全国書店新聞
             

平成25年5月1日号

50万人署名を開始/出版物への軽減税率適用求め/日書連理事会

日書連は4月18日、東京・千代田区の書店会館で4月定例理事会を開催した。消費税問題では、消費税増税の際に出版物への軽減税率適用を求める請願署名運動を4月上旬から開始したことが報告され、50万人署名達成に向けて全組合が一丸となって取り組む方針を確認した。
〔消費税問題〕
日書連は2月定例理事会で、消費税増税の際に出版物へ軽減税率を適用することを求める「50万人署名」運動を全国の傘下組合加入書店で展開することを圧倒的多数で決め、4月上旬、日書連事務局から各書店に、署名用紙10枚(A4判10名記入用を10枚=100名分)、返信用料金別納封筒、会長・委員長の挨拶文、署名ポスターを掲載した全国書店新聞4月1日号などを同封した「署名セット」を直送した。請願書では「欧州と同様、日本においても、教育・文化政策の観点から、すべての国民が等しく豊かな文字・活字文化の恵沢を享受できるよう消費税の軽減税率適用を強く求める」としている(別掲)。署名の第1次締切は5月末日。
集まった署名は、日書連が取りまとめ、議員の紹介により衆議院、参議院に提出する。提出に関する具体的な手続きは議員ないし議員秘書が行う。国会法に基づく請願では「20名の紹介をもって、強制的に委員会で審議」という特例がある。このため各都道府県組合1名以上の紹介議員を集めることを決めた。
面屋委員長は「組合員の署名運動の状況を各都道府県組合でしっかりと把握してほしい。たくさんの署名を集めよう」と呼びかけ、全組合が一丸となって取り組む方針を確認した。
また、5月8日、大橋会長、面屋委員長、大川専務理事の3名が書協、雑協、取協、児童出協の4団体を訪問し、署名運動へ協力を求めることを決めた。
〈消費税軽減税率を求める請願書〉
【請願趣旨】
すべての国民が、書籍・雑誌・新聞等の出版物に広く平等に触れる機会を持つことは、民主主義の健全な発展と国民の知的生活の向上にとって不可欠であります。これは、生活必需品や医療等、国民の健康で文化的な生活を支える商品やサービスにも相当する重要性を持つものです。そのために、これらにかかる消費税については、軽減税率の適用によって少しでも国民の負担を軽くしていくことが必要です。
【請願事項】
教育・文化を支える出版物には軽減税率の適用を
☆私ども消費税導入以前には、「心の糧には課税するな」をスローガンに導入反対を訴えてまいりました。
☆出版物の消費税を「ゼロ」又は「非課税」にすることが宿願ではありますが、当面、欧州諸国を範に出版物の軽減税率の適用を是非お願いします。
☆ちなみに欧州各国の付加価値税における出版物の軽減税率適用状況は、イギリスはゼロ税率、ドイツは7%、フランスは書籍5・5%雑誌2・1%、スウェーデンは6%となっております。
☆日本においても、「教育・文化政策」の観点から、すべての国民が等しく豊かな文字・活字文化の恵沢を享受できるよう消費税の軽減税率適用を強く求めるものです。
以上、国会法第79条の規定により請願します。
〔書店再生〕
昨年11月から今年2月まで実施した書店再生のためのロングセラー・実用書増売企画「食と健康」フェアについて、舩坂委員長が「協力してくれた出版社5社のうち2社から数字があがってきた。問題点を検討し、7月~10月に実施する予定の第2弾『食と健康』フェアに活かしたい」と述べた。
「書店再生のための5項目の提案」を取りまとめた東京都書店商業組合書店再生委員会の委員長を務める片岡理事は「今回は全国418書店から受注できた。日書連傘下組合加入書店約4500店の1割近くの参加率で、増売企画としては大成功」との認識を示した。一方、問題点として、POSを導入して取次、出版社とデータのやりとりを契約している書店以外は売上の集約ができず、出版社は販売冊数に応じた報奨金の支払いができない点をあげ、「POS導入は増売企画を実施する上で欠かすことのできないインフラ」と指摘した。
また、今夏の第2回フェアは「より進化した形にしたい」として、現在出版社10社に声をかけ8社から参加申し込みがあること、第1回フェアに参加した5社も参加の意向を示していることを報告した。
〔取引改善〕
送品・返品同日精算問題で、取次大手2社の優越的地位濫用行為について公正取引委員会に調査依頼してからの経過を柴﨑委員長が報告。「昨年5月に申告してから1年近くたった。審査の結果を待ちたい」と述べた。また、現在出版業界で使われている用語の意味が出版社、取次、書店の3者で統一されていないことが様々なトラブルの原因になっていると改めて指摘し、「委託」などの用語について語意を確認する必要があると述べた。
雑誌付録問題で、雑協が定めた自主基準「雑誌作成上の留意事項」を逸脱した事例が続いていることを受け、柴﨑委員長は「完成品で送ってほしいというのが流通改善委員会の一貫した主張。店頭に付録を陳列したときのことにもっと留意してほしいと申し入れている」と述べた。
〔流通改善〕
北海道書店商業組合から日書連に付託された「全国同時発売の早急な実現を求める決議文」を、3月26日の雑誌発売日励行・本部委員会に提出。席上、同委員会から、北海道地区には茨城県大洗市からフェリーで運んでおり、発売日をこれ以上早くすることは難しいとの回答があった。藤原委員長は「やりようによってはもう少し改善できるはず。日書連は今後も全国同日発売を目指して活動を続けていく」と述べた。
〔組織〕
平成25年年4月1日現在の日書連傘下組合加入書店数は対前年比5・5%減の4458店になったと中山委員長が報告した(3面に関連記事)。
〔日書連ホームページ〕
日書連ホームページ「本屋さんへ行こう」は、メトロコンピュータサービスと結ぶホームページ運営事業契約が3月で終了したことから、ドメインを移行し、新たにNTTコミュニケーションズの無料サーバーを利用。①書店くじの告知・当選番号発表②書店向けeラーニング「書店の基本業務」③全国書店新聞――の3つのコンテンツから成る新ホームページを4月1日からスタートしたと面屋委員長が報告した。ホームページの運営方法やコンテンツは引き続き検討を進め、サイトの改良に努める。
〔共同購買〕
日書連オリジナル薄型手帳「ポケッター」13年版は、7万部製作したものの完売せず、2千部残った。中山委員長は「14年版は1万部減らして6万部製作する予定。これで残数が出たら採算面で厳しくなる」と述べ、15年版以降の発売について「困難な状況に追い込まれている」との認識を示した。
賃貸スペース仲介サイト運営の軒先(東京・目黒、西浦明子社長)は昨年3月に日書連と業務提携し、書店の空きスペースの日貸し仲介サービスを行っている。今年3月までの契約数は43店舗144スペース。中山委員長は「ぜひ登録してほしい」と求めた。
〔ためほんくん〕
コミック版の導入書店は256店・344台、参加出版社は16社、公開作品は3493点。絵本版は導入書店16点・24台、参加出版社29社、公開作品586点。なお、昨年からスタートした絵本版のテスト期間を、当初予定していた3月から9月に延長した。
〔電子書籍対応〕
インテアHDの子会社、雑誌オンライン(ウェイズジャパンから電子書籍事業を継承)と提携して進めている書店店頭での電子書籍販売事業について鶴谷部会長が報告。「2013年3月末までに、全都道府県組合が雑誌オンラインと基本契約書を締結し、日書連傘下組合加入書店の30%が事業に参加することを目指して取り組んできたが達成できなかった。この事業は各都道府県組合が主人公」と述べ、協力を求めた。
〔読書推進〕
子どもの読書活動推進フォーラム(文部科学省、国立青少年教育振興機構主催)が4月23日、東京・渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催されると西村委員長が報告した。
〔庶務報告〕
・杉嶋運一理事(鳥取)の担当委員会を流通改善委員会とすることを承認した。
・5月8日の全出版人大会で日書連から面屋龍延副会長が長寿者表彰を受けることを承認した。
・以下の名義借用の件を承認した。①JPIC「読書アドバイザー養成講座」の後援名義②家の光協会「読書ボランティア養成講座」「同・スキルアップ講座」の後援名義③河出書房新社「大人の塗り絵コンテスト」の後援名義(2面・8面に関連記事)④映画「じんじん」特別試写会の協力名義。活字文化推進会議(読売新聞社)からの要請⑤大活字文化普及協会「大活字文化普及シンポジウムすべての人の読み書きを支援する社会」の後援名義(2面に関連記事)
・JPIC評議員を以下の通り交替することを承認した。田江泰彦前理事→東浦澄夫理事(山梨)
・文化産業信用組合理事を以下の通り交替することを承認した。大橋信夫会長→舩坂良雄副会長
・読書推進運動協議会の常務理事を以下の通り交替することを承認した。大橋信夫会長→舩坂良雄副会長。会計監査の西村俊男副会長は留任。

