全国書店新聞
             

平成15年4月21日号

加盟店7838店に

日書連組織強化委員会が4月1日現在で集計した各都道府県書店商業組合の組合員数調査によると、日書連傘下加盟店数は前年より450店、5・4%減って7838店になった。
この1年間の新規加入店は61店、脱退が511店。
組合員は35年前の昭和43年頃の水準(7886店)に戻ったことになる。
都道府県書店組合の1年間の加入、脱退をまとめたのが別表。
新規加入で最も多かったのは大阪組合の10店、次いで東京組合、三重組合の7店。
47都道府県組合の半数を越える25組合は1年間に加入が1店もなかった。
また、脱退数も東京組合の50店が最大で、以下、大阪の37店、福岡35店、愛知33店、北海道26店、埼玉22店、宮城・兵庫20店と都市部の減少が目立つ。
脱退数0は山梨、石川、鳥取、徳島の4組合だけだった。
この結果、前年4月1日との対比で組合員を最も減らしたのは東京組合の43店減、減少率4・6%。
愛知組合は33店減、減少率8・1%、福岡組合は30店減、減少率7・0%減、大阪組合は27店減、減少率4・8%だった。
対前年で2ケタ以上のマイナスは青森組合(10・7%減)、岩手組合(10・6%減)、富山組合(10・1%減)、佐賀組合(11・5%減)の4組合。
日書連傘下の加盟店数は昭和61年の1万2935店をピークに連続17年減少をたどっており、組合員数7838店は最も多かった時代の6割程度で、昭和42年(7800店)、43年(7886店)に逆戻りした数字。

抜本的見直し求める

4月8日の衆議院本会議で「個人情報保護法案」の趣旨説明がなされ、特別委員会の審議に回されることになったが、書協は4月11日付で「個人情報保護法案の国会審議にあたって抜本的な見直しを求める」とする声明を発表、個人情報保護の重要性は十分認識しているものの、言論・出版・表現の自由の観点から今法案には反対という考え方を明らかにした。
声明では、個人情報の使用をDM等の「商業的使用」と、雑誌・書籍等出版物の取材・表現過程で必要とされる「非商業的使用」に分け、■政府の修正案では出版物の個人情報の非商業的使用が制限されている、■報道・著述など5分野を適用除外にしているが、出版を報道・著述目的のみに限定するのは政府与党の恣意的な判断、■出版社を適用除外に明記しない限り特別な配慮を行うとは考えられない−−などと指摘。
出版社を法案の適用除外に明記するよう強く求めている。

各研究委員会が活動報告

日本出版インフラセンター(JPO)は4月16日午後3時から東京・音羽の講談社本館6階講堂で、出版業界関係者など約400名を集めて活動報告会を開いた。
主催者を代表して相賀昌宏代表理事、来賓の経済産業省情報経済課・新原浩朗課長があいさつ。
野間省伸運営委員長が同委員会設立経緯説明と運営委員紹介を行ったあと、各研究委員会委員長が以下の通り活動経過を報告した。
◇ビジネスモデル研究委員会(佐藤善孝委員長)昨年7月に設立し、業界で話題となったビジネスモデルを研究・検討している。
昨年8月に特許庁と面談し、自由な特許出願を制限しない活動等を要請された。
今後は特許庁と連携し、ビジネスモデル特許動向の情報を収集、業界に対する啓蒙を行っていく。
◇ICタグ研究委員会(奥脇三雄委員長)3月に設立した技術協力企業コンソーシアムを中心に1年間活動していく。
疑問点・要望をコンソーシアム会員にぶつけ、導入の可否や効果等を検討。
とりまとめを行った上で、来年3月に中間報告を発表する。
◇貸与ビジネス研究委員会(森武文委員長)貸与権獲得を目指し、コミックレンタル、貸本業者、まんが喫茶など関係業者との協議、著作権者と業界の意思統一を図る活動、経済産業省、文化庁との会合などを行ってきた。
今後は「貸与権」連絡協議会を設立し、著作権者と業界の窓口を一本化したい。
◇出版在庫情報整備研究委員会(橋本明委員長)読者の信頼回復を目指し、書誌情報、在庫情報など出版流通情報の共有基盤整備を研究する。
第1回委員会を4月中に開く予定。
このあと場内発言と質疑応答が行われたが、このなかで東京堂書店の大橋信夫社長(日書連常任委員)は「万引き被害で書店の採算性は極度に悪化し、日書連組合員は年間500店ペースで減っている」と深刻な実態を報告、ICタグへの期待と早期実用化を訴えた。

