全国書店新聞
             

平成25年4月1日号

ネット書店に負けないリアル書店の活性化事業/日書連近畿ブロック会が講演会/日本出版インフラセンター専務理事・永井祥一氏

日書連近畿ブロック会(面屋龍延会長=大阪府書店商業組合理事長)は2月6日、大阪市北区の大阪駅前第三ビル会議室で講演会を開き、日本出版インフラセンター(JPO)の永井祥一専務理事・事務局長が、経済産業省委託事業「フューチャー・ブックストア・フォーラム」(FBF)第2期事業のテーマである「ネット書店に負けないリアル書店の活性化事業」を演題に、客注品の迅速配送などFBFの取り組みについて話した。講演会には近畿各府県の書店など約70名が出席した。講演の概要を紹介する。
〔ハンディ負うリアル書店/客注のスピードに決定的な差〕
書店があり、取次があり、出版社があるという今の状態が2年も3年も続くとは誰も思っていないことを正直に認め、覚悟を持たなければならない。
グーグル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフト、アップルは各企業の頭文字をとってGAFMA(ガフマ)と呼ばれている。このガフマとどのように付き合うかがこれからの世界の出版社の経営者にとって共通した課題だということを講談社の野間社長が紹介していた。これはアメリカだけの話ではない。日本にも外資の力が入ってきた。日本の今までのルールがなかなか思い通りにならない状態になってきた。そうしたことに対して出版社も書店も危機感を持たなければいけない。
危機感を持たないところはそのまま消えていく。だからといって手を打っても生き残れる保証はない。何でもいいからとにかくやってみよう。変えてみよう。そうしなければ消えていく。それだけははっきりしている。
FBFを立ち上げたきっかけは、リアル書店の減少を食い止めなければならないと思ったこと。また、外資のネット書店にリアル書店が客を取られている。この実態を正確に見て、ではどうやったら取られないで済むかというところまで持っていきたいと考えた。
FBF第1期事業の報告書で顧客アンケートをやった。常連店を持っている客は88%いることがわかった。本好きの人だけからとったアンケートではない。通りすがりの人も含めた全国平均の数字だ。自分はここの店で買うんだという常連店を持っている客がこれだけいることには非常に驚いた。
リアル書店は客をつかんでいるという自負を持っていると思う。これはデータでも裏付けられている。一方、ネット書店も客をつかんでいる。メールを使ってレコメンドしている。
では、リアル書店とネット書店の一番大きな違いは何か。客注のスピードが決定的に違う。最初からスタートラインが違っていて、これから100メートル競走をやろうと思っているのに、ネット書店はすでに90メートル先にいて、リアル書店はゼロから。これで「ヨーイ、ドン」でやっても勝てるわけがない。リアル書店が不満を持つのは当然だ。このハンディを埋めなければ、リアル書店はいい様にやられてしまう。リアル書店を活性化するにはスタートラインを同じにするための出版業界のインフラ整備が必要だ。
FBFの第1期事業では「客注商品の配送時間の短縮」の課題が見えた。第2期事業では「ネット書店に負けないリアル書店の活性化」を全体目標に掲げ、「客注商品の迅速配送研究」「書店ブランドを活かした新ビジネスモデル研究」「リアル書店の新業態研究」の3つのワーキンググループ(WG)で実証実験を行っている。
「書店ブランドを活かした新ビジネスモデル研究WG」では、全国の書店8法人が参加し、楽天のネット書店が持つ在庫と配送システムを活用し、客注品を配送する実証実験を2月いっぱいまで行っている。
トーハン、日販、大阪屋はそれぞれ客注専用特急便を持っている。取次3社は「楽天に負けないぞ」と、「客注商品の迅速配送研究WG」で業界横断的な客注品迅速配送の特急便の実証実験を行っている。
我々が待っていたのはこれだ。ライバルが存在することが一番大きい。競争があるから初めて進歩する。
危機感が物事を動かす。仮に楽天が取次事業に参入してきた場合、既存の取次は「冗談じゃない」となる。取次の危機感が今回の客注迅速配送の実証実験につながった。「自分たちだって出来るんだ」と。楽天との取り組みを発表したときは批判も多かったが、これがあったからこそ取次も動き出したと言えるのではないか。そうした意味で非常に大きなインパクトがあったと思っている。

【面屋ブロック会長の開会あいさつ】
2000年11月にアマゾンが日本に上陸してきた。昨年はキンドルが発売され、もはや紀伊國屋書店を超えて日本一の書店になったと言われている。この間、日本の取次も「ブックライナー」「QuickBook」「ぶっくる便」といった様々な取り組みをしてきたが、いかんせんまだ経費がかかっているということで、なかなか街の書店がそのシステムに乗れない。アマゾンにもう負けてしまうという状況が続いている。今や大書店の注文もアマゾンが取っていくということになってきている。そこで「明日注文品が着く」というシステムを、街の本屋がアマゾンに負けないスピードとマージン率でどうしたらできるのか、JPOが実験している。その結果を本日発表してもらい、業界が一体となって、街の本屋とともに、下がっている売上をどういうふうに上げていくのか学ぶ勉強会を行いたい。

サン・ジョルディ名古屋、4月20日・21日に

第28回目となる「サン・ジョルディフェスティバル名古屋」が4月20日(土)、21日(日)の両日、愛知県名古屋市東区のオアシス21銀河の広場で開催される。今年も東日本大震災復興支援のためリサイクル本のチャリティ販売を行う。このほか絵本作家の読み聞かせや人気絵本の原画展など様々なイベントが行われる。

