全国書店新聞
             

平成24年4月1日号

「あきらめない」福島での再建/福島県富岡町・菊地書店

東日本大震災から1年たったが、原発事故の被害に苦しむ福島の置かれている状況は1年前と変わらず、復興のスタートラインにすら立てていない。原発から20㌔㍍圏内の双葉郡8町村の大半は警戒区域などに指定され、住民のほとんどが全国各地で避難生活を余儀なくされている。福島県双葉郡富岡町を逃れて県内、埼玉を転々とし、現在東京で避難生活を送りながら福島での店舗再建を模索する菊地書店の菊地成一社長(55)に話を聞いた。(本紙・白石隆史)
〔原発逃れて東京へ〕
「生まれ育った町。愛着がある。戻れるものなら戻って、また商売をやりたい」。福島第2原発の立地町、福島第1原発から10㌔㍍圏の警戒区域に指定された富岡町から、東京都板橋区成増に避難している菊地さんは切実な表情で訴える。「でも…」と言ってしばらく沈黙したあと、「現実問題として難しいのかもしれない」と苦しい胸の内を明かす。
現在、東京都住宅供給公社が避難者に提供する都営アパートで暮らしながら、大学時代の同級生が埼玉県和光市で開く薬局で働く。菊地さんは東京薬科大学を卒業し、薬剤師の資格を持つ。
菊地書店は明治15年創業の老舗。菊地さんは5代目にあたる。父で会長を務める菊池俊成さん(80)は2007年に黄綬褒章を受けている。60坪の書店のほか薬局2店舗を展開する。
震災の日は福島県庁にいた。富岡町に戻ったのは午後11時。いくつか避難所を回って、やっと会長夫婦らを見つけた。避難所では「原発の様子がおかしい」という噂が駆け巡った。眠れぬ夜を過ごし、朝6時頃に避難命令が出た。着のみ着のままで町を出て、いわき市の知人宅で3日間過ごした。そのあと埼玉県ふじみ野市で歯科を開く弟のもとに身を寄せ、5月上旬に成増のアパートに移った。
〔町は警戒区域に指定〕
富岡町が警戒区域に指定される前の3月下旬、生活道具、通帳、印鑑などを取りに戻った。今年3月9日には一時帰宅で自宅と店を見て回った。店がある地区は津波の被害こそなかったものの、液状化が発生し、50㌢㍍地盤沈下した。店の床にひびが入り、いたるところに段差が出来た。本も落下した。警戒区域に指定され手つかずの町は、2011年3月11日午後2時46分で時間が止まったまま、荒れ果てていた。
小中高約30校の教科書を取り扱う。「昨年の新学期は震災と重なってどうにもならなかった。福島県教科用図書販売所にすべてお世話になった。今年も供給させてもらった。『今後も支援するので教科書の仕事を続けてほしい』と言っていただいた。西沢保佑社長と清野史彦専務に感謝しています」。また、福島県書店商業組合の西猛理事長には義援金や復興のことなど公私にわたり相談にのってもらっている。
書店組合、取次、出版社など関係者からの支援に対して感謝の言葉を何度も口にする。そして、双葉郡の書店が営業再開するため出版業界にお願いしたいことがあると、次のように話した。「津波で被災した商品と同じように、原発事故で被災した商品の返品入帳についても特段のご配慮をいただきたいと思います。これが解決すれば、原発事故で大きな痛手を受けた双葉郡の書店が前に進むための大きな助けになる。是非ご協力をお願いします」
〔いわきでの再建探る/浜通り地域に愛着〕
夏頃から営業再開を考え始めた。10月上旬に福島県いわき市にアパートを見つけた。会長夫婦が東京ではなく住み慣れた福島県浜通り地域での暮らしを望んだためだが、いわき市での営業再開を模索するため、市場リサーチの拠点にするためでもある。以来、菊地さんは東京と福島を往復する生活を送っている。
いわき市での営業再開を思い立ったのは理由がある。いわき市の高校に通っていた。業界の会議はいわき市で開かれることが多い。知人も多い。富岡町から最も多くの住民が避難している市でもある。富岡町の仮役場は中通り地域の郡山市にあるが、やはり同じ浜通り地域のいわき市が肌に合うのだろう。富岡町の町民1万5千人のうち5千人がいわき市で避難生活を送っている。双葉郡全体では2万人という一大コミュニティを形成している。長年支持してくれている双葉郡のお客のために何ができるかを考えたとき、いわき市で営業を再開するのが一番いいと判断した。
富岡町に戻ることが叶わないなら、いわき市で。しかし、「いわき市民も避難している方が大勢いるのに、それでいいのかなという迷いもある」と語る。また、同店の売上の半分は外商が占める。外商の顧客は学校関係と東京電力関連企業が多い。いわき市に移転した場合、今までのような営業形態を続けることは難しくなる。物件を探し情報を集めながら、どうするか思案中だ。
