全国書店新聞
             

令和4年11月15日号

23年度の理事会日程を決定/通常総会は6月22日に/日書連10月定例理事会

日書連は10月20日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催。2023年度理事会日程案を承認し、理事会・委員会および通常総会、出版販売年末懇親会の開催日を決めた。
[政策委員会]
▽2023年度の理事会日程案(別掲)を承認した。理事会・委員会は年6回(23年5月・6月・9月・10月・12月、24年2月)開催。通常総会は6月22日、出版販売年末懇親会は12月13日に開催する。
▽9月定例理事会で3年ぶりに開催することを決めた「令和4年度出版販売年末懇親会」について事務局が説明した。
今回は12月14日午後6時、東京・文京区のホテル椿山荘東京で立食形式で行う。感染防止策を徹底し、安全面に十分配慮する。出席者は書店、出版社、取次など関係者150~200名を予定。従来通りの形式・規模で開催する。
▽「全国の書店経営者を支える議員連盟」(書店議連)の総会が11月2日、東京・千代田区の憲政記念館代替施設で開催される。矢幡会長は「自民党の衆参両院議員130名超が加盟する、他にあまりない規模の議連になった。全国書店の地元議員への声掛けが力になった」と謝意を表し、「これから何をしていくかが大切。議員に書店の厳しさを説明し、提言事項をまとめたい」と話した。
▽「本の学校2022ブレストミーティング」(主催=本の学校、開催日=11月20日、会場=東京都中央区・日本印刷会館およびオンライン)の後援名義使用申請を承認した。
[組織委員会]
全国45都道府県組合の加盟書店は、9月は加入1店、脱退8店で7店純減だった。
安永寛委員長は「全国的に組合員数減少が止まらない。各組合から総会資料を取り寄せ、組合加入メリットについて調べているところ。それぞれ独自に行う取り組みでいいものがあれば参考にしたい」と述べた。
[流通改善委員会]
藤原直委員長は、2023年度の「年間発売日カレンダー(案)」が取協・雑協から届いたと報告し、土曜休配日が年37日となることなどを説明した。(2面に関連記事)
[取引改善委員会]
柴﨑繁委員長は、9月末の返品入帳について調査したい意向を示した。
[読書推進委員会]
▽各組合が独自に企画・運営する活動の補助申請を募る「令和4年度読書推進活動補助費」について、春井宏之委員長は「支給総額は280万円。1組合当たりの支給上限金額は20万円となる。申込締切が11月30日と迫っている。積極的に申請していただきたい」と述べた。
▽春井委員長は、「秋の読者還元祭」と秋の読書推進月間「BOOKMEETSNEXT」など業界の取り組みを活用し、来店増・売上増につなげてほしいと求めた。
[広報委員会]
▽光永委員長は、前日19日に開催した全国広報委員会議について「14名の各県組合広報委員が集まり、広報をはじめ組合活動全般について意見交換した。矢幡会長との懇談も行い、広報活動と書店新聞への記事投稿の活性化に向けて成果を得ることができた」と報告した。(2面に関連記事)
▽光永委員長は、全国書店新聞の来年1月~12月の刊行スケジュールを説明した。例年通り毎月2回(1日・15日)、年24回刊行する。6月15日号は通常総会議案書特集号とする。
▽全国書店新聞の2022年1月1日号~12月15日号まで24号分の紙面を1冊に綴じた「全国書店新聞合本」の制作を承認した。部数80部。日書連役員、各都道府県組合、関係団体等に配布する。23年2月下旬刊行予定。
[書店再生委員会]
渡部満委員長は、10月12日開催「全国公正取引協議会連絡会議」に出席し、公取委と消費者庁の取り組みについて説明を受けたと報告した。
[図書館委員会]
髙島瑞雄委員長は、地域書店が電子図書館の流通に参画するための方策を説明した。
【23年度日書連理事会日程】
2023年
▽4月
委員会・理事会=休会
▽5月
委員会24日(水)
理事会25日(木)
公取協総会25日(木)
▽6月
委員会21日(水)
理事会22日(木)
通常総会22日(木)
▽7月
委員会・理事会=休会
▽8月
委員会・理事会=休会
▽9月
委員会13日(水)
理事会14日(木)
▽10月
委員会18日(水)
理事会19日(木)
▽11月
委員会・理事会=休会
▽12月
委員会13日(水)
理事会14日(木)
年末懇親会13日(水)
2024年
▽1月
委員会・理事会=休会
▽2月
委員会14日(水)
理事会15日(木)
▽3月
委員会・理事会=休会

