全国書店新聞
             

平成29年9月1日号

紙の出版販売金額、今年上期は5・5%減/雑誌の大幅な落ち込み続く/出版科研調べ

出版科学研究所は2017年上半期(1~6月)の書籍・雑誌分野別動向をまとめた。これによると紙の出版物の販売金額は7281億円で、前年同期比5・5%減と大きく減少した。書籍は同2・7%減の3954億円。雑誌は同8・5%減の3327億円と前年同期に続き大幅に落ち込んだ。
〔文芸書、学参は検討も文庫本が低迷/書籍〕
書籍の販売金額は前年同期比2・7%減の3954億円で、前年と同じく文芸書ではベストセラーが相次ぎ、学参なども好調さを示したが、文庫本は低迷が続き、全体では前年の水準に届かずマイナスになった。販売部数も同4・4%減の3億2236万冊と減少した。
新刊平均価格は、同0・1%増の1182円、出回り平均価格は同1・8%増の1161円。廉価な文庫本の不振により、特に出回りは大幅に上昇した。金額返品率は34・2%で同0・1ポイント改善した。
新刊点数は同4・3%(1662点)減の3万6711点で、このうち取次仕入窓口経由が同4・1%(1120点)減の2万5966点、注文扱いが同4・8%(542点)減の1万745点とともに大きく減少した。取次仕入窓口経由は5年連続のマイナスで、新書や学参の点数減が目立っている。
17年上半期は、佐藤愛子のエッセイ『九十歳。何がめでたい』(小学館)や村上春樹の新刊『騎士団長殺し』(新潮社)、直木賞と本屋大賞を受賞した恩田陸『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)など文芸書の話題書が多かった。低迷が続いていた教養新書では『応仁の乱』(中公新書)など長期で売れる作品が登場した。好調が続いていた児童書は微減となったものの、読み物、児童文庫など続伸するジャンルが多く、勢いは持続している。学参では小学生向けドリル「うんこ漢字ドリル」シリーズ(文響社)が爆発的に売れ、各メディアで注目を集めた。文庫本は約6%減と減少基調は変わらず。上位タイトルは、湊かなえ『リバース』(講談社文庫、80万部)、住野よる『君の膵臓をたべたい』(双葉文庫、60万部)、又吉直樹『火花』(文春文庫、58万部)など、人気作家かつ映像化された作品が中心となっている。
〔金額返品率44・0%と大幅に悪化/雑誌〕
雑誌の販売金額は3327億円で前年同期比8・5%減となり、前年同期の7・1%減を超える大幅な落ち込みを記録した。内訳は、月刊誌が同8・4%減の2711億円、週刊誌が同8・9%減の616億円。月刊誌は、定期誌が約7%減、ムック約9%減、コミックス約11%減で、特にコミックスは電子コミックの成長と対照的に落ち込みが深刻になっている。
推定発行部数は同7・0%減。内訳は、月刊誌が同6・9%減、週刊誌が同7・3%減。推定発行金額は同5・3%減で、月刊誌は同5・2%減、週刊誌は同5・3%減。平均価格は同1・8%増の564円で、月刊誌は同1・8%増の638円、週刊誌は同2・3%増の361円と上昇傾向が続いている。
金額返品率は同2・0ポイント増の44・0%と大きく悪化した。内訳は月刊誌が同1・9ポイント増の45・0%、週刊誌が同2・4ポイント増の39・1%で、送品は抑制しているものの販売効率の悪化が進んだ。
創・復刊点数は同2点増の43点。一方、休刊点数は同7点減の65点で、『小学二年生』や『日経会社情報』などジャンルを代表する老舗雑誌が休刊した。不定期誌の新刊点数は増刊・別冊が1704点で113点減少。ムックの新刊点数は同86点減の4300点だった。1号を1点とカウントした付録添付誌数は、同9点増の5898点。
雑誌は、一部分冊百科や女性誌・美容誌を中心とした豪華グッズ付録付き雑誌、アイドルの特集号など、売れた雑誌は単発かつ限定的で、好調といえるジャンルはごくわずかだった。『週刊少年ジャンプ』が200万部を割り込むなどコミック誌の減退が加速。コミックスも新たな作品が育たず、映像化による既刊の売り伸ばしにも苦戦している。
〔紙+電子の出版販売額は2・8%減〕
17年上半期の電子出版の市場規模は1029億円で前年同期比21・5%増、金額で同182億円増加し、1000億円台に到達した。内訳は、電子コミックが同22・7%増の777億円、電子書籍が同14・8%増の140億円、電子雑誌が同21・7%増の112億円。コミックは各社が積極的にキャンペーンやフェアを展開、新たに電子コミックの取扱いを増やす出版社もあり、市場が拡大している。書籍はラインナップの拡充が進展せず、コミックに比べ緩やかな伸びになっている。雑誌は定額制読み放題サービス「dマガジン」の会員数の伸びが徐々に落ち着き、各社の参入が相次いだものの前期ほどの伸長には及ばなかった。
上半期の紙と電子の出版市場を合わせると8310億円、同2・8%減。市場全体における電子出版の占有率は12・4%で、同2・5ポイント増加した。

