全国書店新聞
             

令和元年8月1日号

書店粗利拡大へ出版物の定価値上げを/書店東北ブロック大会で藤原会長

第71回書店東北ブロック大会が7月4日、福島県書店商業組合の設営により郡山市磐梯熱海温泉の「ホテル華の湯」で開催され、東北6県の書店や出版社、取次など185名が出席した。書店東北ブロック会の藤原直会長は、書店の粗利拡大に向けた取組みの1つとして出版物の定価値上げを提言。日書連の矢幡秀治会長は、書店経営改善や「本の日」キャンペーンなど日書連の諸活動を報告した。
会員書店のみが参加して行った第1部は、冒頭で藤原直会長(宮城県書店商業組合理事長)があいさつ。藤原会長は日書連の書店経営健全化に向けた活動を説明し、「今の粗利では書店はやっていけないことは業界の一致した認識だが、各論になると意見がまとまらないのが現状だ」と指摘。その上で、「出版社には、すぐに正味を下げることがかなわないならば定価を上げてほしい。今の粗利が23%とすると、仮に1000円の本を1300円に値上げすれば、粗利30%と同じくらいの利益となる。そこで何とか一息つこうというのが第一段階で、その後の正味改定は喫緊の課題だ。皆様の協力を得ながら活動を進めたい」と述べた。
続いて日書連の矢幡秀治会長が日書連活動を報告し、書店粗利30%以上実現への取組みとして業界3者による「書店環境改善実務者会議」を開催したことを説明。最近の店頭動向としてコミックの定価が上がっても販売は落ちていないことに言及して、「定価の値上げは1つの方法。ただ、日書連としてはやはりマージンを上げていただくこと、我々が負担している手数料などを他の皆さんにも分担していただくことを訴えていきたい」と話した。
また日書連が主体となって取り組む「本の日」キャンペーンについて読者へのPRを要請。政府が進めるキャッシュレス化については、「手数料を2~3%取られたら書店は赤字。由々しき問題で、しかるべき場で発言していきたいと考えている。ただ、現金対応だけではお客は他店に離れていくので、各店でキャッシュレスの導入を考えていただきたい」と述べた。
この後、藤原会長を議長に議事を審議し、次年度大会の当番県を山形県に決定した。また、岩手組合・冨山純一事務局長が、県下の高校生を対象に実施したブックカバーのデザインコンテストについて報告。「学校からの評価が非常に高かった。ブックカバーを作って全組合書店に配布し、一般の方からも評判が良い。中学生・小学生にも拡大していきたい」と話した。
全員が参加した第2部では、芥川賞作家の柳美里氏が福島民報社地域交流局長の佐久間順氏を聞き手として記念対談「南相馬にて」を行った。柳氏は、東日本大震災後に福島県南相馬市に転居し、2018年に書店「フルハウス」を開いた経緯を語り、「家にも学校にも居場所がなかった私の特別な場所が本屋だった。本を単に販売する場所ではなく、私にとっては世界で一番美しい場所だ。双葉郡の帰還困難区域に一時帰宅した人が店に立ち寄って話をされる。避難先と一時帰宅の往復ではつらいので、本屋で気持ちを入れ替えたいという方もいる」と自身の書店に対する思いや店でのエピソードを話した。

書店再生支援財団/低率の手数料「キャッシュレス支援事業」、14組合加盟書店に案内直送

全国書店再生支援財団(奥村弘志理事長)が進めている中小書店支援策の第1弾「キャッシュレス支援事業」は、端末の斡旋並びに低率の手数料率を希望する14都道府県について、当該組合の加盟書店に同事業の案内を直送した。引き続き、残り31県の組合には斡旋を希望するか打診中で、希望があり次第、加盟書店に向けて事業案内を直送する予定でいる。
▽キャッシュレス支援事業の案内を送付した地域=北海道、青森、福島、東京、静岡、愛知、三重、富山、京都、大阪、兵庫、佐賀、熊本、鹿児島

