全国書店新聞
             

平成14年10月11日号

「読書推進運動の起点に」

神奈川県書店商業組合は10月4日午後2時から横浜市神奈川区の組合会議室で定例理事会を開いた。
読者が1冊本を読み終わると書店でスタンプを押し、100個たまると表彰する「ステージアップ読書ノート」運動については、10月4日現在100冊読破(ステージ100)達成者は計59名。
10月27日以降、各書店を通じて達成者に賞状、書店くじ(小・中学生のみ)を贈呈し、神奈川新聞紙上に氏名を掲載するとの報告があった。
また、「神奈川県読書推進会」を設立し、10月10日に神奈川新聞社で設立総会を開催すると報告があった。
同会は神奈川組合と神奈川新聞社が「夏のすいせん図書読書感想文コンクール」「ステージアップ読書ノート」運動の推進神奈川県福祉審議会へ「推薦図書」の候補を推薦書店店頭での読み聞かせ運動の推進朝の10分間読書推進−−等の事業を行うために設立するもの。
中村理事長は「神奈川の読書推進運動をここから始める。
ゆくゆくは神奈川県図書館協会にもご協力いただき、『神奈川県読書推進運動協議会』に発展解消したい」との考えを示した。
また、神奈川新聞社の石井企画開発局長は「出版界では読書離れが言われているが、新聞も無読層が増えており、厳しい状況にある。
活字を生業とする両者が手を携えて、活字文化の大切さを知ってもらう仕組みを作り、地域文化に寄与できれば」と話した。
ヤマダ電機のポイントカードについては、県内で書籍売場のある鎌倉、川崎、相模原、大和4市の5店舗について各支部が状況調査を行い、10月8日の日書連再販委員会で報告することになった。

青森組合が書店情報化勉強会

青森組合は同青年部と合同で、10月18日午後1時半から青森市「ラ・プラス青い森」で「第3回書店情報化勉強会」を開催する。
講師は日書連情報化推進委員会の志賀健一委員長と、名古屋市・ナガヲ正文堂の長尾幸彦代表取締役専務。
参加申し込み・問い合わせは岡田書店・岡田浩樹まで。
017−723−1381

青少年条例改定の請願

このほか理事会では、萬田理事長、大橋信夫出版物販売倫理委員長が同日午後3時に都議会を訪問し、「青少年の健全育成条例の一部改定に関する請願」の問題で都議会自民党の宮崎政調会長、警視庁の玉村警視らと懇談を行ったことが報告された。
萬田理事長は玉村警視が請願の趣旨について「重要な問題」と理解を示したことに触れ、「自民党、警視庁の意向を聞きながら実現可能な方向で調整を行い、12月都議会に請願書を提出したい」との考えを示した。
読書推進委員会からは、越石武史委員長が「神保町ブックフェスティバル」(東京組合千代田支部主催)の概要を報告した。
今年は11月2日から4日までの3日間、神田すずらん通り、神保町さくら通りなどの会場で開催。
組合本部は11月2日、3日の2日間、ワゴン11台を使用して「自由価格本フェア」を実施。
また、7支部(ワゴン19台)が「本の得々市」に参加する。
組織委員会が取り組んでいる支部再編については、鳥井匡委員長が「再編に難色を示す支部もあるが、合併・統合を行わず今の支部編成のまま未来永劫やっていけるのか」と提起し、支部長会議を開いて検討してほしいと求めた。
また、岩波書店が7月1日から書籍の版元出し正味を改定、一般書を現行75・8%から2・3%引き下げた。
この結果、日販の書店出し正味も80・8%になっている旨、下向副理事長から報告があった。

