全国書店新聞
             

平成16年4月21日号

雑協理事長に白石文春社長

日本雑誌協会は4月13日の総会で浅野理事長が退任、新理事長に文藝春秋の白石勝社長を選出した。副理事長のうち相賀昌宏氏(小学館社長)は留任、新たに矢内廣氏(ぴあ社長)を副理事長に選任した。
白石勝氏略歴昭和14年12月22日生れ、64歳。栃木県出身。37年早稲田大学第1文学部卒、同年文藝春秋新社入社。広告部、週刊文春、文藝春秋、文藝春秋デラックス各編集部勤務を経て、58年週刊文春編集長、63年文藝春秋編集長、平成3年社長室長、4年取締役就任、8年営業総局長、10年常務取締役、11年代表取締役社長就任。

4月20日から春の書店くじ配布

4月23日は世界本の日=サン・ジョルディの日。書店では4月20日から30日まで書籍・雑誌をお買い上げのお客様に「春の書店くじ」が配布される。特賞5万円分の図書カードが70本用意されているほか、賞品は4等まで総額1億円あまりのプレゼント。
4月22日(木)から25日(日)までは東京・江東区の東京ビッグサイトで東京国際ブックフェアが催されるのをはじめ、4月23日から5月12日まで「こどもの読書週間」として各地でさまざまな催しが展開される。[写真上は書店くじの行事ポスター、下はこどもの読書週間を告知するポスター]

組合員数7463店に/脱退487店と高水準続く

今年4月1日現在の都道府県書店商業組合の組合員数合計は、前年より375店、4・8%減少したことが組織強化委員会の調べで明らかになった。この1年間の新規加入書店は112店、脱退書店はその4倍強の487店にのぼり、いぜんとして脱退数は高水準が続いている。この1年間で加入数が脱退数を上回ったのは岩手、岡山、香川の3組合。栃木、鳥取、沖縄の3組合は増減なし。残る41組合は前年より組合員数を減らした。
脱退数が多いのは多い順に①東京組合65店(7・4%減)、②大阪組合45店(8・4%減)、③神奈川組合34店(7・5%減)、④愛知組合27店(7・2%減)、⑤北海道組合25店(8・3%減)、埼玉組合25店(8・5%減)など、人口の多い都市部で軒並み7、8%台減の高い水準が続く。
組織強化委員会では脱退店については各県組合に依頼して脱退の理由を調べているが、昨年度の場合、「廃業・閉店」が307店(63・1%)、「自由脱退」58店(11・9%)、不明122店(25%)という数字が上がっており、廃業が全体の6割を占めている。
一方、加入は香川県で10店の加入があったが、これは大手チェーン店の加入によるもの。東京組合の加入36店は休業店26店を含む数字で、新規加入のみだと10店舗にとどまっている。
組合員数は昭和61年(1986年)の1万2935店をピークに18年間連続して減少を続けている。今年4月1日現在の組合員総数7463店は東京オリンピックの開かれた昭和39年(1964年)の7416店に匹敵する水準で、組合員数は40年前の規模に逆戻りしたことになる。

井狩春男の必殺まるす固め

☆毎週楽しみにしているのは、「栗田週報」(これが№1だと思う)、「トーハン週報」「日販週報」である。取次を去っても、親切な方がいて読ませていただいている。
「栗田週報」は大好きで、通常の新刊案内の他に「あとらんだむBОX」や「注目の新刊」というのがあって、ボクなどは何よりも先にそこを見る。「注目の新刊」に載った本は無条件でこれらが主な新刊なんだと信じてしまう。売れる新刊でなくて、売りたい新刊という意味(だと思うのだが)で“注目”しているのも気に入っている。
トーハン、日販のは何よりも情報量の多さがありがたい。自分なりに注目したい新刊をピックアップできる。勝手に料理できるのがとてもいい。
2誌で最初に見るのはベストセラーのランキングである。日本でどの本が売れているか、ちがった見方をすれば、日本の書店さんが目玉として置いている商品がハッキリわかっていいのだ。
ただ、『蹴りたい背中』『蛇にピアス』『13歳のハローワーク』『バカの壁』『世界の中心で、愛をさけぶ』『盲導犬クイールの一生』『号泣する準備はできていた』といった常連が毎週載っているのを見るにつけ、他の出版社ももっとガンバッテよ!と出版界の中心で、愛をさけんでしまいたくなるのである。
ところで、今は昔、NTTドコモがケータイに天気予報や釣り情報などを流し始めたときがあった。ケータイでは初めてのことだった。そのとき、毎週、本のベストセラーも流そうということになった。しかし、ランキングを発表するだけではつまらないだろうからと、1冊1冊にコメントを付けたらどうかという意見があったらしく、誰に原稿を書かせようかとなって、どういうわけかボクに白羽の矢が立った。その当時もビンボーだったボクは、破格の原稿料(4週で、1ヵ月の給料分ぐらい)に目がくらみ、ふたつ返事でただちに引き受けた。
ランキングは、トーハン、日販さんの発表や、書店さんのを参考にさせていただき、ボクが作成した。それぞれにコメントを付した。
初めはよかった。楽なもんだった。こんなんで大金をいただいていいものか、と笑っていた。が、気がつくと2週目も3週目も、ランクインするのはほとんどが同じ本。コメントはそのたびに変えなければならない。週報、速報に同じ本が発表されているのを見ると、その頃を思い出すのである。

