全国書店新聞
             

平成17年1月11日号

ネットバーゲン売上713万円

書協が昨年10月15日から12月25日までの2ヵ月間、インターネット上で開催した「謝恩価格本ネット販売フェア」の売上げは7366冊、金額で713万1489円となった。同フェアには出版社67社が897点を定価の5割引で出品した。
販売冊数上位10社は①小学館、②情報センター出版局、③角川書店、④大日本絵画、⑤講談社、⑥創元社、⑦丸善出版事業部、⑧京都新聞出版センター、⑨主婦の友社、⑩筑摩書房の順。販売金額では①講談社、②角川書店、③情報センター出版局、④小学館、⑤工作社、⑥山と渓谷社、⑦紀伊国屋書店、⑧創元社、⑨大日本絵画、⑩河出書房新社。

再販維持へ協力約す/農文協、大月書店とも懇談

日書連12月理事会はポイントカード問題の膠着状態を打開するため、今後も出版社への要請を続けることを確認したが、岡嶋再販委員長、下向理事、白幡専務理事は12月15日に農山漁村文化協会、24日には大月書店を訪問して、それぞれ懇談した。
農文協では坂本尚専務理事が「出版社がやるべきことが本来の姿であり、感謝している。本は定価販売を厳守してほしい。専門出版社は特にそうしてもらわないと困る。制度の廃止に向けての手続きはできているので出版社自身がものを言う必要がある。場合によっては活字議員連盟の先生方に働きかける必要がある」と述べた=写真。
24日の大月書店では中川定社長、長沢正雄営業部長が一行を迎え、中川社長は「中小出版社にとって再販制の維持、定価販売の履行と公正な競争が条件であるべき」と述べ、協力を約束した。

出版クラブが災害義援金1300万円寄託

財団法人日本出版クラブが出版業界に広く呼びかけた「台風23号と新潟県中越地震災害義援金」は、11月22日の案内開始から短期間に法人116社、個人965名が協力。募金総額は1328万9141円に達した。義援金は日本赤十字社に寄託して、被災者への配分を任せる。12月28日に協力者名簿とともに募金を送金した。

年末年始94.6%に

昨年12月29日から1月3日まで、年末年始6日間の書店売上げはトーハン、日販調べとも前年比94・6%と厳しい数字だった。トーハン調べでは年末91・5%、年始98・5%、日販調べでは年末91・9%、年始97・9%。年末は29日、31日の降雪が影響したと見られる。
日販の発表によると商品別では雑誌93・5%、書籍95・7%。雑誌は週刊誌・隔週誌が前年を上回ったものの、月刊誌・隔月刊誌、コミック、ムックが92%台と落ち込んだ。書籍は文芸書、児童書が前年を上回ったが、実用書、専門書、新書は80%台。AV関係ではレンタルが98・9%と前年を若干下回ったが、セルCDは108・4%、セルDVDは114・1%と好調だった。
日販調査店のうち売上げがアップしたのは26・7%、ダウンは77・3%。

ポイント販売の是正、最重要課題として強調/萬田会長、名刺交換会で

出版業界の2005年幕開けとなる「新年名刺交換会」が1月7日正午から東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で開かれた。名刺交換会は和太鼓、小太鼓、笛によるにぎやかな「水口囃子」、獅子舞い「寿獅子」で始まり、出版クラブ野間佐和子会長が「酉歳の今年こそ飛翔して、天高く舞い上がる年に」と述べて、乾杯の音頭をとり、新年の門出を祝った。日書連萬田会長のあいさつ要旨は以下。
昨年末、わが国経済は、政府の基調判断で「景気は、堅調に回復している」と報告されました。中小企業の景況も製造業を中心に改善していますが、大企業に比べ改善の度合いは低く、業種間や地域間のバラつきも残り、優劣の二極化が顕著です。高齢化社会を迎え、年金改革による負担増、定率減税の縮小、消費税率のアップなど、将来への不安感が拡大しつつあり、個人消費の回復とデフレの脱却には更に時間が必要と予想されます。
出版業界の昨年上半期販売実績は前年同期比1・0%増、7年振りのプラス成長でした。年後半は「ハリポタ」効果で出版物の販売額は8年振りに前年を上回るとみられていますが、児童書と一部ヒット商品の出ている一般書以外は振るわず、雑誌は依然低迷が続き、中小書店の懸命な経営努力にも拘わらず回復の兆しが見えません。
昨年に引続き最重要課題は、再販制度維持とポイントつき販売の是正です。出版再販は、出版文化擁護の観点から独禁法の適用除外が定められ、民法上も公序良俗に適する合法な契約として維持されています。ポイントつき販売は、再販契約上の違反行為であり、これを放置することは不正競争を許容することです。昨年1月、取次各社は全書店に対し違反行為の中止を求めました。6月には出版社の要請で違反店に契約上の通告を行なう段階に至っていましたが、公取委の指摘により中断されたままの状況が続いています。
日書連は、盛んに湧き上がる中小書店の声を出版社に伝えるべく要請を行ない、公正な競争と契約の正しい運用をお願いしています。商品特性である文化、公共両面を保護し、多様な出版物の円滑な取引を確保することが消費者利益であると確信し、再販制維持のためにも出版社各位の公正な運用と強力な指導をお願いしたいと存じます。

