全国書店新聞
             

平成17年5月21日号

ISBNの13桁移行で出版者に通知

日本出版インフラセンターはISBN(国際標準図書番号)が2007年1月から13桁へ移行するのに伴う規格改訂のお知らせをすべての出版者に通知した。また、業界インフラ整備の一環として商品基本情報センターを設置していくことになり、商品情報の集配信、システム運営の費用として新刊1点につき5百円を負担するよう求めた。

出版人の自覚呼びかけ/読書の多様化の中で/出版人大会

出版文化の昂揚と発展を期し、出版クラブ主催で毎年開かれる全出版人大会が5月12日午後1時半から千代田区のホテルニューオータニで行われた。大会では戦後60年を迎え、国語力低下や読書離れが進む中で、出版業界は日本の未来を指し示す羅針盤であり続けようと決意を新たにする大会声明を採択し、長寿者、永年勤続者を表彰した。
大会第1部式典では、体調を崩して欠席した野間佐和子大会会長(講談社)に代わり相賀昌宏副会長(小学館)が「出版界は昨年8年ぶりに前年売上げを上回ったが、実態はまだまだ厳しい状態が続いている。出版はコンテンツ産業という大きな枠の中で多様化、複合化が進むが、読書という行為は従来の形を超えて展開している。今年4月から個人情報保護法が施行され、よりきめ細かい対応が必要になってくる。メディアの表現・報道に対する社会の目が厳しくなっていることを自覚し、出版倫理綱領等への意識も高めなければならない。大会を期に、出版人としての自覚を新たにしていきたい」とあいさつ。
江草忠敬大会委員長(有斐閣)が朗読した大会声明を拍手で採択したあと、小泉顕雄文部科学大臣政務官が祝辞。出版業界に対して「情報と良質の文化を提供し、わが国の文化発展に尽力してほしい」と呼びかけた。続いて黒澤隆雄国立国会図書館長は、出版業界の国会図書館納本への協力に感謝したあと、「ネット利用者が国内で6千万を超えるまでになった中で、日々消えていくコンテンツの保存についても法制化を考えている」と、当面する課題を述べた。
古稀を迎えた長寿者表彰は41名、永年勤続者460名。朝倉邦造副会長(書協理事長)が長寿者に寿詞を述べたあと、藤原一晃氏(白水社)が謝辞。「昭和33年に入社し、30年代後半から40年代の活気に満ちた時代に仕事ができたことが喜びで、いつも読者と一緒だった。21世紀の文化をリードするのが出版業界の使命。今もって書物への興味はさめやらない」と、意気軒昂なところを披露して拍手を浴びた。
永年勤続者表彰では佐藤政次氏(オーム社)が、永年勤続者代表の竹内伸介氏(中央経済社)に表彰状と記念品を手渡した。このあと表彰者を囲んで懇親会が行われた。

中越地震の被災105校に図書2万冊寄贈

読書推進運動協議会、日書連など出版8団体で構成する「新潟県中越大震災の被災地へ本を贈る会」は、5月26日に被災地の小・中・高校と養護学校105校に図書2万1653冊を寄贈する。
被災地の子どもたちに心のケアをと、同会が図書の寄贈を呼びかけたところ、出版社85社の協力が得られ実現したもの。内訳は小学校52校、中学校31校、養護学校2校、高校20校。

萬田理事長勇退を表明/24日に理事長再選挙へ/東京組合

東京都書店商業組合は5月19日午後1時半から、東京・千代田区のホテルグランドパレスで総代会を開催。任期満了に伴う役員改選と、引き続き別室で開かれた第1回理事会で萬田貴久理事長が今期限りで退任する意向を表明したが、同組合は従来、選挙で理事長を選出する恒例になっており、新理事による投票の結果、萬田理事長が再選された。
萬田理事長は理事長受諾のあいさつで「総代会の席で申し上げたことが十分伝わっていなかった。昭和52年に東京組合理事に就任してから28年間にわたって理事を勤め、東京と立川を行き来する生活だった。古希を迎え、健康面の問題もあり、人心を一新するため辞任を申し出た。今日の選挙結果で指名いただいたが、24日までに理事の辞任届けを出す。4日間の理事長だが、その上で理事長の再選挙をして後任を決めてもらいたい。長い間、協力いただいたことに感謝する」と述べた。
東京組合では24日の臨時理事会で副理事長4名と常務理事を選挙し、日書連に送る3名の理事も決めることになるが、萬田理事長が東京組合理事を退任すれば、自動的に日書連理事へのエントリーもはずれることになる。26日の日書連総会は役員改選の年に当たるため、萬田会長に代わる新会長の選出が必至となる。