〔帰郷に複雑な思い〕
富岡町に戻ることを諦めたわけではない。「帰りたい」が家族全員の総意だ。特に高齢の会長夫婦の思いは強いという。帰還の条件は、最低限の生活基盤が整備されること、除染で放射線量が低減し限りなく事故前に近い環境に戻ること、商圏人口や雇用など商売が成り立つ環境が整備されることを挙げた。ただ、「故郷に戻りたい」と強く思う一方で、「帰還の条件が整う可能性は低いのではないか」とも考えてしまう。「『思い』だけでは戻れない。生活があるから」。帰郷への思いに現実の壁が立ちはだかる。
双葉郡の住民は県内外に広域に避難し、家族離散の問題に悩んでいる。菊地さんもその一人だ。会長夫婦はすでにいわき市に生活拠点を築いている。長男は昨春、東京医科大学に入学し、大学の寮で暮らしている。次男は福島に残ることを希望し、いわき市で会長夫婦と暮らしていたが、この4月に東京の予備校に入り、こちらも寮生活を送ることになった。長女は成増のアパートで同居している。昨春、東京の中高一貫の学校に転入した。新しい環境に馴染み、新しい友達も出来た。このまま東京で暮らすことを望んでいるという。菊地さんがいわき市で書店を開いた場合、奥さんは長女が高校を卒業する3年後までは東京に残るという。「家族がバラバラになり始めている」と不安を募らせる。
〔避難者集える店作る〕
書店5人、薬局11人の従業員は全員一時解雇した。「経営者として辛く、情けない。早く店を再建できれば再雇用で救える。でも今の厳しい状況では軽々しく言えない」と苦悩する。
菊地さんは社長就任後、従業員教育を重視してきた。少子高齢化で読書人口が減った上に、大型書店やネット書店の影響もあり、地方の小さな書店はただ送られてきた本を並べているだけではお客から支持されない。支持されるためには書店員が地域の顧客ニーズに合った棚作りをしなければならない。「文化を発信するのが書店の仕事。ただ本を売るだけではなく、そこに付加価値をつけた書店経営がこれからますます大事になると考えた」
東京都江戸川区に「読書のすすめ」という変わった名前の書店がある。〝本のソムリエ〟と呼ばれる清水克衛氏が、自分が好きな本を売るために作った書店だ。菊地書店の従業員はここで何度か研修を受けている。自分たちがこれだと思う本を紹介する〝本のソムリエ〟路線を進めた。「人生はいい時も悪い時もある。恋愛した時に読む本。挫折した時に読む本。既存のジャンル分けにこだわらず、お客様の人生に寄り添った本の選び方、仕入れを徹底した」という。
営業を再開できたら〝本のソムリエ〟路線をさらに進めたいという。「本は心の薬」と考えている。書店部門で心の薬である本を売り、薬局部門で身体の薬を売るというコンセプトで、双葉郡から避難している人たちの心身の健康に寄与したいと考えている。「震災前のように書店と薬局の店舗を別々に構えることはできない。1つの店舗の中で両方のアプローチができれば。震災で傷ついた双葉郡の人たちが集まれる場所にしたい」と力を込める。
1000人の顧客名簿を持っている。大切なお客様。安否を知りたいが、双葉郡の住民は全国各地に避難しており、どこで暮らしているかわからない。そこで旧住所宛に「大変な状況だけれど力を合わせて頑張ろう」というメッセージを書いた手紙を出した。手紙の一部は新住所に転送され、北は青森から南は福岡まで、100人の顧客から返事が来た。「どこで本を買ったらいいかわからない」「早く店を再開してほしい」といった声が寄せられた。お客の反応に「涙が出た」という。
〔健康提案型店舗へ/書店と薬局を融合〕
震災はこれまでの書店のあり方を見直すきっかけになった。外商と店売の形態を続けているだけでは行き詰まる。不易流行の精神で時代に合った仕事をするべきと考える。量を売る商売から、質や付加価値を売る商売に切り替えていく。そして大型書店や大手ドラッグストアにはない魅力を打ち出す。書店のノウハウと薬局のノウハウを活かした「健康作りの店」「ヘルスケアの店」を思い描いている。カラダにいい衣食住と、健康をトータルに提案する仕事を創造したい。お客がうれしく、楽しく、幸せになれる空間を創造したい。その中で「心の薬としての本」を重要な商材の一つと位置付ける。
参加している経営研究会で「書店と薬局の業界だけではなく、異業種をたくさん見なさい」とアドバイスされた。「避難生活のおかげで色々なものを見る時間をもらったのだと考えて、今の時間を有効に使いたい。自分が知らない世界を見て、聞いて、体験して、今後の店作りに役立てたい。今は助けられる側だが、早く助ける側になれるよう頑張る。店を作って、従業員を雇用し、避難生活を送る双葉郡のお客様の手助けをしたい」と、店舗再建へ意欲を語った。