出版物に軽減税率適用求める/日書連など出版4団体が共同声明

書協、雑協、取協、日書連の出版4団体は3月8日付で、出版物への軽減税率の適用を求める共同声明を公表した。声明文は以下の通り。
すべての国民が、書籍・雑誌・新聞等の出版物に広く平等に触れる機会を持つことは、民主主義の健全な発展と国民の知的生活の向上にとって不可欠であります。これは、生活必需品や医療等、国民の健康で文化的な生活を支える商品やサービスにも相当する重要性を持つものです。そのために、これらにかかる消費税については、軽減税率の適用によって少しでも国民の負担を軽くしていくことが必要です。
欧州では、いち早く付加価値税での軽減税率を導入しており、書籍・雑誌に対する税率は、イギリスは標準税率20%に対してゼロ税率、ドイツは標準税率19%に対して7%、フランスは標準税率19・6%に対して書籍(電子書籍を含む)5・5%雑誌2・1%、スウェーデンは標準税率25%に対して6%となっております。EU各国は、特に2007年からは「産業の保護」「文化政策」という目的に限って軽減税率を適用しており、とりわけ「文化政策」においては文化保護や国民への教養機会の提供という観点から、文化関連の財・サービスの価格を低く抑えることを目的としています。
わが国では、2005年7月に「文化・活字文化振興法」が制定され、すべての国民が等しく豊かな文字・活字文化の恵沢を享受できる環境整備を国及び地方公共団体の責務として、関係機関及び民間団体等と連携、総合的な施策を策定し実施することとしており、また、学術的出版物の普及について、国が出版の支援その他の必要な施策を講ずることとしています。さらに、2010年の「国民読書年」を契機として、文字・活字文化の重要性が全国的レベルで訴えられ多様な読書推進運動が展開されています。
国民の出版物に接する機会を少しでも増やすためにも、書籍・雑誌・新聞(電子媒体を含む)への軽減税率の適用が行われ、読書習慣の充実を図っていかなければなりません。特に、所得に対する逆進性を持つ消費税増税によって最も影響を受けるのは青少年層であります。わが国の将来を担うべき青少年の国語力低下が指摘されている現状にあって、消費税増税が子ども達の読書に親しむ機会を損ないかねないことを懸念いたします。

「たくさん読んで大きくなあれ」/第55回こどもの読書週間

第55回「こどもの読書週間」(読書推進運動協議会主催)が4月23日から5月12日まで、「子どもの読書の日」(4月23日)から「子どもの日」(5月5日)を間にはさんだ20日間の日程で実施される。
今年の標語は「たくさん読んで大きくなあれ」。読進協は実施にあたり、全国の公共図書館、小中高等学校図書館、書店、マスコミ機関などにポスター(写真・上)や広報文書を配布してPR。読書週間の趣旨を示すマーク(写真・下)を作成し、期間中またはその前後を通じて各社が発行する雑誌・新聞・広報紙誌などに使用するよう呼び掛ける。
また、都道府県の読進協、関係各団体の協力を得て、以下の各種行事の実施を推進する。
▽公共図書館、公民館、小中高等学校の学校図書館で「こどもの読書研究会」「こども読書のつどい」「親と子の読書会」「大人によるこどもの本研究会」「こどもの読書相談」「児童図書展示会」「児童文学作家による講演会」「児童図書出版社との懇談会」などの開催。「読書感想文・感想画コンクール」の実施
▽都道府県の読進協による都道府県単位の「こども読書大会」などの開催
▽出版社・新聞社・放送局・文化団体などによる被災害地域、児童養護施設・矯正施設などへの「図書・雑誌の寄贈運動」の実施

家の光読書エッセイ賞が決定

家の光協会が主催する第12回「家の光読書エッセイ」は国内外から876編の応募があり、家の光読書エッセイ賞に福岡県・米澤泰子さんの『午前三時の“読書会”』が選ばれた。『家の光』平成25年4月号等で結果発表。同賞は日書連などが後援している。

雑協「雑誌愛読月間」/イメージキャラクターに能年玲奈さん

雑協が主催する雑誌愛読月間(7月21日~8月20日)の今年のイメージキャラクターは能年玲奈(のうねん・れな)さんに決まった。
能年さんはローティーン向けファッション雑誌「ニコラ」のモデル出身の女優。19歳。2013年前期のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』のヒロイン・天野アキ役を務める。
今年で15年目を迎える雑誌愛読月間では、年間定期購読キャンペーンをはじめ取次、電子書店と連携して紙とデジタルのハイブリッド展開を軸にプロモーションを行う予定。

電子書籍時代、地方書店の対応学ぶ/青森組合研修会

青森県書店商業組合(成田耕造理事長)は2月22日、青森市のアラスカ会館で、青森県中小企業団体中央会と共催で研修会を開き、25名が参加した。
第一部は、新文化通信社の丸島基和社長が「これからの地方書店の生き残り策を考える」をテーマに講演し、2012年出版業界の10大ニュース、資本業務提携、協業化、新商材、計画販売、電子書籍など書店業界の流れ、アクティブな書店11店の実例を紹介した。
第二部は、日書連電子書籍対応部会の鶴谷祿郎部会長が「電子書籍の時代を迎えて、地方の中小書店の対応策は」と題して講演。日書連が取り組んでいる書店店頭での電子書籍販売事業について「紙であれ電子であれ本は書店が読者に責任をもって届ける。電子書籍を地方の中小書店の救済策にしたい」と述べた。
(伊藤篤広報委員)

