全国書店新聞
             

平成30年10月1日号

過去最多128社が出展/168書店296名が来場/九州選書市

今回で7回目を数える「九州選書市2018」(主催=福岡県書店商業組合、共催=佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島各県書店商業組合)が9月11日に福岡市中央区の電気ビル共創館みらいホールで開催され、過去最多の128社が出展した。
選書市は3階会場に地元出版社7ブースと児童書出版社23ブース、4階会場に98ブースの2会場に分かれて開催され、それぞれ活発な商談が行われた。前週の台風21号と西日本豪雨の影響により、2日分の発売が選書市当日に重なるという参加者にとってタイトなスケジュールとなったが、168書店・296名が来場した。
開催にあたっては、前回同様、トーハン会・日販会の全面的な協力のもと、選書市当日に九州トーハン会、翌日に九州日販会の総会開催という日程を組むことができた。また、トーハン・日販・大阪屋栗田・日教販の各取次から準備・企画・運営の全ての段階でサポートをもらい、天龍・テジマの両運輸の協力により「開催案内状」「出展出版社紹介小冊子」を九州各県及び山口県の全書店に配送した。
開催に先立ち行われた開会セレモニーで、福岡県書店商業組合の安永寛理事長(金修堂書店)は「今日は出展社の皆様の営業力を思い切り発揮していただきたい。じっと待っているだけでは売れず、私の先輩が以前、『座ってだめなら立って売れ。立って売れなきゃ走って売れ』と話していた。皆様も、会場内を自由に歩き回ってどんどん書店と商談してほしい。今回は128社に出展いただいた。来年はもっとブースを増やせるように工夫するので、ぜひ来年も出展してほしい」とあいさつした。
選書市は午前10時にスタートし、別会場では「絵本読み聞かせ」「POP作成講座」のイベントも開催された。午後になると来場者はさらに増え、大盛況のうちに午後4時に幕を閉じた。また会場では、新たに制定された「11月1日は本の日」の活動の一環として案内チラシを出版社・来場者に配布し、周知を図った。(加来晋也広報委員)

第5回北海道書店大商談会/商談成立金額1993万円/北海道ゆかりの本大賞は『がいなもん松浦武四郎一代』に

第5回「北海道書店大商談会」(同実行委員会主催)が9月4日、札幌市の札幌パークホテルで開催され、出版社、第三商材メーカー等111社・111ブース(昨年115社・115ブース)が出展。来場書店数は203名(同219名)となった。商談成立件数は951件(同1016件)、商談成立金額は1993万5808円(同2162万3404円)で前年比7・8%減だった。
商談会の開会に先立ち中尾邦幸実行委員長(マル五中尾書店)は、「これ以上北海道の書店、街の本屋を減らすことはできない。これから待ち受ける数々の試練に立ち向かうために、関係各位と力を合わせ、勇気とエネルギーをこの商談会から発信したい」とあいさつ。続いて北海道書店商業組合・志賀健一理事長(ジュンク堂書店旭川店)のあいさつの後、来賓として駆けつけた書店大商談会・矢幡秀治実行委員長(真光書店)の紹介があり、開会となった。
物語の舞台や著者など北海道にゆかりのある本の中から魅力的な本を選び、拡販を通じて店頭活性化につなげる「北海道ゆかりの本大賞」は今年で3回目の実施。今回は「北海道ゆかりの本大賞」をジャンル不問とし、「北海道ゆかりの絵本大賞」を新設した。
「北海道ゆかりの本大賞」選出委員会は、「1万円選書」で知られる岩田徹氏(いわた書店)が委員長を務め、当日の来場書店の投票で大賞を決定。「第3回北海道ゆかりの本大賞」は、「北海道」の名付け親として知られている松浦武四郎の生涯を描いた河治和香氏の『がいなもん松浦武四郎一代』(小学館)、「第1回北海道ゆかりの絵本大賞」は、旭川市在住の絵本作家・あべ弘士氏の『クマと少年』(ブロンズ新社)が選ばれた。
授賞式で小学館パブリッシング・サービスの前原富士夫取締役は「自社の本というだけでなく、松浦武四郎が今後ますますスポットを浴びていくと大変ありがたい」、ブロンズ新社営業部・佐藤健二部長は「これをきっかけに色々な方に本を届けたい。大事に長く売っていきたい」と受賞の喜びを語った。
会場では各ブースで熱心に商談が行われたほか、実務担当者向けワークショップとしてラッピングやPOP講座を開催。JPIC読書アドバイザーによる「読み聞かせ講習会」も開かれた。
商談会に来場した書店からは「知らない書籍を知ることができて楽しかった」「本のジャンルの裾野が広がり、発注に活かせる機会になった」との意見が寄せられた。出版社からは「昨年以上に書店からの問い合わせやブース訪問があった」「これまで訪問できなかった書店の担当者と会うことができた」などの声が聞かれた。

10月28日に出版産業シンポジウムin東京/本の学校

本の学校は、「本の学校出版産業シンポジウム2018in東京」を10月28日午後0時半~5時40分、東京・千代田区の専修大学神田キャンパスで開催する。日書連ほか協賛。
今回は、「神保町で本の〝いま〟を語ろう」をテーマに、特別フォーラム「『著者』と『本』と『読者』にとって、必要なこと、必要ではないこと」と4つの分科会を行う。

「読書週間」10月27日から/日書連は「書店くじ」実施

恒例の秋の行事、第72回「読書週間」(読書推進運動協議会主催)が10月27日から11月9日まで開催される。
今回のポスターのイラストは、さとうみすずさんの作品。標語は沢田真紀さんの「ホッと一息本と一息」が選ばれた。
また、日書連では読書週間に合わせて「読書週間書店くじ」を実施するにあたり、店頭掲示用ポスターを作成した。ポスターは日書連ホームページ(http://www.n-shoten.jp/)からファイルをダウンロードして印刷する。
※書店くじの申し込みは8月20日で締め切っています。締切日以降の申し込みはできません。

