全国書店新聞
             

平成13年4月4日号

4月からリニューアル

日書連のホームページ「本屋さんへ行こう」は四月二日から大幅なリニューアルを行った。
デザイン面だけでなく、書誌情報検索が使いやすく、検索時間が短縮したほか、出版社の協力による読者プレゼント、読者の書評などの新たなコンテンツを加え、書店、読者の双方に一層便利に、魅力的なサイトになった。
本の検索で変更になったのは、■新設計エンジンの採用で検索スピードが従来比三倍程度の高速になった、■従来はカナだけだった書名検索が、カナ・漢字のいずれも可能になった、■著者、出版社など複数条件で書名を絞り込む複合検索ができるようになった、■表示順があいうえお順から発売日順に変わり、新刊検索が容易になった−−など。
読者プレゼント企画は出版社の協賛によるもので、四月度は朝日ソノラマ、主婦の友社、祥伝社、日本文芸社、白泉社、ハーレクインの六社から十一点六十冊が提供され、応募者から抽選で六十名に掲載図書をプレゼント。
プレゼント本は毎月更新する。
また、リニューアルしたホームページはSVGA表示に対応し、モニターに一部が収まり切れないというクレームを解消した。
新しいコンテンツとしては、今週のおすすめ書籍、今月のおすすめ書籍、読者からの書評、今週のコラムなどが始まる。
ベストセラーは本紙「週間売れ行き情報」の最新データと、POSによる月間全国調査を発表していく。
このホームページでは、読者からの注文をメ−ルで登録書店に配信するサービスを無料で行っているが、現在までにアドレスを登録している書店は四百四店。
日書連情報化推進委員会では、未登録の書店に積極的な登録を呼びかけている。
登録先アドレスはwww.shoten.co.jp

萬田会長談話

このたびの公取委の「著作物再販制度を存置する」の結論は、平成十年三月に閣議決定をみた規制緩和推進三カ年計画の推進の骨子として、存廃について広く国民に聞く「パブリック・コメント」を導入したことからも当然の帰結であり、評価したい。
昨年二月からの再販対話を終了するにあたって、公取委から七十四項目の質問が出され、回答書を八月末に提出した。
十二月七日には、公取委は再販対話の論点を明らかにし、「再販制度の見直しに関する検討状況及び意見照会について」を発表し、今年一月二十五日までに国民各層からの意見を求めた。
意見の状況は三月十四日に公表、その結果は二万八千件を超える意見のうち、九八・八%が制度維持と回答した。
著作者団体、各地の消費者団体からも意見聴取された。
他に日書連各県組合が中心になって進めた地方公共団体の意見書は二十二の都道府県議会及び二百十二の市区町村議会で採択され、公取委に取り上げられた。
この三月末までに、佐賀、滋賀、三重の三県でも採択が予定され、四十七都道府県の過半数を超えることになる。
今回の三月二十三日の公取委の結論は、これまでの一連のパブリック・コメントに沿うものである。
しかしながら今回の公表文には理解に苦しむ点がある。
その一つが「今後とも著作物再販制度の廃止について国民的合意が得られるよう努力を傾注する」としている点である。
著作物は、法定再販として独禁法上位置付けられており、これが確立されたルールである。
プレイヤーのルール違反に的確な措置を講ずるのが、競争政策を主務とする公取委の役割ではないのかと疑問を抱かざるを得ない。
次に、「当面再販制度を存置する」の当面は、廃止されるまでとの説明を受けているが、日程を特定しているものではない。
廃止は、それ相当の理由が生ずる場合であって、問題にならないと思う。
次に、政府が今月末に閣議決定する二〇〇一年度からの規制改革推進三カ年計画には再販項目は入らないことを三月十五日付新聞が報じている。
公取委としては今秋にも関係業界を交えた協議会をつくり、意見交換を続けるとしている。
これを契機に、書店としては地域書店としての役割を果たすべく、版元・取次と胸襟を開いて再販の弾力運用や流通改善等に取り組み、一層の店舗再活性化に努めるとともに読者ニーズに柔軟かつ敏捷に応えていきたい。
振り返ると、東京組合の昨年十一月十七日の再販を考える集い、今年二月二十二日の日書連代表者会議、二月二十七日と三月二十一日の活字文化議員懇談会には、党派を超えて国会議員の方々が従来になく多数ご出席いただけたこと、活字文化の有用性、日本語と日本文化、読書離れと非行化、効率主義の破綻などを熱っぽくお話され、激励していただけた。
心から感謝を申し上げたい。
また、一体となって取り組んだ関係団体の皆様にも厚く御礼を申し上げる次第である。
十年の長きにわたって日書連の運動を支えられ、度重なる会議、国会陳情、地元活動等に奔走された組合役員をはじめ組合員各位に対し、本当にありがとうを申し上げる。

