全国書店新聞
             

令和4年8月1日号

秋の読書推進月間/出版業界一丸「書店盛り上げる」/10月27日~11月23日実施へ

読書推進運動を行う各団体・企業と出版文化産業振興財団(JPIC)は、7月13日に東京・千代田区の出版クラブで記者会見を開き、出版業界が一丸となって取り組む「秋の読書推進月間(仮称)」を実施すると発表した。10月27日(木)~11月23日(水)の28日間、全国の書店店頭でキャンペーンやイベントを実施し、「読書の秋」に多くの読者に書店に足を運んでもらう。本に関わる個人・団体が一堂に会して一斉に行う、毎年恒例のイベントとして定着と発展を目指す。
出版社、取次、書店、各団体などで運営委員会と実行委員会を組織。運営委員会の委員長に紀伊國屋書店・高井昌史会長兼社長、副委員長に読書推進運動協議会・野間省伸会長(講談社社長)、日書連・矢幡秀治会長(「本の日」実行委員会代表、真光書店社長)、日本図書普及・平井茂社長の3氏が就任した。実行委員会の委員長はJPIC・近藤敏貴理事長(トーハン社長)が務め、委員には「本の日」財務委員会・大垣守弘委員長(大垣書店会長)、JPIC特別委員会・奥野康作委員長(ブックエース社長)、日書連読書推進委員会・春井宏之委員長(正文館書店社長)らが名を連ねる。
例年、各団体・企業がそれぞれ行っている読書推進運動をこの期間に一斉に行うことで、店頭活性化でより大きな効果を狙う。「読書週間」(読書推進運動協議会主催、10月27日~11月9日)、「本の日」(「本の日」実行委員会主催、11月1日)、「大切な人に絵本を贈ろう」(絵本文化推進協会共催、11月1日~)を中心に全国各地の読書推進事業とも連携し、地域・帳合の区別なく全国の書店が横断的に参加して行う。
記者会見の席上、高井運営委員長は「出版業界の厳しさが深刻化する中、各団体の枠を超え、今までにない大きなムーブメントを起こしていかなければならない状況に来ていると認識している。そのためには単発的な企画にとどまるのではなく、地域・帳合の区別なく、全国の書店が一丸となって取り組む活動を行っていくことが重要」として、①秋の読書推進月間の期間に全国一斉に読書推進活動を行う、②年齢を問わず地元の読者を書店に呼び込むための活動を行う、③これからの読者層である若者への読書推進策にも力を入れる――の3点がポイントと強調。「組織の壁を超えて皆が一致団結し、全国の書店で読書の楽しさや価値を再発見してもらう機会にしたい」と語った。
近藤実行委員長も「読書の秋には様々な読書推進運動が多くの団体・企業によって行われ実績を残してきたが、昨今の書店の厳しい状況を考えるとこれまでと同じやり方では効果は限定的に終わってしまう。今までにない読書推進運動を業界が一丸となって実施すべきと考えた」と話した。
日書連・矢幡会長は「読書の大切さはみんな知っているが、それを伝えるのは出版業界しかない。JPICには業界の様々な人たちが横断的に集まっており、業界一丸となって取り組む読書推進運動を行うには良い機会」と述べ、協力を呼びかけた。
全体のキャンペーン内容はJPIC特別委員会・奥野委員長が説明。今年のテーマ「本を読むひとは美しい」を表現するキャンペーンポスターのQRコードを読み取り書店店頭だけでスタンプを取得できる「デジタルスタンプラリー」、ツイッターやインスタグラムなどのSNSで「#本を読むひとは美しい」を付けて投稿すると抽選で「本とのプレミアムな体験や商品」が当たるキャンペーン、本好き著名人の「BookAmbassador(ブックアンバサダー)」任命と就任式、「かがみの孤城」映画化記念フェア、全国の書店や読書アドバイザーの協力で子ども食堂などの施設に本棚や本を寄付する「SDGs本だなプロジェクト」などを計画していると説明した。
「本の日」財務委員会・大垣委員長は、「読書週間×本の日秋の読者還元祭2022」「ブックカバー大賞」「イベント助成金獲得企画」「湊かなえさんがあなたのお店に!店頭飾り付けコンクール」など、今年度実施する「本の日」企画を説明した。
現在、「秋の読書推進月間(仮称)」となっているキャンペーン名について、JPIC・松木修一専務理事は「出版業界関係者から広く募集し、8月中旬頃に正式名称を発表する予定」と説明した。

「BOOKEXPO」3年ぶり、11月開催へ

「BOOKEXPO2022秋の陣今こそ集まれ!書店人~」(同実行委員会主催)が11月2日午前11時~午後6時、大阪市北区のグランフロント大阪で開催される。「BOOKEXPO」の開催は3年ぶり。入場制限、換気、マスク着用、検温、手洗い・消毒液の配置など感染防止対策を十分に行う。大阪府に緊急事態宣言が発令された場合は中止する。
問い合わせは出版文化産業振興財団(JPIC)内の事務局まで。

柳本顕議員が書店議連に加入/大阪組合の働きかけで

大阪府書店商業組合の深田健治理事長(ブックスふかだ)と冨士原純一常務理事(富士原文真堂)、法西一雄南西支部長(フミヤ書店)は7月16日、自民党近畿ブロック選出の柳本顕衆議院議員を大阪市西成区の事務所に訪れ、「全国の書店経営者を支える議員連盟」(書店議連)への加入を申し入れた。柳本氏は、週明けに書店議連へ加入条件などを問い合わせると約束した。柳本氏は連休明けの火曜日19日、大阪組合に直接連絡を入れ、同日付で書店議連への加入手続きを済ませたと報告した。
自民党の衆参両院議員をメンバーとする同議連は、書店が将来も存続できる環境を維持することなどを目的に発足。2016年に第1回会合を開いて以来、これまで10回にわたり書店経営者が抱える諸問題について意見交換を行ってきた。日書連の矢幡会長は、街の書店の減少に歯止めをかけるためには政治の力も必要として、同議連の会合に出席し協力を求めている。
(石尾義彦事務局長)