店頭で防犯キャンペーン/府警と損保協会のしおり配布/大阪組合

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は2月1日、大阪組合会議室で定例理事会を開催した。主な審議事項は以下の通り。
〔出版販売倫理委員会〕
大阪府警と日本損害保険協会・近畿支部から防犯活動のため書店組合に協力要請があり、「しおり」20万枚を作成してくれた。組合加入書店に配布し、北区の書店店頭でキャンペーンを行った。
〔読書推進委員会〕
摂津市版「2012第8回本の帯創作コンクール」作品展示会を行いたいと摂津市教育委員会生涯学習部から申し出があった。3月5日~17日に市民図書館、3月19日~31日に鳥飼図書センターで上位賞と地元市長賞他の作品パネル12枚を貸し出して展示。
〔レディース委員会〕
1月23日、大阪市北区のウェスティンホテル大阪で、書店の奥様と女子従業員を労うレディースランチの会を開き、46名が参加。和やかな雰囲気の中、ランチを楽しんだ。今後の参考にするため、参加者全員にアンケートを出すことにした。
〔事業増売委員会〕
第3商材として、玩具安全基準に基づく検査を合格した“なめても安心!日本製!”を謳った『プリモモくれよん』、『フリスク』お徳用を紹介した。
〔情報化IT委員会〕
日書連近畿ブロック会で情報化委員会を開催し、MARCについて意見交換したいとの意向が示された。
〔庶務報告〕
日書連近畿ブロック会は2月6日、大阪駅前第三ビル17階会議室で講演会を開催。日本出版センター専務理事・事務局長の永井祥二氏が「ネット書店に負けないリアル書店の活性化事業」を演題に講演した。京都組合15名、兵庫組合12名、滋賀組合5名、和歌山組合4名、奈良組合2名、大阪組合23名、取次7名、業界紙2名、合計70名が参加。いま一番関心のある話題だったため盛況だった。
(金田喜徳郎事務局長)

震災被害乗り越え大船渡店オープン/岩手県・みなとや書店

東日本大震災により、5店舗のうち4店舗を津波で失った岩手県大船渡市のみなとや書店(佐藤勝也社長)が、2月1日に本店となる「ブックボーイ大船渡店」をオープンした。
みなとや書店は、大船渡店、大槌店、サンリア店、マイヤ本店、AtoZマスト店の5店舗を展開していたが、このうちサンリア店を除く4店舗が津波により全壊、商品も全て流失した。家族と従業員は無事だったものの、佐藤社長の自宅も大きな被害に遭った。サンリア店は商品落下の被害に止まり、2011年4月1日に再オープン。同年12月に、仮店舗としてブックボーイ茶屋前店を沿岸部の商業施設「夢商店街」の一角にオープンした。
2月1日に開店したブックボーイ大船渡店は、書籍・雑誌120坪、文具25坪、CD5坪。当日は、店の再開を待ちわびていた住民が、本を求めてレジに長い行列を作った(写真)。取引先の日販からは、古屋文明社長、大久保元博取締役東部支社長、萬羽励一東北支店長らが訪れてオープンを祝った。
佐藤社長は「オープンできたのも皆さんのおかげです。うちが先駆けとなって地域の人たちの励みになれば大変うれしい。今後は支援いただいた多くの方々や地域の皆さんに、ブックボーイに来たらいい本がたくさんあったと喜んでもらえる店づくりが私の使命だと思っています」と話した。

公取委員長に杉本氏

公正取引委員会は3月5日、元財務事務次官の杉本和行委員長が同日付で就任したと発表した。任期は5年。竹島一彦前委員長が昨年9月に退任してから空席期間が約5ヵ月におよび、戦後最長となっていた。

書協が武雄市長に質問書/CCCの市図書館運営問題で

日本書籍出版協会(相賀昌宏理事長)は、佐賀県武雄市が進める市図書館のリニューアル計画で、指定管理者として運営をカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に委託する件について、3月4日付で樋渡啓祐市長宛に「武雄市図書館に関する質問書」を送付した。
書協の質問書は、①指定管理事業者であるCCCが書店を併営する件、②T―Pointカードを貸出カードと併用する件――の2点について懸念を示し、回答を求めたもの。
質問①では、CCCが公共施設である図書館内のテナントとして書店を運営することを認めたことに関し、地元書店にも公募の機会を与えたのか、その決定プロセスを質問。「図書館運営の委託と、図書館スペースを民間業者に賃貸して書店や喫茶店等の営業を認めることとは全く別事項であり、CCCが図書館業務を受託したことで、書店併営が自動的に認められるということがあるとしたら、それは適切ではない」と指摘している。
質問②では、CCCのT―Pointカードを貸出カードとして利用することについて、図書館での貸出によって付与されたポイントが、全国の同カード加盟店で商品の購買に利用できることから、「図書館という公的業務を利用して、一民間業者であるCCCへの割引販売による利益誘導を行っているとの見方も可能」と指摘。これは、著作権法第38条第4項に定められた、非営利無償の貸与の範囲を逸脱するのではないかと疑問を呈している。
〔武雄市は書協の懸念を否定する回答〕
この質問書に対し、武雄市は3月8日付で回答書を公表。これによると、質問①については、「公共施設である図書館内のスペースをテナントとして書店を運営することに関しては、新図書館構想を実現するために必要な要件」「武雄市においては、従来このような公的施設の使用許可に、公募方式は採用していない」と回答。
質問②については、「CCCへの割引販売による利益誘導ではない」とし、「利用者が借りる際、著作物1冊ずつにそれぞれポイントを付与するのではなく、利用者が自動貸出機を利用したときのみ『窓口業務の省力化に協力していただいた意味合い』で一日に1回ポイントを付与するもの」であり、「非営利無償の貸与の範囲を逸脱するのではないかという指摘には当たらない」と回答している。

