全国書店新聞
             

平成19年12月11日号

取引出版社171社に/組合員に利益還元/TS協同組合

TS流通協同組合は11月29日午後4時から書店会館で第8回通常総会を開き、組合員100名(委任状含む)が出席した。
総会は秋葉副理事長の司会で進行、岡嶋副理事長の開会の辞に続き、片岡理事長があいさつ。「TSを通じて幅広い出版社から売行き良好書を手配できる環境になってきた。18年度は思い切って組合員に売上げ報奨という形で利益を還元した。売行き良好書を確保することも重要だが、TSから仕入れた方が安いという形を取れるかどうかも大きな課題と思う。今後は、皆さんからこういう事業はどうかという提案があればTSとしてやっていきたい。1店1店ではできないことがたくさんある。皆で知恵を出し合って事業を進めていきたい。出版社171社と直接取引していることは非常に大きい財産だと思う。あとは物流経費をどれだけ抑えることができるかにかかっている。今後とも皆様のご協力をお願いする」と述べた。
議案審議では平成18年度事業報告、決算報告、平成19年度事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
平成18年度の売上げは1億728万円で前年比5%減少したものの、ハリー・ポッターの発刊がなかったことによるもので、当初の目標としていた1億円をクリアした。取引出版社は河出書房新社、徳間書店、朝日新聞社、ナツメ社、メディアファクトリー等との取引がスタートして合計130社。東京官書普及41社とあわせて171社に拡大した。加盟書店は新規加入1店、脱退6店で150店。発注店数は1カ月平均75店で若干減少したが、1店当たりの注文は増加した。出版社取引金額ベスト5は新潮社、講談社、角川グループ、文藝春秋、小学館。
また、共同購買事業として『捜査官ガラーノ』『紀香バディ』(ともに講談社)の共同仕入を行なったほか、教育玩具の「ピットランド」、コスミック出版の500円DVDを継続販売。ケイプロモーションの老眼鏡、NANAの入浴剤、サイドエーのDVDをそれぞれ販売した。
平成19年度は、組合員の一層の加入促進、取引出版社の拡大を図るほか、システム・運用方法の改良、オリジナル商品の開発と販売、共同仕入の拡大、東京組合との連携強化と協業化の推進、東京青年部との事業協力などに取り組む。
審議終了後、来賓の東京組合大橋理事長があいさつ。「利益を上げ組合員に還元したことは、TS流通協同組合の素晴らしい努力があっての成果だと思う。今、有事出版社の問題で東京組合や日書連は大変な影響を被っている。TSには取引委員長を始め親会のメンバーもそろっており、この問題についても十分研究していただければと思う」と述べた。

新年号の原稿募集

本紙では1月1日・11日・21日号の新年企画として、皆様からの原稿を募集します。テーマは①書店経営に役立った1冊(経営者の心構えについて学んだ本、実務で役立った本など)、②私の好きなお国言葉、③今の時代にリーダーシップをとってほしい人物、④自由題(新春にふさわしいテーマを)のいずれか。原稿は800字以内。住所、店名、氏名、年齢を明記してください。採用分には記念品を進呈します。