読書週間標語「本に恋する季節です!」

読書推進運動協議会(野間省伸会長)の主催により文化の日を挟んで10月27日から11月9日まで実施される第71回読書週間の標語が「本に恋する季節です!」に決まった。野間読書推進賞、全国優良読書グループ表彰などの行事が行われる。

「郷土の本200選」小冊子を作成/読書推進キャンペーン実施/山形総会

山形県書店商業組合(五十嵐太右衞門理事長)は7月21日午後3時から、山形市の山形県教科書供給所会議室で平成28年度通常総会を開催し、組合員25名(委任状含む)が出席した。
総会は、五十嵐理事長のあいさつののち議案審議を行い、第1号議案の第30期事業報告から第5号議案の第31期賦課金及び過入金の決定まで、全ての議案を満場一致で可決した。
また、日書連読書推進活動補助費により実施した「読書推進キャンペーン・やまがた郷土の本200選」の内容説明と小冊子の配布を行い、午後4時に終了した。
(五十嵐靖彦広報委員)

「春夏秋冬本屋です」/「10年後、20年後」/滋賀・ますや書店代表取締役社長・岩根秀樹

前回の僕の記事を見た東京の書店さんから電話をいただいた。20年近く前、関西の書店仲間で「本屋の村」を結成、書店業務管理パソコンソフト「楽樂ほんやさん」を開発し、東京で説明会を開催した時に初めてお会いした方だ。ここ数年は疎遠となっていたが、懐かしい声を聞き、今でも頑張っておられるようでうれしく思った。「本屋の村」で知り合った多くの書店人との交流は僕の財産だ。「楽樂ほんやさん」はその後改良を重ねて今では「らくほん5」となっている。
先日もある本屋さんからの電話。らくほん5は10年後、20年後も使い続けられるのかという質問だった。パソコンは使い方にもよるが、長く使っているとハードディスクなどが経年劣化して故障しやすくなる。概ね寿命は5年くらいだろう。それにOS(基本ソフトのこと、現在はWindows10)のサポート期間はリリースからほぼ10年、OS上で動く業務用ソフトも同じように、10年前に購入したソフトを最新のパソコンで動作することはまず無理だろう。OSにあわせてバージョンアップしていかないと、そのままでは使えないことを説明した。
らくほんは来年1月に次のバージョン「らくほんz」をリリースする。軽減税率にも対応する。20年先までは見通せないが10年先くらいは使えるだろう。

発売日、首都圏と同日を要望/にいがた文学検定を継続実施/新潟組合総会

新潟県書店商業組合(西村俊男理事長)の第33回通常総会が、7月4日午後2時半より新潟カルチャーセンターで開催され、組合員46名(委任状含む)が出席した。
総会では、平成28年度事業報告、収支決算報告、平成29年度事業計画、収支予算などを審議して原案通り承認。29年度事業計画では、「にいがた文学検定」の継続実施、「絵本ワールド」の開催が承認された。
また、重要議案として雑誌発売日に関して、新潟県において首都圏と同日発売を希望し、雑誌発売日励行本部委員会に組合の総意として要望することを決議した。他には組合賦課金の一律化が承認された。最後に役員改選が行われ、西村理事長を再選した。
総会終了後、市内の割烹で懇親会を行い、取次、出版社、運送会社が参加して活発な意見交換が行われた。(遠藤壮太専務理事)

