全国書店新聞
             

平成20年11月11日号

4氏に黄綬褒章

11月3日の文化の日に発表された秋の叙勲で教科書供給協会関係から次の4氏が黄綬褒章を受章した。伝達式は11月18日、ANAインターコンチネンタル東京で行われる。
神奈川県=天野庸男(弘明堂天野書店)
愛知県=春井正親(正文館書店)
三重県=佐藤治(新光堂書店)
山口県=原重頼(原書店)

3日で5400万円販売/神保町ブックフェスティバル

世界一の本の街、神保町ブックフェスティバルが11月1日から3日まで、神田すずらん通り、さくら通りを中心に行われた。3日間とも好天に恵まれた上、10月27日からは百万冊を集めた「神田古本まつり」も開催中で、神保町は本を求める老若男女で終日賑わいを見せた。
駿河台下交差点から白山通りまで、約2百㍍の「すずらん通り」は車の通行をストップして車道に向かい合わせでワゴン200台を並べ、出版社が汚損本、自由価格本を定価の半額程度で販売する「本の得々市」。地元商店は文具や雑貨を販売し、飲食店は餃子や焼きそば、饅頭、カレー、トン汁や飲み物などの屋台を出した。
白山通りの小学館・集英社前広場では児童書ワゴンセールや講談社の「おはなし隊」、人形劇や紙すき、ドラえもんシールラリーなどの催しも行われた。
1日午前10時半から行われたオープニング・セレモニーには、千代田区石川雅己区長、神田古書店連盟中野智之理事長、児童図書出版協会竹下晴信理事長、東京都書店商業組合柴﨑繁副理事長らが勢ぞろい。大橋信夫実行委員長(日書連会長)が「本日、11月1日は『源氏物語』の千年紀に当たる。出版業界と地元商店街の発展を祈り、ただいまよりブックフェスティバルを開催します」と宣言してテープカットと、くす玉割り、明治大学応援団のパレードで開幕した。
期間中、逢坂剛、姜尚中、畠中恵、坪内祐三各氏らの講演会、サイン会、古本チャリティオークション、ジャズ演奏などの楽しい催しがあり、3日間の売上は5400万円と過去最高を記録。ワゴン売上では早川書房138万円、大日本絵画135万円、福音館書店114万円がベスト3だった。
東京都書店商業組合ではワゴン4台でバーゲンブック、文具などを販売したほか、10月30日にオープンした電子書籍サイト「Booker’s」のワゴンを出して、しおりの配布と会員獲得の宣伝を行った。

日販と日教販が業務提携

日販と日教販は10月31日付で「業務提携に関するお知らせ」として、業務提携の検討を開始することで合意したと発表した。
業務提携は出版業界の環境変化に対応するため、取引先への一層のサービス向上と業務合理化によるコスト削減が目的。両社が保有する経営資源を相互活用することで、より優れたサービス提供と業務効率化が可能であると判断。それぞれの強味を活かしながら、より付加価値の高いサービスを提供できるよう検討を進める。
業務提携の内容は「営業面・仕入面・物流面・情報システム面及び管理面における事業の拡大と効率化」としており、業務提携契約書の早期締結に向けて、双方若干名からなる検討委員会を発足させ、詳細な検討を進めていくという。

福岡市教委主催で子ども読書フォーラム

福岡市教育委員会と「青少年アンビシャス運動」本のわくわく探検事業福岡市地区実行委員会は、11月22日午前11時から午後4時まで、福岡市中央区「あいれふ」で、「子ども読書フォーラム/あそびにおいで!本の森」を開催する。
福岡市は「子どもの読書活動の推進に関する法律」にのっとり、子どもが本と親しむ機会が増える取り組みとして毎月23日を「福岡市子どもと本の日」として運動を展開している。読書フォーラムはその一環。
当日は赤ちゃん、幼児、児童向けの読み聞かせや、わらべ唄、劇、パネルシアター、人形づくりなどの催しが用意されているほか、福岡県書店商業組合により絵本、児童書400点程度の即売が行われる。また、当日は総合図書館、各分館でもおはなし会が開催されることになっている。
フォーラム前日の21日には同所で児童文学者、清水眞砂子さんの講演会「物語のもつ力」も行われる。

