全国書店新聞
             

平成29年6月1日号

粗利益30%確保めざす/舩坂良雄理事長を再選/東京組合総代会

東京都書店商業組合は5月19日、千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで第41回通常総代会を開き、総代55名(委任状含む)が出席。役員改選で舩坂良雄理事長(大盛堂書店)を再選した。舩坂理事長は、出版不況の中で書店経営を成り立たせるためには従来の利益構造からの転換が必要と指摘。「粗利益30%確保」を重点課題に運動を続ける方針を示し、3期目の新体制がスタートした。
総代会は矢幡秀治組織委員長(真光書店)の司会、本間守世副理事長(本間書店)の開会の辞で始まり、舩坂理事長があいさつ。
舩坂理事長は「昨年、中小書店の主力商品である雑誌の売上は前年比5・9%減と大きく落ち込み、41年ぶりに書籍を下回った。東京組合の加盟店も336店となり、これ以上売上が下がれば閉店する書店はますます増える。身近な街の本屋がなくなることは地域住民にとって不便なこと。薄利多売の商売のあり方に限界がきている。雑誌を多く売ることで今の利幅を維持してきたが、もう限界ではないか」と強い危機感を示した。
さらに、雑誌・書籍の定額読み放題サービスの普及やデジタル教科書導入への動き、都の最低賃金引き上げなど書店業界を取り巻く厳しい経営環境に触れ、「従来の利益構造では書店経営は成り立たない。経営安定のために粗利益30%を確保できるよう、今年も引き続き運動を続ける」と強調。「書店業界は非常に厳しい状況だが、必ず良くなる。アメリカでは電子書籍から紙の本に回帰しつつあるという報告もある。街の書店として日々努力していただきたい」と呼びかけた。
このほか、書店経営に影響を及ぼす問題として万引をあげ、渋谷地区で万引対策のためのプロジェクトを立ち上げることを報告。「渋谷地区の書店で万引を抑止するための試みを行う。区や警察署も協力してくれる。成果をあげて、組合員の皆さんにデータを提供したい」と述べた。
議長に武田初男氏(芳進堂)を選任して議案審議を行い、すべての議案を原案通り承認可決。平成28年度事業報告は、各副理事長が担当委員会の取り組みを一括して説明した。
取引・流通改善委員会の報告で、柴﨑繁副理事長(王様書房)は、最近のパートワークの販売方法の問題点を取り上げ、日書連と共同で解決に向けて取り組む方針を説明した。デジタル戦略推進では、「BOOKSMART」の店頭連動企画「TOKYOBOOKAWARDS」への参加を呼びかけた。
事業・読書推進委員会では、本間副理事長が「読者謝恩図書カード」を出版社等17社の協賛で1万8千枚を販売したこと、出版社からの依頼による企画商品の増売協力を行ったことを報告した。
組織委員会の報告で、田島敏幸副理事長(椿書房)は、支部及びエリア制の組織改革にあたりエリアに対する認知度が低いことから、周知を図るため所属支部員を交えた行事の企画立案を要請したと報告した。
指導・調査委員会については、小林洋副理事長(烏山書房)が、平成28年度書店経営研修会は全国出版協会・出版科学研究所主任研究員の佐々木利春氏を講師に迎えて「出版統計から見た出版業界の現状と展望」をテーマに開催したことを報告。万引問題では、「第7回万引き追放SUMMERキャンペーン」「第12回東京万引き防止官民合同会議」の模様を報告した。
平成29年度事業計画については小林副理事長が、組合員減少に伴い業務効率アップのため組織のスリム化を図る考えを説明。役員定数を減員し、委員会構成も再販・発売日委員会と取引改善委員会を統合、デジタル戦略推進委員会を事業・増売委員会に組み込み、6委員会に集約するとした。
定款一部変更の件では、役員定数を「理事35人以上40人以内」から「30人以上35人以内」、副理事長を4人から3人、常務理事を6人から5人に減員する案を、それぞれ承認した。
役員選任では理事35人、監事3人を承認。新理事による理事会で投票の結果、舩坂理事長を再選した。副理事長は柴﨑、本間、小林の3氏を再任し、田島氏は退任した。また、常務理事に矢幡氏を新任した。
支部功労者表彰の後、柴﨑副会長の閉会の辞で終了した。
[東京組合役員体制]
○印は新任
▽理事長=舩坂良雄(大盛堂書店)
▽副理事長=柴﨑繁(王様書房)本間守世(本間書店)小林洋(烏山書房)
▽常務理事=○矢幡秀治(真光書店)渡部満(教文館)濱野敏明(アンビル宮脇書店)渡辺真(ワタナベ書店)渋谷眞(四季書房)
[支部功労者表彰]
土橋健(K企画金港堂)田島敏幸(田島企画椿書房)

本以外の商材でも競争激化/成田理事長「商売に工夫を」/青森総会

青森県書店商業組合は5月9日、青森市のアラスカ会館で第30回通常総会を開催し、組合員22名(委任状含む)が出席した。
総会は県組合事務局の武田豊文氏(成田本店)の司会、伊藤篤副理事長(伊吉書院)の開会の辞で始まり、成田耕造理事長(成田本店)があいさつ。
成田理事長は昨年の出版業界の動向に触れ、「電子の売上が1400億円まで急成長し、特にコミックが伸びている。書籍の売上が雑誌の売上を逆転し、書店の飯の種が減ってしまった。平成24年に理事長に就任した時の全国の組合加入書店は4718店だったが、今年4月現在3504店まで減少。青森組合もこの5年間で39店から27店と大きく減少した。本が売れないため文具の扱い高を増やす書店が多くなり、本以外でも売上の奪い合いになっている。さらに商売の工夫をしなければならない」と述べた。
サン・ジョルディの日のキャンペーン企画推進事業では、県内の様々な分野で活躍している16名に自身が推薦する図書について寄稿してもらい、冊子「ワタシが薦める一冊」を1万部作成。ポスターとともに組合員に送付した。客に冊子を無料配布し、新聞広告やテレビCMでサン・ジョルディの日をPRした。
また、第68回書店東北ブロック大会が、青森組合の設営で昨年7月7日の八戸市のグランドサンピア八戸で開催。成田理事長、藤村真専務理事(スノヤ書店)をはじめ八戸地区の組合員が準備を進め東北6県の書店や出版社、取次など総勢180名が出席した。
続いて成田理事長を議長に議案審議を行い、平成28年度事業報告、収支決算、平成29年度事業計画案、収支予算案など第1号から第6号議案まですべての議案を原案通り承認可決した。(伊藤篤広報委員)

