全国書店新聞
             

平成23年3月15日号

第16回謝恩価格本フェアを開催

書協は再販制度の弾力運用の一環として、4月22日から6月22日まで第16回出版社共同企画「期間限定謝恩価格本ネット販売フェア」を開催する。
フェアは「子どもの読書週間」(4月23日~5月12日)に合わせ行うもので、対象は児童書、実用書(ムック含む)、一般文芸書、人文書、辞事典、芸術、自然科学書、豪華本。出品書籍は発行後1年以上経過したものとし、販売価格は全書籍表示価格の50%オフ。
出品書籍の一部は、再販問題等に取り組む実験的小売店舗「ブックハウス神保町」でも販売。また、全ての出品書籍にRFタグを装着して取引、物流等の実験を行う。

特賞に図書カード5万円/春の書店くじ、4月20日からスタート

4月23日の「世界本の日サン・ジョルディの日」に合わせて、第15回「春の書店くじ」の配布が4月20日からスタートする。今回は、特等賞に「図書カード5万円」40本を用意した。
26年目を迎える「世界本の日サン・ジョルディの日」に合わせて実施する「春の書店くじ」。配布するくじと宣伝用ポスターは、楽しそうに本を読む親子の姿とともに「本を読んで当てよう!」と呼びかける図柄。ポスターでは、特等賞の図書カード5万円40本をはじめ、1等賞から4等賞までとダブルチャンス賞をあわせて合計41万4240本の賞品をPR。総額5820万円、9・7本に1本が当たることを大きくアピールしている。
店頭活性化活動の一環として組合加盟店全店に無料の「書店くじセット」(くじ50枚、ポスター1枚)1組を送付する。くじの配布期間は4月20日(水)から30日(土)まで、当せん番号発表は5月23日(月)。

書店くじ立替金振り込みました

昨年秋実施した「2010読書週間書店くじ」で各書店にお立て替えいただきました1等1万円、2等千円、3等5百円、4等百円の清算業務は終了いたしました。入金をご確認いただくようお願いします。
書店くじ係

13委員会を8つに再編/東京組合理事会

東京都書店商業組合は3月2日に書店会館で定例理事会を開催した。主な審議事項は以下の通り。
〔書店再生を考える委員会〕
①書店が所有権を有し処分できる商品は何か、②書店の処分権はいつ発生するか――について協議し、意見を集約して日書連に提案。日書連はこれを受けて、2月18日開催の理事会で「書店再生委員会」を設置したことが報告された。
〔総務・財務委員会〕
第2回首都圏書店大商談会が今年10月26日(水)11時~17時に秋葉原のAKIBA―SQUAREで開催されるが、第1回に続き東京組合が後援することを承認した。
〔組織委員会〕
組合員減少に伴い、平成23年度役員改選で理事定数を45名から40名に削減することに関連して、役職理事数について常務理事を10名から6名に削減すること、総務・財務委員会を除く常設13委員会を8委員会に再編することを承認した。
〔電子サイト運営推進委員会〕
ケータイ書店「Booker’s」は、ダイヤモンド社「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」のアニメ化(NHK総合・3月14日から放映)、映画化(6月公開予定)に伴い、同社のドラッカー関連書籍売上げ上位7点の店頭連動企画を行う。拡材として「Booker’s」特製のQRコード付きPOPや、アニメ化帯等を送付する。
〔流通改善委員会〕
TS流通協同組合の2月期(2月1日~28日)発注件数は9474件(前年同月比101・4%)、売上金額は1179万720円(同119・5%)、書店数は68書店(同97・1%)だった。
〔万引・出店問題委員会〕
次の4件の出店情報が報告された。①あおい書店池尻大橋店=世田谷区池尻3丁目、売場面積121坪、3月14日開店予定、②ヴィレッジヴァンガード二子玉川=世田谷区玉川2丁目「二子玉川ライズショッピングセンター」リバーフロント4階、売場面積54坪(うち書籍売場27坪)、3月16日開店予定、③文教堂二子玉川店=「二子玉川ライズショッピングセンター」タウンフロント6階、売場面積435坪、3月17日開店予定、④ジュンク堂書店丸善多摩センター店(仮称)=多摩市落合1丁目「多摩センター三越」5階、売場面積1140坪(うち書籍売場860坪)、4月22日開店予定。取次は①③がトーハン、②④が大阪屋。

