全国書店新聞
             

平成30年3月15日号

東京理事会で景品規約の説明会/公取協・元永専務が景品の概要を解説

東京都書店商業組合(舩坂良雄理事長)は3月2日、東京都千代田区の書店会館で行った定例理事会で、出版物小売業公正競争規約(以下、規約)の説明会を開催。出版物小売業公正取引協議会(公取協)の元永剛専務理事が、規約における景品の定義や、景品の提供の制限などについて解説した。講義を抄録する。
規約における景品の基本について述べると、「本を買った方に差し上げる粗品」のようなものを景品といい、「ゴルフコンペの賞品」のように取引を伴わないものは、規約上の景品には該当しない。
「景品」とは、①顧客を誘引するための手段として、②商品の取引に付随して提供する、③経済上の利益。④ただし、値引、アフターサービス及び本の付属品は含まない。この4項目全てに合致するものが景品となる。
景品と、経済上の利益や特典との関係を表したものが表1になる。経済上の利益とは、物品、金銭その他の経済的価値のあるもの全てを指す。自動車を購入した時に付属しているスペアタイヤは、全体で車という1つの商品なので、景品にはあたらない。オープン懸賞は、来店や購入を条件にせず誰でも応募でき、取引に付随していないので景品ではない。表彰状や著名人のサインなどは、価値があるものであっても対価を支払って受け取る「経済上の利益」ではないので、景品には含まれない。値引については後で説明するが、似て非なるもので、規約の定義からすると景品にはあたらない。
表2に規約の制限早見表を示した。景品は懸賞と総付けに大別され、懸賞はさらに一般懸賞と共同懸賞に分かれる。懸賞とは、多数の中から抽選などの方法で特定の者を選び、その当選者に景品を提供するもの。共同懸賞は、日書連や商店街組合等が行うような懸賞で、一般懸賞はそれ以外の、各書店が主体となって実施するものになる。
これに対し総付けは、①購入者等の全員にもれなく景品を提供する場合、②先着順で(何名かに限定し)景品を提供する場合など――とし、懸賞以外のものを全て含んでいる。
提供する券類・カード類は、特定の利益を表章するものなので、規約では、その元の「特定の利益」は何かを考え、次のように景品か値引かを分類する。
①物品・役務と交換されるもの(→景品)
(例)ポイント、シール、スポーツ・映画・演劇の入場券、ビール券
②買い物代金の支払いに充てられるもの(対価の減額→値引)
(例)ポイント、シール、割引券(金額証又は率で表示されたもの)
①と②の混合型
表3に、券類・カード類の分類をまとめた。図書カードは酒屋が出す場合は景品になるが、書店が出す場合は自他店用であり、金額表示されているので値引扱いになる。これは規約の定義上の話なので、再販ではまた別問題だ。
規約では、一般懸賞と総付けについては実施回数と実施期間を制限し、年2回90日以内としている。これは、暦年等の固定的な1年間ではなく、どの日を基準にとってみても1年間に2回90日に収まっていなければならないという趣旨だ。回数は、何日間にわたる場合であっても継続している限り開始日を基準に1回とカウントし、日数については、回数と同じ1年間の合計日数を通算する。
販売地域を区分して実施する場合は、それぞれの地域において原則として年2回90日とする。例えば、A県B市に10店舗を持つ店が、B市のとある支店で1回実施した場合は、原則として、A県で1回実施したとカウントする。
最後に、再販売価格維持契約(再販契約)の割引類似行為と規約上の値引の関係について。「値引」という文言は、独占禁止法上も、再販契約でも使われていない。独占禁止法では、著作物を発行する事業者が、販売業者の「再販売価格を決定し、これを維持するためにする正当な行為」ができるとしている。これを受けて再販契約では、「(書店は)…定価を厳守し、割引に類似する行為(割引類似行為)をしない」とし、ペナルティも定めている。
いかなる行為が再販契約にいう「割引類似行為」となるのか、規約上の値引は当然に含まれるとしても、その範囲が問題となる。
例えば、書店が①値引と物品等の選択制にして提供する場合、又は②他店で使うという条件付きで図書カードを提供する場合、再販契約上、割引類似行為(値引)とみなすのか否かということだ。
これらは規約ではいずれも景品に分類されるが、実質的には値引行為そのものなので、再販契約では割引類似行為に当たると解される。私は、割引類似行為というものは、表4に図示したように、規約の方の値引と、景品の一部を足したものと考えている。