6月22日に日書連通常総会

日書連は6月22日(木)午後1時から東京・千代田区の書店会館で第29回通常総会を開催し、平成28年度事業報告、収支決算報告、平成29年度事業計画案、収支予算案、平成29年度借入金最高限度額案、任期満了に伴う役員改選などを審議する。
また、当日午前10時半から定例理事会を開催する。

春井宏之理事長を再選/読書推進事業の活用を呼びかけ/愛知総会

愛知県書店商業組合は5月18日、名古屋市千種区のホテルルブラ王山で第34回通常総会を開き、組合員117名(委任状含む)が出席。役員改選で春井宏之理事長(正文館書店)を再選した。春井理事長は、組合員がサン・ジョルディの日をはじめとする組合事業を有効活用して増売につなげる仕組み作りに取り組む方針を示した。
冒頭あいさつで春井理事長は、愛知組合が取り組む読書推進事業「サン・ジョルディの日フェスティバル名古屋」「中学生はこれを読め!」「孫の日キャンペーン」で作成する選書リストを「本を売る際に貴重な情報源となる『3種の神器』」と位置づけ、「店頭でも外商でも、客にリストを渡すことで売上増につながる」と指摘。組合事業の有効活用を呼びかけた。
引き続き林茂夫氏(松清本店)を議長に議案審議。平成28年度事業報告、収支決算報告・監査報告、平成29年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
事業報告は各部会の担当副理事長が説明。①組合ホームページをリニューアルし、フェイスブック「愛知県の本棚」とリンクした、②「サン・ジョルディフェスティバル名古屋2017」で「本屋さんが選んだ、子供に読み聞かせたい絵本101冊」の展示販売などを行った、③第11回「中学生はこれを読め!」を24店で実施し、同リスト掲載本100冊の増売を図った、④「孫の日キャンペーン」は43店が参加。推薦本15冊を増売し、2ヵ月の期間中の実売は400冊に達した、⑤「中部圏初!どえりゃあ書店大商談会」が中日新聞社主催で開かれ、愛知、岐阜、三重の東海3県組合が協賛した――などの報告があった。
任期満了に伴う役員改選では、選考委員による指名推薦で理事26名、監事2名を選出。このあと第1回理事会を開き、春井理事長を再選した。
事業計画案の説明を兼ねて2期目スタートにあたっての所信を述べた春井理事長は、「この2年間で正副理事長が情報共有する環境を作った。今後はこれを理事全員に拡大したい。各支部との連絡の仕組みも充実させたい」と、組合と組合員を結ぶ情報伝達網の整備に意欲を示した。
また、水野賢一副理事長が、9月7日に開催する「日本ど真ん中書店会議~第二回どえりゃあ書店大商談会~」「日本ど真ん中書店大賞」の開催概要を説明。「書店も読者も喜ぶイベントにしたい」と意気込みを語った(関連記事5面)。
総会終了後、名古屋大学特任教授でビブリオバトル普及委員会理事の飯島玲生氏が「本を通したコミュニケーションとコミュニティの可能性」を講演した。
[愛知組合役員体制]
▽理事長=春井宏之(正文館書店)
▽副理事長=谷口正和(ちくさ正文館)近藤五三六(近藤商店)小原永幸(かちがわ文昌堂)水野賢一(白沢書店)

「春夏秋冬本屋です」/「いらっしゃいませ」の効用/福島・高島書房代表取締役・髙島瑞雄

「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」は、本屋さんはもちろん、お客さま商売の基本その一だろう。病院やお役所では、まず聞くことがない。
しかし「いらっしゃいませ」は本当に使いこなせているのだろうか。スタッフには、「いらっしゃいませ」をタイミングよく使いこなすために、三つの効用を理解してもらっている。
ひとつは、言うまでもなく、ご来店に感謝の意を表すこと。笑顔でお迎えできればベスト。
二つ目は、お客さまに挨拶をしながら、服装、目つき、所持品等を視認し、ご来店の意図を直感的に理解すること。この時、万引き目的の輩とは、ふしぎと目線が合うのだ。また、飲食物を持ち込むようなら、その場で注意を促すとか、入店時を視ているからこその判断や推察が可能になる。
三つ目は、「いらっしゃいませ」の発声により、店内の他のスタッフに、お客さまのご来店を周知できること。つまり、何人入店したのか、今店内に何人お客さまがいるかの情報を共有できる。
また、怪しい人物(推定万引き犯)対策として、スタッフ総出で、交互に、意図的に側を通り、「いらっしゃいませ」を連呼することは、防犯上、十分効果が期待できる。
規模や立地で、効用が期待できない店舗もあるだろうが、是非スタッフの意思疎通を図って、おためしあれ。

多くの親子連れが様々な催し楽しむ/上野の森親子フェスタ

子どもの読書推進会議、日本児童図書出版協会、出版文化産業振興財団が主催する「上野の森親子フェスタ2017」が5月3日~5日、東京都台東区の上野恩賜公園で開催された。
子どもブックフェスティバルでは、絵本・児童書を販売したほか、作家のサイン会やおはなし会、手作りワークショップなどを行い、多くの親子連れが様々な催しを楽しんだ。
講演会も3日間で合計7つ開催。人気作家のトークやパフォーマンスが行われ、合計1209名が来場した。