6月11日に岩手組合書店業務ソフト研修会

岩手県書店商業組合は6月11日午後1時から盛岡市大通1丁目のリリオで研修会を開催する。書店グループが開発した「楽樂本屋さんシリーズ」を紹介。参加申し込みはFAX019・624・6683番まで。

全出版人大会・大会声明

戦後60年、敗戦の痛手から立ち直り、今日の繁栄社会を築きあげた日本は、次の到達目標についての社会的合意を形成できないまま、あたかも燃え尽き症候群に陥っているかのようです。同時に、この現代日本を作り上げてきた枠組みも、政治不信・経済の停滞・犯罪多発などの社会不安・教育現場の荒廃など、あらゆる面できしみが生じ、見直しを迫られています。既存の価値体系に固執していては時代の変化に対応できず、グローバルな激動の中で取り残されていくのは必至です。
このような中で、出版界は文化の担い手として、最先端の情報をいち早く紹介し、社会発展に大きな貢献をしてきました。しかし、いまひるがえって自らに目を向けると、伝統に安住し仕組みの改革や整備が立ち遅れている姿に改めて気づかされます。日本が直面している問題は、そのまま、わが出版界が直面している問題でもあるのです。出版
文化が日本の未来を指し示す羅針盤であり続けるために、出版活動には文化性と経済性を兼ね備えた強い体力と確固たる理念が必要です。たとえば再販制度の運用や図書データの整備について語るとき、何よりもまず「読者のために」という原点に立ち返って考えれば、とるべき道筋はおのず
と見えてきます。
4月からは個人情報保護法が全面施行されました。個人情報が正しく保護され、人権が守られることは極めて大切なことでありますが、同時に言論や出版、報道の自由が保障されることが肝要です。歴史をひもとくまでもなく、それらの権利が奪われた後には苦難の時代が待ち受けていました。雑誌・書籍などの出版メディアヘの規制に対しては今後も毅然とした姿勢を貫かねばなりません。
情報技術の革新によって、コミュニケーションの形は多様化し、変化のスピードも加速度を増しています。そして「国語力の低下」や「読書離れ」など、出版の危機が語られない日はありません。しかし一方で携帯電話から生まれた作品が若い世代を捉え、十代の作家も次々に誕生してい
ます。生まれたときから電子機器に慣れ親しんだ世代が、新しい表現手段としてパソコンや携帯電話を自在に使いこなし始めたのです。読書推進の運動は、ブックスタート、読み聞かせ、朝の読書などさまざまな形で幅広く展開され、多くのボランティアに支えられて「読む喜び」の普及につながっていますが、この草の根の運動が、新たな表現手法を獲得した若い力とどのように手をつなぐか、それが問われています。また「国語力の向上」には「読書活動」が最も有効な手段の一つといわれています。出版界はこれらの課題に自覚的に取り組まなければなりません。
私たち出版人は先人の英知と情熱を継承して、こうした難問に立ち向かい、健康で希望に満ちた日本文化の創造に寄与していくことを誓い、大会声明といたします。第44回全出版人大会

特賞はスペイン旅行/書店くじ合同抽選会開く

春の読書週間書店くじ、雑誌共同企画の合同抽選会が5月9日午後5時半から東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で開かれた。
抽選会では日書連萬田会長が「書店くじは9・11事件以後、特賞の海外旅行を中止していたが、昨秋の書店くじで復活した。今年のサン・ジョルディ・キャンペーンは20年目を迎え、春の特賞もスペイン旅行。読書推進と活字文化再生を目的に出版社、取次の協力を得ながら進めて来た。改めて長年の協力に感謝する」と御礼を述べた。
続いて舩坂増売委員長が今年のキャンペーンについて報告。書店くじのほか、出版社共同企画は58社123誌で「心に残る1冊の本」募集を告知。この結果、ハガキ5968通、インターネット4509通の合計1万477通の応募があったことが報告された。
この応募の中から予備抽選で1000本を選び、サン・ジョルディのパーソナリティを勤める森川美穂さん、講談社森武文取締役がA賞・B賞各10名を選んで当選者を発表した。
森川さんは「春から毎日放送のレギュラー番組でサン・ジョルディの日をPRしている」とあいさつ。20年前、サン・ジョルディを日本に紹介した竹村亜紀子さんは当時のエピソードを語り、「これからも温かく見守って」と述べた。
春の書店くじ抽選は、児童図書出協小峰会長、書協山下専務理事、太洋社国弘社長、日販橋専務、トーハン風間常務の5名が射手となり、ボウガンで次々と当選番号を決めていった。
このあと、小峰会長が「サン・ジョルディの運動が実を結び子ども読書の日になった。力をあわせて読書の木を育てていこう」として乾杯の音頭をとった。
雑誌共同懸賞当選者
A賞(図書カード1万円)=北海道・小山静夫さん(会社員)など2百名。
B賞(同千円)=奈良市・高森仁美さん(学生)など8百名。

