全国書店新聞
             

令和5年6月15日号

書店支援を国策に/議連の提言実現に期待/日書連理事会

日書連は5月25日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。矢幡秀治会長は自民党の「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」(書店議連)の動きを報告。不公正な競争環境の是正や書店と図書館の連携促進、書店DX化支援など、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に向けてとりまとめられた第1次提言が国の政策に反映されることに強い期待を示した。
[政策委員会]
▽5月24日開催の自民党文部科学部会・文化立国調査会合同会議で、書店議連からの第一次提言の報告を受け、書店をめぐる諸課題について意見交換が行われた。
合同会議に出席した矢幡会長は「着実に前に進んでいる」と手応えを語り、「6月中旬を目途に閣議決定が予定される骨太の方針に『書店支援』などの言葉が記述されれば動きやすくなる」として、書店支援が国の政策となることに期待を示した。
▽出版文化産業振興財団(JPIC)が4月24~26日に行った韓国出版界視察に、日書連から矢幡会長と春井宏之、深田健治両副会長が参加した。矢幡会長は、韓国の出版事情について「公共図書館は地域書店から納品しており、地域書店認証制やキャッシュレス決済手数料負担の軽減もある。国が出版界を支援している」と報告した。
▽「事業再構築補助金」の産業構造転換枠、全国的に業況の悪化している業種に属する中小企業者を支援するための措置「セーフティネット保証5号」の活用を促した。
[読書推進委員会]
春井宏之委員長が「秋の読者還元祭2023」の実施要項案を説明し、理事会はこれを承認した。
キャンペーンは「BOOKMEETSNEXT」と同期間の10月27日~11月23日まで28日間実施。期間中、書店店頭に掲示されたポスターまたはしおりのQRコードを読み取って応募すると、抽選で図書カードネットギフトが当たる。賞品は図書カードネットギフト1万円100本、3千円200本、1千円1400本、総額300万円分。当選者には日本図書普及より直接、図書カードネットギフトメールを12月下旬頃送信する予定。なお、応募者を150件以上集めた組合加盟書店には報奨金2860円(税込)を支給する。
[組織委員会]
全国45都道府県組合の加入・脱退状況は、2月が加入なし・脱退7店で7店純減、3月が加入なし・脱退10店で10店純減、4月が加入2店・脱退25店で23店純減だった。
安永寛委員長は「日書連から組合加盟書店へ郵便物を正確に送付するため、加入・脱退など組合員の異動があった時は、速やかに日書連本部に届け出をしてほしい」と各組合に求めた。
[広報委員会]
▽全国書店新聞への記事投稿を担当する各組合広報委員の名簿を作成した。森松正一委員は「今回登録された広報委員は最低でも年1本の記事を書き、所属組合の活動内容を加盟書店に周知することに努めてほしい」と述べた。
▽来年3月に発行を予定している「全国書店新聞合本」の部数を、これまでの80部から30部程度に減らす方向で検討することとした。
[流通改善委員会]
今夏も雑誌発売日励行本部委員会宛に日書連からの要望書「雑誌発売日諸問題解決に向けた対応のお願い」を提出する。藤原直委員長は「各地で困っていることや要望事項があれば申し出てほしい」と述べた。
[取引改善委員会]
柴﨑繁委員長は、トーハン、出版共同流通両社の23年4月~24年3月の返品入帳締切日を記載したカレンダーを配布し、「返品業務に活用してほしい」と呼びかけた。
[図書館委員会]
日書連MARCは平成14年のスタートから20年たった。髙島瑞雄委員長は「これからは新しいものを付加していきたい。小学校で英語が必修化されたことに対応して、学校図書館でも洋書が増えている。日書連MARCに洋書データを搭載し、学校図書館の現場で活用できる形を作りたい」との考えを示した。
[指導教育委員会]
定例理事会終了後、日本出版インフラセンターから講師を招いて開催する「BooksPRO研修会」で、BooksPROの理解を深め効果的な活用法を学びたいと楠田哲久委員が述べた。
[書店再生委員会]
今年度は再販、出版倫理、書店収益改善の3つの課題を中心に取り組んでいきたいとの方針を事務局が説明した。