「メディアは規制対象外に」

日本雑誌協会(角川歴彦理事長)は三月十四日付で、今通常国会に提出が予定されている「個人情報の保護に関する法律案」(以下、保護法案)に対する意見書を発表し、メディアを法規制の対象外にするよう求めた。
同協会では昨年のヒアリング以来、「意見書」や「緊急アピール」で同様の主張を繰り返し展開している。
保護法案は「適用除外」規定を設け、報道機関に対して一定の配慮はしているものの、最も肝心な点の「基本原則」(利用目的の制限・適正な取得・正確性、安全性、透明性の確保)は報道機関といえども厳格に適用されることになる。
これに対して雑協の意見書では、個人情報を日々収集、分析、記事化している報道機関の取材活動は大幅や制約を受けることになり、メディアは公正な報道による社会的使命を果たせなくなり、憲法上の「言論・出版・表現の自由」さえ侵しかねないと懸念を示している。
そして、保護法案の本質的な疑問点は「報道目的の個人情報」もすべて「基本原則」の対象となる点であるとして、「基本原則」中、「適正な取得」とは取材活動に当てはめた場合、どの範囲までが「適正」といえるのか、また「透明性の確保」では取材対象者本人の関与があるかどうかや本人開示の申し立てに応えることを余儀なくされると、予備取材段階でチェックが入り、まったく記事にできない事態が予想される。
さらには憲法で保障されている個人の人格権の侵害主張に個人情報保護法の基本原則違反も加えて主張され、結果として報道機関は言論・表現の自由を大幅に規制される事態が予想されるなど、疑問点を提示。
出版ジャーナリズムが瀕死の状態に陥らないようにするため、「報道機関は全面適用除外にすべし」と結論づけている。

日書連出店問題委員会

日書連出店問題委員会(下向磐委員長)は東京組合出店問題委員会(小泉忠男委員長)と合同で三月二十一日、国内最大二千坪に増床したジュンク堂書店池袋本店(豊島区南池袋)と、ワンフロアとしては関東最大八百坪のオリオン書房ノルテ店(立川市曙町)を訪問した。
一九九七年夏、池袋駅南口にオープンしたジュンク堂書店池袋本店は、今年三月一日のグランドオープンで売場面積千坪から二千坪に増床、常時在庫も約百五十万冊と大阪本店(千五百坪)を上回った。
また、売場は地下一階から九階まであるが、レジカウンターを一階に集中させ、従来のフロア毎のレジ精算が不要となっているのが特徴。
午後二時半に同店を訪れた一行は店内見学の後、岡専務、福嶋副店長と懇談。
席上、岡専務はグランドオープン後の実績について「一日の売上は一千万円を目標としている。
平日は九百万円を越える程度だが土・日は約千四百万円で、平均すれば目標に到達している」と話した。
レジカウンターの一階集中管理については、「スムーズに運営されている。
万引き対策は私服警備員増員と監視カメラ設置を考えているが、基本的には業界全体で取り組むべき問題ではないか」とした。
また、今後の増床、出店計画については「効率を考えると、これ以上の大型出店はないと思う」との考えを示し、「大には大、小には小の役割がある。
それぞれが読者の求める品揃えをすればいい。
ジュンク堂は専門書の充実を図ることを第一に、小型点とは競合しないようにやっている。
書店業界を支えているのは街の本屋さん。
助け合ってやっていきたい」と、小型店との棲み分け、共生の考えを強調した。
ジュンク堂をあとにした一行は午後五時半、オリオン書房ノルテ店に到着。
同店は立川駅北口にオープンした駐車台数六百台の「パークアベニュー」三階に、一フロア八百坪・五十万冊の規模で一月十九日に同時オープン。
売場を専門分野七ゾーンに分けて書籍の充実を図るとともに、買い物のあとにドリンク片手に一休みできる多目的スペース「ラウンジ」を設け、くつろぎとゆとりの空間を演出している。
店内を見学した後、一行は萬田社長、高田専務と懇談。
席上、高田専務は同店のコンセプトを「地域密着型」「家族連れに合わせた品揃え」と説明。
「土日は平日の倍の来客がある。
雑誌、コミック、文庫は他支店より悪いが、その分、専門書で引き上げている。
駅前再開発はまだ途上で、当店も将来を見込んでやっている」と話した。
また、萬田社長はノルテ店について「人材戦略」「情報戦略」「地域戦略」の三つの戦略を説明。
「オリオン書房は地域とともに繁栄することをモットーに営業してきた。
ノルテ店は若者文化に沿った人材戦略をとっており、店長が先頭に立って引っ張っている」と話した。
訪問を終えて、下向委員長は「日本一の店の心意気を見ることができ、収穫があった」と述べた。
また、各委員からも「今度もこのような店舗訪問を続けたい」との意見が出された。