「春夏秋冬本屋です」/「奥州街道徒歩旅行」/埼玉・水野書店代表取締役・水野兼太郎

福島県の中通り南部に位置する白河市。天神町、愛宕町と鉤形の道を曲がり、昔ながらの佇まいの街並みを歩く。夏の日差しの中、一歩一歩ゴールに近づく。
奥州街道は江戸幕府直轄で、市の北にある女石追分が終点。それより先は仙台・松前道となっている。ようやくゴールにたどり着くと、なんの変哲もない苔むした石碑がある。徒歩旅行の終着としては残念さがぬぐえない。やはり白河小峰城が本当のゴールと考えてUターンし、城門をくぐって城内へ入る。奥州街道完歩の旅が終わった。
学生時代に東海道、中仙道、甲州街道を完歩した。一緒に歩いた友が若くして亡くなり、街道歩きもそのままになっていた。人生の終着駅も近くなり、残り二街道を歩こうと決めてようやく完歩できた。五街道完歩を友の墓前に報告しようと思う。
店舗の棚には「40代からの街道歩き」シリーズや『半日徒歩旅行』など関連書籍が並んでいる。定年後、趣味を活かして充実した人生を送りたいという人が多い。私も日本全国にまだまだ歩きたい道がある。青森三厩宿までの奥州街道や、最古の道「山の辺の道」は是非歩いてみたい。
屋久島縄文杉10時間ハイキングに付き合ってくれた妻はもう歩けない。一人歩くしかない。全国の書店さんに街道でお会いできるのを楽しみにしている。

組合のあり方、改革進める/販売環境変化に対応を/新潟総会

新潟県書店商業組合は6月17日、新潟市の萬松堂会議室で第38期通常総会を開催し、組合員47名(委任状含む)が出席した。本年も新型コロナウイルス感染防止の観点から、「3密」を避けて少人数での総会開催となり、多くの組合員は書面での参加となった。
はじめに西村行人理事長(萬松堂)があいさつし、「コロナとロシアのウクライナ侵攻で商品価格が上昇。配送運賃の値上げ要因になるなど、業界に影響を与えることが予想される。令和3年の出版物推定販売金額は前年比3・6%増の1兆6742億円と3年連続増加となったが、電子書籍分野が引き続き拡大したことが大きい。教科書もデジタル化が進んでいる。販売環境が大きく変化する中、各組合員からの声を掬い上げ、日書連に届けていく。組合のあり方についても各組合員の意見を拝聴し、改革を進めていきたい」と述べた。
続いて令和3年度事業報告、収支報告を審議し、承認された。令和4年度事業計画は、組合員の意見を集約して、今後の組合の方向性を模索したい旨の説明があり、収支予算とともに審議し、承認された。
(酒井久和広報委員)

「長野県絵本大賞」コロナ禍でも成功/長野組合総会

長野県書店商業組合は6月11日、東筑摩郡麻積村のシェーンガルテンおみで第38期通常総会を開き、組合員60名(委任状含む)が出席した。
冒頭あいさつで柳澤輝久理事長(西澤書店)は、1996年のピーク時に200名いた組合員も現在は60名と減少に歯止めのかからない現状に言及し、「雑誌の低迷、書籍の刷り部数の減少や配本の偏りは、書店の魅力半減と読者の来店動機の低減につながっている」と危機感を示した。
また、日書連が進める粗利益30%以上獲得運動、出版文化産業振興財団(JPIC)の書店の経営課題解決に向けた取り組みを紹介しつつ、大手出版社や取次の異業種との連携に期待を寄せ、「引き続き組合員の支援に注力していく」と力強く語った。
総会は前澤芳美総務委員長(前澤書店)の司会で進行し、奈良井功副理事長(興文堂)の開会あいさつの後、物故者3名(平林堂書店・平林茂衛氏、西沢書店・松尾公夫氏、今井書店・今井千浩氏)に黙祷が捧げられた。
議案審議では奈良井副理事長を議長に選出し、令和3年度事業報告、収支報告、令和4年度事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
事業報告では、販促・拡販委員会の倉野恵一委員長(やま路書店)が「第5回長野県絵本大賞」について報告し、「コロナ禍で従来の読者による投票型大賞選定ができず、組合員書店による選定としたが、多数の組合員書店の協力のもと選ばれた絵本の増売にもつながり、また日書連から補助金もあり、成功裡に終えることができた」と述べた。
書店活性化委員会の戸塚雅勝委員(大阪屋)は、新規店の見学がコロナ感染予防の観点から中止を余儀なくされたこと、各支部から会員書店間の情報交換や課題解決に向けた取り組み、取次への要望が多数出されたことを報告した。
今年度の事業計画では、各委員長からコロナ感染警戒レベルを踏まえながら、新規書店見学や「第6回長野県絵本大賞」の開催を検討する。また、新規商材の取り扱い、来店頻度の向上、来店の動機づけの施策にも取り組むとした。
柳澤理事長は、県立図書館が市町村との共同事業として取り組む電子図書館の動きや、「全国の書店経営者を支える議員連盟」(書店議連)に県内選出の自民党議員へ加入の働きかけを行うことなどに触れ、「今後も新たな事業にも積極的に取り組み、日書連ともしっかり連携しながら、読書推進や経営環境の改善に向けて努力していく」と述べ、総会を締めくくった。
総会終了後、3年ぶりとなる懇親会を開催した。(笠原新太郎広報委員)