軽減税率署名運動に協力を

日書連は、消費税増税の際に出版物への軽減税率適用を求める「50万人署名」運動を展開しています。4月初旬に各書店に直送した署名用紙で、運動へのご協力をお願いします。署名は日書連事務局まで、同封の返信用封筒にてご送付ください(切手貼付不要)。第1次締切は5月末日必着です。

河出「大人の塗り絵」日書連が後援決める/書店イベントとして人気

河出書房新社の岡垣重男常務は4月18日の日書連定例理事会に来会。日書連が後援することを決めた同社主催「大人の塗り絵コンテスト」の概要を説明し、協力を求めた(8面に関連記事)。
発刊9年目を迎えた総計390万部突破のベストセラーシリーズ「大人の塗り絵」。昨年のサン・ジョルディフェスティバル名古屋で「大人の塗り絵教室」を実施し、好評だった。今年は神奈川組合でイベントを予定している。その他個店でもイベントを実施しており、大人の塗り絵は急速に普及している。今年のコンクールも4千通を超える応募があったという。岡垣常務は「読み聞かせを行っている書店は多いが、大人の塗り絵も書店のイベントとして人気がある。当社として手伝えることはたくさんある。イベントを実施したい書店、組合は相談してほしい」と述べた。

催し

◇第52回全出版人大会
5月8日午後3時より東京・紀尾井町のホテルニューオータニで開催する。大会会長は野間省伸氏(講談社)。大会委員長は佐藤隆信氏(新潮社)。事務局は日本出版クラブ。
第一部式典では大会会長挨拶、同委員長挨拶、大会声明朗読、来賓祝辞、古希を迎えた長寿者の祝賀と永年勤続者の表彰のほか、作家でペンクラブ会長の浅田次郎氏と大会委員長の佐藤隆信氏による対談を行う。第2部は午後4時45分頃より懇親パーティを行う。
◇大活字文化普及シンポジウム「すべての人の読み書きを支援する社会~読書権保障の実現~」
6月1日午前10時より東京・神保町の日本教育会館で開催する。大活字文化普及協会主催。
第1部(午前10時~午後12時半)「読み書き(代読・代筆)情報支援サービスと読書権保障」では、パネルディスカッション「読み書き情報支援サービスと読書権保障法の制定」などを行う。
第2部(午後1時半~午後3時45分)「読者の願いと読書権保障」では、来賓の日書連・大橋信夫会長があいさつし、同協会理事長で小学館社長の相賀昌宏氏が「出版社と読書権保障」をテーマに基調講演を行う。また、同協会理事で筑摩書房会長の菊池明郎氏が「購入費助成制度の実現/電子書籍推奨基準」、同協会理事で岩波ブックセンター会長の柴田信氏が「読みやすさ満載!Viva神保町」をテーマに基調報告を行う。
参加者120名程度(事前予約制)、資料代500円。申し込み・問い合わせは大活字文化普及協会事務局まで。℡080―4071―9402または080―4071―9427