来年も5月3日から開催予定/上野の森親子ブックフェスタ報告会

「上野の森親子ブックフェスタ2018」の報告会が8月30日、東京・新宿区の日本出版会館で開かれ、今年度の事業報告・決算報告と次年度開催概要の説明が行われた。
「上野の森親子ブックフェスタ」は5月3日~5日に東京・台東区の上野恩賜公園中央噴水池広場や周辺施設で開催。「上野の森親子フェスタ」から名称を変更し、「ブック」を加えることで読書推進運動のフェアとしての位置づけを明確にした。
中央噴水池広場で行われた「子どもブックフェスティバル」には、児童書版元75社が出展して絵本や児童書を読者謝恩価格で販売。作家のサイン会や、読者交流イベント、協賛社によるデモンストレーションなど多彩な催しが行われた。3日間の来場者は約3万人で、売上は合計約3956万円にのぼった。また、東京都美術館や国立国会図書館国際こども図書館で講演会が行われ、合計900人が入場した。
事業収入は、出展料、協賛・協力金、書籍収益金、主催者拠出金など、合計約1301万円。支出は、設営・運営関係委託費、施設使用料、運営費など、合計約1224万円で、収支差額は約77万円。これに前年度繰越金を合わせた約323万円を荒天対策準備金として積み立てる。
来年度の「上野の森親子ブックフェスタ」は今年と同様、5月3日~5日、上野恩賜公園で開催予定。出展料は主催各団体会員社10万円、非会員社10万5千円(ともに税込)。19年1月中旬に出展者を募集、2月中旬に募集を締切り、3月中旬に出展者説明会を開催する予定。
報告会の冒頭で、6月に逝去した同フェスタの小峰紀雄運営委員長(小峰書店)に黙祷を捧げた。主催団体を代表してあいさつした日本児童図書出版協会の竹下晴信会長は、「フェスタは、作家の先生方、印刷・製本や物流会社も加わり、子どもの本を総合的にとらえる催しとして、着実に輪を広げている。最終的には、書店に子どもたちが足を運び、自分で本を見つけて買って読むということを願っている。書店にも声掛けをしてそういう方向に持っていければと考えている」と述べた。

書店経営環境改善の取り組みで議論/大阪理事会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は9月8日、大阪市北区の書店組合会議室で定例理事会を開催した。
庶務報告では、10月3日開催の近畿ブロック「シンポジウム」について報告した。面屋理事長からは重要議題として、日書連「書店経営環境改善実務者会議」に向けた正副委員長会議を8月24日に実施したことや、これまでの「実務者会議」の概要を説明して議論した。
各委員会の主な審議・報告事項は以下の通り。
[読書推進委員会]
9月3日に「本の帯創作コンクール」の作品応募を締切り、表彰式に出席する理事の確認を行った。
[出版販売倫理・共同受注委員会]
9月10日に大阪青少年環境問題協議会(環問協)少年非行防止第1部会が大阪府夕陽丘庁舎で開かれ、藤田委員長が出席すると報告。10月18日開催の環問協「理事研修会・親睦会」は、冨士原氏に出席を依頼することとした。
守口市青少年保護審査会委員は、一九書店・兼広氏の廃業と任期満了により、深田副理事長を推薦することにした。
[事業・増売委員会]
販売用カレンダーと小学館世界地図カレンダーの受注状況を説明した。
[広報・HP委員会]
9月19日に東京で開催する日書連「全国広報委員会議」に東委員長が出席すると報告した。
[図書館・情報化委員会]
8月3日に自民党高野市会議員に学校図書館について現状を説明したことを報告。また、9月11日開催の自民党大阪市会議員団「学校図書館問題勉強会」に出席し現状を説明すると報告した。
[レディース委員会]
7月18日に開催したレディースランチは、35名が参加し大盛況だったと報告した。(石尾義彦事務局長)

SJ図書カードの販売促進/児童書セットの積極展開図る/富山総会

富山県書店商業組合は8月29日、富山市電気ビルで平成30年度通常総会を開催し、組合員30名(委任状含む)が出席した。
総会は丸田茂理事長を議長に議案審議し、第31期事業報告、収支決算、第32期事業計画案、収支予算案など全ての議案を原案通り可決承認した。第32期事業計画では、以下の4事業に取り組む。
①サン・ジョルディの日の推進企画として、組合員の販売促進のためにオリジナル図書カードの作成・販売を実施する。実施時期を1ヵ月早めて新学期プレゼント用として利用促進を図る。現在は、立山とみくりが池、朝日町舟川の桜、城端の桜、氷見の桜、黒部の桜、秋の立山の6種類の図柄を作成している。
②出版文化産業振興財団の読書推進事業と連携して講演会等の読書推進イベントを企画・実施する。
③日本児童図書出版協会加盟社が刊行した選りすぐりの223点223冊、2018年度「心にのこる子どもの本秋・冬セール」のセットを積極的に展開していく。
④日書連や出版物小売業公正取引協議会に出席し、意見具申を行う。
(澁谷英史広報委員)

