全国書店新聞
             

平成29年12月1日号

ポケッター斡旋終了のお詫び

長年に渡りご愛顧いただきました小型手帳「ポケッター」は、このたび2018年版をもちまして斡旋を終了することにいたしました。
お陰様で最盛期には25万部以上を製作いたしましたが、組合加盟店の減少とともに受注数が減り続け、本年はピーク時の15%にあたる3万6千部にとどまりました。製作部数が4万部を割り込み、製作コストが割高となることなどから、今回の判断に至りました。
ご利用会員の皆様には多大なご不便、ご迷惑をおかけいたしますこと、お詫び申し上げます。
何卒、事情をお汲み取りいただき、ご理解いただきますようお願い申し上げます。
組織委員会
委員長中山寿賀雄

1等賞はじめ各当せん番号を決定/「読書週間書店くじ」抽せん会

日書連が主催する「読書週間書店くじ」の抽せん会が11月15日午後0時半から東京都千代田区の書店会館会議室で開催され、「書店くじ」の協賛社、協賛団体、日書連役員の立会いのもと、1等賞「図書カード1万円」から4等賞まで各賞の当せん番号を決定した。読者への当せん番号発表は、12月5日(火)に日書連ホームページと書店店頭掲示ポスターにより行う。
今年で44回目を迎える「読書週間書店くじ」は、10月27日から11月9日まで行われる「読書週間」の協賛行事として、読者謝恩、店頭活性化と増売を目的に実施している。
抽せん会は西村俊男読書推進委員長の司会で進行し、舩坂良雄会長があいさつ。抽せんは、0から9までの番号を記した10個のボールを抽せん箱に入れ、中からボールを1個取り出す方法により実施。日本書籍出版協会・中町英樹専務理事、日本出版取次協会・松尾靖事務局長、読書推進運動協議会・宮本久事務局長、日本図書普及・平井茂専務取締役、日書連・柴﨑繁副会長が1番から5番までの抽せん箱を担当し、1等賞から3等賞までの当せん番号を決定。最後に西村委員長が4等賞の番号を引いて、全当せん番号を決めた。
書店くじの引き換え期間は、12月5日(火)の当せん番号発表から平成30年1月10日(水)まで。書店で賞品に立て替えた当せん券は、当せん番号発表ポスターと同送する清算用紙に必要事項を記入の上、一緒に同1月31日(水)までに日書連事務局へ送付する。

BOOK EXPO 2017/商談金額1億円超える/来場書店1056名で大盛況

第7回を迎えた関西の大商談会「BOOKEXPO2017秋の陣~響け!書店心~」(主催=同実行委員会)が11月7日、大阪市北区のグランフロント大阪で開催された。
今年は過去最多の233社・243ブースが出展。書店1056名、取次157名が来場し、商談・情報交換が活発に行われた。商談成立件数は5279件、金額は昨年比3・5%増の1億148万円を記録した。
会場では、昨年に続き2回目となる「西日本POP王決定戦」の表彰式を行い、「コーナー」部門はTSUTAYAAVIX福知山店・能勢和子氏の『そらの100かいだてのいえ』(偕成社)、「手書きPOP」部門は葵書房洛西店・砂川氏の「高校野球特集」のPOPが金賞に選ばれた。応募作品318点を展示し、店頭活性化の参考にしようと多くの来場者が見学した。
このほかのイベントでは、第5回「京都本大賞」を受賞した原田まりる氏、第5回「大阪ほんま本大賞」を受賞した有栖川有栖氏、「本所おけら長屋シリーズ」の著者畠山健二氏、絵本やイラストを手掛けるユニットtuperatuperaのサイン会やトークイベントが多くの来場者で賑わった。

12月13日に出版販売年末懇親会/日書連

日書連は12月13日(水)午後6時から、東京a都千代田区の帝国ホテルで恒例の「出版販売年末懇親会」を開催する。
書店が主催する出版業界の懇親の場として、出版社、取次、業界関連団体などを招いて毎年行っているもので、今回は同ホテルの「光の間」を会場に開催する。