井狩春男の必殺まるす固め

☆正方形に近い判型に、赤いカバー。
変な女の子が、黒で描かれていて、その影が猫。
宇多田ヒカルの初めての訳本『エミリー・ザ・ストレンジ』(メディアファクトリー)を、たいがいの書店が目立つ場所に平積してくれてるのにそれほど売れてないようで、取次の週報、速報になかなかランクインしてこない。
あれ……、と思う今日このごろである。
あたりまえの話だが、本はまず出ていることが知られなければ売れない。
つまり、その本の情報が伝わっていなければ売れようはずがない。
どこに?読者と書店、取次。
それからマスコミ、ミニコミなどにである。
売れ行きを見ると、今のところ『エミリー』の存在を知っているのは、取次と書店ぐらいまでであるように思えてしまう。
「エミリーの見る夢は……」。
次の頁に答えが出ている。
「……あなたの史上最悪の悪夢」。
イラストが不気味だ。
「サロメ」を思い出してしまう。
この絵をイイと感じるのは、なんだかんだいって日本が平和なせいだ。
小生は、『エミリー』は発売と同時にベストセラーになるとばかり思っていた。
マスコミが、宇多田ヒカルが訳した!と大はしゃぎしてくれるだろうと思っていたのだが、それがない。
よくよく考えてみれば、彼女はアイドルではないから、ちょっとしたことではマスコミは騒がない。
歌手であるから、ファンは歌を聴きたいのであって、訳したぐらいの本などに興味を示さないのかもしれない。
肝心の読者がこの本の存在を知らない。
そう思っているのだが、あるいは……とも考えてしまう。
店頭で見て手にはとるのだが、パラパラと見て、買うまでもないとそのまま平積に戻しているのかも……。
小説のように立ち読みではなかなか良さがわからない本であればPOPなどが有効であるが、『エミリー』はすぐに立ち読みできてしまうから、読者が買う買わないの判断をその場でできる。
POPでススメル余地がない。
気に入って手元に置いておきたい。
何回も繰り返し読みたい。
そう思う人が少ないのか……。
『エミリー』は今の時代を生きる若い女性を描いていると思う。
生き方までを掘り下げていると読めるステキな本だと思うのだが、心の片隅では、ちょっと日本人女性には合わないかもと本を閉じるのである。

ブックファースト蛍池店出店を討議

大阪府書店商業組合は4月12日午後2時から組合会議室で今期理事任期最後の理事会を開いた。
主な審議事項は以下の通り。
〔出店問題委員会〕ブックファースト蛍池店が6月上旬、60坪でオープン予定。
電鉄会社の特権的地位を利用した腹立たしい出店ではあるが、近くに組合加盟店がないこともあり、組合への支店加入を要求するだけで説明会は開催しない。
〔出版販売倫理委員会〕大阪府青少年健全育成条例の改定案について、修正を求めたことに回答があった。
イ、他の陳列から60センチ以上離すという案を30センチに緩和するように要望したが、良い返事をもらえなかった。
ロ、目の届く範囲を3メートルから6メートルに緩和して欲しいとの要望には5メートルにすると回答があった。
有害図書の審議に出席して思ったことだが、有害図書を指定するだけでなく、優良図書を推薦して読書推進を図ることも必要と思った。
今後はそういったことも提言していきたいと報告があった。
〔その他〕次期理事会に期待することとして、以下の2点が提言された。
読書推進運動も大事だが、本を買ってくれる人を創る運動のほうがもっと大事。
大阪地区限定読書感想文コンクールなどの運動を創出できないか、関係団体と折衝したい。
消費税総額表示問題では、総額表示云々を問題にするより、何人たりとも文化生活を享受できると憲法に謳っているので、文化生活に欠かせない書籍類への消費税課税を撤廃させる運動を展開すべき。