GW期間中に「上野の森親子フェスタ」

出版文化産業振興財団(JPIC)と子どもの読書推進会議が共催する第14回「上野の森親子フェスタ」が、ゴールデンウィーク期間中の5月3日~5日午前10時から午後5時まで、東京・台東区の上野公園中央噴水池広場を中心に開催される。
子どものためのチャリティ・ブック・フェスティバルは中央噴水池広場で開催され、絵本や児童書など約4万冊を読者謝恩価格で販売。収益は、東日本大震災被災地の子どもの読書活動の支援費に充当する。講談社協力による「全国訪問おはなし隊in上野公園」が絵本の読み聞かせや紙芝居を行うほか、会場内のイベントテントにて、読み聞かせやおはなし会を随時開催する。また、絵本作家のサイン会も行われる。
東京都美術館講堂と東京国立博物館平成館大講堂では、絵本や読み聞かせ関連の公演・講演会を開催。5月3日は児童文学作家・画家のあんびるやすこさんの講演会、作家の石崎洋司さんと池田美代子さんによる対談、5日には、ミュージシャン&マジシャンの大友剛さんによるライブと、絵本作家・たかいよしかずさんの講演会を行う。

生活実用書/注目的新刊

酒も煙草も最近はすっかり悪役である。確かに健康を害し、マナーに問題もある。しかし、酒だけは百薬の長などという言葉もあるように、少し言い訳が立ちそうである。
戸部廣康著『ビールは、本当は体にいいんです!』(角川SSC新書179760円)は、ビール党が思わず身を乗り出しそうなタイトル。著者は応用微生物学、天然有機物科学、遺伝子工学などが専門の農学博士。
ポリフェノールの抗酸化作用が注目されて、現在は健康のために赤ワインを飲む人が増えたが、ビールのホップにも赤ワインに負けないくらいの抗酸化作用があるという。昔から西欧では健胃、鎮静、不眠症に効果があるとして使われてきたビールに欠かせないホップは、世界で最も愛用されている薬草なのである。
苦みや香りの元になる物質の中にあるルプリンには女性ホルモンに似たフムロンという物質があり、骨粗鬆症の予防になるのがわかってきた。
アルツハイマー病に関しても、ホップ成分のイソフムロンをブタの脳細胞に投与し、細胞死を止める実験結果を得られたのである。残念ながらまだ解明する段階なのだが、近い将来に期待できそうだ。
白髪防止剤として、実際に資生堂から「フェンテ」という名で商品化されているし、放射能防護にも効果が認められている。ただし、一日500ミリリットルで健康に!とあるので、酒好きの人にとっては微妙な量かもしれない。
中谷和夫著『ビールを極める』(双葉新書032838円)は、「ザ・プレミアム・モルツ」や発泡酒を手がけてきた著者が、ビールの歴史、基礎知識から製法、うまい飲み方までをつぶさに語る。
①きれいなグラス②勢いよくグラスの半分強ほど注ぎ、1分待つ③グラスを傾け、ゆっくり注ぐ④ビール対泡の比率が7対3が理想と、これが家庭でもおいしく飲む秘訣。
古代から造られてきた自然発酵ビール、古い歴史の上面発酵ビール、そして世界の大半は下面発酵ビールで、日本の99%も同一種である。
一番麦汁とは?ラガー、ドライ、生ビールの違いとは?など、豆知識も豊富に掲載。
本書でもミネラル、アミノ酸を多く含むビールは、総合健康食品と言い切っている。とりあえずビールで乾杯だ!
(遊友出版・斎藤一郎)