キャッシュレス対応で経営研修会を8月29日開催/東京組合

東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は7月2日、千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。
令和2年新年懇親会について、来年1月15日(水)に文京区の東京ドームホテルで開催することを承認した。新年懇親会の開催は2年ぶり。また、令和1年度書店経営研修会を、8月29日(木)午後3時から書店会館で開始することを承認した。テーマは「書店のキャッシュレス決済対応について」、講師は全国書店再生支援財団理事の髙島瑞雄氏。
増売企画では、河出書房新社が『古今亭志ん朝二朝会CDブック』(9月中旬発売予定)について、書店マージン35%の計画販売制、予約2大特典付きと説明して拡販への取組みを呼びかけた。また、暮しの手帖社が『戦中・戦後の暮しの記録拾遺集』2点について説明。昨年刊行した『戦中・戦後の暮しの記録』に続くシリーズの完結編で、既刊と併せて増売を図る。

芥川賞に今村夏子氏、直木賞は大島真寿美氏

日本文学振興会は第161回(平成31年/令和1年上半期)芥川龍之介賞・直木三十五賞の選考会を7月17日、東京・中央区の新喜楽で開き、芥川賞は今村夏子氏の「むらさきのスカートの女」(小説トリッパー春号)、直木賞は大島真寿美氏の『渦妹背山婦女庭訓魂結び』(文藝春秋)に決定した。

読書週間書店くじ実施要項

▽実施期間令和1年10月27日(日)より11月9日(土)まで。書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数110万枚。書店には1束(500枚)3571円(税別)で頒布
▽申込方法と申込期限注文ハガキに必要事項を記入し、束単位で所属都道府県組合宛に申し込む。締切は8月20日(厳守)
▽配布と請求方法くじは取引取次経由で10月20日前後までに配布。代金は取引取次より請求
▽当せん発表12月5日(木)。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品総額682万円
当せん確率は23本に1本
1等賞=図書カード
又は図書購入時充当5000円
110本
2等賞=同1000円220本
3等賞=同500円3300本
4等賞=図書購入時に充当100円
44000本
▽賞品引き換え取り扱い書店で立て替え。図書カードの不扱い店または図書カードが品切れの場合は、お買い上げ金額に充当
▽引き換え期間読者は12月5日より令和2年1月10日まで。書店で立て替えた当せん券は同1月31日までに「引換当せん券・清算用紙」(発表ポスターと同送)と一緒に日書連事務局に送付
▽PR活動「読書週間書店くじ」宣伝用ポスターは日書連ホームページ(http://www.n-shoten.jp)よりダウンロード(郵送はしません)。全国書店新聞に実施要項を掲載。日書連ホームページで宣伝

新理事長に西村行人氏/読書推進事業への取組み続ける/新潟総会

新潟県書店商業組合の第35回通常総会が6月17日に新潟市中央区の新潟駅前カルチャーセンターで開かれ、組合員38名(委任状含む)が出席。10期20年務めた西村俊男理事長(文信堂書店)が退任し、新理事長に西村行人氏(萬松堂)を選出した。
総会の始めに西村俊男理事長があいさつ。「昨年、組合賦課金を規模別から一律に変更したため収入が減少したが、各事業を実施できた。雑誌発売日問題については改善を要望しているが、運送会社の人手不足で解決が難しい」と述べた。
続いて、平成30年度事業報告、収支決算報告を承認。令和1年度事業計画では、①「にいがた文学検定」の実施②「絵本ワールド」の開催③「心にのこる子どもの本」の増売促進④「高校生POPコンテスト」を共催――の各事業を承認した。
役員改選では各地区から推薦された15名の新理事を承認。総会終了後、新理事による理事会を開催し、西村行人氏を新理事長に選出した。(酒井久和広報委員)

日書連のうごき

6月6日学校図書館賞に事務局が出席。出版再販研究委員会に舩坂会長、藤原、柴﨑、本間各副会長、小野、安永両理事が出席。
6月10日出版クラブ理事会に舩坂会長が出席。JPIC理事会に舩坂会長が出席。公取協連合会総会に柴﨑副会長が出席。
6月13日本の日でKADOKAWA、読売新聞社、主婦と生活社、マガジンハウス訪問に舩坂会長が出席。
6月14日本の日で講談社訪問に舩坂会長が出席。
6月19日常設委員会。心にのこる子どもの本3者会議。読進協定時総会に舩坂会長が出席。
6月20日定例理事会。通常総会。臨時理事会。公取協臨時総会。公取協臨時理事会。図書コード管理委員会に藤原副会長が出席。本の日実行委員会に矢幡会長、春井副会長が出席。
6月21日定期会計監査。返品現地処理で藤川紙業との意見交換に柴﨑副会長、志賀理事が出席。
6月24日公共図書館プロジェクトに髙島顧問が出席。
6月25日読進協書目選定委員会に事務局が出席。
6月26日文化産業信用組合総代会に矢幡会長が出席。JPIC評議員会に春井副会長が出席。
6月27日全国書店再生支援財団臨時理事会。
6月28日全国中小企業団体中央会総会に事務局が出席。日本図書普及株主総会に鈴木、藤原、面屋各副会長、舩坂理事他が出席。

