全国書店新聞
             

平成18年2月1日号

経営実態調査、回収率28・7%に

書店経営実態調査の回収状況は1月26日までに1997通、回収率28・7%となった。回収率ベスト3は①岐阜56・7%、②青森43・0%、③愛知、石川36・2%。2月に集計作業に入り、5月総会を目途に報告書をまとめる。

平成17年読書週間書店くじ特賞当選者

北海道・邑井佐知子(いそざき商店)、北海道・石郷岡美花、帯広市・石崎千夏、函館市・小林涼介(大文堂)、岩手県・佐藤友代(本のくずおか)、盛岡市・沢田司(さわや書店)、鶴岡市・柿崎駿平(こまつ書店西田店)、栃木県・大根田和久(森百貨店)、所沢市・青木美里(けやき書房)、相模原市・菅谷英彦(書泉)、川崎市・遠藤勝弘、甲府市・高柳綾子(朗月堂)、甲府市・長田昌寛(朗月堂)、四日市市・肥満智紀(西脇書店)、長岡市・加藤広基、射水市・川波貴之(Booksなかだ姫野店)、箕面市・高橋誠(博文館書店)、交野市・樋口志佐美(中書店)、大阪市・井添允子(大正書房)西宮市・黒田陽子、玉野市・野上哲也(ブックプラザAZ本店)、東広島市・重津雅子(括弧内発券店)

書店の景品規約改訂問題、臨時総会開き採決へ/小売公取協

出版物小売業公正取引協議会は、1月27日、箱根・湯本富士屋ホテルで開かれた理事会で井門照雄会長が公正競争規約改訂案を提示した。改訂案では景品類提供を7%とする現行の公正競争規約は改訂せず、施行規則で①景品提供の期間制限を年2回60日以内から年2回90日以内に、②個店のトレーディングスタンプ等の提供は2%まで、③ただし、施行から1年以内は1%とし、3年後に見直しする――という案。しかし、この日の理事会でも結論には至らなかったため、各県組合に持ち帰り、2月10日に臨時総会を招集して改訂案の可否を問う。
27日の理事会では、井門会長より出版物小売業公正競争規約の変遷について説明があり、「現行規約は平成14年に3年以内に見直しを行うとし、7月から見直しされるはずだったが、すでに7カ月経過している。昨年9月に景品提供のトレーディングスタンプ等は個店で実施する場合1%までとする案を可決し、公取委に示したが、公取委は3%にと注文を付け、10月理事会で再度1%案を可決した。事態を打開するため、案をまとめた」と述べ、理事会に変更案を提示した。
変更案では「公正競争規約」の本体はいじらず、「施行規則」のみ改訂を図る。改訂されるのは期間制限の「年2回・60日以内」を「年2回・90日以内」に拡大するほか、個店が行うトレーディングスタンプ等のサービスは年間を通じて2%まで可能となる。ただし、経過措置で施行から1年以内は1%とした上、3年以内に見直しを図る。
井門会長は、「改訂案がまとまらなければ、期間制限を規定した施行細則自体が廃止され、景品は7%まで自由に出せることになる」と指摘し、出席理事の理解を求めた。
これに対し、東京組合から「読者は景品も値引きも区別が付かない。電鉄系書店やCVSを刺激する。通年出せるポイントサービスは絶対反対。現行規約の維持を」と、強硬な反対意見が示された。また、「所属組合に戻って、意見をまとめたい」「改めて理事会を召集して欲しい」などの意見が複数の組合から上がり、採決で結論を出すには至らなかった。
小売公取協の次回定例理事会は2月23日(木)に予定しているが、公取委の側で改訂案を認定するのに必要な手続きから逆算して2月10日に臨時総会を招集することになった。

2月10日に臨時総会召集

出版物小売業公正取引協議会(井門照雄会長)は1月30日、正副会長会を開き、小売公正競争規約の改訂問題で今後の対応策を検討した。この結果、2月10日(金)午後1時から書店会館で臨時総会を開催して、改めて規約改正案の賛否を問うことを決めた。

各県に情報化で補助金/申請で1県20万円限度/1月理事会

〔スタートアップ〕
各県組合への情報化資金は今年度も1組合あたり上限20万円を補助するため、申請を呼びかけた。
レンタルコミックの貸与権問題で、出版物貸与権管理センターとレンタルコミック店285店舗が加盟する日本コンパクトディスクビデオレンタル商業組合との話し合いが基本案でまとまり、7月からの正規運用を目指すことになった。レンタル店の使用料は定価550円以下の本は270円とし、新刊発行後1カ月は貸し出しできない。
〔増売運動〕
昨年の読書週間書店くじ特賞当選者は22名が名乗りをあげ、5月12日から19日までオーストリア旅行に招待する。春の書店くじは4月20日から30日まで実施、特賞オーストラリア6日間の旅に申込み店から抽選で3店を無料随行員とする。
〔読書推進〕
北海道札幌で行ったキャンペーン「本屋の親父のおせっかい/中学生はこれを読め」について、高須委員長は「静岡組合でも取り上げ、愛知組合も研究している」として、各県でも検討するよう求めた。読売新聞3月1日付夕刊の広告特集の件では、日書連加盟店の中から書店員20名の「お薦め本」を掲載することになり、協力していく。
〔流通改善〕
昨年暮れ26日に藤原委員長がトーハン、日販、栗田を訪問。ハリー・ポッター第6巻の販売条件について意見交換したが、各取次から静山社に販売面の指示は与えていないと説明があったという。
〔取引改善〕
1月17日に委員会を開き、不公正取引監視機構のあり方について意見交換した。名称、目的、構成を2月理事会に提起する。雑誌付録問題は1月23日に雑協との間で会合をもち、情報交換を行った。
〔指導教育〕
個人情報保護の問題で大橋委員長は「注文伝票に読者の個人情報が流れることのないよう、書式を変更する。注文データは利用後、書店で責任をもって廃棄してほしい」と述べた。

