全国書店新聞
             

平成24年6月1日号

東北ブロック大会7月12日に開催

書店東北ブロック会(藤原直会長)は7月12日~13日、宮城県仙台市太白区の秋保温泉・岩沼屋で第64回大会を開催する。12日は、午後1時半から会員のみで大会、午後2時半から読売新聞前写真部デスクの岩佐譲氏、東北学院大学環境建設工学科教授の河野幸夫氏が震災をテーマに講演、午後6時から懇親会を行う。13日はゴルフと観光。

収益改善へ意見交換/出版流通改善協議会で書店再生5項目提案/日書連

日書連は5月17日、東京・千代田区の書店会館で5月定例理事会を開催。2月定例理事会で承認した「書店再生のための提案」について、書店、取次、出版社の業界3者で構成する出版流通改善協議会で意見交換会を行ったことが報告された。今後は書協、雑協、取協と話し合い、責任仕入と責任販売、付録組み・万引きロス・取次特急便の負担軽減、増売運動の実施により書店収益改善を目指す。
〔書店再生〕
出版流通改善協議会は5月11日、日書連2月理事会で承認された「書店再生のための提案」について意見交換会を開催。日書連から舩坂委員長のほか大橋会長、藤原副会長、面屋副会長、柴﨑副会長、片岡理事、そして書協、雑協、取協の役員が出席した。
この提案は「責任仕入と責任販売による2%の収益改善」など書店再生にとって重要かつ緊急性のある5項目の改善案から成る。日書連は業界3者で構成する出版流通改善協議会で検討するよう要望していた。
意見交換会の模様を報告した舩坂委員長は「出版流通改善協議会に道筋をつけてもらった。今後は書協、雑協、取協の各団体と話し合う。取協はすでにワーキンググループを作り、検討を始めてくれているという。提案の骨子は責任ある仕入と販売だが、書店が本を売る実績を作ることも重要。書店が本を売る努力を見せ、出版社と取次の協力を得たい」と述べ、提案内容の実現に向けて各団体と話し合いを進めると同時に、増売運動の計画を早急に立案する意向を示した。
〔増売〕
10月27日から11月9日まで2週間にわたり実施する「読書週間書店くじ」の実施要綱を承認した。特等賞は前年と同様に「図書カード5万円」40本。抽選会は11月14日に行う。
〔読書推進〕
平成24年度予算案に読書推進活動費用として300万円計上し、15組合に上限20万円の補助金を拠出すると西村委員長が報告した。
〔取引改善〕
柴﨑委員長、出版物小売業公正取引協議会の元永剛顧問、日書連事務局員の3名は5月14日、公正取引委員会審査局を訪れ、取次大手2社が独占禁止法で規定される「優越的地位にある者」として「濫用行為」を行っていないか調査を依頼する申告書を提出した。
日書連は先月の理事会で申告書を提出することを承認し、元永顧問が中心となって申告書を作成した。今回の申告を受けて、公取委は行政調査を行い、意見申述・証拠提出などを経て、法定措置を確定する。
日書連は08年から、送品・返品同日精算の実現を取次大手2社に粘り強くお願いしてきたが、今年2月末の両社からの回答でも日書連の主張するところが理解されず、進展が見られなかったことから、第3者にこの問題の判断を委ねるため公取委審査局への申告に踏み切った。
〔消費税問題〕
5月15日付の日本経済新聞によると、消費増税関連法案の国会審議で、増税時に生活必需品の税率を低くする軽減税率の是非が議論されそうだ。藤村官房長官が5月14日の記者会見で「野党から提案があれば、与野党協議で真摯に向き合う」と表明したもの。
面屋委員長は「消費税が上がれば書店の売上は確実に落ちる。まず消費増税そのものに反対、もし増税の場合は出版物への軽減税率を求めるというのが日書連の考え方」と説明した。
〔広報〕
5月から全国の多くの組合で総会が開かれる。面屋委員長は「総会記事を漏れなく載せることは全国書店新聞の重要な柱の一つ。取材記事を重点的に掲載していく」と述べた。
〔電子書籍対応〕
日書連がウェイズジャパンと提携して取り組んでいる電子書籍販売事業で、参加している6都府県の54店を対象にアンケート調査を実施。所属組合を通じて5月11日に回収した。回答した書店は37店、回収率は68・5%。
これによると、同事業に参加した動機で多数を占めたのは「電子書籍に高い関心を持っていた」(25・0%)と「組合の研修会に参加して経営上有意義と思った」(20・6%)。求めるメリットは「電子書籍販売還元ロイヤリティが書店の収益の柱のひとつに育つ」(14・5%)、「電子書籍が販売機会損失を防ぐ代替品となってお客様の流失を防ぐ」(10・8%)の回答が多かった。
鶴谷部会長は「紙の本の物流はうまく機能していない。電子書籍をその代替にしたいという切実な思いが感じられた」と感想を述べ、各県組合に電子書籍対応部会を設置するよう求めた。
同事業の基本契約書を締結した組合は、5月16日現在、青森、神奈川、東京、山梨、愛知、富山、石川、福井、大阪、奈良、熊本、大分、鹿児島の13組合で、参加書店は約100店。
〔組織〕
各都道府県組合の4月期加入・脱退状況は、加入5店、脱退40店、前月比35店の純減となり、全国の組合員数は4683店になったと中山委員長が報告した。
日書連のオリジナル手帳「ポケッター2013」は7万部(前年比2千部減)製作することを決めた。また、3月1日、書店の空きスペースの紹介で、賃貸スペース仲介サイト運営の「軒先」と業務提携したが、これまで6組合で説明会を行った。さらに15組合で説明会を行うことが決まっている。中山委員長は「全国展開すれば日書連にも多くの事業収入をもたらす」として、同事業への積極的な参加を呼びかけた。〔流通改善〕
佐賀県武雄市が市立図書館の企画・運営をカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に委託することを計画し、県内の書店から懸念の声が上がっている。計画によると来年4月から、CCCが運営する東京・渋谷区の代官山蔦屋書店のノウハウを活用した品揃えやサービスを導入し、雑誌・文具の販売を行う。また、CCCのTカードとTポイントを導入。さらに、年中無休、午前9時から午後9時までと開館時間を延長するという。
藤原委員長は「雑誌の販売を行い、ポイントカードを導入するなど、これまで全国の図書館で導入された指定管理者制度による運営委託とは方向性が異なる。問題が多い」と指摘し、「今後、このような事例が全国に波及する可能性がある。図書館の納入先から地域の書店が外されることにもなりかねない」と危惧。全国各地域における指定管理者等の状況を調査してほしいと求めた。
佐賀組合の岩永理事長は「突然の発表で地元の書店にとっても青天の霹靂だった。税金で図書を購入する公共図書館が、民間の事業者に運営を委託し、本を貸してポイントをつけることに疑問を感じる。市会議員らと相談し、市議会に請願書を出すことも検討する」と述べた。

