全国書店新聞
             

平成14年7月1日号

9月末日で付与中止/ブックファースト神田駅前店/ポイントサービス

神田駅前ポイントサービス競争の発端となったブックファーストのポイントサービスが9月30日で終了することが明らかになった。6月17日の日書連理事会で報告になったもの。同店は9月いっぱいでポイントの付与をやめ、ポイントの引き換えも06年9月で終了する。6月理事会の主な報告は以下の通り。〔再販問題〕
ブックファースト神田駅前店のポイントサービスが今年9月30日をもって終了することが岡嶋委員長から報告になった。
ブックファースト神田駅前店の案内によれば、①同店の実施していたポイントサービスは今年9月30日まで付与し、10月1日以降は付与しない、②読者が集めたポイントカードは2年後の2006年9月30日まで500ポイントごとに500円の「ブックファーストギフトカード」と交換する、③500ポイントに満たないポイントについては「サウンドファーストポイントカード」にポイントを振り替えるというもの。
同店は10月1日から「サウンドファーストポイントサービス」をスタートさせ、出版物をのぞくCD、DVD、ビデオを対象にしたサービスをスタートさせる予定。還元率は5%。
萬田会長は「今春、取次週報に発表された『ポイントカードは再販違反』という告知は一定の抑止効果があった。取次の報告によれば、ポイントカードを中止した書店が41社ある」という判断を示した。
〔情報化〕
理事会の席に出版倉庫流通協議会・大竹靖夫代表(昭和図書)が訪れ、同協議会設立の経緯と現在の取り組みを説明した。
昨年8月に発足した協議会は昭和図書、河出興産など出版倉庫会社21社を中心に古紙会社、システム会社などを加えて会員33社。出版業界受注ネット一元化、物流整備に向けての活動を精力的に行っている。大竹氏によれば、現在、取次とネット受注が可能な出版社は300社程度。これが千社に拡大すれば出版物流の90%をカバーするといい、その物流を代行する出版倉庫会社60社の共同ネット環境を整えようというのが狙い。倉庫協会員社の扱っている出版社は602社で全出版在庫60万点のうち35万点を扱う。
大竹氏は「われわれの強みは在庫情報の提供だが、書店の側から必要な情報を提示してもらい、反映していきたい」と要請。日書連も同協議会の会員になることを決めた。
日書連マークを利用した学校図書館納入研修会が各地で活発に開かれている。北海道はすでに3回目の開催。志賀委員長は「書店の不勉強がまだまだ目立っている。石川、富山、福井など未開催の県は早急に開催してほしい」と呼びかけた。
また、旧バードネットのCD―ROMによる書誌情報の提供は、いまだにMS―DOSで作られており、7月末をもって提供を終了すると述べた。
〔指導教育〕
東京都青少年健全育成条例の改正をきっかけに、コンビニ業界でつくる日本フランチャイズ協会が不健全図書に未成年者が閲覧できないための包装・帯封を求めていた問題で、出版業界は雑誌の小口部分に幅3センチ以上のシールを貼ることを決め、7月1日から実施する。
この自主規制について丸岡委員長は「条例改正で個別指定が強化され、不健全指定図書は書店が包装、表示図書は出版社が包装することになった。CVSは表示図書を扱っていないが、過剰反応してグレーゾーンの雑誌も帯封を求めた」と経過報告。「自主規制が基本なので、シールを貼る、貼らないは出版社の判断に任せられる。都条例に対する対応だが、シール止めの雑誌が全国に波及することになる」と、問題点を指摘した。
〔スタートアップ〕
全国展開を始めて3年目になる雑誌月間「雑誌定期購読キャンペーン」は、東京と愛知を重点地区に7月から読者の申し込みを受けるが、井門委員長は「雑誌購買の新しいシステムとしてビジネスに育てていきたい」と説明した。
ICタグの研究については、経済産業省の指導で新古書店における買い取りに利用するテストが行われたことが報告になった。井門委員長は「客の持ち込んだ書籍が書店のレジを通ったかなど履歴がわかる。トレーサビリティと装着方法など方向性を探っている」と述べた。

8日、青森で書店東北ブロック大会

7月8日(木)、9日(金)の両日、青森県鯵ヶ沢町「ホテルグランメール山海荘」で開かれる。8日は午後2時開会。3時から特別シンポジウム「出版業界の再生と地域書店の活性化」。日書連萬田会長、日販阿部副社長、トーハン野辺執行役員、藤原東北ブロック会長、青森組合鶴谷理事長が発言する。翌9日はミニ白神観光とゴルフ。

全国書店新聞1500号記念論文募集

日本書店商業組合連合会の発行する機関紙「全国書店新聞」は、昭和41年5月15日創刊以来、本年7月11日付で1500号を数えることになりました。これを記念して、日書連広報委員会では書店経営者、従業員(パート・アルバイト含む)の方から「書店業務、私の提案」を募集します。書店の日常業務でこう工夫したら成果が上がったという事例や、こうすれば成果が上がるという具体的な提案をご応募ください。仕入れ・電子発注・陳列・POP・接客・催事・棚管理・万引対策・注文対応・朝礼・情報収集・ホームページの活用・社員研修など、書店の業務に関連することなら、どんなことでも結構です。応募要綱は以下の通りです。

〔テーマ〕「書店業務、私の提案(アイデア)」
〔字数〕1600字以内
〔応募資格〕都道府県書店組合加盟の書店なら経営者、従業員、パート、アルバイトを問いません。グループによる応募も可。
〔締め切り〕平成16年7月31日到着分まで
〔応募方法〕書店名、書店所在地、氏名、年齢、勤続年数を添えて、郵便または電子メールで左記宛へご応募ください。
〒101‐0062東京都千代田区神田駿河台1‐2日書連「1500号アイデア募集係」またはXLD07116@nifty.ne.jp
〔審査〕日書連正副会長ならびに広報委員会委員により厳正審査
〔入選〕入選作10名に賞金各2万円を進呈
〔発表〕平成16年10月1日号
〔その他〕応募作品は返却いたしません。入選作の版権は日書連に所属します。以上

