全国書店新聞
             

平成25年1月1日号

書店再生具体策に着手/新春直言・大橋信夫日書連会長に聞く

自公が民主から政権の座を奪還して迎えた2013年。長引く日本経済の低迷、10年以上続く出版販売額のマイナスなど書店業界を取り巻く厳しい環境の中で、書店を再生するためにはどのような取り組みが必要なのか。この1年の課題について大橋信夫日書連会長に話を聞いた。(聞き手=本紙編集長・白石隆史)
〔書店発の増売企画、今後も〕
――昨年、日書連が重点的に取り組んだ運動の1つに書店経営の環境改善があり、「書店再生のための5項目の提案」を打ち出しました。
大橋提案5項目はいずれも書店再生にとって重要かつ緊急性のある改善案ですが、まず実用書の増売を採用することにしました。今まで欲しくても配本されなかった商品を確保することで、店頭の活性化を図る。そして増売の実績を作り、出来れば出版社からインセンティブを頂戴したい。その第1弾として「食と健康」をテーマとした実用書セットの増売企画に取り組むことにしました。高齢化社会に向け、時代に即したテーマだと思います。池田書店、NHK出版、主婦の友社、新星出版社、日本文芸社5社の合計50点75冊を選びました。
――実績のある人気商品が中心ですね。
大橋店にある同じテーマの本の在庫や関連する第3商材と組み合わせて棚作りするなど売り方を工夫すれば、面白い店舗展開が可能です。特に、実用書の人気商品を調達することに苦労してきた中小書店にとって、確実に配本される今回の増売企画は大きなメリットがあるはずです。
――手応えはいかがですか。
大橋申し込みは418店、456セットと比較的小さい規模でのスタートとなりましたが、参加書店からは「書店が自発的に選書して増売企画を展開するのは素晴らしい」「セット内容がいい」「これからも続けてほしい」との声を頂いており、大変好評です。
今回協力してくださった出版社5社は、書店から声をかけてもらったことをとても喜んでいました。直接書店の声を聞くいい機会になったと。他にも興味を持っている出版社が複数あると聞いています。
――書店再生運動の今後の展開は。
大橋増売企画を1回やって、足掛かりが出来た。今後につながる結果を出せたと思います。これで終わりにするつもりはありません。今回の結果を分析して、第2回、第3回と書店発の増売企画を続けていくつもりです。
雑誌付録綴じを書店業務からなくすこと、万引きロスの書店負担を軽減すること、取次特急便の書店負担をなくすことなどの提案についても、状況を見ながら順次取り組んでいきます。
書店再生の眼目は、収益性の改善です。書店が元気になってほしい。そのために書店再生運動を始めました。マージンはもちろん大切ですが、書店が売れる商品を自分で選んで確保することも収益性の改善につながります。今回それを書店の側から提案したことの意義は非常に大きいと考えています。
〔送品・返品同日精算実現を〕
――長年にわたりトーハン、日販両社にお願いしてきた送品・返品同日精算の実現については、昨年、両社が独禁法に規定されている優越的地位にある者による濫用行為を行っていないか判断してもらうため、公正取引委員会に調査依頼を申告しました。第三者機関に判断を依頼したのはなぜですか。
大橋苦境にある書店経営を改善するため、書店のキャッシュフローを書店に返していただきたいと、送品・返品同日精算の実現を約4年間にわたりお願いしてきました。しかし、私たちの主張は理解されることなく、誠意ある進展が見られませんでした。だから第三者に判断を委ねることにしたのです。
時期尚早という人もいました。でも、私たちにはあまり時間をかけていられない、もう待てないという事情がありました。そこを理解していただきたいと思います。送品・返品同日精算の実現をお願いしてきた背景には、傘下組合加入書店の悲痛な叫びがあり、こうしている間にも多くの書店が廃業しています。このタイミングで決断せざるを得なかったのです。
――昨年5月に公取委に申告書を出しました。その
後、何か動きはありますか。
大橋法的措置が確定するのを待っている状況です。単組レベルでは、いくつかの県組合が公取委に上申書を提出しています。公取委がどのような判断を下すのか現時点ではわかりません。ただ、どのような判断結果が出ようと、資金繰りに苦しむ書店の経営環境を改善しなければならないことに変わりはありませんし、取次各社へのお願いは続けていくつもりです。
――昨年はウェイズジャパンと提携して書店店頭での電子書籍販売事業をスタートしました。
大橋紙も電子も「本」は書店が売るという方向性を指し示すことが目的です。紙の本がなくなることはないでしょうが、これから電子書籍の影響が大きくなっていくことは間違いありません。電子書籍を無視してはいけない。紙の本とともに電子書籍も取り扱うことで店頭活性化を図るビジネスモデルを追求することが必要です。
この事業は、紙の本に特化した書店が電子書籍に関心を持ついいきっかけになったと思います。書店参加率はまだまだですが、コンテンツ数が増えれば、より関心を持ってもらえる事業になるでしょう。今後の電子書籍に関する事業展開については、機動的かつ柔軟に対応し、様々な選択肢を探っていく必要があると考えています。
――書店の閉店数は依然高い水準を保っています。組織強化対策についてどのようにお考えですか。
大橋日書連傘下組合員数は26年減少し続け、昨年4月現在、前年比189店減の4718店になりました。深刻な事態と捉えています。組合加入メリットを追求するため、書店経営の環境改善に全力で取り組んでいるところです。書店再生のための5項目の提案、送品・返品同日精算は絶対に実現したい。
――傘下組合員数の減少とともに、日書連財政も逼迫しています。
大橋赤字解消に向けて「入るを量りて出ずるを制す」ことに真摯に努力しています。経費削減のためすべての事業を抜本的に見直すとともに、収入の道も探っています。
――東日本大震災からもうすぐ2年がたちます。日書連は地震対策本部を設置し、被災地の書店へ支援を行ってきました。今後の取り組みについて考えをお聞かせください。
大橋被災地の状況は時間の経過とともに変化しており、被災地のニーズに即した支援を行っていく必要があります。相賀(昌宏、小学館社長)さんが常任委員会の委員長を務める〈大震災〉出版対策本部が作った「大震災出版復興基金」の書店店頭での募金活動に引き続き力を入れていきたい。書店の皆さんは、募金箱の設置に是非協力していただきたいと思います。
――昨年は税と社会保障の一体改革関連法が成立し、消費税率が14年8%、15年10%と段階的に引き上げられることが決まりました。先の衆院選で民主党が惨敗し、自公が政権を奪還しました。消費税問題については今後どのような運動を展開しますか。
大橋景気が冷え込んでいるときに増税などとんでもないことです。日書連は消費税率引き上げに一貫して反対してきました。政権が変わっても、従来通り書協、雑協、取協と歩調を合わせ、書籍・雑誌へ軽減税率を適用するよう求めていきます。
――今年の抱負をお聞かせください。
大橋問題は山積していますが、知恵を出し合って業界を盛り立てていきたいですね。「書店再生」を最重点課題に、明日のあるべき書店像を追求したいと考えています。