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

冗談としか思えない名称「明日の本屋をテキトーに考えてみようかなー」(毎回少しずつ名称が変わる)。私が仮幹事、当店F店長が名誉会長という、そもそもからしてグデングデンの「呑み会」です。書店員から出版関係者、新聞記者に物書き、ゲージツ家に運動家まで、怪しい有象無象が集まります。不思議なことに半数以上が才色兼備の女性で、釣られてさらにおっさんが増えるのですから、仮幹事の苦労はたいへんなものです。自分で言うのですから相当です。この女性陣、何とか使えないか、否、もっと活躍していただこうと、私、毛も知恵も分別もない頭で考えまして、「AKB」の向うを張って「ATG」を勝手に結成いたしました。「明日本テキトーガールズ」の誕生であります。才能豊富、性格温厚、仕事有能、容姿ソコソコ、否、端麗(それぞれの美的感覚に任せますが)です。彼女たちが全国の皆さんの目に留まるのは時間の問題です。間もなくということではなくて、いつか分からんという意味です。とりあえず、当店のPR誌に順番に登場してもらいます。
こんなアホ会でも、若者たちはちゃんと成果を出します。頼もしい人たちです。座談会を企画・発表しましたし、合同フェアも開催しました。次の展開も考えているようです。楽しみです。年寄りは邪魔せず見守るだけです。
10年後、若者たちが本屋でメシを食っていけるのでしょうか?切実な問題です。今だって危ないという声があります。ボクサーと同じく「生きざま」という人もいます。会に参加の記者が、重労働に愚痴をこぼしつつも本と共に生きる彼らの覚悟・態度をすがすがしいと書いてくれました。本が好き、棚作りが楽しい、商いが嬉しい、同じ志の仲間がいる……、だから彼らは、打たれても疲れても戦い続けられるのでしょう。私はカウントダウンに入っている立場です。KO寸前ですが、残り時間協力します。やっぱり邪魔か?
出版でも一人でコツコツと戦っている人たちがいます。3月早々ある出版社から新刊が届きました。社主が、昨年出版した古書店主随筆集の初版がなくなれば復刻すると宣言していた同店主「追悼文集」です。店主はもちろん、縁の作家・編集者・顧客も直接存知あげませんが、どの文章にも人柄が表われています。〔註〕
ベストセラーや話題書だけではこの仕事は面白くありません。「本」を探し、見つけ、お客さんに「どうや?」と紹介する、それが本屋の醍醐味です。ある書店員は、「こういう本を売るためにダイエット本も売らねばならん」と言います。理想(その1)は「こういう本」だけを売りたい、です。そんな本屋さんもあります。でもね、なかなかそうはいきません。「こういう本」の比率を少しでも大きくしようというのが、理想(その2)であります。これを続けることもたいへんなのが実情です。当店は何とか続けていきたいので、本屋業自体を継続できる努力をしなければなりません。
安野モヨコ『オチビサン』(朝日新聞3・6)で「本当の春が来る前に、冬への名残りを惜しむのもいいものじゃ」とあります。寒暖を繰り返しながら、春がやって来ます。本屋に、若者に、それに私にも、春は来るでしょうか。年度末・教科書販売・新学期と本屋にとっても忙しい季節です。皆さん、健康に気をつけてお仕事してください。私は「テキトー」に頑張ります。では、また。
〔註〕『関口良雄さんを憶う』夏葉社800円+税

