全国書店新聞
             

平成30年5月15日号

1等賞はじめ各当せん番号を決定/「春の書店くじ」抽せん会

日書連が主催する「春の書店くじ」の抽せん会が5月10日午後12時半、東京都千代田区の書店会館で開催され、「書店くじ」の協賛社、協賛団体、日書連役員の立ち会いのもと、1等賞「図書カード1万円」から4等賞まで各賞の当せん番号を決定した。読者への当せん番号発表は5月25日(金)に日書連ホームページと書店店頭掲示ポスターで行う。
今年で22回目を迎えた「春の書店くじ」は、4月23日の「世界本の日サン・ジョルディの日」に合わせ、読者謝恩と書店店頭活性化を目的に4月20日から30日まで実施した。
抽せん会は西村俊男読書推進委員長の司会で進行。あいさつした舩坂良雄会長は「一時代を築いた青山ブックセンター六本木店が6月25日に閉店する。今の書店の厳しい状況が顕著に現れたものと受け止めている。全国の組合加入書店数もこの1年間で255店減少。全国の424市町村に書店がない。読書離れを食い止めるには、書店の努力だけではどうにもならない。業界の総合力が必要。書店新風会が11月1日を本の日に制定するなど様々なアイデアが生まれている。いっそう増売に励みたい」と述べた。
抽せんは0から9までの番号を記した10個のボールを抽せん箱に入れ、中からボールを1個取り出す方法で実施した。日本書籍出版協会・中町英樹専務理事、日本出版取次協会・松尾靖事務局長、読書推進運動協議会・宮本久事務局長、日本図書普及・平井茂専務取締役、日書連・柴﨑繁副会長が1番から5番までの抽せん箱を担当し、1等賞から3等賞までの当せん番号を決定。最後に舩坂会長が4等賞の番号を引いた。
書店くじの引き換え期間は、5月25日(金)の当せん番号発表から6月30日(土)まで。書店で賞品に立て替えた当せん券は、当せん番号発表ポスターと同送する「引換当せん券・清算用紙」に必要事項を記入のうえ、一緒に7月31日(火)までに日書連事務局へ送付する。

サン・ジョルディフェスティバル名古屋/書店が選んだ絵本を販売/春井理事長「経済活動と読書推進、両立を」

「サン・ジョルディフェスティバル名古屋2018」が4月22日、愛知県名古屋市中区の名古屋テレビ塔1階タワースクエアで開催。絵本販売、ビブリオバトルなどを行った。
主催は愛知県書店商業組合と日本・カタルーニャ友好親善協会で構成するサン・ジョルディ名古屋実行委員会(実行委員長=春井宏之愛知県書店商業組合理事長)と中日新聞社。
開会式であいさつした春井実行委員長は、現時点で出版物が消費税軽減税率の適用対象外となっていることに言及し、「出版は経済か文化かという括りが初めから出来ていることに違和感を覚える」と指摘。「本を売る仕事をしているので経済のことを考えなければいけないのは事実だが、一番の職務は知識拡散と読書推進。それなくして書店は立ち行かない」と述べ、経済活動と読書推進が両立する環境作りを訴えた。
会場では、第4回「本屋さんが選んだ、子どもに読み聞かせたい絵本101冊」やビブリオバトル本の展示・販売、バラの販売などが行われた。新刊本の売上げは合計109冊・14万8591円だった。
ステージでは、絵本作家の長尾琢磨氏、宮西達也氏による絵本読み聞かせとサイン会、ビブリオバトルin名古屋テレビ塔、JRACによる紙芝居・絵本読み聞かせなどが行われた。
ビブリオバトルは5名のバトラーが出場し、田中蒼一郎さん(名古屋市立上社中学校3年生)が紹介した『ペンギンが教えてくれた物理のはなし』(河出書房新社)がチャンプ本に輝いた。

日書連、6月21日に第30回通常総会

日書連は6月21日(木)午後1時、東京都千代田区の書店会館で第30回通常総会を開催し、平成29年度事業報告・決算報告、平成30年度事業計画案・予算案などを審議する。当日午前は定例理事会を開催する。
出版物小売業公正取引協議会の通常総会は5月17日午前10時半、書店会館で開催する。