景品規約の主旨徹底図る/出版物小売業公取協総会

出版物小売業公正取引協議会(大橋信夫会長)は5月17日、東京・千代田区の書店会館で2012年度通常総会を開いた。来賓として消費者庁表示対策課規約担当課長補佐の山岡誠朗氏、同規約第一係長の山下英照氏が出席した。
総会は東浦澄夫理事の司会で進行し、代理人を含め35名が出席と報告。鈴木喜重副会長の開会の辞に続き、大橋会長が「十分な審議を尽くしたい」とあいさつした。
続いて消費者庁の山岡氏が祝辞。「東日本大震災のあと、消費者の安全性、信頼性に対する目線は厳しさを増している。公正取引協議会において適正なルールが自主的に運用されていることで、消費者は安心して買い物ができる。引き続き消費者行政へご支援をお願いしたい。皆様の規約を通じて消費者が安心して適正に商品選択できる環境作りが推し進められるよう期待している」と話した。
このあと大橋会長を議長に議案審議を行い、平成23年度事業報告、収支決算報告、平成24年度事業計画案、収支予算案などをいずれも原案通り承認した。
事業報告を行った影山稔専務理事は「当協議会は代表的な相談事例を委員会、理事会で配布し会員への指導教材に供するなどして、独占禁止法及び景品表示法下における消費者庁、公正取引委員会の考え方を伝えることに努めた」として、規約の主旨徹底を図ったことを説明した。また、平成24年度事業計画を以下の通り決めた。
1、出版物小売業の「公正競争規約」に対する理解と検討。そして正しい運用、普及のための活動、研修会等の開催。2、景品表示法をはじめ、関係法令の研究並びに規約違反の防止。3、一般消費者、消費者団体及び出版業界団体との連絡。4、関係官庁との連絡①消費者庁並びに公正取引委員会と各地方事務所との連絡。②各都道府県の景品表示主管課との連絡。③全国公正取引協議会連合会並びに公正取引協会との連絡。5、広報活動全国書店新聞での広報活動を推進し、業界関係団体、会員への趣旨啓蒙、宣伝、支援、協力等の要請。
任期満了に伴う役員改選では大橋会長を再選し、別掲の役員を決定した。〈出版物公取協新役員〉
▽会長=大橋信夫(東京)
▽副会長=鈴木喜重(千葉)藤原直(宮城)柴﨑繁(東京)
▽理事=久住邦晴(北海道)鶴谷祿郎(青森)加賀谷龍二(秋田)玉山哲(岩手)五十嵐太右衛門(山形)西猛(福島)塚越賢次(茨城)杉山和雄(栃木)竹内靖博(群馬)川島孝文(埼玉)山本裕一、筒井正博(神奈川)舩坂良雄、小泉忠男(東京)東浦澄夫(山梨)江﨑直利(静岡)佐藤光弘、安藤正直(愛知)木野村祐助(岐阜)岡森泰造(三重)西村俊男(新潟)丸田茂(富山)森井清城(石川)塩川明人(長野)安部悟(福井)吉田徳一郎(滋賀)面屋龍延、戸和繁晴、藤田彰(大阪)中村晃造(京都)櫻井晃二(奈良)宇治三郎(和歌山)山根金造(兵庫)田江泰彦(鳥取)今井直樹(島根)小野正道(岡山)山本秀明(広島)西尾文士(香川)平野惣吉(徳島)光永和史(愛媛)五藤栄一郎(高知)長谷川澄男、大石宏典(福岡)岩永藤房(佐賀)中山寿賀雄(長崎)長﨑晴作(熊本)福田健太郎(大分)田中隆次(宮崎)楠田哲久(鹿児島)小橋川篤夫(沖縄)
▽専務理事=影山稔
▽監事=小泉忠男、安藤正直