返品現地処理、新展開を模索/副理事長に山田大介氏(ダイヤ書房)/北海道総会

北海道書店商業組合は6月21日、札幌市中央区の北海道建設会館で第46回通常総会を開催し、組合員43名(委任状含む)が出席した。昨年同様、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、本人出席を最小限とした。
総会は村上正人副理事長(マルイゲタ)の司会で始まり、志賀健一理事長(丸善ジュンク堂書店)があいさつ。北海道組合が進めてきた雑誌返品現地処理の実施を目指す運動について、「トーハンと日販が雑誌返品業務を協業化したことで実現が困難となり、運動を中止した」と説明した。
また、小学館、講談社、集英社が丸紅と設立した「PubteX」のAI事業とRFID事業の取り組みに触れ、「RFIDを活用し書店店頭で入帳するだけではなく、現物処理を書店でできるようにする運動を進めたいと考えている。返品料金はロシアのウクライナ侵攻が続く限り、まだまだ上がっていく。このようなことを念頭に置き、現地処理を行っている沖縄並みになるように進めていきたい」と語った。
キャッシュレス決済の手数料が重い負担になっている問題では、「この種の決済方法は今後も増えていく一方。業界で按分して書店だけが負担するという不公平を解消するべく、北海道組合として強く働きかけていきたい」と述べた。
「全国の書店経営者を支える議員連盟」(書店議連)については、次に消費税が上がる時には必ず軽減税率を獲得しなければならないことも考えて、議連を拡大していくことに全面的に協力したい」とした。
最後に、日書連が進める粗利益30%以上獲得を目指す運動について「経営環境改善が少しでも進むよう、北海道組合としても取り組んでいきたい」と締め括った。
続いて中尾邦幸副理事長(マル五中尾書店)を議長に議案審議に入り、令和3年度事業報告、収支決算報告、令和4年度事業計画案、収支予算案など、第1号議案から第9号議案まですべての議案を原案通り承認可決した。
任期満了に伴う役員改選では、正副理事長が全員重任となり、新たに山田大介理事(ダイヤ書房)が副理事長に就任した。
[北海道組合役員体制]○印は新任
▽理事長=志賀健一(丸善ジュンク堂書店)
▽副理事長=村上正人(マルイゲタ)、寺下徹(図書館ネットワークサービス)、中尾邦幸(マル五中尾書店)、○山田大介(ダイヤ書房)
(事務局・髙橋牧子)

「JPRO分類」に小分類5百項目を追加/更に販売に役立つ検索を可能に/JPO総会

日本出版インフラセンター(JPO=相賀昌宏代表理事)は6月28日、東京・千代田区の出版クラブビルで2022年度定時総会を開催。21年度活動報告、決算・監査報告、22年度活動計画、予算の全ての議案を原案通り承認した。
出版情報登録センター(JPRO)の今年4月末時点の利用状況は、出版社2392社(前年同期比13%増)、基本書誌情報登録点数277万9722点(同5%増)。新刊(委託配本)比率は92・1%となった。書店向け情報サイト「BooksPRO」の登録書店数は2248店。22年度は、「JPRO分類」の大・中分類ジャンルに加え、小分類500項目を新たに追加し、類書検索など、更に販売に役立つ検索を可能にする。
今年4月に提供を開始した「アプリ版雑誌のもくろく」は、BooksPROの雑誌詳細情報と連携させて各雑誌の月号情報も表示できるようにするほか、バーコード読み取り機能搭載で店頭での簡単な情報検索を可能にするなど、機能の充実を図る。
出版業界として読書バリアフリー法に対応するアクセシブル・ブックス・サポートセンター(ABSC)準備会は、JPRO利用出版社に連絡窓口設置を要請し、今年3月末で約350社の登録があった。準備会にはTTS(電子書籍の自動音声読上げ機能)推進WGを設置、TTS対応に向けた研究開発を促進する。
新出版ネットワーク検討委員会は、23年末のISDNサービス終了を受けて出版VANをインターネット回線へ切替えるのに向け、「新出版ネットワーク・ユーザー会」を発足、通信項目の整理検討などを行う。

5月期販売額は5・3%減/ムックが比較的堅調な売行き/出版科研調べ

出版科研調べの5月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比5・3%減となった。内訳は、書籍が同3・1%減で4ヵ月連続のマイナス。雑誌は同7・9%減。内訳は、月刊誌が同7・4%減、週刊誌が同10・2%減。
書店店頭の売上は、書籍が約9%減。主要ジャンルが落ち込む中、新書のみが約2%増で、『80歳の壁』(幻冬舎新書)など精神科医・和田秀樹の著書が売行きを伸ばしている。
雑誌の売上は、定期誌が約4%減、ムックがほぼ前年並み、コミックスが約16%減。ムックは『60歳すぎたらやめて幸せになれる100のこと』(宝島社)が好調を持続。「るるぶ情報版」(JTBパブリッシング)など国内旅行ガイドも伸長した。