図書装備学ぶ/佐賀県日書連マーク研修会

佐賀県書店商業組合は12月11日、川副町・江口書店(江口文明社長)で第2回目の日書連マーク研修会を開催。10店12名の組合員が参加した。
昨年11月、第1回研修会後のアンケートで、再度の研修会と現場作業の実際を見たいという声が多かったことから、日書連マークで図書納入を行っている県内の書店として江口書店の好意によりナノビットによる図書装備の一連の作業を見学した。
まず、江口氏の指導で参加者全員でフィルムコーティングの実習をしたあと、日書連マークによる図書装備を実習。装備ナノを使ってラベル、カード印刷、マーク引当処理、台帳印刷などの工程を学び、システム導入時の価格、装備用品の価格などの説明を受けた。
その後の質疑応答では、県内各地の学校図書館の現状、TRC、クロネコヤマトの参入、学校への働きかけ、価格設定などについて活発な意見が出され、「各教育委員会への日書連マーク説明を県組合で行えないか」などの要望もあった。
(近藤甲平広報委員)

中越運送に感謝状/取次協会

新潟県中越地震で道路が寸断されながらも、県内の出版輸送を一手に引き受ける責任から遅配・未配を出さなかった新潟中越運送㈱に対して取協から感謝状と記念品が贈られた。
表彰式が行われたのは昨年12月15日。取協会員各社から輸送関係者が出席する中で、取協鶴田会長から中越運送小林和男副社長に感謝状が手渡された。
同副社長は「地震発生直後から、どんな車がどこを通ったか全社で情報を統括し、迂回してでも届けようと頑張った。表彰は全社員の名誉。引き続き輸送の責を果たしていきたい」と喜びと決意を語った。

生活実用書・注目的新刊

ベルギーのブリュージュという町で、濃い茶色の地に黄色いマークの珍しいマクドナルドを見たことがあった。ブリュージュはレンガ造りの建築物に囲まれた町で、その景観を損ねないよう建物には派手な赤が使えない。しかし、町が何世紀にも及ぶ風景を守りながら新しいものを抱えている様子は、行きずりの旅人にも小さな感動を与えた。それに引き替え日本の看板や建物は実に自己中心的なものが多く、統一感などない。
象設計集団編・著『空間に恋して象設計集団のいろはカルタ』(工作舎4800円)は、そんな日本の現状ながら「自然を受けとめ、自然を楽しむ」ことを考え、「場所」や「感覚を大切に」してきた建築設計集団の、33年の軌跡をたどったもの。
行動は1971年、ベトナム戦争のただ中の沖縄から始まった。ブーゲンビリアが赤い列柱を覆う今帰仁村中央公民館や、シーサーが柱を飾る名護市庁舎が紹介される。
広島の笠原小学校、台湾の冬山河親水公園、古利根川に近い宮代町のまちづくり。宮代町では庁舎はボロでよい、町民の集会所の金をかけようという故斉藤甲馬町長に励まされ、町の風景を造る。また十勝の北海道ホテルでは、レンガや木など地元の素材を取りこむ。帯広の工業団地にはかつての森を再現する。雪に埋もれた厳寒の地、真っ青な夕闇からまるで瞳を開けたように見える建物の窓は、雪が断熱材であることを教える。ここでは自然と人間と建物が見事に融和している。
本書は写真で構成された500ページを超す大冊。いろはカルタに添えて、ものを造っていく心が語られる。
西岡常一著・塩野米松聞き書き『木のいのち木のこころ(天)』(新潮社OH文庫543円)は、文庫化された「最後の宮大工棟梁」の建築論。本書はそんな棟梁の懐に飛びこんだ弟子小川三夫氏の同名の書(地)、孫弟子塩野米松氏のやはり同名(人)の本との三連作になっている。
昔の宮大工は山に入って木を選定したという。「木は生育の方位のままに使え」といって、山の南側の木は細いが強いとか、右に捻れた木を左捻れの木と組み合わせるといい、などということを見分けた。それが現在は分業になった。便利で早いことは決して悪いことではないのだが「しかし、早さだけが求められたら弊害が出ますな」と話す。「自然のなかでは(人間は)木と草とそんなに変わらしませんのや」と、棟梁は言う。
(遊友出版・斎藤一郎)