各都道府県組合総会スケジュール

◆青森県書店商業組合第26回通常総会5月17日午後4時、青森市のアラスカで。
◆愛知県書店商業組合第30回通常総会5月17日午後2時、名古屋市千種区のホテルルブラ山王で。
◆大阪府書店商業組合第31回通常総代会5月17日午後2時、大阪市北区のウェスティンホテル大阪で。
◆山梨県書店商業組合第25回通常総会5月20日午後12時半、甲府市の奥村本店で。
◆東京都書店商業組合第37回通常総代会5月22日午後1時半、千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで。
◆石川県書店商業組合第25期総会5月24日午後2時、金沢市の金沢勤労者プラザで。
◆福井県書店商業組合平成25年総会5月27日(時間未定)、あわら市の灰屋で。
◆沖縄県書店商業組合第25回通常総会5月27日午後2時、那覇市の沖縄県書店商業組合会議室で。
◆京都府書店商業組合第29回通常総会5月29日午後3時、京都市中京区の京都ホテルオークラで。
◆北海道書店商業組合第37回通常総会6月11日午後4時半、札幌市中央区のホテル札幌ガーデンパレスで。総会前に研修会を予定。
◆長野県書店商業組合総会6月11日(時間未定)、諏訪市のRAKO華乃井ホテルで。
◆新潟県書店商業組合29期総会6月17日午後3時、新潟市カルチャーセンターで。
◆日書連北信越ブロック会平成25年度総会7月7日午後4時、石川県七尾市和倉温泉の加賀屋姉妹館「あえの風」で。
◆長崎県書店商業組合第26期定時総会7月26日午前11時(予定)、諫早市の水月楼で。
◆奈良県書店商業組合第29回通常総会8月8日午後(時間未定)、橿原市の橿原観光ホテルで。
◆神奈川県書店商業組合第36回通常総会8月22日午後2時、横浜市中区の神奈川平和会館(予定)で。

書店に利益発生する新しいシステム導入/大活字文化普及協会

6月1日、東京・千代田区の日本教育会館で開催される大活字文化普及シンポジウムを日書連が後援することになり、主催の大活字文化普及協会の市橋正光理事・事務局長が4月18日に開かれた日書連定例理事会に来会。同協会の活動の概要と書店にメリットのある大活字本流通の新システムについて説明した。
同協会は、視覚障害者団体や図書館などの非営利団体、出版社や書店などの営利団体、目の治療を行う医師などと連携を図り、読書や読み書きすることが困難な弱視者・高齢者を中心に、すべての人が読書や読み書きができる豊かな社会を作ることを目的として、大活字本の普及に取り組んでいる。相賀昌宏氏(書協理事長)が理事長を務め、日書連の大橋信夫会長も理事に名を連ねる。
高齢化社会に向けて大活字本のニーズは高まっており、書店からも多数の問い合わせ、注文があるという。同協会は、大活字本の流通をさらに広げていくため、一般個人の客への販売促進を書店とともに新しい仕組みで取り組みたいとしている。新システムは書店にメリットがある形で展開する。書店が個人の客の取次をし、客が表示価格(1890円)で購入する仕組みを導入。書店が同協会に客を紹介すると、客が同協会に支払う年会費1200円のうち1000円が紹介料として書店に支払われる。また、1冊受注すると50円の手数料が支払われる。これらは半年に一度、同協会入会者数と受注冊数に応じて書店に振り込まれる。書店は売場で大活字本の販売促進、会員の勧誘、大活字本の受注を行い、流通は大活字社が行う。
問い合わせは大活字文化普及協会まで。℡03―3259―2200

発売日問題を審議/北海道理事会

北海道書店商業組合は4月16日、札幌市中央区の北海道建設会館で定例理事会を開催。2月定例理事会で決議した「雑誌の全国同時発売を早急に実現するよう求める決議」を日書連2月定例理事会および発売日励行本部委員会に提出し、現在回答待ちとの報告があった。(事務局・髙橋牧子)

第2期FBF、客注迅速配送などを報告/3期は買切・電子書籍で実験

日本出版インフラセンターは4月17日に東京・新宿区の日本出版会館で記者会見を開き、「第2期フューチャー・ブックストア・フォーラム(FBF)」の事業総括と今後の取組みを説明した。
第2期FBFは、「ネット書店に負けないリアル書店の活性化」を全体目標に掲げ、①客注商品の迅速配送研究②書店ブランドを活かした新ビジネスモデル研究③リアル書店の新業態研究の3つのワーキンググループ(WG)と、電子書籍(端末)販売検討サブワーキンググループ(SWG)を設置して検討を進めた。
第1WGは、取次特急便で宅配便を利用した場合の客注商品の迅速配送について実証実験を実施。また、出版社在庫情報を書店・取次が共有し、着荷確約が実現できるかについても検証した。客注品の店着スピードについては、ネット書店に負けない速度の配送が実現できたが、出版社の在庫情報は、より多くの開示が必須であると指摘。スピードアップ実用化のためのコスト負担も今後の検討課題であると報告した。
第2WGは、楽天ブックス(ネット書店)のバックヤード機能を利用して客注商品を迅速に調達する実証実験を7法人88店舗で行い、消費者の満足度向上や売上増につながるかを検証した。参加書店へのアンケート調査では、顧客満足度の向上や注文商品確保の確実性の向上などで一定の成果が確認できたため、実ビジネスに結びつけるための検討を進めていく。
第3WGでは、消費者から支持される新しい書店モデルと、その実現方法を検討。根本的な課題は「新刊書籍のみでも収益が成立する書店業態を生み出すこと」であるとし、その解決のためには、書店が自らリスクを取って仕入を行い、売り伸ばしと返品削減の両立ができることを業界全体に示すことが必要だと指摘。第3期FBFでは、①既存書店で買切実験の対象ジャンルを新書・文庫のみに限定、書店の新しいオペレーションモデル作りを行う②ジャンルを限定せず買切仕入を行う新業態モデル実験店――の2つの実証実験を行うと報告した。
SWGでは、書店における電子書籍販売の利点とモデルを検討。今後は、①モデル店舗による販売実証実験②「好きな書店で電子書籍を買って好きな端末で読める」相互互換性検討体制の構築――を進めていく。
第3期FBFは、①本の需要喚起の場としてのリアル書店の再生②紙の本も電子の本も扱う本の総合小売店。その店頭サービスの向上を図るインフラ整備――を目的に掲げ、①自主仕入等による個性的な書店づくり②リアル書店における電子書籍(端末)の販売――の2つのテーマごとに分科会を設置し、調査研究、実証実験を行っていく。

