全国書店新聞
             

平成25年12月15日号(後)

10月期は6・7%減/文庫が4年ぶり2桁マイナス/日販調べ

日販営業推進室調べの10月期書店分類別売上調査は、対前年売上増加率が6・7%減と先月に続きマイナスとなった。
雑誌の売上は5・7%減。雑誌扱いコミックは『NARUTO』『トリコ』など今月発売がなかった銘柄をはじめとした前年の売上良好銘柄の影響を受け、7・2%減と3ヵ月ぶりにマイナスに転じた。月刊誌は12年10月28日が日曜日だったことによる発売日繰り上がりの影響を受け、5・4%減とマイナスが続いた。
書籍は8・0%減。総記以外すべてのジャンルでマイナスとなった。文庫は11・3%減と約4年ぶりにマイナス2桁台となった。10月12日に映画が公開された『陽だまりの彼女』(新潮社)が好調だったが、前年の方が映画化銘柄等の売上が良好だったため反動減となった。実用書は8・7%減、文芸書は3・7%減と、ともに継続してマイナスとなった。

2013年間ベストセラー

トーハン、日販は2013年の年間ベストセラー(12年12月~13年11月)を発表した。総合トップは、トーハンが近藤誠著『医者に殺されない47の心得』(アスコム)、日販が村上春樹著『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)だった。
『医者に殺されない~』は、医療や薬を遠ざけて元気に長生きする方法を訴えて、50~70代の読者を中心に支持を集めた。『色彩を持たない~』は、著者3年ぶりの書き下ろし長編小説。発売7日目に発行部数100万部を達成し、社会現象になった。
〔トーハン調べ〕
①『医者に殺されない47の心得』近藤誠、アスコム②『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』村上春樹、文藝春秋③『聞く力心をひらく35のヒント』阿川佐和子、文藝春秋④『海賊とよばれた男(上・下)』百田尚樹、講談社⑤『ロスジェネの逆襲』池井戸潤、ダイヤモンド社⑥『新・人間革命(25)』池田大作、聖教新聞社⑦『人間にとって成熟とは何か』曽野綾子、幻冬舎⑧『とびだせどうぶつの森かんぺきガイドブック』週刊ファミ通編集部、KADOKAWA⑨『できる大人のモノの言い方大全』話題の達人倶楽部編、青春出版社⑩『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子、幻冬舎
〔日販調べ〕
①『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』村上春樹、文藝春秋②『医者に殺されない47の心得』近藤誠、アスコム③『聞く力心をひらく35のヒント』阿川佐和子、文藝春秋④『海賊とよばれた男(上・下)』百田尚樹、講談社⑤『とびだせどうぶつの森かんぺきガイドブック』週刊ファミ通編集部、KADOKAWA⑥『ロスジェネの逆襲』池井戸潤、ダイヤモンド社⑦『できる大人のモノの言い方大全』話題の達人倶楽部編、青春出版社⑧『新・人間革命(25)』池田大作、聖教新聞社⑨『人間にとって成熟とは何か』曽野綾子、幻冬舎⑩『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子、幻冬舎

理事長に聞く/山梨組合理事長・東浦澄夫氏

〔書店に多様な文化を/希望持てる業界へ組合員支援〕
5月20日の通常総会で再選された山梨県書店商業組合の東浦澄夫理事長に、書店業界の諸問題、組合活動について話を聞いた。
――日書連は消費税率引き上げの際、出版物に軽減税率を導入するよう求めている。
「消費税増税は読者のさらなる本離れにつながる恐れがある。文化を守る観点から海外同様に軽減税率を求めている。50万人署名運動に積極的に協力してほしい。書店人がこの運動を通じて出版文化と税の問題に向き合うことが大切だ」
――書店再生について。
「再生とは書店がどのように変革するかということ。どの業界でも叫ばれているイノベーションが、我々の業界でも避けられない。10年以上にわたり落ち込みが続く中、新しい切り口を突破口にして変化しなければならない。身近にいる読者、学校、図書館など地域社会から親しまれる本屋作りを目指すことが必要と考えている」
――地域密着型書店を作る上で大切なことは。
「個々の店が地域の読者のニーズを感じ取りながら、店の個性を全面的に出していくこと。お客さん自身がお店とコミュニケートできること。そのためには店全体の構成を編集する力が必要とされる。ミニコンサートや演劇ができるステージを常設している書店も面白いと思う。まずは自店のファンを持つことが大切なのでは。多様なカルチャーを取り入れて独創性を活かしたい」
――今後の組合活動について。
「組合員が顔を合わせ、コミュニケーションをとり、励まし合い、情報交換することで、悩みや不安を解消し、業界と仕事に希望を持てるような組合活動を行う。組合員の士気が落ちないように団結して盛り上げていきたい」
聞き手=河野洋己(ブックスステーション)