「子どもが本を薦める帯コンはユニークな事業」/大阪読書推進会総会

大阪読書推進会は6月21日、大阪市北区の朝日新聞大阪本社アサコムホールで総会を開催。大阪出版協会、在阪取次、書店、共催社の朝日新聞大阪本社を合わせ20名が出席した。
総会は、大阪府書店商業組合副理事長の堀博明大阪読書推進会実行副委員長(堀廣旭堂)の司会で進行。大阪組合副理事長の戸和繁晴実行委員長(トーワブックス)が開会あいさつを行った。
大阪読書推進会の宮川健郎会長(大阪国際児童文学振興財団理事長)は、「大阪こども『本の帯創作コンクール』(帯コン)は、子どもの手による帯の制作を経て本の購読を薦めるという回り道をする、ユニークな事業だ。大人が本を薦めることの良さと問題点を感じていて、薦める過程に子どもが入ってくることが面白い」とあいさつした。
続いて朝日新聞大阪本社の島俊彰大阪版デスク、大阪出版協会の矢部敬一理事長(創元社)があいさつ。出席者が自己紹介を行った後、事業報告・事業計画・会計報告・収支予算案を審議し承認された。
閉会の辞を大阪組合・深田健治理事長(ブックスふかだ)が述べて総会を終了した。(石尾義彦事務局長)

「木曜日は本曜日」企画に着手/隔週木曜、著名人が選んだ本を販売/東京組合

東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は7月5日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。
東京都中小企業団体中央会の令和4年度中小企業新戦略支援事業(団体向け)特別支援「デジタル技術活用による業界活性化プロジェクト」について企画提案申請書を提出し、選定されたと報告。現在の「新しい日常対応型業界活性化プロジェクト特別委員会」の名称を「『木曜日は本曜日』習慣化プロジェクト特別委員会」に変更し、プロジェクトの進行・決定の権限は同特別委員会に一任することなどの提案があり、承認した。プロジェクトでは、隔週木曜日を「本曜日」とするPRを特設Webサイトの開設や動画コンテンツの制作等で行うとともに、店頭では「本曜日」に合わせて著名人が選んだ本を販売する企画を、今年10月~来年2月に実施する方針。
事業・増売委員会では、河出書房新社が『世界探検全集』(全16巻、9月刊行開始)について説明、特別増売企画商品として取り組むことを承認した。初回配本の第1巻『東方見聞録』と第10巻『世界最悪の旅』は各1冊を全店舗に送品する。また、『怪異の民俗学』(全8巻、8月刊行開始)を増売企画商品とすることも承認した。
集英社からは、同社創業95周年記念企画『アジア人物史』(全12巻+索引巻、12月刊行開始)の説明があり、増売企画商品とすることを承認した。

梅花女子大が本の帯コラボイベント開催/大阪

梅花女子大学は6月19日、大阪・梅田のグランフロント大阪の北館で、第18回大阪こども「本の帯創作コンクール」(大阪読書推進会・朝日新聞大阪本社・日本出版販売労組共催)のコラボイベントとして「本の帯」をデザインするワークショップを開催した。
講座の前半では、同大学の香曽我部秀幸教授がプロジェクターを用いて本の帯を実績強調型、推薦文型、内容紹介型、詩的(雰囲気)表現型の4つのパターンに分類した上で、編集者やデザイナーがオモテ表紙・ウラ表紙・背表紙を読者にどのようにアピールしているかや、書店店頭でお客さんに知ってもらうために陳列で工夫していることを分かりやすく説明した。
後半は、今年の課題図書『チーターじまんのてんてんは』(BL出版)、『ほら、ここにいるよ』(ほるぷ出版)、『マイロのスケッチブック』(鈴木出版)を読み聞かせた後、参加した親子20名が1冊を選んで帯の制作に取り組み、完成した作品が講評・説明された。
(石尾義彦事務局長)

「秋の読者還元祭」参加を呼びかけ/九州選書市は中止に/福岡理事会

福岡県書店商業組合(安永寛理事長)は6月24日、福岡市中央区の福岡県教科図書会議室で定例理事会を開催した。
理事会では日書連理事会報告が行われ、「読書週間×本の日秋の読者還元祭2022」の実施内容を説明、販売促進に活用をと参加を求めた。また第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」が策定されたのを受け、各自治体に財源を図書購入に充てるよう働きかけを要請した。
5月26日開催の九州雑誌センター株主総会の報告では、昨年10月からムックの返品処理が開始されており、一部出版社が返品不可となっている点を今後解消していきたいとした。
また、9月開催予定の「九州選書市2022」について協議。例年より2ヵ月短い準備期間や収支予測、別途必要となるコロナ対策等の要因を考慮し、開催を見送ることを決めた。
山本太一郎理事(福岡金文堂)の逝去に伴い、山本良氏が新たに理事に就任した。また、理事定数は定款で25人以上30人以内と規定しているが、組合員減少を踏まえ、15人以上25人以内への変更を11月の通常総会に諮ることにした。
(加来晋也広報委員)