再販研究委員会新年会

出版再販研究委員会は1月25日午後5時半から上野・伊豆栄本店で新年懇親会を行い62名が出席した。
朝倉委員長は「今年も再販について研究していきたい」とあいさつ。各団体あいさつでは雑協白石理事長が「出版再販がなぜあるか、知っている人は伝え、知らない人は学ばなければいけない。再販があってこそあまねく日本に活字文化がいきわたっている。ライブドアの堀江氏は新聞、テレビを殺していると言った。活字は面白い。堀江氏にはまず『国家の品格』を読ませたい」と述べた。
日書連丸岡会長は「書店景品規約は年度末までに決着をつけたい」と日書連の課題を説明したほか、再販研究委員会が昨年1月、7月、10月の3回しか開かれなかったと指摘して、「もう少し定例で開くべきではないか」と注文した。前委員長の渡辺相談役(二玄社)は「再販堅持のため弾力運用をもっと進めるべきだ。ブックハウス神保町に協力し全国ネットに拡げてはどうか」と提起した。

春の書店くじ実施要領

▽実施期間平成18年4月20日(木)より30日(日)まで。書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数600万枚。書店には1束(500枚)3750円(税込)で頒布
▽申込方法束単位で返信用申込書に必要事項を記入し、所属都道府県組合宛に申し込む。締切は2月20日
▽配布と請求方法くじは取次経由で4月18日前後までに配布。代金は取引取次より請求。
▽当選発表5月23日。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品賞品総額8680万円、9・8本に1本の当選確率
特等賞=オーストラリア6日間の旅60本
1等賞=図書カード1万円600本
2等賞=図書カード又は図書購入時充当1千円1800本
3等賞=同5百円1万2000本
4等賞=図書購入時に充当百円60万本
ダブルチャンス賞=図書カード1万円100本
▽賞品引換え特等賞は当選券を読者より直接日書連に送付。1、2、3、4等賞は取扱書店で立替え。図書カード不扱い店または品切れの場合は、お買い上げ品代に充当。ダブルチャンス賞は7月5日(当日消印有効)までに読者が直接日書連にハズレ券10枚を送付
▽引換え期間読者は5月23日より6月30日(消印有効)まで。書店で立替えたくじは7月31日までに「引換当選券・清算用紙(発表ポスターと同送)」と一緒に日書連事務局に送付
▽申込み書店特典 組合経由の申込店から抽選で3店にオーストラリア6日間の旅無料随行員。
▽PR活動春の書店くじ宣伝用ポスター

図書館納入で報告/大阪組合理事会

大阪府書店商業組合は1月14日、組合会議室で理事会を開催。八尾市の小中学校図書館電算化システムの入札結果について、関電連合が落札し、図書納入は従来から納入していた地元書店が担当することになったと報告があった。地元書店の納入意欲と学校現場の希望が評価されたようだ。
大阪市立図書館の共同受注については、平成18年度より入札制に移行し、基本的に3年契約となる。本館は2社、分館24館を4館ごとに1ブロックとし、各2社、計12社に分担させる方針。図書館の正式な通知を待って、早急に協力会の会議を招集する。
読書推進委員会は1月13日に実行委員会を開き、第2回「帯コン」の概略を決めた。小学校への資料配布は3月上旬と4月下旬、書店への説明会は2月14日トーハン、15日大阪屋、16日日販で開催する。
(中島俊彦広報委員)

12月期は101.2%/コミックは年間通じてプラス/日販調べ

日販経営相談センター調べの12月期書店分類別売上調査によると、12月は対前年比101・2%となり、最後の月を前年比プラスで締めくくった。年間を通じて見ると、前年をクリアしたのは3、7、8、10月に続き5カ月。
書店規模別では、売場41~80坪店が99・9%で唯一の前年割れ。40坪以下店が103・2%で最も高い伸びだった。
ジャンル別では雑誌、コミック、文庫、新書、専門書の5ジャンルが前年をクリアした。コミックは年間を通じて前年クリア。12月は『ONEPIECE』『NARUTO』『NANA』と人気作品の新作が集中し、13・4%増の高い伸びとなった。文庫も6カ月連続で前年クリア。専門書は株関連のビジネス書が貢献した。
客単価は4・5%増の平均1206・5円。

文京支部新年会

東京組合文京支部の新年会が1月18日午後6時から椿山荘で開かれ、煙山力文京区長、中山義活元衆院議員、出版社58名など97名が出席した。
奥村支部長は「2年振りの新年会。文京区は高齢者が増えており、それに対応するのも1つの生き方だろう。版元の応援と、自らの努力で少しでも好かれる店にしていきたい。小さな支部だが、支援を」とあいさつ。煙山文京区長は「区内の小中学校は朝の読書、乳児検診ではブックスタートの運動、一昨年から文学賞をも設けた。鴎外、漱石を輩出した町として、区内書店と協力して活字文化を根付かせたい」。あかね書房岡本社長は「協力して読書環境を整備していこう」と呼びかけた。