共済会給付

(16・5・20~16・6・16)
▼病気傷害上田市中央3―8―8平林堂書店平林茂衛殿20口
▼死亡弔慰四日市市御薗町1―94鈴鹿書房藤堂豊八殿2口
伊勢市八日市場町3―26有文堂岩田功殿
高松市八坂町1―10松岡書店松岡繁殿
▼前名義人死亡(飯田晋)
清瀬市松山1―10―2飯田書店飯田信也殿10口
▼配偶者死亡(川合佐登美)杉並区阿佐ヶ谷北2―15―3川合芙蓉堂川合義人殿
▼その他被災(自動車飛び込み)仙台市青葉区川平1―5―25とりたき書店斉藤啓一殿1口5万円

5月期は98.5%に/景気回復基調にブレーキ/日販調べ

日販経営相談センター調べの5月期書店分類別売上調査がまとまった。これによれば5月期は平均98・5%で、3月の99・5%以来の前年割れになった。昨年12月から2月まで3カ月連続で前年クリアが続き、3月に0・5%減と若干のマイナスを記録したものの、4月は2・1%増と上向きだっただけに、後戻りの観が強い。
書店規模別では41~80坪店が92・8%と大きく落ち込んだ。雑誌93・1%、コミック91%と2ジャンルのマイナスが影響した。コミックの連続前年クリアは16
カ月でストップした。
文芸書は『世界の中心で愛をさけぶ』が映画のヒットと相乗効果で記録的な売行き。児童書は『ダレン・
シャン』の新作が好調で全体で109・2%の伸び。
客単価は1065・9円、99・9%と横ばいで推移している。

大阪も読書ノート配布/小学校3百学級程度へ/6月理事会

〔読書推進〕
大阪組合の働きかけにより大阪読書推進会、朝日新聞大阪本社の共催で「読書ノート」運動がスタート。朝日新聞大阪版に参加校募集のお知らせが告知されるや続々と申し込みが相次いでいることが面屋理事から報告になった。
大阪方式は府内の小学校300学級程度を対象に、学年単位で応募してもらい、本を1冊読むごとに学級で「読書ノート」にスタンプを押してもらうもの。30冊、50冊、100冊、150冊読んだ小学生は年に2回、朝日新聞紙上に名前を掲載。来春からは本のオビ創作コンクールも予定している。
面屋理事は「各市で市長賞、教育委員会賞を出してもらい、支部とのパイプが強化できればと考えている。大阪には小学生が50万人おり、広く読書に親しんでもらう運動にしたい」とした。
読書ノートの本家、神奈川組合からは、県教育委員会が推薦図書を掲載したパンフレット「おいしい読書していますか」を製作して書店に配布したことが報告された。
高須委員長は大阪、神奈川の取り組みを評価して、「いろいろな読書推進運動を生かして、増売につなげてほしい」と述べた。
〔流通改善〕
雑誌発売日問題の取り組みで森武文発売日本部委員長あてに申し入れる日書連の要望事項が紹介された。雑誌の全国同時発売に向けた取り組みとして、3日目地区の廃止、土曜発売『週刊新潮』の金曜発売などを問題提起し、タイムスケジュールの提示を求めた。
静山社の『ハリー・ポッター』第5巻は、同社からまだ回答がないことを藤原委員長が説明した。
神奈川組合からは横須賀市立図書館がファミリーマートで予約した本の受取や返却ができるサービスを開始したことの問題が報告された。山本委員は「実験的に年間60万円で業務委託したようだが、1日10~20冊程度の扱い」と報告した。
岐阜組合木野村理事長は2年前、岐阜県でも図書館とサークルKがタイアップし、宅急便を利用して1回315円で配送した事例を紹介し、「月に20~30冊程度の利用にとどまっているようだ」とした。
要望事項
1、全国同時発売を目指して、発売日格差の解消に努めていただきたい。
①まずは、3日目地区を2日目地区に繰り上げるご努力を願いたい。
②全国一律の早急なる改善が無理とするならば、努力目標スケジュールをご提示願いたい。
③土曜日発売の「週刊新潮」「週刊文春」「週刊女性セブン」を金曜日に繰り上げていただきたい。この件についても、努力目標スケジュールを提示願いたい。
2、沖縄地区の「週刊誌航空輸送」の早期実現に向けて、格段のご尽力を賜りたい。
3、「雑誌発売日励行に関する協約」と「契約」の普及と「正しい理解」の啓蒙を促進するために、強力な指導力を発揮願いたい。特に、悪質な違反に対しては資格の取り消しを含めた厳格な対応を願いたい。
4、年末年始、ゴールデンウイークなどにおける合併号を廃止し、レギュラー
発売を励行願いたい。
5、発売日は指定しているのに、同一地区同時発売に対し曖昧な姿勢を続けて
いる「週刊朝日」「サンデー毎日」発行元に、同時発売の趣旨徹底を行なっていただきたい。
〔増売運動〕
舩坂委員長から今年の「読書週間書店くじ」は特賞の海外旅行を復活し、フランスの旅を計画していると説明があった。
〔組織強化〕
鈴木委員長は7月委員会までに書店データベースを各県ごとにリストアップして提供するので、加入促進に役立ててもらいたいと報告した。
〔消費税〕
下向委員長から今後の税率アップの対応について秋にも研修会を開きたいと報告があった。複数冊購入、四捨五入、切捨てによる1円の価格差が出る問題では出版社と継続して話し合いたいとした。
〔広報〕
全国書店新聞は7月11日号で1500号を迎えるため、記念論文を募集することになったと募集要項を発表した(別掲)。
今年の全国広報委員会議は9月7日(火)午後1時から5時まで書店会館で開催する。
〔共同購買〕
ワイシャツのポケットにも入る薄型オリジナル手帳「ポケッター」2005年版は、13万部から14万部で見積もりをとったと中山委員長が報告。8月にも斡旋の申込書を全国書店に送付する。
〔共済会運営〕
日書連共済会の剰余金が昨年は単年度で2800万円の赤字で、2年連続でマイナスになった問題で、木野村委員長は「剰余金の減少に危機感を持っている。支出の見直しなど来月の委員会で検討し、9月の共済会委員長会議に提案したい」と述べた。