「心にのこる子どもの本」秋・冬セール/日書連増売運動

2022年「心にのこる子どもの本秋・冬セール」は、「絵本この1冊」(41点41冊)、「読み物この1冊」(40点40冊)、「教科書に出てくる本」(50点50冊)、「子どもの本・棚ベスト」(130点130冊)の4セットをご用意しました。新登場の「子どもの本・棚ベスト」は、取次会社の売行データから選書された大型セットです。送本条件は7ヵ月長期委託。お店の児童書コーナーの充実に是非ご活用ください。
インターネットでもご注文いただけます。日書連ホームページ(https://www.n-shoten.jp/)のバナーからお入りください。申込み締切は2022年9月1日(木)必着。締切日厳守にご協力ください。
【絵本この1冊セット】
▽しんごうきピコリ(あかね書房)▽輪切り図鑑クロスセクション3人体断面図鑑(あすなろ書房)▽うちのねこ(アリス館)▽おすしやさんにいらっしゃい!生きものが食べものになるまで(岩崎書店)▽たんぽぽライオンのゆめ(化学同人)▽バーナバスのだいだっそう(学研プラス)▽おばけのやだもんまほうのカレーライス(教育画劇)▽モルモットのちゃもとけだまーず(金の星社)▽ちちんぷいぷい(くもん出版)▽ねむたくないせんにん(佼成出版社)▽まっくろ(講談社)▽ふかふか(国土社)▽みずとはなんじゃ?(小峰書店)▽ホオナニ、フラおどります(さ・え・ら書房)▽いつかあなたをわすれても(集英社)▽野ばらの村のピクニック(出版ワークス)▽二平方メートルの世界で(小学館)▽学校図書館ここはいつでもぼくの場所(少年写真新聞社)▽はくさいぼうやとねずみくん(新日本出版社)▽マイロのスケッチブック(鈴木出版)▽ももたろう(誠文堂新光社)▽ねえねえ、らいおんみなかった?(大日本絵画)▽どんなきもち?(大日本図書)▽なまはげ(汐文社)▽ハムおじさん(徳間書店)▽びりびり(童心社)▽福島に生きる凛(りん)ちゃんの10年(農山漁村文化協会)▽だいじょうぶかないちねんせい(ひかりのくに)▽じいちゃんバナナばあちゃんバナナ(ひさかたチャイルド)▽ばあばにえがおをとどけてあげる(評論社)▽チーターじまんのてんてんは(BL出版)▽ぼくのがっこう(PHP研究所)▽やっぱりじゃない!(フレーベル館)▽にんじゃじゃ!(文溪堂)▽でんしゃとしょかん(文研出版)▽さむがりやのスティーナ(平凡社)▽いろんなきもち(保育社)▽あっぷっぷ~!!(ほるぷ出版)▽あんなにあんなに(ポプラ社)▽くまちゃんがちいさくなっちゃった(光村教育図書)▽よんひゃくまんさいのびわこさん(理論社)
【読み物この1冊セット】
▽ぼくらは森で生まれかわった(あかね書房)▽シャーロットのおくりもの(あすなろ書房)▽よみものなないろどうわ(アリス館)▽チイの花たば(岩崎書店)▽海とそらがであうばしょ(化学同人)▽1ねん1くみの女王さま(学研プラス)▽ふしぎないどうどうぶつえん(金の星社)▽ギタンジャリ・ラオSTEMで未来は変えられる(くもん出版)▽きみのなまえ(佼成出版社)▽ポーチとノート(講談社)▽シェフでいこうぜ!(国土社)▽ツトムとネコのひのようじん(小峰書店)▽#マイネーム(さ・え・ら書房)▽花とつぼみと、きみのこと。ちいさな想いの育てかた(集英社)▽はじめまして、茶道部!(出版ワークス)▽イアリーの魔物①マラマンダー(小学館)▽もしもトイレがなかったら(少年写真新聞社)▽みちのく妖怪ツアーオンラインゲーム編(新日本出版社)▽変化球男子(鈴木出版)▽自然の一生図鑑はじまりからおわりまでのお話60(誠文堂新光社)▽とびだす!どうわのしかけえほん3びきのこぶた(大日本絵画)▽ハリーとうたうおとなりさん(大日本図書)▽太郎の窓(汐文社)▽オンボロやしきの人形たち(徳間書店)▽先生、感想文、書けません!(童心社)▽食べるとはどういうことか(農山漁村文化協会)▽増補改訂版辞書びきえほん科学のふしぎ(ひかりのくに)▽スギナ屋敷のオバケさんオバケ屋敷にお引っ越し(ひさかたチャイルド)▽ゴースト・ボーイズぼくが十二歳で死んだわけ(評論社)▽チョコレートのおみやげ(BL出版)▽わたしのあのこあのこのわたし(PHP研究所)▽りぼんちゃん(フレーベル館)▽富士山のむこう側(文溪堂)▽星明かり(文研出版)▽それでも僕は歩き続ける(平凡社)▽アートって何だろうはじめてアートに出会う本(保育社)▽エヴィーのひみつと消えた動物たち(ほるぷ出版)▽団地のコトリ(ポプラ社)▽せかいでさいしょにズボンをはいた女の子(光村教育図書)▽あしたの幸福(理論社)
【教科書に出てくる本セット】
▽吉四六さん(あかね書房)▽木を植えた男/ウエズレーの国(あすなろ書房)▽ホネホネたんけんたい(アリス館)▽半日村/モチモチの木/としょかんライオン(岩崎書店)▽たんたのたんけん改訂版/どんぐりむらのほんやさん/小さなスプーンおばさん/学研の図鑑LIVE動物(学研プラス)▽十二支のはじまり(教育画劇)▽ふしぎなキャンディーやさん/かわいそうなぞう(金の星社)▽100円たんけん(くもん出版)▽いなばの白ウサギ(佼成出版社)▽えほん七十二候はるなつあきふゆめぐるぐる(講談社)▽大きなけやき(国土社)▽あしたのことば(小峰書店)▽学習漫画世界の伝記NEXTオードリー・ヘプバーン(集英社)▽かぶきわらし(出版ワークス)▽ぼくは満員電車で原爆を浴びた11歳の少年が生きぬいたヒロシマ(小学館)▽ネットで見たけどこれってホント?②食のメディアリテラシー(少年写真新聞社)▽月はぼくらの宇宙港(新日本出版社)▽にゃーご(鈴木出版)▽海の擬態生物(誠文堂新光社)▽ちびっこ大せんしゅ(大日本図書)▽兵士になったクマヴォイテク(汐文社)▽弟の戦争(徳間書店)▽へいわってどんなこと?/かあちゃん取扱説明書(童心社)▽塩の絵本(農山漁村文化協会)▽わんぱくだんのひみつきち(ひさかたチャイルド)▽せかいのひとびと/マチルダは小さな大天才(評論社)▽アランの歯はでっかいぞ、こわーいぞ(BL出版)▽伝説の迷路(PHP研究所)▽たいせつなこと/だってだってのおばあさん(フレーベル館)▽キャベツくん(文研出版)▽こども文様ずかん(平凡社)▽クレヨンからのおねがい!/ガンピーさんのふなあそび〈新装版〉(ほるぷ出版)▽かわいいこねこをもらってください/おにたのぼうし/珍獣ドクターのドタバタ診察日記/おまえうまそうだな(ポプラ社)▽1つぶのおこめ(光村教育図書)▽ぞうのたまごのたまごやき/ふしぎな木の実の調理法(理論社)