5・5%減の4458店/加入18店、脱退278店/日書連傘下組合員

今年4月1日現在で各都道府県書店商業組合に加盟する組合員数の合計は、昨年4月1日対比で260店、5・5%少ない4458店になったことが、日書連組織委員会(中山寿賀雄委員長)の調べで明らかになった。
この1年間の新規加入は全国で18店だったのに対し脱退は278店。加入数が脱退数を上回った組合はゼロで、増減なしが山形、鳥取、岡山、広島、高知、宮崎の6県。残る40組合は組合員が減少している。
各組合ごとに加入の内訳をみると、この1年間に新規加入があったのは、兵庫の4店をトップに、東京が3店、大阪、福岡が各2店、北海道、千葉、山梨、愛知、岐阜、愛媛、長崎が各1店。残りの35組合は新規加入ゼロとなっている。
一方、脱退が最も多かったのは東京の34店。次いで大阪の25店、愛媛の21店がワースト3で、以下脱退の多い順に神奈川17店、愛知16店、千葉、静岡、兵庫、福岡各13店、北海道11店、京都10店となった。
加入と脱退を合わせた1年間の増減では、減少数が多い順に①東京(31店)②大阪(23店)③愛媛(20店)④神奈川(17店)⑤愛知(15店)となった。減少率でマイナス幅の大きい順では、①愛媛(35・1%)②石川(9・0%)③秋田(8・3%)④北海道(7・8%)⑤千葉(7・7%)となっている。

著名人の「大切な人に贈りたい本」/サン・ジョルディの日PRで冊子作製/兵庫組合

兵庫県書店商業組合(山根金造理事長)は、4月23日の「サン・ジョルディの日」を盛り上げるため、兵庫県独自のPR冊子を作製した(写真)。
この企画は、兵庫ゆかりの著名人に、「大切な人」に贈りたい本を推薦してもらい、冊子を作って店頭でお客様に配布。合わせて推薦本のコーナー・フェアを実施することで店頭を盛り上げようというもの。
2月の理事会で企画を承認し、若手の会グループ(HAT委員会・中島良太代表)が中心となって活動。2月より推薦図書の依頼を開始して、井戸敏三兵庫県知事を始め、元ラグビー日本代表・大八木淳史氏、コラムニスト・勝谷誠彦氏、元プロ野球選手・田口壮氏、作家・高田郁氏、玉岡かおる氏、独立総合研究所・青山繁晴氏など、兵庫の著名人22名から推薦文を寄せてもらった。
冊子はA3両面印刷・カラー刷り・6つ折で、推薦人の顔写真と推薦文・推薦図書を掲載し、2万枚を作製。同時にポスターも作り、4月上旬に県下組合書店に配布した。
入手希望の方は兵庫県組合事務局まで。℡078―936―4069
(安井唯善広報委員)

入手困難本を紙と電子で販売/三省堂書店とBookLive

三省堂書店とBookLiveは3月25日、26日の両日、東京・千代田区の三省堂書店神保町本店で、出版社の電子書籍担当者を招いて電子書籍事業共同説明会を開催し、三省堂書店の電子書籍事業とオンデマンド出版事業、BookLiveの電子書籍事業、書店で入手困難な書籍を紙と電子の両方で販売する両社の共同事業「インタラクティブブックソリューション」について各担当者が説明した。
「インタラクティブブックソリューション」は、三省堂書店が運営する「三省堂書店オンデマンド」とBookLiveが運営する電子書籍ストア「BookLive!」を連動させた新事業で、3月7日にスタートした。絶版本や入手困難本を両社のいずれかが出版社と交渉して電子データ化し、電子書籍を「BookLive!」、紙の書籍を「三省堂書店オンデマンド」を通じて販売するもの。両社は、これまでより多くのコンテンツを揃え、在庫を持たずに書籍を販売できるようになる。出版社は電子データがあれば低コストで利用することができる。客は電子と紙の好きなほうを購入することができる。
最初の施策として、「BookLive!」で配信して好評だった平凡社の「東洋文庫」を三省堂書店オンデマンドでも販売開始した。「東洋文庫」はアジア各地の古典作品を翻訳し詳細な解説を付けた叢書シリーズ。入手困難で古書市場で高値をつける作品が多いという。
三省堂書店は、今後も店頭での電子書籍サービスを推進。紙、電子、オンデマンドと3つの選択肢を用意し、読者に多様な読書スタイルを提案していくとしている。

生活実用書/注目的新刊

「近年の書店をめぐる動きは、なんという激しさと厳しさなのだろう」と始まるのは青田恵一著『理想の書店』(青田コーポレーション出版部発行/八潮出版社発売2200円)である。消費不況、生産年齢人口の減少、新古書店やネット書店に囲まれて、既存書店はこの今をどうしたら勝ち抜けるのだろうか。現在は「書店大戦」の時代なのだと著者はいう。本書は「書店大戦シリーズ1」、全3部作の1冊目。サブタイトルは、高く掲げよう「お客様第一」の旗。永い書店勤務を続けた書店・出版コンサルタントの著者は原点に返り、まず読者を一番に見ようとしている。
和歌山県の山中にある児童書特化型の書店、イハラ・ハートショップは20坪の店。山本素石原作/男鹿和雄作画の『ねずてん』(アインズ2800円)という一冊の絵本を日本一売った店である。イベントに連動する提案型の店づくりを続けた結果の一つなのだが、井原氏は大人が良いと思う本を押しつけるのではなく、子供が自分で選べる環境を作るのだという。第3章である。第1章は理想の店づくりを目指す6軒。2章では全国64軒もの書店の多様性を追い、4章では10書店のジャンル作りなど、生き残りをかけた各地の書店をレポート。
顧客から出発する売場改革こそが、理想の書店への骨格なのであると、本書は結ぶ。
碧野圭著『書店ガール2』(PHP文芸文庫あ32667円)は、27才の新婚書店員とアラフォー女性店長が活躍した前作の続編である。
今回は東京武蔵野市の吉祥寺の大型書店が舞台。妊娠したことがわかった亜紀はコミック編集者の夫から仕事を辞めて欲しいと言われる。産休など考えられない現状の書店だが、理子店長と同僚は一生懸命彼女をフォローする。
棚の構成、ブックフェアや万引き、事故のあった雑誌の回収など、忙しい書店の毎日も十分に描かれている。
盛岡の神社で行われる一箱古本市のシーンでは、懐かしい絶版本の書名が出てくる。
古書といえば先頃、剛力彩芽主演でテレビドラマにもなった『ビブリア古書堂の事件簿1~4』(三上延著、メディアワークス文庫)もある。
本好きな読者にもっと書店を知ってもらうことが、書店の発展に繋がるのであろう。
(遊友出版斎藤一郎)