「町の本屋に活力戻そう」/出版販売新年懇親会で丸岡会長

日書連が主催する第52回出版販売新年懇親会が1月27日午後5時半から箱根の湯本富士屋ホテルで開催され、出版社、取次、書店など総勢143名が出席した。懇親会では日書連・丸岡義博会長、出版社を代表して書協・朝倉邦造理事長、取次を代表して取協・鶴田尚正会長が年頭あいさつ。雑協・浜田博信常務理事の発声で乾杯した。
〔「規約問題、早期にまとめる」/日本書店商業組合連合会会長・丸岡義博〕
景気が回復傾向というが、出版物の売上げは厳しい。出版科研の調べによると昨年の書籍の売上げは97・5%、雑誌が98・2%、平均97・9%でマイナス2・1%という数字だったと聞く。若干活字離れが進んだかなという感じがする。読書は人間形成する上で一番の元だと思う。書店は今年も一生懸命増売をやっていきたい。
日書連の抱える課題として、出版物公取協の景品規約改訂問題がある。現行ルールは7%、期間制限は年2回60日だ。公取の要望はできるだけ一般ルールに近づけようというもので、期間制限の緩和と通年の読者サービスを求めている。これに対し、昨年から公取と折衝を続け、今日の新年理事会で審議したが、審議未了で結論に至らなかった。再度これについては日書連でもう少し審議し、各組合で意見を討論して、できるだけ早い時期にまとめていきたい。
町の本屋というのは木の根っこだと思う。今この根っこがどんどんなくなっている。根っこがなくなれば木は枯れてしまう。読者を育てるためには町の本屋が元気であることが一番だ。書店組合に対するご配慮をなにとぞお願いしたい。
〔「弾力運用で再販守る」/日本書籍出版協会理事長・朝倉邦造〕
昨年の前半は再販問題、特に公取からポイントカード等で非常に厳しい要求があり、あくまで弾力的な運用をと強く言われた。それに対して版元として、ブックハウス神保町や再販レポート等を出した。
取次に対しては、公取は本の流通をスムーズにすることや、在庫の有無を明確化する等の要求をしていたが、所沢、桶川等に大きな流通センターを作って応えてきた。公取は日書連に対しても、ポイントカード問題で要求をしている。公取の求める再販の弾力的運用に応え、再販が骨抜きにならないように出版界挙げて頑張っていくのが、今年の出版4団体のテーマではないかと考えている。
昨年の後半には、文字・活字文化振興法が施行された。この法律は、290名近い国会議員で構成する活字文化議員連盟が提案し、我々人類が作ってきた文字・活字の文化、知識、知恵を残していこうというものだった。書協・雑協として要望を出し、地域での振興、教育の充実、出版界への支援、読書推進という要望が採用された。
書協、雑協では文字・活字文化振興協議会を作った。皆さんと力を合わせ、読書推進、再販維持、著者・出版者の権利確立を推し進めていきたいと思う。来年は書協・雑協創立50周年を迎える。これを機にさらに読書推進、出版再興をしていきたい。その節は書店の協力をお願いする。
〔「効率的な販売を追求」/日本出版取次協会会長・鶴田尚正〕
経済は少しは浮上しているというが、このごろ出版業界と経済の動きは連動していない。この7、8年間業界が縮小している。業界三者は、この環境の変化にどうやって対応していくか、試行錯誤の7、8年間だったのではないかと思う。しかしこれが10年となっては時すでに遅しとなってしまう。縮小する業界の中でどうやって効率的な販売をしていくかという答えを見つけ出す時が来たと思う。業界でそろそろ話題になっている責任販売制も、なんとか動き始めてきたなという予感がする。
業界の経済がシュリンクしてくると、いろんな摩擦がたくさん起きてくると思う。これを一つひとつ乗り越える必要があるが、業界としての共通語がないのではないかという気がする。
昨今、ケニアのマータイさんが、日本の「もったいない」という言葉を世界語にしようと頑張っている。「もったいない」という本も13タイトルくらい出てきた。これがひょっとしたら業界の共通語じゃないかという気がしている。こういうコンセプト、方向をもってやっていく。返品問題も、責任販売制もそうだ。どうやって業界の無駄を省いていくか。「もったいない」という切り口でマーケットに対する業界の再浮上を皆様と共にやっていきたいと思っている。

第52回出版販売新年懇親会出席者

〔出版社〕
あかね書房・岡本雅晴、秋田書店・村山光磨、朝倉書店・朝倉邦造、岩波書店・後藤勝治、インフォレスト・遠藤剛、潮出版社・浮田信行、旺文社・加藤彰、オーム社・森正樹、雄鷄社・加藤玲二、角川書店・田中樹生、角川SSコミュニケーションズ・貴志学、河出書房新社・若森繁男、学習研究社・山田耕嗣、金の星社・斎藤健司、研究社・高野正範、講談社・浜田博信、同・森武文、幸福の科学出版・中村嘉秀、同・過足裕一、光文社・前田正三、小峰書店・小峰紀雄、ごま書房・池田雅征、三省堂・北口克彦、サンマーク出版・竹下直光、集英社・武捨禎司郎、主婦と生活社・古川一夫、主婦の友社・藤井孝行、小学館パブリッシング・サービス・加藤醇司、祥伝社・渡辺起知夫、少年画報社・小川敬司、昭和図書・大竹靖夫、新潮社・大橋真一、女子栄養大学出版部・湯浅俊夫、JTBパブリッシング・宮崎裕、聖教新聞社・高橋康隆、同・長谷川太作、青春出版社・山口稔、誠文堂新光社・清水敏、税務経理協会・大坪嘉春、世界文化社・佐藤秀人、草思社・亀井博昭、大修館書店・福原武文、第三文明社・松島健寿、ダイヤモンド社・藤井一、筑摩書房・菊池明郎、中央経済社・山本憲央、中央公論新社・吉村治、中経出版・小崎安行、東京ニュース通信社・山崎雅浩、東洋経済新報社・樋口勇、徳間書店・長綱和幸、日本ヴォーグ社・和田琢哉、日本実業出版社・上林健一、日本文芸社・西澤宗治、白泉社・佐藤将、博文館新社・大橋一弘、福音館書店・塚田和敏、扶桑社・川庄篤史、双葉社・丸山和彦、二見書房・大塚健次郎、ブティック社・志村昌也、文藝春秋・名女川勝彦、平凡社・土岐和義、ベストセラーズ・松村英彦、法研・土居国明、ポプラ社・遠藤正夫、マガジンハウス・大沢好之、リイド社・古屋義人、リクルート・川瀬昭男
〔取次会社〕
トーハン・小林辰三郎、同・高野仁、日販・鶴田尚正、同・阿部洋一郎、同・橋昌利、大阪屋・高橋茂、栗田出版販売・郷田照雄、中央社・土屋博功、日教販・森内日出美、太洋社・國弘晴睦、協和出版販売・木下英樹、日本地図共販・小林定義
〔業界関係〕
日本図書普及・佐藤堅太郎、文化産業信用組合・白鳥義胤、出版輸送・手嶋寛、AIU保険会社・佐藤護、出版ニュース社・清田義昭、新聞之新聞社・片山昂士、文化通信社・近藤勲、新文化通信社・丸島基和