支部体制の強化策を検討/加入促進パンフを刷新/東京組合

東京都書店商業組合は12月4日に定例理事会を開催。組織委員会を中心に取り組んでいる組織改革問題で、組合未加入書店への加入促進や支部体制の強化策について検討。加入促進パンフレットを新たに作成することを決めた。理事会終了後に如水会館で役員忘年会を開き、大橋理事長はあいさつで、読書推進運動の広がりを追い風に出版業界を取り巻く環境を改善していきたいと述べた。
〔組織委員会〕
組織改革問題で本間委員長から「組合加入促進については、13日に一部の組合員書店を招き懇談会を行なう。広く意見を聞いて未加入書店などに加入してもらう方策を探りたい。支部体制強化については、現在の支部構成を維持しつつ、隣接支部を統率する5つ程度のブロック制を導入し、支部間の交流を図っていくことを検討していく」と説明があった。また、加入促進パンフレットは前回平成5年に作られたもので現状にそぐわない部分が多くなったため、新たに作成したいとして了承された。
〔指導・調査委員会〕
11月12日に開催した中小書店経営研修会「名画DVDの販売施策」「低迷する雑誌販売に活!」は43名が参加したと報告があった。
〔経営・取引委員会〕
エクスメディアの自己破産問題で行なった在庫調査で、澁谷委員長から、11月30日現在131店のうち66店で在庫があったと報告。柴﨑副理事長は、「この問題について日書連は取協に意見交換会を申し入れている。通常の取引なら返品を取るのが当たり前。だが有事出版社のことは約定書の規定にないことから、不利になる事例がある。こういう点を直していきたい」と述べた。
〔流通改善委員会〕
TS流通協同組合の11月期の売上げは834万1319円(前年比108・3%)、発注件数は8701件(112・5%)、書店数は66書店(79・5%)と報告があった。
また中央支部から、中小書店支援策として、「販売実績のある単行本が文庫本になる間に、書店が原則40%のマージンを得られるカテゴリーを新設することについて出版社と研究してほしい」との提案があった。
午後5時からの役員忘年会で大橋理事長は「厳しい1年だったが、厳しい厳しいと言っているとますます厳しく感じる。私としては、出版業界の環境は改善される方向にあると考えてほしい。それは、朝の読書運動を始め、本をたくさん読もうという運動がいろいろ展開されてきているからだ。出版社、取次、書店だけでなく、全国の皆さんが読書の大切さに気づきつつある。文字・活字文化推進機構も立ち上がった。これらを有効に活用しつつ、我々の環境を改善する方向に進めていくことが大事だ。出版業界を取り巻く環境はアゲンストではなくフォローの風が吹いていると考えていきたい。明年を明るい良い年にしたい」とあいさつ。岡嶋副理事長の発声で乾杯した。

蒲郡で移動理事会開く/愛知組合

愛知県書店商業組合(谷口正明理事長)は11月25日、蒲郡市・蒲郡荘で移動理事会を開催。理事18名と地元・東三河支部員10名が参加した。
第1部理事会では、日書連報告としてポイントカード、返品入帳、文庫ランク調査などの経過説明がなされ、支部運営委員会、サン・ジョルディ委員会、青少年対策委員会などから報告があった。
続いて審議事項として、東三河支部員から「小口客注品の遅れ」「雑誌梱包の破損」「発売日違反者に対して、もっと厳罰に処することができないか」の声が出た。また、前向きな意見として「孫の日のポスターを年中掲示できるものとし、本を贈りましょうとアピールしてほしい」との要望が出た。
第2部懇親会に移り、三河湾の海の幸を堪能、組合員間の交流を深めた。
(榊原壮一広報委員)

ネット利用して電子図書貸し出し/千代田区立図書館

千代田区立図書館は11月26日から、インターネット上で電子図書を貸出・返却するサービス「千代田Web図書館」をスタートした。日本の公共図書館では初めての試み。2008年3月までは試用期間として千代田区内在住者限定のサービスとなる。
このサービスはインターネットが使えるパソコンならいつでもどこでも電子図書を借りることができ、パソコン上で読むことができるもの。借りた図書は普通の本をめくるように画面上で見ることができ、音声や動画再生もできる。返却のため来館する必要もない。電子図書の公正な利用と著作権の保護を両立するため、デジタル著作権管理(DRM)システムを導入している。
利用者は千代田区立図書館に来館して利用登録。千代田Web図書館のサイトまたはメールからの申し込みでアカウントを作成し、個人のアカウントとパスワード設定でログイン。閲覧リストから読みたいタイトルを選び「貸出」ボタンを押す。返却は、貸出リストから返却するタイトルを選び「返却」ボタンを押す。
貸出数および期間は1人につき5冊、14日まで。他の予約がなければ1回のみ1週間延長可能。
閲覧できる電子図書は16出版社・約3000タイトルで、今後さらにコンテンツ数を増やし、将来はPDAや携帯電話でも利用できるようにする予定という。