手塚弘三氏に旭日小綬章、吉田矩康氏らに黄綬褒章/春の叙勲・褒章

平成30年春の叙勲が4月29日付で発令され、全国教科書供給協会から手塚弘三氏(同協会相談役)が旭日小綬章を受章した。伝達式は5月11日、東京都千代田区の国立大劇場で開催。
また、平成30年春の褒章が4月29日付で発令され、同協会から長沢義博(北海道・長沢書店)、吉田矩康(埼玉・吉田謙受堂)、中野弘道(静岡・焼津谷島屋)、川崎勝久(三重・川崎尚古堂)、山田尚司(和歌山・きぬや書店)、坂本典三郎(兵庫・坂本屋)の6氏が黄綬褒章を受章した。伝達式は5月15日、文部科学省3階講堂で開催。

京都ブックフェスティバル/2日間で5200人が来場

「世界本の日サン・ジョルディの日」を記念する「京都ブックフェスティバル」が4月21日、22日の両日、京都市中京区の「ゼスト御池」で開催された。主催は同実行委員会、京都府書店商業組合(犬石吉洋理事長)などが後援。
フェスティバルでは京都の出版社・書店組合・取次が本やマルチメディア商品の割引販売を主とするイベントを開催した。来場者数は5200人と昨年より若干減少したが、売上は2日間合計で120万円(うち組合出店バーゲン本等売上14万円)となった。参加出版社は、海青社・化学同人・京都新聞出版センター・京都大学学術出版会・サンライズ出版・青菁社&亥辰舎・青幻舎・世界思想社教学社・淡交社・PHP研究所・法藏館・光村推古書院・ミネルヴァ書房・宮帯出版社・ユニプラン・臨川書店の計16ブース。会場を訪れた買い物客らには、再販制維持を目的とした弾力的運用の一環として行う事業であることを説明し、理解を得た。
告知は書店店頭やゼスト店頭のポスター掲示、チラシの配布、ツイッター、フェイスブック等のSNS、地元メディア(京都新聞・KBS京都放送)を介して行い、今回で3回目とあって常連客を確実に増やせたことを実感した。
書籍販売ブースの横では、JPIC読書アドバイザーによる絵本の読み聞かせを実施。ゼスト御池寺町広場では、トークショー&サイン会として初日に小川勝章氏の「技と美の庭京都・滋賀」(京都新聞出版センター刊)、2日目に澤田瞳子氏の「火定」(PHP研究所刊)を開催。組合加盟書店で購入した読者に整理券を配布して入場無料で行ったもので、会場はほぼ満席の盛況となり、買い物客らも足を止めて聞き入っていた。
京都組合のマスコットキャラ「ブックン」は今年も両日とも参加し、さらに今回は京都市伏見区公認キャラクターの「伏見もも丸」が応援に駆けつけくれたこともあり、フェスティバルを一層盛り上げた。
フェスティバルは来年度も開催予定で、より良い事業を作り上げるため会議を重ね、理解と協力を求めていく。(若林久嗣広報委員)

「春夏秋冬本屋です」/「紙の辞書」か「電子辞書」か/熊本・宮崎一心堂社長・宮﨑容一

新学期商戦もほぼ終わりホッと一息ついてる今日この頃、ここ数年私たち書店業界で話題、論争になるのが「紙の辞書」か「電子辞書」かである。
メーカー、書店、学校側(先生・生徒)とそれぞれの立場で考え方が異なってくるのは当然のことだが、私はもちろん、紙の辞書派。アルファベット・あいうえお順でページをめくり単語・語句を見つけ、マーカー・伏線紙でチェック。自分なりの辞書引きでコツコツと一言一句を頭に叩き込んでいく。それが、勉学に励む人たち(学生に限らず社会人も)にとってのコトバ調べのあり方だと思っている。
ただ、その考え方が揺らいだのが今年の新学期商戦。私の地元高校で電子辞書に対してゴーサインが出て、家庭学習はもちろん、学校の授業持込みがOKになった。その結果、電子辞書9割、紙の辞書1割。語学だけでなくあらゆるジャンルで、紙の辞書と比べて情報量が豊富で、持ち運びが便利であることが購入動機だ。
インターネットの検索のように必要な情報をスピーディーに入手できることで学習効率が向上する。また、特に語学では、音声サポートがあることで正しい発音を身に着けやすいことも、先生方や生徒たちにとって魅力なのだろう。
商売の視点とは別に、時代の流れと変化を痛感した新学期商戦だった。