「辞書引き学習」広がる輪

〔双方向の学習会、質問飛び交う/岩手組合〕
岩手県書店商業組合は2月20日午後2時から盛岡市・いわて県民情報交流センターで「深谷圭助先生の辞書引き学習会」を開いた。「子どもたちに辞書引きを好きになってもらおう」と行ったもので、岩手県教育委員会が後援、岩手日報社・岩手朝日テレビが協賛。園児から小学校の児童と保護者ら150名が辞書を持って意欲的に参加し、満員の会場は熱気に包まれた。
深谷先生が「辞書引きを楽しくする魔法は、国語辞典の中から知っている言葉を見つけて付箋を貼っていくこと。早速始めましょう」と呼び掛けると、子どもたちは生き生きとした表情で取りかかった。100枚以上付箋を貼った子どもも多く、辞典の膨らみに達成感を覚えていた。質問時間には保護者だけではなく子どもからも多くの熱心な質問が出て、「教えて!深谷先生」の文字通りに双方向の学習会になった。
小学校用国語辞典・漢字字典が各社一斉に改訂になった今年は、辞書好きの子どもを増やすチャンスだ。
(小原玉義広報委員)

〔「自ら進んで学び言葉の力がつく」/新潟組合〕
新潟県書店商業組合は新潟市教育委員会と共催で、2月19日に新潟市・ほんぽーと新潟市立図書館で「辞書引き学習法講演会」を開いた。
辞書引き学習法を提唱する中部大学現代教育学部の深谷圭助准教授は、通し番号をつけた付箋を貼ることで子どもが楽しみながら言葉を覚える方法を考案している。講演会では親子約150人の参加者に「自ら進んで学ぶようになり言葉の力がつく」と語った。
(熊田雅明広報委員)

矯正施設へ図書寄贈/江田法相に目録贈呈/JPIC、出版クラブ

出版文化産業振興財団(JPIC)と日本出版クラブは2月21日に東京・霞が関の法務省法務大臣室で、図書を矯正施設へ寄贈するための受納式を行った。
JPICは読者が読み終わった本を読書環境の整わない施設に寄贈する事業「ブックリボン」で集まった10万冊の寄贈図書のうち、矯正施設への寄贈分1万5千冊の目録を肥田美代子理事長より江田五月法務大臣に贈呈。日本出版クラブは「本のめぐみ運動」で会員出版社から寄付された1万3千冊を寄贈した。
江田法相は「ブックリボンと本のめぐみ運動は、矯正施設の人々が読書に親しむため役立つもの。寄贈された図書は有効活用したい」と述べ、両団体に感謝の意を表した。

日書連のうごき

2月2日出版再販研究委員会に大橋会長ほか役員が出席。第2回出版ハイブリッド流通推進会議に井門顧問が出席。
2月3日児童書10社の会と「選書ツール」対応打合せ会。
2月4日青少年読書感想文全国コンクール表彰式に大橋会長が出席。
2月7日出版倫理協議会に石井事務局次長が出席。メディアコンテンツ実証実験部会に大川専務理事が出席。「電子書籍」問題で出版物小売公取協として大橋会長ほか役員が消費者庁を訪問。
2月8日第7回JPO運営委員会に柴﨑副会長が出席。
2月10日組合活性化資金審査会。「送品・返品同日精算問題」で、大橋会長がトーハンを訪問。
2月12日青森組合「ためほんくん」研修会に田江理事が出席。
2月14日JPIC運営委員会に舩坂理事が出席。2月15日「第53回こどもの読書週間」標語選定委員会に石井事務局次長が出席。
2月16日公正取引委員会の再販ヒアリングに岡嶋常任委員が出席。筑摩書房創立70周年記念パーティーに大橋会長が出席。
2月17日ISBNマネジメント委員会に藤原副会長が出席。日書連ホームページ部会。各種委員会(指導教育、取引改善、流通改善、再販研究、広報、消費税、情報化推進、組織、共同購買・福利厚生、政策)。「選書ツール」取協との打合せ会。
2月18日定例理事会。第144回芥川・直木両賞表彰式に大川専務理事が出席。
2月23日公取協月例懇談会に柴﨑副会長ほか役員が出席。
2月24日「ためほんくん」出版社との打合せ会。
2月25日文化産業信用組合理事会並びに読書感想画中央コンクール表彰式に大橋会長が出席。