京王ポイントカード

京王グループは10月1日からグループ共通ポイントサービス「京王パスポートカード」を開始したが、京王書籍販売が運営する啓文堂書店でも書籍購入額の1%のポイント還元を実施している。
東京都書店商業組合(萬田貴久理事長)は10月2日の定例理事会で、同社のポイントカード導入は「再販契約上違反」との認識で一致。
書籍・雑誌のポイントカードからの除外を求めることを同社に対して行うよう、主要出版社に要請することを決めた。
京王グループ共通ポイントサービスは京王百貨店、京王線定期券、京王観光、京王プラザホテル、啓文堂書店などグループのサービス加盟店で利用に応じてポイントを加算。
一般商品10%、催事商品・食品(銘品等)5%、食品(生鮮品等)・書籍・レストランなど1%のポイントをつける。
1000ポイントで1000円相当のポイント券と引き換え、加盟全店で利用できる。
東京組合再販研究委員会(岡嶋成夫委員長)は講談社、小学館と数回にわたり協議を行い、再販違反行為にあたるポイントカード導入を止めるよう京王書籍販売に申し入れてほしいと要請。
講談社は9月末に同社を訪れ、「京王グループのポイントサービスは値引き販売に当たる部分もあると懸念されるので、書籍・雑誌を除外してほしい」とする要望書を出したが、小学館は同社訪問を見合わせ、今後申し入れを行うかどうかについても態度を保留した。
理事会の席上、青木寛司再販副委員長は「大手出版社はポイントカード問題に消極的で、ショックを受けている。
ヤマダ電機のポイントカードも控えており、京王を認めてしまうとこれから大変なことになる」と指摘した。
また、柴崎繁常務理事は出版社の対応について「違反の認識があるというが、ならば止めないのはどういうことか」と疑問を示し、講談社や小学館だけでなく再販委員会に出ているすべての出版社は責任を果たしてほしいと述べた。
さらに、「これを認めると他の大企業も追従し、中小書店は櫛の歯が抜けるように息絶えていくことになる」(新倉信理事)、「京王線各駅の改札で案内パンフレットを配っている。
啓文堂は1駅1店舗を目指しており、沿線に店を構える者として大変な危機感をもっている」(梅木秀孝理事)など厳しい認識が大勢を占め、岡嶋委員長を全面的にバックアップして問題解決にあたりたいとの意向が多くの理事から示された。
下向磐副理事長は「まず出版社が態度を明確に示すことが必要」として、書籍・雑誌のポイントカードからの除外を求めることを京王書籍販売に行うよう、主要出版社に要請していくことを提案し、了承された。
出版社への働きかけは支部単位で行う。
対象出版社は以下の通り(カッコ内は担当支部)。
東洋経済新報社(中央支部)、三修社(台東支部)、東京布井出版(港・渋谷支部)、筑摩書房(中野・杉並支部)、工業調査会(文京支部)、文藝春秋(目黒・世田谷支部)、主婦の友社(千代田支部)、朝倉書店(新宿支部)。

まとめ送本による遅れについて問題提起

宮城県書店商業組合(藤原直理事長)の9月定例理事会が24日、ホテル・ベルエアで開催され、理事24名が出席した。
議題は理事長からの日書連合報告を初めとする報告事項、諸協議事項であったが、その他の項目に入り、小口書籍のまとめ送本について問題提起があった。
これは、書籍の送りの少ない書店が注文品を発注した場合、商品の到着するのが発送伝票の日付より1週間程度遅れるというもの。
取次が経費その他の節減を図っているのは充分に理解できるが、出版物が再販商品であることに象徴されるように、大型書店と同様の送品日が設定されなければ読者の利便性を失っていくことになる。
その書店では取次と話し合って結果を得たとのことであった。
三位一体とは何かを感じさせる話であった。
(梅津理昭広報委員)

