全国書店新聞
             

平成18年2月11日号

出版販売額2.1%減/05年、前年割れに逆戻り

2005年の出版物販売額は書籍が前年比2・5%減の9197億円、雑誌が1・8%減の1兆2767億円で、合計では前年を2・1%下回る2兆1964億円になったことが出版科学研究所の調べで明らかになった。出版販売額は2004年に8年ぶりに前年を上回ったが、1年で逆戻りしてしまった。出版販売額2兆1千億円台は、15年前の1990年の水準だ。以下、『出版月報』1月号から2005年出版物販売状況を紹介する。
2005年出版物販売状況を発表した『出版月報』1月号によると、昨年12月期の出版販売額は3・4%減で4カ月連続のマイナスとなった。9月以降、雑誌に加えて書籍も低調に推移しており、「年後半の景況は大きく後退している」と指摘している。
書籍の推定販売金額9197億円は前年比2・5%のマイナスだが、04年は『ハリー・ポッター』で4・1%伸びた影響があり、05年の販売金額は03年の9056億円を若干上回る水準になった。
ミリオンセラー5点のうち、2点が『頭がいい人、悪い人の話し方』、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』と教養新書だった。このほか『下流社会』『バカの壁』『靖国問題』と教養新書が店頭を席捲した。これ以外に、『ワルの知恵本』『野ブタ。をプロデュース』『生協の白石さん』と価格千円以下の書籍の売行きがよく、その分、販売金額は伸び悩んだ。
返品率は04年に前年を2・1ポイント改善したが、05年は2・0%増加して38・7%と03年並みの水準に戻った。
新刊点数は前年比2・6%増の7万6528点。一般書や実用書出版社が専門書や児童書ジャンルに、専門書出版社が検定試験に参入するなど他ジャンルへの進出が目立ち、点数増につながった反面、初版部数を抑えるなど推定発行部数の減少につながった。新刊1点あたりの発行部数は5200冊。
新刊平均価格は1191円で前年より26円、2・1%下落した。出回平均価格も15円、1・2%の下落。出回平均価格は02年の1228円をピークに3年連続で減少している。
雑誌販売額のうち月刊誌は0・1%減の9905億円。週刊誌は7・1%減の2862億円。月刊誌が微減にとどまったのはコミックスの好調が原因で、定期は不振。週刊誌も大部数のコミック誌が低落傾向にあり、分冊百科の激減と合わせて過去最大の落ち幅となった。
返品率は月刊誌が1・0ポイント上昇して34・4%。週刊誌も1・5ポイント増の27・3%。
雑誌の発行状況は月刊誌が0・3%増、週刊誌5・0%減。合計で1・4%減。月刊誌がプラスになったのはコミックスが貢献したほか、定期誌も市場を維持するため強めの送品が行われた結果だという。
不定期誌の推定発行部数は5・1%減で、2年連続で前年割れ。発行点数は増刊・別冊が69点減少の6106点。ムックは70点多い7859点。
平均価格では月刊誌が6円高い536円、週刊誌は1円低い296円。週刊誌の下落は定価の高い分冊百科の減少によるもの。定期誌のみでは4円高。
創刊点数は前年より15点少ない201点。推定発行部数は21・8%減。休刊点数は過去最多だった前年より32点減少し、この5年間で最少となった。

景品規約改訂になお反対/東京組合2月理事会で議論

東京都書店商業組合は2月2日、書店会館で開催した理事会で出版物小売業公正競争規約の改訂問題を改めて議論したが、改訂に反対という立場を再確認して2月10日に開かれる公取協臨時総会にのぞむことになった。
理事会では、1月27日に箱根で行われた出版物小売公取協理事会の模様が秋葉再販委員長、岡嶋副理事長から報告され、「読者は景品も値引きも区別がつかず、個店のトレーディングサービスを認めれば再販制度は崩壊する。コンビニが始めれば、中小書店は対抗しようがない」「出版社は小売が解決する問題だとして傍観している」などと説明した。さらに下向副理事長は「流対協から書店のトレーディングスタンプ導入には反対という声が上がっている。消費者や国会議員の声も聞くべきだった。この点が不十分だったのではないか」と述べた。
丸岡理事長は「改訂案がまとまらなければ、公取委の判断で施行規則を削除することができる。そうなると期間制限もなくなり、景品は7%まで自由に出されることになる」と、改訂案を否決した場合の問題点を指摘したものの、改訂案を反対とする立場と意見の一致はみられなかった。
これ以外の同日の理事会の審議では、5月26日に江東区住吉のティアラ江東で『国家の品格』の藤原正彦氏による文化講演会(新潮社協賛)を行うことを確認した。