上野先生を偲ぶ会に350名

3月10日に亡くなった三省堂名誉会長、上野久徳氏を偲ぶ会が4月13日午前11時より東京・丸の内のパレスホテルで行われ、350名が出席した。
世話人代表の三省堂五味社長は「上野先生は陸士、陸大とエリート軍人から弁護士に進み、20件以上の管財人を手掛けた。三省堂には昭和49年着任以来、30年に及び指導いただいた。従業員は経営の鑑と労使の信頼関係を築く一方、喧嘩の仕方もうまい先生だった」と追悼。法曹界からは最高裁才口判事、東京弁護士会岩井会長が弔辞。喪主の上野芳久関東学院大学法科大学教授は「激動の昭和を破産・管財人の草分けとして生きてきた父の仕事の重みを今さらながら感じている」と謝辞を述べた。

読書ノート、帯コンクール実施など承認/大阪理事会

大阪府書店商業組合(今西英雄理事長)は4月10日午後2時から組合会議室で定例理事会を開いた。主な審議事項は次の通り。
〔総務委員会〕
総代会に提出する「総代定数の改定原案」が承認された。組合員4名当たり1名の総代(端数は切り上げで処理)。合計定数は114名。
〔出版倫理委員会〕
「こども110番の店」の旗を500本作成した。後日配布する。
〔読書推進会〕
①読書ノートを予算50万円で作成することが承認された②当初予定の「感想文コンクール」に替えて「帯コンクール」に取り組む。
〔学校図書館問題〕
新・日書連マーク対応の「情報BОX」「司書ツール」のデモンストレーションには、組合からパソコン等を持参して学校現場に駆けつける。今月は摂津市の教育委員会に書店同道で説明に行く。デモンストレーションを希望する書店は早めに声をかけてほしい。
〔IT委員会〕
2月20日実施のパルネットの講習会は概ね好評だった。今後も「楽樂本屋さん」などの講習会を開催したい。また、少し上級のパソコン講習会も開きたい。〔全国縦断文化講演会〕
6月7日午後6時半から中之島中央公会堂で、作家・池澤夏樹氏が「なぜ小説を書くのか」を演題に講演する。定員800名。書店店頭でチラシ配布し、申込者受け付け。(中島俊彦)