コミック市場、3・5%減の3766億円/『出版月報』コミックレポート

出版科学研究所発行の『出版月報』2月号は「コミック市場2012」を特集。これによると、昨年のコミックス(単行本)、コミック誌を合わせた推定販売金額は前年比3・5%減の3766億円で、11年連続の前年割れになった。同レポートからコミック市場の動向を紹介する。
〔単行本販売額は20年前の水準〕
コミックスの推定販売金額は前年比2・3%減の2202億円。推定販売部数は同3・6%減の4億3584万冊で、金額・部数ともに2年連続のマイナスだった。
10年、11年は『ONEPIECE』が驚異的なヒットを飛ばし、12年はその反動で大幅減が予想されたが、『銀の匙』『暗殺教室』などのヒット作品の登場や、スクウェア・エニックスを中心としたアニメ化作品・Webマガジン発の売行き良好作品などに支えられ、比較的小幅な減少にとどまった。しかし、新たな人気作品は誕生しているものの、販売金額は20年前の水準に戻っている。また、『エア・ギア』『範馬刃牙』など多くの長期連載人気作が完結し、その他の長尺物の既刊も売行きが鈍化するなど、不安要素も多くみられたと出版科学研究所は指摘している。
平均価格は前年比6円(同1・2%)増の504円。講談社が12月から「週刊少年マガジンKC」を10円アップさせる定価改定を行った。返品率は同1・0ポイント増の28・1%と2年連続増加した。
新刊点数は前年より335点増加して1万2356点。100点以上の大幅増は4年ぶりとなった。雑誌扱いコミックスのみでは同248点増加の9376点と2年連続で大きく点数を伸ばした。書籍扱いコミックスは同87点増の2980点とプラスに転じた。ライトノベル、アニメのコミカライズ、スピンオフが前年に引き続き増加している。
コミック文庫は、推定販売金額が前年比4・9%減の64億円、推定販売部数が同5・4%減の957万冊となり、部数は1千万冊の大台を割った。新刊点数は前年より84点少ない446点で5年連続の減少。『るろうに剣心』『ヒカルの碁』など90年代末の作品の文庫化が目立っている。
廉価軽装版の推定販売金額は前年比1・4%減の216億円。推定販売部数は同2・4%減の4560万冊となった。新刊点数は同5・7%減の1402点と2年ぶりのマイナス。めぼしい有名作はあらかた廉価版になっており、コンテンツ不足が深刻になっている。
〔コミック誌、17年連続マイナス〕
コミック誌の推定販売金額は前年比5・2%減の1564億円。推定販売部数は同6・4%減の4億8303億冊と5億冊を切り、17年連続のマイナスになった。月刊誌・週刊誌別にみると、販売金額は月刊誌が同5・3%減の769億円、週刊誌が同5・2%減の795億円で、月刊誌・週刊誌ともに800億円を割った。販売部数は月刊誌が同7・4%減の1億7765万冊、週刊誌が同5・8%減の3億538万冊。
販売金額を読者対象別にみると、子ども向けは前年比3・1%減の778億円、大人向けは同6・5%減の786億円と大人向けの落ち込み幅が大きかった。大人はコミック誌を読む習慣がなくなり、スマートフォンのゲームなど他の娯楽を楽しむようになったとみられる。
推定発行金額は前年比3・2%減の2358億円、推定発行部数は同4・8%減の6億8924万冊となり、販売不振による部数の引き締めが続いている。部数を月刊誌・週刊誌別にみると、月刊誌は同4・5%減の2億9556万冊、週刊誌は同5・1%減の3億9369万冊。
月刊誌では、『コロコロコミック』が類誌との競合激化で60万部台前半まで部数が減少。大人向けでは高齢向けの雑誌は部数を伸ばしたものの、それ以外の雑誌は軒並み部数を落とした。週刊誌の少年向けで、かろうじて前年並みを保っているのは『週刊少年ジャンプ』のみ。青年向けの週刊誌はいずれも厳しく、部数が減少している。
平均価格は前年比6円(1・8%)アップの342円。内訳は月刊誌が同10円(2・4%)アップの442円、週刊誌は同2円(0・8%)アップの267円。『りぼん』が定価を20円アップさせるなど、コミック誌も価格を上げて販売不振を補おうとする傾向にある。
12年12月末時点での月刊誌・週刊誌を合わせた発行銘柄数は前年より7点減の288点となった。創刊誌は前年より6点少ない9点、休刊誌は同4点多い14点で、休刊点数が創刊点数を上回った。個性的な増刊・別冊が今年も刊行されており、不定期誌を才能発掘の場とすることも多くなっている。
〔読者に作品を伝える工夫を〕
推定販売金額におけるコミックスとコミック誌の比率は58・5対41・5となり、その差は17・0ポイントまで広がった。「雑誌で連載を追いかけるより、単行本でまとめて読む」という読者の志向が一段と進んでいる。
読者と作品が出会う最大の場であったコミック雑誌が凋落している現在、新たな出会いのきっかけを創造していく必要がある。書店の限られたスペースの中で、とにかく読者に第1巻を手に取ってもらえる工夫を考えることが重要になる。
一方、無料Webマガジンやスマートフォンによる電子コミックが伸長し、紙媒体とは異なる形で活気を見せている。「読者と作品の最適な出会いの形は何か、を第一義に考え、従来の形式にこだわらないコンテンツ配信の方法を模索する必要がある」と出版科学研究所はまとめている。

芥川賞・直木賞贈呈式

第148回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の贈呈式が2月22日、東京・千代田区の東京會舘で開かれ、芥川賞の黒田夏子氏(受賞作『abさんご』早稲田文学5号)と、直木賞の朝井リョウ氏(同『何者』新潮社)、安部龍太郎氏(同『等伯』日本経済新聞出版社)に賞が贈られた。
受賞者あいさつで、史上最年長の受賞者となった75歳の黒田氏は「長い間、身近な人からも、何をしているかよくわからない老人と思われてきたが、その居心地の悪さから少し解放された気がする。ありのままの自分で、今まで通りの足取りで歩き続けたい」と喜びを語った。初の平成生まれの受賞者で、男性受賞者としては最年少の23歳の朝井氏は「文章を書くことで自分の居場所を作っていきたい。複雑な世界に生きる人間を暴いていく気持ちで書いていく」と抱負を述べた。安部氏は「受賞は等伯がもたらしてくれた。向き合うことで、作家としての力量を引き上げてくれた。ぎらぎらした気持ちをを持ち続けたい」と話した。