書店くじ立替金振り込みました

昨年秋実施した「2017読書週間書店くじ」で各書店にお立て替えいただきました1等1万円、2等千円、3等5百円、4等百円の清算業務は終了いたしました。入金をご確認いただくようお願いします。書店くじ係

コミック分科会に382名が来場/第8回書店大商談会

第8回書店大商談会「コミック分科会」(「書店大商談会」実行委員会主催)が2月8日に東京都文京区の講談社講堂で開催された。
今回の分科会は、午前11時半からと午後3時からの2部制で行い、出版社24社が出展して総勢382名が来場。書店の参加は前回より74名少ない159名だった。成立した商談は609件、金額は1019万9465円(前回比93・0%)だった。
10月26日開催の商談会本会とコミック分科会を合わせた来場者は2624名、商談成立金額は8991万7304円(同84・9%)となった。

総会は5月18日開催/大阪理事会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は2月10日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。
平成30年度東淀川読み聞かせ事業で、大阪市東淀川区役所から提示された仕様書について、出版文化産業振興財団(JPIC)、読み聞かせボランティア「とことこ」と協議した結果、提示予算枠では実施不可能と判断。2月2日の応札手続きをしなかったことを説明し、承認した。
面屋理事長から、書店経営環境改善について日書連舩坂良雄会長、鈴木喜重副会長らとともに2月6日に日経BPと大阪屋栗田を訪問、日経BPマーケティング・中島久弥社長、大阪屋栗田・大竹深夫社長と懇談したと報告があった。
[総務委員会]
平成29年度総会は5月18日(金)午後2時から、尼信会館で開催することを承認した。
[読書推進委員会]
2018・第14回本の帯創作コンクール表彰式は、11月10日(土)に大阪府立中央図書館ライティホールで開催。協賛出版社募集や自治体後援名義使用の申請、課題図書選定会議のスケジュールを報告した。
[出版販売倫理・共同受注委員会]
「大阪府万引き総合対策協議会」第1回総会が2月16日に大阪府警本部で開催されると報告した。
[図書館・情報化委員会]
1月18日の図書館委員会で、公共図書館と学校図書館の現況と対応を協議。1月26日に大阪市立中央図書館で開かれた公共図書館講習会で、公明党市会議員から出た質問について報告があった。
[レディース委員会]
今年のレディースランチは大阪市旧桜宮公会堂とし、7月開催で調整することにした。
(石尾義彦事務局長)

日書連のうごき

2月6日書店環境改善で日経BPマーケティング、大阪屋栗田訪問に舩坂会長、鈴木、面屋両副会長が出席。雑誌コード管理委員会に柴﨑副会長が出席。子どもの読書推進会議に西村副会長が出席。
2月7日全国中小企業団体中央会の連合会研修事業説明会、組合決算実務講習会に事務局が出席。NHKテキスト説明会に舩坂会長が出席。
2月8日JPO運営委員会に柴﨑副会長が出席。
2月9日潮アジア・太平洋ノンフィクション賞贈呈式に舩坂会長が出席。
2月13日読書推進運動協議会理事会に舩坂会長、西村副会長が出席。書店環境改善でKADOKAWA訪問に舩坂会長、鈴木、面屋副会長が出席。
2月14日常設委員会・部会を開催。
2月15日定例理事会を開催。「よろず支援拠点事業」(中小企業基盤整備機構)、「最低賃金制度」(厚生労働省東京労働局)の説明会を開催。図書コード管理委員会に藤原副会長、志賀理事が出席。
2月22日学校図書館整備推進会議幹事会に事務局が出席。
2月23日書店環境改善で集英社訪問に舩坂会長、鈴木、面屋両副会長が出席。万引防止出版対策本部に事務局が出席。
2月28日文化産業信用組合理事会に舩坂会長が出席。