消費税軽減税率制度のポイント(上)/複数税率対応、計画的な準備を/財務省主税局税制第二課課長補佐・加藤博之氏

※本稿は、平成30年4月19日に開催された日本書店商業組合連合会における財務省主税局・加藤博之課長補佐の「軽減税率制度説明会」の内容をもとに作成したもの。
1、消費税率10%への引上げと「軽減税率制度」「適格請求書等保存方式」との関係
消費税「軽減税率制度」は、消費税率10%への引上げに伴う低所得者への配慮の策として、「(外食・酒類を除く)飲食料品の譲渡」及び「一定の要件を満たす新聞」を対象に、平成31年10月より実施されるもの。そして、「軽減税率制度」の実施から4年後の平成35年10月からは、複数税率の下での適正な課税を確保する観点から、「適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)」が導入されることとなる。
「軽減税率制度」の実施まで「まだ1年半もある」として、レジ等の複数税率対応などの改修が遅れることがないように、計画的に準備を進めることが適当と考える。
2、「軽減税率制度」の基本的な考え方
消費税の軽減税率制度において、軽減税率(8%)の適用対象となる「食品」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいう。また、適用税率の判断は、「売り手」が販売時点において行うこととなる。
(書店の「売上げ」について)
書店の「売上げ」の中心となる書籍・雑誌等については、軽減税率の適用対象ではなく、標準税率(10%)が適用されることとなる。
書店のビジネスの形態が多様化している昨今、レジ横で「お菓子」を販売するだけでなく、例えば、
①書店にカフェを併設し、食事の提供(10%)、コーヒーのテイクアウト(8%)を行う、
②書店に野菜の直売所を併設し、野菜の販売(8%)を行う、
などのビジネスモデルも出てきており、各取引の場面において正確な適用税率の判断が求められ、発行する請求書等や帳簿において税率毎の区分記載や区分経理が求められることとなる。
なお、それによる追加事務負担については、複数税率対応のレジを利活用することで大幅に軽減できるものと考えられる。
(書店の「仕入れ」について)
書店の「仕入れ」の中心は、「売上げ」同様、書籍・雑誌等であり、標準税率(10%)の適用対象となる。他方、一般論として、「仕入れ」の場面においては、「売上げ」の場面よりも、適用税率を「強く」意識する必要がある。
例えば、書籍・雑誌等の「売上げ」しかない書店(「売上げ」の全てが標準税率)であっても、会議等で提供する「お茶」(飲食料品)を購入するような場合には軽減税率が適用されることから、「売り手」が発行する請求書等に基づき、帳簿において区分経理が求められることとなる。

書店組合総会スケジュール

◆埼玉県書店商業組合「第34回通常総会」
5月26日(土)午後4時、さいたま市の埼玉書籍で開催。
◆群馬県書店商業組合「第31回通常総会」
5月30日(水)午後1時、前橋市の前橋問屋センター会館で開催。

読書活動優秀実践校など表彰/子どもの読書活動推進フォーラム

文部科学省と国立青少年教育振興機構は4月23日、東京・渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで「子どもの読書活動推進フォーラム」を開催した。同フォーラムは、4月23日「子ども読書の日」を記念し、子どもが積極的に読書活動を行う意欲を高めることを目的としている。
主催者を代表して水落敏栄文部科学副大臣、来賓を代表して子どもの未来を考える議員連盟・河村建夫会長があいさつ。河村会長は、子どもが自ら本を手に取り読書する習慣の大切さを指摘し、「フォーラムを契機に、思いを新たに子どもの読書活動のために邁進してほしい」と述べた。
文部科学大臣表彰では、子どもの読書活動優秀実践校136校、優秀実践図書館47館、優秀実践団体・個人47団体・6名を表彰。代表で表彰を受けた埼玉県羽生市立羽生南小学校・矢野渡、長野県茅野市立北部中学校・畑中紀之、神奈川県横浜市鶴見図書館・橋本有香子、山梨県・原庚徳の各氏が実践事例を報告し、「これからの読書活動に期待すること」をテーマに対談した。また、絵本作家のとよたかずひこ氏が「小さな人たちへの応援歌」と題して講演した。