図書館・情報化委員長に田上常務理事/大阪理事会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は7月8日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。
会議に先立ち、小学館パブリッシング・サービス関西支社長・西川氏から、11月24日発売予定の「世界大地図」と9月5日発売予定の「ニッポンの国宝100」について商品説明が行われた。
また各委員長からの報告に先立って、深田副理事長から図書館・情報化委員長の選考経緯と田上常務理事の推薦が諮られ、承認された。
各委員会の主な審議・報告事項は次の通り。
〔読書推進委員会〕
「本の帯創作コンクール」大阪市版展示会について、設営と撤去作業の協力要請があった。
〔定款・規約等委員会〕
8月中に諸規定を精査し、9月理事会に素案を提案予定と報告した。
〔事業委員会〕
7月6日開催の委員会で、小学館世界地図カレンダーと販売用カレンダーの取り組みを決定、これを承認した。販売用カレンダーは、大阪組合の特約として2冊単位8セットで注文ができるようになった。
〔レディース委員会〕
レディース・ランチの会を6月14日にイタリア料理店「モードディポンテベッキオ」で開催、41名が出席したと報告した。
(石尾義彦事務局長)

組合未加入店の加入促進/雑誌発売日の改善求める/長崎組合総会

長崎県書店商業組合(中山寿賀雄理事長)は、7月27日午前11時より諌早市の「水月楼」で第30期通常総会を開催し、組合員28名(委任状含む)が出席した。
総会は草野専務理事の進行で始まり、中山理事長があいさつ。日書連総会についての報告が行われ、全国の所属員数が3504店となりなかなか下げ止まりが見られないこと、書店の粗利拡大の要請など業界の流れについて説明があった。
議長に古瀬副理事長を選任して議案を審議。1号議案の事業報告を中山理事長から行い、事業概要で「脱退店が増え、賦課金も減少して、組合の運営にも支障が出そうだ。九州雑誌センターでのムック誌の取り扱いを拡張することを呼びかけていきたい」と説明があった。
2号議案の決算報告は草野専務理事が詳細に説明、六倉監事より監査の結果適正であった旨の監査報告があり、全員異議なく承認された。
3号議案の事業計画案は中山理事長が説明。29年度事業計画については、未加入書店の加入促進と、九州一円の雑誌発売日を2日目地区にするよう要望する案を盛り込んだ。4号議案の収支予算案は草野専務理事より説明があり、3号議案・4号議案とも全員異議なく承認された。
総会終了後、来賓の中央会・今泉氏、テジマ運送・手島社長よりあいさつが行われ、今泉氏は長崎県の中央会の現状などについて説明。手島社長からは、出版業界の運送業務(コンビニ等)の厳しい状況について説明があった。
(古瀬寛二広報委員)

「いい本をお客様に届け続ける」/奈良組合総会で林田理事長

奈良県書店商業組合は7月27日、橿原市久米町の橿原観光ホテルで第33回通常総会を開催し、組合員28名(委任状含む)が出席。役員改選で林田芳幸理事長を再選した。
総会は森谷勝則理事の司会で始まり、林田理事長が「奈良の書店が、人と人の交流を深め、いい本を提供し続けられるように組合活動を充実させたい」とあいさつした。
続いて春名貞夫副理事長を議長に議案審議を行い、第32期(平成28年度)事業報告、決算報告、監査報告、第33期(平成29年度)事業計画案、予算案を原案通り承認可決。また、理事数を「15人以上20人以内」から「7人以上12人以内」に減員することなどを内容とする定款変更案を承認可決した。
任期満了に伴う役員改選は、総会で新理事10人を選出。総会後ただちに開いた新理事による理事会で林田理事長を互選した。
版元や取次の関係者ら約25名も参加した懇親会で林田理事長は「筆も墨もお茶もお酒も奈良が発祥の地。深い歴史のある奈良を誇りに、いい本をお客様に届け続けていけるよう頑張りたい」と抱負を述べた。
[奈良組合役員体制]
▽理事長=林田芳幸(啓林堂書店)▽副理事長=春名貞夫(サン書房)
(靏井忠義広報委員)