第5回京都本大賞/元芸能人・原田まりる氏の哲学エンタメ小説が受賞

過去1年間に刊行された京都を舞台にした小説の中から地元の人に読んでほしい作品を書店員と読者が選ぶ「京都本大賞」(主催=同実行委員会、後援=京都府書店商業組合)の授賞式が、11月1日、京都市中京区の京都書店会館で開催。第5回の記念すべき節目の年となる今回は、原田まりる氏の『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』(ダイヤモンド社)が大賞に決まった。
結果発表で、大垣全央実行委員(大垣書店)は「書店での投票数は672票と、5回目にして過去最大の盛り上がりを見せた。インターネットでの投票を合わせると2430票になった。原田さんは、蓋を開ければ圧倒的なポイント差での大賞だった」と報告。洞本昌哉実行委員長(ふたば書房)から原田氏に受賞記念の盾と賞状が贈呈された。
同書は、ニーチェ、キルケゴール、サルトル、ショーペンハウアー、ハイデガー、ヤスパースなど哲学の偉人たちが続々と現代的風貌となって京都に現れ、女子高生に哲学とは何かを教える哲学エンターテイメント小説。記者会見で原田氏は「10代の頃から哲学を勉強している。『神は死んだ』というニーチェの言葉があるが、今回受賞できて『神はいたな』と思った。この賞を目標にしていたので非常にうれしい」と喜びを語った。
原田氏は京都市左京区出身。慣れ親しんだ観光名所「哲学の道」に毎日通い、20代の頃は芸能活動に励む傍ら哲学書を研究。今回の受賞作は、その知識を京都を舞台にした物語調の哲学書にうまく融合して仕上げた作品となった。表紙とタイトルから若年層向けと思われそうだが、しっかりとした内容で、中高年にも読める内容となっている。
同時開催した「第4回京都ガイド本大賞」「第3回京都ガイド本リピーター賞」の表彰も行った。
京都ガイド本大賞は朝日新聞出版社のムック『京都パンガイド+大阪・神戸・滋賀』が受賞した。白方美樹副編集長は「パン消費量日本一を誇る京都で、取材可能だったパン屋さん160軒を取材して回るのは、早朝や深夜と時間的にも大変だった。断面図や味を確かめるため実際に食べることも大変だっただけに、受賞できてうれしい」と話した。
京都のディープなスポットをガイドするリピーター賞は集英社インターナショナルの書籍マンガ『深ぼり京都さんぽ』が受賞。著者のグレゴリ青山氏は、生まれも育ちも京都出身。同書は、自身を「京都人の京都知らずとはまさに自分のこと」と認めた上で、京都に詳しい専門の京都人・京都通とともに、有名ではないが面白い歴史のある街を世に伝えたいという想いから、ウェブ連載を経て出版したガイドブック。青山氏は「生まれて初めて賞をもらった。それが京都の書店員が選んだ賞で、大変光栄。子供の頃から本屋が大好きだった。この作品を描くために京都人の京都知らずを逆手に取って取材していくうちに、底なしの魅力がある深い街だと気づいた。『京都パンガイド』を読んだが、丁寧な仕事をクロワッサンのように積み重ねた何とも香り高い本で、そんな本と同等の賞をいただけて大変うれしい。次回作も是非作りたい」と述べた。(若林久嗣広報委員)

大河ドラマのバスツアーに50名参加/滋賀組合

滋賀県書店商業組合は、台風が迫る10月22日、NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」の郷バスツアーを開催。昨年末の講演会「大河ドラマの楽しみ方」開催に続き、「大河ドラマ関連図書販売フェア:お客様(50名)無料ご招待バスツアー」として実施した。午前8時半、滋賀県彦根を出発。井伊谷龍譚寺、気賀関所(記念撮影)、大河ドラマ館(浜名湖畔)を巡り、午後6時に彦根に戻った。
後日、参加者から「楽しく、思い出に残った」「帰宅後に見た大河ドラマは、いつもと違う気持ちで見ることができた」との感想が寄せられた。
(吉田徳一郎理事長)