『旬の食材』計画販売で発売/実績ある実用書、再編集して/講談社

講談社は書店に通常より多いマージンを設定し収益改善に貢献するため、計画販売企画『からだにやさしい旬の食材野菜の本』を5月中旬に発売する。
同書は2004年に刊行した「旬の食材」シリーズ『春・夏の野菜』『秋・冬の野菜』の判型をA4判からB5判にコンパクトにし、再編集して1巻にまとめたもの。売りやすい実用書ジャンルから実績のある書目を選び、再編集により定価を抑え、長く売れる内容と形態を目指した。
特徴は①手に入る野菜470種を収録②事典機能をベースにし、実用性をプラス③野菜に関する最新の栄養・効能・健康関連記事を充実④食品の品質や安全性の問題をクローズアップ⑤話題性の高い料理を掲載。類書中最大級となる野菜470種、料理150点を収録している。定価本体1300円。B5判、薄表紙、カバー掛け。256ページ(カラー224ページ・一色32ページ)。
販売条件は、初回出荷が書店仕入正味65%、返品正味45%入帳。以降の追加注文は書店仕入正味70%、返品正味45%。ロングセラーを目指すなか、初回から展開する書店への優遇措置として、初回出荷条件を設定した。刊行までのスケジュールは、4月19日=書店初回注文締切、4月30日=配本指定データ確定、5月中旬=搬入発売。
講談社の計画販売企画は、06年の『窓ぎわのトットちゃん』新装版(日書連との共同企画・販売)、09年の『CDえほんまんが日本昔ばなし第1集』、10年の『同第2集』以来となる。
同社は「書店の収益改善につながり、安心して長期間販売してもらえることを目指した企画。大成功させてシリーズ化を実現し、書店店頭の活性化と収益の向上に貢献できるよう育てていきたい」としている。今年10月には第2弾として『魚の本』の発売を予定しているという。

減収、営業損失を計上/雑誌とライツビジネス強化へ/講談社決算

講談社は2月22日、東京・文京区の本社で株主総会と取締役会を開催。総会終了後に記者会見を開き、第74期(平成23年12月1日~24年11月30日)決算概況と役員人事を発表した。
売上高は1178億7100万円(前年比3・3%減)となった。内訳は、雑誌が721億8300万円(同3・5%減)で、このうち雑誌189億400万円(同8・9%減)、コミック532億7900万円(同1・5%減)。書籍は246億8100万円(同11・6%減)。広告収入は84億9000万円(同4・1%増)で、このうち雑誌84億3700万円(同3・9%増)、その他5300万円(同38・0%増)。その他は94億9100万円(同12・8%増)で、このうちライツ58億円(同9・4%増)、デジタル27億円(同28・6%増)。不動産収入は30億2400万円(同16・5%増)。
利益面では、雑誌編成の見直しや直接製造費・編集費の削減により製造原価の圧縮、在庫の削減により流通費の抑制に努めたが、売上率の低下によるマイナスを吸収できず、営業損失6億7800万円を計上。不動産売却益や受取利息配当金等を含めた経常利益は10億6700万円、税引前当期純利益は27億1100万円(同273・5%増)、当期純利益は15億5000万円(同844・8%増)となった。
今期目標は売上高1183億円(同0・4%増)とし、このうち雑誌は同0・2%減の720億円、書籍は前期と同じ246億円。
会見で、野間省伸社長は「12年度は本業の指針となる営業損益は赤字を計上。11年度は黒字だったが、1年で元の黙阿弥になってしまった。13年度は重要な1年になる。雑誌とライツを連動させ、雑誌の強化を図る。広告、ライツ、デジタル、海外の各ビジネスを連動して展開する」と述べた。(役員人事は次号掲載)

販売目標は54億円/同行巡回・自主販売/児童図書十社の会

結成39年目の児童書販売促進グループ「児童図書十社の会」は4月1日から13年度の公共図書館・学校図書館への同行巡回販売・書店自主販売をスタートした。
2月末時点の登録書店数は2200店。11年度、12年度に実績のある書店は自動登録となっている。新規登録は2月末で締め切ったが、以降も随時受け付けている。
前年度の売上は50億円(見込み)。今年度の新学期販売目標は33億7240万円、通年では54億2000万円の見通し。
販売期間は、前期が13年4月1日~8月31日、後期が9月1日~14年3月31日。販売促進費は売上30万円以上に対して支払う。専用注文書で注文すると30万円以上400万円未満が3%、発注専用サイト「十社ブックネット」で注文すれば30万円以上で一律4%になる特典がある。なお、ブックネット登録店は1400店。支払は前期分12月、後期分14年7月。
同会は、あかね書房、岩崎書店、偕成社、学研マーケティング、金の星社、国土社、小峰書店、童心社、ポプラ社、理論社の10社で構成。継続して新規加盟社を募集している。今年度の自主販売事務局は童心社が務めている。