鹿児島組合親善グランドゴルフ大会

鹿児島県書店商業組合は10月15日、鹿児島市の県立吉野公園で親善グランドゴルフ大会を開催した。
昨年まで31回にわたりソフトボール大会を開催してきたが、後継者不足等の事情で年々参加者が減り続け、また参加者の年齢も上がったため、年配者や女性でも気軽に参加できる競技にしてほしいという意見が出ていた。そこで今回初めてグランドゴルフを開催することになった。
グランドゴルフはゴルフをアレンジしたスポーツ。ホールポストにできるだけ少ない打数でボールを入れ、合計打数の少ない方が勝ちとなる。いつでも、だれでも、どこでもできる。
当日は秋晴れの天候に恵まれ、年齢・性別を問わず参加できるため、参加者が60名・10チームと大幅に増えた。結果は、団体の部が①トーハンAチーム②鹿児島書籍チーム③トーハンBチーム、個人の部が①寺尾政一郎(高城書房)②山口和幸(弘文堂)③浜田一郎(浜田書店)。
競技終了後、午後6時からパレスイン鹿児島で表彰式および懇親会を催した。
(楠田哲久広報委員)

組合員に利益還元できる施策を/大分総会

大分県書店商業組合(大隈劭理事長)は10月23日正午から大分図書会議室で第24期通常総会を開催。組合員36名(委任状含む)が出席した。
総会は樋口文雄(ブックスプラザひぐち)副理事長の司会で進行し、大隈理事長があいさつ。「昨年組合定款を改正、本年4月県立図書館の図書納入装備の入札に参加でき、注文がとれた。7月までの図書売上は約1千万円。年間約4千万円の売上を予定している。今年1年は苦労したが、今から将来に向けて計画を立て組合運営を軌道に乗せていきたい。本年度は、各書店在庫が販売できるよう、県中央会の補助を得てホームページをリニューアルして充実。組合員に利益を還元したい」と語った。
続いて大隈理事長を議長に選出して議案審議を行い、事業報告、収支決算報告、予算案、組合定款変更等を原案通り承認した。図書館納入事業については、後藤知己副理事長(晃星堂書店)から説明があった。
最後に、大分県中小企業団体中央会の若杉幸彦主事を講師に新中小企業組合制度による定款変更についての説明を聞いた。
(金光直明広報委員)

生活実用書/注目的新刊

箸袋に入った箸をもらってひそかに流行のマイ・ハシとして使っていた。消費される木のせめてもの倹約だと信じていた。ところが、そもそも割り箸は森を守るために伐採する廃材から作られていて、使った方がむしろ森林を保護することになるというのだ。ただちに割り箸派に戻るが、何だか納得がいかない。
池田清彦+養老孟司著『正義で地球は救えない』(新潮社1000円)は帯に環境を守りましょうという精神運動はどこまで暴走していくのか?とあって、興味を引く。
本書は半年ほど前に出版された『ほんとうの環境問題』の第2弾。この本は再版を重ねていて、世のエコロジーへの関心の高さがうかがえる。
池田清彦氏は生物学者、大学教授。「現在さかんに言われている地球温暖化論がなぜいかがわしいのかについて」さまざまなデータを提示している。本当にCO2の人為的排出で温暖化が進むのか、第一温暖化は真実なのかと、前提自体に疑問を唱える。
たとえばレジ袋は廃棄されるしかない石油から作られており、エコバッグを持参しようというのはおかしいし、自治体の有料ゴミ袋は良質の石油からCO2を排出しながら作られているという矛盾。
対談では養老孟司氏がCO2削減運動を、原理主義で動く世界的な社会運動になってしまったと嘆いている。
環境問題では文春や幻冬舎新書などで独壇場の武田邦彦氏の著作が目につく。洋泉社の『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』は3弾まで出版されている。その武田氏に異議を呈している本がある。
山本弘著『“環境問題のウソ”のウソ』(楽工社1200円)。著者は武田氏の本を読んで、ペットボトルの消費量51万トンに対して分別回収量24万トン、再利用はたった3万トンという記述に驚き、データを調査し始める。もし本当だったら、リサイクルなどすぐにやめなくては、という素朴な疑問が出発点である。
通常の回収率が約70%で再生品の総量は国内14万トン、海外輸出を含めると33万トンが実際のリサイクルという。
武田氏とのおびただしいメールのやり取りも細かく報告されていて、ドキュメントとしての面白さもある。テレビの言うことは警戒すべしと、両方の本が語っている。
(遊友出版・斎藤一郎)

