対して損害賠償として請求する。その後、被疑者が示談を申告した場合、示談を了承し、告訴を行わないと署名すれば、刑事事件は終了する。示談しないとした場合、被疑者は告訴される可能性があるが、店が買取をしている場合、考慮されることが多い。示談を申し出たことで反省しており、さらに被害品も復旧されたとして、起訴まで行かないこともある。損害賠償請求を行う場合、商品の買取をしてしまうと損害賠償が認められることは難しい。買取をした段階で売買契約が成立したと見做されるので、そこで刑事事件は終了し、示談が成立したという見方をされる。さらに損害賠償請求すると過剰請求になる。
〔「被害届」は必ず提出する/未提出だと損害賠償請求で不利に〕
窃盗罪は、未精算の商品を私物のカバンや衣服などに入れたことを確認した時点で成立する。窃盗罪が現行犯として成立するのは、犯人が商品を手に取り、自分の支配下に置いたときだ。ところが、一般的に万引きは商品を精算せずに店を出た時に成立すると思われており、店舗外で捕捉することが多い。
なぜ「店舗外で声をかけること=窃盗罪の成立」という風潮が一般的になっているかというと、「不法領得」という考え方があるのが理由。不法領得は他人が所有する商品を不法に領得(取得)する行為のことだが、刑法では罪を犯す意思がない行為は罰しないとされている。
かつて、ある窃盗罪の裁判の過程で、弁護士が「被疑者は盗むつもりはなく、不法領得の意思はなかった。だから窃盗罪にあたらない」という弁護を行い、最高裁で認められた判例がある。「手に持っているのが邪魔だからバッグの中に入れただけ」と言われたら起訴できない判例ができてしまったため、店舗外での捕捉が一般的になった。
万引きされたとき、被害届を警察に出してほしい。以前よりも簡略化されたとはいえ、手続きには時間がかかる。しかし被害届を出しておかないと、被疑者が捕まって損害賠償請求する時、過去に盗まれた分の商品代を請求できない。また、被疑者が捕まった際に被害届を出していないと捜査対象として認められない。ある書店のA支店で捕まえても、過去にB支店やC支店で捕まえた時に被害届を出していないと、罪が軽くなってしまう。そうすると起訴されても情状酌量の余地ありとされたり、起訴猶予となることもある。
被害届を出したものの受理されないケースもある。警察は被害届を必ず受理しなければいけないが、面倒臭がって、初犯で反省しているとか金額が些少であると言って、検察に送致せず警察段階で微罪処分で終わらせたがることがある。ある書店が犯人を捕まえたときに被害額は1万2000円だったが、微罪処分で済ますために「2000円はなかったことにして、1万円にまけてほしい」という警察官がいた。
警察側に知識がない場合もある。窃盗や万引きを管轄するのは生活安全課または刑事課だが、それを知らずに近くの交番に通報する人が多い。交番は地域課でパトロールがメインだから、窃盗罪の詳しい知識がない。誤った情報を店に伝え、店の人も信じてしまって被害届は受理されず、逮捕されないケースもある。
未成年者の万引犯が悪質化している。「子どもだから捕まらない」と考えているため、何度も盗みを繰り返す子もいる。
少年法で、14歳未満で刑法に触れる犯罪を犯した少年を「触法少年」という。刑法では14歳未満の者の行為は罰しないと規程され、刑事未成年者の触法少年を処罰対象から除外している。警察は刑法の下で動くので、範囲外となる触法少年による万引きの被害届は受理されにくい。
最近の14歳未満の少年の中には、自分が逮捕されないことを分かった上で、あちこちで好き放題に万引きしている者もいる。食玩を100個万引きして、店内のトイレに持ち込んで中身だけ抜いた小学生がいる。
触法少年による万引きの被害届が受理されないと、15歳で逮捕されても初犯となる。でも被害届を受理してもらって記録として残しておけば、15歳で逮捕されたとき悪質な事案として処理してくれる。こうした子どもたちの犯罪を見過ごしてはいけない。