新春読者の投稿/お客様との交流が宝、本屋でよかったと実感/西東京市・小林書店・小林偉査史

中小書店の経営の厳しい記事が多い中、12月の始めに発行された書店新聞に長野県・山根屋書店の沓掛さんが投稿された「店こそ我が書斎」を何回も読み、最近にない楽しい投稿に出会って嬉しくなりました。
新潟に疎開をしていた中学の3年の時、親父が一人ではじめた本屋に呼び戻されて始まった本屋生活。学校から帰ると配達、店番に始まり50余年、そして来年は古希。今は午前中だけのパート一人とかみさんで私鉄駅前の小さな本屋。午前中は整理、午後からは週刊誌1冊からの配達、帰るとかみさんと代わってお客さんと対応しながら配達での貸し売りを帳面につけたり翌日の配達の段取りを書いたり。ときには話し好きの常連さんと長話をしたり、その合間に夕刊を拾い読みしたりで1日終わってしまう。しかし他の商売に比べるに楽でたのしい。
沓掛さんの投稿には、本屋の特典として読書は勿論種々の資料は全部タダとあった。これをお金で換算したら大変な金額になるのでしょう。中でも貴重な宝は、当たり前だがお客様。本屋だからこそ来る人、そして対話から生まれる人との関係です。
昨年もその1人から誘われ、料理家の小林カツ代先生の指導による熟年男の料理教室に入門。元肩書きのあった熟年の人たちと料理を通して語らい、また先生とNHKの「きょうの料理」の番組に出た時はそのテキストをみんなに買ってもらい、会費の元を取ったかなと思ったり。また趣味で撮った写真を店に飾って悦に浸っていたら、プロの写真家と知り合い一緒に撮影に行くようになったり。本屋でよかったなあと思っています。
しかし最近かみさんと2人とも歳のせいか職業のせいか、腰痛だの座骨神経痛だのに悩まされています。沓掛さんの書いておられた軟着陸というより強制着陸になりそうなことも心配しつつ、体をいたわりながら店を書斎にして人との出会いを楽しんでもう少し続けて行きたいと思っています。

投稿規程

「声」欄への投稿を歓迎します。原則として6百字以内。主旨を変えずに文章に手を入れることがあります。氏名・店名・住所・電話番号を明記の上、全国書店新聞編集部まで。
〒101―0062東京都千代田区神田駿河台1―2全国書店新聞編集部FAX=03―3295―7180 Eメール=XLD07116@nifty.ne.jp

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・渡辺充枝子

◇2歳から/『おおきくなりたいちびくまくん』/D・ベッドフォード=文/J・チャップマン=絵/まつなみふみこ=訳/くもん出版1470円/2004・11
はやくママみたいに大人になりたいちびくまくん。でも、大人になるってどういうこと?ママは、大きくなるってどういうことかとってもすてきな方法で教えてくれます。どういう方法って?読んだらきっとわが子を抱きしめたくなることまちがいなしの愛情あふれる絵本です。
◇4歳から/『もったいないばあさん』/真珠まりこ=著/講談社1575円/2004・10
もったいなーいと言いながら、やってくる恐ろしくて不思議なおばあさん。もったいないおばあさんの手にかかれば、ぐしゃぐしゃに丸まったかみくずも、かいじゅうスーツに大変身。たのしみながら、いつのまにか、もったいなーいの気持ちを身につけてしまう一冊です。
◇小学校低学年向き/『また ぶたのたね』/佐々木マキ=著/絵本館1260円/2005・12
ぶたよりも走るのが遅く、一度もぶたをつかまえたためしのないオオカミ。そんな可哀相(?)なオオカミが、「ぶたのたね」を手に入れます。ぶたを食べる日を夢みて「ぶたのたね」を育てるオオカミは、はたしてぶたを食べることができるのか。愉快痛快な一作です。

「声」/さらば移動理事会/大阪市・ナビカ書店・並河昂二

毎年、各県組合もちまわりで開かれて参りました「移動理事会」は、今回をもって中止されるよう提案します。
昨年5月の日書連総会で萬田前会長は、私の質問に対し「今年は新潟組合が準備しているので無理だが、来年は考える」と答弁されました。
開催を中止できない理由として、「日書連理事会はこんなに真剣にやっているのかと、現地の方にわかってもらえる」というのがあります。これは思い上がりではないでしょうか。何人もの方が準備と世話で大変なのではありませんか。
平行して奥様の観光コースもありますが、これも邪道かと思います。奥様のいない人はどうなるのですか。女性に役員になってもらう、婦人部を作る、これが正論ではありませんか。
私の試算では参加するのに1人当たり7万円はかかります。自費公費にかかわらずそうなります。日書連は毎年多額の予算を使っています。会社旅行から個人旅行へ、これが世情です。増税、福祉の減額へ、これも世情です。「先憂後楽」これは孔子です。耳にひびく言葉でんなあ。
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〔日書連・大川専務理事の回答〕
並河大兄の「さらば移動理事会」提案に対し、お答え致します。
この提案は、12月の日書連定例理事会の冒頭で紹介し、ご意見を伺いました。数名の理事より発言がありましたが、いずれも移動理事会継続の意見でした。
「地方組合の理事が参加することで、日書連活動の理解が深まり、組織を強固にする点で意義がある」「決して飲み食い主体ではない。会議の真剣な雰囲気を見てもらうためにも、公開理事会と名称を変えたらどうか」といった発言が相次ぎ、審議の結果、移動理事会の継続が拍手で承認されました。
日書連移動理事会は、毎月東京で開催している理事会を、年に1回位は地方で開催して連帯意識を高めてはどうかという要望があってスタートしたと聞いています。昭和42年に京都で開催して以来、今年でちょうど40回という歴史の節目を迎えていて、ブロック単位では5巡目に入っています。
次に「1人当たり7万円の参加費」というご指摘ですが、開催地によって多少上下するものの、3~3・5万円位で、交通費については東京で行う理事会と余り変わらないようです。但し、開催組合に補助金として60万円を拠出していますので、この費用を加算すると4~5万円位になると思われます。いずれにしましても、「1人参加費7万円」はちょっと過大ではないでしょうか。
それから奥様参加に対する疑問ですが、これは意外です。愛妻家の並河大兄の意見とは思えません。最近とみに、出版関係の多くの方から「奥様がしっかりしている店は大丈夫だ」ということをよく耳にします。店を切り盛りしている奥様に、日頃の労苦に感謝の意を込めて年に1度の移動理事会に一緒に行く。私としては、大いに推奨したいところです。遠隔の地にある書店の奥様方が交流を深めることは素晴らしいことだと思いますし、明日への活力を養うまたとない絶好の機会だと思います。当然奥様の費用は自費で参加していただいています。この点も考慮し、寛大・寛容な心を持たねば、世の奥様方を敵に回すことになりますぞ。桑原。桑原。