「万引防止キャンペーン」に関するアンケート調査結果/東京組合

1.貴店では「万引防止ポスター」を店内に
a.張り出した
265店(90・8%)
b.張り出さなかった
27店(9・2%)
★設問2~4は設問1.「a」の回答者のみ対象
2.(1)「万引防止ポスター」の青少年に対する効果について
a.大いにあった
39店(14・7%)
b.少しあった
143店(54・0%)
c.なかった
43店(16・2%)
(2)青少年による「万引」件数は、キャンペーン前と比較して
a.減少
6店(24・9%)
b.変わらない
132店(49・8%)
c.増加
3店(1・1%)(3)青少年による「万引」の疑いがもたれるような行為に対して
a.声をかけた
124店(46・8%)
b.かけなかった
42店(15・8%)
c.その他
58店(21・9%)
3.(1)「万引防止ポスター」の悪質及び常習者に対する効果について
a.大いにあった
41店(15・5%)
b.少しあった
116店(43・8%)
c.なかった
57店(21・5%)
(2)悪質及び常習者による「万引」件数は、キャンペーン前と比較して
a.減少
46店(17・4%)
b.変わらない
143店(54・0%)
c.増加
3店(1・1%)
(3)悪質及び常習者による「万引」の疑いがもたれるような行為に対して
a.声をかけた
81店(30・6%)
b.かけなかった
42店(15・8%)
c.その他
71店(26・8%)
(4)悪質及び常習者による「万引」について、警察へ通報は
a.通報した
64店(24・2%)
b.しなかった
37店(14・0%)
c.その他
81店(30・6%)
(5)警察に通報した時、警察の対応は
a.良くなった
19店(29・7%)
b.変わらない
45店(70・3%)
(6)警察での書類作成の所要時間は、今までと比較して
a.速くなった
9店(14・1%)
b.変わらない
50店(78・1%)
c.その他
5店(7・8%)
4.(1)今回損害賠償に該当するような事例は
a.あった
7店(2・6%)
b.なかった
197店(74・3%)
c.その他
17店(6・4%)
5.貴店では、万引防止対策(人の増員、ミラー、カメラ等の設置)は
a.している
197店(67・5%)
b.していない
61店(20・9%)
上記設問における「a」の回答者から万引防止対策に年間でどれくらいの費用がかかっているか?
1万円未満
1店(1・1%)
1万円以上5万円未満
32店(34・8%)
5万円以上10万円未満
12店(13・0%)
10万円以上50万円未満
25店(27・2%)
50万円以上100万円未満5店(5・4%)
100万円以上500万円未満15店(16・3%)
500万円超
2店(2・2%)
※アンケートは2月末に実施。回答店数292店、回答率42・0%。

訃報

伊藤嘉三郎氏(元長野県書店商業組合理事長、長野市・伊藤書店)
4月7日、肺炎のため死去した。84歳。通夜は8日、自宅で、告別式は17日、伊藤書店の社葬として長野市のセレモニーホールみやばらで営まれた。喪主は子息の真三氏。平成元年から5年まで長野県書店商業組合理事長、日書連理事。

声/メーリングリスト便利な反面危険も/大和郡山市・庫書房・庫本善夫

情報化が進み出版社の在庫情報をインターネットで調べたり、電子メールでやりとりをしたりすることが多くなってきました。特にメールについては出す時間を気にしなくてもよいし電話のように相手の時間を取らず、早く届くうえに切手や封筒もいらないし記録もきちんと残るなどの便利さに加えてほとんどただに近い料金しかかからない。こんないいものはないと実感しておられる本屋さんが多いかと思います。
また同窓会とか同業者間であるとかで、いくつものメーリングリストに参加している方も増えてきているのではないでしょうか。これも大変便利な仕組みで1通のメールを送ると参加している方々全員に同じものが配信されます。会議の前にメンバーの間で資料の交換や打ち合わせを済ませてしまったり、仲間内でワイワイと話をするような感覚で使ったりできます。さまざまな使い方ができるのでこれからは仕事やそれ以外でもメーリングリストを利用することが増えてくるのではないでしょうか。
しかしながらメールは文字だけで書くので手紙を書くときと同じように相手にこちらの意思が確かに伝わるように言葉をよく選ぶなどの注意をしなくてはなりません。「夜書いた手紙は朝もう一度読み直してから出せ」と昔からいわれていますがメールの場合も同じです。
特にメーリングリストの場合は一度出すだけで多くの参加者の手元に流れてしまうので個人の間で出すメール以上にさらに注意が必要です。たくさんの人に一斉に流れるということは便利さの半面、危険性もあるのです。内容を考えてよく字句を検討して書き方に気をつけたいものです。あってはならないことですが、不用意な言葉は人を傷つけたり不快感を与えたりすることになります。
便利さ手軽さは、時として両刃の剣となる事を忘れずに使いたいものです。