島尻安伊子、宮﨑政久両議員が書店議連加入/沖縄組合の要請受け

沖縄県書店商業組合の小橋川篤夫理事長(いしだ文栄堂)と大城行治副理事長(大城書店)、武田祐規事務局長は8月15日、沖縄選挙区選出の衆議院議員4氏の事務所を訪問し、「全国の書店経営者を支える議員連盟」(書店議連)への加入を要請した。
書店議連のメンバーに沖縄選出の議員が一人も加入しておらず、大きな課題となっていた。
島尻安伊子衆議院議員(沖縄3区)は「書店組合や書店議連の存在すら知らなかった。私自身、本が好きで時間があればよく書店を訪れている。すぐに手続きをして、微力ながら力になれるよう加入したい」とその場で明言した。
沖縄は県知事選真っ只中の時期ということもあり、議員の皆さんは多忙なスケジュールの中であったが、丁寧に要請を聞き入れてくれた。翌9月には島尻氏と宮﨑政久衆議院議員(比例九州)の2名が加入した。
10月11日に両事務所を再び訪問し、お礼状を手渡した。小橋川理事長は「議連加入は我々書店経営者の希望の光となった。地域の書店、活字文化を守るためにお力添えをお願いする」と感謝を伝えた。
(武田祐規広報委員)

4氏に黄綬褒章/全国教科書供給協会/秋の叙勲

秋の叙勲で全国教科書供給協会から次の4氏が黄綬褒章を受章した。
・德久武(石川県徳久屋代表取締役会長)
・纐纈邦男(岐阜県東文堂代表取締役社長)
・宮﨑信彦(熊本県宮﨑商店代表取締役)
・瀬川浩三(鹿児島県文泉堂代表取締役社長)

2023年度「年間発売日カレンダー」/「完全土曜休配」6日増の年25日に/取次協会・雑誌協会が発表

日本出版取次協会と日本雑誌協会は10月28日、2023年度「年間発売日カレンダー」を発表した。
22年度に実現した「週5日以内稼働」を継続することを柱に、年度はじめの売上面を考慮し、繁忙期に当たる4月の第1週土曜日を稼働日とした。また、「土曜休配」は22年度と同じ年37日、輸送会社の出荷作業を伴わない「完全土曜休配」は22年度より6日増の年25日とした。年間稼働日は254日間。
両団体は今後も商品の鮮度と売上を最大限に考え、その上で流通にも配慮した、発売日に関わる根本的な考え方を各方面と議論し、効果的な輸送計画、業量平準化などを引き続き検討していくとしている。