磁気情報に欠陥、読み取りエラーも/図書カード

日本図書普及は11月28日、図書カード(額面1万円・名画シリーズ)の一部に検査不十分のため磁気情報に欠陥のあるものが混入しており、使用の際に読み取りエラーになる可能性があるとして、代替カードと交換すると発表した。同社の平井茂取締役は日書連12月定例理事会で事情説明を行い、「読者、書店をはじめ関係者の皆様にご迷惑をおかけした」と陳謝した。
平井取締役によると、8月後半、3千円のオリジナルカードにエラーが多発。調査したところ裏面磁気部のエンコードデータに不良が見つかり、6月~8月に当該機械2台でエンコードされた図書カードの、取次、カードソリューション、同社にある在庫を回収。7月中旬以降エンコードしたカードはほとんど回収し、その後エラーが多発することはなかった。
ところが11月、1万円カードが連続して読めないとの連絡が書店からあり、回収して調べたところ、8月にエンコードした当該カード3万枚が市場に出てしまったことが判明。再度、取次、カードソリューション、同社の在庫確保を図ったものの、回収枚数は1万枚にとどまった。その後、仕入書店へ連絡、合計1万9千枚を回収することができた。その後も回収の努力を続け、現在、市場に出回っているエラーカードは7千枚を切っているという。
加盟書店には11月26日着で、エラーカードへの対応をお願いするハガキを出すとともに、同社ホームページに消費者向けチラシを用意。11月28日には朝日、読売、毎日各紙に社告を掲載し、同時に同社ホームページ上でも告知を行った。
当初1日30~40件の問い合わせがあったが、現在はほとんどなくなり、事態は沈静化に向かっているという。平井取締役は一連の事態を謝罪した上で、「磁気に頼らない新しいシステムを考えている」と述べた。