「書店大商談会」「BOOKEXPO」/業界3者に利益もたらす商談会めざす

「第3回書店大商談会」が10月に東京、「BOOKEXPO2012」が11月に大阪で開催されることが決定。両実行委員会は5月21日、東京・千代田区の書店会館で合同記者会見を行い、概要を説明した。
「書店大商談会」は10月11日午前10時~午後7時、東京・新宿区のベルサール西新宿グランドホールで開催する。開催時間は前回より3時間延長し、面積も1474㎡と前回の1・5倍の広さとなる。
会場では新刊の紹介だけでなく、埋もれた売れ筋商品の再発掘を行う。また、コミックに加え今回は児童書、ビジネス書、第三商材のコーナーを設置。書店人に役立つイベントも開催する。出展料は3万円。出展社130社(前回100社)、来場書店600名(同425名)、商談成立額7000万円(同5127万4548円)が目標。
主催は同実行委員会。首都圏栗田会の奥村弘志会長(南天堂書房)が実行委員長を務める。日書連、東京都書店商業組合が後援、出版文化産業振興財団(JPIC)が協力。
奥村実行委員長は「商品を間にはさんで出版社の営業マンと書店の担当者がつながれるのが商談会。直接会って話すことが商取引の本来の姿。業界3者にメリットのある行事にしたい」と話した。
「BOOKEXPO」は11月9日午前11時~午後5時、前回と同じく大阪市北区の梅田スカイビル10階アウラホールで開催する。面積は1394㎡。閉会後の懇親会は取り止め、開催時間を前回より30分延長する。出展料は2万円。134社の出展社(第三商材含む)を募集する。来場書店700名(前回672名)、商談成立額6000万円(同5880万5101円)が目標。
主催は同実行委員会。林田芳幸氏(啓林堂書店)が世話人会代表、萩原浩司氏(宮脇書店大阪柏原店)が実行委員会代表幹事を務める。日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版取次協会、日書連、日本児童図書出版協会など後援。JPICが事務局として協力。
林田代表は「今回はサブタイトルを『極めろ!書店力』とし、すべてのイベントをこのテーマにリンクさせて実施する。書店人のスキルアップにつながるミニ講演会も予定している。出版社が工夫を凝らして作った本には、営業、編集の方々の生活がかかっている。その気持ちを売場で感じ取りながら入荷した本を精一杯売るんだという思いを伝えたい。取次にも利益がもたらされるよう返品を少なくする」と話した。
萩原代表幹事は「今回は『クリスマス』など30ほどテーマを設け、出版社はそれに合った商品を提案し、注文書を作る。これにより画一的ではない自らセレクトしたフェアを行うことができる。企画商品をセレクトする力を上げて、お客様にとって面白い店作りをしたい」と協力を求めた。
「書店大商談会」は6月12日午後3時から東京・新宿区の日本出版会館で出版社説明会を開催。出展申込は6月13日から先着順で受け付ける。説明会で配布する申込用紙に必要事項を記入してFAXで申し込む。問い合わせはJPIC・小田桐氏まで。℡03―5211―7282
「BOOKEXPO」は6月4日から先着順で受け付ける。説明会は行わず、実行委員会から各社に案内状・出展申込書を送付する。問い合わせはJPIC・岡本氏まで。℡03―5211―7282

各県組合総会スケジュール

◆愛媛県書店商業組合第24回定時総会
6月5日(火)午後4時、松山市の松山全日空ホテルで開催。
◆岐阜県書店商業組合第29回通常総会
6月17日(日)午後1時、下呂市の小川屋で開催。
◆新潟県書店商業組合第28回通常総会
6月18日(月)午後2時、新潟市中央区の新潟駅前カルチャーセンターで開催。
◆岡山県書店商業組合第25回通常総会
6月22日(金)午後2時半、岡山市北区のピュアリティまきびで開催。
◆茨城県書店商業組合第26回通常総会
6月23日(土)午前10時、水戸市の茨城県開発公社ビルで開催。
◆鳥取県書店商業組合第24回通常総会
6月26日(火)午後1時、倉吉市の倉吉未来中心セミナールーム2で開催。