「春夏秋冬本屋です」/『一枚のヒノキ』/福島・高島書房代表取締役・髙島瑞雄

本屋さんの店先で「サンショウドウの国語辞典と、フクオンカンショテンの絵本はどこですか?」とお客さま。さすがに復唱しづらいので、「此方と其方にございます」とご案内。
またある日、店先で、「一枚のヒノキをください」と、お客さま。スタッフが頭を捻って出した答えは、『一枚の檜』ならぬ『月刊一枚の繪』だったのでした。
また又ある日、店先で、「今朝の新聞広告に出ていた新書はどのへんですか?」とのお尋ねに、「新書コーナーはこちらです」とご案内。が、「違う!」とお客さま。そう、新書ではなく、新刊書をお探しでした。
そしてある日、店先で、「このコミックの次の号はいつ出るの?」と、お客さま。「このコミックは連載中なので、3ヵ月後に出ますよ」とご説明。「連載前に単行本として、なぜ出ないのだ!」と。そんな、ご無体な。
翌日本屋さんの店先で、「朝刊の広告に出ていた新刊は、入荷していますか?」とお客さま。狭い新刊コーナーを探していると、「新刊だからあるでしょ!」とお客さま。話をよく伺うと、数か月前の発売で、重版出来のご案内が出ていたようだ。読者には、新刊なのか、重版出来なのか、既刊本の好評発売中の案内なのか、判別が難しいようだ。
店先での、この手のやり取りは、日常茶飯事。忖度と気配りが肝心なのかも。

「絵本ワールド」新潟市で開催/新潟組合は児童書の展示即売行う

絵本を通して子供たちの創造力を育む「絵本ワールドinにいがた2017」が11月19日、新潟市中央区の朱鷺メッセで開催された。主催は新潟日報社。子どもの読書推進会議が後援。
絵本作家の黒井健さんの講演会「えほんの絵について」とサイン会をはじめ、絵本の読み聞かせ、毛糸と小枝で作るクリスマス飾りのワークショップなど様々な催事が行われ、大勢の親子が参加して楽しんだ。
新潟県書店商業組合(西村俊男理事長)は絵本ワールドに協力として参加し、「子どもの本大展示即売会」を行った。本の購入者に三角くじ抽選会に参加してもらい、当選者には図書カードや出版社提供のキャラクターグッズをプレゼントした。レジ、包装、ガラポン、棚の整理、客への応対と多忙な1日となったが、多くの組合員の協力もあり、売上は目標の50万円を上回った。
(西村俊男理事長)

兵庫県組合元理事長・三上一充氏が旭日双光章

兵庫県書店商業組合元理事長の三上一充氏(三上尚文堂)は、秋の叙勲で旭日双光章を受章した。伝達式は11月14日、東京・霞ヶ関の文部科学省東館3階第1講堂で行われた。

粗利30%獲得に向けて活動報告/北海道理事会

北海道書店商業組合は11月7日、札幌市中央区の北海道建設会館で定例理事会を開催。万引問題では防犯カメラの設置の効果などについて討議。書店収益改善では粗利益30%獲得に向けて活動の報告があった。また、平成30年度北海道取協・出版社・書店組合新年合同懇親会について時間等の確認を行い、2018年の理事会日程の調整を行った。(事務局・髙橋牧子)

学参協会創立70周年記念の会開催/山川理事長「新たなスタートの礎に」

学習参考書協会は10月26日、東京・千代田区のアルカディア市ヶ谷で「創立70周年を記念する会」を開催し、会員出版社、取次、書店など約90名が出席した。
冒頭であいさつした山川博昭理事長(文理社長)は、これまでの協会の歩みを振り返り、「2020年には小学校で新学習指導要領が全面実施され、教科書は紙だけでなくデジタルも併用が可能になる。ICT、AIなどデジタルの技術はさらに進化し、それらの変化は確実に業界にも押し寄せる。70周年を祝う会が、この大きな波を一丸となって乗り越え、協会の発展を期する新たなスタートの礎となることを念じている」と述べた。
来賓祝辞で三省堂書店の亀井忠雄社長は、「今日まで本屋をやってこられたのは学習参考書協会のおかげ」と謝意を表して思い出話を紹介。「デジタルも今後どんどん普及していくだろうが、紙の文化は人間にやさしく、学習の面で底力を発揮する。お子様や父兄の心配に対し、いろいろな情報を提供する努力を従来に増して取り組みたい」と述べ、日教販・渡部正嗣社長の発声で乾杯した。
祝宴の半ばで、来賓の日書連・舩坂良雄会長が「これからの時代の児童生徒にとってデジタルのツールは主体的学習に必要不可欠になると思うが、紙か電子かでなく目標に適したツールを効果的に活用することが大切で、学習参考書の役割が今後さらに重視されることは疑いない。翻って、書店業界は厳しい状況が続いている。優れた参考書を多くの書店で販売していくためにも、書店経営の改善に向けた課題に取り組み、書店の減少に歯止めをかけたい」とあいさつ。また、三省堂の北口克彦社長、学研ホールディングスの古岡秀樹取締役、文英堂の益井英博会長が祝辞を述べた。