学習書協会・辞典協会共催「学参・辞典勉強会」

学習書協会と辞典協会は共催で「2011年新学期学参・辞典勉強会」を2月15日に東京・神楽坂の研究社英語センターで開催。有隣堂書籍課兼販売促進室係長の倉本妙子氏が「学参売場にかかせない基礎知識から裏ワザまで」と題し学参の販売ポイントを紹介。旺文社小中学参編集部編集長の後藤俊一氏が「新学習指導要領のポイント」と題し、平成23年度から全面実施される小学校の新学習指導要領について解説した。

〔年間スケジュールで流れ把握/有隣堂書籍課兼販売促進室係長・倉本妙子氏〕
まず自分の店の売場環境を把握する。立地、売場面積、店舗の周辺状況などから自店の強み弱みを認識することで、客層に合った、競合店に負けない売場展開、品揃えが作れる。
学参のジャンル特性を把握すること。未就学の学参はまとめて購入されることが多いため、回転のよい商品は複数在庫持ち、こまめに補充する。小学参は教科書が変わるので、親や塾の先生が内容確認のため早めに買いに来る。商品が入荷次第速やかに展開したい。7月は第2の新学期と言われ、成績表をもらってから夏休みドリルや1学期の復習ドリルで勉強しようと大きな山が来る。特に1年生は在庫を多く確保する。
中学入試は9月に塾から学校別過去問題集の購入指示があるためか毎年大きく動く。同じ学参商品を1日に2回聞かれたら、先生か塾から推薦されたと思って間違いないのでチェックする。例年同じ時期聞かれる商品は、情報を整理して来年にも活かす。中学参は新学期、定期テスト前、12月から受験直前2月までが売上のピーク。新学期は準拠版の比重が高いので、売り損じのない在庫管理が必要。それが過ぎたら、準拠版は棚のスペースを変化させて冊数で強弱をつける。
高校入試は公立高校の入試時期、選抜方法などの情報をつかむことが大切。過去問題集は毎年発行される年度版商品のため出版社で品切れした場合は手に入らない。適切な商品確保のために売上実績は毎年残しておく。高校生は自分で参考書を選びに来るので、学生同士の口コミ、先輩、先生のお薦めからヒット商品が生まれる。店頭での会話に耳を傾けることが大切だ。
高学参は季節ごとに売上が変化するのが特徴。新学期以外には7月に注意をしてほしい。売上が一番高いのは、受験を控えた12月、1月で、12月は実践問題集、予想問題集が直前まで動く。直前は売切れの商品が多いが、あきらめず在庫がある出版社で揃えて販売したい。
1年間の仕事の流れを把握することは学参担当者の基本。各学校の行事を確認し、年間スケジュールを作成して商品展開を考える。商品の発注、売場展開は学校行事より早い準備が必要だからだ。日常業務では常に昨年同月の翌月のテストを確認することをお薦めする。売行良好書の季節商品と定番商品のチェックができる。また、ジャンルごとに1年間で何月の売上が1番高いか、売上目標、売上実績を調べてみる。年間スケジュールを把握したあとなら、数字を見て自店の売行き動向が理解できるはずだ。
出版社の営業の方に「この商品、他店では動いていますよ」と言われたとき、「うちでは売れませんから」と断っていないだろうか。だが納得できるデータを見せてもらったときは考え直してほしい。棚差しだけだったら平台にしてみるとか、売り方を見直してみる。自分の感覚や好みだけで棚を作ることは危険だ。
学参は新刊の初速が読みづらいジャンル。売れる新刊は事前に問い合わせが入るので、その時お客様に情報源を確認したい。また、学参は在庫金額、売上金額のバランスが悪い商品。他ジャンルのような在庫管理で売れていない商品を返品してしまうと、棚から商品がなくなってしまうので注意したい。
新学期の動向についてだが、小学校は教科書が変わり勉強が難しくなることを店頭から発信してほしい。教科書のページ増と授業時間増とに大きな開きがあるため授業だけで理解するのは難しいので、学習順が授業と同じで予習復習がしやすい準拠問題集をお薦めするのがよいだろう。
新学期は2月から始まると考える。この時期に中学受験が終わり、私立に進学する親が早めに準拠問題集を購入するからだ。お客様から情報をキャッチして速やかな対応をしたい。高学参は、最近は必要なときに買うという傾向が強まり、新学期にまとめて購入することが少なくなった。2月は現行2年生が受験体制に入るので、2月のベスト上位を確認しておくこと。
辞典は、新学期にプリントを持って買いに来られたお客様に声をかけ、さりげなくチェックすると情報が得られる。商品を全部覚えるのは無理なので、自店の昨年のベスト上位や全国データの売上上位銘柄はしっかり覚えておきたい。各商品の特徴を書いたものを棚に吊るしておくと、お客様も自分で確認できるし、説明がしやすくなる。今年から小学校で辞書引きを学習する時期が変わるので、商圏内の採択教科書をチェックして、売れる時期の見直しをしてほしい。
学参担当者には、他店の見学をお薦めする。大型書店の学参売場には自分の知らない、見たことがない商品を探すことができる。「うちは小さい棚だから」などということは関係ない。自分の世界だけで商品を選択するのではなく、他店を見学して勉強し、自分の棚に合う商品や展開方法を真似することから、自分の棚に合った構成にチェンジしてほしい。