報奨金支払い決まる/書店再生の増売企画/日書連12月理事会

日書連は12月20日、書店会館で定例理事会を開いた。主な審議事項は以下の通り。
〔書店再生〕
12年11月~13年2月に実施している「食と健康」をテーマにした実用書セットの書店再生のための増売企画は、全国418店から456セットの注文があったと舩坂委員長が報告。「店にある同じテーマの在庫と組み合わせてコーナーを作ったところ、立ち止まる客が増え、売上も次第にアップした」と自身の大盛堂書店での取り組みを紹介し、「人気商材を中心に選んだセット。工夫すれば確実に増売の成果があがる」と強調。2月末で終わりではなく、補充注文をかけて長く売ってほしいと求めた。また、今回の協力出版社5社のうち4社から報奨金を支払うとの意思表示があり、もう1社も支払う見通しであることを明らかにした。
7月21日から8月20日までの1ヵ月間展開された「雑誌愛読月間」の「年間定期購読キャンペーン」(雑協、取協、日書連共催)の結果がまとまり、舩坂委員長が報告した。これによると、受注総数は初めて4万件の大台に乗った。参加書店は5047店で、受注獲得店舗率は過去最高となった。雑協会員社47社126誌が参加と、こちらも過去最多となった。
日書連の児童書増売運動「心にのこる子どもの本新学期・夏休みセール」は4月~10月に開催する。1月中旬に注文書発送、2月28日に注文締切、4月初旬~中旬に商品出荷。出品条件7ヵ月長期委託。販売目標1億1920万円(前年比10%増)。目標達成組合に本体価格の1%を報奨金として支払う。
〔読書推進〕
独自企画を提出した組合に補助金を拠出する「2013サン・ジョルディの日PR企画推進費」に、11月30日の締切までに15組合から応募があり、12月6日に選考会を行った結果、14組合に総額265万円を支給することを決めた。西村委員長は、京都組合の企画内容が特に優れていたとして、「書店員が京都をテーマにした小説を選び、フェアを実施するというもの。地元の魅力をアピールする絶好の機会になる」と期待を示した。採用された組合と支給金額は以下の通り。▽20万円=北海道、青森、千葉、神奈川、愛知、新潟、富山、長野、京都、奈良、兵庫、沖縄▽15万円=福岡▽10万円=山形
〔取引改善〕
雑協が7月に雑誌付録の形態ルールに対する実態調査を実施した。これによると、出版社の92%が雑誌付録の形態・材質に関してのルールを「理解している」と回答した。また、付録を付けると売上が増えるが、当該号だけの効果でしかないケースが多いことが分かった。日書連から雑誌の付録綴じ作業を出版社が費用負担するよう要望が出ていることについては、94%が「知っている」と答えた。柴﨑委員長は「雑誌を売るため付録を付けることには賛成する。ただ店頭での荷姿まで想定して付録を作ってほしい。完成品でない雑誌は付録綴じの手数料を書店に支払うべきと雑協に伝えた」と報告した。
〔共同購買〕
日書連のオリジナル手帳「ポケッター2013」は12月14日現在、製作部数7万部のうち残部数5500部になった。
〔流通改善〕
13年度の年間発売日カレンダーが取協物流発売日研究委員会から示されたと藤原委員長が報告した。繁忙期の祝日発売日設定は年1回。11年度、12年度に秋分の日を設定し、業界内で定着してきたことから、13年度も引き続き9月23日の秋分の日に設定を行う。また、12年度は12月24日(天皇誕生日の振替休日)も設定したが、週刊誌の発売点数が少なく効率化が難しいため、13年度は設定を行わない。土曜休配日は6月8日、7月6日、9月7日、10月5日の年4回。
日本出版インフラセンターは、雑誌コード「2コード」(先頭のコード番号が「2」で始まる雑誌コード)のコード数が僅少になってきたことを受け、このほど「3コード」の運用を開始することを決めた。開始日は13年8月1日以降発売する創刊誌等より。運用体系は現在の「2コード」に準ずる。
〔消費税〕
先の衆院選で自公が勝利し、政権の座を奪還することになった。消費増税は民自公3党によって可決成立したが、自民には経済状況が好転しなければ増税しないという意見がある。また、公明は8%段階から出版物、新聞等に軽減税率を適用すべきとの立場をとっている。面屋委員長は、新政権に対して出版4団体で陳情活動を行い、書籍・雑誌への軽減税率適用を訴えたいとの意向を示した。
〔広報〕
10月17日に全国広報委員会議を開き、日書連広報活動と全国書店新聞の紙面作りについて話し合ったと面屋委員長が報告。今回は初の試みとして、広報活動のあり方をテーマにパネルディスカッションを行い、有意義な情報共有の場になったと総括した。
〔組織〕
各都道府県の加入・脱退状況は、9月期が加入1店・脱退12店で前月比11店純減、10月期が加入2店・脱退16店で同14店純減、11月期が加入3店・脱退17店で同14店純減。12月1日現在の日書連傘下組合員数は合計4593店になった。中山委員長は「このまま推移すると今年度末には4500店前後になる」と危機感を示した。
〔政策〕
経費節減のため、12年は10月、11月定例理事会を休会としたが、2ヵ月間空白期間ができたことで運営上問題が生じたため、13年は11月理事会を開催する。
〔日書連ホームページ〕
経費節減策の一環として日書連ホームページの運用コスト見直しを検討してきたが、作業部会は「ホームページを一度白紙に戻して、ゼロから再スタートする」との結論を出した。

道路に面したワゴンで全点展開/東京・杉並区・サンブックス浜田山

日書連が11月から実施している書店再生の実用書増売企画「書店さんが選んだ『食と健康』セット」。この増売に取り組む書店の事例を紹介する。
東京・杉並区のサンブックス浜田山は、京王井の頭線浜田山駅前にある約20坪のお店。道路に面したワゴン台に2セット150冊を並べ、1ヵ月弱の期間で25冊販売した。安藤弘社長は「スペースが限られているから、『こういう本を売っていますよ』というアピールを意図した。1ヵ月以上ワゴンで並べてもお客さんが飽きてしまうので、今は店内の棚にバラで並べ、目的買いのお客さんにその他の本も手にとってもらえるようにしている」と話す。

若い人に贈る読書のすすめ/読進協

読書推進運動協議会は「2013若い人に贈る読書のすすめ」のリーフレットを作成した。掲載図書は以下の24点。
▽『聞く力』阿川佐和子、文藝春秋▽『くちびるに歌を』中田永一、小学館▽『できることをしよう。』糸井重里、ほぼ日刊イトイ新聞、新潮社▽『ルーズヴェルト・ゲーム』池井戸潤、講談社▽『しあわせに働ける社会へ』竹信三恵子、岩波書店▽『雪まんま』あべ美佳、NHK出版▽『七夜物語(上・下)』川上弘美、朝日新聞出版▽『上昇思考』長友祐都、角川書店▽『サラの柔らかな香車』橋本長道、集英社▽『本当の経済の話をしよう』若田部昌澄、栗原裕一郎、筑摩書房▽『八月の光』朽木祥、偕成社▽『「あの日」からぼくが考えている「正しさ」について』高橋源一郎、河出書房新社▽『心のおくりびと東日本大震災復元納棺師~思い出が動きだす日~』今西乃子、浜田一男(写真)、金の星社▽『幸せの条件』誉田哲也、中央公論新社▽『武士道と修養』新渡戸稲造、実業之日本社(編)、実業之日本社▽『怪物はささやく』パトリック・ネス、シヴォーン・ダウド(原案)、池田真紀子(訳)、あすなろ書房▽『3つのなぞ』ジョン・J・ミュース、三木卓(訳)、フレーベル館▽『生きのびるための科学』池内了、晶文社▽『夢をかなえる。』澤穂希、徳間書店▽『失われた猫』森博嗣、佐久間真人(画)、光文社▽『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子、幻冬舎▽『ぼくはお金を使わずに生きることにした』マーク・ボイル、吉田奈緒子(訳)、紀伊國屋書店▽『きみたちはどう迷うか』酒井穣、大和書房▽『情報の呼吸法』津田大介、朝日出版社