「本のまち八戸」に大賞/第11回高橋松之助記念賞

高橋松之助記念顕彰財団(浅野純次理事長)が主催する、第11回高橋松之助記念「朝の読書大賞」「文字・活字文化推進大賞」の表彰式が10月30日に東京・千代田区のクラブ関東で行われた。
朝の読書大賞を受賞したのは、霧島市立青葉小学校(鹿児島県霧島市)、白山市立松任中学校(石川県白山市)、千葉県立八千代西高等学校(千葉県八千代市)。今回から最終選考に残った小・中・高校計5校も優秀賞として賞を贈呈した。文字・活字文化推進大賞は、「ほんのまち八戸」(青森県八戸市)が受賞した。
受賞者あいさつで、青葉小学校の大田寿校長は、「朝の読書」やビブリオバトル、教職員による読み聞かせなどの読書活動を紹介し、「本年度から県の指定を受けて読書指導に取り組んでおり、来年研究公開を行って成果を発表したいと考えている。今後も読書活動を通して子どもたちの心の教育、学力向上へつなげたい」と述べた。
「本のまち八戸」は、「八戸ブックセンター」の開設など、まちづくりの核として活字文化の振興・読書推進を積極展開していることが評価された。八戸市まちづくり文化スポーツ観光部の原田悦雄部長は、小林眞市長のあいさつを代読。「今まで以上に本と人や、人と人のつながりを創出し『本のまち八戸』を推進するとともに、様々な分野で文化・芸術活動の一層の振興に努めたい」と話した。

9月期販売額6・5%減/書籍はプラスも雑誌は2桁の大幅減/出版科研調べ

出版科学研究所調べの9月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比6・5%減となった。
部門別では、書籍が同0・5%増と4ヵ月ぶりにプラスに。文庫本で大物新刊の刊行が相次いだことや、新書、児童など売行きが良好なジャンルの底上げで伸長した。雑誌は同14・2%減。内訳は月刊誌が同14・2%減、週刊誌が同14・1%減。コミックスが2割以上も落ち込み大きく足を引っ張る形になった。
返品率は、書籍が同0・3ポイント増の35・5%、雑誌が同3・2ポイント増の42・4%。雑誌の内訳は、月刊誌が同3・2ポイント増の42・8%、週刊誌が同3・5ポイント増の40・5%。コミックスやムックなど不定期誌の返品増が深刻になっている。
書店店頭の売上は、書籍が前年同月比で約1%減。新書は『世界一美味しい煮卵の作り方』(光文社新書)などヒットが続出し約5%増となった。雑誌は、定期誌が約8%減、ムックが約4%減、コミックスが約13%減。コミックスは9月期は送品が大幅に減少したが返品も上昇し、売行きが大きく落ち込んだ。

新会長に神奈川組合・井上理事長/規約改正で活動を充実/神奈川県読書推進会

神奈川県読書推進会が9月29日、横浜市の神奈川新聞本社会議室で行われた。金の星社・磯貝氏の開会の辞に続き、読書推進会が発足した15年前の様子をよく知る長谷川書店・長谷川社長が発足当時からの活動内容について報告。今回は、出版社、取次、書店、神奈川新聞社、神奈川県庁、神奈川県教育委員会から総勢23名が出席、自己紹介に続き、過去に行っていた活動内容について報告した。
報告では、夏の推薦図書の選定や朝の読書会、子ども読書活動推進フォーラム、「本がだいすきプロジェクトちがさき」、「大好きな本絵画コンテスト」等について出版社、取次、書店組合、新聞社の立場で発表したが、これらの活動が独自に行われるようになり全体をまとめた読書推進会としてあまり機能していないのが現状となっていた。
そこで、途切れていた活動を見直し充実させるとともに、会の運営が活性化し潤滑に行われるように規約の改正を行うこととし、改正案を説明して全会一致で可決承認。新会長に神奈川県書店商業組合の井上俊夫理事長が就任した。今後の活動方針については、「神奈川県夏のすいせん図書感想文コンテスト」、「大好きな本絵画コンテスト」、「青少年優良推薦図書」の候補選定や寄贈等を中心に、全国共済の協力を得ながら事業を展開していくことなどを確認した。
最後に日販横浜支店の村松支店長が、日販の実施している読書推進事業について触れ、子どもへの推進活動の大切さを述べて閉会した。(山本雅之広報委員)