13年上期は前年同月比93・16%/ABCリポート

日本ABC協会は2013年上半期雑誌発行社レポートを発表した。今回掲載した42社160誌の前年同期比指数は週刊誌92・51%、月刊誌93・36%で、合計では93・16%となった。
総合週刊誌は、部数首位の『週刊文春』が3万部減の45万部。『週刊新潮』は1万5千部減の34万9千部でともに後退した。『週刊現代』は4万2千部減の38万2千部、『週刊ポスト』は3万5千部減の28万2千部と低迷。新聞社系では、『週刊朝日』は12万7千部で3千部減となったが、『サンデー毎日』は6千部増の6万6千部と切り返した。
ビジネス誌は、『週刊ダイヤモンド』が2千部増の9万4千部。『週刊東洋経済』は6万4千部、『プレジデント』は16万7千部でともに前期とほぼ同水準だった。
女性週刊誌は、『女性セブン』が6千部減の25万部、『女性自身』が1万1千部減の23万3千部、『週刊女性』が5千部減の14万2千部と軒並み減少した。
女性月刊誌では、『non・no』が4万9千部減の26万2千部と30万部の大台を割り込んだ。『MORE』が5万3千部減の26万6千部、『ESSE』が6万8千部減の27万6千部でともに大幅減となった。

『伊能図大全』全7巻/初版2500部で発売/河出書房

河出書房新社は『伊能図大全全7巻』の初版部数を当初予定していた1500部から2500部に増やし、11月29日に全国一斉発売した。客からの予約と店頭追加分で2200部に迫る初回注文申込があったもの。
同書は日本全国を初めて詳細に実測した近代地図の集大成で、基本図の大図214枚、編集図の中図8枚、小図3枚をすべて収録。A4判・上製本、平均290ページ、化粧箱入り。10月31日まで刊行記念予約特価本体9万5000円、以降は本体12万円。
同社は「大規模、小規模に関わらず数多くの書店に取り組んでいただいた結果と考えている。予約受注書店750店のうち680店が1~3部の注文。出版不況と言われるが、定価9万5000円のアイテムが初版2500部で刊行できる事実に、出版販売の底力を再認識した」と評価。「今後も斬新な企画、新たな販売方法の模索に積極的に取り組んでいきたい」と意欲を示している。

各雑誌の次年度諸施策を説明/講談社広告企画発表会

講談社は12月5日、本社で平成26年度広告企画発表会を開催した。
冒頭で、森武文専務は2013年11月期の決算について、売上約1200億円で18年ぶりの増収増益になったと報告。好調の要因として、コミック、文庫、現代新書、デジタル事業の拡大を挙げ、「『海賊とよばれた男』は167万部、『永遠の0』は350万部に来ている。『進撃の巨人』は累計2800万部という大爆発の売行きで、前期は非常に好調に推移した。今期も続けていきたい。現在新雑誌の創刊準備に入っており、雑誌事業の柱になるような雑誌を創刊するべく努力していく」と述べた。
メディア事業局の巴一寿局長は、2014年は「人に伝える、人を動かす」を基本方針に掲げるとして、「スポンサーの商品やサービスがきちんと動くという現象を伴った形での企画の提案に、真摯に取り組んでいく」と述べ、①新編集長による顧客の創造②広告メニューの充実③WEB・雑誌の組み合わせ強化――の3つに取り組むと説明。続いて、『with』『VoCE』『HUgE』各誌に今年就任した新編集長による編集方針のプレゼンテーションなどが行われた。

今冬の新刊書籍を発表/鈴木京香の初エッセイなど/講談社

講談社は、2013年冬から14年早春にかけての新刊書籍説明会を11月22日、東京・文京区の本社で開催した。
始めに、野間省伸社長が「この説明会は年2回開催し、各出版局が趣向を凝らしたプレゼンテーションを行って、講談社の風物詩となりつつある。今年度は『進撃の巨人』『海賊とよばれた男』『永遠の0』といった大ヒットに恵まれ、18年ぶりに増収増益を達成できる見込みだ。来期についてもこの追い風に乗って様々な企画を出していきたい」とあいさつした。
生活文化局の発表では、女優の鈴木京香さんが、自身初のエッセイ『丁寧に暮らすために。myfavoritesAtoZ』(12月13日発売)について「エッセイが好きで、いつか書けたらいいなと憧れていた思いが形になった。この本を1人でも多くの方に手に取ってもらえたら嬉しい」と話した。
児童局は、「ムーミン」の作者トーベ・ヤンソンの生誕100周年企画として、青い鳥文庫「ムーミン童話」新装版の刊行や、『トーヴェ・ヤンソン評伝』などの関連書について説明。
第四編集局からは、プラモデル付き週刊パートワーク『永遠のゼロ戦プラモデル』(全20巻)の創刊を発表。模型は4種類のゼロ戦を正確に再現、本誌では『永遠の0』著者の百田尚樹氏や、映画『風立ちぬ』の宮崎駿監督のインタビューも掲載する。
文芸局の発表では、『その鏡は嘘をつく』の著者・薬丸岳氏、『舞台』の著者・西加奈子氏が登壇し自著について語った。