震災復興基金募金箱設置に協力を

〈大震災〉出版対策本部では、「大震災出版復興基金」の店頭での募金活動に協力を呼びかけている。協力書店には、アクリル製ブック型の募金箱と店頭掲示用ポスター、送金用の郵便振替用紙を送付する。振込料は本部負担。募金を送金することで書店に税金はかからない。問い合わせは所属の書店組合へ。

生活実用書/注目的新刊

言葉は時間の流れと共に、微妙に変化していくものらしいが、妙な若者言葉が耳障りなのは事実である。ら抜き言葉が注目されたこともあるが吉行淳之介ですら、使っていたのもまた事実である。
張莉著『五感で読む漢字』(文春新書853780円)
は、中国で生まれ、立命館大学や同志社女子大学で教鞭を執っている著者が語る日本語と中国語の文字、漢字の変遷文化史である。
日本人はその昔「漢字から表音文字である平仮名を創り出し、従来の漢字と併せて使用した。漢字を音・訓で使い分け、自国語を巧みに文章化した。」と、その知恵の深さに驚き、字源研究に没頭したという。
「みる」の漢字には見・看・診・視・観をはじめ省・相・監・督・覧・閲・察・賭・覗・などたくさんあって、古代人はそれだけ「みる」ことを細かく分類していた。日本語で一番使うのは「見る」。一方、中国の現代用語で一般的なのは「看る」である。目に手をかざして看る様子が元の形だが、「見」は甲骨文は「目」と人を表す「儿」から成り立っていて、日本の方がむしろ古い用法を踏襲する。
中国では「聞く」は匂うと聞くの両方の意味がある。日本ではお香の世界に「香を聞く」という表現が残るが、これもまた、日本語の方がより原初的な意味で使っている。
五感を表す全5章。漢字の面白さが良く理解できる。
冨谷至著『四字熟語の中国史』(岩波新書1352720円)も漢字文化圏の歴史や思想の背景を探求する。
たとえば『論語』の温故知新。故きを温ねて新しきを知る、なのだが、「温」がどうして「たずねる」の意味を持つのであろう。3世紀の『論語集解』に「温は尋なり。故きものを尋繹す」と注釈されていて、ここから温がたずねると読まれるようになった。江戸期の主流だった朱子学でも同様の解釈だったが、朱子学嫌いの学者、荻生徂徠が異議を唱える。尋は古い字では習うという意味で、たずねるを踏襲した朱子学は粗忽だと断じている。著者は徂徠説を取り、古きを温めて新しきを知る、が正しいという。古いことに習熟してこそ新しいことが理解できる、という。
海を越えて伝わった、言葉の奥深さが見えてくる。
(遊友出版斎藤一郎)

標語「君と未来をつなぐ本」/第54回こどもの読書週間

第54回「こどもの読書週間」(読書推進運動協議会主催)が4月23日から5月12日まで、「子どもの読書の日」(4月23日)から「子どもの日」(5月5日)を間にはさんだ3週間の日程で実施される。
今年の標語は「君と未来をつなぐ本」。読進協は実施にあたり、全国の公共図書館、小中高等学校図書館、書店、マスコミ機関などにポスター(写真・上)や広報文書を配布してPR。読書週間の趣旨を示すマーク(写真・下)を作成し、期間中またはその前後を通じて各社が発行する雑誌・新聞・広報紙誌などに使用するよう呼び掛ける。
また、都道府県の読進協、関係各団体の協力を得て、以下の各種行事の実施を推進する。
▽公共図書館、公民館、小中高等学校の学校図書館で「こどもの読書研究会」「こども読書のつどい」「親と子の読書会」「大人によるこどもの本研究会」「こどもの読書相談」「児童図書展示会」「児童文学作家による講演会」「児童図書出版社との懇談会」などの開催。「読書感想文・感想画コンクール」の実施
▽都道府県の読進協による都道府県単位の「こども読書大会」などの開催
▽出版社・新聞社・放送局・文化団体などによる、被災害地域、児童養護施設・矯正施設などへの「図書・雑誌の寄贈運動」の実施