〔小学英語は異文化理解に重点/旺文社小中学参編集部編集長・後藤俊一氏〕
学習書協会と辞典協会は共催で「2011年新学期学参・辞典勉強会」を2月15日に東京・神楽坂の研究社英語センターで開催。有隣堂書籍課兼販売促進室係長の倉本妙子氏が「学参売場にかかせない基礎知識から裏ワザまで」と題し学参の販売ポイントを紹介。旺文社小中学参編集部編集長の後藤俊一氏が「新学習指導要領のポイント」と題し、平成23年度から全面実施される小学校の新学習指導要領について解説した。まず自分の店の売場環境を把握する。立地、売場面積、店舗の周辺状況などから自店の強み弱みを認識することで、客層に合った、競合店に負けない売場展開、品揃えが作れる。
学参のジャンル特性を把握すること。未就学の学参はまとめて購入されることが多いため、回転のよい商品は複数在庫持ち、こまめに補充する。小学参は教科書が変わるので、親や塾の先生が内容確認のため早めに買いに来る。商品が入荷次第速やかに展開したい。7月は第2の新学期と言われ、成績表をもらってから夏休みドリルや1学期の復習ドリルで勉強しようと大きな山が来る。特に1年生は在庫を多く確保する。
中学入試は9月に塾から学校別過去問題集の購入指示があるためか毎年大きく動く。同じ学参商品を1日に2回聞かれたら、先生か塾から推薦されたと思って間違いないのでチェックする。例年同じ時期聞かれる商品は、情報を整理して来年にも活かす。中学参は新学期、定期テスト前、12月から受験直前2月までが売上のピーク。新学期は準拠版の比重が高いので、売り損じのない在庫管理が必要。それが過ぎたら、準拠版は棚のスペースを変化させて冊数で強弱をつける。
高校入試は公立高校の入試時期、選抜方法などの情報をつかむことが大切。過去問題集は毎年発行される年度版商品のため出版社で品切れした場合は手に入らない。適切な商品確保のために売上実績は毎年残しておく。高校生は自分で参考書を選びに来るので、学生同士の口コミ、先輩、先生のお薦めからヒット商品が生まれる。店頭での会話に耳を傾けることが大切だ。
高学参は季節ごとに売上が変化するのが特徴。新学期以外には7月に注意をしてほしい。売上が一番高いのは、受験を控えた12月、1月で、12月は実践問題集、予想問題集が直前まで動く。直前は売切れの商品が多いが、あきらめず在庫がある出版社で揃えて販売したい。
1年間の仕事の流れを把握することは学参担当者の基本。各学校の行事を確認し、年間スケジュールを作成して商品展開を考える。商品の発注、売場展開は学校行事より早い準備が必要だからだ。日常業務では常に昨年同月の翌月のテストを確認することをお薦めする。売行良好書の季節商品と定番商品のチェックができる。また、ジャンルごとに1年間で何月の売上が1番高いか、売上目標、売上実績を調べてみる。年間スケジュールを把握したあとなら、数字を見て自店の売行き動向が理解できるはずだ。
出版社の営業の方に「この商品、他店では動いていますよ」と言われたとき、「うちでは売れませんから」と断っていないだろうか。だが納得できるデータを見せてもらったときは考え直してほしい。棚差しだけだったら平台にしてみるとか、売り方を見直してみる。自分の感覚や好みだけで棚を作ることは危険だ。
学参は新刊の初速が読みづらいジャンル。売れる新刊は事前に問い合わせが入るので、その時お客様に情報源を確認したい。また、学参は在庫金額、売上金額のバランスが悪い商品。他ジャンルのような在庫管理で売れていない商品を返品してしまうと、棚から商品がなくなってしまうので注意したい。
新学期の動向についてだが、小学校は教科書が変わり勉強が難しくなることを店頭から発信してほしい。教科書のページ増と授業時間増とに大きな開きがあるため授業だけで理解するのは難しいので、学習順が授業と同じで予習復習がしやすい準拠問題集をお薦めするのがよいだろう。
新学期は2月から始まると考える。この時期に中学受験が終わり、私立に進学する親が早めに準拠問題集を購入するからだ。お客様から情報をキャッチして速やかな対応をしたい。高学参は、最近は必要なときに買うという傾向が強まり、新学期にまとめて購入することが少なくなった。2月は現行2年生が受験体制に入るので、2月のベスト上位を確認しておくこと。
辞典は、新学期にプリントを持って買いに来られたお客様に声をかけ、さりげなくチェックすると情報が得られる。商品を全部覚えるのは無理なので、自店の昨年のベスト上位や全国データの売上上位銘柄はしっかり覚えておきたい。各商品の特徴を書いたものを棚に吊るしておくと、お客様も自分で確認できるし、説明がしやすくなる。今年から小学校で辞書引きを学習する時期が変わるので、商圏内の採択教科書をチェックして、売れる時期の見直しをしてほしい。
学参担当者には、他店の見学をお薦めする。大型書店の学参売場には自分の知らない、見たことがない商品を探すことができる。「うちは小さい棚だから」などということは関係ない。自分の世界だけで商品を選択するのではなく、他店を見学して勉強し、自分の棚に合う商品や展開方法を真似することから、自分の棚に合った構成にチェンジしてほしい。