景品規約の適正運用に協力呼びかけ/出版物小売業公正取引協議会通常総会

出版物小売業公正取引協議会(小売公取協、矢幡秀治会長)は5月25日、東京・千代田区の書店会館で通常総会を開催した。矢幡会長は「出版物小売業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」(規約)の適正運用に協力してほしいと呼びかけた。
総会は理事48名(委任状含む)が出席。また、4年ぶりに来賓として消費者庁表示対策課の藤平章課長補佐、同・鈴木智子規約第一係長が出席した。
司会進行は石井和之事務局長が務め、はじめに矢幡会長があいさつ。「景品の提供は書店に本を買いに来てほしいとの思いから実施している。書店だけではなく自治体などからも相談が寄せられることがあり、しっかりルールを守って実施してもらえるよう努めている」として、規約の適正運用に協力を呼びかけた。
藤平課長補佐は、景品表示法(景表法)を巡る最近の動きとして、事業者の自主的な取り組みの促進や違反行為に対する抑止力の強化を骨子とする法改正やステルスマーケティングの規制強化について説明。「消費者が適正に商品やサービスの選択ができる環境を確保するため、消費者庁は景表法の適正な運用を図っていく。業界の自主ルールである規約の的確かつ厳正な運用も不可欠。今後も規約と法執行が車の両輪として作用するとともに、小売公取協が消費者の立場を重視した取り組みを行うことで、業界全体が消費者からいっそう信頼されることを期待している」と述べた。
続いて矢幡会長を議長に議案審議を行い、令和4年度事業報告、収支決算報告、令和5年度事業計画案、収支予算案を原案通り承認した。
事業報告では、規約への理解を深めてもらうために『解説・運用の手引(三訂版)』を200部、『相談事例集』を500部増刷したことを報告。また、規約の運用について小売公取協に寄せられた相談のうち代表事例3件を紹介し、回答内容を解説した。
事業計画については、①出版物小売業公正競争規約の普及と違反防止――昨年増刷した『解説・運用の手引(三訂版)』『相談(Q&A)事例集』の活用を促し、支部・会員への規約の普及と周知、正しく運用していくための研修会等の開催を検討する、②景品表示法をはじめとする関係法令の研究、③一般消費者、消費者団体並びに出版業界団体との連携、④関係官庁との連絡、⑤広報活動――の活動方針を決めた。
柴﨑繁副会長のあいさつで閉会した。

事業再構築補助金セミナー/アーカイブ動画を配信中/JPIC

3月30日に開始された事業再構築補助金の第10回公募から産業構造転換枠が新たに追加。出版業及び書籍・雑誌小売業が対象業種に指定され、補助金額や補助率も充実し応募がしやすくなった。これを受け、出版文化産業振興財団(JPIC)は5月25日、東京・千代田区の文化産業信用組合本店でセミナーを開催し、同補助金の認定支援機関である三菱UFJリサーチ&コンサルティング、文化産業信用組合のコンサルタントが補助金の概要、事業計画案作成のポイントを説明した。
JPICはセミナーのアーカイブ動画を次のURLで7月31日まで配信している。https://youtu.be/7FN77CzP4xA。第10回公募の申請は6月30日締切だが、年内にあと数回公募が設定される可能性がある。申請を考えている書店はアーカイブ動画を見て準備を始めていただきたい。

「春夏秋冬本屋です」/「知行合一」/静岡・焼津谷島屋 専務取締役・中野道太

「ニホンヤモリ」の話をしたい。爬虫類が嫌いな方は申し訳ない。子どもに自然や生きものに触れる経験をさせたいと思い、子どもとよく虫採りに行く。数年前、家の玄関の外灯に寄ってきたニホンヤモリを捕まえた。子ども達はヤモリの愛らしい姿が気に入り、しばらく飼育することになった。
飼うのであれば真剣に飼育するのが当然だ。飼育するために参考となる本も探した。「爬虫類」や「ヤモリ」に関する本は多数あるが、「ニホンヤモリ」と絞ってみると2冊しか検索に引っかからなかった。「ニホンヤモリ」に絞ると意外と少ない。2冊とも緑書房から出ている。飼育に関する情報は『はっけん!ニホンヤモリ』という本が細かく載っている。かなり参考にした。
餌はコオロギや小さな蝶など生きた虫を与える必要がある。ペットショップで簡単に購入できるものもあるが、餌代がかかるためなるべく子ども達と虫を捕り、ヤモリに与えることにした。餌となる虫のいる場所は?好んで食べる蝶や蛾は?考える虫捕りが続いた。飼育していたヤモリは卵を産み、数匹に増えた。ある程度育てた後、自然にもどせる時期に還した。
子どもと共に「本」で得た「知識」と「実体験」がリンクする「知行合一」を味わう良い機会となった。そして、身近な爬虫類だが「ニホンヤモリ」に関する本は少ないという業界雑学も得ることができた。