催し

◆第58回書店新風会水戸総会2017
9月28日(木)~29日(金)、茨城県で開催。28日は総会を午後0時10分から水戸市の水戸駅ビルエクセル6Fエクセルホール。CCC創業者・増田宗昭氏の講演会を午後4時15分、懇親会を午後6時半から大洗町の大洗パークホテルで開催。29日はゴルフと観光。
◆NET21児童書受注会(年末年始商材)
9月15日(金)正午~午後6時、東京都千代田区のWATERRASCOMMON3Fホールで開催。

決算報告書、収支予算案を審議/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合(井上俊夫理事長)は7月21日、横浜市中区のかながわ労働プラザ会議室で定例理事会を開催した。
日書連報告では、図書カードや雑誌定額配信サービスなど業界の諸問題への対応が遅いとの報告があった。
議事では、8月25日開催の総会に向け、平成28年度の決算について決算報告書に基づき財務目録、貸借対照表、損益計算書、収支報告書、剰余金処分案が読み上げられ、監査報告の結果も報告された。続いて平成29年度収支予算案も読み上げられ、理事会としていずれも承認した。また、3店舗から脱会届が提出されたことが報告された。
(山本雅之広報委員)

学校図書館図書整備費予算化を/80市町村に地域書店へ配慮求める要望文/千葉組合

千葉県書店商業組合(鈴木喜重理事長)の事業委員会(村田正喜委員長)は、「平成29年度学校図書館整備施策に関する予算化のお願い」と題した文書を、5月15日付で県下80市町村の教育委員会教育長宛に提出した。
この文書は、地元に根差した街の本屋の役割を強調し、第5次「学校図書館図書整備等5か年計画」に基づく図書館図書費の予算化で、地域書店の活性化に配慮するよう求めたもの。村田委員長は「文書を提出した後、一部の市町村で予算化の結果が出始めている」と手応えを語っている。
要望文は以下の通り。
[平成29年度学校図書館整備施策に関する予算化のお願い]
時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
当組合は、千葉県内の書店業界の改善と発展を図ることを主な目的とした商工組合です。
さて、いまの日本は人口構成比率の変化、少子化と生産年齢人口の減少や情報収集手段の多様化による高度情報化、そしてグローバル化と大きな変化が起きています。
これからの時代、既存の価値観に捉われず新しいことを創造する力が必要です。
改訂された学習指導要領ではアクティブ・ラーニングによる「学び」を重視しています。その能動的学修で思考力や判断力、表現力、主体性、多様性を身につけ新しいことを創造する力を育成する「学び」を実現するよう求められています。
そこで、子どもたちの知的好奇心を満たし探究心を育てる学習環境を整えることが重要だと考えます。
それには学校図書館などを活用する読書活動は必要不可欠になり、教育界のみならず各界から学校図書館に対する期待が大きくなっています。
近年、ネット通販や郊外の大型書店の進出により地域で知的文化の発信源であった街の本屋をとりまく環境は厳しさを増しています。
しかし、地元に根差した街の本屋ならではの細やかなサービス、地域密着の小回りの利点で環境整備に貢献し、読書の推進活動をしてまいりたい所存です。
つきましては、厳しい財政状況とは存じますが、「5か年計画」に基づく図書館図書費の予算化に向けて、地域書店の活性化に是非ともご高配賜りますようお願い申し上げます。
尚、千葉県書店商業組合がサポートしてまいりますので、ご不明な点がございましたら下記へご連絡下さいますようお願い申し上げます。
■ご連絡先(お問合せ)
千葉県書店商業組合=千葉市中央区蘇我3―15―20℡043―266―4623FAX043―266―4637