Booker’sスタート/東京組合のケータイ書店、専門委員会立ち上げ

東京都書店商業組合は11月5日午後2時から書店会館で定例理事会を開催した。審議事項は以下の通り。
[流通改善委員会]
ACCESSグループと協業で準備を進めてきた携帯電話用電子書籍サイト「Booker’s」が10月30日にスタートした。オープン時の参加出版社は約80社で、販売タイトル数は約7000。
このサイトは電子書籍を配信するだけでなく、リアル書店のベストセラーランキングやイベント情報を提供することで本屋の魅力をアピールし、読者を書店店頭に呼び戻すことを目的としている。
なお、同サイトの準備はこれまで流通改善委員会を中心に進めてきたが、このほどサイトがオープンしたことを受けて、独立した委員会「電子サイト運営推進委員会」を立ち上げることを決めた。小橋、下向両理事を中心に数名で構成する。担当副理事長は柴﨑副理事長。専門委員会の立ち上げによって機動的なサイト運営を目指す。
[組織委員会]
組織改革の一環として取り組んでいるエリア制について、各エリアの代表が次の通り決まった。中央エリア=舩坂良雄(大盛堂書店)、城北エリア=片岡隆(ブックスページワン)、城南エリア=越石武史(甲文堂書店)、城東エリア=岡嶋成夫(ブックロード)、多摩エリア=三浦実(三成堂)
[事業・増売委員会]
読者謝恩図書カードは出版社11社・20口の協賛を得て、2万枚発売を目指して準備を進めている。

紙媒体が生き残る道探る/組合運営は厳しい局面/兵庫総代会

兵庫県書店商業組合は10月21日午後2時半から神戸神仙閣で第20回通常総代会を開き、組合員50名(委任状含む)が出席した。
総会は森井副理事長(森井書房)の司会で進行、山根副理事長(厳松堂書店)の開会の言葉で始まり、三上理事長(三上尚文堂)があいさつ。「経済情勢が大変な時期で、我々書店業界・出版業界もマイナスの話ばかりだが、総代会では皆さんの英知を結集して、兵庫県組合が明るい方向に持っていけるようご提案いただきたい」と述べ、携帯電話の普及や雑誌の低迷を踏まえ「紙媒体がこれから生きていく道を大きな観点から考えていかなければいけない」と締めくくった。
三上理事長を議長に選出して議案審議を行い、平成19年度事業報告及び収支決算報告、平成20年度事業計画案と収支予算案の第1~第4号議案などすべての議案を原案通り承認した。
事業報告では村田事務局長が「当期は組合員書店の廃業や退会などで減収、また兵庫県の緊縮予算の影響から県立図書館の書籍購入額が40%減額となり、TRCからの受取手数料も連動して収入減となった。加えて3年間にわたって組合事業の助成金を支給されていた雇用・能力開発機構の促進事業も終了したことで、組合財政が厳しい局面になるのは必至」と報告した。
兵庫県書店商業組合のスローガンを採択・唱和し、総代会閉会の後、出版社・販売会社を交えて総勢52名で懇親会を行った。
(中島良太広報委員)

前年同期比で94.86%/08年上期ABCレポート

日本ABC協会は2008年上半期雑誌発行社レポートを発表した。今回掲載した53社155誌の前年同期比指数は週刊誌91・54%、月刊誌96・43%で、合計では94・86%となった。このうち主要52誌の販売部数を一覧にしたのが別表。
総合週刊誌は、部数トップの『週刊文春』が5万8千部減の50万2千部。2位の『週刊新潮』が5万1千部減の44万4千部となるなど、07年下期に比べ部数を落とす銘柄が目立った。『週刊ポスト』は30万6千部で4万7千部の減。『週刊現代』は5万部減で26万4千部と、30万部の大台を割った。新聞社系では、『週刊朝日』が1万1千部減の17万9千部と落ち込んだが、『サンデー毎日』は5千部増の7万8千部と若干盛り返した。
ビジネス誌は『週刊ダイヤモンド』が4千部増の11万4千部、『週刊東洋経済』が5千部増の8万9千部と堅調。『日経ビジネスアソシエ』は横ばいで、『プレジデント』は7千部増の20万8千部で2期連続増加した。
女性週刊誌は、前期はわずかに上向いた『週刊女性』が、2万1千部減の19万5千部と後退。『女性セブン』は4万2千部減の29万5千部、『女性自身』は2万7千部減の28万部とマイナス基調が続く。
女性月刊誌では、前期に6万7千部減らした『CanCam』の減少が止まらず、5万7千部減の40万部となった。『non・no』も1万6千部減の28万8千部。前期好調の『ESSE』は2万2千部減少して41万部、『サンキュ!』は1万6千部減の32万4千部だった。