日本の電子書籍市場の広がり/コンテンツへの誘導手段がカギ/フリージャーナリスト・西田宗千佳氏

『これ1冊で完全理解電子書籍』(日経BP社)、『電子書籍革命の真実 未来の本本のミライ』(エンターブレイン)などの著書があるフリージャーナリスト、西田宗千佳氏は3月26日、東京・千代田区の三省堂書店神保町本店で「日本の電子書籍市場の広がり」をテーマに講演した。概要を紹介する。
「電子書籍元年」という言葉は1990年代から2、3年に一度のペースで使われてきたが、2010年に注目を浴び、11年から12年になってようやく元年から2年目に移行したのではないか。
12年になると、海外の大手電子書籍ストアが相次いで登場した。7月、楽天がカナダのkoboを買収して、楽天koboがスタートした。出版の世界に興味のない人たちが新聞やテレビで楽天koboのニュースを見て「電子書籍が始まった」という印象を持つようになった。そうした意味で楽天の名前は非常に大きかった。
10月にはアマゾンのKindleが日本でのサービスを化スタートした。アメリカの電子書籍市場で6割から7割のシェアを持つKindleの上陸は大きなインパクトがあった。10年から11年にかけて日本で様々な電子書籍サービスがスタートしたのも、アマゾン上陸前に電子書籍ビジネスを確立しておこうとしたからだ。
今年3月にはアップルのiBookstoreもスタートした。まだ始まったばかりで、アメリカ市場でも10数%のシェアしかなく、Kindleに比べると影響力は少ないと言われている。それでも多くの人が使っているiPhoneやiPadに電子書籍を販売するストアという点では大きな意味がある。
電子書籍ストアの命であるコンテンツを増やすことについては、既存の日本系の電子書籍ストアが11年から12年にかけて発掘したものに依存している。そうして出来上がった市場を見て、海外系の電子書籍ストアがビジネス基盤を整えたと考えるのが自然だ。
11年から12年にかけて電子書籍コンテンツが増えたのは、電子書籍を読める端末が増えたことが大きい。電子書籍を売りたいと考える出版社、電子書籍プラットフォームが注目したのは電子書籍専用端末ではなくスマートフォンだった。スマートフォンへの移行は日本では10年から本格化し、11年にブーストがかかった。手のひらの上で何かを読むことができるスマートフォンへのシフトは着実に進んでいる。スマートフォンの普及で電子書籍ビジネスの基盤が整備され、その上でコンテンツの増加が始まった。今は市場が立ち上がりつつあるところだ。
スマートフォンの普及は電子書籍にとって欠かすことができないが、スマートフォンが普及すれば電子書籍が売れるわけではない。スマートフォン、タブレット、電子書籍専用端末を持っている人に向けた、買って読んでもらうための施策が必要になる。
インプレスが13年1月、電子書籍専門雑誌購読者に対してどの電子書籍サービスを使っているか調査したところ、アマゾンのKindle40%、紀伊國屋書店13%、ソニーのReaderStore10%、楽天のkobo7・4%、BookLive6・7%だった。スタートしたばかりのアマゾンが、すでに圧倒的なシェアを持っている。日本の電子書籍市場を開拓したのは日本系の企業だったにもかかわらず、一気に市場を席巻したのは知名度が高いアマゾンだった。
なぜKindleは強いのか。電子書籍を売る時、ユーザーに見つけてもらうためには検索してもらうしかない。グーグルで書籍を検索すると、アマゾンの書籍販売ページの検索結果が一番目、アマゾンのKindle版販売ページの検索結果が二番目に表示される。アマゾンは知名度が高いだけでなく、本を探すために検索するとトップにリンクが出てくる。グーグルの検索窓が誘導動線になっている。だから圧倒的に強い。
電子書籍をはじめとするデジタルコンテンツを売るためには、顧客との動線をいかに短くするかが極めて重要なポイントとなる。アマゾンの動線は、ネット検索するとアマゾンのリンクが見つかる、見つかるからそこをクリックして買う――という非常にシンプルなものだ。もう1つの動線はアマゾンのトップページ。そこを開くことは我々にとってすでに日常的に行う行為になっている。本を買う時も、CDを買う時も、服を買う時も使っている。総合的な通販サービスとして強い。一方、他の電子書籍ストアは電子書籍を買う時しか行かない。普通の人が使っているオンラインストアはアマゾン、楽天などせいぜい3つか4つだと思う。その中で他の商品と一緒に電子書籍も買えてしまう場であることは極めて強力だ。
アマゾンという強力なストアがあるのに、本専門のストアに来てもらうためには、そのための強いインセンティブ、なぜこのストアで本だけ買うのかという強い動機づけが必要だ。
リアル書店で本を探すことと比べて、デジタルコンテンツは極めて見つけづらい構造になっている。そのため電子書籍ストアでは売れ筋の固定化が始まっている。現在、電子書籍ストアの販売はベストセラー偏重だ。ベストセラーとそれ以外の本との差が、リアル書店より大きい。
100位までのランキングを見ると、コミックだとメジャーでネットユーザーと親和性が高い『ジョジョの奇妙な冒険』が多くを占めている。小説ではドラマ化・映画化されたものが中心になっている。これらは固有名詞が分かっているから検索しやすいのだ。「こんな本が読みたい」では検索できない。本のタイトル、登場人物、作者などフレーズが分かって初めて検索することができる。そうするとテレビ化・映画化・アニメ化された作品、長く連載されている作品から売れていくことになる。
実際に書店で売るよりも、電子書籍の販売は検索によるバイアス効果が極めて高くなる。強いものは強くなり、弱いものはなかなか芽が出ない。かつてトップだった大御所作家でも、きちんと周知しなければ、周知を効果的にやった新人よりも売れない。そういう世界だ。
デジタルコンテンツはなかなか見つけることができないものだから、本を買うためのURL、本を売っているウェブサイトのアドレスをいかに拡散するかが重要になる。ツイッターやフェイスブック、ブログなど他の人に情報が伝わる場所にURLを置いて、「この本はここで買える」と誘導する。SNS上で話題になった、書評家がブログで紹介してくれたといったことがきっかけになって売れていく。売場へのショートカットをいかに示すかが電子書籍を売るためには重要となる。
いくつかの電子書籍ストアに聞くと「ヘビーユーザーとライトユーザーの差が激しい」という。電子書籍は本をまとめて買いやすくするための仕組み。クリック1回でモノを買うのは簡単なので、習慣づけがうまくいけば継続的にたくさん本を買ってくれるようになる。
電子書籍市場はまだ始まったばかりだが、売り方、作り方、人の引き付け方が紙の本とはずいぶん違うことが分かってきた。よく分析してビジネスに結び付ける仕組みを作りたい。