「春夏秋冬本屋です」/「オノマトペの威力」/神奈川・金文堂信濃屋書店取締役・山本雅之

「オノマトペ」――和訳で擬音語・擬態語である。世界でも、日本は特に擬態語の数がずば抜けて多いらしい。
以前も2、3冊オノマトペの本を読んでいたが、最近面白い本に出会った。東洋館出版社発行、小野正弘著『くらべてわかるオノマトペ』である。
他の本は、だいたいがその解釈や説明・用途などが中心だが、『くらべてわかるオノマトペ』は、2つを比較して、この場面ではどちらがより相応しいかで構成されている。普段あまり意識せず何気なく使っていたのだが、改めて納得した。
例を挙げると「しっくり」と「ぴったり」はどっちの相性がいいか、「ぞくぞく」と「がくがく」はどっちが怖いか、「でれでれ」と「めろめろ」はどっちの溺愛具合が深いか等である。似ているようで僅かなニュアンスの違いからその差を上手く表している。
また、「カラカラ」が「ガラガラ」に、「サラサラ」が「ザラザラ」に、「ビンビン」が「ピンピン」にと、濁音や半濁音になることで、意味合いも変化する。
さらに、「うきうき」と「ぬけぬけ」は「浮く」と「抜ける」の動詞の連続的な活用であり、オノマトペとしては元来の意味とは違う。使い方を交えながらの説に、「うんうん」と頷いた。
さあ夏本番。太陽「ギラギラ」、汗で「べとべと」、仕事は「たっぷり」体は「くたくた」、でもシャワーで「すっきり」、最後にビールを「ごくごく」、「ぐっすり」眠って、また明日。

「本の日」実行委員会/作家1日店長イベントに助成金/5万円上限に実施書店の申込受付を開始

「本の日」実行委員会(矢幡秀治代表)は、「本の日」を周知し、書店への来客促進を図るため、期間中に作家の1日店長イベントを実施する書店に対して、企画内容を審査の上、奨励金として最大5万円を助成することを決定。8月1日から助成金事前申込みの受付を開始した。
普段作家イベントができない書店や、応援したい地元作家がいる書店から、1日店長イベント企画を募集する。企業単位の受付けはせず、店舗ごとに申込む。近隣複数店舗のグループとしての申込みも可能。事前申込書を提出した店舗・グループの中から、企画内容を考慮して助成金を出す。助成対象となった店舗・グループは、イベント終了後に事後報告書とイベント報告書を提出しなければならない。
実行委員会はこの企画に総額100万円の予算を計上している。助成金の上限金額は1店舗・1グループあたり5万円。
助成金の申込みは8月31日まで。実行委員会事務局に事前申請書と質問表を郵送またはメールで提出する。店頭活性化委員会(奥野康作委員長)が提出された各企画内容を審査し、9月6日までに結果を通知する。助成対象に選ばれた店舗・グループは10月1日~11月30日の期間中にイベントを実施する。その後、12月15日までに事後報告書とイベント報告書を提出する。助成金の振込みは12月末。
申請・詳細は「本の日」実行委員会事務局・小澤まで。〒101―0062東京都千代田区神田駿河台1―2日本書店商業組合連合会内メールozawa@n-shoten.jpホームページhttps://honnohi.com/