読者と出版業界を考えるフォーラム開催

青森県書店商業組合、青森県中小企業団体中央会が共催し、日書連が後援する「青森県書店フォーラム2002読者と出版業界の近未来を考える」が、9月13日午後1時から青森市のホテルアップル・パレスで開催され、書店45名が出席した。
フォーラムは青森組合・岡田浩樹専務理事の司会で進行し、鶴谷禄郎理事長があいさつ。
第1部は「業界の動向を知る」と題して、小学館エグゼクティブマネージャー・黒木重昭氏(雑誌)、講談社コミック販売局局長・森武文氏(コミック)、幻冬舎営業部部長・米原一穂氏(文芸書)を講師に、「新文化」編集長の丸島基和氏をコーディネーターに行われた。
黒木氏は雑誌について、「将来は決してバラ色ではない。
出版社が面白いものを作り、それを続けることが定期購読につながる。
雑誌は書店店頭で選ばれるもの。
これからの書店の個性化・差別化は、店売力・外売力に左右される。
コンビニとの差別化として書店独自のサービスを図ることが必要」と述べた。
森氏は「コミック誌とコミックの現状は厳しく、コミックが売れないのが販売不況につながっている。
新刊に比べて既刊本の落ち込みがひどい。
環境の変化にどう対応するかが問題だ。
コンビニ用の廉価本はこれからもタイトル数を増やす」と話した。
米原氏は幻冬舎の成り立ち、ポリシー、現状について語り、「題材は“柳の下にドジョウは7匹いる”というほど積極的に求める」などとベストセラーを例に説明した。
このほか、書店に対する配本手続きの説明があり、東北各県への配本の現状を述べた。
第2部「地方書店はこう改める」では、青年部からお客様アンケートの結果発表があったのち、書店から店舗形態別に現状と問題点を報告。
都市大型店(成田耕造氏・成田本店)からは、ビデオレンタル店の計画等これからの販売戦略や自店の販売ポリシー、取次特別客注システムを数店で扱った事例などを報告した。
これについて森氏から協業化の事例が挙げられたほか、米原氏から共同仕入れの事例として、岡山県組合で五木寛之氏のイベントに関連して行われた例について説明があった。
都市テナント店(北川章男氏・北文堂)からは「店舗によって仕入れの温度差があり予約品などスムーズに入荷しないものがある。
万引きや座り読み対策に頭を痛めている」と現状説明。
黒木氏は座り読みについて、「エンターテインメントの場としての書店は接客が大事。
お客様が改善するよう丁寧に且つしつこく対応すべき」と提案した。
町小型店(黒滝恭一氏・滝忠黒滝書店)からは、取り扱い量が少ないことや、企業として小規模であることによる問題について報告。
協業化・SA化について森氏から、企画物の報奨金をグループ化した例の説明や、書店の身の丈に合った機器を導入すべきではとの提言があった。
(黒滝恭一広報委員)

生活実用書・注目的新刊

書店のレジ周りでよく見かけるのは、無料の出版案内やPR誌、耳栓などの本以外商品、子供向けのカード類、最新刊のコミックなどである。
時々は『文藝春秋』や、発売されたばかりの雑誌が置いてあるが、唯一これが読者のための陳列である。
レジはあらゆる年齢層の人が立ち寄る場所。
つまり注目度抜群のゴールデンスペースと言っていい。
しかし、残念なことにそれを有効利用する書店は少ない。
印象的で、幅広い客層にアピールできて安価、おやっと思わせて上品。
それがベストだが、もちろんなかなか難しい。
たとえば野口晴哉著『整体入門』(筑摩書房600円)は、文庫売場に足を運ばない読者も関心を持ちそうな気がする。
1976年の刊行以来、四半世紀ぶりに復刻されたものだが、体の偏りを整え自然治癒力を高めるという、むしろ最近注目のテーマが語られる。
人間には「体癖」というものがある。
身体運動は一人ひとり違っていて、「同じものを持っても、顔を歪める人、肩に力を集める人、腰へ力を集める人などあって、皆その部分に疲れが偏る」のである。
それを12体癖に分類すると、体型から心の動き、内臓の特徴的な状態までわかってしまう。
その体癖修正のための整体体操も写真で紹介される。
表面上の体力が全てでなく、潜在能力を自覚すれば、人間は思いもよらぬ力を発揮できるものであるという。
『下半身がみるみるやせた・体のゆがみ直し体操』(主婦の友社700円)は、特に女性のために編集された、整体体操のムックである。
監修は山田陽子氏。
どうすればやせられるか?という、女性にとっての大命題に本書はチャレンジする。
まずは体のゆがみを自己チェック。
へそがウエストより下だったり、立った時に両膝がつかなかったり、肩こり、頭痛、むくみなどの症状が一つでもあれば、体はゆがんでいる。
そこで、簡単な体操が具体例と共に紹介される。
やせたい人に、ちょっと衝動買いをそそる本である。
試してみなければわからないが、レジで初めて見つけてもう1冊買う人が増えれば、客単価は上がるし、印象に残る分リピーターも増える。
腕の見せ所である。
(遊友出版・斎藤一郎)