総勢269名で賑やかに/各団体首脳があいさつ/日書連出版販売年末懇親会

日書連が主催する出版販売年末懇親会が、12月19日午後6時から東京都千代田区の帝国ホテルで開催され、日書連役員、書店、出版社、取次、業界関係者など総勢269名が出席した。
懇親会は藤原直副会長の司会で進行し、はじめに大橋会長があいさつ。「先日の選挙で政権が変わるという結果になった。景気も良くなってほしいし、本もどしどし読者の皆さんにお買い上げいただきたいと願っている。いろいろ問題が山積していて大変厳しく、何とかこれを打開したい。だが、いろいろやっていくと次のことばかりが目について、後ろがお留守になってしまう。良い例が、10月27日から2週間行っている『読書週間』だ。これが1週間だと思っている人もいて、当たり前と我々が思っていることが、よく知られていない。当たり前と思うことを愚直にやっていくことが大事だ。基本的なことを愚直にやっていこう」と述べた。
続いて来賓の日本書籍出版協会・相賀昌宏理事長(小学館)があいさつし、「東日本大震災の被災地のことを忘れないようにと、今年も出版業界で一生懸命取り組んできた。先日は出版クラブ主催で陸前高田と気仙沼に行き、大変勉強になった。現地で大商談会を行うとか、被災地を支援する本のセットなど、いろいろなアイデアがあると思う。出版業界が被災地を応援し、そのことが『本っていいよね』という形につながっていけたらいい」と話した。
日本出版取次協会の古屋文明会長(日本出版販売)は「1年を振り返ると、書店業界の多くの偉大な先達が亡くなられた。今年は景気や店頭は良くなかった。政治も変わり、来年はいい年にしなければいけない。業界三者が力を合わせ、来年がいい年になるよう努力することを誓いたい」とあいさつして乾杯した。
中締めは、日本雑誌協会の石﨑孟理事長(マガジンハウス)が登壇。「今朝開いた雑協の理事会で、雑誌価値再生特別委員会からの調査レポートが報告された。雑誌がなぜ今大変な状況にあるのかが客観的にまとめられている。どうしたら雑誌が売れるようになるのか明解な答えがあるわけではないが、このように一歩ずつ原因を探っていくことこそが、雑誌回復、雑誌反撃の一歩になると思う。我々も基本に戻って雑誌作りにまい進する。皆様と一緒になって来年を雑誌復興の年にしたい」とあいさつし、出席者全員で三本締めを行った。

イギリス出版事情を報告/流通改善協議会が再販説明会

出版4団体で構成する出版流通改善協議会の「再販関連」会員説明会が12月11日に新宿区の日本出版会館で開かれ、『2012年出版再販・流通白書№15』の説明などが行われた。
相賀昌宏委員長(小学館)は、「ネット上でのポイント問題など新しい問題が起きているが、各社、各個人がそれぞれ意見を言ったり異議申し立てをしていくという形で進めるしかない。全員が自分の考えを持ってやってほしいという思いが、この白書に込められている」とあいさつした。
次に、早川三雄委員(小学館)が『出版再販・流通白書№15』と『再販契約の手引き(第5版)』の概要を説明。『白書』については、①出版インフラ整備の取組み②取引制度の改革③東日本大震災に対する業界の取組み――の3つの巻頭特集や、出版業界各社・団体による流通改善事例などの概略を述べた。
続いて日本書籍出版協会の樋口清一事務局長が、書籍再販協定廃止から17年が経過したイギリスを10月に視察した調査内容を報告した。樋口事務局長は書店の状況について、独立系書店の数は最盛期からほぼ半減しており、2008年と11年の売上シェアを比較すると、チェーン書店が40%から33%に、独立系書店が10%から5%に落ちているのに対し、オンライン書店が16%から35%に増加していると説明。また、独立系書店はほとんど値引きをせずに商売をしているところが多く、品揃えや独自のサービスに工夫を凝らし、コミュニティとのつながりを深めていると述べた。
最後に、日本書籍出版協会の菊池明郎副理事長(筑摩書房)は「ポイントカードの問題で看過できないような事例が少なからずあるが、それぞれ出版社が相手に対して意見を言っていくべきではないか。中小書店が頑張れる環境作りを、出版社や取次が協力して目指していきたい。そのためにも再販制度に対する正しい理解をいただき、他にまかせておけという発想ではなく、出版社の努力も求めていきたい」と述べた。