書店生き残りへ国の支援求める/深田健治理事長を再選/大阪組合総会

大阪府書店商業組合は5月18日、大阪市北区の組合会議室で令和4年度通常総会を開き、組合員110名(委任状含む)が出席。役員改選で深田健治理事長(ブックスふかだ)を再選した。深田理事長は、出版文化産業振興財団(JPIC)が4月24~26日に行った韓国出版業界視察の模様を報告し、「韓国は書店を文化と位置付け、国や自治体の支援が充実している。役立つところは取り入れていきたい」と述べた。
総会は戸和繁晴副理事長(トーワブックス)の司会で進行し、はじめに深田理事長があいさつ。日書連の矢幡秀治会長、春井宏之副会長とともにJPICの韓国視察に参加した深田理事長は、「かつて韓国ではネット書店の割引販売で街の書店が大きく減ったが、2014年に定価制を施行し、割引率を10%以内に制限した。書店を守ることは文化を守ることという考えに基づき、国や自治体による様々な支援がある」と支援の実情を紹介。公共図書館と書店の関係が良好で、図書館が本を購入する際は地元書店を優先するよう法律で定められていることにも触れた。
いくつか事例を紹介しながら、深田理事長は「単に経営が苦しいから助けてほしいということではなく、文化を守るために何が必要かを国に訴え続けて勝ち取ったものという自負を持っているようだ」と印象を語った。
韓国の書店の特徴として、雑誌やコミックをほとんど置かず、教科書や学参の需要が非常に高いこと、特色ある独立系書店が増えていることを挙げ、「日本と事情が異なる点もあり、どこまで参考になるかは分からないが、役立つところは取り入れていきたい」と述べた。
続いて堀博明副理事長(堀廣旭堂)を議長に議案審議を行い、令和4年度事業報告、収支決算書、令和5年度事業計画案、収支予算書案などすべての議案を原案通り承認可決した。
事業報告の総括と事業計画案の総論を説明した深田理事長は、「コロナの行動制限がほぼ解除され、旅行業界などは活気が戻ってきているが、書店業界は相変わらず厳しい状況が続いている。こうした中、業界全体の新しい取り組み、店頭活性化や読書推進の施策も計画されている。街の書店が生き残っていけるよう、有効な事業への取り組みを推進していく」として、大阪組合の主要事業である「本の帯創作コンクール」「読書ノート」運動を引き続き進め、粗利30%以上の実現を求める運動、公共図書館・学校図書館への図書納入問題にも積極的に取り組む方針を示した。
役員改選では理事30名、監事3名の候補者を承認。通常総会終了後に行った第1回理事会で深田理事長を再選した。副理事長と常務理事は6月の定例理事会で決定する。
深田理事長は「小さな書店が生き残っていける体制を作るには、国の支援が必要。日書連やJPIC、書店議連を通して求めていきたい。出版業界の様々なイベントに書店がもっと積極的に取り組むことも大事。一つのことで大きな効果が得られるわけではないので、様々な事業を組み合わせてプラスを積み重ねていきたい」と2期目の所信を表明した。