381店、前年比27店増/2005年の書店新規出店数

出版業界紙『新文化』は昨年12月22日付で、講談社調べとして2005年の新規出店数をまとめた。これによると、2005年の新規出店数は前年より27店増の381店、合計売場面積は743坪減の5万964坪となった。平均坪数は約12・3坪縮小して133・8坪。100坪以上は202店(前年196店)、500坪以上は12店(前年同じ)だった。
取次別でみると、トーハンは新規店数138店(8店増)・坪数1万9797坪(2478坪増)、日販118店(2店増)・1万9231坪(2806坪増)、大阪屋58店(6店増)・4246坪(1771坪減)、栗田27店(4店減)・3962坪(453坪減)、太洋社19店(7店増)・2424坪(1100坪増)、中央社11店(2店減)・819坪(214坪増)、協和10店(10店増)・485坪(485坪増)。
なお、500坪以上の新規店は以下の通り。紀伊國屋書店札幌本店(北海道、日販、1300坪)、文教堂書店千歳店(北海道、トーハン、600坪)、喜久屋書店宇都宮店(栃木、トーハン、950坪)、新星堂ララスクエア宇都宮店(栃木、日販、500坪)、有隣堂ヨドバシAKIBA店(東京、日販、500坪)、いまじん金沢大桑店(石川、日販、500坪)、旭屋書店名古屋ラシック店(愛知、日販、610坪)、いまじん中川戸田店(愛知、日販、600坪)、未来屋書店イオン内原店(茨城、トーハン、520坪)、宮脇書店ロイネット和歌山店(和歌山、大阪屋、600坪)、あおい書店博多本店(福岡、日販、750坪)、八文字屋天童店(山形、日販、500坪)。

ふるさとネットワーク/東海ブロック編

〔山梨〕
「道祖神祭り」は昔から行われている火祭りのことで、その火にあたるとその年は風邪をひかないとか、灰を家の周りに撒くと厄除けにもなり、また子孫繁栄その他諸々のご利益が有るとされています。この祭りは日本全国各地で行われ、「どんどやき」「さいとやき」ほか、実に様々な呼び方があるようです。
私の住む町では地区単位で「お小屋」作りが行われ、背の高い竹を立て藁などを使い小屋を作る規模の大きなもので、昔はその小屋の高さや大きさを競ったものでした、今は諸事情により小さくはなりましたが、それでも高さは10数メートルに及びます。その中に子供たちが町内を回り集めてきた注連縄、正月飾り、書初めなどを入れ燃やします。町内全域で一斉に火が点けられますから炎が夜空を焦がす様は壮観です。
(上田久広報委員)
〔静岡〕
昨年の秋、NHK「功名が辻」の時代考証担当、小和田哲男先生の講演「信長・秀吉・家康に仕えた一豊の一生」を拝聴した。講談社「週刊日本の合戦」も読み、あまり詳しくなかった一豊の概略がわかりました。
一豊が10年間居城とした掛川城(掛川市)は戦国時代に駿河国守護大名今川氏が遠近江支配のため築城。1569年家康が領有。武田氏侵攻を防御する拠点となりました。1590年全国を平定した秀吉は、家康を関東に移し、掛川城に山内一豊を入らせました。この時初めて天守閣が作られます。その後11家26代の居城となりました。美しい天守閣のため、「東海の名城」と謳われましたが1854年の大地震で大半が損壊。明治2年廃城となりました。平成6年、掛川市民の熱意で140年ぶりに天守閣が再建されました。(白松猛広報委員)
〔愛知〕
本年で2回目の愛知組合主催の「孫の日」イベントは、「わいわい祭り」として、名古屋市中区栄の名古屋テレビ塔で開催された。
組合員の手づくり企画として「孫の日」にちなんだ、孫とのふれあい川柳127点や絵本の原画展示があり、書店員や図書ボランティアなどによる読み聞かせや紙芝居などが演じられた。ポスターやチラシはすべて組合員の制作で、各書店の「孫の日コーナー」も愛知組合のカラーが実現した。
また、取次、出版社からも絶大な応援をいただき、「かいけつゾロリ」の参加や、日書連制作のCD「本屋さんへいこう」もテレビ塔の館内中に放送されたり、NHKテレビの取材および当日お昼のニュースでも放映された。
(榊原壮一広報委員)
〔岐阜〕
県のほぼ中央に位置する丘陵地に広大な「花フェスタ公園」が造られている。2005年の春から夏にかけて、フェスティバルが開催された。目と鼻の先に隣県、愛知県では「愛・地球万国博覧会」が開かれている最中である。花だけのフェスタであるが、連日すごい人々が見物に訪れ、万博にひけをとらない勢い。こんなに花を愛する人たちがいるとは驚きであった。
中でも世界一の多さを誇るバラ園は7千品種と6千万有余の株数のバラが咲き誇り、周囲の花々との競演が見事。目玉はバイオテクノロジー研究により「バラ」と「パンジー」の遺伝子交換で出来た青色のバラである。また、温室に併設する館内には花や植物に関する本が数百冊所蔵され、入園者に自由に閲覧させている。多くの人が閲覧していて、花への関心の高さが窺われる。(司馬豪久広報委員)
〔三重〕
年の初めになると、各地で伝統的な神事が始まる。三重県の神事をいくつかご紹介しよう。
伊勢市の神落萱神社で1月8日、恒例の「子授けもちまき神事」が営まれた。子孫繁栄を願って、男女の生殖器をかたどった紅白の餅4500個が境内に設けられたやぐらからまかれ、訪れた人たちは競うようにもちを拾い集めた。古くから子授けの神様として信仰を集める神社で、この神事も江戸時代から続いている。近年は地元住民だけでなく愛知、京都、東京などからも懐妊祈願に訪れる人たちが大勢いるそうだ。
同市の朝熊岳金剛證寺には、子授けにご利益があり、子宝に恵まれない人たちに広く信仰されている、その名も愛らしい「おちんこ地蔵」がある。また、鈴鹿市の子安観音では、求子祈願をしてくれる。子宝に恵まれない方は一度お参りをされてはどうだろうか。
(藤田忠男広報委員)