「春夏秋冬本屋です」/「―先祖の足跡をたどって―『初代生誕150年展』を開催」/東京・山陽堂書店取締役・遠山秀子

高3の夏、「わが家の祖先とその歴史」を書くという宿題が出て、先祖に興味をもつきっかけができました。
祖母や伯母によれば、岡山で江戸時代から明治の前半まで紙や畳表などを扱う商売をし、その後16歳で両親・祖父母を亡くした山陽堂初代が上京、芝・京橋で新聞売捌業に携わった後、青山で本屋をはじめたとのこと。
私は子育てがひと段落した頃、岡山の先祖のことを無性に知りたくなり、インターネットの助けを借りて手探りで調べ始めました。岡山から取寄せた初代の除籍簿には思いがけないヒントもあり、二女を連れ岡山を訪ねました。岡山県立図書館で、資料の中に先祖の屋号を見つけた時のことは忘れません。「やっぱり岡山で商売してた!」鳥肌が立ちました。今から約240年前には岡山城下で『諸問屋』を商い、「最近問屋を介さず直取引をするところがあって困る」と問屋頭に連名で訴えている資料も見つかりました。
この秋ささやかな「初代生誕150年展」を開催しますが、これも岡山の書店さんをはじめたくさんの方のお力添えのおかげです。
冒頭の宿題ですが、先生が「私も小中高生のころ『山陽堂』で本を買ったことがあるので懐かしく読みました」と一言添えてあり、話を聞いた伯母(大正12年生)と同級生だったこともわかりました。
今後も調べることを続けたいと思っています。

「消費税軽減税率講習会」開く/滋賀県組合第35回通常総会

滋賀県書店商業組合は8月21日午後3時より守山市のライズヴィル都賀山で第35回通常総会を開催、組合員43名(委任状含む)が出席した。
総会は司会の川瀬浩太郎理事の開会宣言で始まり、吉田徳一郎理事長があいさつを行った。来賓紹介に続き、山田康義副理事長(山田耕雲堂)を議長に選出して議案を審議。平成29年度事業報告、収支決算報告、平成30年度事業計画、収支予算などの議案を原案通り可決承認した。その後、来賓を代表して、滋賀県中小企業団体中央会・中嶋和繁総務課長より祝辞があり、総会を終えた。
引き続き、税理士の小川宗彦氏を講師に迎え、「消費税軽減税率講習会」と題して講演会を開催。来年に予定される消費税増税、軽減税率の適用についての説明や、今後の書店経営についての具体的な話を、質疑応答を交えながら聴講した。
講演会終了後、懇親会会場に移動し、京都新聞社「第47回お話を絵にするコンクール」の表彰式を開催。続いて、県中央会、出版輸送会社、取次、出版社等を交えて懇親会を行い、親交を深めた。
(川瀬浩太郎広報委員)

店頭試し読みサービス「ためほんくん」2019年3月末で終了/JPO

日本出版インフラセンター(JPO)は、店頭試し読みサービス「ためほんくん」のコンテンツ配信を2019年3月31日で終了すると発表した。
「ためほんくん」は、書店店頭での集客や増売を目的に展開していた、タッチパネル方式のパソコンによる試し読みサービス。日書連がコミックの店頭試し読みシステムとして11年1月に本稼働を開始し、13年10月に運営をJPOに事業移管。15年には新たに絵本版配信を加えるなど、サービス拡充が図られていた。
今回の配信終了についてJPOは「社会環境の変化に伴い、様々なサイトで試し読みが可能になっていることや読者側の閲覧用のデバイスがスマホやタブレット端末に移りつつある等、現状の形態での提供が困難となってきたため」と説明している。

組織改編を審議/JPO理事会

日本出版インフラセンターは9月11日、東京・新宿区の日本出版会館で定例理事会を開き、組織改編について審議。運営委員会の下にある中古図書販売研究委員会、ビジネスモデル研究委員会について、役割を終えたとして廃止を承認した。ビジネスモデル研究委員会が行っていた、ビジネスモデルの特許申請の調査については、JPO事務局が機能を引き継ぐ。
また、その他の組織について、フューチャー・ブックストア・フォーラムは最近活動を行っていないこと、活字文化議員連盟・「全国書誌」実務者会議は、国立国会図書館と出版情報登録センター(JPRO)が連携を強化し、近刊情報を全国の公立図書館に提供する機能が大幅に改善されたことで役割を果たしたとして、両組織とも廃止することを承認した。

くすみ書房・久住邦晴氏の遺稿が本に/ミシマ社から

ユニークな企画で話題を集めた札幌の「くすみ書房」店主で、昨年8月に66歳で亡くなった久住邦晴氏の遺稿をもとに再編集した『奇跡の本屋をつくりたいくすみ書房のオヤジが残したもの』が、ミシマ社から出版された。四六判変形・208ページ、本体1500円。
久住氏は2007年から13年まで日書連理事、北海道書店商業組合理事長に就任。くすみ書房では「なぜだ!?売れない文庫フェア」などユニークな企画を次々と仕掛け、「本屋のオヤジのおせっかい『中学生はこれを読め!』」は北海道をはじめ全国の組合でも開催されたが、15年に多くの人に惜しまれながらも閉店した。同書は、久住氏が16年春に病を告知された後、書き溜めた原稿を元に構成。名物フェアの生まれた背景などが記され、再起を期して新たな本屋を作ろうとした熱い思いがつづられている。

7月期販売額3・4%減/月刊誌は16年12月期以来のプラス/出版科研調べ

出版科学研究所調べの7月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比3・4%減だった。
部門別では書籍が同6・0%減、雑誌は同0・8%減。雑誌の内訳は、月刊誌が同0・6%増、週刊誌が同6・2%減で、月刊誌が前年比プラスになったのは16年12月期以来のこと。前年同月が17・1%減と大幅に減少していたことに加え、当月はコミックスやムックの返品が大きく改善されたことが影響した。
書店店頭の売上は、記録的な猛暑と豪雨の影響もあって低調で、書籍が同約6%減。その中で、文芸書は池井戸潤の新刊『下町ロケットゴースト』(小学館)の発売が影響し前年並みとなった。雑誌は、定期誌が約8%減、ムックが約3%減、コミックスが約1%減。コミックスは『SLAMDUNK新装再編版』(集英社)の第7~10巻やジャンプコミックスの人気作が売上を牽引した。