絵本1万冊を展示即売/絵本ワールドinふくおか

「絵本ワールドinふくおか」が1月21日、22日の両日、福岡市天神のエルガーラホールで開かれ、多数の親子連れで賑わった。同実行委員会主催、西日本新聞社・子どもの読書推進会議共催、福岡県書店商業組合など後援。
懐かしい絵本から最新の人気絵本・児童書まで約1万冊の展示即売コーナー「子どもの本マーケット」には多くの人がつめかけた。地元読書サークル等による読み聞かせ、パネルシアター、わらべうた、紙芝居、手あそびのワークショップも行なわれ、来場者は熱心に聞き入っていた。
21日には児童文学作家の長崎夏海さんが「私の宝物」、22日には大分県竹田津町出身で野生動物カメラマンで獣医の竹田津実さんが「子ぎつねヘレンがのこしたもの」、児童文学作家の那須正幹さんが「ズッコケ三人組からのメッセージ」をテーマに講演した。

生活実用書/注目的新刊

うつ病(気分障害)による精神科の受診者は年間約70万
人。そのほかの精神疾患を含めると、1年間に精神科を受
診する人が約260万人にもなるという。その上、心療内
科などを訪ねる人の数も増えていて、うつ病に限っても、日本の患者数は500万人と見られている。
生田哲著『「うつ」を克服する最善の方法―抗うつ剤S
SRIに頼らず生きる』(講談社+α新書270‐1A
838円)は、抗うつ薬の副作用の危険さを説いている。
うつ病治療の第一選択薬は日本ではパキシルで、一昨年度の国内販売額は薬価ベースで420億円を超えた。それにブロザック、ゾロフトを加えると、アメリカの売り上げだけで約4兆円という、薬のベストセラーなのである。その医師すらも疑わないSSRIは、抗うつ剤と呼ばれながら実は「脳を興奮させる薬」だというのだから穏やかではない。SSRIを服用中に発生した自殺や殺人事件を検証し、アメリカ食品医薬品局によって承認されるプロセスを追う。さらに、薬の重大な副作用を分析し、その離脱症状から解放されるための方法が解説される。SSRIは脳に損傷を与えるというのだ。
しかし、うつ病は特別なものではない。誰もがこの現代
社会で辛い思いをしているのだ、と著者は言う。そこで、食事とサプリメント、生活習慣改善による克服法が語られ
る。「今日のことだけを考え、すべての力を尽くして前向きに、命ある限り行きたいものである。」と本書を結ぶ。
三木治監修『うつの治し方』(成美堂出版1200円)は、「心の風邪」といわれるうつ病の基礎知識を知ることから始まっている。うつ病はどんな病気か、病気の傾向、医療機関の選び方、診断と治療から回復までをわかりやすく解説している。
うつ病の人には、励ますと余計に追いつめることになっ
てしまうし、ましてや責めるような言い方をしてはいけな
いなど、周囲にいる人の心構えも述べられるが、SSRI
と出会って光が見えたという男性のケースが紹介される。
この箇所は前著と全く相いれないところである。同じ病気を扱ってこれだけ異なるのでは、読者はさてドーするか
?と言えば、そこが書店の面白いところなのであろう。
(遊友出版・斎藤一郎)

組合員のための組合つくる/福島新年会で西理事長

福島県書店商業組合は1月24日、郡山市・郡山ビューホテルアネックスで理事会および新年懇親会を開催した。
理事会では、当県組合のホームページ完成が報告され、今後の活用に期待が高まった。また、景品・ポイントカード・図書館納入問題(札幌市)について報告され、福島県中央会の堀氏より官公需適格組合制度の説明があった。県北支部でも同様の問題が懸案になっており全県に波及する恐れがあるので早急に検討すべしとの声が上がった。
新年会は組合理事、出版社、取次など総勢32名が出席した。鈴木副理事長の司会で進行。西理事長は新年挨拶で、組合のための組合活動ではなく、「組合員のための組合」に向けて組合幹部一丸となって進んでいただきたいとの抱負を述べ、新理事体制となった県組合への一層の支援を求めた。
その後、来賓出版社の自己紹介及び新企画の発表があり、日本放送出版協会・紺野支社長の乾杯の音頭で新年懇親会が始まった。和やかな懇親と、今年の活躍を誓い合う、大盛況の新年会となった。
(大内一俊広報委員)