2月は8・4%減

日販経営相談センター調べの二月期書店売上げは、一月期の五・九%を二・五ポイント下回って平均八・四%の大幅減となった。
売場規模別ではすべての規模で前年割れとなった。
もっとも奮わなかったのは41〜80坪店で一一・四%減。
このほかも81〜120坪店八・三%減、121坪以上店八・〇%減、40坪以下店五・八%減と大きく落ち込んだ。
ジャンル別で前年を上回ったのは、学参書(一・六%増)と文芸書(〇・五%増)のみ。
一方、最も落ち込みが大きかったのは実用書(一二・五%減)で、雑誌(一〇・八%減)、その他(一〇・八%減)、児童書(一〇・二%減)、文庫(一〇・〇%減)と、計五ジャンルが二ケタ減となった。
客単価は平均一〇三〇・八円で一・二%増。
81〜120坪店(一七・九%増)のほかは前年割れだった。

オンデマンド出版で新会社

講談社、小学館、富士ゼロックス、マイクロソフトの四社は共同出資でオンデマンド出版社「コンテンツワークス株式会社」を設立、三月十五日から営業を開始した。
コンテンツワークスの資本金は二億円で出資比率は講談社、小学館、富士ゼロックスが各三〇%、マイクロソフトが一〇%。
同社ではオンデマンド出版やコンテンツ配信に関するサービス事業を、一般読者市場とビジネス市場双方に展開していく。
読者向けでは、富士ゼロックスが運営してきたオンデマンド出版サービス「BookPark」を段階的に移管。
これまで扱ってきた学術系・ビジネス系コンテンツに加え、文芸・歴史・美術・音楽・スポーツやコミック・ゲーム関連などのエンターテインメント分野に広げて充実を図る。
印刷過程でのオンデマンド化はもとより、読者の欲しいコンテンツを望む状態で適宜届けるサービスを行う。
また、マルチメディア関連や電子書籍関連技術を積極的に採用することで、幅広いコンテンツの取り扱いや、きめ細かい配信サービスの実現をめざす。
WindowsCEをベースにした携帯端末への電子書籍配信にも着手する方針。
一方、ビジネス市場向けには企業内・企業間における資料や文書の流通効率を最適化するサービスを行っていく。

−無題−

(13・2・22〜13・3・21)▼病気傷害瀬棚群今金町159さわ書店沢卓殿8口羽生市中央4−5−8斉藤三光堂斉藤光男殿1口板橋区蓮根2−1−1ヒコー堂山口書店山口一郎殿1口▼死亡弔意足立区関原2−25−8浅田書店浅田晴子殿1口豊島区南池袋1−27−7新栄堂書店柳内宗次殿10口富山市東岩瀬298大村書店大村章一殿1口大津市栄町6−29奥田修文堂奥田祐四郎殿3口▼前名義人死亡(福田慶男)今立郡今立町粟田郡49−11福田書店福田慶文殿2口▼配偶者死亡(藤岡ヨシエ)江東区千田6−17一歩堂書店藤岡熊太郎殿3口▼一部焼失(住居)蒲郡市三谷町二舗110二葉書店昼間晴吉殿5口63万6千円▼漏水長崎市新大工町5−16好文堂書店新大工町支店中山寿賀雄殿2口20万円▼その他被災松阪市日野町1−1清水昭文堂清水忠祐殿2口2万円