参考図書

◇『商人の機微―書店人がみた顧客満足』
書店コンサルタントの能勢仁氏が、小売店にとって欠かすことができない顧客満足(CS)に的を絞って書店経営論を展開したもの。中央経済社刊。A5判、179頁、定価本体1400円。
能勢氏は多田屋常務、ジャパン・ブックボックス取締役、アスキー取締役を経て、ノセ事務所を設立。現在、書店コンサルタントとして書店経営をサポートしている。本書では著者の長年の経験から得た知見を通して、商品差別化ができない書店のCSのあるべき姿、顧客にやさしい商売、行きたくなる書店などについて考えを披露している。
エピソードでつづる出版史、本や書店に関するコラムも収録している。
◇『売れる本のつくりかた―ベストセラー・ヒット企画を生み出す発想のヒント』
トーハンの書店向け新刊情報誌「トーハン週報」に月1回連載している「話題の本・ヒット企画の背景」の2001年から05年までをまとめたもので、各年の象徴となった59作に分析を加えている。著者は出版・メディア論を中心に多数の著書がある、上智大学教授で日本出版学会会長の植田康夫氏。メディアパル刊。四六変判、200頁、定価1470円(税込)。
人気作家のベストセラーばかりでなく、著者や編集者など作り手たちの発想や仕掛けにより誕生したヒット企画にスポットを当て、企画背景から売れ行きまでを編集担当者に直接取材、本作りにかける作り手の思いがうかがえる内容となっている。
なお、この連載は91年以来、毎月1回15年にわたる人気コラムで、現在も続いている。91年から00年までの10年間については、すでに『売れる本のヒント』として発売されている。

文字・活字文化振興法の役割/日本書籍出版協会副理事長・小峰書店社長小峰紀雄

書協の小峰紀雄副理事長は1月10日に行われた須原屋研修生OB会研修会で「文字・活字文化振興法を生かすために」として、昨年成立した同法の意義と役割、出版業界の今後の対応を講演した。本稿は当日の速記原稿に小峰氏が加筆したものである。
昨年7月29日に「文字・活字文化振興法」が公布・施行されました。超党派国会議員286人でつくる活字文化議員連盟(活字議連)による議員立法です。本振興法によって10月27日が「文字・活字文化の日」に定められました。読書推進運動協議会が主催する「読書週間」の初日に連動して設定されたものです。60年にわたって民間主導で進められてきた「読書週間」は、すでに国民的な行事として定着しています。
本振興法は、活字・出版文化振興と読書活動推進に関する法的な集大成と考えられます。本振興法は、読書推進運動の長い歴史に加え、特にこの10年来の政治・行政・民間のそれぞれの領域と立場での努力と連携・協力の蓄積から生まれた成果です。
本振興法は活字・出版文化と読書、あるいは教育にとって重要な指針になるものとはいえ理念法です。実効性あるものにすることが、今後の大きな課題です。活字議連は「文字・活字文化振興法に伴う施策の展開」と題する政策目標を公表しました。活字議連は、本振興法の制定ならびに「施策の展開」の立案にあたって新聞、出版関係業界、学校図書館関係者などに広く意見を求めました。日本書籍出版協会、学校図書館協議会などが要望書を提出しましたが、その多くが反映されています。
結論的なことを申しあげますと、民間の主体的な読書推進活動を活性化することに努め、本振興法と活字議連の「施策の展開」を拠り所にし、特にそれぞれの地域社会で行政との連携・協力を深めながら具体化を図ることが肝要です。読書環境についても、地域間格差が広がっています。
さて、本振興法の概要ですが、12条からなりますが、第1条(目的)で「文字・活字文化が、人類が長い歴史の中で蓄積してきた知識及び知恵の継承及び向上、豊かな人間性の涵養並びに民主主義の発達に欠くことができない」ものとし、「我が国における文字・活字文化の振興に関する施策の総合的な推進を図る」として、文字・活字文化の重要性を再定義しています。
第3条(基本理念)では「国語が日本文化の基盤」であり、「学校教育において」「言語力の涵養」に十分配慮しなければならないとしています。
第4条(国の責務)第5条(地方公共団体の責務)では「文字・活字文化の振興に関する施策を策定し、実施する責務を有する」としています。
第6条から第12条は、国および地方公共団体の努力義務として示されています。
第6条(関係機関等との連携強化)では「図書館、教育機関」および「民間団体」との「連携強化」に努めるものとし、第7条(地域における文字・活字文化の振興)では4項目にわたる指針が示されています。市町村は「必要な数の公立図書館を設置」し、「司書の充実等の人的体制の整備、図書館資料の充実、情報化の推進」「文字・活字文化の振興に資する活動を行う民間団体の支援」等の施策を講ずるとしています。
第8条(学校教育における言語力の涵養)では、本振興法の眼目ともいうべき事項が、2項目にわたって示されています。国および地方公共団体は「司書教諭及び学校図書館に関する業務を担当するその他の職員の充実等の人的体制の整備、学校図書館資料の充実及び情報化推進等」に必要な施策を講ずるとしています。
第9条(文字・活字文化の国際交流)第10条(学術出版物の普及)は、特に出版文化に関わりの深い条文です。学術的出版物の振興に力点が置かれているのが特徴的です。
第10条(文字・活字文化の日)に関しては、昨年、国、民間それぞれにその普及に取り組みはじめたところです。
第12条(財政上の措置)では「施策を実施するため必要な財政上の措置」に努めるとしています。
本振興法は「言語力の涵養」を眼目とし、そのために学校教育の充実、読書活動の推進そして読書環境整備に力点が置かれています。近年、日本語に対する関心が高まっていますが、その根底には「母語としての国語」に対する危機感があります。00年度、03年度OECD(経済協力開発機構)の生徒の学習到達度調査(PISA)が公表されました。わが国の生徒が、特に「読解力」と「表現力」に課題があることが指摘され、反響を呼んだのは、その現れでもあると思います。
文化審議会答申「これからの時代に求められる国語力について」(04年2月)では「これからの時代には、これまで以上の国語力が必要」であり、「みずから本に手を伸ばす子供を育てる」ことが最も大きな目標とされ、そのためには「国語教育」と「読書活動」を2つの柱とし、「読書」を中核に位置づけました。本振興法には、同答申と「子どもの読書活動の推進に関する法律」(01年12月)の理念が生かされ、素地になっています。
より豊かな日本語を獲得するためには、文字言語、活字以前の言語環境が重要ですが、読書と言語の関係が再認識されていると考えられます。さらに電子メディアの急速な普及により言語環境が大きく変容しました。メディアリテラシーの観点からも、文字・活字文化を通して言語力(国語力)を高めることが大切であるという認識が社会的にも深まっていると思います。読書離れは、言語離れに通底する憂慮すべき問題です。
活字・出版文化の土台を形成するのは、書籍、雑誌の形態を問わず学術・専門書、教養書、文芸書、児童書等の多様な出版物です。しかしながら専門性の高い出版物ほど総じて不振に苦しんでいるのが現状です。その状況は活字・出版文化の衰退を意味し、一国文化の基盤形成にとって看過してはならない問題です。
本振興法と活字議連の政策目標「施策の展開」に若干言及しておきたいと思います。「施策の展開」は、(1)地域における文字・活字文化の振興(2)学校教育に関する施策(3)出版活動への支援の3項目です。この中には、「未設置市町村における公立図書館の計画的な設置」「公立図書館設置基準の改革」「小規模書店の個性化」「学校図書館図書標準の達成、学校図書館図書整備費の交付税措置の充実・予算化」「文字・活字にかかわる著作物再販制度の維持」「著作者および出版者の権利保護の充実」など、達成すべき重要項目が掲げられています。
しかしながら、これらの多くは個別法・個別施策によって裏づけていく必要があり、そのための活動がなければ空文化するおそれがあります。例えば、93年に策定された「学校図書館図書標準」の達成率は、小学校で約35%、中学校で約30%です。しかも「学校図書館図書整備5か年計画」は06年度をもって終了します。07年度に向けて高等学校図書館を含め、司書教諭や学校司書などの人的体制を整備した新たな学校図書館整備充実施策の策定を提案し、要望していかなればなりません。
日本書籍出版協会は、本振興法の実体化を図るため、協会内に「文字・活字文化振興特別委員会」を設置しました。さらに今後、日書連はじめ出版・読書関係団体等との連携を進め、活字議連との協力を強化して、具体的施策を提案していきたいと考えています。