「うちどく実践ガイド」を改訂/トーハン

トーハンは、「うちどく(家読)」公式ホームページに掲載している自治体・団体の推進担当者向け実践ガイドについて、このほど取り組み事例を追加した改訂版を作成・更新した。
実践ガイドは2008年4月から同ホームページに掲載。PDFファイルでダウンロードでき、自治体が推進を検討する際の資料などとして利用されている。今回新たに追加掲載したのは、北海道(教育委員会)、北海道恵庭市、大阪府豊能町、広島県熊野町、宮崎県(教育庁)の取り組み事例で、併せて既掲載の自治体の内容についても改訂し、全19自治体の実践内容を紹介している。

移転

★大阪屋東京支社
左記の住所に移転し、5月27日(月)から業務を開始する。現住所での業務は5月24日(金)まで。
新住所=〒112―0002東京都文京区小石川2―22―2和順ビル6F・7F
代表電話=03―3830―2050、FAX=03―3830―2059

「雑誌のもくろく」2013年版発行

雑誌目録刊行会(取次8社加盟)は、2013年1月末日現在、全国書店で発売されている雑誌約3300誌を収録した「雑誌のもくろく2013年版」を発行した。頒価380円、B6変型判256頁。
誌名、雑誌コード、出版社名、判型、定価、刊別、発売日を誌名50音順で配列し、「週刊誌」「コミックス」「テレビ・ラジオテキスト」「洋雑誌」「分冊百科」は部門を設けまとめて掲載している。さらに、全雑誌を74部門に分類、解説文を付した部門別誌名索引を設け、ジャンル別の検索にも便宜を図っている。
この他、発売日指定誌の一覧や主要月刊誌発売日一覧、昨年休刊した雑誌は別途一覧表で表示している。
問い合わせは、雑誌目録刊行会(トーハン内・℡03―3266―9587)まで。

取次各社が入社式

取次各社は4月1日に入社式を開催。トーハンは35名、日販は49名、大阪屋は4名の新入社員が出版業界の仲間入りをした。
【トーハン】
本社8階大ホールで開催した入社式で、藤井武彦社長が次のあいさつ(要旨)を行った。
出版を取り巻く状況は変わり続けている。この大きな転換点に立ち、トーハンは新しく生まれ変わり、未来に向かって積極的に挑戦する姿勢を打ち出している。
昨年の社長就任にあたり、①ガバナンスの効いた、正道を歩む経営、②風通しのいい、活力溢れる職場づくりを目指す経営、③一隅を照らす人を大切にする経営――の3つの経営方針を掲げた。
また、全てのトーハン人が心がける3つの行動基準「情熱」「挑戦」「スピード」を打ち出した。トーハンの企業理念である「知的活動支援企業」と併せ、この行動基準を念頭におき仕事に取組んでほしい。
皆さんが自分の力を発揮して活躍し、大きく成長できるステージを用意していく。夢と希望を持って、存分に腕を振るってほしい。
【日販】
本社5階会議室で入社式を開催。平林彰社長のあいさつ要旨は以下の通り。
日販は中期経営計画「Change」で「出版流通改革」を大きな柱とし、脱委託・買切志向を基盤とした流通の仕組みを推進している。「CRMの推進」では、ポイントカードシステム「HonyaClub」の導入で読者の特性を把握し、サービスや売場展開を行っている。
昨秋からは、出版業界全体の活性化と本の価値を高めるために「ほんらぶキャンペーン」を開催。昨年末から、来店を促し買ってもらうための仕掛け作りで「祭り」企画を展開し、成果が上がっている。
日販の企業風土として「風通しがよい」「議論する文化がある」「若手社員が伸び伸びと自分の力を発揮できる」ということがある。時代の変化をとらえ、自分の意見を述べ、積極的に挑戦をするという姿勢で、日販の将来を担う一員となってほしい。
【大阪屋】
大阪本社第2会議室で入社式を行い、南雲隆男社長は以下のあいさつ(要旨)を述べた。
今日から2ヵ年を期間とする第9次中期経営計画をスタートする。皆さんもその役割を担って仲間入りをするわけであり、気を引き締めて臨んでほしい。
大事なことは、①仕事の基本に忠実であること、②しっかりとした、自分なりの目標をもつこと、③積極的姿勢と行動で結果を出すことだ。
仕事とは、何かを叶えるためにあるといわれる。仕事は失敗しながら覚えるものだが、同じ失敗を繰り返さないように心がけることは必要だ。知識を知恵にかえ、その知恵を行動に移して、成果を挙げることが皆さんの仕事だ。
これまでの生活とは環境が一変する。身体に留意して、新社会人として立派に成長すること、当社の新しい企業基盤づくりに若い力を大いに発揮してほしい。

