全国書店新聞
             

平成24年8月15日号

ネット書店に負けない/FBF第二期スタート

日本出版インフラセンター(JPO)は7月11日、東京・新宿区の日本出版会館で経済産業省受託事業「第二期フューチャー・ブックストア・フォーラム(FBF)」の開始にあたり記者会見を行い、「客注商品の迅速配送研究WG」「書店ブランドを活かした新ビジネスモデル研究WG」「リアル書店の新業態研究WG」の3つのWGで検討を行うと発表した。検討成果は来年2月下旬に報告する。
第二期は「ネット書店に負けないリアル書店の活性化」を全体目標に掲げて研究を行う。地方の書店がネット書店の影響を受ける中、地域に根付いた書店が地場産業または地域の情報発信基地として活性化するための具体策を検討する。会長は第一期に引き続き出版文化産業振興財団(JPIC)の肥田美代子理事長が務める。
「客注商品の迅速配送研究WG」は、①店頭に設置するデジタル端末機の活用②客注商品の即日配送・翌日納品③書店店頭がネット書店でいうポータルサイト的な役割を担うことによる店頭注文の増加④業界横断的な客注商品配送インフラの構築――を研究する。トーハン・谷川直人取締役がWGリーダーを務める。
「書店ブランドを活かした新ビジネスモデル研究WG」は、①書店が個々に運営しているネット書店のバックヤードの仕組みを統合することによる共同仕入れ・調達の実現②リアル書店とネットのシナジー効果の発揮――を研究する。大田丸・大垣守弘代表がWGリーダーを務める。
「リアル書店の新業態研究WG」は、①人材育成のための書店員大学校の設立②人材育成のための公的資格制度③既存商習慣に捉われない新たな書店の魅力の追求④出版震災対策本部と連携した東北エリアへの実験店舗の構築⑤書店が地域の文化発信基地となる――を研究する。本の学校・星野渉副理事長がWGリーダーを務める。
記者会見の席上、肥田会長は「今年2月に第一期の報告書を経産省に提出。その成果が認められ、経産省からFBFでの検討を継続するよう正式に依頼されて、本日第二期の委員会を開催した。第二期は、第一期の活動の中で見えてきた課題に関し継続して取り組むことになるが、困難な課題だ。しかし今までのしがらみを乗り越えなければ業界の未来はない。明るい未来を創るため、業界全体で一丸となって取り組んでいきたい」と抱負を語った。
〔FBF第二期委員〕
▽会長=肥田美代子(JPIC理事長)▽副会長=植村八潮(出版デジタル機構会長、専修大学教授)▽委員=永江朗(早稲田大学教授)木下修(杏林大学非常勤講師)高野明彦(国立情報学研究所教授)藤原直(金港堂社長、日書連副会長)田江泰彦(今井書店社長、日書連「ためほんくん」部会長)斉藤行雄(谷島屋社長、書店未来研究会理事長)高須博久(豊川堂社長、書店新風会会長)大垣守弘(大垣書店代表取締役、大田丸代表)永井伸和(本の学校理事長、今井書店会長)矢作孝志(JPIC専務理事)石井和之(日書連事務局長)中町英樹(書協専務理事)高橋憲治(雑協事務局長)松尾靖(取協事務局長)大住哲也(出版倉庫流通協議会代表幹事)乾智之(JPO運営委員長補佐)▽事務局長=永井祥一(JPO専務理事)

書店減少に危機感/書店東北ブロック大会

第64回書店東北ブロック大会が7月12日、宮城県書店商業組合の設営により仙台市の秋保温泉「岩沼屋」で開かれ、東北6県の書店や出版社、取次など約2百名が出席した。
会員書店のみが出席して行われた第1部では、冒頭あいさつで藤原直会長(宮城組合理事長)が出版業界の最新動向について言及。日本出版インフラセンターが経済産業省から受託する書店活性化事業「フューチャー・ブックストア・フォーラム」の第2期事業がスタートしたことを報告し、「書店はこのままではどんどん減っていくだけ。忌憚のない意見を戦わせて新たな目標を定めていく」と述べた。また、日本漢字能力検定協会から東北ブロック会に震災義援金として2百万円が贈られたことを紹介して、「基金という形で、必要に迫られた時に活用させていただくことにしたい」と述べた。
続いて日書連・大橋信夫会長が日書連活動を報告。送品・返品同日精算問題で、取次大手2社が優越的地位の濫用をしていないか公正取引委員会に調査依頼する申告を行ったことについて「取次に何度話をしても事情を勘案してもらえなかったことが背景にあることをご理解いただきたい」と説明した。また、日書連通常総会で財政健全化を求める意見が出たことについて、理事会で支出削減を検討していくと述べた。
会議は藤原会長を議長に審議を行い、全議案を承認。次年度大会の当番県は福島県に決定した。
第2部では、読売新聞の前写真部デスク・岩佐譲氏による「報道カメラマンたちの3・11」と、東北学院大学の河野幸夫教授による「仙台湾海底遺跡の発見と仙台平野を襲う巨大津波そして今後発生する災害について」と題する記念講演が行われた。