「声」/共通サービスカード考えられないか/世田谷区・川島書店・川島定雄

ポイントカードで公取委は消費者利益還元を望んでおり、大規模書店が次々に実施している以上、阻止することも出来ず、弱小書店は売上不振でなすすべを持たない。
打開策として、共通のサービスカードが考案できれば、大書店も参加するかと思う。かつて、全国共通図書カードが誕生する前、大書店間で「tomoカード」が流通したが、全国共通図書カードに吸収された経緯がある。春秋の書店くじを見直してでも、すっきりしたサービス制度が望まれる。
個々の自主性にまかせて競争が激化すれば、公取委は再販制度の廃止にシフトしており、危険な匂いもある。再販制度を護持するには著作者への呼びかけが重要ではないか。
再販制度は、独禁法23条で著作物についてのみ容認されているわけで、著作者側の日本ペンクラブや文芸家協会にコンタクトすることが出来れば、公取の発言も違ってくるのではないかと思う。
文士劇のように、作家、読者、書店も加わった交流などができれば、それも知的な読者サービスの催しだと思う。

2日目発売求める/北海道組合

北海道書店商業組合は5月13日、札幌市の組合事務所で5月定例理事会を開催した。
理事会では執行部からポイントカード問題などで報告があり、「図書カード」を使った日書連ポイントカードの研究を検討してほしいという意見が上がった。
また、発売日問題をめぐっては、「九州に続いて北海道も文化振興のため雑誌2日目発売を実現しよう」と運動を強化する意見が出された。
組合員拡大は、室蘭・文省堂の新規加入を承認。引き続き未加入店に加入をすすめる文書を送ることを決めた。厳しい財政状態を踏まえて6月の総会対策と任務分担を練っていくことを確認して閉会した。
(松山雄洋広報委員)