創意工夫ある店作りを/責任販売制の拡大求める/愛知組合通常総会

愛知県書店商業組合は5月17日午後2時から名古屋市千種区のホテルルブラ王山で第29回通常総会を開き、組合員135名(委任状含む)が出席した。
総会あいさつで、佐藤光弘理事長は愛知組合の1年間の活動を紹介。「青少年によい本をすすめる県民運動」が50周年を迎えたことから、協賛してきた愛知組合と出版社22社に対し愛知県知事より贈呈された感謝状を披露した。また、「『出づるを制する』を命題とした1年だった」と振り返り、組合事務所を移転するなど経費削減に取り組んだと説明した。
今年度の活動については「昨年方針として掲げたスローガン『王道を歩もう、決然と!』の2年目に入る。組合員の減少で賦課金が減り、マンパワーも非常に不足している。先輩方が続けてこられた行事は有意義なものが多く、お金をかけない方向で出来る限り継承していきたいが、皆さんにその都度相談して進めていきたい。私たち書店の一番のライバルはネット企業のアマゾンだ。しかしネットで本を買う人も、時には書店に足を運んでいただいている。書店に来れば面白く楽しい売場があることを覚えていただけるように、創意工夫のある店づくりを進めていくことが必要だ」と述べた。
続いて谷口正明氏を議長に選任して各議案を審議し、平成23年度事業報告、平成24年度事業計画案、収支決算・監査報告、収支予算案などを承認可決した。
事業報告は各委員会担当の正副理事長から説明があり、①「第50回青少年によい本をすすめる県民運動」は、出版社13社から寄贈された児童書約2千冊を、応募のあった学校71校に届けた。②第6回「中学生はこれを読め!」フェアを愛知、三重の2県で開催し、愛知54店、三重28店が参加した。③サン・ジョルディフェスティバル名古屋のチャリティ本販売は、収益金約45万円のうち、20万円を中日新聞社会事業団に寄託、残りを東日本大震災義援金として中日新聞社を通じて寄付した――などの報告があった。
総会終了後、文化通信社の星野渉取締役編集長が「デジタル時代における書店の展望―フューチャー・ブックストア・フォーラム報告書から―」を講演。午後5時から懇親会が開催され、佐藤理事長は「責任販売をもっと進めていただきたい。本を文化資産として守るために、業界を挙げて消費税軽減税率の取り組みを」と呼びかけた。

地域書店の火、灯し続ける/電子書籍、客注品迅速化などに重点/大阪総代会

大阪府書店商業組合は5月18日午後2時半から、大阪市のウェスティンホテル大阪で第30回通常総代会を開催、総代59名(委任状含む)が出席した。
総代会で面屋龍延理事長は、書店組合の活動と社会状況を振り返り、「1997年に消費税が引き上げられて以降、出版物の販売額は前年を上回っていない」と深刻な状況を指摘。その中で書店を支援する動きとして、面屋理事長が文字・活字文化推進機構の肥田美代子理事長に行ったインタビューを紹介。「書店は地域の知の力を育てる役割を担っており、学校や公共図書館は街の書店から図書を購入する仕組み作りを進めていくということだった。こうした動きと連動しながら読書推進に取り組んでいきたい」と述べた。
また、全国書店新聞が東日本大震災の被災書店を取材した記事を紹介し、「釜石市の桑畑書店は、3年以内に新店舗で再出発したいと決意を込めていた。震災に遭ってもめげずに地域の読者と一緒に書店をやりたいという声に励まされながら、街の書店の受難時代を皆さんと一緒に乗り切っていきたい」と結んだ。
議長に鶴山武済、副議長に堀博昭、高松美佐子の3氏を選任して議案審議。各委員長が平成23年度事業報告と平成24年度事業計画案を説明した。
事業報告では、電子書籍販売事業を開始したこと、学校図書館図書納入の入札問題で大阪市教育委員長や教育長と面談し、地元書店に対する配慮を要請したこと、送品・返品同日精算問題で日書連が公正取引委員会に申告書を提出したことなどの報告があった。
事業計画では、①電子書籍、②客注品の流通迅速化、③日書連の「書店再生5項目」を追求していくとしたほか、図書館納入プロジェクトチームの立ち上げ、「読書ノート」「帯コン」運動による読書推進の展開――などの活動方針を了承した。
質疑では、「月1回の仕入れ金額を明確化するために1ヵ月支払サイトを延長するよう取次に要請することを決議し、日書連総会に提案してほしい」との動議があり、議案として審議するか採決に至ったが、必要得票数に届かなかった。
総代会終了後、午後6時から出版社、取次を交えて永年勤続優良従業員表彰と懇親会を行い、昌文堂書店の山本眞理さん(勤続12年)、上根真一郎さん(同10年)、正文堂書店の樋上みゆきさん(同15年)、北田都保さん(同10年)を表彰した。