【子どもの本・棚ベストセット】
▽きいろいばけつ/一休さん/おばけのはなし①/ふらいぱんじいさん(あかね書房)▽はみがきれっしゃしゅっぱつしんこう!/みえるとかみえないとか(アリス館)▽いつつごうさぎのきっさてん/はじめてのおるすばん/だいすきぎゅっぎゅっ/ルルとララのアニバーサリー・サンド/ルルとララのおまじないクッキー/おねえちゃんって、まいにちはらはら!/にじいろフェアリーしずくちゃんふしぎなクリスタルをさがせ!/ほねほねザウルス21ふっかつ!でんせつのファイヤーティラノ前編/ほねほねザウルス22ふっかつ!でんせつのファイヤーティラノ後編/ほねほねザウルス23まもれ!マンモスたちのだいち(岩崎書店)▽くだものさん/やさいさん/しましまぐるぐる/あかあかくろくろ/10分で読めるお話1年生増補改訂版/10分で読めるお話2年生増補改訂版/10分で読める物語1年生増補改訂版/10分で読める物語2年生増補改訂版/5分後に意外な結末exアクアマリンからあふれる涙/5分後に意外な結末ex白銀の世界に消えゆく記憶(学研プラス)▽おばけのやだもん/いちばんしあわせなおくりもの/ちいさなちいさなほしのあかり/ちいさなちいさなうみのおさんぽ(教育画劇)▽せんろはつづく/まいにちがプレゼント/あいうえおのえほん/ねこのジョン改訂版/おとのでる♪てあそびうたえほん/まほうのじどうはんばいき/かえってきたまほうのじどうはんばいき/まほうのゆうびんポスト/昔話法廷/昔話法廷Season2(金の星社)▽きらきら/しゃかしゃか(くもん出版)▽はじめてのずかん555増補改訂版/2歳のえほん百科改訂版/100万回生きたねこ/INSECTLANDホタルのアダムとほしぞらパーティー/都会のトム&ソーヤ15エアポケット/都会のトム&ソーヤ16スパイシティ/びょういんのおばけずかんおばけきゅうきゅうしゃ/えんそくのおばけずかんおいてけバスカイド/ちいさいモモちゃん/ルドルフとイッパイアッテナ(講談社)▽なまえのないねこ/ふたりはとっても本がすき!(小峰書店)▽おしりダンディザ・ヤング―おたからはおれにまかせろ!/ちびまる子ちゃんのことわざ教室/ちびまる子ちゃんの時間の使いかた/ちびまる子ちゃんの話しかたと発表(集英社)▽すみっコぐらしひみつじてん/ポケモンマジックルーペであいにいこう!/ポケモンをさがせ!あたらしいぼうけん/ドラえもんのことわざ辞典/たしざん・ひきざん改訂新版算数おもしろ攻略/日本の歴史1社会科おもしろ攻略/日本の歴史2社会科おもしろ攻略/日本の歴史3社会科おもしろ攻略/宇宙の不思議ドラえもん科学ワールド/日本語のひみつドラえもん探究ワールド(小学館)▽本当の「頭のよさ」ってなんだろう?/理科好きな子に育つふしぎのお話365/算数好きな子に育つたのしいお話365(誠文堂新光社)▽くれよんのくろくん/くろくんとちいさいしろくん/おしいれのぼうけん/いないいないばあ/いいおかお/もうねんね/おさじさん/のせてのせて/14ひきのひっこし/14ひきのあさごはん(童心社)▽辞書びきえほん日本地図改訂新版/辞書びきえほん世界地図改訂新版(ひかりのくに)▽どうぞのいす/おべんとうバス(ひさかたチャイルド)▽わすれられないおくりもの/ずーっとずっとだいすきだよ/どんなにきみがすきだかあててごらん/チョコレート工場の秘密/オ・ヤサシ巨人BFG/小さなバイキングビッケ(評論社)▽10かいだてのおひめさまのおしろ/りゆうがあります/なつみはなんにでもなれる/おしっこちょっぴりもれたろう/わたしのわごむはわたさない(PHP研究所)▽アンパンマンとげんきにあいさつ/アンパンマンのたべものあいうえお/ぼく、アンパンマン!/アンパンマンをさがせ!ミニ①/アンパンマンはじめてのことばえほんわくわく/アンパンマン大図鑑プラス公式キャラクターブック(2冊セット)/NEWウォーリーをさがせ!/NEWウォーリーのゆめのくにだいぼうけん/NEWタイムトラベラーウォーリーをおえ!/NEWウォーリーのふしぎなたび(フレーベル館)▽バムとケロのさむいあさ(文溪堂)▽え?ガオー!/やってみたいなおみせやさん/バスプップー/くにゃ?/ぴったん・こ!/ころりん・ぱ!/ねこはるすばん/アポロンと5つの神託1太陽の転落/もうひとつのワンダー/ワンダー(ほるぷ出版)▽おしりたんていカレーなるじけん/おしりたんていむらさきふじんのあんごう/おしりたんていやみよにきえるきょじん/おしりたんていラッキーキャットはだれのてに!/おしりたんていおしりたんていのこい!?/かいけつゾロリつかまる!!/かいけつゾロリのレッドダイヤをさがせ!!/かいけつゾロリきょうふのエイリアン/かいけつゾロリのゾワゾワゾクゾクようかいまつり/かいけつゾロリきょうふのダンジョン(ポプラ社)▽チョコレート戦争/本屋さんのルビねこ/本屋さんのルビねこルビとしっぽの秘密(理論社)