「春夏秋冬本屋です」/「子どもの言葉」/福岡・麒麟書店常務・森松恵美

胎内記憶を話す子どもたちがいる!そんな世界があることを、妊娠中に通った病院の本棚で知った。しかし、奇跡のような話が我が子に起こるなんて信じる由もなかった。
それは、息子が3歳になったばかりの頃、ママのお腹の中は「キモチカッタ」(気持ち良かった)と教えてくれたのだ。5歳になる数日前には「ボクね、お空でヨーコさんに会ったよ。ママのところに行きたいって言ったら、ヨーコさんが魔法をかけてくれたの。そして、ママのところに来たんだよ」と突然話してきたのだ。ヨーコさんとは、18年前に亡くなった私の母で、もちろん息子は祖母に会ったことはない。神秘的な体験に、思わず涙が出そうだった。更に先日は、反抗的な態度に我慢ができず大声で叱りつけてしまった私に対して「ママごめんね。ボク、大きな声を出すママも大好きだよ」だった。それは、私がお気に入りの絵本のフレーズで、日頃から「あなたの全部が大好きよ」と伝えていた。
子どもの言葉は、時として神がかっている、まるで絵本の中の1ページのようだ。真っ白い心を持つ彼らに対して大人が掛ける言葉は何色だろうか。それ以来、お客さまには「どんなに素敵な絵本の言葉も、読んで聞かせて終わりではなく、普段使いを心がけてみて」と添えている。今だけしか聞けない子どもの言葉が、もっと輝く言葉になるように。

各組合広報委員と矢幡会長が懇談/日書連重点施策への理解深める/全国広報委員会議

日書連広報委員会は10月19日、東京・千代田区の出版クラブで全国広報委員会議を開催。全国書店新聞に記事投稿する役割などを担う各組合広報委員14名が所属組合の活動状況を報告し、粗利30%以上の獲得を目指す書店収益改善運動をはじめ日書連の重点施策や書店業界の問題について、日書連の矢幡秀治会長と懇談した。また、優秀広報委員として奈良組合の靏井忠義広報委員を表彰した。
隔年開催している全国広報委員会議は前回2020年がコロナの影響で中止となったため、4年ぶりの開催となる。今回は出席者を少人数にとどめ、感染対策に配慮して実施した。
司会進行は森松正一委員が務め、初めに光永和史委員長があいさつ。「広報委員長に就任して1年経った。9月1日の全国書店新聞創刊2000号、今日の全国広報委員会議と続き、日書連広報活動の発展へ決意を新たにしている。各都道府県組合で広報委員に選ばれた方々は、各地域の組合加盟書店に日書連の活動を伝え、地元組合の活動状況を書店新聞の紙面を通じて全国に流して共有する、重要な役割を担っている。今日は矢幡会長との懇談会を予定しているが、日書連の活動を肌で感じる良い機会。日頃の広報活動に役立て、書店新聞にたくさんの記事を送っていただきたい」とあいさつした。
矢幡会長との懇談会は、各組合広報委員に日書連が重点課題として取り組む事業や活動について理解を深めてもらい、全国書店新聞への記事投稿に役立ててもらうことが目的で実施。様々な問題について意見交換と質疑応答が行われた。
矢幡会長は、読者還元祭や本の日、秋の読書推進月間などの読書推進運動、書店経営継続のため粗利30%以上の獲得を目指す運動、組合員数の減少対策、書店議連について説明。「日書連の施策を実現するためには、広報委員の皆さんが書店新聞や所属組合の媒体に記事を書き、全国の書店に周知することが重要」として、広報活動への一層の尽力を要請した。
優秀広報委員表彰では、この1年間で書店新聞に記事・コラム11本を投稿した靏井広報委員に、矢幡会長から賞状と図書カードを贈呈した。
講演会「新聞記者という仕事」では、読売新聞東京本社の和田浩二氏が甲府支局勤務時代に手掛けたオウム真理教事件をはじめ、報道最前線の緊張感あふれるエピソードを披露した。また、現在担当する活字文化推進会議の関連で、ビブリオバトルについて話した。
[出席者]
▽日書連=矢幡秀治会長
▽日書連広報委員会=光永和史委員長、森松正一委員、二階堂衞司委員
▽各都道府県組合広報委員=伊藤篤(青森・伊吉書院)、佐々木栄之(宮城・佐々栄文盛堂)、水野兼太郎(埼玉・水野書店)、山本雅之(神奈川・金文堂信濃屋書店)、佐塚慎己(静岡・佐塚文化堂)、近藤五三六(愛知・近藤商店)、酒井久和(新潟・酒井書店)、清水祥三(福井・じっぷじっぷ)、東正治(大阪・パルネット東文堂書店)、靏井忠義(奈良・倭の国書房)、津田千鶴佳(鳥取・今井書店グループ)、小野正道(岡山・小野書店)、山﨑由紀子(愛媛・文具座やまさき)、宮﨑俊明(熊本・宮崎一心堂)