日書連のうごき

 5月8日 全出版人大会に矢幡会長、柴﨑、渡部両副会長が出席。
 5月10日 子どもの読書推進会議監査会に事務局が出席。
 5月11日 決算・業務監査会に矢幡会長、小泉、葛西両監事が出席。
 5月15日 万引防止出版対策本部事務局会議に事務局が出席。
 5月16日 自民党清和政策研究会との懇談会に矢幡会長が出席。
 5月17日 読書推進運動協議会理事会に矢幡会長、春井副会長が出席。
 5月18日 JPO運営委員会に春井副会長(Web)が出席。
 5月19日 全国書店再生支援財団理事会に髙島、平井両理事が出席。
 5月22日 出版倫理協議会に事務局が出席。
 5月24日 各種委員会。自民党文部科学部会・文化立国調査会合同会議に矢幡会長が出席。
 5月25日 九州雑誌センター総会・取締役会に矢幡会長が出席。出版物小売業公正取引協議会総会。日書連定例理事会。BooksPRO研修会。日本図書普及役員会に矢幡会長、藤原、春井両副会長が出席。
 5月30日 JPO理事会に藤原副会長(Web)が出席。

日本ど真ん中書店会議/8月29日、名古屋で開催へ/東海3県の商談会4年ぶりに復活

東海3県の書店商談会「日本ど真ん中書店会議2023」が8月29日(火)午後0時半~5時(予定)、名古屋市千種区の名古屋市中小企業振興会館「吹上ホール」内・第1ファッション展示場で開催される。150ブースの出展を予定。
コロナ禍で中止が続いていたが、取次の垣根を越えた「書店と出版社をつなぐ商談会・情報交換の場」として4年ぶりに復活する。
同実行委員会(春井宏之実行委員長)が主催。愛知県書店商業組合(春井宏之理事長)、岐阜県書店商業組合(木野村匡理事長)、三重県書店商業組合(別所信啓理事長)が共催。日書連、中部トーハン会、東海日販会、東海中央会、楽結会が後援。

大手取次2社上半期ベストセラー/村上春樹6年ぶり長編小説が1位/ランキングはアフターコロナの傾向

トーハン、日本出版販売(日販)は6月1日、2023年上半期ベストセラーを発表し、村上春樹の6年ぶりの書き下ろし長編小説『街とその不確かな壁』(新潮社)が両社で総合1位に輝いた。総合2位、3位も両社共通で、2位は『ポケットモンスタースカーレット・バイオレット公式ガイドブック完全ストーリー攻略』(オーバーラップ)、3位は『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』(ダイヤモンド社)だった。集計期間は22年11月22日~23年5月20日。
『街とその不確かな壁』は、4月13日の発売から1ヵ月半で電子書籍とあわせて累計40万部を突破。村上春樹作品では13年の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』以来、10年ぶりの上半期ベストセラー1位となった。
ランキング全体の傾向について、日販は「近年、コロナや不安定な世界情勢を背景に、『お金』『老後』など生活に身近なテーマに関連する作品が注目を集めていた。今回の上半期ベストセラーではウィズコロナからアフターコロナに徐々に移行している影響もあり、娯楽として楽しむための作品、知的好奇心を満たすことのできる作品に注目が集まった」と分析している。
[トーハン調べ]
①『街とその不確かな壁』村上春樹、新潮社②『ポケットモンスタースカーレット・バイオレット公式ガイドブック完全ストーリー攻略』元宮秀介&ワンナップ・著、ポケモン・監修、オーバーラップ③『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』小杉拓也、ダイヤモンド社④『地獄の法あなたの死後を決める「心の善悪」』大川隆法、幸福の科学出版⑤『汝、星のごとく』凪良ゆう、講談社⑥『日本史を暴く戦国の怪物から幕末の闇まで』磯田道史、中央公論新社⑦『変な絵』雨穴、双葉社⑧『安倍晋三回顧録』安倍晋三・著、橋本五郎&尾山宏・聞き手、北村滋・監修、中央公論新社⑨『ポケットモンスタースカーレット・バイオレット公式ガイドブックパルデア図鑑完成ガイド』元宮秀介&ワンナップ・編、ポケモン・監修、オーバーラップ⑩『成熟スイッチ』林真理子、講談社
[日販調べ]
①『街とその不確かな壁』村上春樹、新潮社②『ポケットモンスタースカーレット・バイオレット公式ガイドブック完全ストーリー攻略』元宮秀介、ワンナップほか、オーバーラップ③『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』小杉拓也、ダイヤモンド社④『汝、星のごとく』凪良ゆう、講談社⑤『変な絵』雨穴、双葉社⑥『地獄の法』大川隆法、幸福の科学出版⑦『日本史を暴く』磯田道史、中央公論新社⑧『変な家』雨穴、飛鳥新社⑨『バカと無知』橘玲、新潮社⑩『安倍晋三回顧録』安倍晋三、橋本五郎ほか、中央公論新社