ABC雑誌発行社レポート/2021年下半期雑誌販売部数

日本ABC協会は2021年下半期(7~12月)雑誌発行社レポートを発表した。今回掲載したのは32社108誌。各雑誌部数の前年同期比の平均(既存誌ベース)は週刊誌93・51%、月刊誌95・28%、合計94・85%となった。報告誌の状況は、KADOKAWA『関西ウォーカー』『東海ウォーカー』、角川春樹事務所『ポップティーン』、集英社『Seventeen』、ワン・パブリッシング『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』は報告を中止。また発行元が退会したCCCメディアハウス『ニューズウィーク日本版』、日経ナショナルジオグラフィック『ナショナルジオグラフィック日本版』、毎日新聞出版『サンデー毎日』は掲載をやめた。講談社『テレビマガジン』は発行周期を月刊から隔月刊に、光文社『Mart』は月刊から季刊に変更した。
一般週刊誌のトップは『週刊文春』の25万2453部で前年同期比6・5%減となった。2位の『週刊現代』は同9・9%減の18万873部、3位の『週刊新潮』は同4・2%減の14万9915部、4位の『週刊ポスト』は同9・8%減の14万873部と、いずれも部数を落とした。新聞社系は『週刊朝日』が同17・2%減の4万6601部と2桁のマイナス。
男性月刊誌は、ヤング誌の『smart』が同100・3%増の6万9091部と躍進、20年下期を底に盛り返している。
ビジネス・マネー誌は、『週刊ダイヤモンド』がデジタル版の伸長により同35・0%増の8万1346部に。『週刊東洋経済』は同2・7%増の4万6456部。『日経ビジネス』は同0・6%減の14万9885部、『プレジデント』は同3・5%減の10万7471部だった。
女性週刊誌は、『女性セブン』が同4・4%減の16万1156部、『女性自身』が同4・6%減の15万378部、『週刊女性』が同14・4%減の7万5653部と減少傾向が続く。
女性月刊誌は、ヤング誌は『mini』が同61・3%増の7万8914部と好調。『ViVi』は同25・9%増の8万2588部と盛り返した。ビューティ・コスメ誌の『&ROSY』は同86・2%増の5万8890部と伸長。17年上期から8期連続伸長を記録していたシニア誌の『ハルメク』は同1・1%減の36万8919部。前期からは4・2%減となった。

誰でも本を買ってサンタに/「ブックサンタ」参加書店を募集

NPO法人チャリティーサンタは7月4日、貧困や病気、被災などで厳しい環境にいる子どもたちに本をプレゼントする社会貢献活動「ブックサンタ」の参加書店の応募受付を開始した。期間は9月16日まで。
ブックサンタは、「自分が選んで買った新品の本」をそのまま書店のレジで寄付できる新しい社会貢献の仕組み。2021年は42都道府県の461書店が参加し、合計3万5162冊を寄付した。多数の新聞やテレビでも取り上げられ、初年度の2017年から41・4倍に成長している。
2022年度は1000店舗の参加を目指し、特に47都道府県で参加書店のない福井、鳥取、島根、長崎、熊本の5県の書店からの参加を募集している。
詳細は公式ホームページ。https://www.charity-santa.com/