CCC、2551億円で首位/書籍・文具部門売上高ランキング/日経MJ「日本の専門店調査」

日経MJ(7月12日付)は「第45回日本の専門店調査」(2016年度)を発表した。
これによると、全国の有力専門店376社の総売上高は24兆4874億円と前年比2%増。増加は2年連続。高齢化が進む中、健康志向などのニーズを開拓するドラッグストアや眼鏡チェーンなどが売上高伸び率ランキングで上位に入った。
全23業種のうち増収は13業種。消費者の低価格志向を反映し、ドラッグストア・医薬品(7・4%増)、100円ショップ(6・8%増)などが好調だった。インターネット通販が普及して販売手法が多様化する中、通販事業者や他社との差別化がこれまで以上に重要になっていると同紙は指摘している。
書籍・文具部門を見ると、全体の売上高は0・8%増と前回(11・8%増)を下回った。1位のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は大型店やカフェ併設店の出店を進め、6・7%増。5位のイオン系・未来屋書店もグループのショッピングセンターを中心に出店を進め、4・9%増だった。
一方、2位の紀伊國屋書店は昨夏、新宿南店の全6フロアを洋書専門フロアのみを残して縮小したことなどが響いて2・5%減。6位の有隣堂も5・5%減となり、明暗を分けた。
総売上高経常利益率は、1位がCCCで5・7%、2位が精文館書店で2・9%、3位がトップカルチャーで2・3%。
1人当たり総売上高は丸善ジュンク堂書店が8億988万円、3・3平方㍍当たり直営店売上高は有隣堂が541万円、直営+FC新設店舗数は文教堂が12店でトップだった。

兵庫・中島理事長、県産業振興功労者表彰受ける

兵庫県書店商業組合(中島良太理事長)は7月11日午後2時、神戸市中央区の神戸婦人会館で定例理事会を開催。日本雑誌協会(雑協)次世代雑誌販売戦略会議の井上直議長(ダイヤモンド社)を招き、最近の雑誌の問題点について意見交換。組合からは、書店を軽視していると思わざるを得ない雑誌があることに苦言を呈し、改善を要望した。
理事会終了後、神戸駅前の天安閣に移動。午後5時半より、中島理事長の平成29年度兵庫県産業振興功労者表彰祝賀会を開催。組合から中島理事長にお祝いを贈呈した。
中島理事長は「県組合の活動が評価されての受賞。皆さんが受賞したのと同様と思っている」と謝辞を述べた。
受賞の経緯を説明した村田相談役は、「この20年間で18名の書店組合役員が受賞している。書店組合が兵庫県から評価されていることの証だ」と述べた。
版元6社6名、取次4社7名、書店19社20名で懇親会を行い、中島理事長の功績を讃えた。
(安井唯善広報委員)

「北海道ゆかりの本大賞」について協議/北海道理事会

北海道書店商業組合(志賀健一理事長)は7月5日、札幌市中央区のトーハン会議室で定例理事会を開催した。
理事会では、6月に開かれた日書連総会の報告をした後、道組合の活動について審議。第4回北海道書店大商談会で実施する「北海道ゆかりの本大賞」について話し合った。また、アマゾン対策について協議した。(事務局・髙橋牧子)