人事

★出版流通対策協議会2001年度役員・幹事・各委員会担当を以下の通り決定した。
カッコ内委員会担当、◎印委員長▽会長=菊地泰博・現代書館▽副会長=高須次郎・緑風出版(◎経営、出版の自由)久保則之・あけび書房(◎取引、出版の自由)▽幹事=深田卓・インパクト出版会(◎出版の自由)石田俊二・三元社(経営、取引)石垣雅設・新泉社(経営、流通情報)北川明・第三書館(◎流通情報)上浦英俊・柘植書房新社(◎営業、取引)桑原晨・めこん(流通情報)▽監査=石垣雅設・新泉社▽事務局長=木下郁★栗田出版販売(3月31日付)書籍仕入部商品管理課長(文庫センター所長兼AVセンター所長)中村秀雄広島支店長・課長代理(雑誌仕入部コミック・ムック課長代理)小出直之文庫センター所長兼AVセンター所長(書籍仕入部商品管理課長代理)三嶋由紀夫雑誌仕入部コミック・ムック課長代理(雑誌仕入課長代理)川窪克誌物流管理部雑誌業務課長代理(注文業務課長代理)小荒井研二

販売で役に立つ目録・刊行物

☆『雑誌のもくろく2001年版』取次8社が加盟する雑誌目録刊行会より発行。
天地257×左右105・二百六十四頁、頒価本体三百三十三円。
全国の書店で販売されている雑誌約三千五百誌を収録し、誌名、雑誌コード、出版社名、判型、定価、刊別、発売日を五十音順で配列。
全雑誌を六十三部門に分類した部門別索引と内容解説文が付く。
週刊誌、コミックス、テレビ・ラジオテキスト、外国雑誌は部門を設けて掲載しているほか、近年増えている分冊マガジンを今年度版から一覧表にまとめて掲載した。
☆『新刊ニュース』トーハン発行の本の情報誌。
B6判横型・七十二頁、書店渡し本体五十円、表示頒価百六十円。
トーハンでは昨秋創刊五十周年を迎えたのを機に、三月十五日発売の四月号からリニューアルを行った。
リニューアルに当たっては、書店や読者の声を聞いた上で、紹介書籍にISBNコードを表記、圧倒的に人気の高い読み物を中心にする、カラーページを新設、読みやすく見やすい誌面づくりを工夫、表紙をイメージチェンジする−−などをコンセプトに全面的な見直しを行った。
また四月号から、「著者との60分」「立川談四楼の書評無常」「編集担当者発25時」「永沢まことの百態スケッチブック」などの新企画をスタート、内容も一層充実させた。
☆『Doマガジン2001年版』日販が発行する読者向け雑誌カタログの2001年版。
A4判四十四頁、頒価本体二百円、書店卸売価格本体十円。
総計九十三社二百四十七銘柄の売行良好雑誌を掲載したほか、掲載誌発売一覧・週刊誌発売一覧、主要出版社ホームページ一覧や年間予約申込読者へのプレゼント企画などの特別企画をさらに充実させた。
また、『Doマガジン』の発行と合わせてグランドオープンした雑誌総合情報サイト「ざっしパーク」の利用も呼びかけており、雑誌情報収集の利便性をさらに高めていく方針。
☆『よくわかる出版流通』出版流通の基礎知識についてわかりやすくまとめたブックレット。
メディアパル発行でA5判・四十八頁、頒価本体三百四十三円。
出版の市場規模や書店の仕事の実際、流通の仕組み、図書館業務、マルチメディアと書店など、出版業界の全体像を簡潔にまとめ、幅広い項目をイラストや図形を使って平易に解説している。
今回は特にネット書店や新物流システム、読書推進運動などにスポットを当てた。