読書率5ポイント減の58%/家の光協会・全国農村読書調査

家の光協会は昨年夏実施した第67回「全国農村読書調査」をまとめた『2012農村と読書』を発表した。これによると総合読書率は58%で、前回の63%から5ポイント減となり、過去最低を記録した。雑誌読書率は前年比5ポイント減の50%、書籍読書率は同1ポイント増の32%となった。
〔本よく読むのは若者と女性〕
■総合読書率
総合読書率(月刊誌、週刊誌、書籍のいずれかを読んでいる割合)は58%で前年から5ポイント下落した。性別では男性が前年比1ポイント減の55%、女性は同10ポイント減の60%で、25年連続で女性の読書率が男性を上回った。
年齢別にみると10代が最も高く83%。以下、20代が66%、30代が64%、40代が61%、50代・60代が59%、70代が最も低く39%だった。職業別では学生の83%がトップ。以下、給料生活が60%となり、前年同様、無職が最も低く48%となった。
■雑誌読書率
雑誌読書率(月刊誌か週刊誌を読んでいる割合)は前年比5ポイント減の50%だった。性別では男性が同3ポイント減の46%、女性が同8ポイント減の53%。総合読書率と同じく女性の雑誌読書率が男性を25年連続で上回った。年齢別では10代が首位で65%、以下、20代が55%、30代が57%、40代が51%、50代が49%、60代が51%と続き、70代が最も低く35%だった。
■月刊誌の読書状況
月刊誌読書率は前年比5ポイント減の35%。「毎月読む」が16%、「ときどき読む」が19%だった。性別では男性が同2ポイント減の29%、女性が同8ポイント減の41%。年齢別では10代が最も高く45%、70代が最低で22%となった。職業別では学生が40%で首位。毎月読む割合が高いのは、年齢別では40代の21%、職業別では農業の22%。
■週刊誌の読書状況
週刊誌読書率は前年比2ポイント減の32%。性別では男性が同2ポイント減の36%、女性が同5ポイント減の29%。「毎週読む」が6%、「ときどき読む」が27%。毎週読む割合は男性8%、女性3%で男性が上回る傾向が17年続いている。年齢別では60代の34%で、最も低いのは10代の3%。職業別では自営業の33%がトップ。
■書籍の読書状況
この半年間に書籍を読んだ人の割合は32%で、前年より1ポイント増加した。性別では男性29%、女性34%。年齢別では年代が上がるほど読書率が低くなり、10代の68%に対し70代は12%に落ち込んでいる。職業別では学生が断然高く63%だった。
過去1ヵ月の平均読書冊数は前年より0・2冊増加して1・2冊。男性は0・9冊、女性は1・5冊だった。冊数は「1~4冊」が52%と圧倒的に高く、次いで「0冊」の21%だった。書籍を読んだ人に限定した読書冊数は5・1冊で、前年より0・8冊の増加。
■雑誌・書籍の入手法
月刊誌の購入先または借覧先と入手法は、1位書店60%、2位スーパー・コンビニ35%、3位予約購読16%。週刊誌は1位スーパー・コンビニ55%、2位書店41%、3位美容院・食堂・病院31%。書籍は書店が同6ポイント減少したものの78%で他を圧倒する。2位は図書館・公民館24%、3位はスーパー・コンビニ19%。順位は前年と同じだが図書館・公民館が同4ポイント増加した。
■1ヵ月の本代
本を読まない人も含めた本への月額支出金額構成をみると、最も多いのが「買わなかった」の53%で、前年より5ポイント増加した。購入した層の中では、千円以上2千円未満が最も多く14%。
本を買わない人も含めた全員の平均支出額は前年より44円増の864円。性別では、男性が895円(前年比139円増)、女性836円(同40円減)。年齢別では30代が最も高く1167円、最下位は70代の438円だった。
本を買う人の平均支出額は、前年比352円増の2111円。男性は2090円で同199円増、女性は2131円で同462円増。年齢別では30代が2597円と最も高く、低いのは40代の1547円。
■1日平均の読書時間
雑誌、書籍を問わず1日平均の読書時間は、読まない人(57%)も含めた平均時間で前年比1分減の16分だった。性別では男性が16分、女性が17分。年齢別では10代が最も長く34分、短いのは70代で12分だった。なお、本を読んだ人の1日平均読書時間は前年より2分長くなり41分だった。
新聞の閲読時間は平均23分、テレビ視聴時間は151分だった。また、インターネットは28%が利用していると回答し、全体の平均利用時間は18分だった。

〈調査方法〉
農林業地域に住む16歳以上79歳以下の男女を母集団とし、「層化2段無作為抽出法」で抽出した全国60地点1200人を対象に、調査員による訪問留置・訪問回収法で実施。但し、東日本大震災の影響を考慮して岩手、宮城、福島の3県は調査地点から除外した。有効回収数882、回収率73・5%。

c-shelfで紙と電子の連動企画/トーハン

トーハンは、電子書籍の書店店頭販売システム「c―shelf」を活用し、コンデナスト・ジャパン、ベースボール・マガジン社とそれぞれ協力して、店頭での紙本と電子書籍の連動企画を実施する。
コンデナスト・ジャパンとの企画では、「GQJAPAN」5月号と「GQJAPAN増刊WIRED」VOL.7をc―shelf加盟書店全店(約1500店)で購入した読者にオリジナル電子コンテンツを無料提供する。
また、ベースボール・マガジン社のムック既刊2点について、3月の電子版発売に合わせ、2誌とともに電子版の買い物カードをc―shelf加盟書店63店に送品。書店でc―shelfコーナーや雑誌売場に陳列して併売する。
トーハンではこうした施策の展開により、書店店頭で紙本と電子書籍を選択・購入できる利便性をアピール。シナジーによる書店活性化をサポートしていく。