第16回愛媛組合通常総会/万引防止、地方出版物DB化などの活動を報告

愛媛県書店商業組合(井門照雄理事長)は6月8日午後4時より、松山市二番町のワシントンホテルにおいて第16回定時総会を開催した。
開会にあたり渡部理事(フジ書房)より総会の成立が報告された後、井門理事長を議長に選出し各議案審議が行われた。
事業報告では、昨年6月実施の「世界本の日・サン・ジョルディの日」文化講演会をはじめ、万引防止キャンペーンの推進、日書連共済会の加入促進、本年9月より実施される図書券の完全カード化、愛媛県地方出版物のデータベース化の進捗状況等が報告された。発売日励行委員会(松岡理事)からは、この1年間の違反件数の報告が行われた。これに対し組合員より今治地区で違反が継続している状況が発言され、委員会として早急な対応を約束した。
引き続き、光永専務理事(松山堂書店)より平成15年度決算報告、平成16年度予算案が報告され、各議案とも満場一致で承認された。
総会終了後、午後6時より出版社・販売会社21名の参加をいただき、和やかに懇親会が行われた。
(光永和史広報委員)

TRC問題、読書推進等で議論/近畿ブロック会

日書連近畿ブロック会(今西英雄会長)は6月19日午後2時より大阪市北区の大江ビルディング会議室でブロック会を開催、2府4県の各理事長ほか24名が出席した。各組合の現況報告と懸案事項が述べられた後、各論について議論した。主なものは次の通り。
①滋賀組合からは、図書館納入でTRCと入札を競争するには「装備込み図書」で入札するのではなく、図書と装備を分けて入札する体制に持っていくことが肝要との意見が出た。
②京都では、教育委員会は日書連マークを採用したが、現場の先生から異見が出て混乱していると報告があった。また京都組合実施の「書店へ行こう」キャンペーンは、対費用効果を考えると見直しの時期にきていると報告があった。
③大阪組合が取り組んでいる「大阪読書推進会」は、5月24日に朝日新聞社大阪本社で発会式、業界3団体による第1回実行委員会が6月15日に開催され、6月17日には朝日新聞紙上で読書ノート活動を社告し参加校を募集したことが報告された。結果として2日で応募枠が満杯になったこと、この好機を生かしてさらに「帯コンクール」を実施し、需要を惹起して書店を活性化したいと重ねて報告があった。また、6ヵ月雑誌定期読者獲得キャンペーン、シグマブック研修会、「こども110番の店」の旗配布についても説明があった。
④図書館電算化は、「各学校単位では導入予定がない」という話であっても、教育委員会が学校の頭越しに予算化することが多い。その場合競争相手に根こそぎ市場をさらわれてしまうため、「学校現場だけでなく、教育委員会など上層部からの情報収集が大事になる」と注意を喚起する意見が出された。
⑤雑誌発売日問題では「府県境に近い所で違反があった時、同じ業者がまたがって違反している可能性があるので、隣接する府県にもその情報を流してほしい」と要望があり、今後情報交換することにした。
⑥大阪の出店傾向としては、従来の大型書店空白地に「レンタル系」等の大型店の出店が増えていると報告があった。また超大型店同士の「仁義なき出店戦争」が各地で起きており、看過すべきではないと現状を憂える声が出た。現下の廃業店が多い状況では「廃業相談」などがあってもよいのではという身につまされるような話も出た。
⑦日書連の定款変更を受けて、各府県組合運営についても精査すべきものがあるという意見が出た。
なお、次回は9月18日、大阪組合会議室で開催される。(中島俊彦記)

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・市川久美子

◇2歳から/『フローラのもうふ』/デビ・グリオリ=作/山口文生=訳/評論社本体1300円/2003・3
フローラは眠れません。毛布のもうちゃんが無いからです。ママもパパもお兄ちゃんもお姉ちゃんも家中を探し、外も探してくれました。でも、見つかりません。とうとうママとパパは自分たちのベッドでフローラを寝かせつけます。すると、パパの枕の下に何かがありました。
◇4歳から/『きょうりゅうたちのおやすみなさい』/ジェイン・ヨーレン=文/マーク・ティーグ=絵/なかがわちひろ=訳/小峰書店本体1400円/2003・6
お父さんが「もう寝なさい」と言ったら恐竜たちは何て言う?お母さんが「もう寝る時間よ」と言ったら恐竜たちは何て言う?大暴れしたり泣きわめく?いいえ、やさしくキスをし、灯りを消し、布団を掛けて、ぎゅっと抱きしめキスをします。うちの恐竜ちゃんはどんな恐竜ちゃん?
◇小学校低学年向き/『うきうきしたら』/ジェズ・オールバラ=作・絵/たがきょうこ=訳/徳間書店本体1500円/2004・2
ある朝、シドは学校へ行く途中うきうきしてきました。すると、体が浮いて空高く舞い上がりました。友だちにそのことを話しても信じてもらえず、先生には注意されます。ションボリしているとお父さんが来て、やって見せてくれました。お母さんまで…。絵も心を大きくしてくれます。

日書連のうごき

6月1日中小小売商団体連絡会へ丸岡副会長出席。
6月2日出版クラブ理事評議員会、扶桑会総会へ萬田会長出席。
6月3日JPO盗品防止委員会へ山口委員他出席。
6月4日情報化推進委員会開催。
6月8日北海道組合総会へ下向理事。大阪屋友の会総会へ今西副会長。東京組合青年部総会へ萬田会長出席。
6月10日JPO運営委員会へ志賀委員出席。
6月11日出版再販研究委員会。日書連・東京組合合同再販研究委員会開催。萬田会長他で公取委細田官房人事課長訪問。学校図書館協議会四賞贈呈式へ大川局長出席。
6月16日指導教育、増売・読書推進、組織強化、共済会運営、共同購買、流通改善、消費税特別、再販研究、広報、情報化推進各種委員会。図書コード管理・マネジメント委員会へ井門委員他。書店渚会へ萬田会長他出席。児童図書出協と増売委、新刊セール問題で会談。
6月17日日書連定例理事会。共済会理事会開催。公取協連合会総会へ影山専務。太宰治賞贈呈式へ萬田会長出席。
6月18日出版平和財団役員総会へ萬田会長他出席。
6月21日JPO総会へ井門副会長出席。
6月22日JPO・ICタグ研究委員会へ山口委員他出席。
6月25日中小小売商連絡会サミット実行小委員会へ白幡専務出席。
6月28日JPO図書コード管理・WG会議へ柴崎委員他。藤沢市青少年相談センター運営協議会へ丸岡副会長。日本図書普及㈱株主総会へ萬田会長他出席。
6月29日中小小売商団体連絡会幹事会へ丸岡副会長出席。