4月は6・7%減少/文芸書などが大きく悪化/日販調べ

日販営業推進室調べの4月期書店分類別売上調査は、対前年売上高増加率が6・7%減と先月より4・9ポイント下落した。
雑誌は全体で6・5%減と先月を2・3ポイント下回った。前年は通常5月1日発売のティーンズ誌・女性誌などで4月末に前倒しして発売した銘柄があったことや、震災特集により週刊誌が売上を伸ばしていた反動でマイナスが続いた。
書籍は全体で6・9%減と、先月より7・9ポイント下落。文芸書は18・0%減と先月を8・9ポイント下回った。前年は『謎解きはディナーのあとで』(小学館)『心を整える。』(幻冬舎)の売上が良好で、その反動が出た。書籍コミックは先月を24・6ポイント下回る24・0%減。前年は『テルマエ・ロマエ3』(エンターブレイン)などが好調だったため、マイナスが続く結果になった。

長期的展望で震災復興支援/出版通じ文化の活性化を図る/第51回出版人大会

第51回全出版人大会(日本出版クラブ主催)が5月9日午後3時から東京・紀尾井町のホテルニューオータニで開催され、長寿者表彰で日書連から中山寿賀雄副会長(長崎)、鶴谷祿郎理事(青森)、吉田達史中国ブロック会長(岡山)、山口尚之理事(福岡)、影山稔員外監事の5氏が表彰された。
式典では冒頭で野間省伸大会会長(講談社)があいさつ。「東日本大震災で被災された出版関係者のご苦労は計り知れないものがある。その中で、多くの書店が力強く復興したとのうれしい情報をいただいている。被災された皆さんへの支援は、長期的展望に立って継続的に行うことが重要だ。日本出版クラブは7月に一般財団法人に移行申請する。出版界全体で取り組まなければならないデジタル化の推進、読書推進事業、人材育成など多くの課題に積極的かつ丁寧に関わっていきたい」と述べた。
杉田啓三大会委員長(ミネルヴァ書房)は、「知の世界を支え、情報を発信する出版文化の重要性と、それに携わる出版人の役割と責任が今ほど問われている時代はない。長期的スパンで地道な活動を続けることこそ出版界活性化の原点であり、我が国の再生につながると確信している」とし、大会声明を朗読。拍手で採択した。
来賓の高井美穂文部科学副大臣、大滝則忠国立国会図書館長が祝辞を述べ、野田佳彦首相のメッセージが代読されたのに続き、長寿者56名と永年勤続者370名を表彰。相賀昌宏大会副会長(小学館)から長寿者代表のひかりのくに・岡本健社長に寿詞と記念品が、石﨑孟大会副会長(マガジンハウス)から永年勤続者代表の暮しの手帖社・平野秀子氏に表彰状と記念品が贈られた。
また、東日本大震災直後に「週刊少年ジャンプ」を回し読みに提供し、子どもたちに元気を与えた仙台市・塩川書店五橋店の塩川祐一氏に、日本出版クラブ感謝状が贈呈された。
このあと、東日本大震災で一早く再興した宮脇書店気仙沼本郷店・千田紘子社長、夫の気仙沼三菱自動車販売・千田満穂社長と、菊池明郎大会委員(筑摩書房)による鼎談「復興の書店」が行われた。

【大会声明】
いま出版業界はひとつの大きな曲がり角にさしかかっています。
ここ十数年に及ぶ売上げの右肩下がりという厳しい出版不況のもと、大人も子どもも携帯にネットに我を忘れるという有様、とくに2010年の「デジタル書籍元年」を契機に、業界の現状は「紙の本かデジタルか」と、浮き足だった雰囲気に象徴されているようです。
日本人は本を読まなくなったのか。紙の本は消えてしまうのか――出版文化衰退の危機すらささやかれる現状を思うと、不安と危惧の念さえ抱きます。
しかし一方では、本の魅力に触れ、そのおもしろさをとり戻したい、もっと若い人たちにほんものの読書体験をさせたいとの思いで真剣な取り組みもみられるようになりました。
昨年の3・11東日本大震災に見舞われた被災者の方々から「本が読みたい」「本によって癒された」という声によって、われわれ出版人でさえ、今まであまり自覚することなく見すごしてきた「書物の力=存在感」を再認識するキッカケを与えてくれました。それと同時に、地域の図書館や書店の存在意義を改めて見直されたことも、記憶に新しいところです。
出版文化の興隆は一国の将来を左右するといっても過言ではありません。わが国は古来より、文字・活字=出版文化の盛んな国でした。記紀万葉・源氏物語をはじめ、数え切れない「古典」の数々が、類いまれな、独自の「出版文化」を育んできました。
すばらしいこうした古典を繙くことは、わが国の豊かな歴史と伝統を学ぶことを意味し、それがまた文化の新たな礎を築きあげてきました。その基本をなすのが「文字・活字=出版文化」に他なりません。
いうまでもなく書物というのは、文字や記号など情報を盛るたんなる「器」ではありません。見た目や手ざわりをはじめ、装幀などあらゆる要素が、作品としての「本」を形づくっています。
そうした言葉・文字からなる本というものの存在は、子どもたちの人格を形成したり、傷ついた人の心を癒してくれたりする、大きな力を持っています。そしてまた「古典」などを通して、世代や時代を越えて受け継がれるべき日本の伝統や日本人としての《きずな》の尊さを教えてもくれます。
いずれにせよ、厳しい現況のなかで、われわれ出版人が、紙であれ電子であれ、「本=書物」の魅力を今後どう伝えていくか。それは、一個人に属する問題ではありません。すぐれて一国の文化のあり方そのものにかかわってくる問題ではないでしょうか。したがってわが国の再生と出版文化の再興とは不可分であり、「出版文化の復権」にしか日本の再生はあり得ないことはいうまでもありません。
今こそ、われわれ出版業界に携わるすべての人たちが、いたずらに奇をてらうことなく、過去に学び、歴史と伝統文化の真髄を、本=書物を通して次代を担う若い世代に伝えていく必要を痛感します。そのことによって、日本人としての誇りと自信を取り戻し、閉塞感に支配されている今日の状況を切り拓くことになると確信します。
第51回という全出版人大会の節目の年にあたって、われわれ出版人に課せられた重大なる役割と責務を自覚して、東北の復興を支えると同時に、出版事業を通して日本文化の活性化をはかっていきたいと思います。
2012年5月9日
第51回全出版人大会