書店経営、依然厳しい状況/兵庫組合、雇用管理に関する実態調査

兵庫県書店商業組合は1月17日、エスカル神戸で定例理事会を開催。中小企業人材確保推進事業の一環として同組合が実施した「雇用管理に関する実態調査」の最終結果について以下の通り報告された。
〔過去3年間の売上推移〕
「増加している」7・5%、「減少している」69・8%。日本経済は景気回復局面にあるが、書店業界は依然として厳しい売上が続いている。
〔従業員がやりがいを感じる時〕
「仕事への充実感・達成感」63・9%、「やったことがきちんと評価される」66・7%、「雰囲気がよく、楽しく仕事が出来る」63・9%。従業員のモチベーションをいかに上げていくかに重点を置く。売上減少傾向、人件費圧縮を踏まえ、量より質を重視。
〔労働時間〕
営業時間は「10~12時間」64・2%、定休日については「無休」54・7%の回答が最も多かった。
〔賃金制度〕
「年齢・経験年数重視」から「能力主義・年功混合型」「成果・実績主義」の回答が58・7%と最も多かった。
〔採用について〕
採用年齢については「20~39歳」66・3%が最も多かった。また、常用雇用労働者対パート・アルバイトの比率については502名対457名だった。採用の有無は「今年度有り」18・9%、「今年度無し」66・0%。パート・アルバイトの活用が多く、必要に応じて高齢者の活用も。
〔職場環境〕
今後実施したい職場改善について質問。「整理・整頓」29・0%、「清潔」35・5%、「しつけ」29・0%、「挨拶励行」29・0%だった。
今回の調査結果を踏まえ、マニュアル化、セミナー実施などを検討していくことになった。
(中島良太広報委員)

共済会給付

(17・12・21~18・1・23)
▼病気傷害横浜市鶴見区佃田町28斎藤書店斎藤キク殿
板橋区大山町24―9法文堂書店岩田五郎殿
彦根市稲部町68脇阪書店脇阪修二殿3口
橋本市橋本1―1―11
村上三光堂村上宏視殿
5口
岩国市今津町1―10―3冨永書店冨永常雄殿2口
大町市九日町2461
大谷書店大谷浩茂殿3口
▼死亡弔慰鶴岡市末広町6―18山之内書店山之内一子殿
いわき市植田町中央3―2―3水野書店櫻田貞子殿2口
奈良市東向南町21バンリ書店川岸繁男殿2口
那覇市安謝103角田書店角田倭朗殿
渋谷区本町2―4―10光文堂書店滝島繁次殿2口
▼前名義人死亡(早矢仕勝四郎)品川区荏原2―18―7弘進堂書店島田銀次郎殿
同(野沢寛平)新潟市学校町通り2―5308野沢書店野沢正樹殿2口
▼その他被災(不特定者のガラス破損)日立市鹿島町1―11―17大島書店大島良彦殿3口3万円
同(日除けテント破損)静岡市清水区興津本町238学進堂書店大澤春雄殿10口17万3千円

人事

☆出版梓会
昨年12月8日開催の通常総会・理事会で以下の役員を決定した。○新任。
▽理事長=大坪嘉春(税務経理協会)▽副理事長=○菊池明郎(筑摩書房)佐藤英明(白水社)▽常務理事=大矢栄一郎(白桃書房)
▽理事=安部英行(学事出版)石井昭男(明石書店)石井一郎(中央経済社)○今村正樹(偕成社)井村寿人(勁草書房)○黒須雪子(二玄社)坂本尚(農山漁村文化協会)下中直人(平凡社)土井二郎(築地書館)成瀬雅人(東洋書林)○錦織与志二(東洋館出版社)○堀口貞治(有斐閣)矢部敬一(創元社)○山口雅己(東京大学出版会)渡邊直之(草思社)和田肇(作品社)
▽監事=川北博(公認会計士)○林克行(日本評論社)和田佐和子(春陽堂書店)