アマゾン、電子書籍の最安値保証条件を撤廃/公取委に報告

公正取引委員会は8月15日、米アマゾンの子会社アマゾン・サービシズ・インターナショナル・インク(ASII)から、電子書籍の配信事業で出版社や流通業者との間で締結する契約の「同等性条件」の規定を撤廃するとの報告を受けたと発表した。
同等性条件とは、ASIIが出版社に対し、競合他社の電子書籍販売プラットフォームと比べて小売価格、品揃え、定額配信やレンタルなどのビジネスモデル、操作性において同等または好条件になるよう契約で義務づけるもの。
公取委は、同等性条件が公正な競争に影響を与えることを懸念。①出版社が他の取引で電子書籍の価格の引き下げやサービスの向上を制限する、②アマゾンが競争上の努力を要することなく、価格を最も安くし、サービスを最も良くするなど、事業者間の競争を歪める、③アマゾン以外の事業者による出版社との取引条件の向上が、価格の引き下げやサービスの向上につながらず、事業者のイノベーション意欲や新規参入を阻害する――と指摘していた。
これを受け、ASIIは同等性条件を撤廃するなど「自主的な措置を講じる」と公取委に報告。8月4日までに同等性条件を行使しないことを出版社などに通知した。最低5年間はこの措置を実施するしている。
公取委はASIIの措置が「懸念を解消するもの」と判断。ASIIに対し、今回の措置に伴って同等性条件以外の条件を変更する場合には、その変更が出版社などにとって不利益にならないよう、十分協議するよう申し入れたという。

読進協「敬老の日読書のすすめ」推薦図書24点

読書推進運動協議会(野間省伸会長)は2017年「敬老の日読書のすすめ」のリーフレットを作成し、全国の公共図書館や書店に配布した。各都道府県の読進協から寄せられた〝敬老の日(高齢者)にすすめる本〟の推薦書目をもとに、読進協事業委員会で選定したもの。推薦図書は以下の24点。
▽『九十歳。何がめでたい』佐藤愛子、小学館▽『超老人の壁』養老孟司、南伸坊、毎日新聞出版▽『ヒマ道楽』坪内稔典、岩波書店▽『ハゲ川柳』ツル多はげます会、河出書房新社▽『老後ぐらい好きにさせてよ』野末陳平、青春出版社▽『媚びない老後』桐島洋子、中央公論新社▽『今日すべきことを精一杯!』日野原重明、ポプラ社▽『無意味な人生など、ひとつもない』五木寛之、PHP研究所▽『あせらず、たゆまず、ゆっくりと。』赤木春恵、扶桑社▽『週末介護』岸本葉子、晶文社▽『大人しく老いてなんかいられない』広瀬久美子、海竜社▽『リーチ先生』原田マハ、集英社▽『トットちゃんとソウくんの戦争』黒柳徹子、田原総一朗、講談社▽『祖父母手帳』森戸やすみ(監修)、日本文芸社▽『四人のおばあちゃん』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(作)、野口絵美(訳)、佐竹美保(絵)、徳間書店▽『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』川上和人、新潮社▽『人間力を高める読書法』武田鉄矢、プレジデント社▽『年を取るのが楽しくなる教養力』齋藤孝、朝日新聞出版▽『角野栄子の毎日いろいろ』角野栄子、KADOKAWA▽『美しいものを花森安治のちいさな絵と言葉集』暮しの手帖編集部(編)、暮しの手帖社▽『茨木のり子の献立帖』茨木のり子(著)、平地勲(写真)、平凡社▽『登紀子ばぁばの70年つくり続けてきた私の味』鈴木登紀子、NHK出版▽『初女さんのお漬け物』佐藤初女、主婦の友社▽『私が死んでもレシピは残る小林カツ代伝』中原一歩、文藝春秋

「書籍1冊1冊を細かく流通」出版梓会で日販・安西専務

出版梓会は7月21日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で「業界・会員社懇親の集い」を開催し、会員社61社114名、書店、取次、広告、業界団体など来賓34社76名が出席した。
初めに今村正樹理事長(偕成社)があいさつし、業界を代表して日販・安西浩和専務があいさつした後、日本書籍出版協会・相賀昌宏理事長(小学館)の発声で乾杯した。
安西専務は、書店と取次の非正規労働者の賃金の上昇、運送会社のトラック運転者の高齢化と業量・運賃収入の減少など出版流通を取り巻く厳しい現状を説明し、「書籍1冊1冊、細かく流通していくことが改めて大事な世の中になってくる」と述べた。