出版販売金額0.7%増加/8年ぶりのプラス成長/出版指標年報

出版科学研究所が発行した『2005出版指標年報』によると、2004年の取次ルートを経由した出版物(書籍・雑誌)の推定販売金額は前年比0・7%増の2兆2428億円で、8年ぶりに前年を上回った。内訳は書籍が4・1%増の9429億円、雑誌が1・7%減の1兆2998億円。書籍はミリオンセラーが7点出るなど好調で2年ぶりのプラス。雑誌は月刊誌が健闘したものの週刊誌が不振で7年連続マイナス成長になった。
〔ミリオン7点効果で4.1%増/書籍〕
書籍の推定販売金額は9429億円で前年比4・1%増。2002年以来2年ぶりのプラス成長となった。ミリオンセラーが7点と前年の2点を大きく上回ったほか、ベストセラー関連書もよく動いたことや、03年が前年比4・6%減だった反動が要因に挙げられる。また、推定販売部数は4・7%増の7億4915万冊。前年より3千万冊以上盛り返して8年ぶりに前年を上回った。出回り平均価格は前年比0・1%減でほぼ変わらないことから、購買動機は価格の安さといった外的要因ではなく、本の魅力、面白さであったといえる。
03年に前年比1・1ポイント上昇した金額返品率は、04年は2・1ポイント減の36・7%と大きく低下した。売れ行き良好書が多かったことと、部数の多いベストセラーを中心にPOS店のデータを活かした効率的な送品が行われた結果とみられる。送品(推定出回り金額)は前年より0・7%増と7年ぶりにプラスになった。
新刊点数は7万4587点で前年比2・7%の増加。流通ルート別の内訳では、取次窓口経由の新刊が2・1%増の5万6613点。03年には0・5%減と新刊ロット配本に抑制がかかったかと思われたが、04年は再び増加に転じた。注文扱い新刊は4・8%増の1万7974点で、自費出版の激増により大幅な点数増となった。
新刊推定発行部数は0・4%減の3億9636万冊で、前年の4・6%減より落ち込みは少なかったものの、送品の抑制が続いている。新刊平均価格は0・4%増の1217円と、わずかに上昇した。
04年売れ行き良好書の単行本ベスト10は別掲の通り。出版史上最多の初版290万部で刊行された『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』がトップで、「セカチュー」現象を巻き起こした『世界の中心で、愛をさけぶ』が2位にランクイン。3位の『バカの壁』は累計で374万部に達した。絶好調だった文芸書では、純愛小説が人気を集めたほか、史上最年少の受賞が話題になった芥川賞作品を始め文学賞受賞作にヒットが相次いだ。
〔休廃刊が172点と過去最多に/雑誌〕
雑誌の推定販売金額は1兆2998億円、前年比1・7%減でマイナス成長は7年連続となった。内訳は月刊誌が9919億円で0・6%減に止まったものの、大部数誌が多い週刊誌が3079億円で4・9%減と不振だった。長期不況、中小書店の廃業、インターネットの発展などが低落の要因だが、特に消費意欲旺盛な若者人口の減少が市場全体に影を落としており、これまで売上げに貢献してきたコンビニの鈍化も目立っている。
推定販売部数は月刊誌が1・3%減の19億2295万冊、週刊誌が7・0%減の10億4859万冊。金額返品率は月刊誌が0・6ポイント増の33・4%、週刊誌が1・0ポイント増の25・8%だった。
創刊点数は9点増の216点、推定発行部数は前年比27・1%増となった。『ピンキー』(集英社)『ニキータ』(主婦と生活社)『バーサス』(光文社)など女性誌・男性誌で創刊が相次いだが、創刊部数10~20万部クラスの企画がほとんどだった。創刊の多かったのはパチンコ・パチスロ関連、パズル誌、分冊百科など。
一方、休(廃)刊点数は前年より13点多い172点で、01年の170点を上回り過去最多になった。分冊百科の休刊が24点あったほか、実話誌やパソコン誌など時流を追った雑誌の休刊が多かった。また、『噂の眞相』など長期にわたって発刊された著名雑誌の休刊も目立った。
ジャンル別の動向を見ると、「児童」「女性」が健闘、「男性」は創刊は多かったが貢献度は低く前年並みだった。「経済」は株価上昇を反映してプラスとなり、「ムック」は韓流関連がヒットした。
〔04年単行本ベスト10〕
①ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(上・下)/J・K・ローリング/静山社②世界の中心で、愛をさけぶ/片山恭一/小学館③バカの壁/養老孟司/新潮社④グッドラック/A・ロビラほか/ポプラ社⑤蹴りたい背中/綿矢りさ/河出書房新社⑥13歳のハローワーク/村上龍/幻冬舎⑦川島隆太教授の脳を鍛える大人の音読ドリル、同計算ドリル/川島隆太/くもん出版⑧キッパリ!たった5分間で自分を変える方法/上大岡トメ/幻冬舎⑨いま、会いにゆきます/市川拓司/小学館⑩新・人間革命(12・13)/池田大作/聖教新聞社

週刊文春60万に迫る/昨年下期ABCレポート

日本ABC協会は昨年下半期の雑誌発行社レポートを発表した。今回の掲載は48社135誌。前年同期と比較した販売指数は週刊誌95・55、月刊誌93・62で、合計94・27となった。主要52誌の販売部数をまとめたのが別表。
総合週刊誌では各誌が部数を落とす中で「週刊文春」が前期から5千部伸ばし59万部台と60万部に迫る勢い。「週刊新潮」も53万部弱で、2誌が50万台。一方、「週刊現代」は前期比3万部減らし49万台、「週刊ポスト」も8万部減で47万台と明暗が分かれた。
女性週刊誌は「週刊女性」「女性自身」の2誌とも2期連続でプラス。「女性セブン」も前期比1万部増で40万部目前となった。
女性ファッション誌では「CanCam」が前期比6万部、前年同期比9万部増加して50万台と好調。逆に「non・no」は4万部減。28日発売のファッション・カルチャー誌では、前回52万部から43万部台に落ちた「with」が、今期は2万部増加し、回復基調にある。「MORE」は3万部減。

全国18店所で開催/トーハン児童図書展

トーハンは学校図書館の蔵書充実を支援する「05明日をみつめる子どものための優良図書展示会」を本社を皮切りに全国18本・支店で開催する。
展示会は小中学校の図書館や公共図書館を対象に、教科別・ジャンル別に約1万5千点を展示。また、移動展示会「05子どもの本の展示会」も7月にかけて全国69会場で開催する。