参考図書

◆『昭和の出版が歩んだ道―激動の昭和へTimeTRaVEL―』(出版メディアパル刊)
書店・出版コンサルタントの能勢仁氏と八木書店・八木壮一会長の共著。「円本ブーム」で幕を開けた昭和初期の出版動向や、昭和出版史を32のエピソードとコラムでひもとく「昭和出版今昔物語」、取次・出版社・書店盛衰記など、第6章までを能勢氏が担当。第7章は八木氏による「バーゲンブック流通略史」を収録。A5判180頁、定価本体1800円。

山田風太郎賞に伊東潤氏『巨鯨の海』/KADOKAWA

KADOKAWA角川書店と角川文化振興財団が主催する第4回山田風太郎賞は伊東潤氏『巨鯨の海』(光文社)に決定。第33回横溝正史ミステリ大賞は伊兼源太郎氏『見えざる網』(角川書店)、第20回日本ホラー小説大賞の優秀賞は倉狩聡氏『かにみそ』(角川書店)、読者賞は佐島佑氏『ウラミズ』(角川ホラー文庫)に決定し、11月29日に東京・千代田区の東京會館で贈賞式が行われた。
山田風太郎賞の贈賞では赤川次郎氏の選評に続き、KADOKAWAの佐藤辰男社長が賞を贈呈。伊東氏は「このところ色々な文学賞の候補になっているが、他の候補の名前や作品を見て、今回が一番勝てる気がしなかった。賞が取れてホッとしている」と述べ、2007年に角川書店から『武田家滅亡』でメジャーデビューを果たしたことに触れ、「その時担当者に丁寧に指導してもらったことが、非常にプラスになっている」とあいさつした。
主催者あいさつで角川文化振興財団の角川歴彦理事長は、ダイヤモンド社が主催していた城山三郎経済小説賞を、来年から継承して主催すると発表したほか、KADOKAWAが子会社9社を合併し事業会社として新たに発足した意図を説明した。

『小学一年生』親への訴求図り刷新/14年上期の雑誌企画発表/小学館

小学館は11月28日、東京・千代田区のホテルグランドパレスで「2014年上期雑誌企画発表会」を開き、『小学一年生』などのプレゼンーションを行った。
冒頭あいさつで山岸博常務は、書店が1店もなくなった北海道留萌市で地元市民の活動により三省堂書店の出店を実現、市民の読書環境確保に貢献した「三省堂書店を応援し隊」が文字・活字文化推進大賞を受賞したことを紹介し、「市民グループと書店が力を合わせれば活字文化は盛り上がる。当社の看板雑誌の『小学一年生』は、14年度はかなり変わった趣向となる。期待していただきたい」と述べた。
『小学一年生』は14年度から子供だけでなく親にも訴求する内容に刷新することをポイントとし、親向けのページを毎号別冊付録にする。入学準備号(1月11日発売)と4月号(3月1日発売)、5月号(4月1日発売)の連携を高めるため、判型をAB判に統一する。店頭で内容を確認してから購入できるよう、4月号は大ヒットした『ドラえもんふしぎのサイエンス』と同じくるみ巻き仕様にする。また、4月号の「ドラえもんピアノシート」など、楽しく学習できる付録を用意する。
販売施策については、①店頭陳列装飾コンクールを参加応募5500店を目標に展開②4、5月号を対象に増売コンクールの実施③ドラえもん図書カード千円分を特典とする定期購読獲得コンクールの実施――に取り組み、実売前年比大幅増を目指すとした。
このほか、来年1月4日創刊の隔週刊CD付きマガジン『クラシックプレミアム』(全50巻)などの説明を行った。