読書週間標語「ホントノキズナ」

読書推進運動協議会(小峰紀雄会長)の主催により文化の日をはさんで10月27日から11月9日まで実施される第66回読書週間の標語が「ホントノキズナ」に決まった。野間読書推進賞、全国優良読書グループ表彰などの行事が行われる。

雑誌発売日繰り上げ求める/軽井沢で北信越ブロック会

日書連北信越ブロック会(西村俊男会長=新潟県書店商業組合理事長)は7月8日、長野県軽井沢町の軽井沢プリンスホテルでブロック会を開催。新潟、石川、富山、福井、長野各県書店商業組合の理事長など計8名が出席した。今回の主管は長野組合。
はじめに長野組合の塩川明人理事長が「空気のいい軽井沢でリラックスし、活発に意見交換しよう」とあいさつ。続いて、各県組合から「10月27日に組合設立100周年記念事業として式典、講演会、懇親会を計画している」(福井組合・安部悟理事長)、「5つの委員会を作り、それぞれ計画をたてて活動するための組織作りをした」(長野組合・塩川理事長)、「今年もサン・ジョルディの日PR企画としてオリジナル図書カードを作成し好評だった」(富山組合・丸田茂理事長)、「サン・ジョルディの日オリジナル図書カードを今年も作成予定」(石川組合・森井清城理事長)、「7月14日に中央図書館とタイアップしてサン・ジョルディの日文化講演会を開催。12月には絵本ワールドin新潟を開催する予定」(新潟組合・西村理事長)と報告された。
最後に日書連への要望として財政健全化、北陸新幹線が金沢まで開通する26年3月までに雑誌発売日を首都圏と同日にすることの実現、送品・返品同日清算の実現――などをあげ、来年は石川組合の主管でブロック会を開催することを確認して閉会した。
(渡辺学広報委員)

飯館村の書道教室に本を寄贈/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)は、被災地支援プログラム「WISHMARK」の収益金の一部で子ども向けの本約60冊を購入し、7月20日に福島県伊達郡川俣町の書道教室に寄贈した。
「WISHMARK」は、人気キャラクターの願いを記した3枚のしおりと購入者自身が願いを書ける短冊がセットになった商品で、同プログラムに賛同する書店で昨年8月から販売。JPICはこの収益金を使って被災地の子どもたちに本を寄贈する計画を立てていた。この書道教室は計画的避難地域に指定された福島県飯館村の避難先に開設され、飯館村から避難してきた子どもたちの安らぎの場所となっており、最初の寄贈先に決定した。
JPICでは、購入する本のセットを「WISHMARK文庫」と名付け、今後約20ヵ所に寄贈していく予定。

書店再生5項目実現に期待/茨城総会

茨城県書店商業組合は、6月23日に水戸市茨城県開発公社で第26回通常総会を開催。組合員63名(委任状含む)が出席した。
総会は川又英宏副理事長の開会の辞で始まり、塚越賢次理事長があいさつ。「我々の業界は今大変厳しく、売上等においても低迷が続いている。大震災被災県として多くの方から義援金をいただき感謝する。まだ被害に苦しみ時間と復興支援が必要な書店がたくさんある現実も直視し、『震災復興基金』の店頭募金活動に協力してほしい。また、日書連が出版流通改善協議会に提案した書店再生5項目の解決は大変な宿題であり、出版界全体、お客様のためにも3者間解決の英断に期待したい。電子書籍事業は組合で昨年研修会を開催した。紙や電子に関係なく、本は本屋で売るとの考えから引き続き検討していきたい」と述べた。
来賓の県中央会・片岡修司総務部長より祝辞をいただいた後、議長に塚越理事長を選出して議事を進行。平成23年度事業報告、同収支決算書、監査報告、平成24年度事業計画案、同収支予算案等、すべての議案を原案通り承認可決した。
事業報告では、全国書店、多くの版元、取次の皆様からの大震災義援金を、全組合員に被災状況に応じて配ったこと、「書店くじ」の実施で読者サービスに努力したこと、「心にのこる子どもの本」セールで県内書店に受注活動を展開したこと、「電子書籍サービス」及び「ためほんくん」研修会を開催したことなどが報告された。
田所和雄副理事長の閉会の辞で総会を終了。「軒先」より書店の空きスペースの有効利用について事業説明が行われた。
(高橋雅夫広報委員)