「春夏秋冬本屋です」/「新年度、青年部が変わる」/大分・おおくま書店店長・大隈智昭

3月になって今年度の終了と新年度の準備という言葉をよく聞くようになった。当店は学校教科書を取り扱っていることと学校図書館・市立図書館業務が多いので他人事ではない。倉庫は教科書でいっぱいになり、生徒向けの色々な組み合わせの真っ最中、担当高校は合格発表4日後の入学説明会で合格者全員への教科書・教材販売を行うので、教科書販売が開始されるのはその日からということになる。
図書館は予算の片付けや司書の異動等と忙しそうで、芥川賞、直木賞、本屋大賞のことも気にはなるけど…みたいな感じ。本屋と話をする時間もあまりなさそうだ。ワタシ的には教科書業務もあるから丁度いい、などと言ったら怒られるか。
まだ役所から正式通達は来ていないが、来年度も別府市立図書館への納品は3書店での納入組合が行うことになる予定だ。しかし、登録・装備でお手伝いをいただいていた丸善とは契約が終了したので、書店自らの業務となることも大きな新年度変更ではないかなとワタシは思っている。
2月21日の大分県書店商業組合の理事会で、青年部の会議を理事会と同じ回数開きたいという青年部からの提案が叶った。ただ青年部全員教科書担当書店なので、こちらも新年度早々より始まるイベントとなる。
さて、2ヵ月に一度のエッセイ投稿が終わってとりあえず一安心。子供の頃から作文なんて書けないワタシに少しは人並みな文章を書けるようにしてくれた企画をありがとうございました。

「春夏秋冬本屋です」執筆陣が4月1日号から代わります

街の本屋が日々の仕事を通じた喜びと手応えを綴る「春夏秋冬本屋です」の執筆陣は、4月1日号から以下の4氏に代わります。引き続きご期待ください。
東京・山陽堂書店 遠山秀子氏
福井・じっぷじっぷ 清水祥三氏
大阪・ブックスふかだ 深田健治氏
熊本・宮崎一心堂 宮崎容一氏

景品規約の説明会開く/東京理事会

東京都書店商業組合(舩坂良雄理事長)は3月2日、東京都千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。主な審議・報告事項は以下の通り。
[組織委員会]
2月8日に開かれた第8回「書店大商談会」コミック分科会について報告。同商談会の実行委員長を務める矢幡秀治組織委員会委員長は、「参加人数、商談成立額は前回より減ったが、来場した方には喜んでいただけたと感じている。周知についての課題などを解決し、次の商談会につなげていきたい」と述べた。
出店情報では、HMV&BOOKSHIBIYACOTTAGE(千代田区・3月23日開店予定)、hmvBOOKstoreミーツ国分寺(国分寺市・4月7日開店予定)について報告した。ともに出店者はローソンHMVエンタテイメント。
[事業・増売委員会]
東京組合が後援して2月17~18日に行われた読書イベント「築地本マルシェ」(同実行委員会主催)は、累計来場者数は約4千人と報告があった。
理事会終了後、出版物小売業公正取引協議会の元永剛専務理事を講師に、出版物小売業公正競争規約に関する説明会を行った。

県立高校書籍納入で公明党議員と懇談へ/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合(井上俊夫理事長)は1月23日、横浜市中区の華正樓会議室で定例理事会を開催した。
報告事項では、県立高校の図書館納入問題で2月2日に公明党県議会議員と話し合いを行うと報告。県立高校の図書館には雑誌のみで書籍の納入がほとんど行われていない現状があり、公明党議員にこの実態を理解してもらい、地元神奈川県の書店から納入が行われるよう、改善の糸口を見いだせる会合にしたいと説明があった。
理事会の議事では、2店舗の等級変更と1店舗の閉店に伴う脱会を承認した。このほか、日書連が実施する書店くじが減少を続けていることについて、実施方法やくじの購入単位などの変更を検討する時期に差し掛かっているのではないかとの意見が出された。
理事会終了後、宴会場に場所を移して新年懇親会を開催。出版社、取次、報道関係を交えて情報交換し、友好を深めた。
(山本雅之広報委員)