野間省伸氏4月社長に/講談社

講談社は2月23日に第72期(平成21・12・1~22・11・30)定時株主総会・役員会を開き、野間省伸副社長が4月中旬に社長に就任する人事などを決定した。野間佐和子社長は会長に就任する。社長交代は24年ぶり。創業家出身の社長は7代連続となる。社長就任が4月中旬になるのは、野間佐和子社長が務める外部の役職の任期の大半が3月末であることなどを考慮し、残務処理期間を設けたことによる。
同日会見した野間副社長は「私が目指す新しい講談社像」として、電子書籍などのデジタル戦略とアジア・北米での海外事業を強化する方針を示した。海外事業強化の一環として同日、大日本印刷と共同出資により、日本語翻訳出版のバーティカル(東京・中央区)の経営権を取得、米国での出版事業について共同で事業展開を行うことで合意したと発表した。バーティカルが翻訳した講談社のコミックと書籍を、両社の米国現地子会社を通じて米国で流通させる。
また、記者との質疑応答では「読者が欲しい本がすぐ手に入る状況を整備したい」と、流通改革に意欲を示した。
決算は、売上高が1223億4000万円で前年比98・2%。内訳は雑誌787億5700万円(同100・0%)うち雑誌215億9900万円(同113・3%)・コミック571億5800万円(同95・7%)、書籍266億200万円(同94・1%)、広告収入92億4000万円(同84・2%)、その他77億4000万円(同109・1%)。
利益面では雑誌編成の見直しや調達コストの削減により製造原価が低下したことと、コミックの単行本など原価率の低い製品の売上構成比が上がったことにより売上原価率が低下。また、昨年度に続き編集費、宣伝費を中心に大幅な経費削減を進めた結果、税引前当期純利益は2億1300万円、当期純利益は5億6100万円と3期ぶりの黒字計上となった。
決算概況を説明した金丸徳雄取締役は、今後の課題について「業績回復を最優先課題と位置づけ、売上高の確保、売上率の改善を図る。長期的な安定成長を実現するため、伝統を守りつつ新たな時代の出版社像を模索する」と述べた。今期の目標は売上高1206億円(同98・6%)。内訳は雑誌755億円(同95・9%)うち雑誌215億円(同100・0%)・コミック539億円(同94・4%)、書籍276億円(同104・0%)、広告87億円(同94・8%)、その他86億円(同111・9%)。税引前当期純利益は20億円を予想している。
役員人事については、持田克己、森武文の両常務が専務、山根隆取締役が常務に昇任。新取締役に大竹深夫、古川公平の両氏が就任した。退任した役員は五十嵐隆夫、浜田博信、関根邦彦の3氏で、それぞれ顧問に就任した。
〔デジタルと海外展開強化/野間次期社長が目指す新しい講談社像〕
社長就任を目前に控えた今、私の目指す新しい時代の講談社像について触れておきたい。
「面白くてためになる出版物を読者に届ける」という創業以来の方針に変わりはない。その中でデジタル化や映像化、アジアをはじめとする海外への進出など、様々な形で出版人として、出版社として、意識の生まれ変わりを推進していきたい。
デジタル戦略においては、昨年既刊本2万点を目標にデジタル化を推進すると申し上げ、着々と進んでいる。先般オープンした凸版印刷とインテルの電子書店「ブックライブ」には5000タイトルを発表している。全体の中でも大きなシェアを持つことができ、一定程度ボリューム面で貢献できていると思う。各電子書店、配信事業者と連携をとりながら電子書籍事業を進めていきたい。