出版販売金額6・9%減少/雑誌が初めて2桁マイナスを記録/出版指標年報

全国出版協会・出版科学研究所が発行した『2018年版出版指標年報』によると、2017年の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比6・9%減の1兆3701億円となった。内訳は、書籍が同3・0%減の7152億円、雑誌が同10・8%減の6548億円。販売金額のマイナスは13年連続で、減少幅は過去最大となった。また、雑誌の売上は初めて2桁マイナスを記録した。
〔市場は縮小するも話題書相次ぐ/書籍〕
書籍の推定販売金額は7152億円で、前年比3・0%減少。11年連続のマイナスになり全体では伸び悩んだものの、爆発的な売行きを示した話題書が多く登場した。文芸書や学参、教養新書の売行きは前年を上回り、児童書も前年の水準を保った。一方、文庫本やビジネス書、実用書は前年実績を下回った。
推定販売部数は同4・2%減の5億9157万冊と6億冊を割り込んだ。特にここ数年は、販売部数で3割近くを占める文庫本の低迷が大きく影響している。
金額返品率は36・7%で同0・2ポイント減。新刊配本部数の適正化とともに、重版も市場の実勢に合わせて小まめに行ったことで返品率を引き下げ、3年連続で改善した。
新刊点数は7万3057点で同2・6%(1982点)減。内訳は、取次仕入窓口経由の新刊が同3・7%減の5万1536点、注文扱いの新刊が同0・1%増の2万1521点だった。取次仕入窓口経由の減少は5年連続で、特に文庫本や小・中学生向け学参の減少が目立った。新刊推定発行部数は同2・4%減の3億1443万冊。
ジャンル別動向をみると、文芸書は、村上春樹の7年ぶりの長編小説『騎士団長殺し(第1部・第2部)』(新潮社)や、直木賞と本屋大賞をダブル受賞した『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)、『九十歳。何がめでたい』(小学館)など上半期を中心に大部数のヒットが相次いだ。『君の膵臓をたべたい』(双葉社)や『コーヒーが冷めないうちに』(サンマーク出版)は息の長いヒットを続けた。
ノンフィクション・読み物では、吉野源三郎の名著をコミカライズした『漫画君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)が異例の大ヒットを記録、年末には95万部に到達し、年明けにはミリオンを突破した。文庫本は既刊の販売不振が続き17年も苦戦。カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞し、早川書房の既刊文庫が年後半に大きく動いた。新書は『応仁の乱』(中公新書)などヒットが続き復調の1年となった。
児童書の売行きは微減。『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)が大ヒットし、切り口が似た書籍の刊行が相次いだ。学参は「うんこ漢字ドリル」シリーズ(文響社)がブームに。同シリーズを除いても前年を上回る売行きで、小中高校学参いずれも好調に推移した。
17年の単行本総合ベスト10は以下の通り。①九十歳。何がめでたい/佐藤愛子/小学館②蜜蜂と遠雷/恩田陸/幻冬舎③伝道の法/大川隆法/幸福の科学出版④儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇/ケント・ギルバート/講談社⑤騎士団長殺し(第1部顕れるイデア編・第2部遷ろうメタファー編)/村上春樹/新潮社⑥応仁の乱/呉座勇一/中央公論新社⑦新・人間革命(29)/池田大作/聖教新聞社⑧はじめての人のための3000円投資生活/横山光昭/アスコム⑨コーヒーが冷めないうちに/川口俊和/サンマーク出版⑩君の膵臓をたべたい/住野よる/双葉社
〔コミックスの落込み響き大幅減/雑誌〕
雑誌の推定販売金額は6548億円、前年比10・8%減と初の2桁減を記録し、20年連続のマイナスとなった。内訳は、月刊誌が同11・1%減の5339億円、週刊誌が同9・2%減の1209億円。月刊誌は、定期誌が同9・3%減、ムックが同9・6%減、コミックスは同15・4%減となり、コミックスの大幅減が雑誌全体の下げ幅拡大に拍車をかけた。
推定販売部数は同12・2%減の11億9426万冊。内訳は、月刊誌が同12・7%減の8億5062万冊、週刊誌が同10・9%減の3億4364万冊。推定発行部数は同8・5%減の20億5453万冊。推定発行金額は同7・1%減の1兆1631億円だった。平均価格は同1・4%(8円)増の566円と上昇を続けている。
不定期誌の新刊点数は、増刊・別冊が同6・3%(235点)減の3478点、ムックが同3・1%(278点)減の8554点。1号を1点とカウントした付録付き雑誌点数は、同1・7%増の1万2200点で、減少傾向にあったが再び増加した。
年間の創復刊点数は同4点減の69点で、分冊百科とパズル誌で半数以上を占めたが、そのほかでは女性誌の創刊が比較的目立った。休刊点数は同18点減の107点。『小学二年生』などジャンルを代表する雑誌が多数休刊し、Webメディアに移行する雑誌も多く見られた。雑誌の発行銘柄数は同80点減の2897点と11年連続減少。
〔コミックは成長続くが伸び鈍化〕
電子出版の市場規模は2215億円で、同16・0%増、金額で同306億円増加した。内訳は、電子コミックが同17・2%増の1711億円、電子書籍が同12・4%増の290億円、電子雑誌が同12・0%増の214億円。紙と電子の出版市場を合わせると1兆5916億円、同4・2%減になった。
コミックは伸長を続けているものの、伸び率は縮小した。無料または割引などの価格施策を各社がこぞって実施して飽和状態になりつつあるほか、違法海賊版サイトの横行で被害が拡大したことも鈍化の一因となった。雑誌は定額読み放題サービス「dマガジン」の会員数減により前年の大幅な伸びには及ばなかった。