読書率1ポイント減の65%/家の光協会・全国農村読書調査

家の光協会は昨年8月に実施した第60回「全国農村読書調査」の結果をまとめた『2005年版農村と読書』を発表した。これによると雑誌読書率が58%、書籍読書率が31%で、総合読書率は65%と過去最低を記録。読書時間や本の購入代金などは前回より回復したものの、依然低迷していることが明らかになった。
総合読書率(月刊誌、週刊誌、書籍のいずれかを読んでいる人の割合)は、過去最低だった前回を1ポイント下回る65%。総合読書率の統計は1975年から取られているが、2年連続で最低記録を更新した。性別では男性60%に対して女性69%。年代別では10代が91%、20代は75%、30~60代は62~65%だった。職業別では学生の90%がトップで、主婦73%、自営業71%、給料生活66%、農林漁業60%、無職55%。
雑誌読書率(月刊誌か週刊誌を読んでいる割合)は前回より1ポイント下がり58%で、1951年以降で最低を記録。男性は1ポイント減の54%、女性は前回と同率の62%だった。
月刊誌読書率は前回より2ポイント増の45%。内訳は、毎月読んでいる割合が24%、ときどき読んでいる割合が21%だった。性別でみると、男性は前回より3ポイント増の39%、女性は2ポイント増の51%。年代別では10代が最も高く70%、一番低いのが30代で39%。職業別では学生が67%で最高、最低は無職の31%だった。同じ月刊誌を毎号読んでいる定期読書率は23%で前回より4ポイント増加した。
週刊誌読書率は37%で、前回より1ポイント減少した。内訳は毎週読んでいる割合が7%、ときどき読んでいる割合が30%。性別では男性、女性ともに37%だった。年代別では若年層が高く中年層が低い。
読んでいる月刊誌のトップ5は『家の光』『現代農業』『オレンジページ』『ESSE』『文藝春秋』。読んでいる週刊誌の上位5誌は『女性自身』『週刊現代』『週刊文春』『週刊ポスト』『女性セブン』だった。
書籍読書率は前回より2ポイント増加して31%。初めて20%台に落ち込んだ前回より回復したものの、過去2番目に低い数値に止まっている。性別では男性26%、女性35%。年代別にみると10代の65%を最高に、最低は60代の22%。職業別では学生が70%でトップ、低いのは農林漁業の18%。
書籍を読まない人も含めた全員の1ヵ月の読書冊数は1・2冊で、前回より0・4冊増加した。性別では男性1・0冊に対し女性1・3冊。年代別では若いほど読書冊数が多く、10代4・0冊に対して60代は0・6冊だった。また、書籍を読んでいる人の平均冊数は前回より1・1冊増えて4・4冊。
過去半年間に読んだ書籍のトップ5は『いま、会いにゆきます』『ハリー・ポッターシリーズ』『ダ・ヴィンチ・コード』『世界の中心で、愛をさけぶ』『NANA』。好きな作家・著者は松本清張が22年ぶりのトップ。以下、赤川次郎、内田康夫だった。
雑誌、書籍の入手先・入手方法は、月刊誌が書店(45%・前回比9ポイント減)、スーパー・コンビニ(31%)、農協(27%)、週刊誌がスーパー・コンビニ(46%)、書店(38%・同6ポイント減)、美容院・食堂・病院(35%)、書籍が書店(79%・同7ポイント減)、図書館・公民館(20%)、スーパー・コンビニ(19%)の順で、書店はいずれも前回より減少した。
本(月刊誌、週刊誌、書籍)を読まない人も含めた本代の支出額構成をみると、一番多いのが「買わない」で42%。本を買わないのは女性(40%)より男性(44%)で多く、また10代が9%、20代が26%であるのに対し30~60代はいずれも40%台だった。
本を買わない人も含めた全員の月平均支出額は824円で、前回より67円増加した。性別では男性が66円増の844円、女性が67円増の805円。年代別では20代が最も高く1141円、一番少ないのが60代で677円だった。職業別では学生が1165円でトップ。最低は無職の541円。一方、雑誌か書籍いずれかを買う人の平均額は1457円で、前回より109円増加した。
1日平均の読書時間は読まない人も含めた全員で18分で、前回より2分多くなった。性別では男性が16分、女性が21分。年代別では10代がもっとも長く41分、次が20代の23分で、30代以上は16~18分だった。職業別では学生の40分がトップで最短は農林漁業の14分。なお、本を読んでいる人の1日平均読書時間は2分増加して29分となった。
新聞の閲読時間は前回より3分減の25分、テレビの視聴時間は2分減の159分だった。新聞は年長者ほど閲読時間が長く、テレビの視聴は10、20代が長いが30代は全体で最も短い。