「アニメ聖地88」1番札所を開設/アニメツーリズム協会

アニメツーリズム協会は2月21日、東京・千代田区のKADOKAWA富士見ビルで、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」を巡る拠点となる1番札所のオープニングセレモニーを開催した。
「アニメ聖地88」は、アニメの舞台やモデルなどになった場所を国内外のファンによる投票に基づき同協会で決定するもので、2017年から開始。東京都庁に88番札所、成田空港に0番札所が設置されている。1番札所には、各アニメ聖地の情報を紹介する常設展示のほか、期間限定の企画展も随時実施。第1弾として企画展「電撃文庫25周年×アニメツーリズム協会春のスペシャル展示会」を行った。
セレモニーであいさつした角川歴彦理事長(KADOKAWA会長)は、インバウンドを今後の成長産業として大きな柱にするべきだと提言。19年版のアニメ聖地を昨年10月新たに選定し、内容の充実に手応えを感じていると述べ、日本のアニメに関する海外の動きと連動してアニメ聖地の活動をさらに活性化していくと話した。

トーハンがフィットネスジム運営に参入

トーハンは、スポーツクラブの㈱アクトス(本社・岐阜県多治見市)とフランチャイズ契約を結び、フィットネスジム運営事業を開始。第1弾として3月に北関東エリアに3店舗をオープンした。
フランチャイズの名称は「スポーツクラブアクトスWill_G(ウィルジー)」。「手軽で気軽に通えるフィットネスジム」をうたい、ランニングマシン・筋力トレーニングマシンなど本格的なマシンを多数設置しながら月額2700円(税別)という安価な会費や、営業時間内ならいつでも何回でも利用可能というのが特徴。トーハンは子会社の文真堂書店ゲオ小桑原店(群馬県館林市)に3月16日オープンしたのを皮切りに、群馬県高崎市、埼玉県熊谷市にも開店した。
トーハンでは4月1日よりスタートした中期経営計画「REBORN」で「本業の復活」と「事業領域の拡大」の2つを基本方針として掲げており、フィットネスジム運営を通じて書店の空間活用や、ジムとの相互送客などの相乗効果を見込み、事業領域拡大の一環として取り組んでいく。

4部門5作品に贈賞/小学館漫画賞

第64回小学館漫画賞の贈呈式が3月1日に都内で開催された。今回受賞したのは、児童向け部門が、まいた菜穂氏『12歳。』(ちゃお)、少年向け部門が稲垣理一郎氏/原作・Boichi氏/作画『Dr.STONE』(週刊少年ジャンプ)、少女向け部門が河原和音氏『素敵な彼氏』(別冊マーガレット)、一般向け部門が柏木ハルコ氏『健康で文化的な最低限度の生活』(週刊ビッグコミックスピリッツ)、柳本光晴氏『響~小説家になる方法~』(ビッグコミックスペリオール)。
小学館の相賀昌宏社長は、今年1月にフランスのアングレーム国際漫画祭で高橋留美子氏がグランプリを獲得したことに触れて、「漫画が世界で読まれていることが当たり前になった。新しい可能性が開けると同時に、あらゆる文化・宗教・政治的な立場を超えて読まれているということを心していかねばならない。世界に向けた作品の紹介にもっと力を入れていく」と述べた。