ブックライナーの進化に期待/神奈川トーハン会総会

神奈川トーハン会は2月14日、横浜市港北区の新横浜プリンスホテルで第41回総会を開き、会員46書店をはじめ出版社、トーハン関係者らが出席した。
あいさつで筒井正博会長(伊勢治書店)は「書店の経営が厳しい。利益が少なく、売上げが下がった中で経営を考えていかねばならない。人件費や経費を削って何とか経営を続けた結果、サービス面で客に不便をかけ、書店業界は萎んでしまった。積極的に売る気持ちで事に当たらねばどんどん縮小していく。出版社、トーハンと意見交換し、お互いに良くなる道を探し、実行していきたい。先日別の会で、アマゾン水準に慣れ親しんだ読者をどうやって取り戻すかという話をしたら、批判と賛同の言葉をたくさん聞いた。同じようにしようというのではなく、書店の強みをそこに付け加えてほしいということ。具体的に言うとブックライナーをもっと使いやすくしてほしい。現実に商品がある、商品知識を持つ書店員がいる、売場という空間を持つという書店の強みを加味してブックライナーの構築を」と訴えた。
来賓のトーハン・森岡憲司首都圏支社長は、電子書籍書店店頭販売システム「c―shelf」について「12月22日のサービス開始から1ヵ月間で、加盟1500店から2000件を超えるアクセスがあった」と報告。また、既刊本の見直しと発掘、外商、複合商材の提供、ブックライナーによる客注品流通改善などの取り組みを説明した。
この後、会員書店と出版社との商談会・名刺交換会を行った。

人事

★栗田出版販売
4月1日付で組織改編と人事異動を行った。
1.組織改編
①営業第三部に営業第五部営業第五課を移管する。
②営業第五部に営業第六部第六課・営業第六部営業第七課を移管する。
③営業第六部を廃する。
④営業推進部に営業企画課を新設する。
2.執行役員担当業務変更
社長郷田照雄
専務執行役員河本正美
常務執行役員(管理部門統括)山本高秀
同(営業部門統括)
下村賢一
執行役員(営業第一部・営業推進部担当)高梨秀一郎
同(営業第二部担当)
森岡忠弘
同(営業第三部・営業第四部担当・営業第五部長)
森孝弘
同(書籍仕入部長・雑誌仕入部担当)塩沢衛
同(総務部・取引部・システム部・関係会社担当)
小出直之
同(ブックサービス担当)
川窪克誌
同(黒木書店担当)
大内浩幸
同(ワンダーコーポレーション担当)黒田敬三

東海ブックサミットで活発な商談/東海日販会総会

東海日販会は2月14日に名古屋市の名古屋東急ホテルで第57回総会を開催し、会員書店、出版社、日販関係者合わせて458名が出席した。
総会前には第10回を迎える「東海ブックサミット2013」が行われ、過去最大規模となる114社の出版社がブースを展開し、来場書店と商談を進めた。
総会であいさつした宮川源世話人代表(鎌倉文庫)は「出版社には百年先にも良書と思えるものを出版してほしい。取次には適正配本をお願いしたい。そして書店はいかにディスプレイし、販売していくか。眼前の数字に追われて業界が委縮している感がするが、もっと集客する術を考えていかなければ」と述べた。
この後、昨年度事業経過報告・会計報告、今年度事業計画案・予算案を審議しいずれも可決承認した。
日販の古屋文明社長はあいさつで、店頭活性化に向けた「祭り企画」として「ほんらぶ祭り」「本気祭り」の実施や、不稼働在庫の低減、基本在庫の充足率向上、送品比率の適正化の取組みなど諸施策を説明。消費税増税については「業界が一丸となって、知的な財産への増税に反対だと主張していきたい」と述べた。また講談社の森武文専務は「出版物の成長にはリアル書店の成長が不可欠。日販の祭り企画ももっと拡大して、業界を挙げて書店に多くの読者を誘導できるような施策を考なければならない」とあいさつした。

書店売上高5・0%減/日販調べ2012分類別売上調査

日販営業推進室調べによる2012年の年間書店分類別売上調査が発表された。これによると12年は雑誌・書籍合計の売上増加率は5・0%減で、8年連続のマイナスとなった。調査期間は12年1月~12月、調査店は1785店。調査結果の概要は以下の通り。
【全体】
◇前年を最も大きく下回ったのは7月(7・0%減)。前年の売上良好銘柄に比肩する銘柄が不在だった文芸書を始め、書籍の対前年売上が落ち込んだ。雑誌は、月刊誌の発売日繰上げなどが影響した。
◇7月以外では、8月(6・8%減)の減少が目立った。一般誌の売上不振に加え、ムックでメディア影響を受けた銘柄が前年売上を牽引しており、雑誌の対前年売上マイナスの要因になった。
【規模別】
◇「100坪以下」「101~200坪」の売上が一般誌・文芸書の不振で前年より大きく落ち込んだ。
【立地別】
◇「商店街」が6・9%減と最も下落幅が大きかった。雑誌合計が5・7%減、書籍合計が8・2%減と、他の立地よりマイナス幅が大きく、特に売上構成比の高い一般誌・文庫の売上の大幅減が全体の売上に影響した。
【ジャンル別】
◇雑誌は、全ジャンルで売上増加率がマイナス。月刊誌売上の落ち込みが、一般紙の売上増加率のマイナスにつながった。コミックは、今年発売のなかった銘柄や、実写映画化が発表された『進撃の巨人』(講談社)が前年の売上を牽引しており、対前年売上が落ち込んだ。
◇書籍は、映画化が決定した『プラチナデータ』(幻冬舎)や、12年唯一のミリオンセラー『聞く力』(文藝春秋)等が売上を牽引した。しかし、比較的客単価の高い文芸書、実用書の売上が伸び悩んだため、書籍全体の売上高増加率はマイナスになった。文芸書は、前年にドラマ化の影響で売上を伸ばした『謎解きはディナーのあとで』(小学館)のほか、『スティーブ・ジョブズⅠ・Ⅱ』(講談社)が異例の売上を記録したことが影響した。
【客単価】
◇平均客単価は前年より0・8%増となり、5年連続のプラス。特に「201~300坪」「301~400坪」の店舗で増加率が1・4%以上になった。