訃報

松本最氏(大阪屋前社長)9月26日、病気療養中のところ逝去した。
77歳。
通夜、告別式は28、29日にそれぞれ大阪府吹田市の千里会館で営まれた。
喪主は長男の剛一氏。
松本氏は昭和59年7月に大阪屋入社、同年10月専務、同60年10月に社長に就任。
平成2年10月会長に就任し、同4年10月に退任した。

声・出版社の責任

京王電鉄の子会社で京王書籍販売・啓文堂書店のポイントカードの10月1日からの実施中止を申し入れるよう、出版社にお願いしてきたが、9月27日の出版再販研究委員会で出版社側委員は、はっきりした態度を示さなかったという。
再販制度の権利を行使できるのは出版社だけである。
権利には義務が生じる。
再販契約書を取り交わし、定価販売を厳守しますとしている書店で値引き販売が実行されている。
違反者である当該書店に当然厳罰をもって望むべきところ、注意すらもしない。
法治国家の根幹を標榜しているジャーナリズムとして恥じるべきである。
出版社各社は今すぐに責任を果たすことを望むものである。

本屋集団が開発した単品管理への道

「本屋の村」代表大和郡山市・庫書房庫本善夫うちのように10坪で教科書も持たない父ちゃん母ちゃん本屋は、高価なPOSシステムなど導入できないので、雑誌の定期改正や売れ行き商品の把握は長年の勘を元にするか、手書きの資料を作るしかありませんでした。
入荷数から返品数を差し引けば実売数が出る。
発売3日目と1週間目の残数を記録すれば売れ行き状況が把握できる。
わかってはいますが、調べる手間と、データチェック、蓄積には根気が要ります。
お客様から指摘されて、品切れに気がつくパターンに陥り、実売のある雑誌でさえ知らない間に送品を切られていたり、定期割れなどもちょいちょいありました。
あとから手配してもお客様の要望には対応できないので買いに走ることになりますが、取次が手間賃を賠償してくれるわけでもありません。
自分の店なのに実売数を把握するとなると、見えていない部分があまりにも多い。
「こんなもんやろ」みたいな判断でその場しのぎをしてしまう。
これで良いのかと思っているうちに、不景気の波に押されて店頭の売上げは急降下。
うちみたいな小さい本屋は消えてしまってもおかしくないと思います。
でも、好きでやっている本屋だから細々とでもがんばってきました。
がんばれたひとつに「楽樂ほんやさん」にかかわったことがあります。
顧客管理ソフト「楽樂ほんやさん」を世に送り出した当時、ハード込みの一般的書店システムは150万円ほどしていましたから、「10万円ソフトで何ができるか」と思われていたようです。
しかし、このソフトのおかげで手書きの予約処理や売掛処理から開放されました。
着荷後の喧騒と4人分のパート労力が消えました。
バージョンアップした「ラクプロ」ではバーコードリーダーを使った返品処理もできるので、入荷数登録と返品処理のデータから実売数管理ができるようになり、定期改正のためのデータが確実なものとなりました。
この秋に発表する「ラクPOS」と「ラクプロ・」で単品管理の道具はそろいました。
バーコードリーダーを使って全品チェックする「ラク棚卸」で在庫の単品データを把握します。
雑誌入荷は以前からの処理で号数も入荷数も記録されています。
書籍入荷はバーコードリーダーを使って入荷伝票との引き合わせも可能になりました。
雑誌、ムックや書籍も個別の返品数が把握されています。
配達のための処理ができているので店外での売上管理データもできています。
POSで店頭売上の単品記録ができることになったので、当店でのすべての商品の動きをいつでもいろいろな切り口で見ることができるようになりました。
万引き等によるロスも明確に数字に出てきます。
取次にデータを送ることなく、自店で即時に単品管理できるようになったのです。
パソコンとバーコードリーダーなどの周辺機器、「楽樂ほんやさんシリーズ」があれば、小さな本屋でも単品管理ができるようになったのです。
しかし、パソコンは自分で使えなければなりません。
パソコンはいまや特殊なものではなく、小学校でも学習の道具として使われる時代になりました。
車のように免許は要りませんが、使いこなすためには多少の知識と、慣れが必要です。
デスクトップで税込10万円ぐらい、ノートでも税込20万円以下のもので十分実務に使えます。
どんなパソコンでも3年経ったらガタが来ますし、5年もすれば壊れないほうが珍しいので、高価なものを用意する必要はありませんが、新しいソフトは新しいパソコンに入れて使うとトラブルも少ないです。
本屋自身の手によるSA開発を目指す本屋だけの集まりである「本屋の村」がソフト開発を始めて5年の月日が流れました。
現在の正式ユーザーは北海道から九州まで180店、サポート用のメーリングリストへの参加者は私たちスタッフも含めて174名です。
詳しい情報はインターネットで「本屋の村」を検索してください。
10月19日土曜日午後2時より、大阪組合事務所でPOSシステムほか新しくなった「樂ほんシリーズ」を発表します。
「ラクPOSシステム」は、パソコンを使ったPOSレジソフト「ラクPOS」と、そのデータを分析する単品管理ソフト「POS管理」とが一体になった書店用店売管理システムです。
同時に、新バージョンの「ラクプロ・」や、トーハンのWebTONETSと連携のできる「ラクTONETS」などの新しいソフトも発表します。
是非見に来てください。
参加申込み、問い合わせは守口市・ブックスふかだ深田健治まで。
FAX06−6992−5894。
159行