「本のある風景」入賞作掲載

「世界本の日=サン・ジョルディの日」キャンペーンの一環として、サン・ジョルディの日実行委員会(萬田貴久委員長)は第4回「本のある風景」入賞作品を掲載したリーフレット(写真)を2万部作成。
東京ブックフェアや各地の文化講演会などで配布する。
「本のある風景」のタイトルで「本」をテーマやモチーフとする作品を募集したもの。
写真、立体作品、絵、イラストレーション、CGなど287点の応募があり、リーフレットには「サン・ジョルディの日」キャンペーンポスターおよび図書カードのビジュアル素材として採用された作品をはじめ入賞作20点が掲載されている。
また、同委員会では一般読者および著名人を対象とした「心が揺れた1冊の本」のアンケート結果をまとめたリーフレットをそれぞれ2万部作った。
一般読者対象のリーフレットでは3万8000通の応募結果を集計し、上位158点を紹介。
ベストテンは『ハリー・ポッターと賢者の石』J・K・ローリング、静山社『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス、早川書房『五体不満足』乙武洋匡、講談社『こころ』夏目漱石、新潮社『世界がもし100人の村だったら』池田香代子、C・ダグラス・ラミス、マガジンハウス『だから、あなたも生きぬいて』大平光代、講談社『白い犬とワルツを』テリー・ケイ、新潮社『塩狩峠』三浦綾子、新潮社『竜馬がゆく』司馬遼太郎、文藝春秋『ノルウェイの森』村上春樹、講談社。
また、著名人対象のリーフレットでは俳優・伊東四朗、映画監督・大林宣彦、作家・猪瀬直樹、歌手・細川たかし、アナウンサー・みのもんた氏ら20名のコメントを掲載している。

トーハン人事異動

(○昇任)〔機構改革〕1、ロジスティック部に桶川計画推進室を新設し、桶川建設準備室、桶川SCC事業準備室を廃止する。
2、情報システム部のSA戦略室を情報戦略室に改称する。
3、営業本部にCRM営業推進部を新設し、CRM推進室を廃止する。
4、EC事業部を新設し、営業本部のEC事業室を廃止する。
5、首都圏支社の東東京支店と西東京支店を統合し、東京支店とする。
6、物流管理第1部と物流管理第2部を統合し、流通管理部とする。
〔役員人事〕委嘱・桶川計画推進室長兼任、解・桶川建設準備室長兼任委嘱上席執行役員池田禮委嘱・CRM営業推進部長、解・改革推進部長委嘱執行役員正能康成委嘱・改革推進部長、解・大阪支店長兼近畿トライスセンター長委嘱執行役員近藤敏貴委嘱・首都圏支社GM、解・営業本部GM兼CRM推進室長委嘱執行役員石井孝文委嘱・雑誌営業部長兼コミック営業部長、解・特販第4部長委嘱執行役員野辺忠史委嘱・流通管理部長、解・物流管理第2部長委嘱執行役員吉浜茂〔退任役員〕執行役員(営業本部GM)小倉佳二執行役員(物流管理第1部長)石村忠昭執行役員(図書館営業部長)五十嵐勝男*石村氏は出版興行・代表取締役就任、五十嵐氏は・ブックライナー常務取締役就任。
〔人事異動(部長級)〕秘書室長(雑誌営業部長兼コミック営業部長)鈴木武則秘書室GM(秘書室長)青木國宏書籍営業部長(書籍営業部M)○野村博信図書館営業部長(同部M)○西尾寛任職員、命営業本部GM(営業本部GM)小倉佳二CRM営業推進部GMデベロプメントG(営業本部GM)中村大洋CRM営業推進部GMデベロプメントG(首都圏支社GM)関川立男EC事業部長(EC事業室長)○井上憲昭解・休職、命CS営業部長(休職・他社出向)○矢作孝志中部支社長(静岡支店長)○清水美成中部支社GM(中部支社長)高野正栄大阪支店長兼近畿トライスセンター長(中国四国支社SM)○下村敏夫特販第4部長(書籍営業部長)本川幸史流通管理部GM(桶川SCC事業準備室長)大田耕一商品整理部長(書籍営業部SM専門書G兼総合専門書センター所長)○池田政夫商品整理部GM(商品整理部長)宮崎朗休職・他社出向(CS営業部長)飯沼麻儀解・メディア営業センター所長兼任(マルチメディア営業部長)小島俊一ロジスティックス部SM兼桶川計画推進室SM(同部M)○栃木裕史監査室SM(特販第3部SM)岡部米国経理部SM財務G(同部M)○吉田尚郎情報戦略室長(SA戦略室長)沢田博書籍営業部SM専門書G兼総合専門書センター所長(特販第1部SM)鶴巻和儀本社営業センターSM(同センター所長)先山通義CRM営業推進部SMマーケット対策G(営業本部SM)松原憲仁書店経営推進部SM(同エリア営業G東部支社)柴豊特販第3部SM第1Gプ(同部M)○高田聡商品整理部SM(同書籍商品第1G)木原弘太郎休職・TCS出向(図書館営業部SM)大槻一雄休職・他社出向(休職・出版興行出向)池田晃