秋の読書推進月間「BOOKMEETSNEXT」がスタート/記念講演・対談オープニングイベントを開催

書店、出版社、取次や関係団体など出版業界が一丸となって取り組む新たな読書推進キャンペーン「本との新しい出会い、はじまる。BOOKMEETSNEXT」が10月27日にスタート。オープニングイベントが東京・新宿区の紀伊國屋ホールで行われ、直木賞作家の今村翔吾氏が「本の旅」をテーマに記念講演。児童文学作家の角野栄子氏と女優・作家・歌手の中江有里氏が「出会い」をテーマに対談した。
イベントでは、始めに運営委員会委員長の紀伊國屋書店・高井昌史会長兼社長があいさつ。高井氏は今回のキャンペーンを展開する主な目的として①秋の読書推進月間の期間中、全国一斉に読書推進活動を行う、②年齢を問わず、地元の読者を書店に呼び込むための活動を行う、③これからの読者層である若者への読書推進策に力を入れる――の3つを掲げ、「全国の書店でいろいろ面白いことをやっていると読者に感じていただけるような活動を展開していく」と力を込めた。そして、「今回のプロジェクトで、組織の壁を越えて皆が一致団結し、全国の書店で読書の楽しみや価値を再認識してもらう機会にしたい。今年の取り組みを一過性のものとして終わらせず、次年度以降も様々な読書推進企画との関係を強化し、全国の書店にお客様を呼べるようにしたい」と述べた。
続いて、事務局を務める出版文化産業振興財団(JPIC)の松木修一専務理事が、同日開設されたキャンペーンサイトの画面を用いて企画の概要を説明し、アンバサダーを発表した。アンバサダーの1人である野球日本代表・侍ジャパンの栗山英樹監督がビデオメッセージを寄せて、「10年間ファイターズで監督をしているとき、なかなか相談相手がない中で、書籍にある先人の知性が僕を助けてくれた。多くの人にそんな経験をしてもらいたい」と語った。
「本の旅」をテーマに講演した今村氏は、昨年に大阪・箕面市の書店「きのしたブックセンター」を事業承継したことや、今年5月から約4ヵ月かけて全国47都道府県を車で巡り約270ヵ所の書店や学校を訪問したことを紹介。「僕ほど本屋の現状を見てきた作家はいないのではないか。本が売れないと言われる中で書店さんは諦めていない。『こういうことをしたい』と語る方が多く、希望を持つことができた」と振り返った。
また、「若者の読書離れ」について、小中高ではそれほど離れておらず、深刻なのは読書以外で楽しみの選択肢が一気に増える19歳から25歳くらいの若者だとし、この世代に読書が日常にある素晴らしさを伝えていくことが重要だと指摘。「今一番力を持っているのはYouTubeなどの動画だが、動画は一方的に流されるのに対して、読書は作者と読者の間に対話が生まれる。文章を一旦飲み込み、自分の中で考え、心の中に刻み込まれる。何でも早いのがいいと思われている時代だが、時間を取る娯楽であることが本の最大の魅力ではないか。本は、余暇の楽しみの王座から随分前に陥落している。奪還に向けて、書店、取次、出版社、作家、読者が一丸となって挑む今回の取り組みは素晴らしい。10年、100年を超えた名作がある本には、奪還する実力が絶対ある」と力説した。
「出会い」をテーマにした対談で角野氏は、幼少期の本と書店に関する思い出や、大学時代の恩師の勧めでブラジルでの体験を綴った本を書き作家デビューしたエピソード、作品を生み出すイマジネーションのもとなどについて語った。
中江氏は、街の書店へのエールとして「私は、苦しい時、悲しい時、うれしい時、書店に足を運んでその時の自分の記念になるような1冊を買うようにしている。そういう自分の記念日を本屋さんを通じて作ってみては」と提案。角野氏は「仲の良い友だちが子どもの本屋をやっていて、とてもパーセントが少ないという話をよく聞くので、もう少し出版社が出してあげたらいいのになと思うが、そのように本が好きで本屋をしている人たちがいてくださることは本当にありがたい」と話した。