向田邦子賞贈賞式/「向田さんは憧れであり目標」三谷幸喜氏、受賞を喜ぶ

向田邦子賞委員会と東京ニュース通信社が主催し、現在のテレビ界を支える優秀な脚本家に贈られる向田邦子賞の第41回贈賞式が5月23日に都内で開かれ、2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の三谷幸喜氏が受賞した。
三谷氏は「向田さんは僕にとって憧れであり目標。毎回、向田さんのシナリオを読み返し、どうすれば向田さんに近づくことができるかを考えながら書いている」と受賞を喜んだ。
贈賞式には小栗旬、大泉洋、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、山本耕史ら鎌倉殿の出演俳優が多数集まり、三谷氏を祝福した。

重点テーマは「物流の2024年問題」/持続可能な出版流通実現へ改革/取協総会

日本出版取次協会は5月17日、東京・千代田区の出版クラブビルで第71回定時総会を開催し、令和4年度事業報告、収支決算を承認。任期満了に伴う役員改選では、中西淳一氏(日本出版販売)が理事に新任した。安西浩和理事(日本出版販売)は退任した。
近藤敏貴会長(トーハン)は「今後、物流のいわゆる2024年問題が視野に入るが、これまでの議論をさらに深め、的確に対応したい。持続可能な出版流通の実現には、取協単独でなく関係団体との連携が不可欠。各方面との連携を進め、皆さんとともに業界の課題解決のため力を尽くしたい」とあいさつした。
23年度推進・重点テーマは「持続可能な出版流通構造の改革」として、24年問題の対策検討や雑協合同PTの取組強化を掲げた。24年問題では、リードタイムの緩和や配送ルールの変更について、輸送会社へのヒアリングを実施、対策の早期立案を行い、関連団体と調整を図る。雑協合同PTでは完全土曜休配の日数増や業量平準化に取り組む。
また、日本出版インフラセンター(JPO)や出版文化産業振興財団(JPIC)など出版関連団体との連携を強化する。
[取協役員体制]
○印は新任
▽会長=近藤敏貴(トーハン)
▽副会長=奥村景二(日本出版販売)
▽常務理事=川村興市(楽天ブックスネットワーク)、森岡憲司(中央社)、渡部正嗣(日教販)、貝沼保則(協和出版販売)
▽理事=田仲幹弘(トーハン)、○中西淳一(日本出版販売)
▽監事=岩田浩(共栄図書)、山本和夫(公認会計士)