文字・活字文化振興法

(目的)
第一条この法律は、文字・活字文化が、人類が長い歴史の中で蓄積してきた知識及び知恵の継承及び向上、豊かな人間性の涵養並びに健全な民主主義の発達に欠くことのできないものであることにかんがみ、文字・活字文化の振興に関する基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、文字・活字文化の振興に関する必要な事項を定めることにより、我が国における文字・活字文化の振興に関する施策の総合的な推進を図り、もって知的で心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条この法律において「文字・活字文化」とは、活字その他の文字を用いて表現されたもの(以下この条において「文章」という。)を読み、及び書くことを中心として行われる精神的な活動、出版活動その他の文章を人に提供するための活動並びに出版物その他のこれらの活動の文化的所産をいう。
(基本理念)
第三条文字・活字文化の振興に関する施策の推進は、すべての国民が、その自主性を尊重されつつ、生涯にわたり、地域、学校、家庭その他の様々な場において、居住する地域、身体的な条件その他の要因にかかわらず、等しく豊かな文字・活字文化の恵沢を享受できる環境を整備することを旨として、行われなければならない。
2文字・活字文化の振興に当たっては、国語が日本文化の基盤であることに十分配慮されなければならない。
3学校教育においては、すべての国民が文字・活字文化の恵沢を享受することができるようにするため、その教育の課程の全体を通じて、読む力及び書く力並びにこれらの力を基礎とする言語に関する能力(以下「言語力」という。)の涵養に十分配慮されなければならない。
(国の責務)
第四条国は、前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり、文字・活字文化の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第五条地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、文字・活字文化の振興に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(関係機関等との連携強化)
第六条国及び地方公共団体は、文字・活字文化の振興に関する施策が円滑に実施されるよう、図書館、教育機関その他の関係機関及び民間団体との連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとする。
(地域における文字・活字文化の振興)
第七条市町村は、図書館奉仕に対する住民の需要に適切に対応できるようにするため、必要な数の公立図書館を設置し、及び適切に配置するよう努めるものとする。
2国及び地方公共団体は、公立図書館が住民に対して適切な図書館奉仕を提供することができるよう、司書の充実等の人的体制の整備、図書館資料の充実、情報化の推進等の物的条件の整備その他の公立図書館の運営の改善及び向上のために必要な施策を講ずるものとする。
3国及び地方公共団体は、大学その他の教育機関が行う図書館の一般公衆への開放、文字・活字文化に係る公開講座の開設その他の地域における文字・活字文化の振興に貢献する活動を促進するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
4前三項に定めるもののほか、国及び地方公共団体は、地域における文字・活字文化の振興を図るため、文字・活字文化の振興に資する活動を行う民間団体の支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
(学校教育における言語力の涵養)
第八条国及び地方公共団体は、学校教育において言語力の涵養が十分に図られるよう、効果的な手法の普及その他の教育方法の改善のために必要な施策を講ずるとともに、教育職員の養成及び研修の内容の充実その他のその資質の向上のために必要な施策を講ずるものとする。
2国及び地方公共団体は、学校教育における言語力の涵養に資する環境の整備充実を図るため、司書教諭及び学校図書館に関する業務を担当するその他の職員の充実等の人的体制の整備、学校図書館の図書館資料の充実及び情報化の推進等の物的条件の整備等に関し必要な施策を講ずるものとする。
(文字・活字文化の国際交流)
第九条国は、できる限り多様な国の文字・活字文化が国民に提供されるようにするとともに我が国の文字・活字文化の海外への発信を促進するため、我が国においてその文化が広く知られていない外国の出版物の日本語への翻訳の支援、日本語の出版物の外国語への翻訳の支援その他の文字・活字文化の国際交流を促進するために必要な施策を講ずるものとする。
(学術的出版物の普及)
第十条国は、学術的出版物の普及が一般に困難であることにかんがみ、学術研究の成果についての出版の支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
(文字・活字文化の日)
第十一条国民の間に広く文字・活字文化についての関心と理解を深めるようにするため、文字・活字文化の日を設ける。
2文字・活字文化の日は、十月二十七日とする。
3国及び地方公共団体は、文字・活字文化の日には、その趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めるものとする。
(財政上の措置等)
第十二条国及び地方公共団体は、文字・活字文化の振興に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
附則、理由(略)