生活実用書/注目的新刊

生誕、没後などさまざまな区切り方で、物故した作家に光が当てられる。ややこじつけに見えても、時代に忘れ去られるよりはずっと良い。そういう意味では夏目漱石ほど恵まれた作家もまた少ないだろう。
牧村健一郎編『ジャーナリスト漱石発言集』(朝日文庫ま26―1660円)は「朝日新聞入社100年」である。漱石は40歳の時に朝日新聞に小説記者として入社する。それがちょうど100年前。20世紀が始まろうとする頃だが、21世紀ではそんなことはあり得ない。なにしろ、毎日出社することもなく、取材するわけでもない。定期的に小説を書くことが主な仕事だったのである。今から見れば実にのどかなものだが、それでも文芸を論じ、この間受けた学位を返上したり、また講演では日本の近代化を語っている。
『漱石全集』の12、14、16、25巻が底本になっているからそれを読めばいいようなものだが、こうして漱石のジャーナリスティックな面にスポットを当てて編集されると、新たな面が見えて面白い。
漱石が朝日新聞に入社した40歳の時に書かれたのが『坊っちゃん』で、この作品がまた新しい形で出版された。『直筆で読む「坊っちゃん」』(集英社新書ヴィジュアル版006V1200円)である。かつてこのような企画は限定版という高価な本に限られていたが、新書判で発売された。これもまた現代という時代の反映なのだろう。
今の作家はほとんどがパソコンのキーボードをたたく。直筆を見て、何となく書き手の文字からその背後にあるものを想像する、などということもなくなってしまった。だからこそ筆跡が新鮮に映る。
生原稿を読むに当たって、書かれた文字の崩し方などの早見表がついている。変体仮名も同様で、たとえば「子」のように書かれたのは「ネ」であるとか、解説が細かい。文庫本などを横に並べて読めば、別の楽しみ方ができる。
昔の編集者には悪字を読み解くのが得意な人がいたものだった。これもまた時代の流れというものかもしれない。
それにしても、毎年数十万部も売れている『坊っちゃん』の文庫を横に並べている書店を見かけないのはなぜなのだろう。
(遊友出版・斎藤一郎)

日書連のうごき

11月1日出版平和堂委員会と同維持会役員会に大川専務理事が出席。万引防止機構の江田五月参議院議長表敬訪問に大川専務理事が出席。
11月2日第16期第2回九州雑誌センター取締役会に、大橋会長ほか役員が出席。全国中小小売商団体連絡会に大川専務理事が出席。
11月5日公明党税制ヒアリングに岡嶋理事が出席。個人情報保護制度説明会に大川専務理事が出席。JPO・ICタグ書店部会に井門副会長が出席。JPIC常務理事会に大橋会長が出席。
11月7日「春の書店くじ」の特賞「ギリシャ7日の旅」、大橋会長が団長で出発。「中小企業と地域再生議員連盟」総会に山本理事が出席。
11月8日第29回出版物関係輸送懇談会に梅木常任委員が出席。
11月9日JPIC読書アドバイザー講座開講式に大川専務理事が出席。
11月12日JPO・ICタグ研究委員会に大川専務理事が出席。
11月13日第7回JPO運営委員会に柴﨑副会長が出席。弾力運用レポート事務局長会議並びに第2回TIBF検討小委員会に大川専務理事が出席。
11月14日出版ゾーニング委員会に鈴木副会長が出席。JPIC理事会に大橋会長ほか役員が出席。図書館サポート委員会。定款変更特別委員会。
11月15日「S・Jの日」実行委員会。
11月16日出版倫理協議会に鈴木副会長ほか役員が出席。絵本ワールド展示即売運営打合せ会に石井総務部長が出席。
11月19日公取協月例懇談会に小売公取協影山専務理事が出席。中小企業税制のあり方を考える連絡会世話人会に大川専務理事が出席。
11月20日出版流通改善協議会に面屋副会長ほか役員が出席。秋の「読書週間書店くじ」の抽せん会。
11月21日書協・雑協50周年記念式典に大橋会長ほか役員多数出席。各種委員会(指導教育、定款変更特別、共同購買・福利厚生、書店経営健全化、流通改善、取引改善、再販研究、広報、消費税問題特別、増売、読書推進、書店業界環境改善政策)、日書連共済会運営委員会、出版物公取協専門委員会。
11月22日日書連定例理事会。出版販売新年懇親会実行委員会。第16回山本七平賞贈呈式に大川専務理事が出席。
11月26日子どもの読書推進会議に大川専務理事が出席。雑誌発売日励行本部・実行合同委員会に藤原副会長ほか役員が出席。
11月27日日本図書普及役員会に大橋会長ほか役員が出席。出版倉庫流通改善協議会定例会議に大川専務理事が出席。万引防止実践講座に石井総務部長が出席。
11月28日出版クラブ理事・評議委員会に大橋会長が出席。税制・消費税を考えるネットワーク会議に大川専務理事が出席。出版サロン会に大橋会長が出席。
11月30日「S・Jの日PR企画」審査会。