「BOOKMEETSNEXT」/企画サイトに全国のイベント情報掲載/書店スタンプラリーなども実施

秋の読書推進月間「BOOKMEETSNEXT」キャンペーンは、10月27日から11月23日までの28日間開催。初日に開設したキャンペーンサイト(https://book-meets-next.com/)には、全国で開催する読書関連イベントのアーカイブ配信や、書店が独自に企画するイベントのほか、実行委員会や出版社が企画する「かがみの孤城映画化記念フェア」(ポプラ社)や「新宿鮫新刊発売記念フェア」(光文社)、「本屋へいこう!書店へ行くだけで人気タイトルのスマホ壁紙がもらえる!」などのイベント開催情報を掲載する。
デジタルキャンペーンとして実施する「BOOKスタンプラリー」では、書店に掲示されるポスターのQRコードを読み取り、計5回のスタンプ取得で豪華賞品が当たる抽選を実施。「ハッシュタグキャンペーン」では、SNSで「♯本との出会い」を付けて投稿した中から優秀作品に図書カードネットギフトをプレゼントする。
キャンペーン開催にあたり、作家の今村翔吾氏、作家の角野栄子氏、侍ジャパン監督の栗山英樹氏、女優・作家・歌手の中江有里氏、作家・㈱人財育成JAPAN代表取締役の永松茂久氏、作家・日本文藝家協会理事長の林真理子氏、数学者・作家の藤原正彦氏の7名にBOOKアンバサダー就任を委嘱、読書推進活動のPRを進める。

鈴木喜重理事長を再選/共同販売、経営健全化などに注力/千葉総会

千葉県書店商業組合は9月30日、千葉市中央区の千葉県書店会館で第39期通常総会を開催した。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今年も書面議決による参加を呼びかけ、本人出席は最少人数で行った。
鈴木喜重理事長(ときわ書房)を議長に議案審議を行い、第39期事業報告、収支決算書、監査報告、第40期事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
事業報告では、千葉県立西部図書館・千葉県立東部図書館への図書納入や、組合員への図書・暦・県民手帳の販売からなる共同販売事業収入は、前期は県立中央図書館を落札できず、また当期は県立西部図書館も落札できずに4月~7月の受注が減少したことで、前期に比べ大幅な減少となったと報告した。
事業計画では、①官公庁、業務用資材の共同販売事業、②会館の貸付利用事業、③組合支部組織の活性化、並びに新規組合員の加入促進及び組織化への対応、④日書連における書店経営健全化の推進、⑤出版物再販維持運動の継続、値引き販売の阻止及び対応――などの取り組みを進めるとした。任期満了に伴う役員改選では理事、監事が全員重任。鈴木理事長はじめ正副理事長・専務理事を全員再選した。
〔千葉組合役員体制〕
▽理事長=鈴木喜重(ときわ書房)▽副理事長=仁木俊行(仁木書店)中島浩(中島書店)▽専務理事=植田榮一(植田文教センター)