機構改変と人事/大阪屋

大阪屋は4月1日付で機構改変と人事異動を発表した。
【機構改変】
1.直属室に新事業企画室を設置する
1.営業本部営業推進部に市場開発課を置く
1.営業本部に東日本営業第1部、同第2部、西日本営業第1部、同第2部を設置する
1.営業本部東日本営業第1部および同第2部に営業課を置く
1.営業本部西日本営業第1部に営業第1課、同第2課、同第3課、同第4課、教科書課、図書館課、業態開発課を置く
1.営業本部西日本営業第2部に営業第1課、同第2課、同第3課を置く
1.営業本部事業開発室および同室各課を廃止する
1.営業本部営業促進部および同部各課を廃止する
1.営業本部EC事業部および同事業部EC推進課を廃止する
1.営業本部リーディングスタイル開設準備室を同本部リーディングスタイル推進室に改称する
【取締役委嘱、執行役員担当業務一部変更】
管理本部長兼EC事業担当取締役荻田日登志商品流通本部長兼東京支社長取締役和田年正商品流通本部副本部長兼東京ブックシティ・仕入部担当取締役古市恒久営業本部副本部長兼大阪屋友の会事務局担当
執行役員小山登営業本部東日本営業第2部長執行役員鎌垣英人営業本部西日本営業第1部長執行役員竹中繁輝

店頭での定期誌取り置きサービス開始/日販「マガストック」

日販は、定期誌購読の拡大を目指し、書店店頭での定期誌取り置きサービス「Maga‐STOCK(マガストック)」を開始する。
日販は、いまじん白揚(本社・愛知県)が開発・導入している「雑誌定期購読システム」について昨夏に業務提携契約を締結。11月に発売した新POSレジシステム「NP」の追加機能として搭載することを決定していた。「Maga‐STOCK」は、この雑誌定期購読システムと日販のCRMプログラム「HonyaClub」の顧客IDを連動させるもので、「HonyaClub」の新サービスとして提供される。
このサービスでは、読者は申込書への記入なしに定期誌取り置きの申込みができ、受取りも「HonyaClub」カードを見せるだけで可能。書店も顧客データと申込み情報が紐づけて管理されるため、注文・入荷・商品引き渡し作業が容易になる。申込受付をした商品は自動的に注文され、店頭販売用商品とは別荷物で満数入荷される。書店の業務負荷を軽減することで積極的な受注促進を可能にし、定期誌取り置き申込み数の増加と、定期的な来店客の確保を目指す。
今後はまずHonyaClub加盟店を中心に導入を図り、非加盟店にも拡大して3年後までには1千店の導入を目指していく。

人事部に4チームを新設/日販

日販は4月1日付で第66期の組織改訂・職制人事体制を発表した。
組織改訂のポイントは、①人事部の各課・各係を廃止して、人事・組織開発チーム、採用・人材育成チーム、多様化推進チーム、企業年金チームを新設する。②出版宣伝課を書籍部からマーケティング本部直轄に移管する――の2点。
①については、中期経営計画「Change」において、企業体質の強化に向け変革リーダーの抜擢・育成や新たな人事制度・育成制度の確立を目指していることから、従来の課体制を再編成して機能をさらに強化し、チームとして取り組んでいく。②については、出版宣伝課は書店向け・読者向け広報誌等の編集業務を担当しており、マーケティング本部直轄として商品情報センターとの連携を密にすることで、未刊情報の取得・有効活用・提供体制を一元管理する。

3月期は3・1%減/コミックがプラスに転換/日販調べ

日販営業推進室調べの3月期書店分類別売上調査は、対前年売上増加率が3・1%減と先月を3・6ポイント上回った。
雑誌は全体で0・7%減と先月を6・4ポイント上回った。コミックは『ONEPIECE69』(集英社)が売上を牽引したほか、前年同月に発売のなかった銘柄が売上を伸ばし、1・9%増とプラスになった。週刊誌は0・2%増。分冊百科が好調だったほか、ビジネスジャンル銘柄も売上を伸ばしたため、プラスに転じた。
書籍は全体で5・8%減と先月を0・5ポイント上回った。実用書は、前年好調だった『不器用』(小学館)や『「空腹」が人を健康にする』(サンマーク出版)などの影響を受けて7・8%減。文庫は4・4%減で、3月に映画公開された『プラチナデータ』(幻冬舎)が好調だったが、前年の売上良好銘柄には届かず、マイナス幅が拡大した。

アニメえほんシリーズ刊行/人気アニメ作家が挿絵/河出書房

河出書房新社は、「せかいめいさくアニメえほん」第1期全12巻を5月24日に発売する。人気アニメ作家が世界の名作を描き下ろすシリーズで、総計60巻の企画を予定している。
4月15日に東京・渋谷区の本社で行った記者会見で、岡垣重男常務は「『大人の塗り絵』シリーズは累計390万部に達し、シニア層の市場を実感している。児童書も大きなマーケット。未就学から小学校低学年の児童に合った企画を出せば、息長くロングセラーで売れていく。今の時代に合った独自の作家を開発しようということで、子どもたちに人気のアニメーターに絵を描いてもらった。地域のお客様を知る町の書店でこそ売っていただきたい」と述べた。
初回出荷は3ヵ月延べ勘で、発行部数は各2万部、注文締切5月15日。セット内容は、セット販売用(ケース入り)が全12巻各1冊、セット定価4800円。棚販売用が全12巻各1冊、セット本体4572円。平台お姫様セットが「シンデレラ」「にんぎょひめ」など4タイトル各5冊、セット本体7620円。平台冒険セットが「三びきの子ぶた」「ながぐつをはいたねこ」など4タイトル各5冊、セット本体7620円。各巻17×18㎝・42頁、本体381円。