催し

◇売り場の計数活用セミナートーハン・コンサルティングが10月17日(木)、トーハン本社で開催。
対象は書店店長、中堅スタッフ。
講師は公開経営指導協会コンサルタントの大村博氏。
受講料はテキスト、昼食代含み全国書店共助会加入店1万円、非加入店2万円。
申込みはセミナー事務局(■03−3267−8686)。
◇出版セミナー「勝ち残る会社の条件」出版科学研究所は10月29日(火)午後2時から日本出版クラブ会館で出版セミナー『「勝ち残る会社」の条件/多くの倒産の実態に学ぶ』を開催する。
講師は帝国データバンク産業調査部長の能城秀雄氏。
「調査員が感じる危ない会社」「勝ち残る会社」や、企業情報の活用法、リスクマネジメントなどを提言する。
受講料1名5千円。
申し込みは出版セミナー事務局まで。
■03−3269−1379番、FAX03−3266−1855番◇JPDC研修会「出版分野のビジネスモデル特許の動向」日本出版データセンター(JPDC)は、出版営業関係者を対象に10月29日午後3時から日本出版会館で「出版分野のビジネスモデル特許の動向」の研修会を行う。
講師は特許庁特許審査第4部の岩崎孝治首席審査長。
参加費無料。
申し込みは新潮社まで。
FAX03−3266−5118番◇世界の書籍展ナポレオンが所蔵していた『若きウエルテルの悩み』や、杉田玄白『解体新書』など世界的に貴重な本を集めた「ゆたかなる精神の旅、世界の書籍展」が10月24日から30日まで銀座松坂屋7階催事場で行われる。
入場無料。
主催は創価学会「世界の書籍展」実行委員会。
書籍展ではユゴー、トルストイ、ホイットマンの初版本や直筆のほか、故・今井田勲氏の豆本コレクション、世界初・2■の巨大本、名作のジオラマも展示。
◇野間記念館「日本画に見る信仰と祈り」展10月26日より12月15日まで講談社野間記念館で開催。
横山大観「霊峰」、安田靫彦「上宮太子像」など、野間コレクションの近代日本画の中から、日本人独特の信仰と祈りの心情にあふれた作品を厳選した。
同時展示「『少女倶楽部』の世界展」。
月・火曜日休館。