29年度総会議案書について審議/大阪理事会

大阪府書店商業組合は4月14日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。
事務局からの庶務報告では、北区税務署より、6月理事会の冒頭で消費税軽減税率制度説明会の実施依頼があったことを報告し、了承された。
面屋理事長は、「粗利30%」に関連して、日販・平林社長の発言や自民党の議連の動向を説明。また、書店経営環境改善で出版社各社と懇談を重ねていることを報告した。続いて平成29年度通常総会議案書の29年度事業報告、30年度事業計画について面屋理事長や各委員会の委員長から説明が行われ、審議の上、議案書を承認した。各委員会の報告・審議事項は次の通り。
[総務委員会]
4月4日に29年度会計監査会を行い、監事から適正であるとして承認されたと報告した。
[読書推進委員会]
4月4日に「本の帯創作コンクール(帯コン)」の課題図書選定会議を開催したことを報告した。「販売のお知らせ」は議案書と同封して郵送することや、帯コンの実施要項・課題図書の新聞掲載日など、今後のスケジュールを説明。課題図書の陳列コンクールを今年も実施するので、写真を撮って取引取次に渡してほしいと呼び掛けた。
読書ノートについて、募集期間と抽選会、発送の日程や、後期達成者の新聞掲載日を説明した。
[図書館・情報化委員会]
3月26日の公明党大阪市会議員団への陳情と、3月30日の門真市・宮本市長と久木元教育長への陳情について報告した。
[レディース委員会]
レディースランチは7月18日に旧桜ノ宮公会堂で開催すると説明した。
(石尾義彦事務局長)

図書館問題、読書活動で陳情/門真市・宮本市長らを訪問/大阪組合

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は3月30日に門真市の宮本一孝市長と久木元秀平教育長を市長室に訪ね、図書館問題と読書活動について陳情を行った。
席上で面屋理事長は、大阪組合が14年にわたって大阪読書推進会として読書運動に取り組んできたことを説明。また、日書連の「全国小売書店経営実態調査報告書」をもとに書店の経営の実態を説明し、門真市の組合員書店は2店だと話した。
深田図書館担当副理事長は、門真市での図書館と学校図書館での装備費用の問題点、学校図書館の電算化と日書連MARCの実態について説明した。
これに対し宮本市長から、大阪読書推進会の「本の帯創作コンクール」と読書ノートへの門真市の小学校からの参加について質問があり、府下での学力のランクが低位置にあることから、読書が如何に重要であるかを指摘する発言があった。(石尾義彦事務局長)