当選者から喜びの声/京都組合・本屋さんへ行こうキャンペーン

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は、昨年11月から今年1月末日まで実施していた「本屋さんへ行こうキャンペーン」の応募抽選を2月14日に行い、約3ヵ月間のキャンペーンを終了した。京都組合が毎年独自に実施しているこの催しは、組合員店舗の読者サービスと来店客の増加、商品の増売が目的。昨年に引き続き今回も書店の販促資材として馴染みあるカードカレンダーを活用してキャンペーンを実施した。応募総数235名の中から、厳正なる抽選の結果、景品であるダイソンのサイクロンクリーナーとダイソンのファンヒーターをそれぞれ1名に、図書カード3千円分を30名に当選とした。
実施方法は、名刺サイズのカードの表面にキャンペーンの告知内容、裏面に2012年のカレンダーが印刷されたものを書店の店頭で配布。来店客にキャンペーンプレゼントへの応募を促した。カードカレンダーを採用した理由は、カードに印刷してあるQRコードを携帯電話のカメラで読み取り、そのまま必要事項を入力すれば簡単に送信できる応募方法のため。応募者に好評で、書店側も応募用紙への記入を来店客にお願いする従来の方法よりも手間が要らず、カードカレンダーを渡すだけなので、応募を促す声を気軽にかけられるのが利点。また、応募には利用書店名を記入することを条件の一つとしているため、当選者にその書店の名前を添えて景品を送付できる。景品が届いた当選者からは書店に喜びの声が届いているという。
事業を担当した黒澤靖活性化委員長は、「キャンペーンの実施時期と期間は再考の余地があるものの、カードカレンダーを初めて採用した前回とは異なり、応募方法などで戸惑う声が応募者、組合員ともにあまり聞かれず、この応募形式が定着してきた感がある。カードカレンダーを活用した告知方法は、カードの裏面がカレンダーになっている点がポイント。チラシに印刷して応募用紙を配布する従来の方法では、消費者が書店の活動を知るのはキャンペーン開催中のとき限りだが、カードカレンダーはカレンダーの需要が年間を通じてあるので消費者が携帯して持ち歩く可能性が高い。カレンダーを見る都度、裏面にある「本屋さんへ行こうキャンペーン」の告知内容から、元気に活動する京の本屋の思いに触れてもらえる効果が、キャンペーン終了後も継続的に期待できるのではないか」と総括した。
(澤田直哉広報委員)

「新学期の児童書売場」テーマに/北海道児童書研究会

北海道書店商業組合(久住邦晴理事長)は2月21日、札幌市中央区の北海道建設会館で第2回児童書販売研究会を開き、書店11名、児童書出版社5名が出席した。
今回は「新学期の児童書売場」について情報交換を行い、各書店、出版社がおすすめ本や売場展開について発表した。また、旭川市・こども冨貴堂の福田洋子氏が「こども冨貴堂の活動と読み聞かせ」をテーマに日頃の活動を説明し、絵本の読み聞かせを実演した。出席者からは読み聞かせの素晴らしさを改めて実感できたとの声が効かれた。次回は6月開催を予定している。

電子書籍販売事業を報告/北海道理事会

北海道書店商業組合は1月31日、北海道建設会館で定例理事会を開催。指導教育委員会から日書連とウェイズジャパンが協力して取り組んでいる電子書籍販売事業について報告があった。また、久住理事長が今期決算見通しを報告し、賦課金未納店への対応を協議した。(北海道組合事務局・蓼内英江)

声/「責任送品制の導入を」大阪市・今西書店・今西英雄

「責任仕入・販売」の文字が書店新聞の1面に踊っていた。古くからの業界の課題である。
根本的解決には、業界三者が個々の部分を捉えてあれこれ指摘して議論を高める従来型ではなく、永年の業界システムを根本的に洗い直す途を探るときがきている。過去この議論が出た結果、書店側が新たに負担させられたのは、逆送運賃の書店負担というペナルティだった。
この論が正当であれば、送品時の品違い出庫・汚損本・破損品等々が着荷した場合大きな負担を強いられる。顧客に提供できるまともな品・美本を手に入れるまでのタイムラグによる販売の機会損失をはじめ、顧客、特に納期の定められている図書館用ではあらゆる手段を講じて入手しなければならない。人件費を始め電話・FAX等金銭的&時間的負担は大きい。
書店の責任として期日の切迫したものは実際に走り回り現金買いまでして納品している。相応のペナルティをいただく論も正当だろう。所謂「責任送品制」のルールの導入を提言する。