わが社のイチ押し企画/ポプラ社・編集局児童書編集部・山口竜也

児童書の編集にたずさわって20年。いつかは、子どもたちが目を輝かせるような本格的な図鑑を出版したいと思い続けてきました。
昨年11月、その念願を果たす「ポプラディア大図鑑WONDA(ワンダ)」を創刊しました。初回のラインナップは『昆虫』『動物』『星と星座』の3巻。強力なライバルとなる他社の図鑑に絶対に勝ちたいと、編集部一同、総力を結集して作り上げたものです。
2011年には学習指導要領が改訂され、小学校から百科事典や図鑑を使った授業が本格化しました。興味を持ったテーマについて、自分で資料を検索する能力が求められているのです。同年、小社では『総合百科事典ポプラディア新訂版』(全12巻)を刊行、すでに学校図書館にとっては、なくてはならない必備図書になっています。小中学校の教科書も新しくなり、求められる知識量も増えています。今回の新図鑑「WONDA」では、そうした要求に応えるため、教科書の知識を正しく補い、さらに一歩進んだ新しい知識を得られるように心掛けました。
掲載種数は、「昆虫」で約1800種、「動物」(哺乳類)で約700種。類書中でも、最大です。人気の昆虫では、日本産のチョウ類全256種、クワガタムシ全48種を紹介。情報量では、どんな図鑑にも負けない自信があります。似たものどうしの昆虫の違いがわかるよう、詳細な見分け方を、青い文字のキャプションで入れるなど、独自の工夫も凝らしました。
科学の世界は日進月歩で、どんどん変化します。昆虫や動物についても、新しい学説が次々に発表されたり、分類の方法が変わったりします。「WONDA」では、子どもたちにリアルタイムの正しい知識を伝えるため、最新の情報を盛り込みました。
本年3月には、続刊として『植物』『鉄道』の2巻を刊行予定。6月には『恐竜』『魚』も予定しています。「ポプラディア大図鑑WONDA」は、まさにこれからの学習図鑑のスタンダードになるはずです。是非、ご期待下さい。

わが社のイチ押し企画/講談社・販売促進局長・佐藤雅伸

新年明けましておめでとうございます。
旧年中は弊社出版物に格別のご高配を賜り、誠にありがとうございました。
さて、2013年の大注目企画をジャンルごとに紹介させていただきます。
【書籍】映像化作品が目白押しです。まず、2月の首藤瓜於氏『脳男』(全国東宝系)を皮切りに、同じく東宝系で乙武洋匡氏『だいじょうぶ3組』が春に、妹尾河童氏『少年H』が夏に公開される予定です。そして、何と言っても本年最大の期待作は百田尚樹氏『永遠の0(ゼロ)』の映画化です(全国東宝系・公開時期未定)。著者関連の作品と合わせて、大々的な店頭展開をぜひお願いいたします。
【コミック】まず、1月11日より『ちはやふる2』(日本テレビ他、毎週金曜日25時53分~)、1月より『ビブリア古書堂の事件手帖』(フジテレビ、毎週月曜日21時~)、『進撃の巨人』(TVアニメ、MBS他で春スタート)『聖☆おにいさん』(アニメ映画、5月10日劇場公開)など、続々と話題作が映像化の予定です。ぜひ、ご期待ください。
【雑誌】昨年末発売の伊集院静氏『大人の流儀3 別れる力』は初版7万部+発売前重版3万部でスタートし、お陰様で大変好調に推移しています。そして、1月8日に創刊(首都圏基準)する『山田洋次・名作映画DVDマガジン(全25巻)』は幅広い読者に向け、多くの定期購読が期待できますので、店頭でのアピールをお願いいたします。また、今年は雑誌の記念号・周年号のラッシュです。まず、『クーリエ・ジャポン』が通巻100号(1月)、『VOCE』が創刊15周年(3月)、『ViVi』が創刊30周年(5月)、『おとなの週末』が月刊化10周年など、一層魅力的な企画を読者にお届けいたします。
以上、本年もたくさんの話題作を刊行して参りますので、皆様のご支援ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

わが社のイチ押し企画/小学館PS・営業企画部・堀内輝義

謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
創業90周年を迎えました昨年の秋に、大きな企画商品の『日本美術全集全20巻』を12月5日に刊行開始いたしました。『原色日本の美術』刊行から46年の歳月を経て新撮、更に最新の研究成果も加え、最高の印刷技術で仕上げております。今後も撮影がたいへん難しい日本の「美術」を、あらためて書籍版財産として次の世代に繋げていきたいと願っております。完結は2016年2月を予定しております。第1回配本『法隆寺と奈良の寺院』(計画販売制・委託販売制の併用)は、「法隆寺」を訪れても見ることの出来ない、いまだかつてない、本来の美しさを存分にご堪能いただける1冊になっております。2月22日には第2回配本『若冲・応挙、みやこの奇想』(計画販売制・委託販売制の併用)を刊行いたします。伊藤若冲が10年の歳月をかけて、絹地に動植物を描いた「動植綵絵」全30幅を、全集としては初めて完全掲載いたします。「若冲」の関連する展覧会は、今年も全国で開催予定です。「若冲」人気の中、単品としてもお勧めいただける良い機会と捉えております。
2月22日にはもう1点上期前半の企画商品としまして、『くふうの図鑑』(計画販売制・委託販売制の併用)を刊行いたします。「プレNEOシリーズ」累計106万部の第7弾になります。勉強や生活につながる力は「くふう」から生まれます。たとえば、「わすれものをしないくふうとは?」、こどもの頃から「応用力」を身につける準備が出来る1冊です。
今年も、書店様の利益に少しでも貢献でき、また期待にお応えしていける企画商品をご案内させていただきたいと思っております。何卒、ご支援の程よろしくお願いいたします。