生活実用書/注目的新刊

歩きの達人、と称される人達と一緒に京都の嵯峨野にさしかかった時、一行は嵐山や天竜寺などの寺などに興味を示すこともなく、ひたすら歩いて素通りしたという。こんなウォーキングでいいのだろうか。踏破だけが目的で知性も感性も使わないのはもったいないと、歩くキャリア50年の著者は考えてしまう。
武村岳男著『本好きのためのウォーキング入門』(平凡社新書637840円)は日頃苦々しく思っている、脚力のみの「ひたすら病患者」に対し、奥行きを持った本当のウォーキングを提案する。
名作の場面を追う第二章は岩手県遠野市、柳田民俗学の10キロコースから、岐阜県中津川市、長野県南木曽町の島崎藤村ゆかりの馬込、妻籠まで12コースを紹介する。
芭蕉の『おくのほそ道』の出羽街道など、古典の核心に迫るウォーキングのほか、名木のルーツを探る、歴史の舞台を踏む、古道の今昔を知るなどのテーマで歩くコースが全六章に展開される。
芸術の真髄に触れる章では千葉県我孫子駅から成田線の湖北駅の8キロコース。手賀沼公園近くには志賀直哉邸跡、かつては武者小路実篤も居住したという辺り、白樺派の白樺文学館があり、夏目漱石からの書簡も展示されている。歩くだけではないコースを全部で35カ所案内する。
広岡祐著『漱石と歩く、明治の東京』(祥伝社黄金文庫Gひ11―1781円)は、初めから夏目漱石の作品と足跡を辿る、目的も明確なウォーキングガイドである。
第一章は小石川・白山。JR水道橋から安藤坂、伝通院や吹上坂を抜けて、小石川植物園先の旧東京医学校本館までのコース。各章にカラーの地図が付してあって便利だ。途中のキーポイントの所にもカラースナップ、古地図もあり、この章では『こころ』や『それから』の土地を描いたた文章も抜粋されている。
第二章は浅草・領国。続いて、千駄木・本郷、神田・麹町、日本橋・京橋、早稲田・神楽坂、さらに新宿・日暮里・護国寺の全七章。
現在の浅草・吾妻橋の写真はスカイツリーの姿が見えるが、並んだ古い写真には、旧吾妻橋の姿と和服で通行する当時の人々が映っている。
体育会系のウォーキング全盛時代に一石を投じた二冊。
(遊友出版斎藤一郎)