声/販売証明印で万引き防ごう/甲府市・ブックスセンチュリー・小田切常雄

近年、書店の万引き被害増大の大きな要因として、新古書店による買取が言われています。これが全てとは言えませんが、せめて換金目的の万引きだけは根絶させたいものです。そこで提案ですが、書籍・文庫・コミックの全てに販売証明印(取得証明印)を押すことにしたらどうでしょうか。そして新古書業者には証明印が無いものは買い取らないことを要請(義務化)する訳です。
これには幾つかの問題もあります。まず証明印に何を使うかですが、当面は取次番線印を使う。押す場所は裏表紙の見返し、あるいは遊び紙が無難と思います。一番の問題は「大切な本に野暮な判を押されたくない」と言われるお客様への対応ですが、新古書店に持ち込むのはお客様ですから、証明印の無いものは換金できないことになります。末永く蔵書されるのであるなら判を押さなければよい訳です。この制度で大事なのは、決定権はお客様側にあるということを徹底することだと思います。
既に購入済みの書物はどうするかですが、業界で分担したらどうでしょうか。奥付によりこの制度発足以前の発行年月日のものは、全国どの書店でも無料で判を押す(その期限を1~2年に設定する)。持ち込む冊数の制限は個々の書店の判断とする。この費用の一部を出版社にお願いしたい。捻出方法は、制度発足日から無料押印期間は正味掛率を下げていただくこととする。調整役を取次が担当し、幾分かのご負担もお願いしたいところです。
状況の変化で換金の必要が生じた場合には、購入書店でレシートを提示するとか、顔見知りで書店が責任を持てるお客様には押印期間後であっても要求に応えられるよう、弾力的に運用しても良いでしょう。
ICタグはコスト面で厚い壁があり、地方の零細書店では取り残されてしまうことは明白です。判を押すのは少々荒っぽい手段ですが、書店が利益を確保し、出版文化を地域に提供できれば大きな社会貢献につながることと確信します。
クリアしなければならない点は多々ありますが、先輩諸兄のご意見を集約し、販売証明印(取得証明印)の1日も早い制度化を願ってやみません。

深夜のFAX送信は迷惑/西東京市・小林書店・小林偉査史

今日も早朝3時と4時に電話のベルでたたき起こされる。最初は展望社さん、次は何社か請け負って営業をやっている横浜プレスさん。日曜日の早朝に、どんなに腹立たしいことか。
発信者はコンピューターでセットして流しているのでぐっすり眠っているに相違ないと思う。私ども零細書店は1本の電話で店、居間、その他の部屋を繋ぎ、FAXと共有で、ベルが鳴ると起き、電話かFAXかを確かめ切替えるのです。先日も早朝4時頃英治出版さんからのFAXに起こされて腹が立ち、早々に抗議のFAXを送り返しましたら、社長から丁寧なるお手紙と商品券が送られてきてかえって恐縮してしまいました。
FAXで情報をいただくのは有り難いことなのですが、私どもに関係のない大型書店向きのものであったりします。ちょっと言いにくいのですが取次さんからも2メートルに近い情報を流してくれる時もあります。FAX用紙がみるみるなくなっていくのを見ると、用紙屋さんと電話屋さんが儲かり、売り上げの悪い中、FAX用紙は1本いくらかとけちくさい考えをおこしたりしております。何か効率の良い情報を流す方法を、小売店も交えて考えていきたいなあと思っています。夜中にFAXを流す版元さん、零細書店のことを考えてください。

声/TRCと日教販の合併に断固反対/松戸市・学友堂・村田正喜

TRCと日教販が合併するという記事を目にして、正直のところ「ふざけるな」と思った。街の書店から見るとTRCそのものがいかがわしく思えるのに、今度は問屋と合併して更なる攻勢を書店にかけてくるつもりだ。
コンビニでの書籍の販売、ネットによる通販、ポイントカード、TRCの市場乱入と、中小書店の経営を無視した行いが、街の本屋を疲弊させ、閉店を余儀なくさせてきた。街から本屋が消えることが何の衒いもなく進められてきたのである。勤めの帰りに書店に立ち寄る、日曜日散歩がてらに書店に足を運ぶ、こうした楽しみを失って本当にいいのだろうか。
読書は、日本の文化を、国民生活を支えてきた。学校で学んだ後は、その何倍もの時間、個人勉強の期間が続く。小説から週刊誌、月刊誌、専門書、参考書、辞典、コミック、趣味の本等々がそのお役に立ってきた。街の本屋はこの使命を果たす役割を担ってきた。だが、今そのプライドはずたずたにされている。出版の活性化を必死に支えている時、後ろから鉄砲玉が飛んでくるのだから。TRCは万引きの怖さがない。手間隙かけて1軒1軒注文をとり、配達するコストもかからない。良いとこ取りの商売である。今度は取次が直接納入する仕組みを企んでいる。
全国の書店人よ、さあ、立ち上がろう!これ以上の我慢は明日の倒産を待つだけだ。文化を届ける商売に「安かろう、悪かろう」の過当競争はなじまないのだ。再販制度が維持されているのもここに意味があるのだから。