県教職員組合の図書購入券事業が継続/岐阜総会

岐阜県書店商業組合は6月17日に下呂温泉の小川屋で第29回通常総会を開催。組合員、出版社、関連会社を併せ50名余が出席した。
総会は、木野村祐助理事長から「相変わらず出版界は不況で、書店の廃業が増加して組合員数の減少が止まらないが、頑張ってほしい」と激励のあいさつがあった。その後、寺田理事を議長に選出して提出議案を審議。岐阜県では県教職員互助組合の図書購入補助券事業が3年続けて実施され、組合員書店では、相当図書販売額の促進があったと報告された。その他の議案も滞りなく承認されて、無事総会を終えた。
(司馬豪久広報委員)

SJの日講演会開く/新潟組合

新潟県書店商業組合(西村俊男理事長)は7月14日にサン・ジョルディの日記念講演会を、新潟市中央図書館ほんぽーとで開催した。
講師は、新潟市生まれで県立がんセンター元副院長、浄光寺老院、俳人である蒲原宏さん。演題は「新潟よもやま話~楽しい生き方~」で、1時間の講演となった。蒲原さんは、「こんばんは!吹く院長でーす」「新潟うき世話」など著作も多数あり、講演会終了後サイン会も行った。
講演の後に質問タイムがあり、「夜なかなか寝られない」「コラーゲン入りの薬を飲んでいるのですが」「蒲原さんは今89歳とのことですが、元気でおられる秘訣は?」等々の質問が出た。蒲原さんは「人は3~4日寝られなくても死にはしません。コラーゲンの薬なんて99%小便になって出るだけ。飲むのはムダです。私はいろいろ食事制限を受けていますが、3日に1回はステーキを食べています。好きなものを食べていれば大丈夫」等々、ユーモアあふれる答えで終始し、会場をわかせた。
(西村俊男理事長)

5委員会で活動進める/長野総会

長野県書店商業組合(塩川明人理事長)は6月19日、松本市浅間温泉和泉荘で第28期通常総会を開催、組合員50名(委任状含む)が出席した。
昨年急逝した犬飼理事(明金堂)に対して黙祷を行った後開会となった。塩川理事長は、「この1年は理事長としてやるべきことが多く、副理事長はじめ皆様の力をお借りしてやってきたがあっという間に過ぎてしまった。今年は各理事が考えたことを実行するために5つの委員会を作り、活発に活動していただいた。縁あって同じ職業。切磋琢磨して絆を深め、頑張ろう」とあいさつした。
山岸副理事長を議長に選
出して議事を行い、第27期事業報告、収支決算報告、第28期事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。今年度も組合員の利益に貢献するよう、5つの委員会で事業を進めていく。
書店活性化委員会では、共同事業の研究、他県組合との交流・視察や頑張っている書店、アイデア書店の見学など計画している。また東京国際ブックフェアのセミナーに塩尻市の中島書店がパネラーとして参加するため、積極的参加を呼びかけた。販促・拡販委員会では、サン・ジョルディの日PR企画として「フルートと朗読のチャリティコンサート」を6月24日、松本市で開催を予定していると説明があった。
そのほか、空席になっている中信支部の理事に中島書店、IT委員会委員長に今井書店が就任した。
総会終了後、取次、出版社、運送会社の紹介と企画発表が行われ、続いて会員拡大・親睦委員会の企画によるボウリング大会を開催し、親睦を図った。
(渡辺学広報委員)