一方で新刊の電子化が大きなテーマになっている。アメリカの主要出版社の約90%で新刊書籍の発売と同時に電子化されている。講談社も新刊の刊行と同時に電子化を進めるワークフローの体制作りを進めていく。
雑誌でも新しい試みとして女性誌『VoCE(ヴォーチェ)』で、世界的にも成功例が少ない雑誌ブランドのデジタルプラットフォーム事業をこの夏にスタートさせる。単なる紙の電子化ではなく、製作段階から紙とデジタルの両面を意識した上で、同時に作っていくメディアを目指している。急速に普及しているスマートフォン市場において、雑誌コンテンツと読者の価値をアプリケーションの中で最大化して、新しいやり方を模索していきたい。『ヴォーチェ』を基盤として女性誌群のデジタル化、電子戦略を順次拡大していく予定だ。
海外展開で最も重要視しているのは中国。昨年12月に設置した中国事業室を軸に、中国での新たな事業展開を構築しているところだ。電子書籍の中国語圏への配信の可能性をにらみながら、台湾の有力なメディアグループであるCiteメディアグループとの連携をスタートした。韓国においても国際クロスメディア戦略の一環として、中央日報などにより構成されるJMnetの新しい放送事業会社に出資する。将来的に日本と韓国の間でのコンテンツビジネスの相互拡大を目指すものと理解していただきたい。
アメリカでは09年から講談社USAパブリッシングを設立してコミックの出版を開始している。これに加えて昨年12月末に、日本の書籍を10年間翻訳出版してきた実績をもつバーティカルを傘下に迎え、北米でコミックと書籍の出版を行っていくという事業展開を目指す。
我々を取り巻く環境は想像をはるかに超えて変化していくことは確実。新たなビジネスチャンスの芽をしっかりとつかんで、将来に向けて布石を打っていきたい。デジタル化、海外展開とやるべきことはたくさんあるが、基本的に動じることはないと思っている。
出版社の役割は依然として知の拡大再生産にある。才能を発掘し、投資し、育成し、回収し、また新しい才能に投資していく。こうした役割は紙でも電子でも、また映像でも海外でも変わるものではない。
電子書籍は黒船の来襲と言われているが、黒船ではなく鉄砲の伝来だと繰り返し申し上げている。新しい武器を手にして厳しい競争を勝ち抜いていきたい。
〔講談社役員体制〕
◎昇任、○新任
代表取締役社長
野間佐和子
代表取締役副社長(社業全般)野間省伸
専務取締役(編集部門統括・雑誌事業担当)担当局=第一編集局・第四編集局
◎持田克己
同(営業部門統括)担当局=広報室・メディア事業局
◎森武文
常務取締役(管理部門統括)担当局=社長室・総務局◎山根隆
取締役担当局=書籍販売局・流通業務局・システム部岩崎光夫
同(書籍事業担当)担当局=校閲局・文芸局・学芸局
鈴木哲
同(ライツビジネス担当)担当局=ライツ事業局・国際事業局・中国事業室
入江祥雄
同担当局=編集総務局・業務局・経理局金丸徳雄
同(コミック事業担当)担当局=第三編集局・第五編集局清水保雅
同担当局=第二編集局・生活文化局田村仁
同担当局=販売促進局・コミック販売局・新事業営業部峰岸延也
同担当局=第六編集局・児童局・ディズニー出版事業局大竹永介
同担当局=雑誌販売局・宣伝企画部○大竹深夫
同担当局=第七編集局・デジタルビジネス局
○古川公平
同(非常勤)横山至孝常任監査役○木村芳友
監査役足立直樹
野間省伸氏(のま・よしのぶ)69年生。91年慶応義塾大学法学部卒、三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。99年講談社入社・取締役、03年常務取締役、04年代表取締役副社長。