本部長に高野専務/SCM推進本部を新設/トーハン

トーハンは4月13日付で、平成16年度の機構改革と人事異動を発令した。
今年6月着工する桶川計画をにらみSCM推進本部を新設(高野仁専務が本部長を担当)、桶川計画推進室を移管した。さらに、7年連続前年割れの状況に歯止めをかけ、増売・返品減少の効果を極大化するため、営業本部を大幅拡充。書籍MD部と開発営業部を新設した。配本機能を仕入から営業部門に移し、取引先業態別の個店管理を徹底する。
トーハン役員人事
委嘱=SCM推進本部長、解=営業副本部長、仕入・商品・マルチメディア部門担当委嘱
専務高野仁
委嘱=SCM推進副本部長、SCM推進部長、解=ロジスティックス部長委嘱
上席執行役員池田禮
委嘱=図書館営業部長、解=CRM営業推進部長委嘱
上席執行役員正能康成
委嘱=首都圏営業部長、解=首都圏支社長委嘱
上席執行役員山﨑厚男
委嘱=営業副本部長、解=近畿支社長委嘱
執行役員阿部好美
委嘱=取引部長、解=書店経営推進部長委嘱
執行役員小倉俊一委嘱=近畿営業部長、解=改革推進部長
執行役員近藤敏貴
委嘱=改革推進部長、解=首都圏支社GM委嘱
執行役員石井孝文
委嘱=東部営業部長、解=雑誌営業部長兼コミック営業部長委嘱
執行役員野辺忠史
委嘱=名古屋営業部長、解=名古屋支社長委嘱
執行役員佐久間英雄
委嘱=中国四国営業部長、解=中国四国支社長委嘱
執行役員石原篤
委嘱=中部営業部長、解=中部支社長
執行役員清水美成
委嘱=九州営業部長、解=九州支社長委嘱
執行役員高倉龍則
委嘱=雑誌部長兼コミック部長、解=東部支社長委嘱
執行役員佐藤俊之

月刊『BOAO』9月7日に創刊/マガジンハウス

『anan』を卒業した27歳から35歳の働く女性向けキャリア・ファッション・マガジン『BOAO』が9月7日にマガジンハウスから創刊される。誌名はA、B、O、ABの4つの血液型を組み合わせたもの。ファッション、ビューティー、スターを3本柱に、競合の激しいカジュアルで実用的な女性総合誌分野に進出する。A4変型L判無線綴じ、毎月7日発売、予価680円。
4月14日、マガジンハウスで行われた販売会社向け創刊発表会で石﨑孟社長は「当社は来年10月で創業60周年。前半は『平凡』に代表される大衆娯楽雑誌、後半は『anan』などライフスタイル雑誌を出してきた。いつの間にか普通の感覚から離れた。素直な楽しい雑誌に戻りたい。雑誌を作る人間の微妙な感覚が時代にマッチした雑誌を生む。ご期待いただきたい」とあいさつ。
吉田高営業担当取締役は「『BOAO』は競合の厳しいジャンルへの参入。発売が待ち遠しい雑誌に仕上げたい」とし、鉄尾周一編集長は「ラッキー&ハッピーをキイワードにコンテンポラリーな雑誌にしたい」と意欲を語った。
久我英二営業局長は「発行は20万台半ばを想定。サポーターとしてボアオ・ブレーン10万人を組織するほか、携帯電話への情報発信、東京・京都・大阪で70スクリーンを利用したシネアドなどに露出する宣伝計画を考えている」と説明した。

北方氏の受賞祝う/吉川英治文学賞

吉川英治国民文化振興会が主催する吉川英治賞3賞の贈呈式が4月9日、帝国ホテルで開催された。
今回の受賞者は第38回吉川英治文学賞に北方謙三氏『楊家将』(PHP研究所)、第25回吉川英治文学新人賞に伊坂幸太郎氏『アヒルと鴨のコインロッカー』(東京創元社)、垣根涼介氏『ワイルド・ソウル』(幻冬舎)、第38回吉川英治文化賞に岩渕文雄氏、荻巣樹徳氏、沖縄戦記録フィルム一フィート運動の会、内藤裕史氏、中本ムツ子氏。
贈呈式では野間理事長から賞が贈呈され、選考委員の渡辺淳一、林真理子、秋山ちえ子各氏が選評。渡辺氏は北方氏の『楊家将』について「10世紀の中国が舞台。これまで小説でほとんど扱わなかった時代に分け入ったことに感心した。大きな歴史のうねりを的確に書き込み、北方節が完成した感がある」と述べた。