新理事長に柳澤輝久氏/「難しい時代、力合わせて」/長野総会

長野県書店商業組合は6月11日、諏訪市の浜の湯で第35期通常総会を開催し、組合員54名(委任状含む)が出席。塩川明人理事長(花屋書店)が退任し、新理事長に柳澤輝久副理事長(西澤書店)を選出した。
総会は前澤芳美理事(前澤書店)の司会で進行し、冒頭、塩川理事長があいさつ。「書店組合に入って45年。人生の半分以上携わり、80歳代になった。日書連では8年間で約100回の会議に出席し、色々な案件に携わり、充実した日々を過ごしてきた。今後も人生に仕事に、まだまだ邁進していきたい。本日をもって理事長の職を辞する。長い間、理事長を任せていただき感謝する」と述べた。
続いて高村副理事長(今井書店)を議長に議案審議を行い、第34期事業報告、決算報告及び監査報告、第35期事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
任期満了による役員改選では、理事16名、監事2名、顧問1名を選出。新理事長に柳澤副理事長を選出した。柳澤新理事長は塩川前理事長の業績と貢献に謝意を表し、「今、書店組合は組合員数の減少、高齢化、後継ぎ問題などで難しい時代を迎えている。組合員の方へ向いた書店組合として、力を合わせて諸課題に取り組んでいきたい」と抱負を語った。
来賓の県中小企業団体中央会・荒川歩美主任があいさつし、総会を終了した。
この後、トーハン図書館事業部部長執行役員・松木修一氏を講師に迎え、「地域をつくる!書店と図書館」の演題で講演会を開催。「地域づくりの核となる公立図書館を自分たちの手で育てようという動きが広がっている。地域の書店と福祉施設が連携し、自治体を巻き込み『地域の中で生かされる図書館』を具体化する動きがある」として、乗り越えるべき問題点や対応例などを説明した。
最後に、柳澤新理事長から塩川前理事長に感謝状が贈られ、大きな拍手の中、閉会した。
[長野組合役員体制]
▽理事長=柳澤輝久(西澤書店)
▽副理事長=平林幹夫(平林書店)柳澤準(屋代西澤書店)奈良井功(興文堂)唐澤宏彰(ニシザワ)
(唐澤宏彰広報委員)

5月期販売額は10・7%減/書籍、雑誌とも2桁減を記録/出版科研調べ

出版科学研究所調べの5月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比10・7%減となった。書籍が同10・3%減、雑誌は同11・0%減でともに2桁減を記録。雑誌の内訳は、月刊誌が同9・5%減、週刊誌が同16・9%減。
書籍は、前月は連休前の駆け込みで大物新刊が多数発売されており、5月期は新刊の刊行が大きく減少。雑誌も『週刊少年ジャンプ』(集英社)や『週刊現代』(講談社)などコミック誌や総合誌で刊行が1号少ない雑誌が多かったため、週刊誌のマイナスが非常に大きくなった。また、前月に抑制されていた返品が一気に増えたことも減少の要因となった。
書店店頭の売上げは、大型連休後の販売状況が低調で、書籍が前年同月に比べ約5%減。主要ジャンルはいずれも減少した。新書は『一切なりゆき』(文春新書)が120万部に伸長したが約3%減だった。
雑誌は定期誌が約7%減、ムックが約7%減、コミックスが約5%増。コミックスは映像化作品を中心にコンスタントにヒットが登場しており、前年を上回る売行きが続いている。

大阪読書推進会総会/「帯コン」運動を全国規模に

大阪読書推進会は6月18日、大阪市北区の朝日新聞大阪本社で総会を開催、大阪出版協会、取次、書店、朝日新聞大阪本社の合わせて20名が出席した。
総会は大阪組合・堀博明副理事長が司会を行い、大阪読書推進会・戸和繁晴実行委員長(大阪組合副理事長)が開会の辞を述べた。
大阪読書推進会の宮川健郎会長(大阪国際児童文学振興財団理事長)は、「本の帯創作コンクール(帯コン)」について「年々応募が増えて地域が広がっているのが如実に感じられ、大阪発の全国規模の催しになっていくのではないか」と期待を寄せた。また、大阪国際児童文学振興財団の編集で6月末に出版される『ひとりで読めたよ!幼年文学おすすめブックガイド200』(評論社)を紹介。「書店の手で売っていただき、財団と繋がってもらえればありがたい」と述べた。
朝日新聞大阪本社・西山公隆編集局長補佐は、「今までは、課題図書と募集要項の紹介は大阪版だけの掲載だったが、今回からは東は富山から西は広島までの北陸・近畿・中四国の各県版でも6月9日にカラー記事を載せ、東京・名古屋・大阪・西部の各本社でも社告として帯コン募集の記事を全国掲載した」と説明し、この運動を全国に広めたいと述べた。
出席者の自己紹介の後、事業報告・事業計画・会計報告・収支予算案を審議し、承認された。
閉会にあたりあいさつした大阪組合・面屋龍延理事長は、2001年に施行された「こどもの読書活動の推進に関する法律」に基づく府と各自治体の条例の成立以降について、大阪読書推進会の沿革を紹介した。また、2017年度から21年度を期間とする第5次「学校図書館図書整備等5か年計画」に伴う地方財政措置約2350億円について、図書関係費とするには各自治体で予算化の必要があることを説明。大阪府内の小学校図書館に課題図書を1セットずつ納めることができれば約1000セットになるとして、運動課題としたいと述べた。
(石尾義彦事務局長)