〈調査方法〉
全国の農業協同組合に加入している正組合員世帯の満16歳から69歳の家族を母集団とし、住民基本台帳から1世帯1名ずつを無作為に抽出した1228名を対象に、調査票を預けて後日回収する「留め置き法」を基本に実施した。有効回収数773、回収率63%。

販売力強化目指す/NET21新年会

平成13年に書店13社の出資で法人化したNET21(渡辺順一代表取締役=小山・駸々堂)の新年会が2月6日夕、アルカディア市ヶ谷で開かれ、版元など123名が出席した。
NET21の近況を報告した田中淳一郎氏(恭文堂)は「現在20法人、55店舗に拡大し、昨年11月から栗田内に本部を設置して専任者を配した。web上で全店の販売状況を自由に見られ、契約で目標を設定している版元については設定目標を責任持って管理していきたい」と述べたほか、笈入建志氏(往来堂)が販売データ公開を通じて、隠れたベストセラーを発掘し売上げを作っていきたいと、「やまびこ通信」の積極的利用を呼びかけた。
渡辺社長は「法人を設立して6年目。志は書店として地元で生き残るため、地域の情報を版元に伝え共有していくことにある。年商は百億になったが、店舗単位ではまだ満足できる水準ではない。もっとコミュニティを固め、質の向上と販売力強化を目指したい」とあいさつした。
来賓を代表して地方小出版流通センター川上賢一代表は「百億の年商で発言権を持とうというのがNET21のスタートだった。トーハン『書店経営』にブックセンター滝山が紹介されており、地域ごとに異なる店を作っている。地域に根ざしつつ、情報を共有化して共に歩むことが大切だ」と祝辞を述べた。
講談社森取締役は「書店の廃業はこの10年で1万店を超える。NET21の売上げは講談社で30位前後。さらに活躍を」として乾杯の音頭をとった。

セミナー

◆雑誌『LEON』の戦略
トーハン総研は2月22日午後2時からカルチャーフォーラム「雑誌『LEON』の戦略~儲ける雑誌の作り方」を日本出版クラブ会館で開催する。
講師は主婦と生活社で『LEON』『NIKITA』両誌の編集長を勤める岸田一郎氏。世界文化社で『Begin』『MensEx』を創刊したあと、平成13年に主婦と生活社に移籍し、30代、40代の富裕な男性層をターゲットに『LEON』を創刊したカリスマ編集長に同誌成功の秘密、雑誌ビジネスのあり方を聞く。受講料5千円。申込みはセミナー事務局。電話03・3268・0731。

「声」/景気と無縁の商売/久留米市・尚文堂・鹿子島慶正

政府は景気が持ち直したと言っているが、メガバンクが大儲けしたからといって、日本の景気がよくなったというのは早計である。
明日は倒産だと顔をひきつらせ集金にかけずり回っている本屋もいる。取次への支払いが足りない。来月から品止めすると言われた時の悔しさ、腹立たしさ。こんなに儲からない本屋なんかこちらからお断りだと何度思ったことか。
親の代からやってきた本屋を潰しちゃいかんと、頑張ったからこそ、ここまで来られたのである。本屋のやり方が変わったことを早く気づくべきだった。
12月「声」欄に長野・沓掛さんの「店こそわが書斎」が載った。コンピュータとは無縁、いまだカーボン紙の伝票、算盤。これで食うだけはやっていける。欲を出せばきりがない。
ダイエーの中内さんの晩年は哀れであった。売上げが兆を超えるダイエーを築きながら、自分の遺体を安置するところもなかった。経営の第一線を退いてから知人に「これで何もかも無くなりました」と言っていたらしい。
売上日本一のダイエーと書店を比べようもないが、経営者の商売に対する姿勢では大差がない。日本一を目指す人や会社は多いが、商売に競争はつきものでも、戦争とまで言われるのは常軌を逸している。