面屋龍延理事長が続投/経営改善へ書店の粗利拡大求める/大阪総会

大阪府書店商業組合は5月19日、大阪市北区の尼信ビル会議室で平成28年度通常総会を開催し、組合員113名(委任状含む)が出席。役員改選で面屋龍延理事長(清風堂書店)の再選を決めた。組合員数減少に伴い、今回から総会制に移行しての開催となった。
総会は深田健治副理事長の司会で進行。面屋理事長は開会あいさつで書店の経営環境に言及し、「街の本屋の売上は雑誌と文庫、コミックでほとんど成り立っているが、雑誌がどんどん落ち込み底が見えない状況だ。日書連では、書店の粗利益30%以上の確保を提唱し続けている。経営がますます苦しくなる中、街の本屋は相変わらず2割2分でやっていかなければならず、小書店が先に潰れるという事態になっている。出版物への消費税軽減税率適用とともに、粗利益30%を目指して頑張っていきたい」と述べた。
続いて、正副議長に萩原浩司副理事長、二村知子常務理事を選任して議案審議を行い、平成28年度事業報告、収支決算書、平成29年度事業計画案、収支予算案、借入金限度額などの議案を原案通り承認可決。また、総代会制から総会制への移行に伴う組合運営規約の変更を承認可決した。
平成28年度事業の総括と平成29年度事業計画案の総論を説明した面屋理事長は、読書推進活動について、「本の帯創作コンクール」(帯コン)や「読書ノート」のほか、大阪府との共同事業「OSAKAPAGEONE」を昨年スタートしたことを報告。政治への今後の働きかけとしては、消費税軽減税率適用や、地元書店による公共図書館・学校図書館への図書納入の実現などを求めたいとした。また、定期配達雑誌の30%マージン獲得や、組合財政の健全化などに取り組んでいくと述べた。
事業報告では、読書推進委員会から、「帯コン」に全国13都府県265校から計1万1394点の応募があったと説明。2016年度「読書ノート」には177校から応募があり、抽選の結果137校に4万9697冊を送付したことを報告した。
任期満了に伴う役員改選では、理事34名、監事3名の候補者を承認し、第1回理事会で面屋理事長を再選した。面屋理事長は「底が見えないのは不安だが、明けない夜はない。英知を集め、街の本屋が1日でも長く営業できるよう頑張りたい」と述べた。筆頭副理事長は戸和繁晴氏(トーワブックス)を再任、その他の副理事長、常務理事、委員長については6月の理事会で決定する。

出版販売金額3・4%減少/雑誌の売上が書籍を41年ぶり下回る/出版指標年報

全国出版協会・出版科学研究所が発行した『2017年版出版指標年報』によると、2016年の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比3・4%減の1兆4709億円となった。内訳は、書籍が同0・7%減の7370億円、雑誌が同5・9%減の7339億円。販売金額のマイナスは12年連続で、1兆4千億円台を記録したのは1981年以来。また、雑誌の売上が書籍を41年ぶりに下回った。
〔ベストセラー相次ぎ、小幅減に/書籍〕
書籍の推定販売金額は7370億円で、前年比0・7%減少。10年連続のマイナスとなったが、底堅さを示した。年間を通してコンスタントにベストセラーが生まれ、長期にわたって売れる作品が多かった。また、児童、実用、学参などが好調で前年を上回り、全体の伸びに貢献した。ベストセラーは、テレビなどメディアで紹介された本が中心になった。『天才』(幻冬舎)、『羊と鋼の森』、『コンビニ人間』(ともに文藝春秋)、『どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法』(サンマーク出版)、『君の膵臓をたべたい』(双葉社)、『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)など、社を挙げてPRを強化している出版社の書籍が息の長い売れ行きを示した。
ミリオンセラーは、出版科学研究所の年間単行本総合ランキングでは『ハリー・ポッターと呪いの子』(静山社)が唯一達成した。シリーズ8年ぶりの新刊で、11月に初版80万部で発行され、発売3日後にはミリオン到達となった。
推定販売部数は同1・4%減の6億1769万冊。価格上昇の影響で金額よりも減少幅が大きく、前年に続いて文庫本の不振が響いた。文庫本は3年連続で6%台の大幅なマイナスを記録し、市場の低落が目立っている。
金額返品率は36・9%で同0・3ポイント改善。店頭販売状況が堅調だったことと、新刊配本部数の適正化など取次会社の送品引締め策が功を奏し、2年連続で前年を下回った。
新刊点数は7万5039点で同1・8%(1406点)減。内訳は、取次仕入窓口経由の新刊が同1・3%減の5万3538点、注文扱いの新刊が同3・2%減の2万1501点だった。取次仕入窓口経由の減少は4年連続で、特に文庫本の減少が目立った。新刊推定発行部数は同0・8%減の3億2219万冊で、児童書や小中学生向け学参が大幅に伸びた。
16年の書籍市場は前年に続き各ジャンルでヒットが生まれた。文芸書は、田中角栄ブームをリードした『天才』が92万部に到達。芥川賞受賞の『コンビニ人間』は52万部、本屋大賞受賞の『羊と鋼の森』は50万2500部など文学賞受賞作にヒットが続いた。佐藤愛子、瀬戸内寂聴など高齢作家のエッセイも人気を博した。ビジネス書は全体的に不調で一部出版社に売れ筋が集中。『嫌われる勇気』など自己啓発書が幅広い層から支持を集めた。文庫本は低迷が続き、特に既刊が厳しい状況。東野圭吾、池井戸潤など定番の人気作家が変わらぬ強さを見せた。児童書は絶好調で、絵本ではヨシタケシンスケなど新進作家の作品が短期間で大部数を記録。学習漫画、児童文庫などにも売れ筋が多かった。
16年の単行本ベスト10は以下の通り。
①天才/石原慎太郎/幻冬舎②ハリー・ポッターと呪いの子第一部・第二部特別リハーサル版/J.K.ローリングほか/静山社③君の膵臓をたべたい/住野よる/双葉社④嫌われる勇気自己啓発の源流「アドラー」の教え/岸見一郎・古賀史健/ダイヤモンド社⑤正義の法/大川隆法/幸福の科学出版⑥羊と鋼の森/宮下奈都/文藝春秋⑦コンビニ人間/村田沙耶香/文藝春秋⑧新・人間革命(28)/池田大作/聖教新聞社⑨火花/又吉直樹/文藝春秋⑩言ってはいけない残酷すぎる真実/橘玲/新潮社
〔販売額5・9%減、19年連続の減少/雑誌〕
雑誌の推定販売金額は7339億円、前年比5・9%減と19年連続のマイナスを記録。書籍の売上を41年ぶりに下回った。内訳は、月刊誌が同5・3%減の6009億円、週刊誌が同8・5%減の1331億円。月刊誌は、ムック、コミックスを除く定期誌だけでは同4・6%減。ムックは同1・5%減、コミックスは同8・5%減だった。
推定販売部数は同8・0%減の13億5990万冊。内訳は、月刊誌が同7・3%減の9億7417万冊、週刊誌が同9・8%減の3億8573万冊。平均価格は同2・2%(12円)増の558円。月刊誌は同1・9%(12円)増の631円、週刊誌は同1・7%(6円)増の356円と上昇傾向が続く。
推定発行部数は同8・6%減の22億4658万冊で、ピークだった97年の51億8979万冊から約57%の減少となった。推定発行金額は同6・6%減の1兆2525億円。金額返品率は同0・4ポイント減の41・4%で、返品を大幅に絞ったことやコンビニエンスストアでの販売状況がやや持ち直したこともあり改善した。
不定期誌の新刊点数は、増刊・別冊が同5・2%減の3713点、ムックが同4・3%減の8832点。1号を1点とカウントした年間の付録添付誌数は、同3・0%減の1万2000点と減少が続く。
年間の創復刊点数は同3点増の73点で、依然として分冊百科やパズル誌、アダルト誌が大半を占める。休刊点数は同8点多い125点で、『SEDA』や『Gainer』などメジャー誌の休刊が相次いだほか、『COURRiERJAPON』『デジモノステーション』など有料の電子版に完全移行する雑誌も見られた。
〔コミックは大幅増で高成長続く/電子出版〕
電子出版の市場規模は1909億円で、同27・1%増、金額で同407億円増加した。内訳は、電子コミックが同27・1%増の1460億円、電子書籍が同13・2%増の258億円、電子雑誌が同52・8%増の191億円。紙と電子の出版市場を合わせると1兆6618億円、同0・6%減。電子出版の占有率は11・5%で、同2・5ポイント増加した。
コミックは大手出版社、コミック専門出版社ともに大幅な伸長で高い成長を続けている。無料試し読みなど様々なPRが奏功した。書籍は未だ電子化に積極的ではない出版社が多く、点数は増加しているものの売上は伸び悩んでいる。雑誌は定額制読み放題サービス「dマガジン」の会員数増加に伴い、市場規模が大きく拡大した。