第62回全出版人大会長寿者・永年勤続者

【長寿祝賀】
天野文裕(教科書販売前代表取締役社長)
飯塚利昭(大修館書店元取締役)
磯崎英彦(実教出版元取締役)
磯野芳郎(協和出版販売元取締役営業部長)
内田宏寿(東京書籍元取締役)
小田良次(実教出版代表取締役社長)
加藤順(大修館書店元取締役)
兼子信之(日本出版販売元常勤監査役)
北脇信夫(宙出版代表取締役)
木津徹(海人社前専務取締役)
小宮秀之(トーハン元取締役)
残間直巳(光文社元監査役)
瀨戸信昭(日本ヴォーグ社代表取締役)
髙杉昇(家の光協会元代表理事専務)
冨田秀雄(大日本図書元取締役)
中野研一(東京書籍元取締役)
永野竜平(大修館書店元取締役)
花岡萬之(学事出版元代表取締役社長)
福原武文(大修館書店元取締役)
〈氏名五十音順・敬称略〉
【永年勤続者表彰】
▽秋田書店=阿部知司、名取裕樹、齋藤功衛、清水隆蔵、秦洋一▽家の光協会=関康洋、松岡広大、今尾敦史、上床龍吾、新井春子、山本恵美子、大畑智美▽医学書院=小笠原紀子、佐藤淳、田邊祐子、泉洋平、濵中覚、塩田高明、三橋輝▽医歯薬出版=山中俊徳、白井聡一郎、福井聡嗣▽岩波書店=一原理彦、加美山亮、大山歩、吉野優子、中野恵子、林元彦、四方桂子、市川敬祐▽宙出版=森田千尋、内野麻里、牧野佐和子、杉田薫子▽オーム社=大野佳子▽学事出版=二井豪、森田政恵▽学研ホールディングス=山崎春菜、木村真、沖野陽子▽金子書房=実川なでしこ▽河出書房新社=藤﨑寛之、鎌塚亮▽教育芸術社=野村咲紀子▽教育出版=横山晋太郎、小橋義之、黒澤健▽教科書協会=平田早苗▽教科書販売=篠田利男、小川寛、佐野純一▽金融財政事情研究会=小林奈緒、北山桂、徳山貞姫、小玉博嗣、本田奈千▽建帛社=加藤義之、大田原久美子、宮﨑潤▽佼成出版社=籾山太一▽講談社=鈴木有介、西村浩、西村圭、赤岩一郎、岩瀬千聡、大坪尚人、田島真由、神谷明子、篠原紀子、湯ノ口智樹、近藤直樹、秋元祐一、河野哲彦、西川太基、石川心、金子崇、吉田守芳、太田美千子、遠藤友子、古市ゆかり、安友智、高見洋平▽光文社=近江裕嗣、小松伸司、小林晃啓、深草千尋▽弘文堂=登健太郎、和田康友▽三省堂=佐々木吾郎、杉本久嗣、渡邉宣夫、吉開慎之介、細見雅彦、佐野文絵、村川陽子、東佐知子、青山幸、俣塚亮▽産労総合研究所=白ヶ澤健一、田中利男▽実教出版=木村洋一、山本卓哉、大庭佳介、櫻田祐二、前里優介、横山晃一▽主婦と生活社=横山隼人、伊藤美穂、宮本奈緒子、望月麻弥、増渕智子、竹村真由美、天田健、所隼登▽主婦の友社=市川陽子、浅沼秀、田村明子、黒部幹子▽新興出版社啓林館=田中秀幸、泉直志▽数研出版=増木伸吾、藤井伸幸、野澤尚樹、工藤文吾、吉田健二、小野雅人、原田秀一、小野智子▽成美堂出版=石原公洋、滝本裕子、山口悟史▽世界文化ホールディングス=小杉繁則、亀山慶男▽第一学習社=西居篤輝、古川皆美、黒﨑勇樹、井上夏水▽第三文明社=藤原良喜、石川芳明▽大修館書店=久保友人、松岡澪▽大日本図書=當田マスミ、上田朝也、鈴木崇、佐々木智恵子、渡部朋子▽ダイヤモンド社=梨本拓也、鈴木崇久、山口圭介、山出暁子、平野航史▽高橋書店=高城勲、岩倉淳▽玉川大学出版部=白井利典▽淡交社=八木歳春、宮崎博之、北尾陽子、大場浩史、関戸恵津子▽筑摩書房=高瀬有輝、齋藤匡康、橋本陽介▽チャイルド本社=長田直広、三浦晴奈、市川宣子、中野信寛、信樂渉、伊藤令、田中学、五十嵐文彰、達野巧、浅井泰雅、黒川聡、林和宏、藤田晃裕、二村道代、小出要、西岡育子、中谷みづほ▽中央経済社ホールディングス=笹沼奈津江、蒔田敦子▽中央社=柳井庸久、中野玲子▽東京書籍=寺井瑞穂、内田智典、山野辺太郎、城戸彩子、毛利悠美、柳川美沙希、上田健志、照山秀俊、東井尊、笹子真律惠▽東京法令出版=前田玲子、田中佳寿美、中村和彦▽トーハン=番場秀広、後藤佳行、小野寺保彦、佐藤匡、小川徹、西野公輔、岡部正昭、黒田淳司、太田たまき、福田拓哉▽東洋経済新報社=田邉佳介、髙田紘子、許斐健太、冨岡耕、森智彦、二階堂遼馬、山本舞衣、荒木千衣、赤嶺大輔、関口爵世▽図書文化社=嶋田智之、北川久喜、菅原博文▽永岡書店=小幡純一、塚原有紀子、臼田圭司▽南江堂=大塚幸生、佐藤早苗、米田博史、藤原健人、伍井伶々子、新里広美、真田明友▽日教販=田中里美、石井智之▽日本加除出版=増田淳子、金塚万由美、牧陽子、朝比奈耕平、大野さやか▽日本実業出版社=海堀佳奈子、粂川景子▽日本ジャーナル出版=川村こまゑ▽日本出版販売=早川正一、高橋誠治、日下雅晴、太田力、石田英雅、北村大輔、神作裕志、久保田英樹、新田元、駒村一雄▽日本文教出版=北川直哉、佐藤有▽日本文芸社=角田奈緒幹、一瀨久美▽白水社=山田敦子、阿部唯史、氷野玲子、齋藤純子▽ひかりのくに=船﨑智久、佐伯宏一郎、土倉恵子、浅田浩文、久保優希、三田村昌紀、野間口由美▽福音館書店=北山裕子、髙木理恵、大樌健一、新鞍剛、髙井信寛▽富士経済グループ本社=井上綾子、小山香里、小林秀幸、竹内文哉、羽賀史人、上野佑太、中島裕介、平野泰之、小林悟▽双葉社=石塚良太、栗田歴、坂井健太郎、谷藤甫▽文英堂=髙山直英、祢津容子▽文藝春秋=浅井茉莉子、角田国彦、曽我麻美子、野田健介、武藤龍、柳沢章裕、涌井健策、榎本麻美、泉慶太▽芳文社=黒田悠生▽ポプラ社=花立健、碇耕一、石部恵、近藤純、吉田元子、松本麻衣子▽マガジンハウス=草野裕紀子、町田雄二、佐野香織、中島千恵、柳楽祥▽丸善出版=加藤祐子、松本裕子▽光村教育図書=山路由紀子、竹屋浩之▽光村図書出版=藤本真澄、北村慶次▽明治図書出版=澁谷雄大、小野陽平▽八重洲出版=谷本秀之、松森みゆき、日暮大輔▽有斐閣=有働浩、大石直人、的川史樹▽楽天ブックスネットワーク=野村昌博、蒲原昌志、横手宏美、眞方英志、野崎珠子
〈社名五十音順・敬称略〉