「声」/取次に書籍流通の改善求む/川西市・大和堂書店・春名洋志

「ハリーポッター」シリーズの最終巻が発売されて、当店では前回の約3割減でした。それでも売れ行き不振の折り、まとまった数が動くのはありがたいものです。
この商品のような買い切り品は満数入荷しますが、発行部数が少ない書籍は客注品予約でもほとんどが発売日に間に合いません。書籍の入荷回数が減り新刊と注文品が混入した大きな箱になり、新刊伝票の日付も10日以上も前のものが珍しくありません。
特に大阪の出版社の商品が遅れて入荷します。また、買い切り定期書籍の改正が速やかにされない場合もあり大変です。入荷が一週間から10日間も遅れますと、客が不信感を持ち二度と来店しなくなります。取次担当者に相談しても「雑誌のようにはいきません」と遅れても当然の口ぶりです。
最近はどの取次でも流通網が整備され配送に要する時間は短縮されていますが、どうしてこのような遅れが出るのでしょうか?取次のコストダウンのために書店への出荷制限をしているのではと思いたくなります。
これら流通面の改善を取次に特に求めたいと思います。出版社の新企画の予約を取る気持ちで努力するつもりですが、日々の商品流通について取次への不信感を払拭させて下さい。

日書連のうごき

10月1日景品表示法改正法案消費者庁関連法案に関する説明会に影山公取協専務理事が出席。
10月3日第40回出版平和堂合祀者顕彰会に大橋会長が出席。公正取引委員会埼玉講演会に水野理事が出席。
10月6日個人情報保護制度に関する説明会に石井総務部長が出席。
10月7日出版サロン会に大橋会長が出席。NHK「私の1冊、日本の100冊」説明会に大川専務理事が出席。全国中央会商業専門委員会に大橋会長が出席。
10月8日情報化推進委員会。「送品・返品同日精算」の説明と協力要請に、大橋会長ほか役員が協和出版販売を訪問。
10月9日日本出版インフラセンター運営委員会に柴﨑副会長が出席。
10月10日「送品・返品同日精算」の説明と協力要請に、大橋会長ほか役員が太洋社、中央社、日教販の三社を訪問。
10月14日雑誌愛読月間キャンペーン「まとめ会議」に舩坂常任委員が出席。
10月16日全国広報委員会議。
10月17日出版RFIDコード管理研究委員会に大川専務理事が出席。
10月20日試し読みシステムのテスト稼動に向け、田江理事が講談社を訪問。
10月23日秋田県仙北市にて日書連移動理事会。公取協月例懇談会に土屋事務局員が出席。
10月24日読書推進運動協議会常務理事会並びに河出書房新社第45回文藝賞祝賀会に大橋会長が出席。
10月27日高橋松之助記念第2回「朝の読書大賞」「文字・活字文化推進大賞」贈呈式に大橋会長が出席。
10月28日第4回出版クラブ会館問題特別委員会に大橋会長が出席。出版倉庫流通協議会10月定例会に大川専務理事が出席。
10月29日読書推進運動協議会事業委員会に舩坂常任委員が出席。
10月31日出版文化産業振興財団懇談会に大橋会長が出席。

おはなしマラソン219書店で展開/日販

日販は10月27日から11月9日までの読書週間にあわせ、全国219書店で「おはなしマラソン」読み聞かせキャンペーンを展開した。
このキャンペーンは、読み聞かせ会を継続開催している取引書店に呼びかけ、読書週間にあわせて全国で読み聞かせ会を開催するもので、2001年秋から毎年春・秋の読書週間に実施している。今回は219書店が参加し、各店で工夫を凝らした読み聞かせ会が行なわれた。
日販は、おはなしマラソンのホームページや本やタウンなどで開催店の告知をして読み聞かせ会を支援。参加書店には開催キットとして、告知ポスター、参加した子どもへのおみやげ(自由帳、シール)、保護者向け読み聞かせガイドブック、スタンプラリーカードを提供した。