即売会で288万円売上げ/絵本ワールドinやまがた

「絵本ワールドinやまがた2006」(県図書館協会・県学校図書館連絡協議会主催、山形新聞・子どもの読書推進会議共催、山形県書店商業組合後援)が1月14日、15日の両日、山形市の山形テルサ3階で開催され、14日3152名、15日3709名が来場した。
子供に本の楽しさを知ってもらおうと、県内各地のボランティアサークルが紙芝居や読み聞かせ、わらべ歌などを披露。15日午後1時半からスウェーデンの世界的な児童文学賞、アストリッド・リンドグレン記念文学賞を受けた山形市出身の絵本作家・荒井良二さんの講演会「ぼくの絵本術」が行なわれ、300人を超す熱心なファンが集まった。
山形県書店商業組合は、1万冊の多彩な絵本の展示即売や、読書アドバイサーによる「絵本の選び方」のアドバイスなどに協力した。絵本即売会の売上は14日119万1千円、15日169万3千円、計288万4千円だった。
(五十嵐靖彦広報委員)

出版文化賞は御茶ノ水書房/出版梓会

第21回梓会出版文化賞は御茶の水書房、特別賞はナカニシヤ出版と保育社、第2回出版梓会新聞社学芸文化賞は現代思潮新社に決まり、1月18日午後5時半から東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で贈呈式が開かれた。
同賞は年間5点以上の出版活動を10年以上にわたって継続している中小出版社を対象に、年間を通して優れた書籍を発行している出版社を顕彰するもの。各出版社からの自薦図書と『出版ダイジェスト』読者から寄せられた推薦図書をもとにして選考している。
贈呈式では昨年末に出版梓会理事長に就任したばかりの税務経理協会・大坪嘉春社長があいさつ。「この賞は昭和59年の社団法人化に伴って、公益活動の柱として設けたもの。30回、40回、50回を目指して努力を続け、これからも立派な出版社を表彰していきたい」と述べた。
選考委員を代表して上智大学文学部新聞学科・植田康夫教授が選評を行い、本賞の御茶の水書房について「昭和24年の創業。社会・評論、哲学・思想、政治、経済、農業経済、歴史、社会学・民俗学などの分野にわたり多くの学術書を刊行するとともに、季刊誌『アソシエ』、庶民の生活史を記録した『叢書ライフ・ヒストリー』を発行。また、冷戦期の東アジア地域の各国・各地域の国家による民衆弾圧の実態を告発した『東アジアの冷戦と国家テロリズム』、沖縄問題が本土日本人による植民地主義の暴力であることを批判した『無意識の植民地主義』におけるラジカルな出版姿勢を評価した」と話した。
御茶の水書房・橋本盛作社長は「地味な出版活動をコツコツと継続してきた。今回の受賞は編集者と著者の努力の賜物。これからも頑張る」喜びを語った。

出版白門会新年会

出版白門会(上瀧博正会長)は1月18日、アルカディア市ヶ谷で新年会を開催。会員60人が出席した。
第1部新春講演会では、『笑う招き猫』でデビューした作家・山本幸久氏が「私の創作ノート」を講演。第2部懇親会は上瀧会長あいさつ、浜田博信副会長の乾杯でスタートし、初参加のダイヤモンド社鹿谷史明社長、福音館塚田和敏社長らのあいさつ、ジャンケン大会で盛り上がり、小竹正倫副会長の中締めでお開きとなった

創刊55周年を記念し祝賀会/聖教新聞

4月20日で創刊55周年を迎える聖教新聞の記念祝賀会が1月26日、ホテルニューオータニで開かれた。
開会に当って創価学会秋谷栄之助会長は「聖教新聞に対する皆さんのご支援、ご尽力に池田名誉会長も心より感謝を述べている。聖教新聞は昭和26年4月20日に戸田第2代会長と、若き日の池田名誉会長によって5千部、旬刊、2頁で創刊された。以来半世紀を経て、聖教新聞は日刊、12頁建て、550万部に発展した。この間、一貫して根底にあるのは、どこまでも一人の人間を大切にする心にほかならない。一人ひとりを最大限に守り、励まし、ともに幸福と平和の大道を歩む人間のための機関紙が聖教新聞の哲学であり、使命と自負している。本日はまた世界190カ国に拡がった創価学会インターナショナルの日。世界の民衆とともに、平和と文化の交流のため、今後もペンの力で戦っていく。IT化が急速に進む中で活字文化の交流は重要。人権尊重と民主主義の健全な発展に全力を尽くしていく」と述べ、出席者に御礼と感謝の気持ちを述べた。

県にちなんだ書籍40点/青森組合、2月26日までブックフェア

青森県書店商業組合は昨年12月から2月26日まで、加入書店で「青森県出身の作家たち&ご当地ベストセラー」ブックフェアを行なっている。1月28日に開催された平成17年度読書活動推進県民大会の協賛企画として実施。ブックフェア実行委員長は祖父尼賢一氏。
選定図書は40点で、『津軽・斜陽の家』(鎌田慧著、祥伝社)、『青森県の地酒』(北村裕志監修、白神書院)など、県出身の作家の作品、県にちなんだ作品、県内出版社の出版物を中心に構成された個性的なラインナップとなっている。
このブックフェアは各出版社、日教販、青森図書の協力を得て実施。県組合は県内出版社と連携して読者の再発掘に努め、協力しながら活字文化の活性化の一助としたいとしており、今後も継続して実施するため必ず成功させたいと積極的な展開を図っている。
なお、1月28日に行われた読書活動推進県民大会の大会テーマは「読書で広がる心豊かな生活」で、子どものための読書環境作りに責任を持つ大人自身が読書の楽しさ、大切さを知り、子どもの読書活動を推進する機運を高めることが目的。県教育委員会が主催。県書店商業組合は共催団体として名を連ねている。
当日は作家の高村薫氏が「晴子情歌・新リア王と青森」をテーマに講演し、「自然・風土・人~青森の味わい深さ~」をテーマに三村申吾県知事と対談した。高村氏の『晴子情歌』は青森県を舞台にした作品で、県組合ブックフェア選定図書にもなっている。