定款変更案を承認/島根総会

島根県書店商業組合は7月24日、松江市の「テクノアークしまね」で通常総会を開催し、組合員23名(委任状含む)が出席した。
総会では平成23年度事業報告、決算報告、平成24年度事業計画並びに予算案を承認可決したあと、組合員数の減少に伴い理事の定員を減らす定款変更案も承認された。
総会終了後、同会場に現在島根県で開催されている「神話博しまね」と、10月に開催される「全国図書館大会・島根大会」の事務局を招き、内容の説明を聞いて書店として参画できることなどを検討した。
(福田寛専務理事)

古事記フェア実施へ/兵庫組合移動理事会

兵庫県書店商業組合(山根金造理事長)は7月10日、年1回会場を変え県下を巡る恒例の移動理事会を明石商工会議所で開催した。
今年は山根理事長のおひざ元での開催となり、まず参加者はお点前の心得ある理事長より抹茶の接待を受けた。今回の勉強会は、「こよみの売り方について」のテーマで、東京より神宮館営業部長の酒井崇行氏を招き、今年は「天地明察」とのコラボ展開など、売り伸ばしのコツをお教えいただいた。
理事会では、「古事記フェア」について若手グループより企画説明があり、検討を行った。この企画は、国生みの地兵庫にて、編纂1300年を迎えた古事記で店頭を活性化しようと、9月より県下参加書店にて古事記フェアを実施、11月23日に古事記に関する無料講演会、12月上旬に格安の淡路島国生みの地を巡るツアーを実施する計画。ツアーも案内パンフを作成し書店店頭で販売、くじによる無料ご招待も行うというもの。地元の神姫バスの協力を得て企画立案しており、理事会で承認され若手の会にて進めることとなった。
続いて発売日励行委員会から定例報告が行われた。
この後、会場を移し合同の懇親会を実施。多数の参加者を得て大いに盛り上がり懇親を深めた。
(安井唯善広報委員)

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

毎年「この夏が一番暑い!」と思って過ごしているのは私だけでしょうか?皆さん、日頃の摂生が第一です。十分な睡眠・休養をお取りください。暴飲暴食・二日酔い、オリンピックで寝不足などはもってのほかです。万全の体制で仕事に励みましょう。私はマイペースで行きますけど。
このところ知り合いの出版関係者退職の知らせが続き、寂しいかぎりです。人がいなくなったら、私は本に頼るしかありません。
本屋と直取引の「ミシマ社」が、書店員365人に一冊ずつ本の紹介を求め、出版しました(1)。我がGF・BFがたくさん登場します。ご承知と存知ますが、多くは私が一方的に知って、そう認定しているだけの人たちです。皆、思い入れのある本を紹介しています。POPやコメントにもそれぞれの味があります。不肖私も老骨ながら馳せ参じました。一冊一冊を大切に出版・販売している版元の依頼ですから、真面目に選びました。大杉栄『獄中記』(土曜社)です。直球ど真ん中真っ向勝負「男どアホウ藤村甲子園」です。これが大手の版元さんなら、いつものスケベ本「犬飼小次郎キャッチボール投法」で行くところです。
365人が集まると、意外な本が出てきます。良いブックガイドが出来ました。個人的には「何でコレ?」という本もありますが、いろいろあってこそ面白いのです。
この際です。GF・BFの本を紹介しましょう。まずは、髙田郁の初エッセイ集(2)、作家生活を振り返ります。今でこそ時代小説人気作家ですが、苦節○○年、大震災に遭い、交通事故、網膜に孔が開くという満身創痍、その前に司法試験挫折もあります。傷だらけの人生でも、取材相手、編集者、読者、家族、何よりも本に支えられて筆を握ってきたのです。苦労があったからこそ、優しく明るく、読者と周囲の人々を慰め励ますことができるのです。多忙の中、コマメに本屋まわりをして、書店員の心も掴んでしまいます。
京都郊外(田舎)在住のグレゴリ青山は、これまでの旅をまとめたコミックエッセイ(3)。東アジア各地からお伊勢さん、石切さん(東大阪の神社)まで、「うねうねした波の模様」のような、消えては浮かぶ思い出を綴ります。
仙台の書店員の本(4)、あわて者の私は書名からグラビア誌と思ってすぐに注文しました。お店で配付しているフリーペーパーを元にしたコミックエッセイです。本を読んで売って、呑んで食べて太って、髪を切って、イベントをして……、本屋と日常生活、そして、東日本大震災を経験して、本屋で働くことが好きだと自覚する過程が描かれています。
撰者は京都の古本屋さん、版元は吉祥寺の一人出版社。懐かしい作家の随筆集(5)です。作家仲間たちの思い出や本にまつわる文章が集められています。表題の作品、手許で余分になった本を実家に送るのですが、それは東京での文筆生活に耐えられなくなった時を考えてのことです。想像したくはない夢、切ないことです。しかし、故郷に帰るたびに本たちに面会するのを楽しみにしているという複雑な気持ちもあります。
書店員たちも作家も、GF・BFは多彩・多才であります。自分が偉いみたいに錯覚しますなあ。
(1)『THEBOOKS365人の本屋さんがどうしても届けたい「この一冊」』ミシマ社
(2)髙田郁『晴れときどき涙雨』(創美社・集英社)
(3)グレゴリ青山『旅のうねうね』(角川パブリッシング)
(4)佐藤純子『月刊佐藤純子』(メディアデザイン・本の森)
(5)山本善行撰『上林暁随筆集故郷の本箱』(夏葉社)