小学校1位は『かいけつゾロリ』/「朝の読書」人気本調査

朝の読書推進協議会(大塚笑子理事長、事務局=トーハン)は、「朝の読書」実践校の平成28年度人気の本調査の結果をまとめ、小・中・高校の「朝の読書」で読まれた本のランキングを発表した。
小学生は、毎年上位に入る「かいけつゾロリ」や「怪談レストラン」のほか、「しずくちゃん」が読み物シリーズで上位にランクインした。例年人気になっている学習漫画シリーズでは「科学漫画サバイバル」が根強い人気を保ち、昨年に続いてランク入り。また、今回は特に「コミック版日本の歴史」や「学習まんが人物館」など、歴史や偉人の伝記が描かれた学習漫画が複数ランクインして昨年より順位を上げた。
中学・高校では、その年のベストセラーやメディア化作品など話題になった作品やライトノベルが支持される傾向が見られる。芥川賞を受賞し大きな社会現象を巻き起こした又吉直樹「火花」が昨年に続き高校生で上位に入り、中学生では初登場2位となった。また、映画化で話題になった有川浩「植物図鑑」や、衝撃的なタイトルで若い世代を中心に人気を集めた、住野よる「君の膵臓をたべたい」もランクインした。
「朝の読書」の実践校は5月1日現在で2万7434校(小学校1万6640校、中学校8565校、高校2229校)で、約970万人の児童・生徒が取り組んでいる。