帯コン受賞作112点が決定/KADOKAWAへの決議文採択/大阪組合

大阪府書店商業組合(深田健治理事長)は10月8日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。
庶務報告では、2023年新年互例会を来年1月10日14時より大阪市中央区のザ・ランドマーク・スクエア・大阪で開催すること、大阪府子ども家庭局子ども青少年課「大阪府青少年健全育成優良店」表彰に隆祥館書店の二村知子氏が決定したこと、11月10日~15日に行われる創価学会主催「絵本と私の物語展」のオープニングカットとあいさつで深田理事長が出席することを報告した。
経営活性化委員会では、東京五輪をめぐる贈収賄事件でKADOKAWAの角川歴彦前会長が起訴された件について、KADOKAWAへの決議文を採択し、日書連を通じて提出することにした。決議文は、角川書店創業者・角川源義氏の「角川文庫発刊に際して」を引用して、読者と全国の書店、関係者からの「愛情ある忠言と支持」を再度得られるよう厳しく猛省し、創業の初志を完遂することを希う、とするもの。
読書推進委員会からは、2022第18回大阪こども「本の帯創作コンクール」(帯コン)の最終審査会を10月5日に実施し、受賞作品112点を決定、受賞帯9点を作成発注すると報告した。
(石尾義彦事務局長)

スタンプラリー企画、公立図書館の参加推進/奈良理事会

奈良県書店商業組合(林田芳幸理事長)は10月12日、大和郡山市のディーズブックで、総会後初の理事会を開いた
開会にあたり、林田理事長は「世の中は変わるが、書店の厳しい状況は深まっている。何とか存続をはかる努力をしていかなければならない」と危機感を込めたあいさつを行った。
年末から年始にかけて例年通り、読書推進のスタンプラリーキャンペーンを実施する方針を確認、公立図書館の参加をさらに推進していくことにした。書店と図書館のスタンプを4つ集めれば、抽選で図書カードなどが当たる。
障碍者作業所への図書装備依頼は、順調に進んでいると報告された。また、秋の読書週間の活動に取り組むよう各書店に呼びかけることにした。
次回理事会は来年2月2日。
(靍井忠義広報委員)

書籍等卸、21年度は1・4%増収/12業種で売上高が前年上回る/日経MJ卸売業調査

日経MJは8月31日号で2021年度の卸売業調査の結果を発表した。収益認識基準の適用企業を含む比較可能な386社を対象とした全14業種(その他を含む)の売上高の合計は前年度比2・8%増で、2年ぶりに前の年度を上回った。営業利益は同93・8%増で、営業増益は17年度以来4年ぶり。21年度は、新型コロナウイルス感染拡大初期の20年度に大幅に落ち込んだ経済活動が徐々に回復した。
この調査は、消費財を中心とした卸売業を行う企業886社を対象に6月下旬~8月上旬に実施した。有効回答企業は540社。
業種別では、14業種のうち12業種で売上高が前年度を上回った。主要業種の食品は1・5%増、医薬品は4・2%増、繊維は9・5%増となった。書籍・CD・ビデオ・楽器は1・4%増だった。一方、減収だったのは雑貨の0・8%減と服飾品の0・3%減。
1年前と比べた景況感を聞くと、全業種では「悪い」が6・6%、「悪化の兆しがある」が24・1%で、景況感が悪化している企業が合計で3割超に。「良い」(6・1%)、「改善の兆しがある」(18・3%)と前向きにとらえる回答の合計を上回った。
景況感が悪化しているという企業に理由を複数回答で尋ねると、「(メーカーなど)仕入れ先の価格転嫁が進んでいない」が最も多く54・3%。以下、「受注量が減っている」(53・4%)、「物流コストの転嫁が進んでいない」(47・4%)、「取引先が減っている」(23・3%)となった。経営の効率化や営業力強化などで取り組んでいることを聞くと、最も多かったのが「不採算取引の見直し」で70・3%。「在庫日数の短縮・在庫削減」(62・1%)、「多頻度小口配送の見直し」(40・1%)も多く挙がった。
書籍・CD・ビデオ・楽器部門の売上高ランキングで1位になったのは日販グループホールディングスで5049億9300万円、2位はトーハンで4281億5100万円だった。