BOL、児童書を定期購読販売

BOLは、岩波書店、偕成社、こぐま社、福音館書店の出版社四社が共同して企画した児童書配本システム「ブッククラブ・クローバー」の会員受付を二月から開始した。
四社、六千冊の発行図書から子どもの成長に合わせた八コースを設定し、毎月二冊配本する。
入会金、会費は無料。
三千五百円以上の配本月は送料無料、三千五百円未満は送料に百五十円。
ラッピングサービスも無料。

eSブックス、24時間受け取り可能に

ヤフー・ジャパンが提供するショッピングサービス「ヤフー・ショッピング」と同サイトに出店するオンライン書籍販売のイー・ショッピング・ブックスは、三月十五日から同サイトで購入した書籍をセブン・イレブンで受け取り、支払いができるサービスを開始した。
従来はクレジットカードの支払いと個別配送だったが、今後は全国八千六百店のセブン・イレブンが利用できる。

絵本大賞に井上氏『でんしゃえほん』

毎日新聞社と全国学校図書館協議会が主催する「第六回日本絵本賞の表彰式が三月二十八日、東京・竹橋の毎日ホールで開かれた。
日本絵本大賞は『でんしゃえほん』(井上洋介、ビリケン出版)、日本絵本賞は『あしたうちにねこがくるの』(石津ちひろ文、ささめやゆき絵、講談社)と『パヨカカムイユカラで村をすくったアイヌのはなし』(かやのしげる文、いしくらきんじ絵、小峰書店)、日本絵本賞翻訳絵本賞が『ジョットという名の少年羊がかなえてくれた夢』(パオロ・グアルニエーリ文、ビンバ・ランドマン絵、せきぐちともこ訳、西村書店)、日本絵本賞読者賞(山田養蜂場賞)が『すみっこのおばけ』(武田美穂・作・絵、ポプラ社)。
表彰式で毎日新聞東京本社山田清三広告局長は「感想文、感想画コンクールとともに、日本絵本賞の事業を強力に推進していく」とあいさつ。
安曇野ちひろ美術館館長の松本猛最終選考委員長は「大賞の『でんしゃえほん』は、自由気ままに書いているようで、描写は細やか。
柔軟な発想で大人も子供も楽しめる世界を表現した」と選評した。
大賞を受賞した井上洋介氏は「不景気な絵本界だが、今後も自信をもって作品を書いていきたい」と喜びを語った。
最後に全国学校図書館協議会の笠原良郎理事長が「絵本は読書の原点であることを再確認して、この運動を続けたい」とあいさつした。

スクールとウェブ

日経BP社はIT、ネットワークなど新しい分野の技術・ノウハウをビジネスマンや技術者に提供する新会社「日経BPラーニング」(代表取締役社長=渡辺彰三氏、資本金八千万円)を四月二日に設立した。
日経BP社は一昨年、教育事業部(教育事業センター)を設置してIT、ネットワークなどの各種講座を実施してきたが、これを分離・独立させ、同事業の強化・発展を目指す。
新会社では新橋に最新のPC、ネットワーク環境を装備した教室を持ち、スクール形式で研修サービスを行うほか、各種の教材開発や、今夏からインターネットを利用したWBT(ウェブ・ベースド・トレーニング)事業を展開する。
三月二十六日に行われた記者会見で日経BP社吉村久夫社長は「当社は広い意味で技術と経営の先端技術を提供する教育事業を行ってきた。
三年前から事業局にセクションを立ち上げ、新橋に教室を開いた。
準備が整い新会社を発足させる。
当社の経営資源を使って、教育も新しい事業の柱にしたい」とあいさつした。

「土日でシリーズ」百万部突破フェア

高齢者や初心者が対象のパソコン入門シリーズ「土日でマスターシリーズ」の実売百万部突破を記念して新星出版社は六月中旬から七月末まで記念フェアを開催する。
店舗展開を予定しているのは六月十一日から七月三十日の間の約一カ月。
六月二十日前後の全国紙に全五段広告を打ち、フェア協賛書店名を掲載する。
セット内容はAセット五十点二百九十二冊(本体予価四十七万四千六百円)、Bセット二十五点百六十三冊(同二十四万七百円)。
取引条件は四カ月延勘。
Aセットは一冊あたり七十円、Bセットは五十円の特別報奨が付く。
セットの申し込み締切りは五月十五日。