「孫の日」キャンペーンを展開/推薦図書の拡販に取り組む/愛知組合

愛知県書店商業組合(春井宏之理事長)は、10月21日の「孫の日」を中心とした読書推進キャンペーンを9月17日の「敬老の日」から「孫の日」を挟み11月9日の「読書週間」終了までの期間で展開している。
同キャンペーンは、10月第3日曜日の「孫の日」におじいさん、おばあさんがお孫さんに本を贈ることで交流を深めてもらうと同時に、お孫さんが本に親しむきっかけづくりになればと実施するもので、協賛出版社の推薦図書12点を店頭や外販で販促する。
参加書店には、「孫の日」読書推進運動販促ツールとして、店頭掲示用のA2ポスター、協賛出版社推薦図書12点リスト&注文書、出版社提供の拡材各種と孫の日おすすめチラシを送付している。
〔2018「孫の日」推薦図書〕
▽いっさいはん/minchi/岩崎書店▽大人になってこまらないマンガで身につく自分コントロール/菅原洋平=監修、大野直人=マンガイラスト/金の星社▽くろくんとちいさいしろくん/なかやみわ/童心社▽きのうをみつけたい!/アリソン・ジェイ=作・絵、蜂飼耳=訳/徳間書店▽まんが将棋入門/羽生善治=監修/くもん出版▽てのりにんじゃ/山田マチ=作、北村裕花=絵/ひさかたチャイルド▽NEWウォーリーをさがせ!/マーティン・ハンドフォード=作・絵/フレーベル館▽学習まんが少年少女日本の歴史22巻平成の30年/森本一樹=まんが、金谷俊一郎=解説/小学館▽おべんとうしろくま/柴田ケイコ=作・絵/PHP研究所▽続・こころのふしぎなぜ?どうして?/村山哲哉=監修/高橋書店▽はじめての世界名作えほんえほんのおうちセット(全30巻)/ポプラ社編/ポプラ社▽恐竜トリケラトプスはじめてのたたかい/黒川みつひろ/小峰書店

12月4日にしぞ~か本の日!書店大商談会/静岡書店大賞授賞式も開催

静岡県で取次の垣根を越えた書店大商談会「第3回しぞ~か本の日!書店大商談会・静岡書店大賞授賞式・懇親会」が12月4日(火)に静岡市葵区のグランディエールブケトーカイ4階で開催される。
当日は3部構成とし、第1部書店大商談会を午後1時~4時半に開催する。主催は「静岡書店大商談会」実行委員会(実行委員長=江﨑直利・静岡県書店商業組合理事長)。協賛は静岡県書店商業組合、静岡書店大賞事務局、静岡トーハン会、静岡日販会、東海地区OaK友の会、静岡県中央会。後援は日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本書店商業組合連合会、出版文化産業振興財団(JPIC)、静岡新聞社・静岡放送、静岡教科書。協力はトーハン静岡支店、日販静岡支店、大阪屋栗田静岡支店、中央社。
第2部は「静岡書店大賞授賞式」を午後5時~6時に開催。第7回を迎える同賞は、静岡県内の新刊書店員と図書館員、学校図書館に携わる人が投票権を有し、県民に最も読んでもらいたい本を選ぶもの。対象となるのは昨年9月から今年8月までの1年間に刊行された日本の小説、日本の文庫(テーマ=映像化してほしい文庫)、日本の児童書(絵本・童話)。児童書は新作部門とロングセラー部門を併設し、翻訳ものも含む。ロングセラー部門は対象期間の適用外とするほか、図書館員だけの投票で決定する。
投票者は各ジャンル3作品を選び、順位をつけて推薦理由(推薦理由は1位のみ)とともに投票。1位3点、2位2点、3位1点の得点として、各ジャンルで獲得点数が最も多かった本が大賞となる。発表は授賞式の中で行われる。
第3部は合同懇親会を午後6時15分~7時45分に開催する。