桶川移転で経費増加/返品増で売上高95.2%に/トーハン

トーハンは11月29日、第61期中間決算(平成19年4月1日~9月30日)を発表した。売上高は2957億8400万円で前年比95・2%、中間純利益は9億7500万円で60・4%と減収減益だった。
売上高の内訳は書籍1092億9700万円(92・1%)、雑誌1608億3400万円(95・6%)、MM商品256億5200万円(108・7%)。返品率は書籍43・4%(2・9ポイント増)、雑誌36・3%(1・9ポイント増)、NM商品10・9%(1・9ポイント減)、返品率合計は1・9ポイント増の37・6%。
売上総利益は売上伸長率を0・6ポイント上回る95・8%。販売管理費は減価償却費の増加、重複経費の発生など桶川関連の経費負担がピークの期となり大幅に増加した結果、売上伸長率を4・3ポイント上回る99・5%となった。この結果、営業利益は39億2100万円で73・7%、経常利益は16億5700万円で前年比64・3%となった。
これにより税引前中間純利益額は9億400万円、法人税等を差し引いた後の中間純利益額は9億7500万円で前年比60・4%となった。
連結決算(連結子法人12社)は、売上高が前年比95・9%の2989億3800万円、中間純利益が46・5%の7億6300万円。

配達はピカチュー号で/中古三輪バイクを化粧直し/三田市・三京社書店

ホンダの屋根付き三輪バイク「ジャイロ・キャノピー」にピカチューの装飾をほどこし、配達に使って評判になっている書店があると聞いて、兵庫県は三田市の三京社書店を訪ねてみた。
三京社書店のある三田市は神戸市の市街地から六甲山系を越えて北へ25㌔、東は宝塚市に接する。武庫川が流れる三田盆地は古くから上質な酒米を産し、三田は米・材木の集散地として発展した。戦後、神戸、大阪のベッドタウンとして注目され、山を崩してニュータウンの造成が進んだ。平成元年には人口増加率日本一になったこともあるが、今は人口11万人で横ばい。
JR三田駅で下車、武庫川を渡って南西に1・5㌔ほどの南が丘に三京社書店の看板を発見。店主の抜井敏さん(44歳)から話を聞いた。
書店の創業は昭和22年。敏さんの父、貞夫は戦前大阪の出版取次、参文社に勤めており、戦後、実家の抜井米穀店の一角に本を並べて書店を始めた。芦屋宝盛館会長の抜井茂夫は貞夫の弟にあたり、復員後、兄の仕事を数年手伝った。昭和34年、有限会社を設立して、駅に近い商店街「ほんまちセンター街」に三京社書店の看板を掲げた。
敏さんは昭和37年生れ。高校を卒業して店に入った。父親が亡くなったのは昭和63年の大晦日。元号は1週間後に平成に変わった。本町の店は13坪ほどの売場で週刊誌、コミックがよく売れたが、商店街が地盤沈下をはじめ、次第に寂れてきた。平成12年、本町店から1㌔ほど離れた南が丘に売場25坪の住居兼用店舗を新築した。
1㌔しか離れていないのに、売れ筋が違った。週刊誌からファッション誌に比重が移った。品揃えも前の店では置いていなかった学参や児童書を充実させた。
移転して店売を増やしたかったからだ。
一時6対4だった外売比率は、ここにきて店売が落ち始め、7対3になっている。書店だけでなく、三田市周辺の小売店全般で買回客が減少し、一段と景気が悪くなっているような気がする。