図書カード一本化図った鳥取・島根の先行テスト

図書券から図書カードへ。日本図書普及㈱では昨年11月から鳥取、島根両県で図書券の販売を終了し、図書カード販売に一本化する先行テストを実施した。半年を経過した現地の販売状況、課題などを両県の書店と日本図書普及㈱に聞いてみた。聞き手は本紙田中編集長。
出席者(敬称略)
松江市・今井書店
今井直樹
出雲市・武田書店
武田直久
米子市・杉島書店
杉嶋運一
米子市・米子書店
松田雄生
日本図書普及㈱
平井茂
(司会)田中徹
〔5百円カードも発行/混乱なくスムーズに移行〕
司会山陰地区完全図書カード化について、鳥取、島根両県から4名の方にお話をうかがいます。最初に、簡単な自己紹介からお願いします。
武田創業は大正11年です。島根県の真ん中、出雲市で商売しております。私で家をつぶすという3代目です。(笑)。6店舗あります。
杉嶋私も3代目です。継ぎましてまだ4、5年で、初代が大正13年頃、今井兼文さんの時代に番頭か何かやっていて、そこからのれん分けして出発したと聞いています。店舗の場所は、当初は旧市役所のあたりで戦前までやっていて、戦後が駅前に移転して、30坪ぐらいですけれども、ずっと同じような地域密着型で、やってきました。
司会書店のお仕事を始める前は?
杉嶋パンとか菓子の製造販売を全国展開している会社で、本社の営業の商品企画とかイベントの仕事をやっていました。書店業は最初は戸惑いましたけれども、徐々に、自分がこれまでやってきたものをミックスしながらやっていこうかと考えています。
松田私の店も昭和の初めの創業です。米子の商店街の中にある店舗です。支店と呼べるほどのものではないですが、倉庫みたいなところが出雲にもあります。病院、医学書とかの外商を中心にやっています。東京で学校を終え、1年ほど千葉の堀江良文堂で修行をさせていただいて、帰ってまだ6年ぐらいです。
今井明治5年に米子で創業して、松江に出店したのが明治43年。世代としては5代目で、従兄弟と3人でいま経営に当たっています。グループとして25店あります。
司会書店業に入られて何年になりますか。
今井昭和45年に学校を出て、教科書のほうを専従した時代が20年ぐらいありますが、そのときも書店の役員をやっていました。長いわりには何も知りませんが(笑)。
司会最初に図書普及から、山陰地区で完全図書カード化がスタートした背景をお話しいただけますか。
平井はい。図書券は昭和35年からスタートして四十数年になります。図書券が30年目を迎えた平成2年に図書カードがスタートしました。現在、図書券の伸びは止まり、図書カードでプラスになる時代を迎え、そろそろ図書カード1本に絞り、書店の店頭をシンプルにできないかと考えていました。2002年夏に山陰地域で図書カード普及促進のキャンペーンをした結果、カードシェアは全国平均20%程度でしたが、こちらは30%まで伸びてきました。そこで、2003年春、鳥取、島根両県組合に申し入れ、山陰地区で先行してカード化していただけないかご提案しました。
そのときのアンケートでは両県で117店舗のうち75店から回答をいただき、「賛同する」が41店、「条件付き賛同」が26店あって、両方で90%の書店さんがOKを出していただきました。「反対」も8店あったのですが、まだ機械がついていないお店には機械を持参してお伺いし、ご理解をお願いしました。読者には昨年夏から地元紙を使って告知活動を行い、11月から完全カード化しました。書店からの圧倒的な要望は500円カードを用意してほしいということで、昨年10月からこの地区限定の500円のカードも発行しております。
〔まず書店側の頭の切り替え〕
司会当初、図書券を図書カードに切り替えることで、売上が落ちないかとか、機械操作、接客などの不安があったと思うのですけれども。
武田結論からいえば、お客さんは図書券も図書カードも日本語と英語との違いだけで一緒です。「図書券ください」と来られると、図書券は紙だという頭があるから、「図書券はありません」と返事をするわけです。「図書カードになりました」というと、図書カードとはどんなものですかと始まる。販売側の頭の切り替えが先だったという気がします。
杉嶋機械で読み取る、おつりが出ないということで、お客様はカードと券との違いは把握されていると思います。ただ、自分で使われるお客さんもいるし、贈答用に会社のお得意先にまとめて買われるお客さんもいる。そういう使い方を把握した上でお客様へ説明することに努めました。時代の流れでこの業界もカード化されるとお話しすると、だいたい理解いただけたと思います。
松田私のところもお客様に戸惑いはなかったと思います。「そうですか」と素直に受け入れていただけました。新聞広告なども使わせていただいて、周知するかたちで。
武田切り替わる上での混乱はなかったけれど、今でも機械の未設置店があるでしょう。お客さんとしては、「どこの書店でも使えますか」ということが気になる。そのへんは「島根県の未設置は7店舗ぐらいですから、ほとんど使えますよ」と説明したら、納得していただけました。
司会やはり500円カードは必要でしたか。
杉嶋行事とか年度替りの子供会のプレゼントといったご要望はあります。子供ですのでそんなに大きな金額は持たせられない。全員に500円ずつみたいな注文ですね。季節的なニーズですけれど。
司会お客様からクレームは具体的にございましたか。
武田なかったと思います。ただ、何月から変わりますという事前の告知キャンペーンを見て、書店の店頭から図書券はなくなったし、カードもどういうものかわからない。不安だからひょっとして別の商品券に流れたかもしれないですね。毎年、何かの会で買ってもらえるお客さんが今年はまだ来ていない。
司会図書普及の提案を受け入れるにあたって、島根組合として懸念はありましたか。
今井読み取り機をみんな入れてもらえるだろうかという不安はありました。ところが、皆さん入れてくださった。それから、おじいちゃん、おばあちゃんだけでやっているお店がカードになじむかという不安もありましたが、特にそういった問題も出ていません。