BooksPROがさらに充実/JPRO小ジャンルの登録開始/販促情報の検索機能を新設

日本出版インフラセンター(JPO)は10月12日、東京・千代田区の一橋講堂で、出版情報登録センター(JPRO)の出版社向け説明会「JPROの充実とさらなる進化、その利活用を提案」を開催。オンライン配信を含めて781名が参加した。
JPROは10月21日に新サービスとして①JPRO小ジャンル登録開始、②書店向けポータルサイト「BooksPRO」販促情報の検索機能新設、③JPRO既刊情報の拡充――をスタート。説明会では新機能の紹介などが行われた。
BooksPROで情報を検索するためのキーワードである「JPROジャンル」について、出版社は大ジャンル、中ジャンルに加え、より詳細な小ジャンルまで登録できるようになった。また、小ジャンルを登録すれば、国際分類基準「Thema(シーマ)コード」に自動的に変換可能とした。BooksPROのジャンル検索機能が強化され、BooksPROと一般向け検索サイト「Books」の商品ページにThemaコードが表示されることで、書店、読者がより本を探しやすくなる。
BooksPROには販促情報の検索機能を新設。書誌情報と販促情報を切り替えて検索可能となり、出版社が日々登録している「メディアで紹介」「新聞広告」「重版情報」「拡材いろいろ」など多数の販促情報が、地域や書店の実情に応じて探しやすくなった。
また、JPROが本格稼働する2015年以前の既刊本について、トーハン、日本出版販売の協力で書誌の提供を受け、日本書籍出版協会から引き継いだ既刊書誌との重複を除いて約100万点の情報が追加された。電子書籍については、電子取次のモバイルブック・ジェーピーより今年3月末時点で同社が保有する全書誌の提供を受け、約7万点の情報が追加された。
10月12日の説明会であいさつしたJPOの相賀昌宏代表理事(小学館)は、JPROの書誌情報が、出版業界での利用に加えて、改正著作権法対応や読書バリアフリー法対応を進める中で活用が広がることに期待を示し、「幅広い読者からの利用を視野に入れながら進めており、それらを充実させることで販売企画、編集企画にも役立つものにしたいというのが最終的な目標だ。そのために忌憚のないご批判、ご意見をいただきたい」と述べた。
JPRO管理委員DB対応WGサブリーダーの佐野洋氏(講談社)は、改正著作権法や読書バリアフリー法への対応として「マルチコンテンツ」の登録が必要だと強調。マルチコンテンツとは、異版(判型違い、オンデマンド版、他社刊行等)、電子書籍、オーディオブックなど、底本から派生する全ての出版物を指すもので、佐野氏は「改正著作権法による『入手困難本の国会図書館から個人への電子送信』への対応として、出版物に異版や電子書籍が存在し入手困難ではないと表示されるようにすることが、著者と出版社の権利を守ることにつながり、読者の利便性向上にもつながる。自社本、他社本を問わず底本に紐づける登録をお願いする」と話した。

種田山頭火賞にロバート・キャンベル氏/春陽堂書店

春陽堂書店は、信念を貫く生き方で多くの人々に感動を与えた文化人・表現者を顕彰する「種田山頭火賞」の第5回受賞者に、日本文学研究者のロバート・キャンベル氏を決定。10月13日に東京・千代田区の出版クラブホールで授賞式を開催した。
授賞理由は、新型コロナウイルス感染拡大の局面において、書籍『日本古典と感染症』のスピード感ある出版や、近世の人々が感染症に笑いで対抗したことを動画で公開するなど、日本人が未知の病を乗り越えた知恵や工夫を書籍や動画で広め、人々を勇気づけた功績に対してとしている。
受賞のあいさつでキャンベル氏は、コロナ下での「日本古典と感染症」の動画公開や書籍刊行について「日本の言語文化の歴史から、感染症とは何か、それがどのように表象され、どんなきっかけで文芸が作られたのか、それを依り代に人々がどのように生活し、再生したのかを伝えないといけないと思った。社会の関心事と、実証的に自分が紡いできた非常にペースの遅い研究というものが、その瞬間に結び付いた」と当時の心境を語り、「今回ありがたくて不思議な、私にとって捉えどころが困難な賞をいただき、自分の輪郭を考えるきっかけになった」と述べた。
選考委員の嵐山光三郎氏は「『日本古典と感染症』は、感染症日本文学史1300年ともいうべき壮大な成果」とたたえ、「種田山頭火賞は、文学や文化の周辺にいる世界中の人々の心を打つ賞」と話した。林望氏は、「地道で学問的なフィールドワークを持ちながら、テレビやラジオなどのメディアで若い人たちに日本の古典文学の良さや楽しさを啓蒙している。そういう自由な精神のキャンベルさんに山頭火賞をもらっていただきたいと思った」と述べた。