第56回「全出版人大会」開催/「忍耐から攻勢へ」声明を採択/日書連・柴﨑繁副会長が長寿者祝賀受ける

第56回全出版人大会(主催・日本出版クラブ)が5月11日、東京・千代田区のホテルニューオータニで開かれ、出版社、取次、書店など総勢550名が出席。「変化を恐れず、斬新な発想で攻勢に転じる、『忍耐から攻勢へ』をスローガンに掲げる」とする大会声明を採択した。また、長寿者43名(本面掲載)を祝賀し、永年勤続者317名(5面掲載)を表彰した。日書連関係では柴﨑繁副会長が長寿祝賀を受けた。
式典の冒頭、野間省伸大会会長(講談社)は「物流配送問題、紙の出版物の売上減少、電子出版化への対応、取次の再編、書店の減少、出版物への軽減税率適用など様々な問題が山積している。出版界は本年も厳しい状況にあることは間違いない。版元、取次、書店など出版業界の知恵を結集して、制度化した慣習を打破し、新たな発想で出版活動を展開していくことを皆さんとともに確認したい」とあいさつした。
松井清人大会委員長(文藝春秋)は「大会声明は、今こそ全出版人が危機的状況を正面から受け止め、1つになって難局に立ち向かうという、出版復権の思いを込めての決意表明とした」と説明し、大会声明を朗読。拍手で採択した。
義家弘介文部科学副大臣、羽入佐和子国立国会図書館長の祝辞に続き、長寿者代表の石﨑孟氏(マガジンハウス)に鹿谷史明大会副会長(ダイヤモンド社)から寿詞と記念品、永年勤続者代表の星野仙氏(南江堂)に相賀昌宏大会副会長(小学館)から表彰状と記念品が贈られた。
石﨑氏は、「1969年に平凡出版(当時)に入社し、女性誌『anan』から雑誌編集者としてスタートを切った。その後30年は雑誌が最盛期を迎えた黄金時代。日本の文化は雑誌が作り、動かしていた。現在は部数が減少し、往年の勢いがなくなったのは事実だが、出版界を目指す若者の数は変わっていない。憧れを抱かれる業界に身を置く皆さんは好奇心、野次馬根性いっぱいにアンテナを張り巡らせて行動してほしい」とエールを贈った。
星野氏は「若い力と先輩方の技、経験を融合させるのはもちろん、異なった分野の人の話も聞いて新しいコンテンツや手法を考えたい」と謝辞を述べた。
このあと、ノンフィクション作家の石井妙子氏が講演。石井氏は伝説の銀座マダムを題材にしたデビュー作『おそめ』(洋泉社)、昨年新潮ドキュメント賞を受賞した評伝『原節子の真実』(新潮社)の取材・執筆エピソードを語り、「多くのノンフィクション系月刊誌が休刊になり、発表の場が減っている。出版社も厳しいが、著者はさらに厳しい状況。でも、出版社の編集者の能力は新聞やテレビと比べて突出している。それを忘れず、自信をもってほしい」と話した。
【大会声明】
二〇一四年十一月、毎日出版文化賞を受賞した立花隆さんは、当時こう話していました。
「書店は情報発信源であり、発信地である。知恵と情報の宝庫である。書店という空間に一歩足を踏み入れれば、今、世の中で何が起こっているのか、何に注目が集まっているのか、たちどころに分かる。今は我慢のとき。心ある読者は、必ず書店に帰ってくる」。
大変力強いエールでしたが、それから二年半が過ぎた現在、書店はかなりのスピードで数を減らし、全国で一万三千店を割り込むのではないかと懸念されています。
物流をめぐる深刻な危機、軽減税率適用に向けての苦しい闘い、図書館との共存、さらにはネット上にはびこる悪質な違法サイトなど、いま出版界が直面し、急いで解決しなければならない問題は枚挙にいとまがありません。しかも、すべての懸案は、版元独自で対応できるものではなく、版元・取次・書店が一体となって取り組まなければならない難問ばかりです。
何より懸念されるのは、「知恵と情報の供給源」である版元が、出版の将来に不安を抱き、自信や誇りを失いつつあることでしょう。デジタル化の大波に揉まれる中で、われわれ出版人は、その変化のあまりの激しさに、とまどい、揺れ動き、ひたすら対応に追われ、生き残る道を探して彷徨っています。「知恵と情報の発信源」である書店と同様、「知恵と情報の供給源」である版元も大きく揺らいでいるのです。
著作権の第一人者として知られる福井健策弁護士は、出版社には六つの機能がある、と言います。
①「発掘・育成機能」雑誌・書籍などの出版物を通して、書き手を発掘し、育てる。
②「企画・編集機能」出版物の創作をサポートし、時にリードする。
③「ブランド機能」文学賞や雑誌媒体の信用によって、書き手や出版物を紹介、推奨する。
④「プロモーション・マーケティング機能」出版物を宣伝し、様々な販路を通じて展開する。
⑤「投資・金融機能」①から④までにかかる様々なコストとリスクを負担する。
⑥「マネジメント・窓口機能」出版物の二次展開において、窓口や代理を務める。
規模の大小にかかわらず、すべての版元は六つの機能を併せ持っています。すべての出版人は六つの機能のどこかに関わって、出版文化を支えてきました。今こそ、われわれひとり一人がその責任を自覚し、矜持をもって難局に立ち向かわなくてはなりません。
忍耐強く頑張れば、いつかは報われる、そんな「我慢のとき」は、もはや限界に近づきつつありますが、それでも変革の兆しは見え始めています。書店発のベストセラーがいくつか誕生し、取次の提案をうけて版元が新しい商品を開発し、さらには複数の版元がスクラムを組んで、同じ作家の異なる作品の新聞広告を同時に打つといった、読者に出版物を届けるための新しい試みも目につくようになりました。
変化を恐れず、斬新な発想で攻勢に転じる、「忍耐から攻勢へ」をスローガンに掲げ、大会声明を締め括ります。
平成二十九年五月十一日
第五十六回全出版人大会
【長寿祝賀】43名
敬称省略、氏名50音順
赤坂了生(双葉社前専務取締役)
五十嵐隆夫(講談社元顧問)
石﨑孟(マガジンハウス代表取締役社長)
石田卓生(東京書籍元専務取締役)
大澤紀寛(双葉社常務取締役)
大坪嘉春(税務経理協会代表取締役社長)
奥貫清(有斐閣元取締役)
片桐隆雄(マガジンハウス専務取締役)