人事

◇福音館書店(10月1日付、◎は昇任)代表取締役会長佐藤克身代表取締役社長(編集担当)時田史郎専務取締役(経理担当)西田守夫常務取締役総務部長(販売担当兼務)◎塚田和敏取締役出版管理部長山本博道相談役松居直*能田奏常務取締役は退任。
◇角川書店(10月1日付)SSコミュニケーションズ出向(販売部長)貴志学エンターテイメント事業部ビデオグラム事業部(販売促進部次長)菅原英明◇日販(10月1日付)経営戦略室長・関連企業担当兼不動産事業部長(経営戦略室長・関連企業担当)安西崇営業本部長付部長出向(不動産事業部長)明石達男◇太洋社(10月1日付)業務部戸田営業所長(同所長代理)川村登美雄

本屋のうちそと

衣替えの季節を迎えクリーニングの受付カウンターが賑わっている。
朝の来店客1号は決まってクリーニングのお客さんだ。
2、3人続く日は、本屋そっちのけで終日クリーニングの受付に追われる前触れである。
クリーニング業は別名クレーム産業と呼ばれるほどクレームがつきものだ。
汚れが落ちない、アイロンが雑、伸び縮み、色落ち等など。
修復不能の場合は弁償しなければならない。
金額をメーカーに問い合わせ、現金で支払うことになるが、頭が痛いのは紛失した時だ。
証拠がないのを良いことに中国製ズボンが英国製に化け、法外な金額を要求される。
こちらのミスとはいうものの、人間不信に陥ってしまう。
「人間不信」が団体でやってきたらどうなるか。
札幌のスーパーが1年間にわたり販売した偽装国産肉の返金をしたところ、買った人と買わない人がどっと押し寄せ、販売額の3倍半も支払ったという。
40万円を請求した主婦もいたというので、さっそく電卓を叩いてみた。
家族数は不明だが、雨にも風にも札幌の厳しい冬にも負けず、毎日1095円の肉を食べ続けた悲しい一家団欒の光景が浮かび上がってくる。
日本人のモラルはどうなったのだろう。
「北海道だから」と決めつける人もいるが、「英国製ズボン」とダブらせるとそうとばかりは思えない。
雪印食品や日本ハムの偽装犯罪を糾弾してきた消費者が、その企業と同じ穴のムジナである事を立証した記念すべき出来事である。
(どんこ水)

英語版創刊で合意

角川書店は月刊アニメ情報誌『Newtype』(発行部数35万部)の英語版姉妹誌『NewtypeUSA』を10月10日にアメリカで創刊することに合意した。
発行部数5万部。
発行元は米国における日本のアニメ作品配給会社ADビジョン社(本社ヒューストン)の100%出資による子会社、NewtypeUSA社。
予価9.95ドル(約1200円)。

需要は掘り起こせる

第34回協和会が10月6日、7日の両日、熱海温泉・熱海後楽園ホテルで開催され、会員書店58店77名、出版社21名、協和出版販売から小貫会長、雨谷社長、町田常務など19名が出席した。
午後3時から始まった総会では、初めに小貫邦夫会長があいさつ。
「協和会は第1回の熱海から会を重ね34回となった。
出版業界は5年連続してマイナス、書店は7年連続して売上げが落ちている。
町の本屋は年間千店の廃業が続き、廃業店の売上げのうち半分ぐらいが消えてしまう。
マクルーハンは映像だけでは文化はほろびると指摘したが、文字が中心でなければ思考力も衰える。
出版業界全体で読者開拓の努力が必要だ。
まだまだ需要は掘り起こせる。
当社は物流、情報のやりとりで遅れている面があるが、1社でやるより、協業化の中でシステム化を考えている」と、業界を取り巻く課題と、同社の現状について報告した。
会計、監査報告のあと、西家忠雄代表幹事は「最近の出版業界を見ていると、昔歩いてきた道を、また繰り返している気がする。
戦前は新刊と古書は別棟で営業し、貸本屋には新刊を卸さない内規があった。
5厘玉の通用していた時代には5厘、1銭単位の乱売が起きていた。
先輩が勝ち取った仕組みをむざむざ捨てることはない。
最後は自己責任だが、自分の店の特徴を生かしながら、協和会とのパイプを太く、スクラムを組みたい。
自店でも原点にかえって社員教育と対面販売、POPを見直したい」とあいさつした。
新年度幹事の選出、出版社の企画発表に続いて、協和雨谷社長がお礼の言葉。
「協和会は平成10年の第30回から1年おきの開催になり、昨年は第2回目の書店人フォーラムを開催した。
今日は総会の前に新文化の丸島編集長を講師に勉強会を行った。
書店業界は厳しいが、お客様に喜んでもらえる魅力ある書店づくりへ向けて販売担当者がお役に立てるよう努力していきたい」とあいさつした。
◇協和会新幹事伊藤雄一(新庄市・伊藤書店)、岡見正昭(鹿嶋市・オカミ)、西家忠夫(港区・金松堂書店)、島田紀明(八千代市・文永堂)、福田二男(北九州市・福田書店)、藤井祐一(松本市・文岳堂書店)、北野和義(狭山市・北野書店)、★川誠一(港区・誠志堂書店)、武藤准一(御殿場市・武藤書店)、桝谷静雄(宇部市・沼書房)