三京社書店の配達区域は三田市全域、隣接する神戸市、西宮市。喫茶店、美容院、歯医者、ゴルフ場と8百弱の口座がある。遠いところで片道1時間。月曜から土曜まで毎日、配達に出る。近場は奥さんの玲子さんも配達する。教科書は小学校7校、中学2校、高校と専門学校各1校。今年はガソリン価格が高騰し、ガソリン代が月3万円にはねあがり、経営を圧迫する。
ところで、抜井さんが配達に使うジャイロ・キャノピーは新車価格46万円のところを、中古9万円で入手した。業者に頼んで全体をオレンジ色に塗装し、正面はピカチュー、荷台にドラえもんの絵と「BookStage/三京社書店」のロゴを入れた。ヘルメットもドラえもん。ドラえもんの絵はカッティングという技術で、自分でやるから材料費だけで済む。
配達の軽自動車にもドラえもんの絵が付いているが、現在4台目のデザインを考えているところ。写真の「ワゴンR」は1台目で、リアウインドウのワイパーはドラえもんが腕を振る仕組みになっている。
抜井さんはもともと凝り性のようで、ドラえもんグッズなら時計、人形、ミニカーと何でも収集している。なかにはアート引越センターのトースターまであるらしい。
阪神タイガース・グッズもコレクションしており、レジ横のショーケースには、今岡、浜中、藤川選手らのサインボール、グラブ、バット、人形が並ぶ。
抜井さんに三京社書店の当面する経営課題を聞くと、「三田自体が不景気な感じがするので、店売にはあまり期待できない。在庫を減らすぐらいかな。だから配達車にドラえもんのキャラクターを描き、もう一度宣伝に力を入れていきたい。客注はe―hon、ブックライナーを活用しているが、経費ばかりかかるのが悩みのタネ」という。
帰りに三田駅まで送りましょうというので、車のドアをあけると、「六甲おろし」のメロディが流れてきたのには驚かされた。

連結決算は増収減益/単体売上げで3107億円/日販

日販の第60期中間決算がまとまった。単体での売上高は3107億4600万円、対前年比0・6%減で10年連続の減収。内訳は書籍が1171億8700万円(0・8%減)、雑誌が1655億1400万円(1・7%減)、開発商品280億4400万円(7・7%増)。前期のハリー・ポッターに並ぶヒット作がなく、CVSルートの不振、既存店の落ち込みが減収の要因。返品率は書籍が41・7%(0・7ポイント増)、雑誌36・1%(0・5ポイント増)、計36・8%(0・3ポイント増)。
この結果、営業利益は61億8200万円(3・3%減)、経常利益16億8300万円(19・2%減)、中間純利益9億1100万円(13・2%減)と、いずれも減益となった。
子会社22社との連結決算では連結売上高3765億9600万円、0・3%の増収。経常利益は16億7千万円で33・8%の減益に。増収はイオン・グループとの取引拡大、楽天ブックスなどネット事業部門の売上増、MPDの売上増が主要因。イオングループは7月に切り替え、上期で47億円、通年ベースで120億円の年商増加が見込まれる。また、王子システム障害に伴い3億円の利益が失われた。
4日の記者発表で柴田副社長は「10年来の売上減少をコスト削減でしのいできたが、ここにきて原油、用紙と値上げが続く。定価アップを真剣に検討する時期ではないか」と指摘した。