商号をKADOKAWAに/9子会社を吸収合併/角川GHD

角川グループホールディングス(角川GHD)は3月28日開催の取締役会で、10月1日付で連結子会社9社を吸収合併するとともに、6月22日付で商号を「㈱KADOKAWA」に変更すると決議した。6月22日開催予定の定時株主総会で正式に決定する。
吸収合併するのは、角川書店、アスキー・メディアワークス、角川マガジンズ、メディアファクトリー、エンターブレイン、中経出版、富士見書房、角川学芸出版、角川プロダクションの9社。商号変更後の「KADOKAWA」は、自ら出版事業、映像事業、版権事業、デジタルコンテンツ事業等を行う事業会社に移行する。グループ各社に分散していた共通機能の集約化を進めるとともに、コーポレートブランド「KADOKAWA」を強く打ち立て、国内外の事業展開強化を図るとしている。
【役員体制】4月1日付
(◎昇任、○新任)
取締役会長角川歴彦
代表取締役社長兼IP事業統括本部長兼海外事業統括本部長佐藤辰男
代表取締役専務兼エンターテインメント・コンテンツクリエイション事業統括本部長◎井上伸一郎
常務取締役兼管理統括本部長谷口常雄
同兼経営統括本部長
松原眞樹
同兼セールスマーケティング統括本部長兼角川ブックナビ社長◎関谷幸一
同兼メディア&インフォメーション事業統括本部長
◎濵村弘一
取締役兼管理統括本部副統括本部長髙野潔
同兼経営統括本部副統括本部長山口貴
同兼経営統括本部副統括本部長髙山康明
同兼海外事業統括本部副統括本部長塚本進
社外取締役船津康次同森泉知行
同川上量生常勤監査役水島真
同若林陽社外監査役渡邊顯
顧問兼メディア&インフォメーション事業統括本部副統括本部長○太田修
同兼エンターテインメント・コンテンツクリエイション事業統括本部副統括本部長○芳原世幸
同兼メディア&インフォメーション事業統括本部副統括本部長○秋山伴道
同兼エンターテインメント・コンテンツクリエイション事業統括本部副統括本部長○安田猛
同兼セールスマーケティング統括本部副統括本部長
○横沢隆
同兼海外事業統括本部海外担当○椎名保

受賞

◇12歳の文学賞
12歳以下の小学生に応募対象を限定した第7回「12歳の文学賞」(小学館主催)の贈賞式が3月27日、東京・千代田区の如水会館で開かれ、愛知県の小学6年生、西堀凛華さんの『人形』に大賞を贈った。優秀賞は愛知県の小学6年生、仲川晴斐さんの『くもの糸その後』、広島県の小学6年生、松崎成穂さんの『コミック・トラブル』の2作。
審査員を代表して作家のあさのあつこさんは「大賞受賞作は真夜中に読んで本当に怖かった。怖さを理屈ではなく感覚として書くことができる力はすごい」と感想を語った。大賞を受賞した西堀さんは「夏休みに自由研究も宿題もやらずに書きあげた作品なのでこのような賞をいただけてうれしい」と笑顔を見せた。

『海賊とよばれた男』上下巻で百万部突破/本屋大賞

全国の書店員が一番売りたい本を選ぶ第10回「2013年本屋大賞」の発表会が4月9日、東京・港区の明治記念館で開かれ、百田尚樹氏の『海賊とよばれた男』(講談社)が大賞に輝いた。
受賞作は、出光興産の創業者・出光佐三をモデルにした歴史経済小説で、9日の本屋大賞発表時に上下巻の累計発行部数が80万部、12日に百万部を突破した。
発表会の席上、百田氏は「本屋大賞は初めていただいた賞。直木賞より素晴らしい文学賞で最高の賞だ。出光佐三や彼を支えた出光興産の男たち、戦争に負けてこれから日本を復興しようと努力した多くの人たちの生き方が素晴らしく、それを何とか忠実に伝えたいと思って書いた。書店員の皆さんは、彼らを多くの読者に知ってもらいたいという思いでこの本を選んでくれたと思う。本当にありがとうございました」と受賞の喜びを語った。
今回の本屋大賞は、11年12月1日から12年11月30日に刊行された日本の小説から、一次投票に463書店598人が参加し、上位11作品(10位2作)をノミネート。二次投票では263書店307人が全ノミネート作品を読んだ上で、ベスト3を推薦理由とともに投票し、大賞作品を決定した。また翻訳小説部門に『タイガーズ・ワイフ』(テア・オブレヒト著、藤井光訳、新潮社)が選ばれた。
本屋大賞の2位以下は次の通り。②『64』横山秀夫(文藝春秋)③『楽園のカンヴァス』原田マハ(新潮
社)④『きみはいい子』中脇初枝(ポプラ社)⑤『ふくわらい』西加奈子(朝日新聞出版)⑥『晴天の迷いクジラ』窪美澄(新潮社)⑦『ソロモンの偽証』宮部みゆき(新潮社)⑧『世界から猫が消えたなら』川村元気(マガジンハウス)⑨『百年法』山田宗樹(角川書店)⑩『屍者の帝国』伊藤計劃、円城塔(河出書房新社)⑪『光圀伝』冲方丁(角川書店)

「あそびえほん」25周年迎えフェア/偕成社

偕成社は「あかちゃんのあそびえほん」シリーズ(きむらゆういち作)が25周年を迎えるにあたって、書店店頭でのプレゼントフェアを3月末から5月末まで開催している。合わせて最新刊『あかちゃんのあそびえほん13ばいばいできるかな』(定価税込735円)を3月下旬に刊行した。
このシリーズは1988年に1作目『ごあいさつあそび』が刊行されて以来、現在、既刊12巻(ボードブック版既刊8巻)、発行部数は累計1100万部を突破している。
このほど実施するフェアは「1100万人のあかちゃんがわらったあかちゃんのあそびえほん25周年フェア」と銘打ち、抽選で500名にベビー服とスタイのセットをプレゼントする。応募券の付いた書籍が対象。同社は「これから3代、4代と読み継がれるシリーズになるよう、読者の方々にもっとシリーズを知ってもらいたいという思いを込めてフェアを実施することにした」としている。