「声」/業界に3つの疑問/水戸市・小貫書店・小貫雅一

以前より抱いてきた疑問と不満が3つあります。
①昨年、全国で図書券から図書カードに一本化されたのに、出版社はなぜ、読者プレゼントにテレホンカードを使うのか。せっかくのプレゼントだから、本好きの読者にも喜ばれ、出版業界全体がよくなるよう考えて欲しい。
②取次は各社ごとに客注専用ルートと称して別途契約金を取り、高正味、買切りの書店に不利な条件を押し付けている。流通は出版社、取次の責任であり、できるだけ早く書店に届ける義務があるはず。買切りは返品を出さないためではないか?それなら低正味のはずでは?なぜ書店だけリスクを負うのか?
③万引きされた商品も書店の支払いになり、書店は売上げが落ち、支払いが増えている。ICチップが全品に装着されれば万引き防止はもちろん、流通、検品、棚卸、販売の省力化が可能で、繁忙時もお客様を待たせないで済むようになる。よいことだらけなのに、出版社は動かない。盗難すら版元、取次の売上げになる現状で、真剣に取組んでいるのか不安だ。
これまでの万引き分の支払いは、そのインフラ整備のための書店側のプール金だと思っている。出版社の対応、今後のスケジュールを聞きたい。

フジTVとコラボ/双葉社Yoshi新刊

『DeepLove』270万部、『恋バナ』100万部と、ミリオンセラーを連発、昨年も『もっと、生きたい』が文芸書ランキング第1位になったYoshiが半年振りの新刊を2月10日、双葉社から刊行する。タイトルは『翼の折れた天使たち空・海』で、各巻5作のオムニバス短編集。A5変型判上製。定価本体1143円。
フジテレビでは、同書の中から4作品を上戸彩、山田優ら人気女優の主演によりドラマ化、2月27日から3月2日まで4夜連続で放送する。放送時間は23時から23時45分。放送作品は第1夜「セレブ」(上戸彩主演)、第2夜「ライブチャット」(掘北真希主演)、第3夜「アクトレス」(山田優主演)、第4夜「スロット」(上野樹里主演)。

「声」/トレカ扱いで集客/結城市・ナカザト・中里雅之

街中の小さな本屋が閉店しているのは、本が売れなくなったからではないと思います。小さな本屋では、本などもともと大して売れていません。売上げ不振はコミックによるもの。
10年以上前は小さな本屋でも「キン肉マン」や「キャプテン翼」の発売日には多くの子どもたちが並んだものです。今、子どもたちはコンビニや新古書店で立ち読みし、時間があまっても本屋に来ようとはしません。一言で言えば、魅力がなくなったのです。
「遊戯王」のカードが付いている週のジャンプは、ほとんど完売です。ヒントはここにあります。小さな本屋は「遊戯王」などのトレカを扱かったらいいのです。集客にも売上げにも貢献します。
問題はこういう情報が共有されていないことです。一軒一軒の書店が情報を出し合い、生き残ることが大切なのです。現在売れているトレカは「遊戯王」「デュエルマスターズ」「ナルト」「ガンダム」「うえきの法則」など、テレビとコミックが連動したものばかりです。コミックが売れる書店なら、扱えばトレカは必ず売れます。日曜日には自転車整理が必要なほど、子どもたちに集まってもらいたいものです。

本屋のうちそと

「やれやれ、また半分即返品か」取次から送られて来る新刊の箱を開けるたびに溜息が出る。大型書店が増えて此の方、以前にも増して店に必要の無い本が多数送られてくるようになった。本の流通量、そんなに膨らませてドーすんの?増やせば売れます?
政府と日銀では量的緩和の解除やそれに伴うゼロ金利の終了を巡り騒がしい。私は政府が言うように「マネーが不足しているからデフレが続いている」とは思わない。
出店自由の規制緩和下において量的緩和とゼロ金利を行ったが故に、低金利の融資による大資本の出店競争を招き、売上を確保する為の過剰出店と安売り競争が止まらない。小売業の坪当たり売上高は10年前より約3割も減った。本当なら無理な出店を規制し、売り場の収益力を上げる事によってデフレに対処すべきだったろうに。我が国は今、長期金利が2%を超えると国債の利払いが危うくなるから、政府は決してそのようなことはしないだろうという前提で全てが成り立っている。
しかし本来異常なゼロ金利、いつかは終わる。大型書店はそれまでに既存の中小の書店を廃業に追い込み、ゼロ金利下ですら採算の取れない店の生き残りを計っているのだろうが、投資家を煽ってばかりいる出版業界のせいで株価が上がり過ぎ、金利が上がり始めれば、採算の合わない店からの返品は増すだろう。今や本は本では無くてお金の代わりに成り下がった。刷れば何とかなります?それでは円や$と一緒や!(海人)