出版販売金額3・8%減少/雑誌は過去最大の落ち込み/出版指標年報

出版科学研究所が発行した『2012年版出版指標年報』によると、2011年の取次ルートを経由した出版物(書籍・雑誌)の推定販売金額は前年比3・8%減の1兆8042億円となった。内訳は、書籍が同0・2%減の8198億円、雑誌が同6・6%減の9844億円。書籍はヒット作が続出してほぼ前年並みの水準を保ったのに対し、雑誌は1兆円を割り込み、08年の4・5%減を大幅に上回る過去最大の落ち込みを記録した。
〔販売金額、部数はほぼ前年並み/書籍〕
書籍の推定販売金額は8198億円、前年比0・2%減で、5年連続で前年割れとなった。しかし、過去4年間のマイナスが1・6~4・4%減だったのに比べて下げ幅は縮小し、ほぼ前年並みとなった。大手取次の返品減少を目指した送品量抑制や、出版社・取次・書店の業界3者による販売ルート・販売条件の弾力的な運用、責任販売商品の拡大など、川下への利益配分を重視した流通施策の改善が奏功したことが要因と考えられる。
推定販売部数は前年比0・3%減の7億13万冊で、7億冊の大台にかろうじて踏みとどまった。また、出回り平均価格が同0・7%増と8年ぶりに上昇。読者の低価格志向が依然として続く中で、単行本のベストセラーが数多く生まれ、長期間にわたって売れ続けた影響によるもので、売れる本と売れない本の二極化が進んでいる。新刊平均価格は同1・5%減の1109円で、3年連続の下落となった。
金額返品率は前年比1・4ポイント減の37・6%と2年続けて改善した。これは取次が返品減少対策として、10年から新刊配本の引き締めを続けているため。
新刊点数は7万5810点で前年比1・5%増加した。流通ルート別の内訳は、取次仕入窓口経由の新刊が1・6%減の5万6877点。一方、注文扱いの新刊は12・0%増の1万8933点だった。注文扱いの新刊が大幅増となったのは、自治体別の公務員・教員採用試験問題集や楽譜類が新たにカウントされたことによるもの。取次仕入窓口経由の新刊の減少は2年連続で、取次の送品抑制策による新刊部数の絞り込みによって、出版社が採算ベースに合わない新刊刊行を控える傾向が強まっているのが要因とみられる。
11年のミリオンセラーは『謎解きはディナーのあとで』(155万部)、『心を整える。』(116万部)、『人生がときめく片づけの魔法』(110万部)、『KAGEROU』(100万部)に加え、『体脂肪計タニタの社員食堂(正・続)』(2点合計259万部)、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(113万部)が2年連続のミリオンを達成した。
東日本大震災の影響で刊行延期となったケースが少なからず発生したが、被災地域では、確かな情報源、娯楽や心の拠り所として改めて本の価値が見直されるなど、書籍の売上は堅調だった。ジャンル別動向をみると、文芸はメガヒット作品を除くと全体的に小粒。新書は5%程度の伸びと好調で、老いと原発関連をテーマにしたものの刊行が相次ぎ、時事ネタものが一段と増えた。ビジネス・自己啓発本などノンフィクション系は10~30万部のスマッシュヒットが多数出た。
11年単行本ベスト10は以下の通り。
①謎解きはディナーのあとで/東川篤哉/小学館②心を整える。/長谷部誠/幻冬舎③もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら/岩崎夏海/ダイヤモンド社④人生がときめく片づけの魔法/近藤麻理恵/サンマーク出版⑤KAGEROU/齋藤智裕/ポプラ社⑥救世の法/大川隆法/幸福の科学出版⑦くじけないで/柴田トヨ/飛鳥新社⑧謎解きはディナーのあとで(2)/東川篤哉/小学館⑨老いの才覚/曽野綾子/ベストセラーズ⑩新・人間革命(23)/池田大作/聖教新聞社
〔総発行銘柄数は5年連続の減少/雑誌〕
雑誌の推定販売金額は9844億円、前年比6・6%減。過去最大のマイナス幅で14年連続の減少になった。内訳は、月刊誌が6・2%減の7729億円、週刊誌が7・8%減の2115億円。週刊誌の不振は分冊百科の落込みが一因で、分冊百科を除くと約5%の減少。
推定販売部数は前年比8・4%減と過去最大の落ち込みを記録し、19億8970万冊と20億冊の大台を割り込んだ。内訳は、月刊誌が同8・3%減の13億3962万冊、週刊誌が同8・6%減の6億5008万冊。金額返品率は同0・6ポイント増の36・1%で、09、10年と続けて改善していたが震災の影響もあり悪化した。
年間の創復刊点数は前年より9点増の119点とやや回復したものの、低水準にとどまった。創刊誌部数は同11・4%減となっており、小部数でマニアックな雑誌の創刊が多かった。分冊百科は前年より1点少ない28点が創刊。創刊部数は同32・3%減と部数規模は大幅に縮小した。10年は初版30万部を超える分冊百科の創刊が6点あったのに対し11年は1点もなかった。
一方、休廃刊点数は前年比58点減の158点。雑誌の総発行銘柄数は同77点減の3376点となり、5年連続のマイナスとなった。エンタテインメント情報誌『ぴあ』や女性ファッション誌『PS』、青年コミック誌『スーパージャンプ』など各ジャンルのメジャー誌が姿を消した。
『2012年版出版指標年報』
B5判405頁、頒価1万4千円。申込みは出版科学研究所まで。℡03―3269―1379、FAX03―3266―1855