書店向け雑貨売場「StyleF」を開発/トーハン

トーハンは、取引先書店の複合化に対応するため、心地よい生活、日本の暮らしをテーマにセレクトした雑貨売場「StyleF」(スタイルエフ)を開発、7月14日に1号店が名古屋市のらくだ書店本店でオープンした。
「StyleF」は、雑貨ショップ「ANGERS」(アンジェ)を運営するふたば書房(京都市)のノウハウを受け、新たな書店向け雑貨業態として立ち上げたもの。多様な趣味嗜好の人々が訪れる書店の客層に合った雑貨売場を展開していく。
売場スペースは10坪以上を基準とし、導入ジャンルは、大人の知的好奇心をくすぐる「大人の遊び時間」、女の子のキレイ願望をお手軽に手に入れる「ナチュラル生活」、老若男女問わず手に取りやすい「雑貨やステーショナリー」から立地や客層に合わせて選定する。
運営は、トーハン・メディア・ウェイブ(TMW)による「代理店制」を採用。書店に売上手数料と売場使用料を支払い、商品・設備・システムはTMWが負担する。テクニックが必要な売場作りはTMWの巡回店長が訪問するなど、書店の負担を軽減している。

「本屋ですが、ベストセラーはおいてません。」/スタンダードブックストア代表・中川和彦氏/東京国際BFセミナーから

「自分たちが行きたくなる店をやろう」。カフェを併設する本と雑貨の店・スタンダードブックストア(大阪市)を運営する中川和彦代表が、7月6日の東京国際ブックフェア専門セミナーで「本屋ですが、ベストセラーはおいてません。~本屋は本屋であるべきなのか~」と題して講演した。
〔原体験に「仕入れの楽しさ」〕
スタンダードブックストアは専務をしている弟とやっているが、会社の名前は「鉢の木」といい、父が始めた。髙島屋の書籍売場に商品を納める取次の営業マンだった父が、髙島屋が直営をやめたときに自分で開業したのが始まりだ。
僕は父に「本屋に丁稚奉公に行け」と言われ、大学を卒業した1985年に東大阪市の書店に入社した。学参売場に配属されたものの、あまり目新しい新刊が入らず、「同じものを繰り返し売っているのが楽しいのかな」と思い、他業界を見たいという気持ちがあって1年で辞めてしまった。
その店で、お客さんから問い合わせがあった本を仕入れたところ良く売れて、「仕入れて売れるというのは楽しいことなんだ」と思った。それが今でも原体験として残っている。現場のスタッフから仕入れの権限をとったら何も楽しみがなくなってしまう。うちの店も打合せはするが、皆が自由に仕入れてやっている。
その後建築事務所に入ったが、父の具合が悪くなり1987年に鉢の木に入社。間もなく父が死去して代表取締役に就任した。入社してみると、僕が勤めた書店とは全然違うやり方をしていて、仕入れという感覚がなく、スリップに番線を押して流していた。そこで自分なりにいろいろ工夫をし、髙島屋の定休日だった水曜日には大阪屋に仕入れに行くようにした。
1989年に、売場が地下に増床移転された。すごくいい場所で、月商1億円売れるようになり、今もお世話になっている出版社の方とも知り合いになることができた。ベストセラーしか置かず、回転率の悪いものは一切置かないという、今と正反対の店だった。チェーンストア企業の集まるセミナーに参加して勉強したりしたが、髙島屋の人には「本は売っても儲からない」と言われるし、このまま続くことはないと思っていたら、2002年に売場が縮小されて奥の方に追いやられてしまい、「もうこれはだめだな」と思った。
セミナーで知り合った人に誘われたのをきっかけに首都圏で2年ほど飲食店をやった。この経験があったので、お店にカフェを併設するのにそれほど躊躇することはなかった気がする。