「ヒビヤ・セントラル・マーケット」で目指すもの/有隣堂・松信健太郎専務が講演

第86回東京インターナショナル・ギフト・ショーが9月4~7日、東京・江東区の東京ビッグサイトで開催。5日のセミナーで、有隣堂・松信健太郎専務は「居酒屋、理髪店、雑貨店などの新複合業態HIBIYACENTRALMARKET(ヒビヤ・セントラル・マーケット)で目指すもの」をテーマに講演した。東京ミッドタウン日比谷に出店したヒビヤ・セントラル・マーケットは、有隣堂とクリエイティヴ・ディレクターの南貴之氏がタッグを組んで作った、眼鏡、アパレル、雑貨、服飾、理容室、居酒屋、コーヒースタンド、文具、イベントスペースの複合店舗。松信専務の講演の概要を紹介する。
〔書籍を売って得た信用力で他のモノ・コトを売る〕
出版業界の売上げは1996年の2兆6564億円をピークに2016年は1兆7009億円と、四半世紀かけておよそ半減した。このままのペースで市場のシュリンクが続いた場合、雑誌は2033年、書籍は2062年になくなる。
雑誌は特に厳しい。背景にはスマートフォンとSNSの台頭がある。日本でも2008年にツイッター、2014年にインスタグラムのサービスが始まり、今までお金を払って買っていた雑誌の情報が無料で手に入れられるようになった。
これまでの出版業界は、編集者や著者がコンテンツを作ったとき、アウトプットの手段は雑誌だった。コンテンツの中身を知るためには、お金を払い、雑誌を買わなければならなかった。ところが、今はアウトプットの手段が多様化し、雑誌はその1つになってしまっている。出版社は雑誌の周りのデジタルの部分をマネタイズして何とかやっている。取次は、雑誌の売上が減って取次業だけでは食べていくことができないところまで来てしまった、と言っている。書店は依然として雑誌売場を広く取り、減ってしまったパイを奪い合い、雑誌はもう終わりだという話をしている。書籍・雑誌だけでは利益が出ないから、複合化して何とかしのいでいる状況だ。
書店の売場は雑誌、コミック、文庫・新書が支えてきた。そこが急激に落ち込んでいる。有隣堂では、5年間で雑誌は17%、コミックは2割、文庫・新書も2割落ちている。売上占有率の高い3ジャンルが軒並み落ち込めば、うまくいくはずがない。
社会は急激なスピードで変化している。変革というレベルの改革では対応できないほどの変化が起こっている。従来の延長線上の組織や意思決定では企業として存続し得ない。このままでは出版業界の未来はない。
有隣堂は神奈川県を中心に首都圏で書店36店舗を展開しているが、会社を存続させるためには、全店舗でちょっと手を入れるというレベルではない革命的な変革が必要と考えている。
では何をやればいいかというと、結局のところ何が正解かは分からない。しかし、だからといって何もやらないわけではない。6~7割行けるのではないかという仮説を立てたら、まずはやってしまう、そして何としても成功モデルに育てるというスタンスで、ヒビヤ・セントラル・マーケットも出店した。
2つの方向性を考えている。1つは、書籍を売ってきた信用力で、書籍以外のモノ・コトを売っていくこと。文化や知の礎を支えてきたという信用力があるから、三井不動産が手掛ける商業施設への出店という新しい挑戦が許されたのだと思う。2つ目は、110年やってきた本屋であること。新しいことを色々やるけれども、本屋としても生き残っていきたい。しかし、書籍だけで食べていくのは厳しいので、書籍以外のモノ・コトの力を借りて本を売り続けたい。
既存店をしっかりやるとともに、新しいビジネスモデル、新しい店、本屋でないような店を作っていくことも考えなければいけない。流通改革にも1人のプレーヤーとして積極的にトライしていかなければいけないと考えている。
今、有隣堂が目指しているのは「STAYUNIQUE(単一であれ)」「TRYTOBETHEDESTINATION(目的地になれ)」ということ。私たちにしかできないものを提供し、その積み重ねでお客様の目的地になる、そういう店を作るようにとスタッフにも言っている。これを愚直に続けていくことが生き残る道だと思っている。
〔売りたいものを自ら売る意識/アパレル、雑貨の販売手法に学ぶ〕
もう書籍だ、文具だ、既存事業だと言っていられる状況ではない。一度、「振り切った店」をやってみようと思い始めていたところに、三井不動産から「面白いことをやってみませんか」と東京ミッドタウン日比谷の話をいただいた。その時、最初に提案したのは「本屋」だった。私たちの発想だとどうしても書籍が中心になる。書籍以外のものも随所にちりばめられているけれど、どうしても「本屋にとって新しい」という域を出ない。そういう提案をする能力しか私たちにはなかった。
これでは駄目だと思い、三井不動産の紹介でアルファ代表の南貴之さんと会い、ディレクションを任せせることにした。
初めて会った日に一緒にやろうと決めた。南さんが言ったのは、「面白い店というのは、今までにない店。松信さんはどんな店を作るのかと聞くけれど、いま僕の頭の中にしかないから説明できない」。人を食ったような話だが、「STAYUNIQUE」を実現できない自分に苛立っていたので、そうだよねと思ってしまった。
南さんに全体のディレクションをお願いし、日比谷の260坪で世界観を表現してもらう。有隣堂は口を出さずにしっかり運営することで、南さんの世界観を実現する。そうしなければ振り切った店はできないと考えた。
南さんが作ったのは、眼鏡、アパレル、雑貨、服飾、理容室、居酒屋、コーヒースタンド、文具、イベントスペースの複合店舗。南さんが全体の方向性を決め、いくつかの店には南さんが選んだサブコンサルタントに入っていただいている。店舗全体の売上げは順調に推移している。
ヒビヤ・セントラル・マーケットに対して本屋という意識は持っていなかった。南さんにも「本はなくても構わない」ということでオファーを出した。しかし、南さんは「やはり本は重要だから」と10本の書棚を配置して、私を含めてこのプロジェクトに関わった10人がそれぞれ選書した本を置いている。
メディア戦略の大切さも分かった。今回、メディア露出を積極的に仕掛けたが、いちばん大きかったのは「ガイアの夜明け」に出たこと。160日間にわたって密着取材してもらい、5月8日に放映された。ツイッターでも2日間で1386件の反響のツイートがあったけれど、ほとんどが私への個人攻撃(笑)。ただ、そのあと実際に何が起こったかというと、番組放映の翌日、私が選書した書棚の本がほとんど売れてしまい、生まれて初めて若い女性から「握手してください」とも言われた。ネットの世界は言われた者勝ちなのだなと勉強になった。
アパレルや雑貨の販売力を見て、これまでの書店の売り方との違いを強く感じた。書店はお客様が勝手に来てくれるものだと勘違いしている。でも、売りたいものは、売りにいかなければ売れない。商品知識を持ち、それなりの待遇を保障された販売員が、1対1でお客様と対峙して商品説明する。そういうふうに売りにいかなければものは売れないというふうに認識が変わった。アパレルや雑貨の販売員がやっている接客を、不特定多数のお客様が来る書店にどう応用していくかが、既存店に向けられた今後の課題だと思う。
書店は、本を売ってその売買差益をいただく商売をしてきた。これからはPRやプロモーションの場に変わっていくだろう。ヒビヤ・セントラル・マーケットにもその要素はある。
出版業界の方は「有隣堂ブランド」と言ってくださってとてもありがたいが、それも過去の遺物として通用しなくなる。お客様は、そこに自分のプラスになる何かがある、そこにしかないものがあるから店に来てくれるのであって、有隣堂だから、○○書店だから、○○デパートだから来てくれる時代ではなくなる。有隣堂ブランドというものをいい意味で捨てていかないと、今後の商売は厳しくなるだろう。
「STAYUNIQUE」を実現し、イノベーションを起こし続ける。そして、自己変革できる組織、自律分散型の組織を目指すことが、経営者としての私の仕事だと思っている。