中学生が手書きPOP/積文館書店佐賀南バイパス店が地元中学校とコラボ企画

佐賀市の積文館書店佐賀南バイパス店は、このほど読書推進活動として市内の城南中学校とコラボ企画「手書きPOPでオススメする城南中学生が選んだ本」を実施し、同世代の来店者らの注目を集めている。
特設コーナーは店の入り口付近に設置。生徒が描いたPOPは、児童書、ライトノベルス、実用書など多彩なジャンルで、あらすじや面白かった点などイラストをつかって思い思いの言葉で表現している=写真。
同店の一ノ瀬店長は「中学生がこのような自由な発想で個性的なPOPを描くことに驚いた。書店人として見習いたい。同世代の学生や一般顧客がPOPの内容、表現に足をとめて見入っている。今後、定期的に実施したい」と好感触を示している。
今回の企画は、東京都内での書店と学校の実例を参考にした。図書館の読書推進活動の中で書店の陳列(POP)を参考にして好結果を得たとの事例が発表になっており、実際にPOPを掲げている本から貸し出されている。POPについて司書の先生も生徒への指導方法を模索している様子で、九州地区でも3年前から各地の司書部会研修会にてPOPの研修が行われている。
今回の城南中学校の千崎司書は2年前POPの研修会を受け、地道に普及活動をして、文化祭等の行事で生徒の作品を陳列していた。今回の書店イベントは昨年11月立案し、校長、教職員など学校全体の協力で全校生を対象に参加の呼びかけを行い、65点の作品が集まり書店店頭に並んだ。
千崎司書は「POPは人と本を結ぶ役割をし、POP作成は表現力や要点をまとめる力を養います。今後は授業と連携できればと思います。今回の書店での展示は子供たちに喜びと感激をもたらしました。各学校でPOPを描いている子どもたちがたくさんいます。その表現の場を書店で提供して欲しい」と語り、生徒の読書増加にも期待を寄せている。
福岡県の教育委員会は昨年、読書活動の充実と読書習慣の定着を目的に「小学生読書リーダー」養成講座を各地区で実施し、司書の仕事、読み聞かせ、POP作成などの研修を行い、成果もあがっている。今後、公共図書館、学校図書館においてPOPの普及が予測される。
POP作成者の子どもたちにとって、書店での陳列は感動ものであり、コラボレーション企画は双方に意義のある読書推進活動となった。(日販九州支店総括課・片山茂)

【特別寄稿】全国の書店さんを回って思ったこと③/神田村・東京出版物卸業組合、弘正堂図書販売社長・細野寛行

かつて1万数千店あった日書連加盟店が、5000店をきっています。大手出版社を定年で辞められた友人が、最近弊社に顔を見せました。勤めている時、本を買う時は、会社の近くの大型書店を使っていたそうですが、会社を辞めて近くの本屋さんに欲しい本を買いに行ったところ、以前は4軒あった書店が1軒になっていて驚いたそうです。2月2日付の朝日新聞の声の欄にも、自分の町の本屋が消えていくと言う内容が載っていました。昨年私も北陸の市内を歩いてみて、町に本屋さんが見当たらないなと思いました。みんな自分の家の近くにある本屋さんで本を買いたいのです。これからは電子書籍の時代だと言われ、30年後には紙の本はなくなると、ある有名なIT企業家が言っていますが、そんなことは有り得ません。2010年の電子書籍の規模は650億円、紙の媒体の規模は1兆8000億円で、電子を大きく上回っております。私は電子書籍の規模は、将来、現状の3~4倍で落ち着くのではないかと見ています。私は、書店さんが減少することは、小さな読者が育たない環境が増大し、読書離れ、活字離れ、活字文化の衰退に繋がっていくと危惧しています。町の本屋さんが少なくなると、小さな読者が、紙の本に親しむ期間を経過することなく、スマートフォンや電子書籍に流れ、ますます出版業界が衰退の方向に向かってしまうのではないでしょうか。この出版業界の危機の中、神田村も大手取次もお互いにそれぞれの得意分野を尊重しあい、効率重視ではなく、大局的な見地に立って協力し合い、書店さんが減少しないような対策を講じていかなくてはいけないと思っています。書店さんは神田村を補完的に使っているだけです。仕入れる額は全体から見るとごく僅かですが、神田村を使うと、客注や補充等が翌日入荷しますので、この店は品揃えがいいと評判になり来店数が増え、売上が上がります。お客様の来店数の増加により、神田村から仕入れたごく僅かな商品以上に大手取次から仕入れた商品が売れているようです。また、販売力があるのに、商品が入荷せず困っていた書店さんが、神田村を使うことにより、ある出版社の特約店になり、大手取次から潤沢に商品が入荷するようになったこともあります。このように書店さんが神田村を使うことは、大手取次にとっても大きなプラスになっています。
1月、北海道書店組合さんのご依頼で、札幌で神田村についての説明会を開催いたしました。大勢の書店さんが参加されました。
神田村の特色は、何と言っても、得意な版元に特化しているためか、商品力が桁違いに強い事、そしてキメの細かい、小回りの利く機動力です。
昨年末も、12月15日を過ぎたあたりから、弊社への注文が増えてきました。大手取次からの客注、補充の入荷が年内間に合わないということだと思います。
弊社は28日にいただいた客注、棚補充等注文分の出荷を当日28日にすべて発送致しました。送った商品はすべて翌29日(北海道、九州地区は30日)には、店頭に届いています。
弊社に神田村の資料を送って欲しいというお電話を頂き、資料をお送りしていますが、それっきりという書店さんもあります。大手取次との現状の取引で満足されているのでしょうか?お会いしてご説明しないとご理解いただけない箇所がいくつもあります。実際、説明をさせていただいた組合さんでは、多くの書店さんが神田村を使うようになりました。まず1ヵ月間試しに神田村を使ってみては如何でしょうか。その後、どうするか判断されてもいいと思います。一度神田村を使い始めると、即、売上が上がりますので、引き続いてお使いになる書店さんがほとんどです。
欲しい新刊が入荷しない、客注、棚の補充が遅い等、お困りの書店さんはぜひご連絡ください。
問い合わせ先=弘正堂図書販売℡03―3291―2351