マスコットキャラの名を冠した囲碁大会「ブックン杯」に協力/京都組合

京都市中京区の寺町通二条から丸太町の間にある商店街「商店街振興組合寺町会」は、2月18日、同商店街のパン製造販売店「進々堂寺町店」2階ブールホールで、京都府と隣接する府県の小学生を対象に「ブックン杯子ども囲碁大会」を開催した。
京都府書店商業組合(犬石吉洋理事長)や京都市教育委員会、日本棋院京都本部、京都新聞COM、KBS京都放送局が後援。大会名に冠した「ブックン」は、犬の姿をした書店組合のマスコットキャラクター。組合員からの要請があれば着ぐるみを貸し出している。
京都府中小企業団体中央会の補助金で事業総予算の3分の2を賄い、日本棋院京都本部と関西総本部が棋士を3名派遣。佃亜紀子5段は大会審査委員長と初心者用の囲碁教室を担当した。書店組合からは森武紀明副理事長(山城書店)、洞本昌哉副理事長(ふたば書房)と商店街内の組合員書店を含む計4名が関連書籍の販売を行った。
当日はアマチュア3段以上の実力者4名を含む計13名の小学生とその保護者が参加。試合形式は同程度の実力者同士のリーグ戦を午前と午後に分けて行い、最後に勝ち数の多い者同士で決勝トーナメントを行った。初級者と保護者用に開いた囲碁教室や親子対抗での連碁(一人一手交代で打つ囲碁)などを試合の合間に挟むことで試合に負けた選手が暇を持て余すこともなく、商店街が派遣した司会者の須藤優美氏と佃5段が流動的に進行した。
参加費用は1千円。参加者全員に商店街の飴販売店「豊松堂」製の「碁石状の飴」が配られ、優勝者には5千円分、準優勝者には3千円分の図書カードと賞状を贈呈。盛況のうちに終了した。(若林久嗣広報委員)

2017年の年間店頭売上4・7%減/コミックの落ち込み大きく/日販調べ

日販営業推進グループ調べによる2017年1月~12月のPOS調査店の店頭売上前年比の調査結果が発表された。全体の売上は前年比4・7%減と低調だった。
書籍は同1・9%減と比較的健闘した。「うんこ漢字ドリル」(文響社)が貢献した学参が同7・8%増。このほか前年を上回ったのは文芸書が同2・1%増、新書が同2・5%増。
雑誌は同6・6%減。内訳は月刊誌が同5・3%減、週刊誌が同9・2%減、ムックが同7・0%減。
コミックは海賊版サイトや電子化の影響を大きく受けて同9・5%減と大きく落ち込んだ。
開発品は宝島社、スクラッチアート関連本が好調だった学研プラスが売上を大きく伸ばし、同10・9%増と2桁伸長となった。

3人の受賞者が喜びを語る/第158回芥川賞・直木賞贈呈式

第158回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の贈呈式が2月22日、都内のホテルで開かれ、芥川賞を受賞した『百年泥』(新潮11月号)の石井遊佳氏、『おらおらでひとりいぐも』(文藝冬号)の若竹千佐子氏、直木賞を受賞した『銀河鉄道の父』(講談社)の門井慶喜氏に正賞の懐中時計と副賞の賞金100万円がそれぞれ贈られた。
石井氏は「私は人間を描くことにあまり興味がない。描きたいのは世界。ヘンテコな世界のありさまやからくりを、言葉の可能性を最大限に発揮して描きたい」と抱負を語った。
若竹氏は「今63歳。もっと良い小説が書けると思っている。まだ高みを目指す。人生百年時代。60歳なんまだまだチャンスがある。皆さん、どうぞ見ていてください」と宣言した。
門井氏は「受賞作で書いた宮沢賢治も直木三十五も破天荒な人生を歩んだ。自分の人生も同じ。2人とも早く亡くなったが、そこは見習わず、少しでも長く直木賞作家の看板を背負わせてほしい」と述べた。