定款・規約の改正点を説明/大阪理事会

大阪府書店商業組合は10月14日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。各委員会からの報告は以下の通り。
[読書推進委員会]
本の帯創作コンクールについて、9月30日最終審査会から10月12日実行委員会、10月25日会場下見会、11月9日パネル貼り作業、11月11日表彰式までの日程を報告した。
[雑誌発売日励行本部委員会]
9月は違反報告がなく、10月委員会は休会と報告があった。
[定款・規約等委員会]
10月12日に委員会を開催。「総代会」の文言を「総会」とし、組合員数の減少により委員会構成の人数要件を見直す組合規程の改正、および就業規則は10人以下の事業所であることから廃止することを決定。退職金規程を改定し、組合事務所に規程集として常備することを承認した。
[経営活性化委員会]
雑協の「月刊誌〝とって置き〟キャンペーン」の申し込みが終わり、実施状況の説明があった。
(石尾義彦事務局長)

市川朔久子、舘野鴻両氏に児童出版文化賞/小学館

第66回小学館児童出版文化賞は、市川朔久子氏『小やぎのかんむり』(講談社)、舘野鴻氏『つちはんみょう』(偕成社)に決定し、11月9日に東京・千代田区の如水会館で贈呈式が行われた。
贈呈式では、小学館の相賀昌宏社長が「どの作品もみな面白く、高齢者の方にも子ども向けの本をたくさん読んでもらいたいと毎回思っている。受賞作をより多くの人に読んでもらうよう応援したい」とあいさつ。審査員の荒井良二氏による選評の後、受賞者に賞が贈呈された。
あいさつで市川氏は「この話は主人公の少女が、自らがそのままでかけがえのない存在であることに気付き、家庭の中で損なわれたものを取り戻す物語。親としてある程度子育てを終えた今だからこそ書かなければならない物語だと思った」、舘野氏は「この仕事はとても楽しく無限の可能性があると思っている。1作1作に全力で取り組んでいきたい」と語った。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・斎藤一郎

橋爪大三郎著『正しい本の読み方』(講談社現代新書780円)は今だからこそ敢えて本を読もうという提案である。
本を読むことは、書いた他人に興味を持つことでもあり、自由に生きるための教養を身につける頭の栄養であるという。情報やメディアが発達していない時代でも、教養は、意思決定をする時の唯一の知識だった。現在のように情報が溢れていると、人々は知らず知らずのうちに、その情報に振り回され始める。
本を読むということはいろんな意見の人々が頭の中に住めることで、人間的能力を高めていることにほかならない。コンピュータがまずいのは①中心がない②データでできている③現在に縛られている。つまり、情報だけでメッセージと責任がないのである。必ず読むべき100冊の古典も紹介している。
林望著『役に立たない読書』(集英社インターナショナル新書720円)も、本に触れる喜びを語っている。自分に力を与えてくれるならどんな本でも良い。読書に貴賤なし。こんな本も読んでないのかなどという読書家は無視。ベストセラーは読みたくない。図書館では本は読めない。速読はいらない。自分が読みたい本は買って読み、良かった本は備える。借りた本の知識は、所詮借りものの知識なのである。
日本では本当の意味での読書が、紙から電子書籍に置き換わることはない、と断言もしている。