セミナー

◇万引き徹底対策セミナー
トーハンはトーハン書店大学「万引き徹底対策セミナー」を11月26日午後、トーハン本社で開催する。
万引きの手口は巧妙化の一途をたどり、書店にとって深刻な問題。セミナーではお金をかけずにできること、捕捉後の対応のポイント、セキュリティ機器の正しい配置や保安員の選定等、店頭ですぐ実践できる対策を豊富な事例をもとに解説。防犯効果アップにつなげる。
プログラムは①自店の現状把握と自己チェック(問題点の確認ポイント、被害実態把握)、②万引犯を知る(万引犯の特徴・心理)、③捕まえた時の対処法(発見後の声かけ、捕まえた後の対応)、④万引犯を寄せ付けない店づくり(店員の指導、万引きされやすい店、されにくい店の違い、防止対策の成功例、セキュリティ機器の正しい配置、運用のポイント)、⑤質疑応答・まとめ。
講師はリテールサポート社長の山内三郎氏。受講料は書店共助会加入店1万円、非加入店2万7千円。問合せ、申込みはトーハン・コンサルティング教育事業部。℡03―3267―8686。

ホラー大賞に真藤氏/角川書店

角川書店が主催する第15回日本ホラー小説大賞に真藤順丈氏の『庵堂三兄弟の聖職』、長編賞に飴村行氏『粘膜人間』、短編賞に雀野日名子氏『トンコ』、田辺青蛙氏『生き屏風』の2作が決まり、10月31日、東京會館で贈呈式と祝賀会が行われた。
初めに角川書店井上伸一郎社長が「ホラー小説大賞は15年前、フジTVとの共催でスタートし、1回目は大賞受賞者がいなかったが、佳作に板東眞砂子が入っている。2回目の大賞は『パラサイトイブ』で大きな話題になった。一度に4名受賞は初めて。受賞者はエンターテイメント小説界を引っ張る作家になってほしい」とあいさつ。受賞者に正賞と副賞を手渡した。
選考委員を代表して荒俣宏氏は「過去2回続けて大賞受賞がなかったが、今回の大賞、長編賞とも新しいタイプの小説。過激で副作用もあるが、世の中のトレンドだろう」と述べた。
『地図男』でダ・ヴィンチ文学賞など、4つの賞を受賞している真藤氏は「受賞作は力を入れた作品なのでうれしい。今後も地下にもぐって、タブー、ルールを破った新しい作品を書いていきたい」と喜びの言葉を語った。
最後に角川グループホールディングス角川歴彦会長が「15年間にこれだけ多くの作品を送り出せたのは選考委員の眼力によるもので、誇りに思う。受賞4作品はどれもグランプリに値する作品」と述べ、乾杯の音頭をとった。

『マミイ』1月で休刊

小学館は幼児向け月刊誌『マミイ』を来年1月31日発売の3月号をもって休刊にすると発表した。
『マミイ』は1972年の創刊。0・1・2歳児対象と、わが国で最も低年齢向けの幼児誌として37年にわたり愛読されてきた。小学館では「読者環境の変化や系列誌との読者層の重複などから、小学館幼児誌グループ全体の再編成を図る
ことにした」という。
小学館はこの再編により今後『ベビーブック』(1~3歳児対象)、『めばえ』(2~4歳児対象)、『幼稚園』(3~6歳児対象)3誌の系列を強化していく方針。

トーハン元社長遠藤氏お別れの会

9月8日に87歳で逝去したトーハン元社長遠藤健一氏の「お別れの会」が11月4日、東京・椿山荘で行われ、708名が出席した。
お別れの会は上瀧博正委員長、喪主遠藤光子さんで営まれ、参列者は遠藤氏の遺影の前に次々に白いカーネーションを献花して、故人の冥福を祈った。
遠藤氏は大正10年、東京生れ。東京堂に勤めながら法政大学を卒業、終戦まで軍務に服したあと東京出版販売創立と同時に入社。昭和62年に社長となり、売上6千億円を達成。平成3年会長、平成8年から17年まで顧問を勤めた。