訃報

浜田博信氏(はまだ・ひろのぶ=講談社特別顧問、元代表取締役副社長)かねてより病気療養中のところ、2月24日、死去。75歳。葬儀は近親者で執り行った。お別れの会は未定。
平成21年~同29年に日本図書普及の代表取締役社長を務めるなど、業界関係の役職も多数歴任した。

講談社、増収減益の決算/電子・版権ビジネスが成長/常務に峰岸、古川、渡瀬の3氏

講談社は2月20日、東京・文京区の本社で定時株主総会を開催し、第79期(平成28年12月1日~平成29年11月30日)決算と役員体制を発表した。
売上高は1179億5700万円(前年比0・6%増)。デジタル・版権ビジネスなどの事業収入が収入総額の30%超を占めるまでに成長し、紙の出版物の落ち込みをカバーした。
一方、発行部数の減少と売上率の減少で原価率が上昇し、パートワークの創刊宣伝費、デジタルの収入増に伴う販売費、社屋の修繕費、年金費用などが増加した結果、営業利益は同11億円減の19億円、経常利益は同8億円減の43億円を計上。税引前当期純利益は36億7800万円(同21・5%減)、当期純利益は17億4800万円(同35・6%減)と、増収減益の決算となった。
売上高の内訳は、雑誌(コミック含む)が558億9800万円(同10・9%減)、書籍が176億8700万円(同1・8%増)、広告収入が46億1100万円(同1・2%減)、事業収入が357億1600万円(同26・0%増)、その他が9億800万円(同8・7%減)、不動産収入が31億3400万円(同増減なし)。
紙の出版物が落ち込む一方、事業収入の伸長は著しく、デジタル関連が249億円、国内版権が63億円、海外版権が43億円と、いずれも前年を上回った。吉富伸亭取締役は「デジタル・版権ビジネスは引き続き業容を拡大。社業の第2の柱と呼べる規模になってきた」と述べた。
野間省伸社長は「2年連続の増収増益は達成できなかったが、出版業界全体の売上が前年比6・9%減の逆風の中、前年とほぼ同水準の結果を出せたことは一定の成果と考えている。電子書籍や版権ビジネスなどの事業収入が、紙の減収分を上回る増収を記録した」と評価し、「時代の激しい変化に対応するため、体質改善を引き続き積極的に行う」との方針を示した。そして、出版界は大きな岐路に立っているとの認識を示した上で、「これまで通りの発想と行動では厳しい逆風に立ち向かうことはできない。競争相手は従来の出版社だけではなく、新しいテクノロジーを携えて参入してくる新興企業。彼らは出版業界の慣習を軽々と乗り越え、思いも及ばない方向から攻めて来る。発想を変え、新分野に乗り出し、大胆なチャレンジをする。守るのではなく攻めることが、生き残り、成長するために求められている。講談社はこれからも挑戦を続ける」と意欲を語った。
役員人事では、峰岸延也、古川公平、渡瀬昌彦の各取締役が常務に昇任。吉羽治氏が取締役に新任した。森武文副社長は取締役相談役、鈴木哲常務は顧問に就任した。
新役員体制は以下の通り。(◎は昇任、○は新任)
代表取締役社長
野間省伸
常務取締役(社長室、総務局、編集総務局)
金丸徳雄
同(販売局)◎峰岸延也
同(ライツ・メディアビジネス局)◎古川公平
同(広報室、第五事業局)
◎渡瀬昌彦
取締役(第三事業局、第四事業局)森田浩章
同(第六事業局)
清田則子
同(第一事業局、第二事業局)鈴木章一
同(経理局)吉富伸亭
同(IT戦略企画室)
○吉羽治
取締役相談役(社業全般)
森武文
取締役(非常勤)
重村博文
同(同)大竹深夫
常任監査役白石光行
監査役足立直樹
顧問鈴木哲