コミック市場4・6%減の3903億円/『出版月報』コミックレポート

出版科学研究所発行の『出版月報』2月号は「コミック市場最前線」を特集。これによると、2011年のコミックス、コミック誌を合わせた推定販売金額は前年比4・6%減の3903億円で、10年連続のマイナスになった。同レポートからコミック市場の主な動向を紹介する。
〔コミックス、再びマイナスに〕
コミックスの推定販売金額は前年比2・7%減の2253億円。推定販売部数は同3・5%減の4億5216万冊。05年以来のプラスとなった昨年から一転してマイナスとなった。
『ONEPIECE』は2010年のような既刊分の爆発的売上げはストップしたものの、新刊の好調は持続した。しかし『君に届け』『ブリーチ』など、映像化で既刊を伸ばした作品や長期人気作品が軒並みピークアウトしてしまい、その反動が大きく影響した。『青の祓魔師』『銀の匙』などのヒットや、ライトノベル系コミカライズ作品の伸長があったものの、コミックス全体ではマイナスとなった。
平均価格は前年比4円(同0・8%)増の498円。付録付きの特装版コミックスや、『鋼の錬金術師』などの完全版といった高単価の商品が増えたことが上昇要因となった。返品率は同0・6ポイント増の27・1%。
新刊点数は前年より44点増加して1万2021点となり、3年ぶりに1万2千点台を回復した。雑誌扱いコミックスのみでは同277点増加の9128点。廉価版を除くと、同197点増加の7642点で、新刊点数の増加傾向が続いている。書籍扱いコミックスは同233点減少の2893点。
コミック文庫は、推定販売金額が前年比4・5%減の68億円、推定販売部数が同4・4%減の1012万冊。昨年はともに2ケタ減を記録したが、ドラマ化された『JIN』の既刊が伸びたことで下げ幅が縮小した。新刊点数は530点と昨年より156点もの大幅減で、4年連続のマイナスになった。
廉価軽装版の推定販売金額は前年比5・6%減の219億円。推定販売部数は同8・5%減の4672万冊となった。新刊点数は同5・7%増の1486点と2年ぶりのプラス。コンテンツ不足により、ごく近年のジャンプコミックス作品や少年サンデー作品なども廉価版になる状況になっている。平均価格は同2・0%(9円)アップの469円。
〔コミック誌16年連続前年割れ〕
コミック誌の推定販売金額は前年比7・1%減の1650億円。推定販売部数は同7・7%減の5億1603万冊で、16年連続のマイナスになった。返品率は同0・5ポイント増の32・2%。月刊誌・週刊誌別にみると、販売金額は月刊誌が同7・0%減の811億円、週刊誌が同7・2%減の839億円。販売部数は月刊誌が同8・8%減の1億9181万冊、週刊誌が同7・0%減の3億2421万冊だった。
販売金額を読者対象別にみると、月刊誌の子ども向けは前年比8・0%減の265億円、大人向けは同6・3%減の547億円、週刊誌の子ども向け(少年週刊誌)は同5・2%減の545億円、大人向け(青年週刊誌)は同10・4%減の294億円。昨年微減にとどまった少年週刊誌も5%以上の減退を示し、どの世代向けも厳しい状況だった。大人のコミック離れが進む一方、若い世代も雑誌を読む習慣がなく、新規の読者も減少している。
子ども向け週刊誌で好調を続けているのは『週刊少年ジャンプ』のみで、その他の銘柄は軒並み部数減。子ども向け月刊誌は『コロコロコミック』が類誌の創刊の影響で70万部後半まで発行部数が減少した。平均価格は3円(0・9%)増の336円。内訳は月刊誌が8円(2・0%)増の432円、週刊誌は前年と同数の265円。
11年12月末時点での月刊誌・週刊誌を合わせた発行銘柄数は前年より7点増の295点となり、プラスに転じた。創刊誌は前年より6点多い15点。休刊誌は同13点少ない10点。創刊が休刊を上回ったが、『ビジネスジャンプ』と『スーパージャンプ』の休刊・統合により『グランドジャンプ』が創刊されるなど、油断できない状況は雑誌全体の流れと変わらない。
〔読者と作品の出会いが重要に〕
コミック市場が抱える問題はコミック誌の部数減少にある。良い作品や作家の才能を育てる場としてコミック誌はコミック業界にとって土台であり、若い新規読者をつかみ、さらに持続的に読者を確保することが必要になる。
一方、コミックス単行本は作品が大量に刊行され続け、読者が読みたい作品と出会う機会を失っている可能性は相当高いと考えられる。そうした売り損じを防ぐためにも、書店と出版社同士が連携し、店頭での読者と作品の出会いをプロデュースしていく作業の重要性が一層増してきている。「売上げを支えていた長い人気作品が総じて落ち込みを見せる現状では、より多くの良作を新しく生み出し、1人でも多くの読者の目に止まるようにする必要がある」と出版科学研究所はまとめている。