ポプラ社と学研HDが業務提携/出版事業強化とグローバル展開推進

ポプラ社と学研ホールディングス(学研HD)は5月12日、業務提携契約を締結したと発表した。この業務提携を通じて、子ども向け出版事業の強化と、グローバル・IPビジネスの協働展開を推進する。
両社は、子ども向け出版事業を取り巻く環境が大きく変化する中で、子どもたちに「ワクワクする読書体験」と「良質な学び」を提供することを通じ、心豊かに生きられる社会の実現に貢献したいとの想いから、業務提携に基づく共同関係を構築することで合意したと説明。両社がもつ子ども向けコンテンツやIP、ユーザータッチポイントを組み合わせ、国内外で新たな価値を創造・提供するとともに、読書・学び環境の向上や出版流通の維持強化を目指すとした。
今後、グローバル・IPビジネスの協働展開については、ポプラ社の豊富な児童向けコンテンツ・キャラクターIPと、学研HDが保有する絵本や児童書、学びのコンテンツを組み合わせ世界中に届けることを目指す。両社の中国拠点を連携し中国展開を加速化させると同時に、ベトナムを始めとする東南アジアや中東での幼児教育を軸にした協働を推進。出版事業においても、北米・欧州版権ビジネスの協働展開を図る。
また、多様化する読書と学びのニーズに応えるため、書店プロモーションの共同実施や、DXも活用した物流・マーケティング等の改革を推進。出版を中心とした既存事業の効率化と拡大を図る。学研HDがもつ学校・塾といった顧客とのタッチポイントを活用し、出版ビジネスの新たな販路開拓にも取り組む。