ICタグ導入推進を訴え/藤原会長「万引など諸問題の解決策に」/東北日販会

東北日販会は11月7日、宮城県仙台市太白区の秋保温泉「緑水亭」で第12回総会を開き、東北6県の会員書店、出版社、日販関係者など250名が出席。藤原直会長(宮城・金港堂)は万引問題など出版業界の諸問題の解決策としてICタグの必要性を訴えた。
冒頭あいさつした藤原会長は、現在の技術革新で期待できるのはICタグであるとして、経済産業省が2025年までにセブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズの全ての取扱商品に電子タグを付ける計画を策定したことを説明。「出版業界でも10年前から実証実験を行っているが、実用化されていない。ネックはICタグの価格。数十円から100円を超えている。これでは書籍・雑誌に付けることはできない。経済産業省の計画では加工費用を含めて1円以下まで下げるのが目標という。今のバーコードでできるのは単品管理ぐらいだが、ICタグを付けることによって1万部の本を1番から1万番まで分けて管理することができ、買切や委託といった取引条件を個々の商品に割り振ることができる。返品、棚卸、万引の解決策にもなる。業界にとって福音と言っていい。ICタグに積極的に取り組んでいきたい。業界の閉塞感を打ち破り、新たな未来を描きたい」と述べた。
このあと藤原会長を議長に議事を行い、平成28年次事業報告、会計報告、平成29年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認した。
日販・平林彰社長は「ミレニアム世代の社員にチャンスを与え、才能を引き出し、会社の経営に役立ってもらいたい」と述べ、若手社員2名が同社の施策についてプレゼンテーションを行った。
東北日販会では総会に先立ち、第1部として商談会を開催。第2部はさわや書店フェザン店・田口幹人店長が「本〈屋〉の未来は自分達でつくる」と題して講演した。
田口店長はアマゾンの台頭に言及。「書店がなくてもいい時代がやって来る。そのタイムリミットは近い。自分たちに何が出来るか考えなければならない」と訴え、「すでに本が好きな人に本を読んでもらっても右肩下がりが続き、数年後さらに落ち込むだろう。今まで本を読んでこなかった人に本を読んでもらえるよう努力することが重要」として、アマゾンの「グローバリズム」と対極にある「ローカリズム」を徹底、1冊の本を丁寧に売っていくことで活路が開けると指摘した。

第54回文藝賞に若竹千佐子氏/河出書房新社

河出書房新社が主催する第54回文藝賞は、若竹千佐子氏の『おらおらでひとりいぐも』に決まり、10月23日に東京・千代田区の山の上ホテルで披露の会が行われた。
若竹氏は千葉県在住の主婦で、63歳での受賞は同賞歴代最年長。若竹氏は「私は小説を書く人間だと子どもの頃から思っていたが、どう書けばいいのかわからなかった。これまでの人生を振り返って私の生き方に1つの一貫性を見つけた時、小説を書くテーマが見つかったと思った。63歳でプロの小説家としてのチャンスをいただいたが、焦らず自分の実感を手ごたえのある言葉で書いていこうと思っている」と語った。
主催者あいさつで河出書房新社の小野寺優社長は、受賞作について「74歳の女性が1人語りで自分の人生を振り返ったものと聞くといささか辛気臭い読後感の重い小説と思われるかもしれないが、非常にチャーミングでユーモアとさりげない力強さに満ちている、とても元気の出る小説だ」と述べた。

地域の読書普及に貢献/団体・個人に野間読書推進賞/読進協

読書推進運動協議会(野間省伸会長)は11月7日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で第47回野間読書推進賞の贈呈式を行った。
今回受賞したのは、団体の部が「函館朗読奉仕会」(北海道函館市)、「とりで・子どもの本の会」(茨城県取手市)、「彦根おはなしを語る会」(滋賀県彦根市)、個人の部が川端英子さん(宮城県仙台市)、浅川玲子さん(山梨県甲府市)、奨励賞が「土庄町立中央図書館友の会」(香川県小豆郡土庄町)。
贈呈式で野間会長は「読書はあらゆる人に希望と勇気を与えてくれる。全ての人が、いついかなる時でも本の力を糧とできるように、これからも読書推進運動に取り組んでいきたい」とあいさつ。選考経過を報告した全国学校図書館協議会の笠原良郎顧問は、「最近では、障がいを持つ人、乳幼児、高齢者、病気の人など読書推進活動の対象が多岐にわたり、活動内容も多様化してきている。また、勉強会、討論会などいろいろな機会に自分を磨く訓練を続けておられるのも、今年特に目立った特徴だ」と述べた。
視覚障がい者サービスや子どもたちへの読み聞かせ、名作の朗読会などを行ってきた「函館朗読奉仕会」の船矢美幸会長は「読書活動を図書館と一緒に、ささやかながら何かできることをしたいと進めてきた。今回は本当に夢のような賞をいただいた」と喜びを語った。