小説部門は2作品に大賞/電撃大賞

KADOKAWAアスキー・メディアワークスが主催する「第20回電撃大賞」の贈呈式が、11月14日に東京・港区の明治記念館で行われた。
応募総数は電撃小説大賞が6554作品、電撃イラスト大賞が919作品、第20回限定部門「電撃学校大賞」が50作品で、合計7523作品と史上最多を記録。小説部門は虎走こけた氏『ゼロから始める魔法の書』、木崎サキ氏『博多豚骨ラーメンズ』が大賞を受賞。イラスト部門は大賞に一色箱氏、電撃学校大賞は、「Studio12」の『実写版・電波女と青春男』が大賞を受賞した。
電撃学校大賞は、同一の学校に所属する3人以上のグループが電撃文庫・メディアワークス文庫をモチーフにした作品を募集したもの。次回からは「電撃コミック大賞」を新設する。
贈呈式でアスキー・メディアワークスの塚田正晃ブランドカンパニー長は「20年経っても変わらないのは作家の情熱、編集者の努力と電撃文庫の装丁だ。並べると背表紙のラインが揃っているのが誇りで、書店さんも『この線がいいよね』と言ってくださる。明日から受賞の皆さんと、この線を一緒に伸ばす作品作りをしていきたい」と述べた。

東京五輪招致が受賞/DIMEトレンド大賞

今年のトレンドを映し出す注目商品、ヒット商品などを表彰する「第26回2013小学館DIMEトレンド大賞」の贈賞式が11月6日、東京・中央区のマンダリンオリエンタル東京で開かれた。
大賞に選ばれたのは「東京2020オリンピック・パラリンピック招致」。招致委員会を代表して登壇した猪瀬直樹東京都知事は「オールジャパンの勝利。素晴らしい大会にしたい」と喜びを語った。
「話題の人物賞」はNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の能年玲奈さんが選ばれ、「1年頑張ったご褒美をいただいたような気がして興奮しています」とビデオメッセージを寄せた。「特別賞」は、ドラマ「半沢直樹」チームとタレントの壇蜜さんが受賞。ステージに登場した壇蜜さんは「『壇蜜』が印象に残る現象だったことを少なからず認めてもらえてうれしく思います」とあいさつした。

7年ぶり増収の中間決算/マルチメディア商品が82%増/トーハン

トーハンは11月26日、第67期上半期決算(平成25年4月1日~9月30日)を発表した。売上高は2343億400万円で前年比2・0%増加し、7年ぶりの増収となった。内訳は、書籍838億1600万円(前年比4・5%減)、雑誌1235億9100万円(同2・9%減)、マルチメディア商品268億9600万円(同82・9%増)。この中で雑誌部門の内訳は、「雑誌」946億3700万円(同5・7%減)、「コミック」289億5400万円(同7・6%増)だった。
返品率は、書籍が前年比1・0ポイント増の44・5%、雑誌が同0・5ポイント増の40・6%、マルチメディア商品が同7・6ポイント減の11・6%で、総合では39・9%と同0・6ポイント改善した。
売上総利益は前年比1・1%増の268億8000万円。販売費及び一般管理費は同0・8%減の237億3400万円で、売上総利益の伸びを1・9ポイント下回った。運賃や荷造費などの販売費が上昇したが、コスト削減の取組みにより管理費を同0・6%減に抑制。このため営業利益は同18・3%増の31億4600万円となった。
営業外損益を加減した経常利益は前年比18・5%増の20億6200万円。特別利益では固定資産売却益の2400万円を計上、トーハンロジテックスの設立に伴う転籍者の退職加算金等を特別損失として5億7500万円計上した。これにより、税引前中間純利益は同11・3%減の15億1200万円。法人税等を差し引いた中間純利益は9億8500万円となり、同32・4%減の増収減益決算となった。
上半期は、「TONETSV」を始めとする「TONETSネットワーク」を駆使した施策の効果や、4月に新設した外販営業部による書店支援で外販企画が前年比約30%伸びたことなどを背景に、既存店が底堅い実績で推移。4月に複合事業本部を発足して一体運営するようになったマルチメディア部門は、文具、雑貨、輸入菓子など個々の書店に最適な複合化メニューを提案する「&Partners」の導入促進により、売上が前年比82・9%増と全社実績に大きく寄与した。
記者会見で川上浩明専務は「通期で売上高5000億円、経常利益35億5000万円を目標に取り組んでいく」と述べた。
連結対象子会社19社を含む連結決算は、売上高は前年比4・0%増の2433億2100万円、経常利益は同25・4%増の16億700万円、中間純利益が同68・8%減の5億5700万円で、単体と同様に増収減益だった。