大好きな本絵画コンテスト/園児たちの力作集まる/神奈川県読書推進会

神奈川県読書推進会が主催する第13回「大好きな本絵画コンテスト」の表彰式が、6月15日に横浜市中区の全国共済ビルで行われた。
今回は、県内の幼稚園・保育園から応募された1195作品の中から入賞作を決定。表彰式当日は風雨が激しく参加者の出足が懸念されたが、受賞者と保護者だけでなく、おじいちゃん、おばあちゃんや幼稚園・保育園の関係者で会場は満員に。飛び入りで参加したご当地ヒーロー、〝横浜見聞伝スター☆ジャン〟の祝福もあり興奮状態の中、式が始まった。
主催者を代表して神奈川県書店商業組合・松信裕理事長があいさつし、続いて神奈川県教育委員会社会主事の鈴木智久氏が審査員講評を行い、「読んだお話の大好きな場面を思い浮かべて絵が描かれ、力作が非常に多く寄せられていて、どれを受賞とするか審査が大変だった」と述べた。
その後表彰式に移り、神奈川県読書推進会賞は藤沢芙蓉幼稚園の齋藤ティアナ瑠月ちゃんに贈呈。続いて各賞の表彰があり、その都度保護者や関係者から大きな拍手や歓声が送られた。最後に全員で記念撮影をして表彰式が終了した。今回の特徴として、受賞者のグローバル化が見受けられた。受賞作品は、全国共済ビルB1階で6月15日から22日まで展示された。
(山本雅之広報委員)

JPROへの書誌登録推進/「試し読み」事業等に取組み/JPO総会

日本出版インフラセンター(JPO)は6月19日、東京・千代田区の出版クラブビルで2019年度定時総会を開き、81社(委任状含む)が出席した。
冒頭、相賀昌宏代表理事は「必要に応じて組織を作ってきたが、同時に見直して簡素化もしている。これからも必要なものは作るが、仕事を広げるばかりではなく、必要でないものは変えていく。今年は数字的には悪くないが、来年以降は財務的に厳しくなると見ている。気を引き締めて取り組んでいきたい」とあいさつした。
このあと議案審議を行い、18年度活動報告、決算・監査報告、19年度活動計画、予算、役員選任の件、すべての議案を原案通り承認した。
出版情報登録センター(JPRO)については、19年3月末現在の利用状況は、登録出版社数1265社、受託利用社145社、書誌情報登録点数233万1968点(紙書籍212万7898点、電子書籍20万4070点)、出版権設定情報登録点数16万7291点(紙書籍12万694点、電子書籍4万6597点)と、「第2フェーズ」での仕様変更と日本書籍出版協会とのデータベース統合で登録点数が飛躍的に増加した。18年度の登録点数の新刊比率は書籍新刊57・6%、書籍新刊配本のみ71・3%、登録情報の平均比率は「書影有り」75%、「内容紹介(長文)有り」85%と、当初の目標を達成した。
書店マスタ提供サービスは19年3月末現在、会員社は387社で9社増加。また登録店数は1万3099店で前年比3・5%減と減少傾向が続いている。本年度より会費の大幅値下げを行うとともに、JPO正会員への利用料金負担を実質的になくし、会員各社への利便性向上を図っている。
店頭試し読みサービス「ためほんくん」コンテンツの配信は19年3月末に終了し、ためほんくん管理委員会の活動は残務整理を含めて6月末まで継続すると報告した。
19年度活動計画では、JPROの登録点数を増やすことで業界全体での利用促進を図るとともに、JPROでの「試し読み」や世界共通の書籍分類コード「Thema」(シーマ)の活用を検討する。
役員改選では、相賀昌宏代表理事を再任し、理事に小田光宏(日本図書館協会)、中部嘉人(文藝春秋)両氏を新任した。松井清人、森茜両氏は退任した。[役員体制]○印は新任
▽代表理事=相賀昌宏(小学館)▽専務理事=渡辺政信(JPO)▽理事=安西浩和(日販)○小田光宏(日本図書館協会)川上浩明(トーハン)佐藤隆信(新潮社)○中部嘉人(文藝春秋)野間省伸(講談社)藤原直(日書連)堀内丸恵(集英社)松原眞樹(KADOKAWA)▽監事=下中直人(平凡社)