勝見亮助(日本雑誌協会前専務理事)
苅谷敏宏(有斐閣元取締役)
菊池明郎(筑摩書房元代表取締役社長)
栗原良幸(講談社元顧問)
小立鉦彦(南江堂代表取締役社長)
寿日出男(共立出版顧問)
小林利夫(日本出版販売元常務取締役)
澤畑吉和(春秋社代表取締役社長)
柴﨑繁(日本書店商業組合連合会副会長)
柴田克己(日本出版販売元代表取締役会長)
白土育代(ポプラ社元取締役)
新谷喜代春(中央社元専務取締役)
鈴木暁(日本出版販売元常務取締役)
鈴木純美子(開隆堂出版監査役)
鈴木宣昭(学事出版取締役)
関根邦彦(講談社元顧問)
園田豊美(緑書房元取締役)
髙岡博(大阪屋元常務取締役)
髙田光夫(東京書籍元常務取締役)
高谷安彦(中央本社代表取締役会長)
髙見吉弘(日本出版販売元専務取締役)
田中秀治(福音館書店元専務取締役)
玉木輝一(大修館書店元監査役)
筑紫恒男(建帛社代表取締役会長)
富永悳夫(医学書院元常務取締役)
中川眞一郎(東洋経済新報社元取締役情報化本部長)
服部友彦(淡交社前取締役副社長)
平尾隆弘(文藝春秋元代表取締役社長)
藤原静夫(明治図書出版副社長)
松嶋徹(丸善元常務取締役)
村山光麿(秋田書店常務取締役)
柳田和哉(講談社元顧問)
山口克夫(学事出版取締役)
弓戸庄三(大阪屋元常勤監査役)
横手多仁男(出版文化国際交流会専務理事)
【永年勤続者表彰】(317名)
あかね書房=荻原淳
秋田書店=保谷賢一、松村勇樹、宮崎真紀子
朝倉書店=高橋正樹、小野薫
家の光協会=伊藤博厚、市沢喜雄、柴野豊、木村浩一、平間聡、津田雅人、廣井禎、大村桂、巨海裕司、藤原加奈子
医学書院=佐久間靖行、飯村祐二、湯浅直子、渋谷文子、湯浅大介、金子力丸、小藤美有紀、中嶋愛
医歯薬出版=中橋啓、矢吹陽子、藤本憲明、大西香織
大阪屋栗田=平出水脈子、西楽里恵、今出千絵、太田明美、中根亜樹、矢野創一郎、長束道子、村上広美、以倉啓之、松元秀雄
オーム社=横山宏之、森切哲
偕成社=秋重羊、江口春奈、中田大祐
開隆堂出版=日髙晴陸
学研ホールディングス=高橋俊太郎、成宮靖之、大屋佳子
教育芸術社=永井篤、椚原康夫
教育出版=南舘伸介、中村博之、上田卓、石垣雅彦
共立出版=吉田千春
きんざい=関雅江、大島千穂、隈谷俊一
金の星社=下川征十郎
くもん出版=山内栄一、福田恵美子
佼成出版社=鈴木康修、吉川暢一、大貫良
講談社=富岡広樹、間渕隆、竹光一憲、堀越俊一、折橋洋一、島村理麻、桧山純一、伊藤光、川出賢次、須藤寿恵、伊東剛、佐野洋、石本洋一、高橋典彦、冨田美緒、西川浩史、栗城浩美、関谷将人、井本麻紀、嘉山恭子、山口和人、園部雅一、高附厚、麻生典江、池田雅行、善財康裕、村松英治、山室秀之、吉田健二、宮本敦史、矢作誠、井本公平、森定泉、藤田五郎、藤田康雄、伊香淳一、林桂多、森直也、山口崇、松岡智美、河野仁見、後藤治康、小川淳子、藤枝幹治、鎌倉ひなみ、北岡森生、丸山陽子、酒井理恵、稲葉深愛、根本真樹、濱崎峰夫、新海雅之、福澤直人
光文社=大橋美代子、酒井一登、加藤謙一、宮本修、金森理咲、小島良章、田中省吾、井上智明、江口岳志
三省堂=木村広
実教出版=下枝純子、俵昌樹、吉田優、柳田章子、鎮目康晴
主婦と生活社=有山雄一、三好真、畠堀修、網谷桃子
主婦の友社=黒岩一慶、野上千夏、五月女豊、千葉静也、金沢美由妃、中根庸子
新興出版社啓林館=村沢謙一、湯浅嘉晃
数研出版=橋本忠孝、田中豊
成美堂出版=小泉望
世界文化社=橋本泰子、島津克、竹内伊佐夫、川村慶、山崎浩二
第一学習社=神尾智彦、上野雅志、露﨑康人
大修館書店=尾崎祐介
ダイヤモンド社=谷口和昭、飯村深由樹、山田啓史、渡辺かおり、濱田健太郎、柴田むつみ、小尾拓也、浅島亮子、河野拓郎、尾川賢志
淡交社=森田真示、森川謙三
筑摩書房=坂本誠、澤田明美、北村善洋、佐藤晃子、藤岡泰介、松本良次
チャイルド本社=大橋潤、磯貝雅子、塩畑香奈子、西田晋也、渋谷昭彦、高橋優子、片寄暢穂、山内英夫、蓑島元輝、小島和昭、五十嵐智克、菊池俊克、福田守
中央社=早川和邦、鶴巻登
中央本社=近藤吉範
東京書籍=今吉拓哉、佐々木陽平、種山大輔、中島国太郎、本多克仁、山本浩史、海道力洋、瀧内英夫、森明広、角田圭史、古屋幸浩
東京創元社=森千穂、田中久紀子、渋沢大和
東京法令出版=後藤浩之、樋口義隆、佐藤朋子、臼井繁雄、橋本由香里
トーハン=春口正紀、金子俊之、吉井哲也、野尻泰司、浅香祐二、牧野宏章、渡辺康弘、河本慎司、立川正守、江島房幸
東洋経済新報社=新津尚男、黒坂浩一、市田泰史、宇都宮徹、佐藤敬、藤尾明彦、川崎聡、手塚智幸、松崎泰弘、池田法子
永岡書店=扇田未知彦、宮崎寿子
南江堂=厨川純子、星野仙、枳穀智哉、髙木佳世
日本加除出版=蓜島恵、増田啓一、河野浩子
日本出版販売=小河洋一郎、萬羽励一、石村真一、池田芳雄、落合眞差治、平岡理成、京須真一、池田恭浩、神谷直樹、山森哲郎
日本図書普及=佐藤隆志
日本文教出版=髙橋直樹、山口亮、青木聡、菅野さく郎
日本文芸社=天野憲治、吉村かつら、加藤聡、佐野宣人、清水美希子
農山漁村文化協会=小河健太郎、青田浩明
ひかりのくに=藤田博幸、百田圭吾、初田忠浩、樋口舞子
福音館書店=伊東苗子、佐々木紅
富士経済マネージメント=柴田昌宏、日下部史圭、久下祐亮、中川原明子、佐藤弘明、塩原一平、片岡勝成
双葉社=杉山栄一、手塚祐一、三嶽和也、瓶子大介、三田村優、古井寿一、宮澤震
文英堂=古賀千早、石渡和巳、坂本千春
ぶんか社=杉山和彦、大川裕之
文藝春秋=黒田康輔、竹田聖、八丁康輔
ベレ出版=後藤武志
ポプラ社=右馬埜力也、浦野由美子、山科博司、藍澤曜、小原解子
マガジンハウス=古賀浩介、遠藤訓雄、北脇朝子、池田美樹、黒図武弘、麻坂博史、小川朋央、山口淳、比舗興人、齋藤和義
光村図書出版=宗形美登里、松田明寛、山本耕平、笈木敬志、土屋有希、中山愛
緑書房=池田俊之
明治図書出版=大西祐子、矢口郁雄、大石克也、堺友見
有斐閣=古野智昭、長谷川絵里、安藤裕美
(社名50音順・敬称略)