秋田貞樹氏を偲ぶ会

8月に急逝した秋田書店専務取締役「秋田貞樹氏を偲ぶ会」が10月31日午前11時半から千代田区・ホテルニューオータニで開かれ、関係者多数が出席した。
秋田貞樹氏は同社秋田貞美社長の長男で、8月9日、心不全により逝去した。43歳の若さだった。会場には貞樹氏の写真が飾られ、参会者は故人の早すぎる死を悼み、冥福を祈って白いカーネーションを献花した。

週刊誌購入キャンペーン/東海3県で中部トーハン会

第41回中部トーハン会総会が10月23日、名古屋国際ホテルに392名(書店126名、出版社216名、関連業者50名)が出席して開かれた。
冒頭、高須博久会長(豊川堂)は「昨年はバリューアップコンクールで5位入賞を果たした。サブプライム以来元気が落ちたところに、名古屋大学関係者3人がノーベル賞という明るいニュースが入った。悪いのは当たり前の時代に大量販売が難しいなら、確実に売ることを考えたい。今年度は店頭で外商につながる固定客作りの施策を考えた。書店、出版社、トーハンが力を合わせ本、雑誌を売っていきたい」と述べた。
新年度事業方針では、週刊誌購入客の固定化を図るため「週刊誌毎週ご購入ありがとうキャンペーン」実施を決めた。期間中キャンペーン対象の週刊誌を4回購入すると抽選で図書カードをプレゼント。11月1日から愛知・岐阜・三重の3県で実施する。
来賓の講談社浜田博信取締役相談役は「社会が大きく変化する中で出版の役割が他メディアに代わられる部分がある。これを挽回する試みとして、子どもの読書推進法、文字・活字文化振興法の後押しを援軍と受け止めている」とした。また、「本屋大賞など書店社員の熱い思いと果敢な行動は頼もしい。世の中が変わっても文化の機軸は活字を肝に銘じ、日々の出版、販売活動に創意工夫を重ねたい」と述べた。
トーハン山﨑社長は、金融・経済環境不安から経済誌の好調な売行きや食の安全を反映した料理誌の堅調ぶりを例に挙げ「先が見えない、不安がある時、人々にソリューションを提示することが出版業界の使命のひとつ。我々にはチャンスがある」と語った。
さらに、トーハン中間決算は厳しい内容とし、年頭から、すべては読者のためと取り組んできた各施策の進捗状況を報告。①責任販売制、②桶川SCMセンターのデータに基づく適在適書システム、③雑誌売場のメンテナンス、④e-honブックショップメンバーズについて報告。「最終的に読者をどうやってこちらへ向かせるか。力強く継続的に取り組むことで活路が開ける」と、読者利益の追求を目指した取り組み姿勢を示した。
記念講演では、箸匠せいわ木越和夫氏が「臆病者の経営学」を講演した。

本屋のうちそと

知り合いが世界遺産「熊野古道」を旅してきた。最近、周りでも何人かがツアーや友人で訪れている。和歌山から奈良、三重にまたがる三霊場、参詣道である。空海が開いた高野山での宿泊は天然オゾンの霊気に包まれ世俗の垢を落としてくれそうだ。是非とも行ってみたいところだ。
先日、大学時代の友人たちと高山の民宿で合流し、翌日、世界遺産の「白川郷」へ。本当は豪雪の冬に訪れるのがベストだそうだが。9時前というのに駐車場は半分以上埋まり、合掌造りの集落の生活道路を観光客がぞろぞろと。当然自分たちもそぞろ歩き。日本語よりも近隣国の言葉が行き交う中、昔は隠里だったんだろうなと思いつつ、民家の軒先の縁に手作りの民芸品が並べてあるのを見かけると複雑な心境に。自然と調和した独特の家屋群と生活を保存する意味での遺産登録が観光客の倍増につながった結果はどうなんだろう。
早めの昼にと幹線道路からちょっと入った蕎麦屋に入った。待つのに50分、食べるのに5分というクレーマーになるのを自重した1時間、それでも入り口には長蛇の列。さすがこの山里にこれだけ観光客を呼んでしまうというのは全国各地が世界遺産登録を目指すのは理解できる。
ならば、消えてしまいそうな街なかの中小書店を「未来へ引きつぐ地球のたからもの」世界遺産に登録したら客が続々とやって来て売上倍増になるのでは。しかし昔ながらということになると、取次への支払いが月2回だったり、客注品は2週間以上かかったり、週刊誌の発売日が首都圏と大きく遅れていたりとなると、はたして…。(理)