鈴木健二著『今、読書が日本人を救う』を書店の力で普及しよう/青森県書店商業組合理事長・鶴谷祿郎

元NHKアナウンサー、鈴木健二氏が昨年10月にグラフ社より『今、読書が日本人を救う』(四六判232頁、本体1524円)という本を上梓されました。
鈴木氏は昨年3月まで5年間、青森県立図書館長をされていました。この間、国が子ども読書推進法を制定する前に、全国で初めて「読み聞かせ支援センター」を青森県に組織し、県内の市町村をくまなく回って、子どもへの読み聞かせの大事さ、読書の重要性を説いてこられました。
現在、読み聞かせ支援センターは県教育委員会生涯学習課が運営を行っており、読み聞かせボランティアは63グループ、251名が登録されています。青森県書店商業組合もこの事業に積極的に協力しており、書店が読み聞かせボランティアの窓口的役割を果たせればと思っています。
『今、読書が日本人を救う』は、鈴木氏がこの5年間実践して来られた活動の報告書であり、ご自身の体験から学んだ信念を綴っています。ラジオ・テレビの世界から演劇の世界を経て、読書の世界に至って確信を持てた鈴木氏の全国民に向けた叫びです。読書に関わる業の者として、全国書店人は鈴木氏の叫びに耳を傾け、お客様にお勧めすることが責務です。読書力は国力に通ずるからです。
全国の同業者の皆さん、私どもの売場には「売れる本」と「売らねばならない本」があります。この本は後者かもしれません。しかし、たくさんの著書を出している鈴木氏ですから、ファンは全国にいます。また、氏の文章は氏のおしゃべり同様に歯切れがよく、読みやすく、わかりやすいのが特徴です。本のタイトルは少しおおげさな感じがしますが、病んでいる現代日本にはぴったりのタイトルでしょう。
外商を行っている書店さんは教育関係者、施設、団体へ薦めてください。子育て中のお母さん、お父さんにもぜひ薦めてください。
全国の書店が1冊でも多く普及したい本として行動を起こしていただけるよう格段のお力添えをお願いします。

2005年わが社のイチ押し企画/NHK出版・販売部書籍課長・荒川済

一大ブームとなったNHK特集「シルクロード絲綢之路」から四半世紀。
“懐かしくて新しい21世紀のシルクロード”、NHKスペシャル「新シルクロード」(絲綢之路10回シリーズ)が、2005年1月2日よりスタートしました。
このシリーズは、雄大でエキゾチックなタクラマカン砂漠を中心に中国各地の遺跡を旅し、今は砂漠と草原の中に埋もれてしまった文明興亡の謎と融合の歴史を、最先端の学術成果と日中共同取材による最新情報から読み解いていきます。
NHK出版ではこの番組の取材記、NHKスペシャル「新シルクロード絲綢之路全5巻」を2005年2月より刊行してまいります。
各巻に番組2本分を収載している取材記の柱は、担当ディレクターが書き下ろす番組取材記と、取材に同行した稲越功一、大村次郷、長倉洋海、林義勝、4人の写真家が撮影した「21世紀のシルクロード」です。取材記は最新かつ明快なシルクロード像を、そして4人の写真家のカメラアイは、リアルなシルクロードの姿を現地の空気とともに読者に伝えていきます。ご期待ください!
新シルクロード絲綢之路全5巻=定価本体各1800円+税、A5判上製・各232ページ(内カラー96ページ)、編著/NHK「新シルクロード」プロジェクト
第1巻楼蘭四千年の眠り/トルファン灼熱の大画廊2月20日発売
第2巻タクラマカン西域のモナリザ/天山南路ラピスラズリの輝き(仮)4月発売予定
第3巻草原の道風の民/敦煌石窟に死す(仮)6月発売予定
第4巻青海天空をゆく/カラホト砂に消えた西夏(仮)10月発売予定
第5巻カシュガル探検家たちのグレートゲーム/西安永遠の都(仮)12月発売予定
「新シルクロード絲綢之路全5巻」につきましては第1巻・第2巻を対象として販売促進費をお支払いいたします。また全巻予約者プレゼント(タクラマカン砂漠の砂時計)も実施しますので、全巻予約者の獲得をお願いいたします。読者対象は以下のとおりです。
番組視聴者、歴史愛好家、中国への旅行者、中国関連企業で働く方々、公立・私立・学校図書館、NHKブックス・ラジオ・TV中国語テキストの購読者など。