北海道、東海で商談会

■第4回「北海道書店大商談会」
9月5日(火)午前10時~午後4時、札幌市中央区・札幌パークホテルで開催する。
■「日本ど真ん中書店会議~第2回どえりゃあ書店大商談会」
9月7日(木)午後1時~5時、名古屋市千種区・名古屋市中小企業振興会館「吹上ホール」で開催する。愛知、岐阜、三重の3書店組合が共催。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・斎藤一郎

海岸からの帰り道に突然若い女性が「めっちゃ積乱雲」と叫ぶのが聞こえた。意味はわかるが、変な言葉遣いではある。
北原保雄『しっくりこない日本語』(小学館新書800円)は、昨今特に野放しになっている日本語表現を、国語学者が検証してみせている。
たとえば「やばい」。テキ屋や盗人が使う隠語で、もともと品の良くない言葉なのだが、最近はすでに一般化している。不利な状況が身近に迫る時に言うのが本来だが、悪い程度がはなはだしいという意味に使われ、ヤバイおいしいとプラスの評価に使うようになる。凄いも、ひどいも、プラス評価で使う人が増え、やばいも同様に使用される必然があるという。
使用対象の拡大では、買い物に行った時、店員にお父さんと呼ばれることがあるが、TVも同様で、我が子でもない他人に呼ばれる筋合いはないので、苛々していると、反発を感じるのである。
萩本欽一『ダメなときほど「言葉」を磨こう』(集英社新書 700円)は、欽ちゃんの言葉論。
逆境の時救ってくれたのは言葉だったという。
いい言葉を話すと、周りもいい気分になって、いい循環が生まれていい運がやってくる。言葉をおろそかにしないという心構えの詰まった1冊。

拡販企画、さらに充実/『本所おけら長屋』シリーズなど/東京日販会

東京日販会は7月28日、東京・千代田区の日販本社で第11回総会を開き、会員書店30名(委任状含む)が出席。任期満了に伴う役員改選で矢幡秀治会長(真光書店)を再選した。
冒頭、あいさつした矢幡会長は「会員書店の減少を懸念している。非常に厳しい時代だが、日販と手を取り合って、叱咤激励しながら、今後も長く書店を続けていきたい。この会は書店間の親睦を深めつつ、出版社と懇親を図ることができる。人脈作り、店作りに役立ててほしい」と述べた。
議案審議では事業報告、事業計画、決算報告、収支計画などすべての議案を原案通り承認した。
事業報告では、拡販プロジェクトチームが前年度実績を報告。『週刊ダイヤモンド』バックナンバー報奨企画を「神社の迷宮」「慶應三田会」「医学部&医者」「落語にハマる!」の4つの特集号で実施し、フェア実施店舗44店舗、4誌合計送品数1320冊、報奨金獲得額は6万6000円だった。
今年度は4つの拡販企画に取り組む。
PHP研究所『本所おけら長屋シリーズ』目指せ50万部プロジェクトでは、既刊8点の展開強化と8月発売の新刊の事前指定による部数確保を行う。
デアゴスティーニの秋の新創刊分冊百科『ザ・ビートルズ・LPレコード・コレクション』『ムーミンハウスをつくる』の2誌で定期獲得キャンペーン・店頭陳列コンクールを行う。希望部数を送品し、対象期間内での定期獲得数に応じた報奨金を獲得する。
文藝春秋と中央公論新社が9月5日に同時発売する池井戸潤の『花咲舞が黙っていない』(中公文庫)、『銀翼のイカロス』(文春文庫)の共同増売企画「さきイカプロジェクト」では、対象2銘柄の初回送品の部数を事前指定で確保する。
また、「東京発!!発掘商材の売上拡大」として、地元商材を会員の紹介で発掘し、関連本と一緒に売上拡大を目指す。
総会終了後、今年度拡販企画『本所おけら長屋』シリーズの著者、畠山健二氏が講演。出版業界にはどうせ売れないという諦めの気持ちがあると指摘し、これを打ち破るため徹底的な書店まわりを行ったエピソードを紹介。「自費で法被、前掛けなどを作り、これらを身に着け、営業部員と一緒に書店をまわった。ここまですると書店も『この本を売ってやろう』という気持ちになってくれる」と述べた。