トーハン、北陸豪雪被害書店に金融支援実施へ

トーハンは3月1日、2月上旬に北陸地方に大きな被害をもたらした豪雪で、取引先書店への支援策を発表した。2月支払い分の一定猶予等の金融支援を行う。
同社が出した文書は以下の通り。
【平成30年北陸豪雪における取引先書店様への支援について】
今般、北陸地方への37年ぶりとなる記録的な豪雪により、交通網の麻痺等で当該地域の皆様には、市民生活にも被害が及びました。
出版物につきましても、出版輸送が停滞し予定通りに出版物をお届けできない事態が発生し、売上げ面で取引先書店様においても影響が出ています。
トーハンといたしましては、この度の北陸地方における雪害を受けた取引先書店様の状況を鑑み、2月の支払い分について一定の猶予等の金融支援をとる方針であります。
支援の方策については、取引先書店様と個別に連絡をとって対応して参ります。

執行役員制と本部制を導入/奥村MPD社長が常務に/日販

日販は2月20日開催の定例取締役会で、4月1日付の機構改革および2018年度(第71期)役員体制を決議し、同日発表した。
機構改革では執行役員制と本部制を導入する。管理本部・仕入流通本部・営業本部・物流本部の4本部を新設し、営業本部長には吉川英作副社長、仕入流通本部長には安西浩和専務、管理本部長と物流本部長には酒井和彦専務が就く。役員人事では奥村景二取締役(MPD社長)が常務に昇任する。
6月27日付の役員人事では大河内充、清地泰宏の両常務、竹山隆也、横山淳、逸見剛、西堀新二、北林誉の各取締役、久保朗常勤監査役が退任し、このうち竹山、横山、逸見の各氏は上席執行役員、清地、西堀の両氏は執行役員に就任する。また、大久保元博氏が監査役に新任する。6月27日開催の定時株主総会で正式決定する予定。
[機構改革]
(1)執行役員制の導入
事業執行責任者(執行役員)を配置し、取締役はよりグループ全体の経営的な役割を担う。執行役員、取締役とも、従来の担当に加え、グループにおける事業推進の役割をもつ。経営・執行体制の明確化により、機動的かつフレキシブルな体制を構築する。
(2)本部制の導入
管理本部、仕入流通本部、営業本部、物流本部の4本部を新設し、本部以下の組織をシンプルな階層構造に再編することで、迅速な意思決定の体制を構築する。
①管理本部=経営戦略室、経理部、人事総務部、ビジネスサポート事業部、システム部
②仕入流通本部=流通改革推進部、マーケティング部、仕入部、輸配送改革推進室、CVS部
③営業本部=営業推進室、リノベーション推進部、営業各支社、ネット営業部、図書館営業部
④物流本部=流通計画室、王子流通センター、ねりま流通センター
[役員体制]6月27日付
代表取締役社長・社長執行役員平林彰
代表取締役副社長・副社長執行役員(営業本部長、商品開発部・エンタメ事業部総括、グループ出版流通事業・グループ小売事業統括)吉川英作
専務取締役・専務執行役員(仕入流通本部長、取協担当)安西浩和
同・同(管理本部長、物流本部長、グループ財務・グループIT統括、グループロジスティクス事業担当)
酒井和彦
常務取締役・常務執行役員(営業本部副本部長、特販支社・首都圏支社・東部支社担当、B・Story代表取締役社長)
髙瀬伸英
同・同(営業本部副本部長、MPD代表取締役社長)奥村景二
社外取締役(カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役社長兼CEO、TSUTAYA代表取締役会長兼CEO)増田宗昭
同(講談社代表取締役社長)野間省伸
監査役宮路敬久
同大久保元博
社外監査役(相原法律事務所代表・弁護士)
相原亮介
同(税理士法人髙野総合会計事務所シニアパートナー・公認会計士・税理士)
真鍋朝彦
相談役(小学館代表取締役社長)相賀昌宏
同(紀伊國屋書店代表取締役会長兼社長)高井昌史
同(有隣堂代表取締役社長)松信裕
同(三省堂書店代表取締役社長)亀井忠雄
上席執行役員(関西支社長、中部支社担当)
竹山隆也
同(中四国九州支社長)
横山淳
同(特販支社長、特販第一部長)逸見剛
執行役員(グループ小売事業首都圏担当、リブロ代表取締役社長、万田商事代表取締役社長、あゆみBooks代表取締役会長、東武ブックス代表取締役会長)
清地泰宏
同(管理本部副本部長、経理部・人事総務部・ビジネスサポート事業部担当)
西堀新二
同(物流本部副本部長、王子流通センター・ねりま流通センター・流通計画室担当、王子流通センター所長、出版共同流通代表取締役会長)髙田誠
同(日販コンピュータテクノロジイ代表取締役社長、ファンギルド代表取締役社長、日本出版販売経営戦略室部長、グループコンテンツ事業担当)藤澤徹
同(ダルトン代表取締役社長、グループ文具雑貨事業担当)佐藤弘志
同(ネット営業部・図書館営業部担当、図書館営業部長)野口瑞穂
同(日販アイ・ピー・エス代表取締役社長、グループ海外事業担当)牛山修一
同(グループ小売事業中部西部担当、いまじん白揚代表取締役社長、Y・space代表取締役会長、積文館書店代表取締役会長)
露木洋一
同(仕入流通本部副本部長、仕入部・マーケティング部・流通改革推進部担当、仕入部長、マーケティング部長、広報室長)
中西淳一
同(商品開発部長、エンタメ推進部長)安井邦好
同(営業推進室長、リノベーション推進部長、ASHIKARI代表取締役社長)富樫建