2005年わが社のイチ押し企画/角川書店・営業局書籍グループ・金子泰子

「あの名場面をもう一度観てみたい!」
「あの映画の美しいヴィジュアルが忘れられない!」
誰しも心に残るいくつかの映画はお持ちのことでしょう。そして、そういった名作の感動をご家族で今一度実感したいと思われている方も多いと思います。
角川書店創立60周年記念に刊行する「世界名作シネマ全集・全24巻」は、ここ1年のDVDの急速な普及といった社会的背景と、30年間映画をつくりつづけてきた角川書店ならではの、映画会社各社とのコラボレーションが生んだ、本と名作映画DVD2作品をセットにしてお届けする、かつてなかった大型企画です。
体裁は美しい名場面が大きな画面で楽しめるA4版。また、保存判として長く所蔵していただくために上製ハード・カバーの箱入り。中にはDVD2枚が収納され、裏表紙からDVDが透けて見える画期的で豪華な作りになっています。
各巻の構成は、名作映画DVD2作品のテーマに合わせたジャンル別の編集となっています。(ラブストーリー、アクション、SF、ホラー、パニック、青春、戦争、人間ドラマ、人気女優特集、巨匠・名匠特集etc…)
また、DVD作品の詳しい解説、ストーリーはもちろんのこと、スター達の素顔、製作秘話、名台詞の対訳、思い出のチラシ集、世界の映画祭などの完全データ集をフルカラー・64頁と読み応えのあるコンテンツで充実させ、大人から子供まで、家族で楽しめる作りになっています。
収録されるDVD2作品・全48作品は、日本国内で公開された国内外の映画、それも名作といわれている映画をジャンル別に、その代表作を取り揃えています。
世界の映画のすべてを読んで、観て、実感できる24巻を一家に1セット、ぜひとも揃えていただきたいと思っております。発売は2005年7月刊行開始予定です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
刊行時期‥2005年7月頃~2年間
刊行ペース‥月1回配本全24巻
体裁‥上製A4判箱入り
総頁数‥64ページ前後
DVD名作映画本編各巻2本収録=24巻48タイトル予定

2005年わが社のイチ押し企画/小学館・マーケティング局雑誌営業2課・豊栖雅文

1月25日(火)創刊しますCDつきマガジン「クラシック・イン」(全50巻)が大変予約が取りやすいと好評です。
この企画の第一の特長は値段の手頃さです。CD1枚にガイドブックがついて価格(各)980円(税込)、創刊号「モーツァルト①」はなんと特別価格490円(税込)です。完全隔週刊なので無理なくお買い求め頂けます。
第二の特徴は演奏の質の高さです。50枚のCDに選りすぐった335曲を収録しますが、どの演奏もこれまでの全集では実現できなかったレベルの高さです。カラヤン、マリア・カラス、小澤征爾、フジ子ヘミングといった誰でも名前を知っているアーティストのすばらしい演奏を選りすぐりました。この手の企画はマニアから敬遠されるケースが多いのですが、「クラシック・イン」は音楽教師のような耳の肥えた方が多数予約してくださっています。質の高さは折り紙つきです。
第三の特長はガイドブックです。クラシックの場合、ある程度の知識も得ないと理解が深まりません。また、曲を聴くだけでは長続きもしません。CDのライナーノートよりも詳しく楽しい解説でクラシックがぐっと身近になります。
クラシックというとちょっと堅苦しい印象がありますが、他の音楽に比べると一番裾野が広いジャンルです。中経出版さんの「さわりで覚えるクラシックの名曲50選」が売れ続けています。対象読者は100万人単位でいると思われます。とはいっても漠然としてもいけないので少しターゲットを絞ってみましょう。
まず家庭内図書として子供さんのいる家庭をせめて下さい。名曲が胎教、情操教育に圧倒的な効果があることは今や常識です。様々な事件が勃発する今日この頃、幸せな家庭を守るために情操教育は不可欠です。
次のターゲットは20代後半から40代の女性です。究極のファッションは自分を磨くことです。Oggi、Domani、Precious等大人のファッション誌の読者におすすめ下さい。
そして、本命はシニア世代です。向学心の高い読者が分冊百科の市場を支えてきました。老後、本気で精神的豊かさを求めるならクラシックが一番です。わずか月に2千円足らずで一生楽しむことが出来ます。
今回初めて書店様向けに販売促進費を用意しました。久しぶりに出る売りやすい全集だと思って皆様のお力で売り伸ばして頂きたく存じます。よろしくお願い致します。