そうしているうちに、大阪屋から「辞める書店があるので後釜にどうか」と言われ、2004年に東大阪市の吉田駅前に20坪の本屋を開いた。そこは沿線に大きな本屋があり、店にない本をお客さんに「そちらに行ったらありますよ」と言っても、「いや、待ってるわ」と言われる。それがすごいカルチャーショックで、「ああ、普通の本屋さんはこんな感じなんだ」と初めて分かった。「本屋は街に必要な存在なんだ」ということがすごく実感できた。
〔街に必要とされる店を作りたい〕
2006年にスタンダードブックストアをオープンした。「本屋ですが、ベストセラーはおいてません」というのは、地下鉄の心斎橋駅に広告を出したときに考えた言葉で、ベストセラーを置かないという意味ではなく、ベストセラーという理由では置かないという意思表示だ。
この店はミナミのアメリカ村にあり、1階が100坪、地下が170坪で、そのうち40坪がカフェだ。チェーンストアのセミナーでアメリカの視察に行ったとき、日本とは雰囲気が違う本屋を見て、それをやりたいと考えていた。温かい落ち着いた雰囲気だが、気取らない雰囲気が出せればと思っている。
カフェは会計前の本を持ち込めるようにしている。そもそも立ち読みできるものだし、お客さんの立場なら、高価な本はじっくり吟味したいだろうと思う。今まで「本が汚い」と言われたことはない。お客さんと信頼関係を作って、できるだけ制限のない空間にしておきたいと思っている。温かみがある、時がたつほどに何となく味が出るようなお店にしたい。
本屋はどこも似ている感じがして、自分のイメージするものとは違っていたので、「好きなことをやろう。自分たちにしかできない店、自分たちが行きたくなるような店をやりたい」と思った。商売は人と違うことをやって差別化するのが根本にある。同じような店ができても、お客さんの選択肢は増えない。
開店当初、自分たちが置きたいものをやったら、とても渋い品揃えになってしまい、ちょっとイメージとかけ離れてしまった。2ヵ月ほどですぐに変えて、若い人が多い地域なのでアートやファッション、カルチャーを中心に据えると、少しずつ手応えが出てきた。
カフェでは、基本的に自分が食べたくないものは出したくない。ホットドッグも、うち用に完全無添加のソーセージを作ってもらったり、安心して食べてもらえるものを心がけている。
イベントはワンドリンク付き1千円でやっている。2011年は104本実施して4753人が参加した。今年は6月末までで63本実施し3396人が参加している。「コミュニティ」をテーマに10時間トークショーをやった時は、2百数十人が参加する、ものすごい熱気のイベントになった。イベントはもう少し増やしていきたい。
今後、本や物がそんなに売れ続けるのかなと考えている。シェアハウスとかコワーキングスペースといった、皆で一緒にやったり、分け合ったりするという形態が出てきている。だから物を売っているだけではだめなのかなという気はしている。
基本的には僕は自分が楽しいと思えることをやりたい。もともと本屋をやろうと思っていなくて、父から引き継いだので、本屋が嫌ではないが、別に本屋でも本屋でなくてもいいと考えている。街に必要とされる店を作りたい。隙間が一杯ある店にしたいという考えがあって、こちらが全部決めてするのではなく、誰もが参加できて、お店をお客さんと作っていく。いつまでも完成しないイメージ。本というものはイメージもいいし、まだまだすごく使える商材だと思う。誰もが気軽に入って来られる本屋はもっと可能性があるはずだ。