NR出版会から『書店員の仕事』/書店員59人の「店頭からの声」収録

人文・社会科学書を中心に出版する版元が共同出資して運営する出版団体、NR出版会は、書店向けに発行している情報紙「NR出版会新刊重版情報」に連載した記事をまとめた『書店員の仕事』を刊行した。
同書は、「NR出版会新刊重版情報」の2009年10月号から17年3月号までの約7年半に連載した、書店員59人の寄稿文やインタビュー記事74本を収録したもの。地域に根差した老舗書店の店主や人文・科学書担当をはじめ、全国チェーン店、大学生協、海外の店舗まで、さまざまなタイプの書店で働く書店員が登場し、日々の仕事や棚作りへの思いなど、店頭からの生の声をつづる。第Ⅳ部「東日本大震災特別篇」は、11年の震災発生以降、福島県を始めとする被災各地の書店員からの特別寄稿を収録。震災直後の状況や、様々な困難が重なる中どのように日々の業務に向かったのか、書店員の視点から見つめた被災地の姿が記されている。
■『書店員の仕事』=NR出版会編・発行、新泉社・発売、四六判上製320頁、定価本体1900円。

全国6地域で書店商談会/各商談会実行委員長らが開催概要を説明

2017年に全国各地で開催される書店商談会の合同記者会見が5月17日、東京都千代田区の書店会館で行われ、東京・大阪・北海道・九州・中部・静岡の各商談会実行委員長らが出席して開催概要を説明した。
記者会見には、「書店大商談会」実行委員会・矢幡秀治実行委員長(真光書店)、加藤勤副委員長(ブックスタマ)、「BOOKEXPO2017」実行委員会・洞本昌哉実行委員長(ふたば書房)、「北海道書店大商談会」実行委員会・中尾邦幸実行委員長(マル五中尾書店)、「日本ど真ん中書店会議」実行委員会・水野賢一総合プロデューサー(白沢書店)、「九州選書市2017」実行委員会・長谷川澄男福岡県書店商業組合相談役(ブックイン金進堂)、「静岡書店大商談会」実行委員会・江﨑直利実行委員長(静岡県書店商業組合理事長、江﨑書店)が出席した。
会見の冒頭で、「書店大商談会」発起人の奥村弘志顧問(南天堂書房)が「書店同士で結束しないと、この時代はなかなか乗り切れない。書店が一つになって版元や取次に協力をお願いし、ともに頑張ってほしい」とエールを送った。
第8回「書店大商談会」は10月26日午前11時~午後5時半、東京都文京区・東京ドーム「プリズムホール」で開催する。出展料は3万7800円(税込)。複数ブース出展の場合は2ブース目以降3万2400円(税込)。出展申込は5月22日~6月15日、JPICホームページで受付。目標は出展250ブース、来場書店1000名、商談成立1億円(本体価格)。昨年、別日程で開催した「コミック分科会」については、出展社が確定した後に検討を行う。出展社説明会は7月12日午前10時半から、東京都新宿区の牛込箪笥区民ホールで開催する。
「BOOKEXPO2017秋の陣~響け!書店心~」は11月7日午前10時半~午後6時、大阪市北区・グランフロント大阪で開催する。出展料は3万2400円(税込)。ジャンルの異なる2ブース目以降2万7000円(税込)。出展申込は6月1日~同23日、JPICホームページで受付。目標は出展230ブース、来場書店1100名。今回から副委員長を設け、大垣書店・大垣全央専務、キクヤ図書販売・工藤健一社長、田村書店・田村正良専務が就任した。イベントでは、昨年好評だった「目指せPOP王!西日本POP王決定戦」を今年も実施。児童書コーナーでは、絵本作家tuperatuperaのサイン会を予定する。OSAKABOOKOneProjectや、京都本大賞などの活動をアピールするブースも設ける。
第4回「北海道書店大商談会」は、9月5日午前10時~午後4時、札幌市中央区・札幌パークホテルで開催する。出展料は2万9700円(税込)。出展申込はすでに締め切っている。目標は出展110ブース、来場書店250名程度、商談成立額2500万円以上。イベントでは、昨年初めて行った「北海道ゆかりの本大賞」を、今回は文芸書とコミックの2部門に拡充して実施する。ノミネート作品の選考委員長は、「1万円選書」で知られる岩田徹実行委員(北海道書店商業組合理事、岩田書店)が務める。また、ラッピングやPOPの講習会を開催予定。
中部圏の商談会「日本ど真ん中書店会議~第2回どえりゃあ書店大商談会~」(委員長=春井宏之愛知県書店商業組合理事長、正文館書店)は9月7日午後1時~5時、名古屋市千種区・名古屋市中小企業振興会館「吹上ホール」で開催する。昨年は中日新聞社主催で開催したが、今年は愛知・岐阜・三重の3書店組合の共催で、名称も「日本ど真ん中書店会議」に変更して行う。出展料は3万5000円(税込)。出展社数は最大150ブースを予定。出展社には、中日新聞夕刊にて合同での広告掲載を予定する。イベントでは、中部版の本屋大賞として「日本ど真ん中書店大賞」を計画している。
九州の商談会「九州選書市2017」は、福岡県書店商業組合の主催、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島の各書店組合の後援で9月20日に福岡市中央区・電気ビル共創館で開催。出展社は約110社を予定し、イベント・企画等の内容は検討中。
静岡県の書店による第2回「しぞ~か本の日!書店大商談会」は、12月5日開催予定。県内の書店員と図書館員が最も読んでもらいたい本を投票で選ぶ「静岡書店大賞」の発表・授賞式の開催も予定する。

神奈川発のベストセラー作る/神奈川トーハン会・筒井会長が意欲

神奈川トーハン会は5月9日、横浜市港北区の新横浜プリンスホテルで第46回定例総会を開催した。
第1部は議案審議を行い、すべての議案を原案通り承認可決。役員交代及び選出の件では、石堂邦彦監査(石堂書店)が退任し、天野潔幹事(弘集堂本店)が監査に就任。岩崎圭子氏(湘南台文華堂)が新幹事に就いた。
第2部であいさつした筒井正博会長(伊勢治書店)は、会員書店の販売力向上のため、今秋スタートする共通ポイントやTONETSVといったトーハンの施策を活用し、トーハンと一緒にリアル書店の魅力作りと売上アップに取り組む考えを示した。
また、昨年度の全国トーハン会プレミアムセールで神奈川トーハン会は年間総合27位だったと報告。上位入賞しているトーハン会の活動を紹介し、「勉強会などを行い、1つひとつ泥臭くやらないと売上は作れない。今年は会をあげて全力で取り組む」と上位入賞を目指す決意を語った。
さらに、「選定商品ではないものの中から、神奈川発のベストセラーを作りたい。青年部を中心に取り組む」と述べた。
トーハンの森岡憲司取締役首都圏支社長は、書店に客を呼び込み、リアルの魅力をアピールするための重点施策を説明。危機的状況にある輸配送問題では、業界の枠を超えて正面から取り組んでいるとした。
第3部は商談会・名刺交換会を開催し、出版社63社が会員書店16店と交流した。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・斎藤一郎