わが社のイチ押し企画/三省堂・宣伝広報部長・福井昇

今年のわが社のイチ押し企画として、2点紹介させていただきます。
1点目は、昨年11月に刊行いたしました『ウィズダム英和辞典第3版』です。
創刊以来、「学習・受験に強い英和辞典」として好評を博してきましたが、今回の改訂でさらにパワーアップをし、充実の内容となっています。改訂のポイントは以下の通りです。
①コーパス(大規模英語データベース)の徹底解析により、類義記述を一層細やかに行いました。
②日常生活に頻出する重要コロケーションを大幅増強しました。
③定評のある語法記述は、一層の充実を図りました。
④基本語に詳しいウィズダム、今回は特に前置詞・副詞辞の記述を大幅に増補しました。
これ以外にも、学習や受験対策に資する様々な工夫を施しました。
なお、今回の改訂版では、同じ内容の赤箱と白箱(特装版)の2種類を用意しました。お客様のお好みに合わせお薦め下さい。
また、新刊発売を記念して、スマートフォンのアプリが当たるキャンペーンを実施しております。
年明けから新学期にかけての拡販商品として、ぜひよろしくお願いします。
次に紹介するのは、年明け1月下旬に刊行する『心理学大図鑑』です。昨年同時期に刊行し、大きな話題となった『哲学大図鑑』と同シリーズの第2弾です。
わかりやすい図解(「マインド・マップ」)を使用し、難解な専門用語を用いずに理論を解きほぐす記述のスタイルは、前作『哲学大図鑑』と同様です。ペルガモのガレノスから「イブの三つの顔」のセグペン&クレックレーまで、心理学が人の精神世界をどのように解き明かしてきたのかを簡潔に説明しています。
心理学に興味を持っている読書人から心理学の学習・研究者まで、幅広い読者に受け入れられる内容となっています。
是非、前作の『哲学大図鑑』と併せて、拡販商品としての取り組みをお願い申し上げます。

わが社のイチ押し企画/小峰書店・編集部・北尾知子

本年のわが社のイチ押し企画は、『湖の騎士ランスロット』をもって完結となる「愛蔵版世界の名作絵本Ⅰ・Ⅱ」シリーズです。
世界じゅうでロングセラーとして愛読されている文学作品や、それぞれの土地で語りつがれている伝説・民話の類は数多くあります。本シリーズは、それらの作品を再話し、絵本の形をとってフランスで出版されたものの翻訳版となります。最新刊『湖の騎士ランスロット』には、中世ヨーロッパの代表的な伝説、アーサー王物語の円卓の騎士のひとりとして名高いランスロットの生い立ちと成長が描かれています。
既刊は『ジキル博士とハイド氏』『アリ・ババと40人の盗賊』『ドラキュラ』『レ・ミゼラブル』『宝島』(以上、シリーズⅠ)『イカロスの夢』『英雄オデュッセウス』(以上、同Ⅱ)──いずれ劣らぬ名作揃いとはいえ、案外、大人でも「タイトルは聞いたことがあるけれど、どんな話かよく知らない」ことのありそうな物語です。また、ヨーロッパでは物語の生まれた土壌も含めて周知されていても、日本には断片的にしか伝わっていない場合もあります。そうした物語がコンパクトに再話され、挿絵もともなって読めるこのシリーズは、子どもたちはもちろん、大人の方にも名作を楽しんでいただきやすいものになると考えています。
絵本と一口にいっても、大きな判型いっぱいに展開される挿絵は、現代フランスを代表するイラストレーターたちの渾身の力を感じさせ、さながら画集のような重厚感があります。物語と挿絵が全身全霊で格闘している、それこそ、絵本の理想の形であろうと思います。
軽いタッチのかわいらしい絵が好まれるなか、手にとられやすい本ではないかもしれませんが、ページをめくるたびに圧倒され、魅了される迫力をもっています。子どもたちがシリーズを通して世界の名作にふれ、さらなる物語の深淵に迫るきっかけになることを願っています。

わが社のイチ押し企画/新潮社・出版部・藤本あさみ

小汚いけれど、安くて美味い焼きとん屋。どうやら隣のテーブルは女子会らしい。聞こえてくるのは、上司の悪口や取引先への愚痴、最近ハマっている韓流アイドルの話題……大沢在昌さんの最新作は、そんなOLたちの飲み会から始まります。
主人公の牧しずりは、虎ノ門の小さな会社に勤めるOL。しかし彼女は、強盗殺人事件の捜査中に自分をかばった同僚を亡くして警察を辞めたという過去を隠して生活しています。罪悪感でがんじがらめになっていた彼女はある日、同僚の息子・岬人と出会います。自分を責めるどころか、共感し、励ましてくれる岬人に心動かされるしずりですが、彼の登場によって解決したはずの事件も動き出します。次々と姿を消す関係者、しずりに付きまとう自称記者、事件を掘り起こしたくない警察――果たして彼女は、事件の真相にたどり着き、人生を取り戻すことができるのでしょうか?
2013年の新潮社のイチオシ『冬芽の人(とうがのひと)』は、読み始めたらラストまでページをめくる手が止まらない、極上のエンターテイメント長編です。繋がって大きくなっていく事件、黒幕とのスリリングな心理戦、しずりの恋と、期待を裏切らない展開が待ち受けているのですが、この作品の一番の魅力は、主人公が「元刑事」というだけで何の武器も持たない一市民であることです。守ってもらった命を持て余していた彼女が、守るべき者のため、無謀ともいえる戦いを決意するまでの道のりは、同じく何も特別な武器も後ろ盾もない私たちに勇気を与えてくれます。
「ヒーローに誰でもなれる可能性をもっている、と俺は思う。別に悪い奴をぶっ倒すばかりがヒーローじゃない。目の前にある戦いから逃げず、そして勝てば、サラリーマンだろうがOLだろうが、ヒーローさ」。これは、すべてに決着を着けるために立ち上がったしずりに、会社の上司が贈った言葉ですが、困難ばかりの今日を生きる私たちへ、著者からのエールでもあると思うのです。