本屋のうちそと

『リトルダンサー』というイギリス映画を観た。
『ブラス』同様、炭鉱町を舞台にした作品である。
炭鉱労働者の父と兄、十一歳の少年ジェイミー、そして半ば痴呆の祖母の四人の暮らし。
母はもう亡い。
兄と父は、組合のリーダー。
激しい労働争議の真っ只中にいて、男は強くあるべきだという思いにとらわれている。
といってもそれは、この時代としてはごく一般的な感覚なわけで、当然のこととしてジェイミーをボクシング・クラブに入れる。
ところが、彼は隣でやっている女の子たちのバレエに惹かれ、父に黙ってレッスンを受けはじめる。
彼の才能に気づいたバレエの教師は、王立バレエ学校のオーディションを受けるように勧める。
やがて訪れた父の価値観との激しい対立。
彼にできることは、踊って踊って踊りきって迫るしかなかった。
ついに息子を受け入れた父は、「まだ十一歳なんだぞ」と、スト破りをしてまで進学の費用を捻出しようとする。
時折意識が昔に戻り「ほんとうはダンサーになれたのよ」とつぶやく祖母。
「殴り合いなんて…」とボクシングを忌避するホモセクシュアルの友だち。
ひそかに自分の夢を彼に託すバレエ教師。
人物像、価値観、色彩、衣装、背景、そのどれもがイギリスの意識を鮮やかに映し出す。
おもしろかった。
斜陽と言われたこともあった映画は、イギリスでは見事に息を吹き返している。
活字の世界でも『ハリー・ポッター』を生んで力強い。
この活力の源になっているものはなんなのだろう。
(如意)

リニューアル二周年記念して感謝の夕べ

東洋経済新報社は三月二十六日午後六時から丸の内の東京会館で「週刊東洋経済リニューアル二周年感謝の夕べ」を開催した。
感謝会であいさつした浅野純次社長は「『週刊東洋経済』がリニューアル大判化して二年たつが、好評をいただき、この二年で三割部数が伸びている。
あと二年でさらに三割ぐらい伸ばす目標を掲げている。
大判化した『オール投資』はバブルの頃の部数を維持している。
『四季報』『オール投資』が類誌と違う点は企業の業績予想で、私どもは記者が取材・分析するユニークな予想で読者がついている。
株安の象徴だった森首相がやめて、もう一つ劇的変化があれば株は急上昇し、経済誌ももっと売れる。
書籍は図解シリーズが百三十点を超え、平均一万五千部と好成績で、今年は広範囲なフェアを考えている」と最近の業績を紹介。
販売協力を求めた。
浅野社長に続いて『週刊東洋経済』山中編集長は、「経済誌は戦国時代。
百六年の実績と読者の声を反映して質の向上を目指す」とあいさつした。
来賓の日販菅社長は、先頃示された再販存続の結論に触れ「制度は残ったが中味は厳しい内容になってくるのではないか。
非再販本の発行が本当に読者のためになるのか。
出版文化発展に力を合わせていくことを再確認したい」と述べたほか、東洋経済については、「日販の数字を見ても雑誌、書籍とも前年をクリアしていてよい業績。
二誌のリニューアルも前年をクリアして伸びている。
ますますの発展を」と述べた。
日書連萬田会長は「『週刊東洋経済』は明治二十八年創刊の長寿の週刊誌。
店頭では一番売れているビジネスマン向け経済誌」と祝辞を述べたあと、「再販制度は根幹で維持されたと受け止めている。
これを契機に弾力運用と流通改善、店頭活性化で読者ニーズに応えたい」とした。
このあと、トーハン金田社長が「ひとまず再販は安心した。
これからは増売に集中する時。
東洋経済を足がかりに低迷から回復したい」と述べて乾杯の音頭をとった。

日書連4月理事会は東京ビッグサイトで

東京国際ブックフェアは十九日に始まるが、日書連四月理事会は同日午後一時から同フェアの開かれる東京ビッグサイト会議棟六一〇号室で開催することになった。
午前九時半からのブックフェア開会式には、名誉総裁の三笠宮崇仁親王殿下、各国大使、出版業界代表などが出席する。

人事

◇実業之日本社取締役販売担当の槙島三郎氏が取締役を退任、津佐清氏が販売本部長に就任した。
槙島氏は・実業サービスセンターの代表取締役社長に就任した。