年を取るにつれて外見の差は大きくなる。若く見えるのには、相応の理由が確実にあるのだ。
石原結實著『老いるほど若く見える健康法』(KKロングセラーズ1000円)は、生姜紅茶でお馴染みの人気医師が語る若さを保つ法である。
同じ身長、体重の人でも、年を取っているか若いかはその立居振舞ですぐにわかってしまう。若い人が柔らかく敏捷なのに対し、老人は硬く、鈍重である。原動力は筋肉、というので第一章は筋肉を強くする。第二章は食を正す。三章は心を前向きに、と続いている。
大食は体に悪いのだが今の若者は空腹の経験もない。腹八分に病なしの格言通り、1日にせめて1食抜くことを勧める。
老化進行チェックリストの設問が32項付いているので試してみたい。
近藤誠著『健康診断は受けてはいけない』(文春新書740円)は、検診を受けたら健康になるとか、寿命がのびるというデータがないからにほかならない、と説く。
検査をきっかけに医師が登場するのを医療介入というが、実際に生活習慣病などで治療を受けた人と受けない人を比較すると、15年の調査結果では、死亡総数は圧倒的に医療介入群の人が多かったのである。
過剰な医療に警鐘を鳴らす1冊。

椎名誠氏の講演会6月28日に開催/新潟組合とJPIC

新潟県書店商業組合(西村俊男理事長)と出版文化産業振興財団(JPIC、肥田美代子理事長)は、6月28日午後3時から新潟市中央区の新潟市民プラザで、作家・椎名誠氏の講演会「わが人生で最高の旅、最悪の旅」を開催する。サイン会も行う。新潟日報社が後援。入場無料。抽選で500名を招待。応募・問い合わせは新潟県書店商業組合(文信堂書店内)まで。℡025―243―3707

「在庫見える化」と「出荷確約」目指しネットワーク構築進める/日販懇話会で平林社長が方針示す

日販は5月16日、東京・文京区の東京ドームホテルで2017年度日販懇話会を開き、取引書店、出版社、日販関係者など481名が出席。平林彰社長は、書店、出版社、日販の在庫の連携を進め、在庫の「見える化」と出荷の「確約」を目指す考えを示した。
冒頭、あいさつに立った平林彰社長は輸配送問題に触れ、CVS1店舗1日当たりの運賃は、10年前の1028円から16年は558円、取引高は1万7669円から6954円に減少。書店ルートの運賃は5712円から4783円、取引高は29万7393円から24万3730円に減少したと報告し、「ドライバー不足に加え、運送会社の運賃収入減少が大きく影響している」と指摘。「出版業界が右肩上がりだった時代の『大量生産、大量販売』の構造から『1冊を丁寧に売る』ことができる構造を目指す。セグメント化されたコンセプトショップが採算上成り立つような、販売に手間暇かけられる利益構造に変えたい。少部数・小ロットでも採算が成り立つ物流が必要。出版産業の変革は待ったなしの状況にある」と強調した。
そして、日販が目指すSCMのキーワードは「見える化」「確約」として、「書店、出版社、日販の在庫をネットワークで1つにつなぎ、見える在庫を確約して出荷することを目指す。今年7月から出版社の在庫との連携を順次拡大し、出版社の在庫を『見える化』し、出荷を『確約』してもらうのが理想。さらにリアルタイムで引き当てができるようにしたい。12月には王子流通センターとweb―Bookセンターを統合する。出版社は納品先が1つになり、銘柄単位の発注・返品も一元化する。書店に対しては、センター間の商品の移動がなくなり、出荷のリードタイムが短縮する効果がある」と方針を説明した。
続いて、マーケティング本部の中西淳一本部長が「『本』業で取り組むinnovation」と題してプレゼンテーション。「本だけでは食べていけない時代。本を取り巻くすべてのものを取り扱う。しかし、本を諦めてはいない」として、Profit企画銘柄の拡大、時限再販銘柄の拡大と常態化、満数出荷の取り組みなど、書店収益改善のための施策を説明した。
商品開発部の安井邦好部長は「aroundBooks~来店動機をつくる~」と題して、文具や地方発の商材の展開、特定商品を軸とした検定やイベントの事例を紹介した。
CRM推進部の宮崎聡部長は「人と本をつなぐ新しい個客体験」と題して、5月にリリースしたスマホアプリ「ほんらぶ」、5月にデジタルハリウッドと共催した「書店体験を変えるIoTプロダクトHACKATHON」を説明した。
この後、日本サッカー協会最高顧問の川淵三郎氏が「夢があるから強くなる」と題して記念講演した。

日販「モノ情報誌いま得キャンペーン」/6誌7点に時限再販適用

日販は出版社6社の協力のもと、雑誌時限再販企画「モノ情報誌いま得キャンペーン」を6月1日より取引先書店1024店で実施する。
昨夏に実施した雑誌売り伸ばしフェア「夏トクキャンペーン」で売行きが良かった「モノ」を扱う情報誌6誌7点に時限再販を適用。夏のショッピングの参考になる雑誌でお得感を演出し、集客と売上増を図る。対象誌は以下の通り。
5月2日発売=「特選街6月号」(マキノ出版)
5月6日発売=「GoodsPress6月号」(徳間書店)
5月16日発売=「Begin7月号」(世界文化社)、「DIME7月号」(小学館)、「モノ・マガジン6月2日号」(ワールドフォトプレス)
5月24日発売=「GetNavi7月号」(学研プラス)
6月2日号=「モノ・マガジン6月16日号」(ワールドフォトプレス)