文具・雑貨パッケージ「Sta×2」を展開/日販

日販は書店向け文具・雑貨事業の本格展開をスタートした。店作り・品揃え・季節フェア・価格訴求商品を含む売場演出、店頭オペレーションまでをプロデュースする。
新たな文具・雑貨パッケージの名称は「Sta×2(スタスタ)」で、ステーショナリーステーションの略。「本」と「文具」「雑貨」が融合した書店ならではの複合売場を実現し、書店とお客に新たな感動体験や付加価値を発信する基地を目指す。「Sta×2」は、書店の立地に応じた商品構成とともに「本」と連動した商品企画を展開、併せて店頭サイン・POPの提供を行うのが特徴。また、11月リリース予定の日販POSシステムにおいて単品管理や定番商品の自動発注、将来的には本部機能も搭載しチェーン店における管理機能を充実させる。
文具売場のバックエンドは、加藤憲ホールディングスのグループ会社、G.R.S.(名古屋市)が日販取引書店の専用倉庫を開設。商品調達や迅速配送、店頭フォロー等の側面支援を行う。7月には、すばる(千葉県鎌ケ谷市)が展開する書店で第1号店がオープン。その後全国に拡大展開し、3年間で3百店舗の導入を目指す。

トーハン社外監査役に岩瀬氏/講談社・野間社長の後任

トーハンは9月25日に臨時株主総会を開催し、社外監査役に元東京高裁判事で弁護士の岩瀬徹氏を選任する。6月に開催した第65回定時株主総会終結の時をもって任期満了した社外監査役・野間省伸氏(講談社社長)の後任となる。

販売感謝の集い開催/『熊本県万能地図』が好調/熊本日日・熊本教科書

熊本日日新聞社の関連会社で郷土出版物を制作・発売する熊日サービス開発(山口孝社長)と、同社出版物の県内流通を担当する熊本県教科書供給所(長﨑晴作社長)は7月3日、熊本市内のホテルで、「『熊本県万能地図』販売感謝の集い」を開催。当初販売目標を上回る実績を達成した記念として売上上位13社・15店を招待した。
同書は熊本県内45市町村図、熊本県内全域メッシュ地図、新しい熊本市の区割図と5区図、熊本市全域の詳細メッシュ地図、県内14市の中心部詳細図、熊本市繁華街特別拡大図、地名索引・施設索引、防災情報、A2サイズ綴じ込みの九州全図、熊本県全図で構成。熊本市の政令指定都市移行に対応し、85年の初版発行以来、5年ぶり8回目の改訂版で、今年1月26日に発売した。A4判、224ページ。定価本体3400円。熊本日日新聞社発行、熊日情報文化センター制作・発売。
表彰式で、熊日サービス開発の山口社長は「デジタル万能時代の今日、不安感をもって刊行したが、発売2週間後に増倍という画期的な結果が出た。これもひとえに書店のおかげ」とあいさつ。13社に感謝状と報奨金目録を贈呈した。続いて、熊本県教科書供給所の長﨑社長が「必要以上に電子書籍が持て囃される現在、データベースと思われがちな地図が、前回(08年刊行)以上の実績をあげたことに溜飲が下がる思い。これも書店の熱意と熊日サービス開発の巧みな編集力の賜物と感謝する」とあいさつし、祝杯をあげた。
祝宴では、福岡に本社を置く書店が「熊本の特異性かもしれないが、紙の地図帳がこれほど売れるとは信じられなかった。長年にわたって改訂されてきた商品力や知名度、信頼性が、カーナビなどのデジタル商品を上回る評価につながった」と分析。このほか出席者からは、売れる商品企画への要望も出た。
最後に出席書店を代表して、カメヤ本店の宮原一吉社長が「出版不況の中、今後も売れる商品はどんどん売っていこう」とあいさつし、一本締めを行った。
(長﨑晴作・熊本県教科書供給所社長)