神奈川トーハン会「売れる棚を作る」/初の商談会実施

神奈川トーハン会は2月16日、横浜市のローズホテル横浜で第39回定例総会を開き、会員書店、出版社など総勢約150名が出席した。今回は初の試みとして、総会終了後に商談会・名刺交換会を実施した。
筒井正博会長(小田原・伊勢治書店)は、商談会について「トーハン会はトーハンとともに売上を作る場でなければ。書店、出版社にとって商売として意味がある場を作りたかった」と趣旨を説明した。また、電子書籍などの影響で新刊点数が4~5%減っているのはチャンスだとして、「書店は売れるものを見極める能力がないなどと言われ、悔しい思いをしている。新刊が減ったことで、商品をセグメントして売れる棚を作ることができる。真剣に取り組みたい。電子書籍時代は本屋が地域社会の中で本来の役割を打ち出す絶好のチャンス。積極的に行動しよう」と呼びかけた。
トーハン・清水美成常務は「当社のミッションは書店現場を元気にすること。リーディングカンパニーとしてぶれずにやっていく。業界発展のため町の本屋さんとともに歩む」と述べ、「MVPプロジェクト」「TONETSV」など同社の施策を説明した。
役員改選では筒井会長と小林康記(横須賀・平坂書房)、田中吉明(川崎・大塚書店)の両副会長が留任した。