わが社のイチ押し企画/双葉社・取締役営業局長・川庄篤史

明けましておめでとうございます。旧年中は格別なるご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、昨年弊社では、雑誌売上につきましては業界全体の状況と同様に若干の低減傾向になってしまったものの、コミックは前年に引き続き「王様ゲーム」が中心となり新刊既刊共に数字を伸ばしました。
また、書籍分野においては前年の数字を大きく伸ばすことができました。特に双葉文庫におきましては、メイン作品である「佐伯泰英居眠り磐音シリーズ」を中心に、毎月重点作品を決め、長期にわたるきめ細かい販促活動を心がけることで、書店様の多大なるご支援のもと大きな成果となり、2012年年間文庫売れ行き上位ベスト20作品に、「少女」「贖罪」(ともに湊かなえ著)「傍聞き」(長岡弘樹著)「居眠り磐音江戸双紙(38)~(40)」(佐伯泰英著)「ヒトリシズカ」(誉田哲也著)の5点が入りました。本当にありがとうございました。
本年に入りましても業界の雑誌の低減傾向は続くと思われますが、双葉社では第3の女性誌となる「フィグ」と新しいマンガ誌の今年中の創刊を目指します。創刊に際しては、書店様と一層の関係強化を図り必ずや成功をさせたいと考えております。
コミックスでは、昨年「漫画アクション」連載より刊行しました「ライジングサン」、「ぼくは麻理のなか」等が「王様ゲーム」に加え数字を伸ばしてきております。また既刊の中でも、「鈴木先生」が1月に映画公開という好材料を活かし売上アップを目指します。
また、双葉文庫につきましても新年より、累計1500万部を突破した「居眠り磐音シリーズ」42巻の刊行に加え、湊かなえ「夜行観覧車」も1月中旬よりの連続テレビドラマ化に合わせて初荷として発売させていただきます。双葉社は今年も書店様、読者の方々のご期待に応えるべく努力を重ねてまいります。何卒、倍旧のご支援お力添えをよろしくお願い致します。

わが社のイチ押し企画/文藝春秋・文春文庫局局長・羽鳥好之

「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」「もののけ姫」……国内のみならず全世界に多くのファンを持ち、日本を代表するカルチャー・ブランドとなったスタジオ・ジブリ制作のアニメーション。この幼児から大人まで楽しめる世界をより深く知るために、新たな文庫レーベルを文藝春秋が立ち上げることになりました。名付けて「文春ジブリ文庫」。創業90周年記念事業として今春4月より刊行をスタートします。
高畑勲・宮崎駿監督の長編アニメーション1作ごとに解説ムック本を編集、その魅力を豪華執筆陣によって多角的かつわかりやすく解きほぐします。「風の谷のナウシカ」を立花隆氏や内田樹氏が論じ、「天空の城ラピュタ」を森絵都さん、石田衣良さんが美しい文章でナビゲートする。「となりのトトロ」はお茶大のSF研時代以来のファンという川上弘美さんですし、「紅の豚」は、なんと万城目学さんが愛を込めて論じる、といった具合です。もちろんアニメファン向けの企画も忘れていません。監督が抱くイメージがどう具体化されていくか、そのクリエイティビリティーと熱気に満ちた過程を詳しく知るページも豊富に組むつもりです。
加えて、通称フィルム・コミックスと呼ばれる原画から起こした絵本をオリジナル編集版で刊行、解説本の内容を実際の画とセリフで確認しつつ、アニメーションの豊かな世界を追体験できる仕組みになっています。他にも、高畑&宮崎両巨匠の歩みを明らかにするインタビュー集や、作画監督・大塚康生氏の回想録など、副読本もさまざま企画されています。彼らのジブリ以前も含めた歩みを知ることは、日本のアニメの歴史を知ること。そんな知的な冒険もこの叢書で楽しんでいただこうと思っています。
文春文庫のラインナップの幅を広げるだけでなく、文庫の棚への新たな読者の呼び水ともなればと、創刊に向けただ今奮闘中です。