「知の地域づくり」を推進/図書館納入で書店支援/トーハン会代表者総会

トーハンは4月26日、東京・文京区の椿山荘で平成24年度「全国トーハン会代表者総会」を開き、会員書店、出版社、トーハン関係者など総勢310名が出席した。
第1部であいさつした近藤社長は、東日本大震災と書店の減少に歯止めがかからないことに触れ、「身近な書店が消えてしまった読者に対して、我々の努力不足で書店に行く楽しみを諦めさせてしまった。これ以上、既存の書店を失うわけにはいかない」と述べ、地域の書店を中心に誰もが読書に親しめる環境を創ることが最も大切なミッションと強調。「トーハンが書店の手伝いをし、読者の知的関心に応え、出版社の期待にも応え、その延長線上の結果として返品率が下がり、業界全体の実績やトーハンの実績が良い方向に向かうというのが本来あるべき順番。今年度は地域の書店の売上アップに全力で取り組む」と話した。
その上で「知の地域づくり」を推進、図書館への図書納入を本来の担い手である地域の書店の手に取り戻し、地域書店の活性化と図書館市場の拡大に取り組むと言明した。
また、店頭施策として、「TONETSV」に雑誌メニューを追加することを考えているとして、「書店のパフォーマンスを最大化するという視点に立ち、より精度の高い仕組みを作る」と述べた。さらに出版社へのデータ開示のため「TONETSi」をリリースすること、複合化に取り組む書店に商品を供給するため東京エコールと共同出資で文具・雑貨卸の新会社「ETS」を設立したことを報告した。
続いてトーハン会を代表して中部トーハン会の高須博久会長があいさつ。「全国トーハン会プレミアムセール2011」の優秀販売賞の表彰では、1位の東北トーハン会福島支部、2位の東北トーハン会青森支部、3位の四国トーハン会に賞を贈った。
小川慎二郎仕入企画部部長が平成24年度トーハン会活動報告を行い、新しい柱として提案する「知の地域づくり」について文字・活字文化推進機構の肥田美代子理事長、東北トーハン会の玉山哲会長が話した。
第2部の主要施策説明では、川上浩明専務が「TONETSV」「TONETSi」「Digitale‐hon」による出版流通サプライチェーンの構築とハイブリッド化の推進、醍醐貴広市場開発部部長が複合商材提案「&Partners」、正能康成専務が図書館事業への取り組みを説明した。
■トーハン、サマータイム制度導入
トーハンは6月1日から9月30日まで、電力不足に対する自主的な取り組みとして全事業所でサマータイム制度を導入する。
就業時間は平日午前8時~午後4時15分(従来午前9時~午後5時15分)、土曜午前9時~午後3時(従来通り、第2土曜は休日)。

東北トーハン会に50万円贈呈/ブックカバー売上から/近畿3トーハン会

大阪、奈良、和歌山の近畿3トーハン会は4月26日、東日本大震災支援企画として実施した「特製メッセージ入りブックカバー」の売上金から義援金50万円を東北トーハン会に贈呈。大阪トーハン会の鎌苅一身会長から東北トーハン会の玉山哲会長に手渡された。
鎌苅会長は「同じ書店として支援・連帯の形をとれた。被災地の再興を期待している」と述べた。玉山会長は「震災から1年たったが風化させない努力をしなければ。経済だけでなく教育の復興が大切」と話した。トーハンの近藤敏貴社長は東北を担当した経験を語り、「自分を育ててくれた書店の役に立ててうれしい」との思いを語った。
このブックカバーは髙田郁、有川浩、百田尚樹ら著者16氏によるメッセージや絵が描かれたもの。累計送品書店は約250軒で、累計260万3700枚が購入された。

流通改革実現に強い決意/3ヵ年で書店マージン30%/日販懇話会

日販は5月15日、東京・文京区の東京ドームホテルで2012年「日販懇話会」を開き、取引書店、出版社、日販関係者など総勢395名が出席した。
会の冒頭、古屋文明社長は第64期決算について「日販単体では売上高が対前年比2・1%減。書籍が3・5%増、雑誌が4・7%減、開発品が14・1%減だった。決算概要は日販本体あるいは日販グループでは減収、最終利益は増益となる見通し」と報告。返品率については、書籍が33・5%で2・0ポイント減、雑誌が35・8%で1・2ポイント増、合計34・0%で0・1ポイントの微増で、「返品率33・5%は裏返せば実売率66・5%となり、これを70%、75%とさらに上げていきたい」と述べた。
また、第65期から第67期の3ヵ年に展開する新中期経営計画「Change」について「基本方針は出版流通の改革と新たな需要の創出に取り組み、業界の成長を牽引すること。柱は『流通改革の実現』『CRMの推進』『事業領域の拡大』」と説明した。書店とのPARTNERS契約についてはMPDチャージ契約と合わせると、09年度49・2%から11年度70・9%へとシェアを拡大。一方、出版社との契約については09年度10・0%から11年度36・2%と、まだ4割弱の売上シェアであると報告。「日販が目指す返品率25%、書店マージン30%、そして委託から買切へと大きく前進させたい」と抱負を語った。
続いて「日販が目指す出版流通改革について」と題し、河村学・流通改革推進グループMDチーム係長が説明し、「書店・出版社の収益改善へのアプローチ」「PARTNERS契約を支える施策」を発表した。次に「日販CRM戦略」と題し、鈴木友紀子・CRM事業部HonyaClub推進課係長が「書店の新たな売上・利益を創出するCRM」の様々な取り組みを発表した。最後に「日販SAシステム今後の展開」と題し、濱田智・システム部SA課長が7月開始のNOCS9000新メニュー「仕入在庫管理機能」「アドバンスMD(新刊予約)」や11月発売予定の新POSシステムを発表した。
この後、ワタミの渡邉美樹会長が「夢をカタチに戦う組織の作り方」と題し記念講演した。