執行役員に高田聡、池邉友彦両氏を新任/トーハン役員人事

トーハンは6月27日に開催した第72回定時株主総会で、執行役員に高田聡、池邉友彦両氏を新任するなどの役員の選任を行った。なお、栃木裕史常務取締役、森岡憲司取締役は退任した。
新役員体制は以下の通り。○印は新任。
[役員体制]
代表取締役社長
近藤敏貴
代表取締役副社長
川上浩明
取締役副社長田仲幹弘
専務取締役豊田広宣
同小野晴輝
同松本俊之
常務取締役藤原敏晴
同高見真一
同大西良文
取締役塚田達夫
同渡辺勝也
同堀内洋一
同齊藤貴
取締役(非常勤)
鈴木敏文
同赤尾文夫
監査役(常勤)本川幸史
同吉田尚郎
監査役(非常勤)
相賀昌宏
同岩瀬徹
顧問藤井武彦
[執行役員]
副社長執行役員(社長補佐、仕入部門・関係会社管掌、営業本部長兼商品本部長)川上浩明
同(総務人事部門・物流部門・渉外管掌)田仲幹弘
専務執行役員(営業本部副本部長、近畿支社長、名古屋支社・中国四国支社・九州支社担当)豊田広宣
同(複合事業本部長、海外事業部門担当兼広報担当)
小野晴輝
同(取引・経理部門担当兼不動産事業部門担当)
松本俊之
常務執行役員(営業本部副本部長、グループ書店事業部門担当)藤原敏晴
同(情報システム部門担当、プラットフォーム事業部長)高見真一
同(経営戦略部長)
大西良文
上席執行役員(CVS部門担当、CVS第一部長)
塚田達夫
同(複合事業本部副本部長、複合仕入部長)
渡辺勝也
同(特販首都圏支社長、市場開発部門担当)
堀内洋一
同(営業統括部長、支社総括担当、東部支社・中部支社担当、AI推進担当、図書館事業部門担当)齊藤貴
執行役員(図書館事業部長)松木修一
同(名古屋支社長)
金子俊之
同(情報システム部長)
青木亮二
同(商品本部副本部長、書籍部長)山下康治
同(経理部長)小寺勉
同(経営戦略部部長)
○高田聡
同(特販首都圏支社副支社長兼特販第二部長)
○池邉友彦

阿佐元明氏が受賞/太宰治賞

筑摩書房と東京・三鷹市が共催する第35回太宰治賞の贈呈式が6月17日、東京・千代田区の如水会館で開かれ、1201篇の応募作品の中から『色彩』で受賞した阿佐元明氏に正賞の時計と副賞の時計と副賞100万円が贈られた。
あいさつに立った阿佐氏は、自己紹介を兼ねて地域活動への思いを語りたいとして、「創作活動を始めたのは、立川市の公民館で受けた市主催の文芸講座がきっかけ。芸術、文化、教育を支える公共事業は浸透するまでに時間がかかる。自分も講座を受けてから20年以上かかって、やっと皆さんに読んでもらえるものを作ることができた。太宰ゆかりの街として文化芸術活動に取り組む三鷹市に敬意を表したい」と述べた。
筑摩書房・喜入冬子社長は「(三鷹市との共同開催で)復活したこの賞の22人目の受賞者となった阿佐さんが堂々と活躍することを期待する」と励ました。

新理事に矢幡秀治氏/文化産業信用組合

文化産業信用組合は6月26日開催の総代会で役員改選を行い、新理事に矢幡秀治氏(真光書店)が就任するなど、次の通り役員体制を決めた。◎印は昇任、○印は新任。
▽理事・会長=大坪嘉春(税務経理協会)▽代表理事・理事長=秋元康男▽代表理事・専務理事=広瀬正(営業本部長兼本店長)▽専務理事=◎福本光宏(監査室長)▽常務理事=柿本和美(管理本部長)▽理事=古山進(総務部長)江草貞治(有斐閣)相賀昌宏(小学館)鍬谷睦男(鍬谷書店)鈴木博(鈴木製本)滝澤光正(滝澤新聞印刷)竹尾稠(竹尾)南條光章(共立出版)橋本唱一(文唱堂印刷)福田光明(日伸ライトカラー)○矢幡秀治(真光書店)渡邊博之(博勝堂)渡部満(教文館)▽常任監事=瀬川福美(瀬川税理士事務所)▽監事=○黒澤文雄(ライオン印刷)○鈴木一行(大修館書店)▽相談役=吉富伸享(講談社)
※退任した木村篤義、舩坂良雄両氏は顧問に就任