第5回料理レシピ本大賞/料理部門『みそ汁はおかずです』(学研プラス)お菓子部門『へたおやつ』(マガジンハウス)

書店員有志を中心に組織する「料理レシピ本大賞inJapan実行委員会」は9月13日、東京・文京区の東京ドームホテルで「第5回料理レシピ本大賞inJapan」受賞作品発表会・授賞式を開催。料理部門大賞と協賛の大日本印刷(DNP)が選考したDNP賞をダブル受賞した瀬尾幸子『みそ汁はおかずです』(学研プラス)、お菓子部門大賞を受賞した白崎裕子『へたおやつ小麦粉を使わない白崎茶会のはじめてのレシピ』(マガジンハウス)をはじめ料理部門、お菓子部門の各賞など計12点を決定し、第1回から同賞アンバサダーを務めるお笑いコンビ「キャイ~ン」の天野ひろゆき氏が賞を贈呈した。
今回は出版社43社・138作品がエントリー。書店員から成る書店選考委員、料理専門家から成る特別選考委員の投票の結果、料理部門11点(大賞・DNP賞1点、入賞6点、絵本賞1点、エッセイ賞1点、コミック賞1点、特別選考委員賞1点)、お菓子部門の大賞1点を選んだ。
授賞式であいさつした加藤勤実行委員長(ブックスタマ)は「本がなかなか売れない中、一番おすすめの料理レシピ本を選び、情報発信し、出版業界を盛り上げて、書店に来る人を増やそうという趣旨で立ち上げた。5年間続けるのは大変だったが、多くの方々のサポートに支えられて、出版業界の中では知られた賞になった。書店は1冊でも多く売ることが使命。この賞を来年以降も続けていきたい」と述べた。
協賛の大日本印刷出版メディア事業部ライツビジネス本部・櫻井康彦本部長は「出版メディア事業は大変厳しい状況だが、一方でコンテンツビジネスは盛況。出版社に近いところにいる我々が、出版社から権利を借りたり協業して、コンテンツを国内外に広めたい。コンテンツの1つとして日本の料理を題材に何かできないかと考えている。日本の文化を皆さんと一緒に世界に発信していきたい」とあいさつした。
食卓の端に追いやられがちな汁物を立派なおかずとして確立させた画期的な1冊『みそ汁はおかずです』で料理部門大賞とDNP賞を受賞した瀬尾幸子氏は、「私はみそ汁がとても好きで、毎日、たくさんの量の具を入れて作っている。みそ汁の偉いところは、どんな具でも、誰が作っても、必ずおいしくできるところ。世の中には料理が上手にできない、つい買って食べてしまうという人が多いので、野菜不足も解消できる。こんな本があればいいなと、いつも自分が作って食べているみそ汁を公開した」とみそ汁の魅力を語り、「たくさんの素晴らしい本の中から大賞をいただけてありがたい。著者と編集者に伝えたい熱いメッセージがあれば、いい本をたくさん作れることが分かって、今日はとてもうれしい」と受賞を喜んだ。
小麦粉、卵、乳製品を一切使わず、特別な道具や材料がなくても誰でも簡単に作れるおやつレシピ『へたおやつ小麦粉を使わない白崎茶会のはじめてレシピ』でお菓子部門大賞を受賞した白崎裕子氏は、お菓子部門で2年連続の大賞受賞。白崎氏は「1つ心残りなことがある」と切り出し、「私が住んでいる家の近くの書店が、知らないうちになくなっていた。いつも私の新刊が出るたびに山積みして、手書きの文化祭のようなPOPを書いてくれた。恥ずかしくてあいさつできなかったが、一度ぐらいお礼を伝えたかった」と語った。そして、「私がこれからできるのは、いいレシピ本を作ることしかない。レシピ本は飽和状態と言われるが、私は『レシピ本はいる』と思っている。小麦粉、卵、乳製品を摂ることができず、生まれてから1回もケーキやプリンを食べたことのない子供が、この本を抱いて寝ているという手紙を読者からいただいた。タブレットやスマホでレシピを見ることはできるけれど、書店から家に持ち帰って、手元に持っておく本は必要。書店で売れるレシピ本を作ることを諦めない。そういうレシピをこだわって作り続けることに勇気を持ちたい」とレシピ本への思いを語り、書店員に感謝の言葉を述べた。
各受賞作品は次の通り。
【料理部門】
▽大賞・DNP賞=『みそ汁はおかずです』(瀬尾幸子、学研プラス)
▽入賞=『レシピ本を見ないで作れるようになりましょう。』(有元葉子、SBクリエイティブ)、『志麻さんのプレミアムな作りおき』(志麻、ダイヤモンド社)、『ちゃんとおぼえたい和食』(吉田麻子、秀和システム)、『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(有賀薫、文響社)、『やみつきバズレシピ』(リュウジ、扶桑社)、『シェフの家呑みおつまみ』(依田隆、秀和システム)
▽絵本賞=『わかったさんのこんがりおやつ』(原文=寺村輝夫、企画・構成・絵=永井郁子、レシピ=さわのめぐみ、あかね書房)
▽エッセイ賞=『もうレシピ本はいらない人生を救う最強の食卓』(稲垣えみ子、マガジンハウス)
▽コミック賞=『たまご定食⑥巻注文のいらないお店』(野崎ふみこ、双葉社)
▽特別選考委員賞=『全196ヵ国おうちで作れる世界のレシピ』(本山尚義、ライツ社)
【お菓子部門】
▽大賞=『へたおやつ小麦粉を使わない白崎茶会のはじめてレシピ』(白崎裕子、マガジンハウス)