−無題−

今年は日中国交正常化30周年だが、1983年以来、中国国家図書館に図書寄贈を行ってきた日販に対して中国から「文化交流貢献賞」が贈られ、9月27日午前11時から赤坂プリンスホテルで授賞式と祝賀レセプションが行われた。
文化交流貢献賞は1997年に創設され、日本では池田大作、故・団伊玖磨らが受賞している。
今回は日中友好協会・平山郁夫会長、日中友好会館・後藤田正晴会長、劇団四季・浅利慶太芸術総監督、裏千家・千宗室家元、日中文化交流協会・白土吾夫代表理事とともに日販が受賞した。
授賞式では、来日した周和平文化部副部長が「中日両国は一衣帯水の隣国。
文化交流を通じて友好関係を深めたい」と述べ、受賞者に賞状と記念の盾を手渡した。
日販菅社長は「当社杉浦社長(当時)の提案により1983年以来、4期20年にわたって21万冊、8億円相当の新刊を贈ってきた。
この事業を通じて日中の文化交流を深めていきたい」とあいさつした。

図書寄贈契約に調印

日販は10月2日午後3時半から新御茶の水ビル・銀座アスターで中国国家図書館と第5期図書寄贈契約調印式を行った。
契約は今年から2006年まで5年間にわたるもので、中国から来日した楊炳延国家図書館副館長と日販菅徹夫社長が調印書を交換した。
日販は1983年以来、4期20年にわたって図書寄贈を続けており、これまでに寄贈した図書は21万冊、定価で8億円。
北京の中国国家図書館内に「日本出版物文庫閲覧室」を設け、常時新刊2万冊が利用者に開放されている。
調印式に続いて行われた出版社感謝報告会で日販菅社長は「先程、今後5年間の図書寄贈を正式に契約した。
20年に及ぶ友好事業で中国から文化貢献賞をいただいたが、よく頑張ったというのが実感だ。
図書寄贈のほかに人的交流も図っており、22回の訪中団を送り、中国からは研修生を受け入れている。
王子流通センターの所長時代に新華書店から派遣された研修生が、現在幹部として活躍している。
友好の輪を拡げて両国の文化交流を」とあいさつ。
楊副館長は「1982年に開設された日本出版物文庫閲覧室は日本を理解する窓口として特色ある閲覧室の1つ。
文化交流で重要な役割を果たしている」として、日販と協力出版社に感謝を述べた。

売上微減190億円

明屋書店グループの平成14年6月期決算は、売上高190億7127万円(前年同期比2・1%減)、経常利益6億5243万円(同25・5%減)、当期利益8億8799万円(同1・2%増)と減収増益の決算になった。
売上高の内訳は書籍・雑誌部門が149億3751万円、文具部門が5億8236万円、DVD・CD部門が31億9042万円。
期末の店舗数は71店。