平井機械を持って促進に回ったとき、レジを打てるのであればこの機械も同じですよという説明をすると、だいたい安心されましたね。
今井もう一つは、山陰だけの完全カード化ですから、これまでの大口の客が図書券がほしいといった場合、県外業者に流れてしまうのではないか。山陰でも本店が県外にあるFCもありますので心配はしましたが、そういった事例もなかったようです。
〔機械保守料は無料に/豊富な図柄の要望増える〕
今井在庫の問題ですが、これまで図書券では500円券1種類の在庫でよかったものが、どうしても1000円、3000円、5000円カードと何種類も在庫を置かなければいけない。在庫負担が起きる心配もありました。あとは当然ながら500円カードはぜひほしいという要望が強かったです。
武田先月、カードの在庫を調べたら、全部で360万ぐらいありました。この時期に、こんなに持っていた覚えはない。図書券は1種類でよかった。高額でも束で持っていけばよかったのが、カードはピーターラビット、印象派と、お客さんの絵柄の要望がある。「お宅でないのならよそへ行きます」というのでは困る。お客さんから注文があったとき、1万円のカードがなくても5千円2枚でもいいわけですが、「1万円ください」と言われたら1万円カードを出さないといけないという先入観がある。そのへんの在庫がすごく膨れています。
司会不祝儀にピーターラビットは使えないですものね。
平井私どももそれは考えていまして、ある段階でピーターラビットははずしてしまおうかなと思っています。
武田いや、ピーターはだめですよ。ピーターのほうが需要は多い。
平井ピーターは、本来キャラクター商品で、図書カードを広めるために採用しました。ただ、どこかで1本に絞りシンプルにしていかないと、全部そろえると在庫が増える懸念はあります。種類は減らさないにしても、図書普及でメイン商品だけ宣伝するほうがいいでしょうか。宣伝してしまうと、書店さんは持たなければいけないですよね。
杉嶋2、3日前にたくさん買っていただいた取引先があります。会社で祝い事があってお返しで使いたいということでした。手元にある資料をFAXでお送りしたのですけれど、色がよくわからない。それで直接、図書普及のホームページで確認されて、注文が入りました。ホームページに示された中から何種類か、金額と種類を選んで使い分けされたと思うのです。1種類、2種類に限定するよりも、ある程度ホームページにアクセスして、数あるデザインの中から用途に応じて選んでいただく意味で、種類はあったほうがいいと思います。
平井山陰の書店さんからはもっと違う図柄はないのか、販売面からいろいろな図柄がほしいという要請が増えています。
今井地域によったデザイン、山陰なら山陰地区だけで販売されているということであれば希少価値が出て、全国的にそれをほしくなるような……。
司会テレホンカードのご当地カード、ふるさとカードのようなイメージでしょうか。松江城のカードであるとか。シジミをデザイン化するとか。何かしみじみした感じで(笑)。
今井ひとつのデザイン、遊び心というものではないかと思います。
武田そのコレクターが出てくるようになると面白いけれど。
〔寿、不祝儀と使い道は多様〕
杉嶋図書券と違ってオリジナルでつくれるから、これまで何かの記念にテレホンカードをつくっていた人が、図書カードをつくってというかたちがあるのではないか。値段が高いというのがありますが、写真とか建物とか。
司会結婚式などいいかもしれませんね。
平井あれは書店さんの入帳が100%ですから、みんなオーケーです。
今井ごく最近ですけれども、満中陰に使っていただきました。亡くなって、四十九日が過ぎた段階でご挨拶状と何か、お茶とかタオルとか送る。それに使っていただき、こういう使い方があるんだなと思いました。店頭販売のカードで不祝儀に使えるとか、いろいろ種類がほしいのですけれども、種類があれば在庫も多くなる(笑)。
平井そういうジレンマですね。
今井ええ。用途用途で種類があると、お客様は喜んでくださる。寿などというのはやはり必要ではないかと思います。
武田会葬御礼とかに本当は使えるのだけれど、葬儀屋さんの仕入れの値段もあるでしょう。葬儀屋さんに8掛で卸し、葬儀屋さんは2割儲けて、こっちもある程度、利益があってという世界だと使えるのですけれど。卸しが95掛けでは、ちょっとできない。結婚式とか祝儀は、業者はすごいマージンを要求します。個人が、どうしてもこれを使ってくれという声であれば、やむなく使うのですけれどね。
司会今までカードリーダーの不調はありましたか。
武田壊れて、うちから連絡したことがあります。
司会保守契約はなさっているわけですね。
武田ええ。NTTカードソリューションが来て対応してくれたのですけれど、松江にしか営業所がないので、半日か1日ぐらいは使えない。
平井午前中ですと、何とか午後には対応できます。夕方だとどうしても翌日になってしまう。
司会小型店で保守料金ほどカードで売っていないという店もあります。
平井保守料月額700円が高いか安いかは、書店さんの判断次第ですね。山陰地区は完全カード化ということで、この4月から保守料は無料にしました。
今井磁気不良のトラブルは、発生率はどれぐらいですか。
平井いま0・02%ぐらいです。これが高いか低いかは、ほかの事例があまりないのですが、われわれは高いと思っており、何とか下げたい。当社のカードはセキュリティを上げたことで弊害がちょっと出ています。14年間で偽造カードは一切ないのですが、セキュリティを複雑にしたので、ちょっとしたタイミングでエラーが出てしまう。これが迷惑をかけている面もあります。ただし1万円とか5千円カードを出していますので、ある程度のセキュリティは必要です。ハイウェイカードやクオカードに偽造が出るのは、シンプルにしているためです。
今井エラーが出たときの処理の仕方をマニュアル化してほしいですね。
平井専用の返信用封筒を用意していますので、お客さんに渡して送っていただければ送料もかかりませんし、いちばんシンプルかなと思います。