日販実用書ブックフェスタサミット/第6回ブックフェスタ大賞はマガジンハウス『自衛隊防災BOOK』

日販は2月26日、横浜市西区のヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルで「日販実用書ブックフェスタサミット2019」を開催し、書店約70名と協賛出版社28社が参加。2018年度実用書ブックフェスタ大賞の販売コンクールで1位となった紀伊國屋書店新宿本店などを表彰し、19年度の実用書ブックフェスタ大賞にマガジンハウス『自衛隊防災BOOK』を選んだ。
季節商品を中心に店頭での販売強化を図る取り組み「シーズン・ブック・チョイス」は、116店が参加。送品冊数18万5000冊(対前年6・0%減)、送品金額2億700万円(同7・7%減)と、ともに前年を下回った。売上冊数1位の書店は紀伊國屋書店新宿本店、売上冊数1位の銘柄は『みそ汁はおかずです』(学研プラス)だった。
協賛出版社のイチオシ銘柄から参加書店が最も売りたい本を投票して決める「2018年度(第5回)実用書ブックフェスタ大賞」で大賞を受賞した『みそ汁はおかずです』(学研プラス)、準大賞の『羽生善治のこども詰将棋入門』(池田書店)、『きのう、きょう、あした。』(主婦と生活社)、『へたおやつ小麦粉を使わない白崎茶会のはじめてレシピ』(マガジンハウス)の4銘柄で行った販売コンクールは、1位が紀伊国屋書店新宿本店、2位が有隣堂横浜駅西口ジョイナス店、3位がブックスミスミオプシアだった。
「2019年度(第6回)実用書ブックフェスタ大賞」は、事前投票の結果、大賞に『自衛隊防災BOOK』(マガジンハウス)、準大賞に『コリと痛みの地図帳プロが教えるマッサージの処方箋72』(池田書店)、『おつかれさまスープ』(学研プラス)が選ばれた。今年はこの3タイトルで19年3月~8月末まで販売コンクールを行う。
協賛出版社のうち参加書店全体で最も売上金額を伸ばした出版社を表彰する「第2回パートナーシップ大賞」は、日本文芸社が1位となった。
実用書ブックフェスタの会の冨永裕之会長(新星出版社)は「日本の人口のうち読書可能な人約8000万人にアンケートをとったところ、読書の取っ掛かりとなった本は料理本など実用書が多いという結果が出た。実用書は読書人口を増やす一助になる。実用書を前面で大きく展開してもらうことで、本の楽しさが分かる人を1人でも増やしたい」と呼びかけた。
懇親会では、紀伊國屋書店の高井昌史会長兼社長があいさつ。「アメリカではデジタル疲れで本を読もうという現象が起き、本が売れている。当社のアメリカ12店舗も良くなっている。日本も2月になって良くなってきた。今年は実用書もその他の出版物も良くなり、書店に足を運ぶ人が多くなるだろう」との見通しを示し、乾杯した。
中締めのあいさつで、日販の平林彰社長は「協賛出版社28社と契約している書店の実用書の売上は参加書店以外を2・5ポイント上回っている。しかし、対前年比は95%と少し寂しい。109店舗のうち20店舗は売上を伸ばしており、こうした店舗をもっと増やしたい」と述べた。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・斎藤一郎

通史ではないが、日本史の本を2冊。まず竹村公太郎監修『「理系」で読み解くすごい日本史』(青春新書920円)は、常に「ものづくり」の先端を走っていた日本の技術を、歴史の中からピックアップしている。
紀元前1万3000年前の縄文時代。原始的と片づけられない証が次々に発掘されていて、世界的に見ても技術の上で、高度な文明であったという見方が強まっている。粘土に雲母の混じった土偶、縄文のビーナスや縄文中期の火焔形土器はその代表的なものである。
出雲大社も古代、100メートルにも及ぶ、木造高層建築だった。刀鍛冶が作った信長の鉄砲、中国渡来の数学を和算に昇華させた数学者、全国を測量した伊能忠敬の天文学、日本のものづくりが結実した青色発光ダイオードなど、これまでの歴史から見落とされてきた、日本人の優れた遺伝子の底力が見えてくる。
文藝春秋編『日本史の新常識』(文春新書800円)も、日本史の新しい見方が集められている。たとえば鎌倉幕府が開かれたとされる1192年。いいくに作ろうと覚えさせられたが、その年は頼朝が征夷大将軍に任命されたにすぎず、今は1180年、実質的支配に成功した年が有力になっている。まさしく、温故知新が面白い。