「ざっしの定期便」ホームページ開設/ブックライナー

ブックライナーはこのほど雑誌定期購読システム「ざっしの定期便」のホームページ(http://www.bookliner.co.jp/teikibin.html)を開設した。
今回開設したホームページでは、ジャンル別取り扱い銘柄一覧、加盟書店一覧、申し込み方法などが掲載され、申込書の印刷も可能。読者は店頭で申し込む前に、取扱い雑誌や最寄りの加盟書店、サービス内容をあらかじめ確認することができる。
「ざっしの定期便」はトーハンと関係会社のブックライナーが一昨年7月に立ち上げ、書店受付の雑誌定期購読を一元管理、システム化したサービス。読者が書店店頭で申し込み、毎号店頭または指定先へのメール便で受け取るシステムで、昨年12月現在約1200誌の対象銘柄で展開している。加盟書店は約2500店。
なお、取り扱い雑誌や加盟書店は随時拡大。新規銘柄や加盟書店はホームページに順次掲載していく。

催し

◇「近代日本の風景画」展1月15日から3月13日まで東京・文京区の講談社野間記念館で開かれる。明治時代以降、日本における近代風景画確立の軌跡を数々の作品でたどる。主な展示作品は横山大観「千代田城」、東山魁夷「時計台のある家」など。また、伝説の国民大衆雑誌『キング』創刊80年記念として、『明治大帝』(昭和2年11月号)と『明治大正昭和大絵巻』(昭和6年新年号)の2つの付録の原画を同時展示する。

新春読者の投稿/競輪選手になればよかった/松原市・文潮堂書店・勝田冨士夫

午前中は原付で雑誌を配達。午後は自転車で主に国道308号線を南へ美原町に向かって走る。坂道の登りになっている。ギアの倍率を変え、傾斜をひたすら走る。横をバイクや車が追い抜いていく。5分ほど走れば、汗がどっと出てくる。呼吸も荒くなる。足の筋肉が少し重くなる。
歩道を逆行して来る自転車をよけながら、ひたすら美原町の公園を目指す。公園には広い池、イチョウ並木、小川、松などがある。冬は人の姿が少ない。池を1周すると、心が落ち着く。松原市には、こんな立派な公園はない。
帰りは、コースを変更する。美原町の高台を越える。途中の景色は素晴らしい。こんな所に住みたい。東除川沿いに北進する。コイが泳いでいる。サギが飛んでいる。途中、バイク店、電気店、スーパーなどに時間があれば寄る。
大阪府は緑が少ないので、自分から出向いて緑の多い場所を走る。気分が良くなる。
競輪選手になりたい。

新春読者の投稿/負けるな!地域に根ざした本屋/京都市・文佳堂書店・西川充雄

書店の大型化が進んでいる。以前のように郊外型の形態ではなく、市部の中心地に展開する。品揃え、展示冊数において既存の書店を圧倒する。その結果、周辺の書店の転・廃業が相次ぐといった形である。その証拠に国内の売場面積は余り増えないし、売上金額はむしろ減少の傾向が続いている。いわゆる活字離れ、読書人口の減少である。
気に入りしキキララ胸にもみじ手を開きあたたかき硬貨を渡す
駆け来たり息はずませつ選ぶらしキキララの本あれやこれやと
(『本屋さんのサラダ記念日』所載。キキララはサンリオのキャラクター)
30年前の拙句である。
詠み込んだお子さんは毎日のように幼稚園から帰るとすぐ来て、何かと話しながら読んでいた絵本、もう覚えているのではないかと思うほど見ていた絵本を買ってくれたのだ。こんな姿に生涯を通じ書物を友とするであろう予感を抱いた。
林立する書架、膨大な展示書籍を前に立ちすくむ子供達はあれこれと自分で選択する余裕もなくなるのではないか。相次いで大型店が誕生し、増床競争によって展示冊数も80万冊、100万冊といった膨大な品揃えをすることで読書人口の裾野を広げることができるとは思わない。
ある面では大型店が読書人口の減少、活字離れを推し進める元凶でもあるのではないか。負けるな!地域に根差した街中の本屋。