〔精算業務など省力化/半年でカード比率7割に〕
司会カード化したことで書店にどのような省力効果があったのでしょうか。
杉嶋それは券を数えて送る手間が削減されましたね。精算時の読取機も、うちは規模が小さく使われる頻度も少ないですけれども、お待たせするとか、500円券を何枚も使われて時間がかかるということはないです。メリットのほうが多く出ています。
平井図書カードの回収率は今年4月の数字で鳥取県は64・3%、島根は72・9%までいって、図書券は3割ぐらいまで減っています。ずいぶん早い切り替わりだと思います。
司会図書カードの長所として、従来のつり銭問題は一切なくなるわけですが、図書カードはパンチの穴が開く方式で具体的な残額がわからない。外商の出先などでは問題はありませんでしたか。
松田満額なら使えますという条件でお願いしています。図書カードを使ってしまおうみたいな感じで、わざわざ用意して待っておられる方もおられます。ただ、おじいちゃん、おばあちゃんからもらった図書券が図書カードに変わって、お子さんが漫画本とか買いに来る。図書券だとおつりを渡して終わりなのですけれど、「いくら残っているからまた使ってね」と説明しても、子供はそこのところがわかるかどうか。
今井贅沢な注文かもしれませんが、カードにパンチではなく金額で残額表示が出るとありがたいです。
司会レジ周りに置く読み取り機の大きさはどうでしょうか。
杉嶋書店はスペース的にレジ周りはいろいろな使い方をしています。だから、できるだけ小さいものを開発していただきたいと思います。
平井横とか縦は改良できると思いますが、奥行きだけは、カードが走るスペースがどうしても必要なのです。一定のスピードで走らせて磁気を読むため、奥行きが必要になってしまうのです。
それとドットプリンター。ダダダッというのが聞こえてくると、「あ、図書カードのお客さんだな」と思ってしまいます。
杉嶋賑わい的にはいいではないですか。売れている証拠で。
武田ただね、集金でもらってきたりするでしょう。千円カードを20枚ももらってくると、いちいち入れないといけない。そうするとガタガタと、本当にうるさいです。
司会たとえば外商先で、ハンディターミナルで読み取れるといいという意見もありましたけれど。
松田そこまでは必要ないですね。
平井外商全員に持たせればお店の数よりもっと必要になってしまう。
武田クレジットのCATが、1台10万円ぐらいするんですよね。それと同じぐらいの値段とすれば大変な出費だ。もうそのまま、穴が開いていないことを確認してもらってくるというかたちしか取れないですね。
平井クレジットのCATはロットが4万とか5万でつくっています。うちの機械はいま、十何年たってようやく1万何千台で、年間では2千台程度の発注です。メーカーは5万台発注すればいくらでも安くしますと言いますが、コスト的には専用機をつくっているような感じですね。
杉嶋カード化は導入するまで図書普及が準備から含めてきめ細かくやってこられていますし、全国展開も問題なくスムーズに行くと思います。その次の段階になりますが、この先、カード化を出版業界とリンクさせて、どう活性化の材料にしていくかを追求していく必要があると思います。最終形態は個人で持つカード、クレジットカードと同じような役割の図書カードで、決済は銀行口座から引き落としていくようなイメージですね。
もうひとつそこに機能を付け加えるなら、いま再販制度の中でポイントカードが制限されていますけれども、データベース化して年間購買金額が一定額になるとロイヤリティを付加することも可能だと思うのです。それが本の売上にも波及していって、全体的な活性化がなされていくのではないか。図書カード化といっても、ある面では図書券が図書カードに替わったという側面しかないので、それから一歩進んだところを何年かかけて研究していただきたいと思います。
司会出版社が多少上乗せすることも可能ですね。業界として、ヘビーユーザーへのアクションがあってもいい。
杉嶋ええ。使い捨てではなくて、普通のカードと同じようなかたちで使い続けられる。10万か20万で年間特典がある。年間千円しか買わないお客さんと、10万円も買っていただくお客さんとは差別化されていいと思います。
平井将来的にはクレジットなりチャージして使うなり、IC的なカードに切り替わる時代は来ると思います。紙ではできない、いろいろなことを今後研究してまいります。
司会図書普及ではこれから東北、山陽と順に展開していく予定と聞いていますが、今後展開していく地域に何かメッセージを。
今井いろいろ懸念はしたものの、思ったよりはスムーズに行ったというふうにお伝えください。
武田杉嶋さんがおっしゃったように、あと処理が非常に楽です。図書券を何百枚も、私のところでは何千枚ぐらいになるかもしれないし、取次に入帳する不安が電送で終わってしまうので、非常に安心です。
今井現金を持たずにすむということですからね。
武田ただね、図書カードはテレホンカードよりも使い出がない。電話ですと10円単位じゃないですか。でも500円の図書カードだと、コミックか雑誌1冊買ったら終わりではカードがもったいないような気もします。それでも図書カードの方がコスト的にいいとおっしゃるあたりがよくわからない。
平井コスト的には高いです。高いけれど、全般的な合理化を含めると、書店さんが楽になる、取次さんが楽になる、いろいろなところが全部楽になる。そのためにうちが費用を捻出するのは、やむを得ない。よく、図書普及はカード化を一生懸命進めて、ずいぶん楽になるんだろうなと言われるのですが、費用的にはずいぶん持ち出しです。機械代金とか、カード代金も20円かかります。紙ですと3円弱で済むのに500円のカードに20円もかけています。皆様のおかげで山陰のテストも順調にいっております。今年9月からは山口、広島、岡山、愛媛、香川、交渉中の青森を除いた東北5県で完全カード化について組合の同意をいただきました。これを踏まえて来年秋頃には全国の完全カード化に踏み切りたいというのが私どもの希望です。
司会今日はありがとうございました。