空白エリアに出店誘導

トーハンは4月11日付で平成15年度機構改革と役員人事、職制の人事異動を発表した。
藤井副社長が行った記者会見によると、機構改革では6年連続のマイナスという市場収縮の中で、平成15年度は売上減少に歯止めをかけ、反転攻勢で書店店頭の増売を実現するため、営業本部の強化に力点を置いた。
具体的には市場開発強化のため地図システムGISを導入して、地図情報をもとにトーハンの空白エリアに出店を誘導するほか、MDによる店頭増売施策の強化、送品精度の質向上を目指す。
また、書籍流通の拠点、桶川建設準備室、同SCC事業準備室を廃止して桶川計画推進室を新設。
着工に向けての準備を本格化する。
EC事業室は事業部に昇格させ、ライン機能の性格を持たせた。
職員の異動は108名で昇格が28名。
部長級の昇格は7名。
このうち、大阪支店長は中国四国支社シニアマネジャーの下村氏に、中部支社長には静岡支店長の清水氏が昇格。
熊本・金龍堂に出向していた矢作氏は再建の実績を買われ、CS営業部長に抜擢された。
広報室の佐川マネジャーは「朝の読書運動」の功労者として部長代理に昇格。

人事異動(○昇任)

◇小学館PS〔組織変更〕中部支社と東海支社を合併し、中部支社とする。
〔委嘱〕常務取締役営業本部長(特販支社長・営業企画部長委嘱を解く)小泉明允取締役特販支社長・営業企画部長(取締役関西支社長)加藤醇司〔昇任〕総務部長・システム推進室長(総務部長代理)○今津貞彦中部支社長・部長代理(同次長)○水野親男首都圏支社長・部長代理(同次長)○福井雄治CSC本部部長代理(同次長)○伊藤博志東部支社長代理・次長(東部支社課長)○水柿巧関西支社長(同副課長)○上島治之中部支社課長(東部支社副課長)○対馬安宏特販支社課長(同副課長)○西川雅司首都圏支社副課長(同主任)○渡辺光昭CSC本部長(CSC本部長・システム推進室長)山田忠男関西支社長(東海支社長)寺西洋教育関連事業部次長(特販支社次長)竹内章関西支社副課長(倒壊支社副課長)堀内輝義東部支社副課長(関西支社副課長)山脇督史中部支社課長(東海支社課長)苅和誠二中部支社副課長(東海支社副課長)古屋英世◇文藝春秋営業局長兼書籍営業部長兼受注促進部長(営業局次長)○名女川勝彦監理局次長(雑誌営業部長兼流通管理部長)○岩下仁雑誌営業部長兼流通管理部長(月刊「文藝春秋」編集部)羽田昭彦書籍営業部統括次長(同次長)○山本喜由書籍営業部統括次長(同次長)○星衛書籍営業部統括次長(同次長)○原田政美書籍営業部統括次長(事業部次長)○香田直子文庫・新書営業部統括次長(同次長)○勝野聡雑誌営業部統括次長(同次長)○中部吉志人雑誌営業部統括次長(同次長)○浅間裕美管理部次長統括(雑誌営業部次長)○平野国男受注管理部次長統括(文庫・新書営業部次長)○◎吉田真弓文庫・新書営業部次長(管理部次長)小野寺善昭文庫・新書営業部次長(同部)○竹下真美子雑誌営業部次長(書籍営業部)○池田雅子雑誌営業部次長(同部)○佐藤潔資料室次長(文庫・新書営業部次長)清田靖彦◇大和出版代表取締役常務(営業部部長)○塚田太郎取締役総務・経理担当(総務部長)○飯野芳雄◇自由国民社(4月7日)営業本部本部長・取締役(取締役・営業担当)深川章事業部教育事業部長(営業部長)白井隆営業部長(販売課長)○若林富夫営業部次長・流通販促課長(宣伝課長)石井悟書店販促課長(販売課係長)○小林彰◇PHP研究所第1普及本部普及部部長(同次長)○宮坂重徳◇ダイヤモンド社(4月7日)雑誌担当副部長(単店・エリア書店担当副部長)長村文子書籍担当副部長(書籍担当次長)○須崎美昭単店・エリア書店担当副部長(書籍・雑誌担当副部長)御明宏章