「能勢仁が語る書店史道を拓いてくれた人」/オーム社・下村彦四郎氏

下村さんには3冊の名著がある。第1作は『書店はどうすればよいのか』(1965年刊)である。書店の悩みと対策、流通革命、伸び悩む老舗書店、ブックコミュニケーションビューローなど新説も披露されている。第2作は『書店の人と商品をどうするか』(1966年刊)。商品構成、店売の基本技術、店員教育が説かれている。第3作は『棚の生理学』(1970年刊)。人件費をベースに考えた書店の動態的商品構成である。現在でも出版メディアパルで購入できる。いずれも古さを感じさせない本である。
オーム社は京都で大型書店を経営していた。注目されたのはこの店の売上管理であった。毎朝の朝礼で本日の売上目標が発表される。各フロアーの各レジの上部に目標数字が明示される。午後3時に各レジのXレジ数字(中間時点売上金額)が集計され、Zレジ(レジ〆)6時までの3時間で、本日の売上目標に達するか、この3時間がオーム社書店の死闘の時間である。全社員がこの目標に向かって動く。下村さんは出版営業部長の立場で書店に数値管理を教えてくれた。小生の脳裏に鮮明に残っている言葉は、「数字と数値」は違うことだった。数字は過去のデータで、数値は分析後の数字で、前進のための活用数字である。数値化することが経営ですよと教えられたことを今でも忘れられない。
(ノセ事務所代表)

アスキー事業を移管/KADOKAWA

KADOKAWAは2月27日、アスキー・メディアワークス事業局のアスキー事業を角川アスキー総合研究所へ4月1日付で事業移管すると発表した。
主な対象事業は、「週刊アスキー」などIT関連メディア事業、EC事業、マーケティングソリューション事業、年賀状素材集など出版事業。広告営業窓口、出版物の発売元はKADOKAWAのまま変更しない。移管方法は会社分割。
同社は「KADOKAWAアスキー事業と角川アスキー総合研究所の持つシンクタンク機能のリソースやノウハウが集約され、これまで以上にIT関連メディア事業、マーケティングソリューション事業、出版事業などを強力に推進していく」としている。