リード・ジャパン社石積社長が初の著作

ITから宝飾、文具、ギフト雑貨まで、あらゆる分野の国際見本市を開催している日本最大の見本市主催会社、リード・エグジビション・ジャパン㈱の石積忠夫社長がダイヤモンド社から初の著書「正直者はバカをみない」(定価1680円)を出版した。
設立当時は無名だった同社を日本最大の見本市主催会社に創り上げた20年間の軌跡と、考え方、手法を全てのビジネスマンに通用する成功「王道」哲学として紹介する。「はじめに営業力ありき」「数字はごまかさない」「究極のサービスは儲けさせること」「逆境の時ほど発展のチャンス」など、多くのビジネスマンに参考になる話が満載。

週刊戦乱の日本史など/小学館2008年上期の新企画

小学館は11月30日午後4時から文京区水道のトッパンホールで「2008年上期雑誌・書籍企画発表会」を開催した。
今年の発表会は『魅惑のオペラ』第2期刊行を記念してソプラノ歌手・鈴木慶江さんのミニ・コンサートでスタート。冒頭、小学館大住常務は「来年は①リタイアした団塊世代のライフスタイル、②団塊ジュニアの出産・育児・教育、③ファミリー・ライフ・スタイル、④ティーンズ層と4つのジャンルを狙っている。昨年の『小学1年生』は目標を下回ったが、今年の入学準備号は昨年を若干上回る。4月号はリベンジに向けて取組んでいる。ニーチェに『脱皮できない蛇は死ぬ』という言葉がある。変化することが生き抜くこと」と決意を述べた。
続いて小学館の来年上期主要企画について以下のような説明があった。
◇『小学1年生』1月12日発売予定の入学直前号は「ドラえもんたしざんはかり」が特別付録。10ます計算反復ボード、学習国語新辞典(小1版)も付いて定価680円。3月1日発売の4月号特別付録はドラえもんゆびピアノドレミくん。4月1日発売の5月号はドラえもんひかるマジカル四次元ウオッチがついて定価各550円。店頭装飾と4・5月号増売コンクールを実施する。
◇週刊『新説戦乱の日本史』時代を変革させた戦乱の真相を大胆な新設で斬る全50巻。1月22日発売の第1号は「長篠の戦い」。創刊記念特別定価190円。第2号は2月5日発売、以降毎週火曜発売、580円。
◇ムック『全国四季花めぐり』AB判256頁、2月20日発売、全国500カ所以上の花の名所を厳選し、四季ごとの花の情報を網羅。「花の旅」百科の決定版。定価3675円。
◇食材図典Ⅲ『地産食材篇』食材図典シリーズ第3弾。各地の伝統ある食材を中心に「日本の育」を集大成。食材2000種をカラー図版と解説で紹介する。AB判384頁、定価5985円。
◇ムック『定番おかず』
1300人のネットアンケートからわかった家族が喜ぶベスト・レシピ420種を紹介。2月20日発売、AB判368頁、定価2940円。
◇『かず・かたちの図鑑』生活や自然の中に現れる「数」と「形」を考えるユニークな図鑑。写真やイラストを用いたパズルや迷路で遊びながら学力が身に付く。2月23日発売、AB判192頁、定価2940円。