春陽堂書店、種田山頭火賞を創設/舞踏家で俳優の麿赤兒氏が受賞

創業140周年を迎える春陽堂書店は、信念を貫いた生き方で多くの人々に感動を与えた文化人・表現者を顕彰する「種田山頭火賞」を創設。舞踏家で俳優の麿赤兒(まろ・あかじ)氏を第1回受賞者に決定し、9月13日、東京・千代田区の山の上ホテルで授賞式を開催した。
春陽堂書店は明治11年創業。明治22年に創刊した雑誌「新小説」から尾崎紅葉『金色夜叉』、泉鏡花『高野聖』、田山花袋『蒲団』、夏目漱石『草枕』などの名作を生み出し、戦後は江戸川乱歩、岡本綺堂、山手樹一郎を中心とした大衆小説を数多く刊行。昭和47年に刊行した『定本山頭火全集』は、当時は無名だった山頭火の存在を世に知らしめ、その後のブームの火付け役になった。
閉塞感のある今の時代こそ、自然に親しみ、酒を愛し、理想を求めて流転の旅に生き、58年の生涯で多数の句を詠んだ漂泊の俳人・山頭火の生き方が脚光を浴びると考え、春陽堂書店が文芸出版社として再興するための第一歩として山頭火の名を冠した賞を創設したという。
選考委員を務めた作家で国文学者の林望氏は「世俗の価値観とは無縁の自由自在、融通無碍な生き方をして、志のままに実績を積み重ねた方を顕彰しようと考えた。麿さんは山頭火賞の出発に最もふさわしい」と受賞理由を説明した。
麿氏は「真っ直ぐ歩くのが嫌で、曲がり曲がり、75年生きてきたが、曲がり角でこの賞に出くわした。身に余るんだか、十字架を背負ったんだか。厳しい罰を与えないとそのまま消えいってしまうだろうと、そういう励ましだと思って、ありがたく十字架を背負って頑張っていく」と話した。

旗手啓介、宮下洋一両氏が受賞/第40回講談社ノンフィクション賞

平成30年度講談社ノンフィクション賞、講談社エッセイ賞、講談社科学出版賞の贈呈式が9月13日、東京・千代田区の如水会館で行われた。
受賞したのは、第40回講談社ノンフィクション賞に旗手啓介氏『告白あるPKO隊員の死・23年目の真実』(講談社)、宮下洋一氏『安楽死を遂げるまで』(小学館)、第34回講談社エッセイ賞にこだま氏『ここは、おしまいの地』(太田出版)、高橋順子氏『夫・車谷長吉』(文藝春秋)、第34回講談社科学出版賞に川端裕人氏『我々はなぜ我々だけなのかアジアから消えた多様な「人類」たち』(講談社)。
贈呈式では、講談社・野間省伸社長があいさつで「講談社ノンフィクション賞は、来年度より戦後を代表するノンフィクション作家である本田靖春さんの名を冠し、『講談社本田靖春ノンフィクション賞』と改称し新たなスタートを切る。エッセイ賞は本年度限りで終了するが、講談社科学出版賞は継続する」と述べ、受賞者に賞状と記念品、副賞を手渡した。
ノンフィクション賞を受賞した旗手氏は「カンボジアでのPKOで、文民警察隊の方々が記録を大切に持っておられた。それをメディアがちゃんと発掘して世に問うていくということの重要性を改めて感じさせてもらった。これからも精進していきたい」、宮下氏は「海外でフリージャーナリストを務める自分自身に疑問を持ち続け、とても不安だった。知識と経験を積めば生活は安定してくるというような甘い世界ではなかった。満足のゆく仕事を全うさえすれば諦めがつくという思いを持ちながら、今回の取材で全力疾走した気がしている」と語った。

「2018こどもの本BF」終了/岡山、京都、札幌、福岡会場とも盛況/トーハン

トーハンは取引先書店と共催で「2018こどもの本ブックフェア」を7~8月に岡山・京都・札幌・福岡の4会場で開催し、盛況裏に終了した。各会場は連日、親子連れの一般読者や保育園・幼稚園・学校関係者・図書館関係者らで賑わい、合計1万6476人、671校が来場した。
会場では、341社の協賛出版社が出品した絵本、読みもの、図鑑、保育・教育書など2万点・5万冊をジャンルごとに展示販売。パネル展示のコーナーでは、「かぞくでよみたいよみきかせ絵本」「第10回MOE絵本屋さん大賞」「自由研究&しらべ学習」「中国・韓国の本」、児童書の人気シリーズ・作家特集など30テーマの展示を実施。特に今年30周年を迎えた「朝の読書」コーナーでは、「子どもの本総選挙」のトップ10に選ばれた本を展示して注目を集めた。
また、児童書に関連した様々なイベントを実施。絵本作家のスギヤマカナヨ氏、なかやみわ氏、那須正幹氏、原裕朗氏などを講師に招いたワークショップやサイン会を開催したほか、全会場で「おれたち、ともだちシリーズ」の完結記念ラリーイベントや、「絵本の世界を体験できるかわいいフォトスポット」「ズッコケ三人組シリーズ」パネル&複製原画展を設置し、好評だった。また、会場には人気シリーズ「おしりたんてい」「ごあいさつあそび」等のキャラクターが登場し、来場者を喜ばせた。
この他にも、白泉社の協力で「ノラネコぐんだん」塗り絵コンテストを実施。雑誌「kodomoe」編集長が入賞作品を選定し、10月頃にe‐honサイト上で結果を発表。入賞者には「ノラネコぐんだん」のグッズや、作者である工藤ノリコ氏のサイン色紙が贈られる。