ふるさとネットワーク/北海道・東北ブロック編

〔北海道〕
青い海原を白い航線を曳いてフェリーが進む。右舷に船に寄り添うように背びれを出して泳ぐイルカの姿が見えた。大きな黒い魚が見えた、鯨だ!近くで見るとすごい迫力だ。
遠くに地球岬の灯台が白く見えてきた。まもなく白鳥大橋をくぐり鉄の街だった室蘭についた。重厚長大の時代から新しい街興しに取り組み始めている。工場群を観光資源としても新たな視点で位置づけ絶壁・鯨・イルカ・噴火湾・地球岬・白鳥大橋と興味は尽きない。
B書店の本社がここにある。創業は戦前。老舗が苦戦を強いられ激動する時代、お客さんの本社への苦情を神の声と聞き、共に育つ視点で「100年先を思う者は人を育てよ」と本物の時代にチャレンジしている。
名所の断崖のひとつに「アフンルパロ」(アイヌ語)がある。この世とあの世をつなぐ道といわれている。大いに期待したい。(松山雄洋広報委員)
〔青森〕
写真は「いとう」の養殖場を見学する青森県書店商業組合。
白神山地を水源とする赤石川に、全国でも珍しい「いとう」の養殖場がある。5年で60センチに成長した「いとう」は名物料理として味わえるほか、宅配便で全国に発送することも出来る。釣り師に有名な「赤石川の金鮎」は7月1日から解禁となる。美しい山々を眺めながらオトリ鮎を操り、世の中の煩わしさから開放されるのは友釣りの醍醐味である。近くの熊の湯温泉では鮎料理とマタギの主人の自慢話が待っている。
来る7月8、9日には東北ブロック大会(青森組合主管)が、ご当地鯵ヶ沢グランメールで開催される。白神の自然を存分に味わっていただきたい。シンポジウムは地方中小書店の将来をテーマとする。2日目にはゴルフか赤石川上流くろくまの滝の観光を準備している。各方面多数の参加をお待ちしております。(黒滝恭一広報委員)
〔秋田〕
「秋田わか杉国体のマスコット、スギッチです」――平成19年の開催に向け、日本体育協会、文部科学省の担当者による総合視察が6月3日に行われた。
大会本番にボランティアなどで参加してもらうことも1つの方法だが、それだけではもったいない。国体を地域づくりへの住民参加の好機ととらえ、開催地市町村などの実施計画づくりにアイデア、意見を取り入れる工夫、大胆な発想、柔軟な視点でチャンスを活かすための「アイデア合戦」、その中から地域づくりの新たな方向が見えてくるかもしれない。
さて、それまで秋田においでの方へは、その地区の書店にお願いし(ご希望にそえるかわかりませんが)、観光資料、地図など郵送したく思っております。ご一報ください。努力します。
連絡は木村(℡0187―63―4400)まで。
(木村和一広報委員)
〔岩手〕
以前も紹介しましたが、一関には「大言海」を作りあげた大槻文彦氏、「解体新書」をまとめた大槻玄沢氏、舞草刀という日本刀を生み出した所です。もう一つ、現在も一関市博物館で特別開催している「和算家たちの明治・大正・昭和」と題して一関の和算の基礎を築いた千葉胤秀の子孫でもある千葉勤氏がこの度博物館へ関係資料を寄贈し行われた特別展示です。この「和算」とは江戸時代に外国の影響を受けずに数学が発達し、漢字とかなを使って縦書きであらわす高度な日本の数学のことです。「和算」という言葉ができたのは比較的新しく、江戸時代の終わりごろ日本に伝えられた西洋の数学を「洋算」と呼び、それと区別するために考え出された言葉のようです。今でも一関と周辺の神社やお寺を訪ねると見ることもできますし、学習する人も多く、数学の絵馬である算額の奉納も行われております。(栗原秀郎広報委員)
〔山形〕
山形の初夏の味といえば、さくらんぼ。山形県はいまや全国の4分の3の生産量を占める「さくらんぼ王国」である。さくらんぼはトルコ原産のバラ科の果樹で、日本には明治の初め頃欧米から渡来し、全国に苗木が配布された。このとき試作されたさくらんぼは山形県以外ではほとんど失敗。夏は暑く、梅雨時も雨が少なく、風も強くないなど、さくらんぼが育つのに適した気候であることから、山形県だけが実績をあげた。
なかでも人気ナンバーワンの品種は「佐藤錦」。大正初めに東根市で誕生した。生みの親は同市の篤農家、佐藤栄助氏。甘いが日持ちのよくない「黄玉」と、酸味は多いが日持ちのいい「ナポレオン」を交配、育成試験を繰り返し、大正11年に「風味も日持ちもよくて、育てやすい」新品種を完成。「佐藤錦」の名は、「砂糖のように甘い」と「生みの親、佐藤氏」にちなんだものである。
〔宮城〕
組合活動活性化は地区担当理事の、地域書店間の連絡をどのくらい良くするかにかかっているが、これら運営をスムーズに行うためには事務局との連携が不可欠。幸い組合員と事務局との接点である塩川専務理事(仙台塩川書店)は丸顔の好々爺風で(まだ若い)、事務局とも目尻を下げながら円滑な関係だ。
組合活動を支えている事務局の2人は、古き良き時代の女であれば二大日本的美人の典型である般若型、お亀型の魅力あふれる女性で、主婦とは思えない若さに満ち満ちている。般若型が二瓶さん。前に商社勤務をしていた関係で瀟洒な感じのスラッとした知性派美人で吸い込まれそうな黒い大きな瞳。てきぱきした仕事ぶり。その好感度は組合員の90%を超えているようだ。お亀美人が星川さん。書店勤務経験もあり理解ある対応。ふくよかな肢体、つぶらな瞳で優しい笑顔。これまた組合員の90%を超える支持があると考えられる。彼女たちの存在が組合活動に柔らかい風を吹き込み明るい雰囲気を醸し出していることは論を待たない。
ファンからの問い合わせが増えて仕事の支障になると判断し、2人の写真は掲載しないことを付記して文責を果たしたい。(梅津理昭)
〔福島〕
会津若松市の西隣り、車で10分余りの所に位置する会津高田町は、粒の大きさが日本一といわれる高田梅、桐下駄、高田せんべいなどを特産とする、人口1万5千余の静かな町である。
この町の「あやめ祭り」は毎年6月15日から7月5日まで開催されている。
町民の憩いの場として親しまれている伊佐須美神社のあやめ苑を中心に色鮮やかな150種類、10万株のあやめが咲き誇り、名実ともに東北一といわれ、日本三大あやめ祭りの1つともいわれている。花の色も白、紫、青、赤、黄などバラエティに富んでおり実に美しい。
祭期間中、茶会(野立)やあやめ流し踊りなど、様々な催しがあり、あやめ苑内では清楚なミスあやめ3人が観光客を案内している。
その他7月12日の「お田植祭」も有名、会津にお出掛けの際は、近隣の町にも足を延ばされては如何、見所がたくさんあります。(佐藤良平広報委員)

「声」/天神ブック戦争の地から大書店撤退続く/久留米市・尚文堂・鹿子島慶正

福岡市天神は九州一の大繁華街、書店にとってはあの「天神ブック戦争」の地である。本来であればどの書店さんも繁盛してもらってご同慶の至りと申し上げなければならないところだが、現状はそうはいかなかったようである。
天神にある博多大丸の8階にある紀伊國屋書店が6月末で撤退することになった。大丸が「シャワー効果」(最上階に用事のありそうなモノを置いて、帰りに他のフロアに立ち寄らせる)を見込めずと判断したからだ。紀伊國屋は「採算がとれる優良店だったが、立ち退きの要請があれば仕方ない」といっている。大丸も勝手なもんである。天神地区のデパートに書店が登場するようになったのは90年代後半からである。96年9月にリブロが岩田屋で、97年10月に八重洲ブックセンターが三越に出店したが、リブロは去年9月、八重洲ブックセンターは01年1月に閉店した。
デパートの目論見は、最上階の書店で買い物客を誘致する「シャワー効果」を期待したのだったが、書店目当ての買い物客は予想より少なく、販売効率も低いため、各デパートも方針を転換したとみられる。聞くところによると同地区にある大書店も撤退するという噂がある。戦い済んで日が暮れて、というのか書店の不景気はまだ続きそうである。