府知事賞など87名に/大阪「帯コン」の表彰式

大阪読書推進会と朝日新聞大阪本社主催の「第3回大阪こども本の帯創作コンクール」の展示会・表彰式が11月24日、大阪市中央区のエル大阪(府立労働センター)で開催され、大阪府知事賞はじめ、入賞者に表彰状と副賞が手渡された。
今年の応募作品は、府内131小学校の児童から、個人応募も含め約1万2千点。その中から87作品が府知事賞はじめ各市町長賞、朝日新聞社賞などを受賞した。また、最多出品校、最高出品率校の2校には団体賞として各77冊の児童書が贈られた。
表彰式では中川正文大阪読書推進会会長(大阪府国際児童文学館名誉館長)が、大阪は世界で唯一国際児童文学館を開設していると大阪の読書運動に触れ、「素敵な本をよみ、素敵な大人になってください」と児童らを励ました。
受賞者を代表して大阪府知事賞を受賞した枚方市立殿山第1小学校6年・梅本由美さんが、「私の作品が実際に本の帯となってお店に並ぶと思うとわくわくします」とお礼の言葉を述べた。閉会の辞は大阪府書店商業組合面屋龍延理事長が「作者の心の中に入って何を書きたかったかを考えた立派な作品が多かった」と賞賛し、次回のコンクールにも多くの応募者を期待すると結んだ。
表彰式は第2部として「読み聞かせの会」を開催。小学館相賀昌宏社長が「ドラえもん」誕生のエピソードを藤子・F・不二雄氏との交流をまじえて説明。「読み聞かせ」はテレビで「のび太」の声を演じた小原乃梨子氏が安房直子作「山のタンタラばあさん」を読んだ。
小原氏は、「読み聞かせは聴衆に聞かせるという見下したような読み方ではなく、作者が伝えたかったことを想像し、その思いが伝わるように考えながら読んでいる」と説明。「読み聞かせ」が終わると大きな拍手が沸き起こった。
(中島俊彦広報委員)

大阪府知事賞(低学年)能勢町立久佐々小学校1年・福井優「あなたをずっとずっとあいしてる」ポプラ社
同(中学年)大阪信愛女学院小学校3年・芳尾夏実「山のタンタラばあさん」小学館
同(高学年)枚方市立殿山第1小学校6年・梅本由美「きっと天使だよ」鈴木出版
朝日新聞社賞(低学年)枚方市立東香里小学校2年・木村百菜「ぷかぷかランドすてきなおくりもの」理論社
同(中学年)茨木市立沢池小学校3年・山下陸「ぼくはにんじゃのあやし丸」国土社
同(高学年)大阪市立豊新小学校5年・玉川有希「八月のすきまに」新日本出版社
大阪国際児童文学館賞(低学年)能勢町立久佐々小学校2年・佐藤広樹「きつねのでんわボックス」金の星社
同(中学年)阪南市立尾崎小学校4年・吉本弘明「まぼろしのデレン」福音館書店
同(高学年)阪南市立尾崎小学校5年・木元瑞稀「天下無敵のお嬢様!けやき御殿のメリーさん」童心社
団体賞
最多出品校豊中市立蛍池小学校
最高出品率校大阪市立東田辺小学校

本屋のうちそと

弔問客が訪れる。近所のおばちゃんや昔のスタッフなど。「いつまでもあると思うな猫と売上」歴代のレジ猫の中で長寿を誇っていためぐみが今日死んだ。店を開業してから30年、彼女が師走の寒い日にやってきてからちょうど20年。店の三分の二の歴史に刻まれている。ふり返ると雪の降る寒い冬、店内の暖房機器も随分変わった。20坪足らずなので夏はクーラー専用機で冬はお湯も沸かせる灯油ストーブ。すぐそばの床で寝ていてしっぽを踏まれることも。それが業務用のブルーヒーターになり天板の上で眠れるようになった。その寿命がきて家庭用ファンヒーターに変更。上で長く寝そべるようになったのは良いが前に垂らした尻尾をこがした。これも故障つづきと容量の無さで寒い店内。そして今日、清水の舞台からジャンピング覚悟で設置したエアコンが初めて暖房の風で店をいっぱいにした時間に息を引きとった。
奥さんが張り紙を貼った。「訃報です。めぐみとの最後の長い一日が今、終わりました。20年ずーっとそばにいてくれてありがとう。20年は本当に長い。あなたは12月のちょうど今ごろ、ふらりとやってきて“めぐみ”と名付けられて私たちのこどもになりました。気がつくと近所で評判の看板猫に、月日を重ねて時には同い歳の親友、時にはたよりがいのある気丈な姉さん、そして母さんにもなってくれました。ガサゴソした世のなかですべてをわかっている様に“猫はねむるのが仕事だよ”が口ぐせでした。ちかごろでは絵に描いたような理想のおばあちゃんになってずっとそばにいてくれました。最後の一日を考えなかったわけではないのです。心の準備もできていたはずなのに今日、私たちは泣いています。12月4日―合掌― (理)