店長・店舗マネジャー研修に16名が参加/トーハン

トーハンは7月18~19日に東京・新宿区のトーハンセミナーハウスで、全国書店の希望者を対象に「店長・店舗マネジャー研修」を実施した。
この研修は全国書店共助会との共同研修として毎年開催しているもので、今年は全国から書店店長・店舗マネジャー16名が参加。トーハン社員がコーディネーターを務める完全オリジナルプログラムで行い、7月の第一会合と9月の第二会合それぞれ2日間にわたって研鑽を積む。
第一会合は「店長の役割認識」「店舗の問題解決」をテーマに行い、「店長に求められる資質」「店舗の問題解決(数字・人材・コミュニケーション)」「書店の顧客満足」等についてディスカッションを中心に店頭の現状を把握、仮説と検証を繰り返し、マネジメントについて学んだ。特にコミュニケーションについては、参加者同士でロールプレイングを行い、効果的な伝え方・質問の仕方を実践した。
受講者からは「店長として自分に足りない部分がわかった」「店舗経営をする上で、顧客と従業員の満足が大切という意識をしっかりと持っていきたい」等の意見が寄せられた。

岩波新書80周年記念フェア実施/2018-2019新企画発表会/岩波書店

岩波書店は9月3日、東京・千代田区の如水会館で「2018―2019新企画発表会」を開き、岩波新書創刊80周年記念フェア「はじめての岩波新書1938~2018」や同創刊80周年記念新刊などの企画内容を説明した。
はじめにあいさつした岡本厚社長は、今年1月に刊行した『広辞苑第七版』について「順調に売上げを伸ばし、特価期間として設定した6月末までにほぼ目標を達成することができた。特価期間が終わった後も予想を超えた売上げを示している。改めて広辞苑への読者の信頼と期待を感じた。これからも着実に売り伸ばしを図りたい」と述べた。
また、今年11月に岩波新書が創刊80周年を迎えることを報告。「岩波書店にとっても出版界にとっても、新書という器は重要な役割を担っている。編集部が準備を重ね、誕生月の11月に選りすぐりの新刊を発売する」として、増売へ協力を求めた。
そして、インターネットとグローバル化の進展とともに社会や産業の構造が変化し、これまで出版業界を支えてきたシステムも変化したとして、「読者に本質的で正確な変化の見取り図を提供していくのも出版の役割。本を求める読者がいる限り、出版は続く。本を求める読者に、いかに確実に速やかに届けることができるかという課題について、岩波書店は真剣に考えていきたい」と述べた。
続いて、岩波新書創刊80年を記念して11月に発売する『アナキズム』の著者、栗原康氏が講演。同書の執筆の経緯や内容を語った。
この後、坂本政謙執行役員・編集局部長が19年前半までの新企画を説明した。
岩波新書創刊80年記念フェア「はじめての岩波新書」は、池上彰、国谷裕子、丹羽宇一郎、落合陽一氏など各界著名人が、今でも心に残る「はじめての新書」を挙げ、推薦書目とコメントを9月下旬発行の「図書」臨時増刊号に収録。寄せられた推薦書目の中から岩波新書50点・54冊を選び、10月下旬から全国の書店でフェアを実施するもの。店頭展開セットは3種類用意し、著名人の推薦コメントを掲載したオリジナル帯、「図書」臨時増刊号、店頭用フェアPOPを付ける。3ヵ月延勘。
創刊80年記念新刊は、『アナキズム』(栗原康)、『頼りあえる社会』(井出英策)、『給食の歴史』(藤原辰史)、『東条英機』(保阪正康)、『百姓一揆』(若尾政希)、『認知症フレンドリー社会』(徳田雄人)などを11月20日に発売する。
このほか、ファースト・アルバム『ボブ・ディラン』から12年の『テンペスト』までボブ・ディランが作詞した約360曲を、原詞と邦訳の見開きで年代順に網羅した『TheLyrics1961―1974/1975―2012』(ボブ・ディラン、佐藤良明訳)、身近な法則から宇宙の謎まで美しい写真で紹介した『ビジュアル物理全史―ビッグバンから量子的復活まで』(クリフォード・ピックオーバー、吉田三知世訳)をそれぞれ19年春に刊行する。

12星座別の運勢が毎日楽しめる手帳/日販、PB商品で発売

日販は、人気占い師による12星座別の占いを毎日楽しめる手帳『FortuneDiary2019』(2019年始まり、全12種類)を、日販独占流通(PB)商品として、9月下旬より全国1000書店で順次販売を開始した。
人気占い師・はゆき咲くら氏監修の占いが年間・月間・週間ごとに楽しめるダイアリー。シンプルでおしゃれなデザインは、あらゆるシーンで使い勝手が良く、手帳としての機能性も優れている。B6判、価格各1500円(税抜)。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齊藤一郎

和田秀樹著『病院のやめどき―医療の自己決定で快適人生』(朝日新書750円)は、医師が現代の医療と真正面から向き合い、疑問を解く。
著者自身上の血圧が200を超え、血糖値も600越えで、薬を飲むのだが、彼は自分の判断で調整しているという。医師だからというのではなく、ただ基準値に近づけるだけが個人にとって正しいとは限らないからだと説明する。なぜなら、そもそも検診の基準値自体「かなりいい加減なものだと言わざるをえません」からなのである。
血圧をはじめコレステロールの基準値など、エビデンス(科学的根拠)が確実に行われていないのが医療の現状なのだ。
心のケアをないがしろにして薬漬け、栄養学の知識がない医者に振り回されて、肝心の生活の質が守れなくなってしまうのは大問題なのである。
良い医者、病院の見分け方、正しい情報の集め方なども具体的に詳説。
池田清彦著『いい加減くらいが丁度いい』(角川新書800円)も、余命何ヵ月と医者に宣告された患者が実際どれくらい生きたかという統計はなく、宣告自体がインチキであると噛みついている。とりあえず今日1日楽しければ文句はないという生物学者の共通点は「自己決定」である。