人事

◇全国出版協会
(6月14日付、○印は新任)
▽理事長=上瀧博正(トーハン)▽常務理事=早川友久(出版科学研究所)▽理事=本吉敏男(アシェット婦人画報社)田中健五(日本図書普及)朝倉邦造(朝倉書店)赤尾文夫(旺文社)浜田博信(講談社)佐藤隆信(新潮社)谷山尚義(集英社)浅野純次(東洋経済新報社)山本昌之(家の光協会)並河良(光文社)○相賀昌宏(小学館)小林辰三郎(トーハン)▽監事=清水英夫(弁護士)藤井武彦(トーハン)▽顧問=服部敏幸(元講談社会長)相賀徹夫(小学館)
◇マキノ出版
(5月31日付)
代表取締役社長秋山太郎
取締役小西健一
同梶山正明
同山田典男
監査役田島恒祐

大阪屋/売上げ0.3%減/55周年に雑誌回復めざす

大阪屋は6月26日、大阪市西区の本社で定時株主総会を行い、第57期営業報告書、利益金処分案などを承認した。
同社の57期(平成15年4月1日~16年3月31日)売上高は1074億500万円(前期比0・3%減)、返品率は34・2%(1・3ポイント増)となった。部門別では、書籍は579億3100万円(1・1%増)、返品率35・9%(1・2ポイント増)。雑誌は482億3600万円(2・1%減)、返品率32・6%(1・4ポイント増)。教科書その他は12億3800万円(3・9%増)、返品率3・3%(0・9ポイント減)。営業利益は9億2700万円(2・3%減)、経常利益は5億2600万円(22・5%減)、当期純利益は3億1000万円(7・2%減)となり、減収減益の決算となった。しかし、創業55周年記念配当1株につき1円をプラスして1株7円の株主配当を行う。
第58期の目標は書籍616億7000万円(6・4%増)、雑誌511億700万円(5・9%増)、教科書その他14億200万円(13・2%増)、合計1141億7900万円(6・3%増)としている。
大阪屋損益計算書
(単位百万円)
売上高107、405
売上原価96、895
販売費及管理費9、581
営業利益927
営業外収益499
受入利息及配当金71
その他営業外収益427
営業外費用900
支払利息3
売上割引891
その他営業外費用6
経常利益526
特別損失79
税引前当期純利益447
法人税住民税及事業税97
法人税等調整額39
当期純利益310
前期繰越利益52
当期未処分利益363

「声」/ハリー・ポッター伝票日付で不安/匿名希望

9月1日に発売予定のハリー・ポッター第5巻の仕入正味についてご尽力いただきありがたいと思っていますが、もう1つ、大量発行部数の同書が輸送量の関係で2~3日前倒し、または分割発送の恐れがある。前受けは良いが到着の日に合わせた伝票日付だと、田舎の店頭現金販売一本槍でない当店なんかは、買切り、普通正味、8月末日の伝票日付の三重苦となる公算が大である。発売日を全国一斉に決めるなら、この辺も合わせて目配り交渉しておいていただきたいと願っています。

「声」/雑誌バーコード変更で不具合/杉並区・文彰堂書店・能一彦

6月1日から雑誌のバーコードが変更されるとのことで、当店でもレジの改造をメーカーに依頼して準備を行った。6月1日になって実際に使用することになった。ところが本体価格390円のコミックをレジのスキャナーで読んだら総額409円と打ち出された。このコミックの裏表紙には総額410円と書かれており、また今までは410円で販売していたのに、レジの表示は1円違って表示された。
それではと、このように裏表紙の総額表示額とレジのスキャナーで読み取る金額が1円違う雑誌はどれか調べた。ヨミウリ・ウイークリー、ぴあ、オズマガジン、東京ウォーカー、少年サンデー、少年ジャンプ、スタイル、ヴェリー等々、多すぎてピックアップしきれないこととなった。
この原因は、当店の改造後のレジでは消費税の小数点以下を切り捨てて計算しているからで、メーカーに来てもらって消費税の小数点以下を四捨五入方式に変えてもらった。その結果この1円の差はなくなり一安心した。
ところが6月4日になり週刊新潮と週刊文春が発売になり、お客様にはこの両誌をまとめてお買い上げいただく方がかなりおられた。ところが当店のレジではスキャナーで読むと、これを621円と表示してしまった(実際は620円)。実際の価格より1円でも多くいただくわけにはいかないので、1円はお返しした。以後、複数冊の雑誌をお買い上げのお客様には、手で価格を入力してお買い上げいただくことにした。
しかしバーコード読み取り式のレジを高い資金を投じて設備したものの、本の価格をスキャナーでなく手で入力しなければならないのは、まったく理解できないことである。メーカーの説明では「このレジではこれ以上の調整は無理で、これで勘弁してほしい。日書連の仕様によって製作したものであり、このようになるのは予想外であった。どうしても気になるのであれば、もっと高級な機種に買い換えていただくほかありません」とのことだった。
今まで消費税の表示方式として雑誌は内税方式、書籍は外税方式で表示していた。この方式は意味のある方式であり、雑誌の内税方式はキオスク等で迅速にお客様に対応ができ、つり銭の計算が容易にできるとの説明あったはずである。また、雑誌のように販売期間の短いものは書籍と異なり、税率が変わっても対応可能であるとの説明もあった。
今回雑誌を内税方式から外税方式に変更した理由はなぜなのか説明願いたいものである。財務省のご指導もこれからは内税方式なのではないか。雑誌は内税方式に戻し、スキャナーで読んだ値と表示してある総体価格を厳密に一致するようバーコードの印刷を行う方式に変更していただきたい。今回のバーコード表示を立案決定された部署の説明を聞きたいものである。