トーハン「書店実務手帳」発売

トーハンは業界人に愛用されている「書店実務手帳」2014年版を発売した。150×85㍉、頒価本体714円。出版市場の概況等の各種データ、売場別年間スケジュール、主要雑誌の発売日(約300誌)、出版社名簿(約1000社)、展示冊数算出表、資格試験等一覧表など、日々の業務に役立つ資料をコンパクトにまとめている。同手帳の取り扱いと入手についてはトーハン複合第二事業部(℡03―3266―9544)まで。

『婦人公論』来年から増売/中公新社130年、同誌100年で/読売中公会

第29回書店読売中公会総会が11月14日、東京・千代田区の東京會舘で開かれ、会員書店、取次、読売新聞東京本社、中央公論新社関係者ら計156名が出席した。
冒頭、あいさつした亀井忠雄会長(三省堂書店)は、2016年に中央公論新社が創業130年、『婦人公論』が創刊100年を迎えることに言及。「明年から2年続けて『婦人公論』を増売することで、創業130年、創刊100年を祝いたい」と述べ、増売に協力するよう会員書店に呼び掛けた。
中央公論新社の小林敬和社長は、12年度は3%の増収で、2年連続黒字を達成したと報告。今年上期は「返品率の悪化で厳しい。特に単行本が不振だが、文庫、新書は好調が続いている。下期は強力な作品を予定しており、来年からは『婦人公論』の増売にチャレンジする。創業130年に向け、皆さんとのパートナーシップを強化したい」と話した。
来賓あいさつに立ったトーハンの藤井武彦社長は「中央公論新社の初代社長・中村仁氏が『これから発展、存続していくためには絶え間ない革新が必要』と話したことを鮮明に覚えている」と述べ、その先見性を讃えた。
総会終了後、猪瀬直樹東京都知事の講演に続き、懇親会を開催。あいさつした読売新聞グループ本社の白石興二郎社長は、消費税引き上げの際、新聞、書籍、雑誌に軽減税率を導入するよう訴え、「知的生活必需品である新聞と出版物は、食料品と同様の扱いとすべき。新聞界と出版界が足並みを揃えて要望していきたい」と呼びかけた。

中間決算は減収増益/書籍は微増、雑誌は下落続く/日販

日販は11月26日、第66期中間決算(平成25年4月1日~9月30日)を発表した。連結、単体とも減収増益となった。
日販グループ(連結子会社19社)の連結売上高は3294億7000万円で対前年比1・7%減の減収となった。ネットルートは伸びたものの書店ルート・CVSルートの売上が低迷した。これに加え、セル・レンタル映像ソフトやゲームの収益性悪化で売上総利益は365億9500万円と同4・0%減となった。
グループ全体で物流効率の改善と経費の抑制に取り組んで、販売費及び一般管理費は338億8800万円と同5・4%削減。この結果、営業利益は27億700万円で同17・9%増、経常利益は30億2000万円で同14・4%増となり、中間純利益は16億5600万円で同30・0%増と増益となった。
単体の売上高は2733億2700万円で同1・1%減と減収となった。内訳は、書籍が1216億4800万円で同0・1%増となったものの、雑誌はダウントレンドが続き1420億6400万円で同2・5%減となった。開発商品は157億8100万円で同7・9%増。
返品率は、書籍はPARTNERS契約など出版流通改革の取り組みで34・1%と同0・02ポイント改善したが、改善幅は減少した。雑誌は39・5%で同2・0ポイント悪化した。合計では36・7%で同1・0ポイント悪化となった。
高利益率の雑誌売上高の減少で、売上総利益は247億500万円で同2・2%減と落ち込んだ。販売費及び一般管理費は235億円で同2・1%減。しかし売上総利益の減少を経費の削減で補えず、営業利益は12億400万円で同5・0%減、経常利益は15億4500万円で同0・4%増、中間純利益は10億2600万円で同0・2%増の微増益となった。
記者会見で加藤哲朗専務は、2010年から締結を開始したPARTNERS契約の契約書店のシェアがMPDのチャージ契約と合わせて75%を超え、出版社との契約締結は50%を超えたと報告。インセンティブが付くハイプロフィット企画の稼働点数は3600を超え、書店マージンアップに向けた取り組みが進んでいるとした。また、客数と買上率を向上させるための仕掛け「祭」については、開催店と非開催店の売上伸長率に格差が出ており、店頭活性化の成果が実証されていると自信を示した。

訃報

金田万寿人氏(かなだ・ますと=トーハン元代表取締役社長)11月26日、心不全のため死去した。72歳。近親者で密葬を行った。喪主は妻の喜久子(きくこ)さん。トーハンでは後日あらためてお別れの会について発表する。