−無題−

◇森北出版常務取締役総務・経理・出版担当(企画開発マネジメント部副部長)○森北博巳取締役生産担当(生産マネジメント部部長)○田中節男*森北裕専務取締役は退任。

「読書エッセイ」優秀作を小冊子に

家の光協会は、読書にまつわる体験文を募集する「家の光読書エッセイ」を実施、その優秀作をまとめた小冊子『2002年度家の光読書エッセイ入選作品集「本はともだち」』をこのほど作成した。
55頁、非売品。
家の光協会では1978年度から22回にわたり「全国農村読書体験文」を募集してきたが、2001年度から応募対象を農村以外にも広げ、内容も改めて「家の光読書エッセイ」として再スタートした。
日書連など4団体が後援している。
第2回となった2002年度は、「本はともだち」をテーマに募集。
全国から寄せられた477点の中から、家の光読書エッセイ賞1編、優秀賞3編、佳作6編を選出した。
小冊子にはこれらの10編が収められている。

青少年読書感想文の課題図書決まる

第49回目を迎える青少年読書感想文全国コンクール(全国学校図書館協議会、毎日新聞社主催)の課題図書が以下の通り発表された。
応募作品は、各都道府県の地方審査と中央審査を経て入賞作を決定、2004年2月上旬に東京で表彰式を行う。
〔小学校低学年の部〕▽『ワニぼうのこいのぼり』内田麟太郎=文、高畠純=絵/文溪堂/1300円▽『おばあちゃんすごい!』中川ひろたか=文、村上康成=絵/童心社/1300円▽『いのちは見えるよ』及川和男=作、長野ヒデ子=絵/岩崎書店/1300円〔小学校中学年の部〕▽『ドングリ山のやまんばあさん』富安陽子=作、大島妙子=絵/理論社/1300円▽『そして、カエルはとぶ!』広瀬寿子=作、渡辺洋二=絵/国土社/1300円▽『ダンゴムシ』今森光彦=文・写真/アリス館/1400円〔小学校高学年の部〕▽『トウモロコシが実るころ』ドロシー・ローズ=作、長滝谷富貴子=訳、小泉るみ子=絵/文研出版/1200円▽『おじいちゃんの桜の木』アンジェラ・ナネッティ=作、アンナ・バルブッソ&エレナ・バルブッソ=絵、長野徹=訳/小峰書店/1400円▽『ハンナのかばんアウシュビッツからのメッセージ』カレン・レビン=著、石岡史子=訳/ポプラ社/1300円〔中学校の部〕▽『水底の棺』中川なをみ=作、村上豊=画/くもん出版/1400円▽『ホワイト・ピーク・ファーム』バーリー・ドハーティ=著、斎藤倫子=訳/あすなろ書房/1300円▽『ドッグ・シェルター犬と少年たちの再出航』今西乃子=著、浜田一男=写真/金の星社/1200円〔高等学校の部〕▽『エミリーへの手紙』キャムロン・ライト=著、小田島則子・小田島恒志=訳/日本放送出版協会/1300円▽『難民少年』ベンジャミン・ゼファニア=作、金原瑞人・小川美紀=共訳/講談社/1600円▽『ラフカディオ・ハーン日本のこころを描く』河島弘美=著/岩波書店/740円

吉川英治賞3賞

吉川英治国民文化振興会(野間佐和子理事長)が主催する吉川英治賞3賞の贈呈式が、4月11日午後5時から帝国ホテルで開催された。
今回受賞したのは、第37回吉川英治文学賞に原田康子氏『海霧』(講談社)、第24回吉川英治文学新人賞に福井晴敏氏『終戦のローレライ』、諸田玲子氏『其の一日』(共に講談社)、第37回吉川英治文化賞に、えりも岬の緑を守る会、菅波茂氏、東京シューレ、永井利夫氏・サヨコ氏夫妻。
贈呈式では野間理事長が「受賞の皆様のますますのご活躍と、お仕事の発展を祈ります」とあいさつ。
賞の贈呈に続いて選考委員の渡辺淳一氏、阿刀田高氏、堀田力氏が選評を行った。
受賞者あいさつで原田氏は「連れ合いも東京まで行きたいと言っていたが腰を痛めて動けず、一人寂しく札幌にいる。
かわいそうなのでネクタイでもプレゼントに買っていく」とユーモアたっぷりに語り、福井氏は「自分のスキルで対応できないことがたくさんありホネが折れた。
書いている途中で9・11テロがあり、第2次大戦について自分の世代が今書かねばならぬことをと思った。
このような形で報われ感無量だ」、諸田氏は「40歳近くに書き始めたので、もっと早くしていればと負い目になったが、いろいろ経験があったからこそ気を散らさずに書いてこれた。
楽しんで書こうと思った矢先の受賞でとてもうれしい」と述べた。