講談社漫画賞

第29回講談社漫画賞が決まった。児童部門は安野モヨコ『シュガシュガルーン』、少年部門は曽田正人『capeta』、少女部門は伊藤理佐『おいピータン』、ジョージ朝倉『恋文日和』、一般部門は三田紀房『ドラゴン桜』。贈呈式は6月20日午後6時から赤坂プリンスホテルで。

太洋社人事異動

太洋社は5月13日、7月1日付けの人事異動を発令した。部課長級の人事異動は以下の通り。
人事異動
東部営業部長(首都圏営業部長)木村玉治
仕入企画部長代理(同部次長)小林利夫
商品管理部長代理(同次長)佐藤修
首都圏営業部長代理(同次長兼首都圏チェーン店営業1課長)遠藤明泰
業務部長代理(同次長)
別所隆史
仕入部次長・書籍担当(書籍仕入調整課長)田中保秀
取引管理部管理課長(同課長代理)横田成治
仕入部書籍仕入調整課長(東部営業部北関東・甲信越・北陸営業課長)福江聡
東部営業部関東チェーン店営業課長(東京営業課長)関口浩一
業務部注文課長(関東チェーン店営業課長)八重田勉

近隣住民招き東京BCで児童図書展/日販

日販は5月28日、29日の両日、江戸川区西葛西の東京ブックセンターを一般読者にも開放し、「本と遊ぼうこどもワールド児童図書展示会」を開催する。
同センターは約16万冊の児童図書を在庫しており、読書推進事業の一環として2日間に限り近隣住民を招待して工作教室や読み聞かせ、お絵かき会など、本と出会えるイベントを企画している。開場時間は両日とも午前10時から午後5時。
例年、東京支店で開催していた「学校図書館によい本いっぱい運動」は、今年から同センターで8月31日まで開催する。

本屋のうちそと

「そちらのお店から買った文庫本が破れているので返品できますか?」という電話を受けました。普通なら交換してくださいと言うでしょうにいきなり返品とはどういうこと?と思い、「まずお持ちになってみてください」と返答しました。
数時間後来店されたので確認すると、ページの一枚が確かに破れています。いつ頃買ったのかを尋ねると一週間くらい前だと言います。レシートは無くしたとのこと。
さっそくパソコンにISBNコードを打ち込んでみました。売上実績が無い!うちの店のレジは関西の書店グループが開発したPOSレジです。レジで売上げた情報はもう一台のパソコンに送られ、書籍元帳に登録されるのです。入荷・売上・返品の日付もひと目でわかるようになっています。
そこでお客様には「こちらの商品は当店では販売実績がありませんが、他のお店で買われた商品ですね?」と自信をもって対応したのでした。
数年前にも同じようなことがあり、その時はお客様を疑いもせず、コミック三冊の返品に応じてしまったことがあります。後で考えると中古本を買ってきて、それを本屋に買わせる手口だったのです。
今回は悪知恵と戦うのに強力な武器のおかげでみごとに撃退することができました。でも、他のお店に行って同じことをやっていて、もしかしたら通用しているのかもしれないと思うと、指名手配写真でも作って情報交換したい気分です。
(あかり)

話題の本

◇『本屋でコーヒーブレーク』
本紙コラム『注目的新刊』を執筆する斎藤一郎氏が、本連載と日刊ゲンダイ、トーハン「しゅっぱんフォーラム」に連載したコラムを集めて『本屋でコーヒーブレーク』(遊友出版、定価1200円)を出版した。
第1章「本屋でコーヒーブレーク」、第2章「ユニーク書店探訪」は日刊ゲンダイのコラム。第3章「面白本を探そう」は書店新聞、第4章「本屋ぶらり見て歩き」はしゅっぱんフォーラムの連載で、それぞれ大幅に加筆した。
いずれも出版社の営業マンとして出入りした書店での出来事を取り上げており町の書店に対する熱い想いが伝わってくる。
◇『本と読者をつなぐ智恵』(新装版)
書店クリニックの仕事で全国の書店を飛びまわるノセ事務所代表・能勢仁氏が、26年前に出版した同名の出版販売実務書を出版メディアパルから新装版として復刊した。定価1600円。地方小出版流通センター扱い。
オリジナル版は産能大出版部から出されたもので、POSレジ、インターネットが普及する以前に書かれたが、販売の原点は年月に左右されないとして復刊に踏み切った。