新役員体制を決定/日本専門店会連盟

日本専門店会連盟(日専連)は6月18日開催の第69回通常総会および理事会で次の通り新役員を選任した。○印は新任。
▽理事長=山口哲男▽副理事長=大西賢治、菊池恒、○大谷均▽専務理事=佐藤章▽理事=臼井呉行、成田耕造、森惠一、長谷川誠、○岩井久(日専連青年会連合会会長)、○柏谷誠司(㈱日専連代表取締役社長)▽理事事務局長=幸田富▽常任監事=野村信一▽監事=○松本静穀、○則武善三、北島緑(員外)
※須賀克敏常任理事、鎌田嘉範、岡本公夫、津村潤治、大塚徹各理事、種村桂介監事は退任した

「ネットと共存する柔軟性を」/イベントやSNSでの発信も/東海日販会

東海日販会は6月11日、名古屋市中区の名古屋東急ホテルで第63回通常総会を開催し、会員書店、出版社、日販関係者など総勢300名が出席した。
冒頭あいさつした片桐榮子会長(磨里書房)は「書店が生き残っていくためには、書店自体が魅力あるものであり続けなければならない」と指摘し、イベントやSNSを活用して売場から顧客に訴求する取り組みが必要との考えを示した。
また、本の紹介動画をユーチューブに投稿する「ブックチューバ―」に触れ、「今アメリカで注目されていて、カリスマブックチューバ―が取り上げると売上げが20%アップしたという。ネットを敵視するのではなく、共存していく柔軟性を持ち、ブックチューバ―のようなキュレーターを利用することも考えていくべき」と話した。
来賓あいさつで日販・平林彰社長は、同社が運営する入場料金制の書店「文喫」が、優れた顧客体験を設計・実現したサービス・プロダクトに贈られる「CXAWARD2019」を受賞したと報告した。
富樫建執行役員は、「現代の若者はデジタルネイティブ。スマホで何でもできる時代になっている。一方、人々の心を動かす鍵となるのはリアルな体験。コト消費としてビジネス化することが集客のために必要」として、同社が手掛けるブックホテル「箱根本箱」や「文喫」を紹介。店舗イノベーション戦略として①コンベニング、②セールスミックス、③新業態――の考え方を説明した。
第2部は、カレーハウスCoCo壱番屋を運営する壱番屋の創業者特別顧問・宗次徳二氏が「顧客の声に全て商売の答えがある」をテーマに講演。また、社会貢献活動として、愛知県母子寡婦福祉連合会に図書を贈ることとし、同会理事兼愛知昭和荘荘長の冨山正美氏に目録を授与した。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

若村育子著『健康食品・サプリそのネーミングにだまされてますよ』(ワニブックスプラス新書880円)は食生活が不安な人が飛びつきやすい健康食品の商品名のおかしさを指摘していく。
1日分の野菜が摂れそうな気にさせる「野菜一日これ一本」「充実野菜」を取り上げ、メーカーや消費者庁などに問い合わせながら消費者に繋ぐ。結局、野菜汁は半分になったものの表示は変わらず、ミックスジュースのまま、野菜が十分に摂れるという錯覚を喚起させながら販売されている。
そのほか青汁、黒酢、ダイエットサプリ。ブルーベリー製品でもないのに「ブルーベリー300倍パワー」を名乗る商品。天然水すらも定義はなく、むしろ水道水の方がミネラルは多いという。
近藤誠著『医者が教える「がん」にならない30の習慣』(宝島新書780円)は、がんの標準治療に異議を申し立てる著名な医師の最新の本。
医療も健康食品と同様に、すでに誤りと解っている治療を患者=消費者に示すことが多い。
たとえば塩分はがんや高血圧に関係はない。塩の消費量全国4位の長野県民が長寿であることも塩の安全を示している。
2冊とも情報の取捨選択能力が自らに問われるのだと教示している。