スタンプラリー企画など組合事業の報告/奈良理事会

奈良県書店商業組合(林田芳幸理事長)は4月14日、大和郡山市の啓林堂書店で、30年度第4回理事会を開催した。
県教職員互助組合図書券の整理作業を行った後、議事に入り、林田理事長が「最近3店の閉店があり、大変厳しい。しかし新規加盟もあり、粘り抜いて本を売り続けられるよう頑張りたい」とあいさつした。
続いて、年末年始に組合事業として実施した「スタンプラリー企画」の経過報告と5月実施の「サン・ジョルディ企画」の推進状況の報告を行い、30年度総会は8月下旬に開く方針を決めた。次回理事会は6月4日に開催する。
(靍井忠義広報委員)

全国トーハン会代表者総会/書籍中心の流通に対応/複合事業拡大で売場改善図る

トーハンは4月24日、東京・文京区のホテル椿山荘東京で平成30年度全国トーハン会代表者総会を開き、書店、出版社、トーハン関係者ら総勢316名が出席。平成30年度の営業方針と主要施策を説明した。藤井武彦社長は、雑誌、コミックの売上が急減する中、書籍中心の流通に対応した売場改善や複合事業の拡大で書店サポートを強化していく考えを示し、「トーハンが業界構造改革の推進役を担う」と決意を語った。
総会の冒頭、藤井社長は「出版業界は未曾有の事態が起こりつつある。書籍の売上が比較的堅調であるのに対して、雑誌、コミックが急減している」と述べ、取引先書店の平成29年度POSベース売上高前年比は、書籍が98・2%、雑誌が93・0%、コミックが89・5%と報告。書店にとってメインの雑誌とコミックの売上低下がエリア書店の転廃業につながり、全国で書店ゼロの市町村が22%に達していると危機感を表し、「出版文化の維持発展の観点からも書店数の減少に何としても歯止めをかけねばならない」と訴えた。
こうした状況を踏まえ、同社の基本方針について「出版卸業を基軸とする出版総合商社として今期も様々な営業施策を企画・実行する。データに基づく品揃えや売場改善を提案し、製造卸機能を高めて新商品の開発を推進するなど、エリア書店のサポートを強化する。また、業界全体の構造変化に対応して事業領域を拡大し、書店とともに勝ち残る強い企業として発展を図りたい」と説明。
具体策として、①書店の店頭増売支援、②出版物に次ぐ大きな柱としての複合事業の拡大、③「Ponta」「楽天スーパーポイント」「dポイント」に対応する共通ポイントカード導入など需要喚起施策、④外商のバックアップ、⑤e‐honを活用したリアルとネットの融合――の5項目に取り組むとした。
業界の課題では物流、読書推進、出版物の消費税軽減税率適用をあげ、喫緊の課題として物流問題に言及。「相次ぐ運賃値上げ要請により、当社の平成29年度の運賃増加分は約13億円にのぼる」と厳しい現状を説明し、「コスト削減に取り組んでいるが、もはや単独でカバーできる状況ではない。業界全体で負担を分かち合っていく必要がある。昨年度から出版社と個別に運賃などの適正な負担のお願いや条件の見直し、業界全体での発売日設定の平準化、配送時間指定緩和など様々な対策を実施している。取次業界全体で物流インフラの共同化、協業化についても取り組みを進めている」と述べた。
さらに、最低賃金が過去5年間で10・2%上昇する一方、出版物の平均定価は過去5年間で書籍は4・5%増、雑誌は8・0%増と最低賃金の伸び率とアンマッチな状態にあると指摘し、「書店や流通関係では売上減少に加え人件費増加への対応が難しくなっており、収益力低下の傾向が一段と強まっている。このような状況を改善するため、積極的に定価を上げていただくことが必要ではないか」と出版社に訴えた。
出版物の消費税軽減税率適用については、「国民的コンセンサスの形成に向けて書店の声が大きな力を持つ。皆様と一緒に取り組みたい」と述べた。
業界全体の今後については「近い将来、雑誌、コミックではなく、書籍が出版流通の中心となる状況が到来する。委託制度も質的な転換を求められることになる」との見通しを示し、「書店や取次が自らリスクをとって売り切ることを前提にしなければ流通自体が成り立たない。返品率を中期的に半減させたい。書店も取次も委託制度に依存せず、仕入力・販売力を高める必要がある」と強調。「トーハンが業界構造改革の推進役を担う」と決意を語った。
「全国トーハン会プレミアムセール2017」販売コンクールの表彰では、大分トーハン会が前期、後期、総合で1位となり、大分トーハン会・二階堂進会長(文彰堂)が三冠達成の喜びを語った。
第2部の主要施策説明では、近藤敏貴副社長がスコアVや複合事業による売場変革、e‐honや共通ポイントを活用した集客など営業方針・施策全体を説明。店頭活性化プロジェクト、新商材開発、e‐honの活用について各担当者が詳細を説明した。