磁気式図書カード発掘キャンペーン/旧タイプカードの利用促進で店頭活性化/JPICと日本図書普及

出版文化産業振興財団(JPIC)と日本図書普及は、取次各社の協力のもと、5月20日から7月17日までの約2ヵ月間、旧タイプの磁気式図書カードの利用を呼びかける「懐かしのお宝を探そう!磁気式図書カード発掘キャンペーン」を開催している。
磁気式図書カードのキャンペーンは、JPICが業界挙げて取り組む読書推進と店頭活性化支援策として、昨年初めて実施。読者が手元に保管している旧タイプの図書カードを本や雑誌の購入に使ってもらい、店頭集客と売上増加への貢献を図るとともに、磁気式図書カードの市中在庫掘り起こしと図書カードNEXTへの完全移行推進にも役立てることを意図している。
今回のキャンペーンは、イメージキャラクターに人気児童書『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』(廣嶋玲子・作、jyajya・絵、偕成社)を採用。期間中、図書カード加盟店で磁気式図書カードを利用して総額100円(税込)以上の買物(磁気式図書カードの使用は買物額の一部でも可)をした人が対象。応募の際には、買物の合計金額がわかるレシートと、図書カード専用のレシートが必要になる。店頭のポスターなどに記載されたQRコードを読み取ってキャンペーンサイトにアクセスし、図書カード専用レシートの画像を登録の上、所定の項目を入力して応募する。期間中に4回抽選を行い、合計2000名に2000円分の図書カードネットギフトがプレゼントされる。当選者には6月下旬頃より順次、賞品をメールで届ける。
問い合わせは磁気式図書カードキャンペーンメール事務局まで。電子メール=magcp2023@toshocard.com

3月期販売額は4・7%減/書籍は文庫、ビジネス書が不振/出版科研調べ

出版科学研究所調べの3月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比4・7%減だった。内訳は、書籍が同4・1%減、雑誌が同5・7%減。雑誌の内訳は、月刊誌が同5・0%減、週刊誌が同10・1%減。書籍は『安倍晋三回顧録』(中央公論新社)や東野圭吾『魔女と過ごした七日間』(KADOKAWA)などがヒットしたものの、前年を上回るには至らなかった。雑誌は、人気コミックス『ONEPIECE105』や『呪術廻戦22』(いずれも集英社)などの新刊発売で月刊誌の落ち込み幅が縮小した。
平均価格は、書籍の新刊が同8・0%増の1355円、出回りが同3・3%増の1319円。雑誌は同2・0%増の654円で、内訳は月刊誌が同1・0%増の726円、週刊誌が同5・4%増の427円。書籍新刊はかつてない速度で上昇しており、1~3月期累計でも前年同期比5・4%増の1309円と1300円を超えた。
書店店頭の売行きは、書籍が約8%減。東野圭吾や住野よる『恋とそれとあと全部』(文藝春秋)などの新刊が売れた文芸書は前年並み。ゲーム攻略本や地図・ガイドは前年を上回ったが、その他のジャンルは低迷し、中でも文庫本やビジネス書の不振が目立った。雑誌は定期誌が約7%減、ムックが約4%減、コミックスが約1%増。定期誌は週刊誌が1割以上減少。コミックスは、雑誌扱いはほぼ前年並み。書籍扱いは『ファイブスター物語17』(KADOKAWA)などの影響で前年を大幅に上回った。

書店組合総会スケジュール

◆佐賀県書店商業組合「第41回通常総会」
6月29日(木)午後2時、佐賀市のアバンセで開催。

「本屋のあとがき」/「平台を手作りした店」/ときわ書房本店文芸書・文庫担当
宇田川 拓也

5月31日、ときわ書房八千代台店の営業が終了した。京成本線の八千代台駅改札を出てすぐという好立地だったが、ここでひとまず区切りをつけることとなった。
23年前、この店のオープニングスタッフとして採用され、私の書店員人生が始まった。とはいうものの、当時、売り場の研修的な時間はほとんどなく、ではなにをしていたのかというと、木材と工具を手に、来る日も来る日もDIYに勤しんでいた。自分たちの店の平台は自分たちで作るべし、というわけである。連日、寸法を測り、木材をカットし、塗料を塗り、工具を使って組んでいく。木屑にまみれながら、自分はいったい何屋に就職したのだと首を傾げつつも、上司や先輩社員とともに作業を続け、大小の平台を作り上げた。
八千代台には、オープンから2か月ほどで現在勤めている船橋駅前の本店へ異動となってしまったので、ごく短い期間しかいなかったが、それでも思い入れはある。営業最終日、見納めとしてひさびさに足を運んでみた。
すでに片付けが進みつつある売り場を眺めながら、あれこれ思い出していると、ふと木製の平台に目が留まった。あの平台である。