青山ブックセンターの営業譲渡/ボードから洋販に

東京地裁は昨年12月22日、日本洋書販売(洋販)に対し、ボードなど3社からの青山ブックセンターの営業譲渡を承認。同27日に正式な営業譲渡の手続きがとられた。これにより青山ブックセンターは洋販の傘下に入った。譲渡金額は2億5千万円。
昨年7月に同書店各店が閉店したあと、洋販は民事再生手続きの申し立てをしたボードから業務委託を受け、同書店の青山本店および六本木店の営業を9月末に再開。ボードは12月7日、洋販への営業譲渡を含めた再建案を東京地裁に提出していた。
洋販の賀川洋CEОは「債権者の方々の理解と協力に心から感謝申し上げるとともに、ご恩に報いるため、書店再生の礎となる青山ブックセンターを目指して本格的に始動する」とのコメントを発表した。

新春読者の投稿/社会を良くするのは読書の役割/岡崎市・BOOKSナカジマ・畔柳弘

町の本屋の凋落は目を覆いたくなるものがある。婦人誌の新年号などは本屋の窓口からの販売が大きかった。定期購読も減少している。TV、ゲーム、ITの影響による読書時間の減少。「見る」形態は「読む」形態より、義務的でないので受け入れやすい。社会がより豊かで便利になり、労を伴う読書は避けられている。恵まれた環境の中、身を律する気持ちが欠如し、努力する気が喪失している。新しい商品を与えられ、便利さに押し流されて、安逸な日々を過ごすようになっている。道具を使うのではなく、使わされている。店でよく見る光景がある。体格のいい学生が群れて1冊の本を数人で読む。移動するたびに塊は1冊の本に群がる。主体性のない行動が大きな体とは合わない。寂しさを感じる。
複雑化した社会で判断能力が欠如していては、詐欺被害にもあいかねない。日頃から読書に親しんでいれば思考能力も高まり、被害も減少する。高収益企業の中間決算を見ると、リストラによる労務費削減の寄与するところ大である。社会人は長時間の労務に耐え、読書時間も削られ、安逸な癒しやゲーム等に時間を過ごしている。
社会生活に影響する情報を取ることを、生活の中に習慣として組み入れる。不合理なものに対する免疫をつけ、社会に迎合しない、意見を言うことができる知識を得たいものである。
「みんなで渡ればこわくない」。判断の伴わない行動が悲惨な結果をもたらすことは、歴史が幾度か示している。社会を良くするのは気からである。それを育てるのは読書である。

本屋のうちそと

近所の商店の子どもさんに腕白坊主がいる。まだ小学1年生だからガキ大将ではない。鉄砲玉のように遊びに出かける。公園や友達の家で遊んでいるらしい。親御さんは結構忙しいのでかまっていられない。どこに遊びに行ったのかだけを把握して、夕方4時には帰って来いと言うが、その時間には帰ってこない。いつも親父さんの雷が落ちている。それでも遊びに出ると時間なんか忘れてしまうらしい。
ひところ誘拐だの連れ去りだのと言われた時は、本人も気にして遊びにいかなかったが、それも束の間、また遊びに出て行ってしまう。親御さんは、何して遊んでいることやらと言う。
両親が仕事に忙しいものだから、子どもが学校から帰ったときに腹減ったと言ってもご飯のしたくも出来ない。その間にお菓子のつまみ食いをしたりするから、食事のときにご飯が食べられなくなったりする。
子どもは友達の家に行き散々遊んだあとに、友達の家ではご飯の時間。親に「ご飯食べさせて良いですか」と聞いてくるらしい。ご迷惑かけますから帰してくださいと言うものの、どこの家も両親が忙しく働いていることを知っているから、心配しなくてもいいですからと、その家の子どもといっしょにご飯を食べさせる。
間食もせずにご飯だから、いつもより食欲旺盛。ご飯など3杯も食べて、おかずがなくなるとカレーまで作らせて、腹いっぱい食べてくるようだ。両親は呆れて、近所中に迷惑をかけていると心配している。(とんぼ)