2月は4・1%減少/新書は好調でプラス転換/日販調べ

日販営業推進室調べの2月期書店分類別売上調査は、売上高前年比が4・1%減と先月より0・2ポイント減少した。
雑誌は全体で5・5%減と先月を1・1ポイント下回った。月刊誌は5・4%減と先月より0・2ポイント下降。今月は際立って売上が好調だった銘柄はなく、前年は「non・no」(集英社)や「sweet」(宝島社)など女性誌の売行きが良好だったため、今月もマイナスが続いた。
書籍は全体で2・5%減と先月より1・7ポイント上昇。文芸書は、11・8%減と先月を2・2ポイント上回った。芥川賞受賞作『共喰い』(集英社)が好調だったが、前年は『謎解きはディナーのあとで』(小学館)の売行きが良好だったためマイナスが続く結果となった。新書は幻冬舎新書、講談社新書で売行き良好な銘柄が多く、先月を8・9ポイント上回る1・8%増とプラスに転じた。

移転

☆平凡社
左記の場所に移転し3月19日から営業を開始した。
〒101―0051東京都千代田区神田神保町3―29
℡03―3230―6570(代表)、FAX03―3230―6586

志ん朝CDブックを責任販売で/書店マージン32%に/河出書房

河出書房新社は、6月中旬に刊行するCDブック『古今亭志ん朝大須演芸場』について責任販売方式を導入すると発表した。販売条件は、書店卸正味が68%で、書店マージンを32%に拡大する。書店が取次に返品する場合は53%の歩安入帳。初回出荷は3ヵ月延べ勘とする。
『古今亭志ん朝大須演芸場』の体裁は、愛蔵本(B5判・96頁)1冊とCDブック(B5判・CD10枚組)3冊の計4冊美麗ケース入り。CDは、志ん朝が名古屋の大須演芸場で1990年から99年まで行った独演会59席を収めたもので、すべて初出音源。「中村仲蔵」など初CD化の演目も7席収録する。愛蔵本は、大須演芸場の席亭はじめ、志ん朝とともに大須の独演会に出演した芸人たちのインタビューや、詳細な演目解説などを収録している。定価4万2千円(税込)。また、初版特典に90年代の本編未収録口演2席のCD、予約特典に80年の口演2席のCDが付く。予約期間は5月10日まで。

「京都ランニングマップ」を企画/京都市・パルナ書房・久野敦史氏

3月11日、京都マラソンが開催されました。京都にはランニングサークルやランニングカフェが現れ、二条城などランニング渋滞が起きるほどの盛り上がりですが、京都のランニングマップは発行されていませんでした。よってこのたび「京都ランニングマップ」(発行光村推古書院、本体1000円)を発売する運びとなりました。
写真入りフルカラーで25コースを紹介。携帯して走れるように文庫サイズ。監修者はシドニーオリンピック金メダリストの高橋尚子氏を指導した大阪学院大学山内武教授です。
本書の発行の背景には京都の出版業界の物語があります。京都には独自の出版文化があり、地元出版社がとても元気なのです。京都の新聞界で圧倒的シェアの京都新聞社。他の追随を許さない発売部数を誇る京都の月刊情報誌Leaf。発行6年目になる「京都手帖」の光村推古書院。美術専門書の出版社でありながら「パラパラブックス」など意表をつく青幻舎。個性豊かな地元出版社と書店との間には丁々発止の交流関係が昔からあります。
ところが数年前の自転車ブームのおり、他府県の出版社が京都の自転車マップを販売し、爆発的に売れた苦い経験があります。私は京都、壬生島原の町の本屋で三代目ですが「ランニングマップは地元から出そうよ」と光村推古書院に訴えたところ「じゃ店長が企画書を書いてください」とボールを返され、本書の発行が実現しました。
「京都ランニングマップ」は京都の書店が企画し、京都の出版社が発売した京都の出版文化の象徴的存在でもあります。

『放課後はミステリーとともに』がドラマ化/実業之日本社

実業之日本社の『放課後はミステリーとともに』(東川篤哉著)が、TBS系列の「ドラマNEO」で4月下旬から連続ドラマ化される。
実業之日本社では、ドラマ化に合わせて4月上旬からカバーを一新。カスヤナガトさんによる新しいイラストで出荷する(写真)。
TBSの放送予定は、4月23日~6月25日の毎週月曜24時20分から(全10回)。出演は、霧ヶ峰涼役に川口春奈さん、石崎先生役に速水もこみちさん。