人事

(◎昇任、○新任)
◇東京大学出版会
常務理事・総務局長・経理部長兼任(営業局長)
◎山口雅己
出版局長兼出版部長(総務局長兼経理部長)
○長坂正幸
営業局長兼顧客情報室準備室長(出版局長兼出版部長)○高橋朋彦
営業局販売部部長・流通管理担当(販売部員)◎吉田健司
◇毎日新聞社
出版営業部副部長(販売促進リーダー)山下智通
◇文藝春秋
営業局長(同兼書籍営業部長兼受注促進部長)
名女川勝彦
書籍営業部長(営業推進部長)濱宏行
営業推進部長(文庫・新書営業部統括次長)
◎勝野聡
雑誌営業部統括次長(書籍営業部統括次長)山本喜由
経理部統括次長(雑誌営業部統括次長)中部吉志人
書籍営業部次長(雑誌営業部次長)佐藤潔
雑誌営業部次長◎小川直美
同◎大石正輝

本屋のうちそと

長年店に通い続けてくれたお客さんが、ある日ぷっつりと来なくなることがある。小さな町のことなので、追いかけるように聞こえてくる噂によって消息を知ることになる。
Hさんは転勤が縁でこの町に住みつき、子供たちが巣立った後も夫婦ふたりきりの生活を送っていた。読書が何より趣味で、小店の馴染み客の一人であったが、3年前に倒れ、入退院を繰り返し、ついに帰らぬ人となった。
焼香に伺った時はようやく落ち着いた頃で、仏間はきちんと整理され、壁面の本棚にはギッシリ本が並んでいた。奥さんが本に向かって「本屋さんが来てくれたよ」と語りかけた。真新しい位牌よりも、半世紀にもわたり集められた蔵書の中に、故人の魂をみているのだろう。
何年か前、亡父の本を処分したいので古本屋を紹介してほしいという相談を受けたことがある。当てつけがましさを感じながらも、無視するわけにもいかず出向いてみると、立派な邸宅の隣のこれまた立派な納屋の2階にひっそりと本棚が置かれていた。お金が目当てでもなさそうなので、「本さは読んだ人の魂が宿っているんだはげ、これ位の冊数だらせめて次の代まで、おやじさんのかだみにとっておいたら」と言って帰ってきた。
主を失った本には、家族によって大切にされる「幸せな本」と、ゴミのように扱われる「不幸な本」があるようだ。小店で売る本は将来とも「幸せな本」でいてほしい。
(どんこ水)

『博士の愛した数式』書店員の投票で第1回本屋大賞

「全国書店員が選んだいちばん売りたい本本屋大賞」の第1回受賞作に『博士の愛した数式』(小川洋子著・新潮社)が選ばれ、15日、日本出版クラブ会館で授賞式が行われた。
本屋大賞は昨年9月、「本の雑誌」とWEB本の雑誌で告知を行い、パート、アルバイトを含む現役書店員238店、299名がエントリー。1次投票として2002年12月から1年間に発行された日本の小説3作品を投票してもらい、上位10作を候補作に選定。その中から改めて3作を推薦理由とともに投票して大賞を決定した。
表彰式で浜本茂世話人(本の雑誌社)は「既存の文学賞に対する不満と、長引く不況に何かできないか、書店員のつくる賞をと実行委員会を発足させた。現役書店員が仕事を終えてから会議を重ねて告知や投票の方法を考えた。目標は出版業界の活性化。もっともっと面白い本を読んでもらうため、回を重ねていきたい」とあいさつ。
フリーライター・永江朗氏は「新刊が何か月も店頭に置かれることは少ないが、これは残したいという書店員の判断がジワジワ拡がり、本屋発のベストセラーが増えてきた。プロの目利きが選んだ賞として権威がある」と、大賞の意義を高く評価した。
オリオン書房・白川浩介氏から記念トロフィーと図書カード10万円を手渡された小川氏は「自分の作品が読者に届いているのか不安を感じていたが、1枚1枚の手書きPOPを見て、背中を押されている感じがした。小説を書く元気が出た」とスピーチした。
「本屋大賞2004」はベスト10と書店員の選評などをまとめ「本の雑誌」増刊号として発売中。定価500円。