向田邦子賞に倉本聰氏

第21回向田邦子賞(向田邦子賞委員会主催、東京ニュース通信社共催)の最終選考会が4月7日に渋谷の東武ホテルで開かれ、「北の国から2002遺言」を脚本した倉本聰氏の受賞を決定した。
向田邦子賞は1982年に制定され、テレビドラマの脚本を対象に最も優れた脚本作家を年間賞の形で表彰している。
「北の国から」は、多くの視聴者を感動させたライフワーク的作品と、作家としての卓越した才能と技量が各選考委員から高い評価を受けた。
贈賞式は5月20日午後6時半より帝国ホテルで開催、倉本氏には本賞の特製万年筆と副賞300万円が贈られる。

講談社出版文化賞の受賞者が決定

平成15年度講談社出版文化賞5部門の受賞作が以下の通り決定した。
贈呈式・祝賀会は5月21日午後6時よりホテルニューオータニで行われ、受賞者には正賞として賞状・記念品と副賞100万円が贈られる。
◇さしえ賞白浜美千代氏「酷薄な天国」(「オール讀物」)、「憧れの地獄」(「小説推理」)◇写真賞藤代冥砂氏「新潮ムック月刊シリーズ」(新潮社刊)◇ブックデザイン賞中島英樹氏『アルゼンチンババア』(ロッキング・オン刊)◇絵本賞長谷川義史氏・絵、日之出の絵本制作実行委員会・文『おたまさんのおかいさん』(解放出版社刊)◇科学出版賞林純一氏『ミトコンドリア・ミステリー』(講談社刊)

出版年鑑+書籍総目録の2003年版

日本書籍出版協会と出版ニュース社は、『出版年鑑+日本書籍総目録』の2003年版を5月下旬に発行する。
出版ニュース社発売、B5判・函入2分冊(3200頁)と日本書籍総目録CD−ROMの構成で、定価本体35000円(分売不可)。
第1巻『出版年鑑資料・名簿』は「年間史年表」(出版概況、書籍・雑誌動向、出版業界の動向など)、「法規・資料」(2002年の著作権事例)、「統計・資料」(出版社別新刊書籍発行点数など各種データ)、「名簿」の4編で構成。
第2巻『出版年鑑目録・索引』には、書籍目録、雑誌目録、電子書籍目録、CD−ROM/DVD出版物、オンデマンド出版物目録索引を収録する。
第3巻『日本書籍総目録CD−ROM』には、出版者のホームページアドレスを始め、書籍63万点、著者件数24万件、出版者数7600者を収録。
LAN対応となったことで図書館・学校・会社等で共有データベースとして活用でき、検索機能がより使いやすくなったほか、検索した書籍をダウンロードして好みのデータベースに構築可能。

本屋のうちそと

60年代の国会で、アメリカとの関係を問われた椎名外務大臣が「アメリカは日本の番犬」と答弁、それを咎められ「番犬様に訂正します」と答えたというエピソードを、佐高信の本で読んだことがある。
今からみれば敗戦後20年、日本がようやく自信を取り戻しはじめた時代であった。
突然こんな事を思い出したのは、アメリカのイラク侵攻に対する日本政府の態度があまりにも情けないからだ。
小林よしのりから「ポチ保守」と言われても「ポチで何が悪い」と居直る議員には椎名の「痩せても枯れても」というプライドすらない。
漫画家石坂啓は「国益」という名目でアメリカの言いなりになる日本の立場を「ドラえもん」のジャイアンとスネ夫で説明する。
曰く「気に食わないとすぐ暴力に訴えるジャイアンに、小金持ちのスネ夫は機嫌をとりながらひたすら貢ぐ。
そんなスネ夫をジャイアンは決して尊敬していない」と。
フランスやドイツがアメリカにはっきりとモノを言えるのは「友人」だからだろう。
訳知り顔の評論家は「打算だ」と言うが、シラク大統領やシュレーダー首相の言葉には世界を納得させる道徳的権威が感じられる。
ドイツと同じ敗戦国でありながらスネ夫の道を選んだ日本は、憲法第9条にションベンしながらジャイアンにシッポをふりまくる。
“何でだろ何でだろ”と問うても、目の前の「国益」しか見えないスネ夫的首相に、納得出来る回答を期待するのはないものねだりというものだ。
(どんこ水)