受賞

◆吉川英治賞
吉川英治国民文化振興会が主催する吉川英治賞3賞の受賞者が3月5日に発表された。受賞したのは、第46回吉川英治文学賞に夢枕獏氏『大江戸釣客伝』(講談社)、第33回吉川英治文学新人賞に西村健氏『地の底のヤマ』(講談社)、第46回吉川英治文化賞に大山泰弘、岡野眞治、畠山重篤の3氏。
同日帝国ホテルで行われた記者発表で、夢枕氏は「SFではない普通の時代小説は初めてで、自分でもかなり力の入った作品。それで受賞できたのは本当にうれしかった。釣りの話だが、中身の方は現代のサラリーマンにも通ずる、元禄時代の小普請組の武士たちがどうやって生きたかという話。釣り指南書を書いた津軽采女という男の話で、生き方指南書みたいな部分もあるのでそういう部分も楽しんでもらえたらうれしい」。西村氏は「わたしの故郷である福岡県大牟田市は炭鉱の町で、ここを舞台にして書いてみたら面白いんじゃないかと思いついたのがこの作品。キャラクターたちが頭の中で勝手に動いてくれて、私はそれをつづっているような実感があった。大牟田に生きたすべての人々が私にこれを書かせてくれたんじゃないかと思う」とそれぞれ受賞の喜びを語った。
吉川英治賞3賞の贈呈式は4月11日に帝国ホテルで行われる。
◆魔法のiらんど大賞
アスキー・メディアワークスが主催する「第5回魔法のiらんど大賞」の贈呈式が2月27日に都内で開催された。
同賞は、ケータイ小説サイト「魔法のiらんど」で公開された230万の審査対象作品の中から、ユーザーによる評価と、アスキー・メディアワークス及び各協賛企業の評価で受賞作を決定。贈呈式では、『見てる。〈ストーカー〉』で最優秀賞に選ばれた蜜柑さんを始め、「歴史部門賞」「ノンフィクション部門賞」「切ない部門賞」「8×4デオウォーター賞」「MAP賞」の各受賞者に賞が贈られた。
アスキー・メディアワークスの髙野潔社長は「弊社は今年創立20周年を迎え、電撃、アスキー、魔法のiらんどという3つのブランドを大きな柱として、さまざまな新しい展開を予定しているので、よろしくお願いする」とあいさつ。最優秀賞に選ばれた蜜柑さんは、「高校生の時に小さくノートに書いていた世界を、たくさんの人に応援していただけてうれしい」と喜びを語った。
「MAP賞」を受賞した『心が君を、探してる。』は2013年にミライ・アクターズ・プロモーションにより映画化を予定。この他の受賞作もすべて書籍化を予定している。

人事

★岩崎書店
2月24日開催の株主総会並びに取締役会で左記の役員を選任した。◎昇任、○新任。
代表取締役会長兼社長
岩崎弘明
専務取締役営業部長
◎松岡正道
取締役編集部長
○金井由紀
執行役員総務部長
○佐野憲一
監査役村上学
黒田丈二、津久井惠、今西榮一各氏は退任。

ブックサミットが盛況/第56回東海日販会に440名

東海日販会は2月16日に名古屋市の名古屋東急ホテルで第56回総会を開催し、会員書店、出版社、日販関係者あわせて440名が出席した。
総会前には第9回を数える「東海ブックサミット2012」が行われ、過去最大規模となる111社の出版社がブースを展開し、書店と商談を進めた。
総会であいさつした宮川源世話人代表は「書籍は責任販売・計画販売で、ベストセラーが期待されるものを月10本くらい製作してほしい。それで書店が目利きをする訓練もしていきたい。雑誌については早い段階で企画内容を明らかにして、追加がきくシステムがほしい。現在、業界三者の考えているベクトルの方向がずれているように感じる。出版社は書店数減少で雑誌の直販を進め、電子書籍にも進出している。取次は返品率の減少に努力している。書店は本で売上げをあげるのが難しいので、文具や中古本等、他のアイテムを導入している。このような微妙なずれを無くしていかなければならない。それぞれ出版物に対して思い入れがあるのだから、知恵を出し合って良い方向に進んでいくよう努力したい」と述べた。
この後、昨年度事業経過報告・会計報告及び今年度事業計画案・予算案を審議し、いずれも可決承認。また今年度は役員改選期にあたり、新任の書店世話人として木和田泰正氏(精文館書店)、水野賢一氏(白沢書店)が選任された。
日販の古屋文明社長は、「書籍で収益をあげること、委託によって生じている流通の無駄を排し、利益を生み出すことを考えていかなければならない。このために日販ではPARTNERS契約、MPDではチャージ契約を進め、利益の再配分を行っている。買切のシェアも増やしていかなければならないが、計画販売がなかなか進まない。歩安、返品制限、時限再販に取り組んでマージンアップにつなげたい。雑誌の落ち込みがさらに大きくなる前に、新たな仕組みを確立させたい」とあいさつした。