ウェイズ、電子書籍事業を分社化/日書連との事業継承

ウェイズジャパンのサルキシャン・アラム社長は、12月20日に開かれた日書連定例理事会の席上、11月30日付で同社の雑誌オンライン事業を分社化し、スマートインフラ事業やコンテンツ配信事業を手がけるインテア・ホールディングスが新会社「雑誌オンライン株式会社」を子会社化したと報告。事情説明を行った。日書連がウェイズと提携して展開している書店店頭での電子書籍サービス事業も新会社が引き継ぐという。
新会社は電子出版ソリューションZASSHI-ONLINE、デジタルコンテンツ配信・管理ソリューション、上記システムのSaaS/ASPの各サービス事業を行う。資本金は1千万円。代表取締役社長にはインテアHDの藤元伸彦社長が就任。同社の連結子会社から2名が取締役に就任した。ウェイズからはサルキシャン氏、関根文彦氏が取締役に就任した。本社はインテアHDがある東京都新宿区富久町8―21T&Tビル1F、東京オフィスはウェイズがある東京都新宿区神楽坂6―42神楽坂喜多川ビル4Fに置いた。
サルキシャン氏は新会社設立の経緯について「急速に拡大し、変化の激しい電子書籍市場に対応していくため、安定した資本基盤の構築とサービス展開が不可欠と判断し、分社化と外部資本の投入を行うことにした。雑誌オンラインの理念を理解してくれる企業を探し、インテアHDに決まった」と説明した。
日書連と進める電子書籍サービス事業についても、新会社の下で内容を刷新。電子書籍端末イストーリアの製造・販売を中止し、プリペイドカードによる電子書籍販売を継続することになった。展示用パネルやプリペイドカードを陳列するための新しい小型什器セット(初期導入費用5250円)を用意し、従来の什器セットは出荷終了した。すでに従来の什器セットを導入している書店で小型什器セットへ切り替えを希望する書店には、初期導入費用の差額を返金する。
日書連電子書籍対応部会の鶴谷祿郎部会長は「インテアHDはITに特化した企業グループ。コラボレーションの相手として有望」と述べ、日書連電子書籍サービス事業の今後の取り組みに改めて意欲を示した。

人事

◇マガジンハウス
12月12日開催の第59期定時株主総会並びに取締役会で以下の通り役員を選任した。
代表取締役社長石﨑孟
専務取締役(編集統括)
秦義一郎
同(業務統括)片桐隆雄
取締役(総務局担当)
南昌伸
同(経理局、クロスメディア事業局担当)新宮洋
同(営業局担当)
芝山喜久男
監査役畑尾和成
同吉田高
最高顧問木滑良久
執行役員編集局長
久我英二
同石渡健文
同熊井昌広
同村尾雅彦

訂正

12月15日付3面「出版業界の新春行事」の記事中、中央社新年ご挨拶の会(1月9日開催)の開催時刻が「午前9時半」とあるのは「午前9時」の誤りです。訂正します。

11月期売上6・2%減/週刊誌の落ち込み大きく/日販調べ

日販営業推進室調べの11月期書店分類別売上調査は、対前年売上増加率が6・2%減と先月からマイナス幅を0・5ポイント縮小した。
雑誌は全体で4・5%減と先月を0・6ポイント下回った。週刊誌は11・4%の大幅減。前年、分冊百科のほか売上良好銘柄が発売された反動でマイナスが続いた。コミックは1・9%減。『暗殺教室1』の売上が好調だったが、前年の売上良好銘柄には届かずマイナスに転じた。
書籍は全体で8・0%減。『新世紀エヴァンゲリオン13』が売上を牽引した書籍コミック以外のジャンルでマイナスが続いた結果、先月からマイナス幅は1・9ポイント縮小したものの、低迷が続いている。文芸書は21・8%の大幅減。前年『謎解きはディナーのあとで2』『スティーブ・ジョブズ2』が売行良好だった反動でマイナス幅が拡大した。

府知事賞受賞の児童ら表彰/大阪・本の帯創作コンクール

第8回「大阪こども本の帯創作コンクール」の表彰式が11月17日、大阪市中央区のエル・おおさかで開かれた。大阪府書店商業組合、大阪出版協会、大阪取次懇話会などで構成する大阪読書推進会と朝日新聞大阪本社が主催。大阪府内の教育委員会などが後援。
このコンクールは、小学生が課題図書または自分で選んだ本を読み、その本の面白さが他の人に伝わるような帯を作成。優秀作品を表彰するもの。今回は大阪府内と一部の兵庫県内の小学校198校から9929点の応募があり、特に優秀な作品92点が大阪府知事賞、大阪市長賞、朝日新聞社賞、大阪国際文学館賞、大阪出版協会賞、大阪府書店商業組合賞、堺市はじめ府内自治体の市長賞、協賛出版社賞、たかいよしかず特別賞に選ばれた。このうち大阪府知事賞、朝日新聞社賞、大阪国際児童文学館賞の課題図書部門に選ばれた9作品は、実際の帯として製品化され、本に付けた状態で府書店商業組合加入の書店に並ぶ。
大阪読書推進会の三宅興子会長(大阪国際児童文学館理事長)は「本の帯は、世界でも日本だけが取り入れている文化。読者に本の良さを伝える推薦状やラブレターのようなもので、とても大切な役割を果たしています」とあいさつした。課題図書『心のおくりびと東日本大震災復元納棺師』(金の星社)で大阪府知事賞を受賞した藤木春佳さん(堺市・賢明学院5年)は「一番苦労したのは帯に書く言葉でした。面白そう、読んでみたいと思ってもらえるよう、一生懸命考えました。来年も素敵な本と出会い、コンクールにも参加したいです」と受賞の喜びを述べた。
同会の面屋龍延副会長(大阪府書店商業組合理事長)は「帯は出版社が作るものですが、この取り組みでは読者が作ります。明日の日本を作る子供たちに読書の喜びを味わってもらうためこのコンクールをこれからも続けていきたいと思います」とあいさつした。
表彰式のあと、キャラクターデザイン、イラスト、絵本などを手掛けるクリエーターたかいよしかず氏が「ぼくが絵本作家になった理由(わけ)」をテーマに講演し、サイン会を行った。(萩原浩司広報委員)