河出書房新社企画説明会/書店マージン30%挑戦企画発表

河出書房新社は7月7日、東京・千代田区の出版クラブビルで、今夏以降に刊行予定の書籍・雑誌などを紹介する企画説明会をオンライン配信併用で開催。書店マージン30%挑戦企画「復刊チャレンジ88」、2026年に迎える創業140周年に向けた新雑誌「スピン/spin」などを紹介した。
冒頭あいさつした小野寺優社長は、コロナ禍や海外の戦争、経済、格差、差別、環境など世界が直面する課題を挙げ、「この時代に出版に何ができるか。今日紹介する企画はそんな問いに対する私たちなりの回答」と力を込めた。
「復刊チャレンジ88」は復刊2企画のうちいずれかで全巻定期の予約をとった書店にセット本体価格の8%の報奨を支払う。
対象企画は「世界探検全集(全16巻)」(セット本体3万8060円、9月刊行開始)と「怪異の民俗学新装復刻版(全8巻)」(セット本体2万2400円、8月刊行開始)。エントリー締切は8月31日、全巻予約申し込みの第一次締切は来年3月31日。
営業第二部の田丸慶部長代理は「この時代に全集を売るのは簡単なことではないと分かっている。一方、業界内で書店マージンが問題になっていることも重く受け止めている。復刊チャレンジ88は、そんな状況の中で当社ができる現時点で精一杯の販売施策。私たちの思いを受け止めてほしい」と拡販を呼びかけた。
9月27日に創刊する新雑誌「スピン/spin」は、創業140周年を迎える4年後に向けたカウントダウン企画として季刊・16号限定で発行する。
誌名の命名者は作家の恩田陸氏で、「栞=スピン」と「変化(回転=スピン)」をかけた。小説(連載、連作、短編、ショートショート)からエッセイ、コラム、企画連載、装画・挿画まで、毎号ジャンルを超えた作家による作品を掲載する。A5判、並製・平綴じ、144~160ページ。本体予価300円。
紙の専門商社・㈱竹尾とのコラボレーション企画「紙の過去・現在・未来を考える」プロジェクトも同時始動する。表紙の紙は毎号異なった「紙=資材」を使用し、読者に視覚・触覚でその違いを体感してもらう。連載「紙の話」もスタートする。
「出版の原点に立ち返り、出版の未来を考える」ための第一弾として新媒体を創刊、発行していく。
大型本企画は5点を紹介した。10月に『ザ・ミュージアム世界の知と美の殿堂』『かけらが語る地球と人類138億年の大図鑑』『地図とタイムラインでわかる戦争の世界史大図鑑』、11月に『世界の宗教大図鑑』『食事と栄養の科学大図鑑』を刊行する。
秋の注目企画は6点。音楽ユニットDUSTCELLの人気曲を小説化した『クロスの行方』(7月発売)、ウクライナの絵本作家オリガ・グレベンニク著『戦争日記鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々』(9月上旬発売)、ウクライナ情勢を取材するジャーナリストによる『ゼレンスキーの真実』(11月中旬発売)、絵本『橋の上で』(9月上旬発売)、ユヴァル・ノア・ハラリによる初の児童書シリーズ「ハラリ教授の歴史の学校」の第1巻『ヒト、世界を征服する(仮題)』(11月発売)、グレタ・トゥーンベリ編『気候変動入門』(11月上旬発売)をそれぞれ担当者がPRした。

「近所の本屋さんで何か一冊でも」直木賞に選ばれた窪美澄氏が会見

第167回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が7月20日発表され、芥川賞に高瀬隼子氏の「おいしいごはんが食べられますように」(「群像」1月号)、直木賞に窪美澄氏の「夜に星を放つ」(文藝春秋)が選ばれた。芥川賞は候補5作品すべて、直木賞は候補5作品のうち4作品が女性の作品で注目されていたが、ともに女性の受賞となった。高瀬氏と窪氏は同日夜、都内のホテルで記者会見に臨み、今の気持ちを語った。
高瀬氏は1988年、愛媛県生まれ。2019年「犬のかたちをしているもの」ですばる文学賞を受賞しデビューした。芥川賞受賞作では、職場の微妙な人間関係を食べる行為を通して描いた。自身も事務職として働きながら執筆しており、「職場では年代も考え方もバラバラの人たちと毎日顔を合わせる。他者と働くということでは社会人経験が作品に生かされている」と話した。
小説家になるのが子供の頃からの夢だった。「ここから頑張れという意味で受賞させてもらったと思う。書き続けていきたい」と意気込みを語った。
緊張の面持ちで会見場に現れた窪氏。受賞作の短編がコロナから逃げずに書いた点も評価されたことについて、「5編のうち2編がコロナについて書かれている。この3年間、みんなが非常に重いものを抱えて生きなければならなかった。せめて小説では心が明るくなるものをと思って書いた」と振り返った。
1965年生まれ。44歳
で遅咲きのデビューを飾った。直木賞候補は3回目。今後は「残された時間でいかに良質な作品を書くかが課題。直木賞の名前に恥じない作品を次々と書いていきたい」と意欲を示した。
最後に、読書と書店を取り巻く現状を懸念し、「いま書店が次々と店をたたみ、みんな本を読まなくなっている。でも、小説にしか解決できない、閉じることのできない心の穴が誰しもある。心に迷いがある時は、ちょっと近所の本屋さんに行って、何か一冊、文庫本でもいいので読んでみてほしい」と訴えた。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

かみゆ歴史編集部編著『日本の仏像とお寺の謎100』(イースト新書1000円)は、普段何気なく参拝する寺と仏像を多角的に解説。仏様には「尊格」という身分のランクがある。上から、如来、菩薩、明王、天の順。阿弥陀如来などを筆頭に、観音菩薩、不動明王、天は毘沙門天や帝釈天を指す。如来の頭髪は螺髪(らはつ)と言い、貝殻のように巻いた髪で伸ばすと一本になる。
千手観音は合掌する手に加えて左右に20本ずつの42本が多く、千本の手があるわけではない。40の手が其々25の世界を救うと考えられ、40×25で千手とされるのである。1897年の古社寺保存法で文化財の全てが国宝指定だったが、1950年の文化財保護法により改めて国宝の指定がなされた。その時の指定番号が1番だったのが京都広隆寺の、木造弥勒菩薩半跏像だった。オールカラーで見やすく、観光ガイドとしても楽しめる。石井亜矢子著/岩崎隼画『仏像図解新書』(小学館新書720円)は8刷を重ねる。こちらも仏の尊格に沿って解説。40手に省略されず実際に千の手を持つ千手観音が、唐招提寺金堂や大阪葛井寺に現存現存すると紹介している。仏像は見るものではなく、拝むものであると結んでいる。