日書連のうごき

4月4日JPO書店マスタ管理委員会に事務局が出席。書店大商談会実行委員会に事務局が出席。定期会計監査。
4月10日書店環境改善で主婦と生活社訪問に舩坂会長、鈴木、面屋両副会長、井上理事が出席。
4月11日聖教新聞社書店説明会に舩坂会長が出席。会計士と決算作業。
4月12日学校図書館整備推進会議幹事会に事務局が出席。JPO運営委員会に柴﨑副会長が出席。
4月16日会計士と決算作業、申告書作成。
4月17日経済産業省IT補助金説明会に事務局が出席。
4月18日常設委員会・部会を開催。
4月19日九州雑誌センター取締役会に舩坂会長が出席。定例理事会を開催。出版物小売公取協監査会に小林、戸和両監事が出席。財務省主税局税制二課課長補佐・加藤博之氏による軽減税率制度説明会開催。図書コード管理委員会に藤原副会長、志賀理事が出席。
4月20日雑誌コード管理委員会に柴﨑副会長が出席。
4月24日活字文化推進会議に事務局が出席。全出版人大会役員会に事務局が
出席。
4月25日文化産業信用組合理事会に舩坂会長が出席。JPO運営幹事会に事務局が出席。出版物小売公取協で消費者庁、公取協連合会訪問に元永専務理事が出席。
4月26日万防出版対策本部に事務局が出席。

トーハン、日販とも4・8%減/ゴールデンウィークの書店売上

トーハン、日販の両社はゴールデンウィーク(4月28日~5月6日)の9日間の書店売上動向を発表。トーハン、日販とも期間合計は前年比4・8%減となり、前年を下回った。調査書店数はトーハンが1736店、日販が1989店。
【トーハン】
書籍は前年比0・3%増とプラスになった。一般・教養が同13・5%増、文芸書が同9・2%増と、高単価商品の売上好調が寄与した。このほか、日記手帳が同5・4%増、コンピュータが同3・7%増、児童が同3・6%増、法経・ビジネスが同3・6%増、理工書が同2・2%増、医書が同1・9%増、人文社会が同0・4%増と、昨年を上回る実績となった。
雑誌は同11・8%減で2桁の減少となった。内訳は定期雑誌が同13・4%減、ムックが同7・7%減。
コミックは同12・3%減。昨年同時期に大型新刊が発売となったこともあり、前年を大きく下回った。
MMは同16・9%増。人気ブランドの付録付きムックや人気アニメのDVD付き書籍などが好調で、前年を大きく上回った。
客数は同11・2%減、客単価は同3・6%増。
【日販】
雑誌は前年比10・1%減と前年を大きく下回った。内訳は月刊誌等が同11・2%減、週刊誌等が同13・4%減、定期誌計が同11・7%減、ムックが同6・6%減。
書籍は同2・3%減。文芸が同12・1%増、ビジネスが同6・7%増、児童が同5・9%増と好調だった一方、文庫が同10・2%減と低迷した。
コミックは同5・7%減。内訳は雑誌が同11・6%減、書籍が40・1%増、開発品が46・1%減。
開発品は同21・0%増と前年を大きく上回った。
開発品の伸長が雑誌、書籍、コミックの不振をカバーするには至らず、合計では前年割れとなった。