日書連のうごき

10月3日 書店大商談会に矢幡会長が出席。
10月5日 JPO運営幹事会に事務局が出席。
10月6日 本の日ブックカバー大賞審査会に矢幡会長が出席。
10月7日 出版平和堂功労者顕彰会に矢幡会長が出席。
10月11日 本の日実行委員会に矢幡会長が出席。
10月12日 公取協連合会全国会議に柴﨑、渡部両副会長が出席。
10月14日 万引防止出版対策本部総会に矢幡会長が出席。
10月17日 全国書店再生支援財団でTRC訪問に矢幡会長が出席。
10月18日 書店議連との意見交換会に矢幡会長が出席。
10月19日 各種委員会。全国広報委員会議。
10月20日 定例理事会。
10月24日 中小小売連絡会に事務局が出席。
10月26日 文化産業信用組合理事会に矢幡会長が出席。
10月27日 秋の読書推進月間オープニングに矢幡会長が出席。

日販出版流通学院「不明ロス対策セミナー」

日販出版流通学院では、eラーニング「不明ロス対策セミナー」の12月期(12月1日~1月14日)受講生を募集している。
「不明ロス対策セミナー」は、全国万引犯罪防止機構理事でウェリカジャパン代表取締役の豊川奈帆氏が監修。万引の予防と捕捉の具体的方法と、メリットとデメリット、店舗スタッフ間で取り組むべき予防方法、各種ケースに基づいた声掛けの具体例などが学習できる。メニューは4カリキュラム(動画計66分+テスト11問)。12月期の応募締切は11月23日。詳細は出版流通学院ホームページへ(https://www.nippan.co.jp/ryutsu-gakuin/loss-prevention/)。

「本屋のあとがき」/「思い入れ深い『告白』」/ときわ書房本店文芸書・文具担当宇田川拓也

本稿を書いている11月初旬、湊かなえ『告白』(双葉文庫)の装丁が強く目を惹く蛍光ピンクに変わり、全国の売り場を賑わせている。これは文庫で3百万部突破という驚異的なセールスを記念し、コミック『呪術廻戦』の作者・芥見下々による描き下ろしイラスト入りの幅広帯が期間限定でつけられたことによる。
この『告白』という作品には、個人的にとても深い思い入れがある。
ある日、双葉社から『聖職者』と題された紙の束が送られてきた。小説推理新人賞受賞作を第一章とした長編作品で、出来栄えが大変素晴らしく、この新人デビュー作の売り出し方について話しをしたいという。こうして書店と取次の有志が集まり、プロジェクトが立ち上げられ、それから何度も東五軒町の社屋に足を運んだ。タイトルは変えるべきか、どんな装丁がふさわしいか、時には酒の席でも意見を交わし、ついに2008年8月、『告白』のタイトルで発売されることとなる。
十万部とか売れたりして――という夢物語は早々に現実のものとなり、その後、本屋大賞を受賞し、映画化、さらに海を越えて翻訳刊行され、米国『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の2014年ミステリーベスト10選出、全米図書協会アレックス賞受賞など、高い評価を獲得。そしていま、前述のような記念の展開をするまでに至っている。
レジで『告白』を売るたびに、プロジェクトメンバーたちで共有した当時の熱気が鮮やかに甦る。