増売が生き残るための道/大商談会で店頭活性化/首都圏栗田会

首都圏栗田会の第4回総会が7月12日、東京・文京区の椿山荘で開催され、会員書店、出版社、栗田出版販売、栗田と業務提携する大阪屋の南雲隆男社長、大阪屋友の会連合会の田村定良会長(田村書店)、日書連の舩坂良雄副会長(大盛堂書店)ら総勢227名が出席した。
冒頭あいさつした奥村弘志会長(南天堂書房)は「なぜ店頭にお客さんが少なくなってしまったのか。書店に元気がなくなると版元も取次も元気がなくなる。もう少しみんなが一緒に考えればと思う。この会では、互いに手を取り合いながら協力するためのバックアップシステムがある。情報共有化のための勉強会も行っている。書店の使命は1冊でも多く売ることなので、増売にも取り組んでいる。1冊1冊積み重ねていくことが生き残るための道。会員の皆さんは困ったことがあったら遠慮なく連絡してほしい。その声を栗田に届けるのが私の役割。大商談会を今年も10月11日に行う。店頭活性化の手助けになれば」と述べた。
奥村会長を議長に議事を行い、活動報告、事業計画、研修計画、書店バックアップシステム計画などすべての議案を原案通り承認可決した。質疑応答では「商談会で特別正味を設定できないか」との要望が出た。
来賓の栗田出版販売・郷田照雄社長は「シャンシャン総会ではなく、はっきりものを言おう、提言しようという会のあり方に敬意を表する。話し合う関係の中から大商談会も生まれた。本社を神田に移転して4カ月。足場の良さと情報の取りやすさを生かしながら、皆さんの役に立つ形で業務を遂行したい」と述べた。
総会終了後、河北新報社の一力雅彦社長が「創造的な復興へ~『伝える』使命被災地の新聞社から~」をテーマに講演し、そのあと懇親会を行った。

店頭売上に結びつく施策強化/東北日販会に義援金送付/東京日販会

東京日販会は7月23日、文京区の東京ガーデンパレスで第6回総会を開き、会員書店、出版社、日販関係者あわせて125名が出席した。
冒頭あいさつした板津武会長(自成堂)は「昨年の総会は東日本大震災発生の後に開催し、会員の賛同による義援金を総会終了後に東北日販会に送った。東北日販会会長からお礼の手紙をいただいた。昨年は5周年の記念として新たな取り組みを行ったが、中でも第2回首都圏大商談会への積極的な参画は出版社、事務局からも好評だった。今年度は店頭の売上に結び付けることのできる取り組みを強化し、会員書店の売上に貢献したい」と述べた。
議案審議では事業報告、会計報告、事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
このあと来賓を代表して日販の古屋文明社長があいさつ。「東日本大震災から1年たった。昨年は節電影響やインク、紙不足があったが、ベストセラーが多数出たことで全体的には堅調だった。むしろ今年のほうが書籍も売れ筋のものが出ずに厳しい状況。先日開催された東京国際ブックフェアは、出版社のブースが減り、楽天など電子書籍関連のブースが増えるなど、様変わりした。厳しい環境下では、業界全体ができることからやっていく必要がある。日書連の書店再生委員会、フューチャー・ブックストア・フォーラムなどが出版流通のあり方について提言を行っている。日販は取引先の収益改善となるようPARTNERS契約やマージンの取れる商材の紹介を進めていきたい。着実に前進し、業界全体がwin‐winとなるよう努力する」と述べた。
総会終了後、「『図解絵本東京スカイツリー』(ポプラ社刊)取材こぼれ話」をテーマに、著者のモリナガ・ヨウ氏が記念講演。同書制作にあたって取材した内容のうち作中で紹介しきれなかったスカイツリー秘話を披露した。

『強運の持ち主』が大賞/書店員が選ぶ感動本GP/兵庫トーハン会

兵庫トーハン会は6月20日、有馬温泉の有馬グランドホテルで第44回総会を開催した。
午後1時からの第1部総会は、大橋洋子氏(流泉書房)の司会で進行。山根金造会長(巌松堂書店)のあいさつの後、議案審議を行い、事業報告、会計報告、事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
続いて、3月から5月まで県下トーハン会書店で行った「地元書店員が選ぶ感動本グランプリ2012」の結果が発表され、大賞に『強運の持ち主』(瀬尾まいこ著、文春文庫)、書店マイスターに喜久屋書店神戸北店・奥田和美氏が選ばれ、表彰した。審議終了後、トーハン神戸支店の山下幸治支店長が祝辞を述べた。
午後2時から第2部の書店博覧会を実施。参加書店がブースを設けて、5分間ずつ版元が各ブースを回り商談を進めるもので、3時間弱の時間を設けた。午後6時から合同懇親会を行い、誕生したばかりの阪奈トーハン会の林田会長(啓林堂書店)ら近隣トーハン会の代表が臨席した。席上、山根会長は「来年45周年に向けて、兵庫トーハン会の実績を全国の上位に」と決意を述べた。祝辞を述べたトーハン近畿支社の小野晴輝支社長は「兵庫トーハン会の取り組みは全国的にもユニークで工夫に富んでいる」と賞賛し、次年度への期待を語った。
なお、参加した版元、書店、業界関係者は合計61社77名だった。
(安井唯善広報委員)